説明

電子機器、及び輝度制御プログラム

【課題】複数の表示画面における輝度差分を低減し、表示画面の見易さを向上することである。
【解決手段】携帯型端末10は、照度センサ11とプロセッサ12と複数のLCDユニット151a、152aとを有する。プロセッサ12は、照度センサ11から照度を取得する。プロセッサ12は、当該照度とLCDユニット151aの輝度設定値とLCDユニット152aの輝度設定値とが対応付けて記憶された設定値参照テーブル131から、取得された照度に対応する、LCDユニット151a、152aの輝度設定値をそれぞれ取得する。プロセッサ12は、取得されたLCDユニット151aの輝度設定値をLCDユニット151aに通知すると共に、取得されたLCDユニット152aの輝度設定値をLCDユニット152aに通知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器、及び輝度制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、表示制御技術の発達に伴い、照度センサを用いて、周囲の照度に応じて、表示画面の輝度を制御する携帯型端末装置が提案されている。通常、携帯型端末装置等に用いられるLCD(Liquid Crystal Display)の画面は、周囲が明るい程、ユーザには暗く感じられ、表示画像が見難くなることから、周囲が明るくなるに連れて、画面の輝度も高くなるように調整される。これにより、携帯型端末装置のユーザは、周辺環境によらず、見易い画面を通して、文字や画像を視認することができる。また、近年では、上述した照度センサを有する表示装置を複数組み合わせた携帯型端末装置も提案されている。このような携帯型端末装置には、複数の表示画面(マルチスクリーン)のそれぞれに異なる文字や画像を表示するものは勿論、複数の表示画面で1つの文字や画像を表示するものもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−88655号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した技術では、以下に説明するような問題点があった。例えば、ユーザが照度センサの部分を手指で隠したり、持つ角度によってセンサの感度が低下した場合には、各表示画面に対応する照度センサの検出照度に差分が生じることがある。また、各表示画面の照度センサは、それぞれ独立して動作することから、同一仕様のセンサを使用した場合でも、各センサが周囲の照度を検出するタイミングがずれることがある。この場合、一方の表示装置についてのみ輝度が調整され、他方の表示装置では輝度の調整が行われないこととなる。更に、1つの携帯型端末装置において、輝度仕様の異なる複数のLCDが組み合わせて使用されることがある。
【0005】
上述したことが要因となり、1つの携帯型端末装置において、一方の表示装置では、輝度の高い(明るめの)画面が表示され、他方の表示装置では、輝度の低い(暗めの)画面が表示されることがある。その結果、携帯型端末装置の表示画面は、視認性が低下し、ユーザにとって見難い画面となる。これらの不都合は、各表示画面で異なる文字や画像を表示させる場合にも生じ得るが、1つの携帯型端末装置の有する複数の表示画面上に、1つの文字や画像を表示させる場合に特に顕著であった。
【0006】
開示の技術は、上記に鑑みてなされたものであって、複数の表示画面における輝度差分を低減し、表示画面の見易さを向上した電子機器、及び輝度制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本願の開示する電子機器は、一つの態様において、照度センサと、プロセッサと、複数の表示部とを有する。前記プロセッサは、前記照度センサから照度を取得する。前記プロセッサは、当該照度と第1の表示部の輝度設定値と第2の表示部の輝度設定値とが対応付けて記憶されたテーブルから、取得された前記照度に対応する、第1の表示部の輝度設定値及び第2の表示部の輝度設定値を取得する。前記プロセッサは、取得された前記第1の表示部の輝度設定値を第1の表示部に通知すると共に、取得された前記第2の表示部の輝度設定値を第2の表示部に通知する。
【発明の効果】
【0008】
本願の開示する電子機器の一つの態様によれば、複数の表示画面における輝度差分を低減し、表示画面の見易さを向上することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1A】図1Aは、閉じた状態の携帯型端末の外観斜視図である。
【図1B】図1Bは、開いた状態の携帯型端末の外観斜視図である。
【図2】図2は、携帯型端末のハードウェア構成を示す図である。
【図3】図3は、設定値参照テーブルにおけるデータ格納例を示す図である。
【図4】図4は、携帯型端末の動作を説明するための図である。
【図5】図5は、プロセッサの実行する処理を説明するための図である。
【図6A】図6Aは、LCD輝度差分の低減前における表示画面の一例を示す図である。
【図6B】図6Bは、LCD輝度差分の低減後における表示画面の一例を示す図である。
【図7】図7は、輝度制御プログラムを実行するコンピュータを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本願の開示する電子機器、及び輝度制御プログラムの実施例を、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の実施例により本願の開示する電子機器、及び輝度制御プログラムが限定されるものではない。
【0011】
以下、本願の開示する電子機器としての携帯型端末の実施例について、図面を参照しながら説明する。図1Aは、閉じた状態の携帯型端末10の外観斜視図である。携帯型端末10は、ヒンジ10aによる開閉動作が可能であり、ヒンジ10aを回転軸として開くことにより、図1Aに示す状態から、図1Bに示す状態となる。図1Bは、開いた状態の携帯型端末10の外観斜視図である。図1Bに示すように、携帯型端末10は、ユーザの視認可能なLCDユニット151aを前面部に有すると共に、これと同一面の左上部に開口部11aを有する。携帯型端末10は、周囲から当該開口部11aに入射する光の量から、端末周囲の照度を検出するための照度センサ11を有する。なお、開口部11a及び照度センサ11の配置は、前面左上部に限らず、端末周囲の照度を所定の精度で検出可能な位置であれば、必ずしもLCDユニット151aと同一面上にあることを要しない。
【0012】
携帯型端末10は、2つのLCDユニット151a、152aを有する。これら2つのLCDユニット151a、152aは、ユーザが同時に閲覧可能な様に、見開き状態で配設されている。LCDユニット151a、152aは、各々独立して、異なる文字や画像を表示することもできるが、これらの画面は同一のサイズ、形状を有することから、1つの画面として、1つの文字や画像を表示することもできる。上述したように、携帯型端末10は、前面左上部に、1つの開口部11aと1つの照度センサ11とを有する。したがって、LCDユニット151aと同一面上には、開口部11a及び照度センサ11が配置されているが、LCDユニット152aと同一面上には、開口部及び照度センサは配置されていない。
【0013】
図2は、携帯型端末10のハードウェア構成を示す図である。図2に示すように、携帯型端末10は、照度センサ11と、プロセッサ12と、メモリ13と、LCDユニット151a、152aとを有する。更に、LCDユニット151a、152aは、それぞれバックライト151、152を有すると共に、バックライト151、152の輝度を制御するためのバックライト制御IC(Integrated Circuit)141、142を有する。これら各構成部分は、一方向又は双方向に、信号やデータの入出力が可能なように接続されている。
【0014】
照度センサ11は、入射光量に応じた電流を生成可能な受光素子を有するPINフォトダイオードにより構成され、太陽光や蛍光灯といった各種発光源からの光の強さを検出する光センサである。照度センサ11は、携帯型端末10の周囲の照度を検出し、検出結果をプロセッサ12に出力する。ここで、照度は、物体(センサ)に入ってくる光の強さであり、一般的には、表示画面の照度は、500[lx]程度以下が適切とされている。輝度は、物体(画面)から出てくる光の強さであり、一般的には、表示画面の輝度は、100〜200[cd/m]程度が適切とされている。
【0015】
プロセッサ12は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路、またはCPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等の電子回路である。プロセッサ12は、OS(Operating System)やデバイスドライバ等の制御用プログラムを実行する。例えば、プロセッサ12は、照度センサ11からの照度検出結果の通知の有無を監視する。プロセッサ12は、照度センサ11から照度検出結果の通知を受けると、この照度検出結果を基に、メモリ13から設定値を取得し、その設定値をLCD輝度設定値として、各バックライト制御IC141、142に通知し、各LCDユニット151a、152aの輝度を調整させる。
【0016】
メモリ13は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、あるいは、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置である。メモリ13は、プロセッサ12から、設定値の読出し要求を受けると、照度に対応する設定値を読み出し、該設定値をプロセッサ12に応答する。
【0017】
メモリ13は、照度から設定値を決定するための設定値参照テーブル131を有する。図3は、設定値参照テーブル131におけるデータ格納例を示す図である。図3に示すように、設定値参照テーブル131には、照度の検出に伴い各画面の設定値が決定可能なように、各LCDユニット151a、152aの設定値が、周囲の照度及びLCDユニット輝度と対応付けて格納されている。周囲の照度は、照度センサ11による読取り値であり、0〜5000[lx]の値が昇順に格納されている。また、照度には、照度の上昇に伴い、LCDユニット輝度も上昇するように、LCDユニット輝度が対応付けられている。LCDユニット輝度は、例えば、照度が0〜50[lx]の時に35[cd/m]となり、照度が2500〜5000[lx]の時に200[cd/m]となるように、35〜200[cd/m]の値が昇順に設定されている。LCDユニット輝度は、携帯型端末10の設置環境や仕様に応じて、適宜更新可能である。
【0018】
また、設定値参照テーブル131には、対応する照度の検出に伴い、各々のLCDユニット151a、152aが、対応する輝度を採るような値が、LCDユニット設定値として設定されている。LCDユニット設定値は、LCDがバックライトに流す電流値である。すなわち、LCDユニット151a、152aの設定値は、対応する画面を照射するバックライト151、152を流れる電流の値であり、この値に応じて、LCDユニット151a、152aの輝度が決定される。設定値が大きい程、バックライトを流れる電流量は増えるため、輝度値が大きくなり、画面は明るくなる。逆に、設定値が小さくなると、バックライトを流れる電流は減少するため、輝度値も小さくなり、画面は暗くなる。
【0019】
本実施例では、設定値は16進数で設定されるものとするが、2進数、10進数等、他の進数であってもよい。例えば、バックライト151及びLCDユニット151aに関し、設定値が03[Hex]の時に、LCDユニット輝度が35[cd/m]の値を採る仕様である場合、照度が0〜50[lx]に対応する格納領域(メモリアドレス)に03[Hex]の値が設定される。また、例えば、バックライト152及びLCDユニット152aに関し、設定値が2A[Hex]の時に、LCDユニット輝度が150[cd/m]の値を採る仕様である場合、照度が200〜700[lx]に対応する格納領域(メモリアドレス)に2A[Hex]の値が設定される。なお、これらのLCDユニット設定値についても、バックライトやLCDユニットの仕様や設置環に応じて、適宜変更可能である。
【0020】
バックライト制御IC141、142は、プロセッサ12から通知された輝度設定値に合わせて、電源ユニットからバックライト151、152への電流を制御することにより、LCDユニット151a、152aの輝度を調整する。
【0021】
バックライト151、152は、それぞれ3色LED(Light Emitting Diode)を光源として、LCDユニット151a、152aを背面から照明する。すなわち、バックライト151、152は、バックライト制御IC141、142の制御により、LCDユニット151a、152aが照度に応じた設定値の輝度となるように、各LCDユニット151a、152aを背面から照明する。
【0022】
次に、本実施例における携帯型端末10の動作を説明する。
【0023】
図4は、携帯型端末10の動作を説明するための図である。S1において、照度センサ11は、携帯型端末10の周囲の照度を検出すると、この照度検出結果を、OSまたはドライバを介して、プロセッサ12に通知する(S2)。
【0024】
プロセッサ12は、照度センサ11からの照度検出結果の入力を監視しており、照度センサ11から当該入力を受けると、メモリ13に対して、設定値の読出しを要求する(S3)。当該読出し要求には、S2で通知された照度検出結果として、周囲の照度値が含まれている。メモリ13は、プロセッサ12からの指示に応じて、当該照度値に対応する、LCDユニット151a、152aの設定値を読み出し、プロセッサ12に応答する(S4)。例えば、設定値読出し要求に含まれている照度値が150[lx]の場合、プロセッサ12は、照度値150[lx]に対応する設定値の読出しを試行する。メモリ13には、照度値150[lx]に対応する設定値の格納領域に、10[Hex]と1B[Hex]とが格納されている(図3参照)。したがって、プロセッサ12は、LCDユニット151aの設定値として10[Hex]を、LCDユニット152aの設定値として1B[Hex]を、メモリ13から取得することとなる。
【0025】
続いて、プロセッサ12は、S4で取得された各LCDユニット151a、152aの設定値を、対応するLEDドライバに通知する(S5)。上述の例では、LCDユニット151aに対応するLEDドライバには、設定値10[Hex]が通知され、LCDユニット152aに対応するLEDドライバには、設定値1B[Hex]が通知されることとなる。各LEDドライバは、S5で通知された設定値を基に、各LCDユニット151a、152aに応じたバックライト151、152の制御を行うことで、両画面の輝度が同一となるように調整する(S6)。
【0026】
上述の例では、LCDユニット151aに対応するLEDドライバには設定値として10[Hex]が通知されるため、当該LEDドライバは、設定値10[Hex]に対応する強さの電流をバックライト151に供給することで、LCDユニット151aの輝度を100[cd/m]に制御する。同様に、LCDユニット152aに対応するLEDドライバには設定値として1B[Hex]が通知されるため、当該LEDドライバは、設定値1B[Hex]に対応する強さの電流をバックライト152に供給することで、LCDユニット152aの輝度を100[cd/m]に制御する。これにより、LCDユニット151a、152aの輝度は、共に100[cd/m]に統一される。
【0027】
次に、携帯型端末10のプロセッサ12の実行する処理を説明する。
【0028】
図5は、プロセッサ12の実行する処理を説明するための図である。S11では、プロセッサ12は、照度センサ11による照度検出の有無を監視しており、照度センサ11から照度を取得する。S12では、プロセッサ12は、メモリ13の設定値参照テーブル131を参照し、S11で取得された上記照度に対応する、LCDユニット151aの輝度設定値を取得する。S13では、プロセッサ12は、LCDユニット152aに関し、S12と同様の処理を実行する。すなわち、プロセッサ12は、メモリ13の設定値参照テーブル131を参照し、S11で取得された上記照度に対応する、LCDユニット152aの輝度設定値を取得する。
【0029】
S14では、プロセッサ12は、S12で設定値参照テーブル131から取得された上記輝度設定値を、LCDユニット151aに通知する。S15では、プロセッサ12は、LCDユニット152aに関し、S14と同様の処理を実行する。すなわち、プロセッサ12は、S13で設定値参照テーブル131から取得された上記輝度設定値を、LCDユニット152aに通知する。その後、プロセッサ12は、所定時間の経過を待機し(S16)、所定時間経過した場合(S16;Yes)には、ユーザによる電源オフの指示入力の有無を監視する(S17)。電源オフの指示入力が無い間(S17;No)は、プロセッサ12は、上述したS11〜S16の一連の処理を繰り返し実行する。一方、電源オフが指示されたことに伴い(S17;Yes)、プロセッサ12は、上記一連の処理を終了する。
【0030】
上述してきたように、携帯型端末10は、照度センサ11とプロセッサ12と複数のLCDユニット151a、152aとを有する。プロセッサ12は、照度センサ11から照度を取得する。プロセッサ12は、当該照度とLCDユニット151aの輝度設定値とLCDユニット152aの輝度設定値とが対応付けて記憶された設定値参照テーブル131から、取得された照度に対応する、LCDユニット151a、152aの輝度設定値をそれぞれ取得する。プロセッサ12は、取得されたLCDユニット151aの輝度設定値をLCDユニット151aに通知すると共に、取得されたLCDユニット152aの輝度設定値をLCDユニット152aに通知する。プロセッサ12から輝度設定値の通知を受けたLCDユニット151a及びLCDユニット152aは、当該輝度設定値に基づき、それぞれのLCD画面輝度の調整を行う。これにより、LCDユニット151a、152aの画面輝度は、同一となる様に統一される。
【0031】
すなわち、本実施例に係る携帯型端末10は、複数のLCDユニット151a、152aを有する。携帯型端末10は、照度センサ11と、メモリ13と、プロセッサ12と、LEDドライバとを有する。照度センサ11は、照度を検出する。メモリ13は、照度と、LCDユニット151a、152aの輝度を決定するための設定値とを、各LCDユニット毎に対応付けて記憶する。プロセッサ12は、照度センサ11により検出された照度を入力し、当該照度に対応する設定値をメモリ13から取得して出力する。LEDドライバは、プロセッサ12により出力された設定値に基づき、複数のLCDユニット151a、152aの輝度を制御する。つまり、携帯型端末10は、単一の照度センサ11により周囲の照度を検出し、当該照度に基づき、複数のLCDユニット151a、152aの輝度が同一となるようにバックライト151、152を制御することで、輝度差分を低減し、画面の見易さを向上する。
【0032】
換言すれば、携帯型端末10は、単一の照度センサ11の検出した情報を、ホスト(CPU)側のアプリケーション(ドライバ、OS等)に一旦通知し、その情報を基に、2つのLCDユニット151a、152aの輝度情報の書込み制御を行う。図6Aは、かかる輝度制御を行う前における表示画面の一例を示す図である。輝度制御の前には、各LCDユニット153a、154aの輝度は異なり、何らかの理由により、LCDユニット154aの輝度が、LCDユニット153aの輝度よりも低い状態となっている。その結果、「例」という文字の上半分と比較して、下半分が暗く表示されている。携帯型端末10が上述の書込み制御を行うと、2つのLCDユニットにおける輝度差分は低減され、LCDユニット151a、152aの各輝度は同一の値となる。これにより、「例」という文字の上半分と下半分とは同じ明るさで表示され、ユーザにとって見易い表示状態(図6Bに示す状態)となる。
【0033】
また、携帯型端末10は、1つの照度センサ11を用いて2つのLCDユニット151a、152aの輝度を制御することから、副次的には、以下の様な効果を有する。すなわち、従来のように、2つ以上の照度センサを有する場合と比較して、照度センサを構成する回路の小型化、及び配線の簡略化を図ることができる。これにより、輝度制御を実現するための実装面積が少なくなり、装置自体の小型化を図ることが可能となる。また、携帯型端末10に照度センサを実装するためには、端末の筐体前面に受光用の開口部を設ける必要があるが、照度センサが1つであれば、開口部を複数設ける必要はなく、その分ケース加工の簡易化を図ることができる。
【0034】
また、本実施例に係る携帯型端末10のように、単一の照度センサ11を用いるのであれば、照度検出のタイミングがセンサ間でずれるという懸念はなくなる。これにより、一方の画面についてのみ輝度が調整され、他方の画面では輝度の調整が行われないといった不都合は回避される。したがって、携帯型端末10のLCDユニット151a、152aには、常に、周辺照度に適した同一輝度の文字や画像が表示される。その結果、見易い画面表示が実現される。
【0035】
更に、本実施例に係る携帯型端末10の有する設定値参照テーブル131は、更新可能に構成されている。すなわち、設定値参照テーブル131に格納されているLCDユニット設定値は、周囲の照度に適した輝度での画面表示が可能となるように、自動または手動の操作により調整することができる。これにより、携帯型端末10のLCDユニットは、LCDの種類や仕様を問わず、各LCDユニットに固有の設定値を介して、周囲の照度に応じた同一の輝度に適宜調整される。したがって、携帯型端末10は、構成や仕様の異なるLCDのみならず、構成や仕様が同一のLCD間の個体差にも対応して、2つのLCDユニットの輝度を統一することができる。また、何らかの理由により、LCDユニットの片方または双方を交換したり、LCDユニットを追加することとなった場合にも、容易に対応することができる。すなわち、携帯型端末10は、新規のLCDに合わせて、テーブルの設定値を調整するという簡易な操作で、当該LCDの画面輝度を、従前のLCDユニットの輝度と同一とすることができる。したがって、LCDを交換あるいは追加する場合にも、異なる画面に輝度の差が生じて見づらくなるということがない。その結果、携帯型端末10の利便性、汎用性が向上する。
【0036】
[輝度制御プログラム]
また、上記実施例で説明した各種の処理は、あらかじめ用意されたプログラムをコンピュータで実行することによって実現することができる。そこで、以下では、図7を用いて、図2に示した携帯型端末10と同様の機能を有する輝度制御プログラムを実行するコンピュータの一例を説明する。
【0037】
図7は、輝度制御プログラムを実行するコンピュータを示す図である。図7に示すように、コンピュータ100は、CPU110と、入力装置120と、モニタ130と、音声入出力装置140と、無線通信装置150と、照度センサ160とを有する。更に、コンピュータ100は、RAM170と、ハードディスク装置180等のデータ記憶装置とを有し、これらをバス190で接続して構成される。CPU110は、各種演算処理を実行する。入力装置120は、ユーザからのデータの入力を受け付ける。モニタ130は、各種情報を表示する。音声入出力装置140は、音声を入出力する。無線通信装置150は、無線通信を介して他のコンピュータとの間でデータの授受を行う。照度センサ160は、周囲の照度を検出し、検出結果を、バス190を介してCPU110に出力する。RAM170は、各種情報を一時的に記憶する。
【0038】
そして、ハードディスク装置180には、図2に示したプロセッサ12と同様の機能を有する輝度制御プログラム181が記憶される。また、ハードディスク装置180には、図2に示したメモリ13に記憶される各種データ(周囲の照度、LCDユニット輝度、LCDユニット設定値など)に対応する輝度制御処理関連データ182、及び輝度制御履歴ファイル183が記憶される。
【0039】
そして、CPU110が輝度制御プログラム181をハードディスク装置180から読み出してRAM170に展開することにより、輝度制御プログラム181は、輝度制御プロセス171として機能するようになる。そして、輝度制御プロセス171は、輝度制御処理関連データ182から読み出した情報等を適宜RAM170上の自身に割り当てられた領域に展開し、この展開したデータ等に基づいて各種データ処理を実行する。そして、輝度制御プロセス171は、所定の情報を輝度制御履歴ファイル183に出力する。
【0040】
なお、上記の輝度制御プログラム181は、必ずしもハードディスク装置180に格納されている必要はなく、CD−ROM等の記憶媒体に記憶されたこのプログラムを、コンピュータ100が読み出して実行するようにしてもよい。また、公衆回線、インターネット、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)等を介してコンピュータ100に接続される他のコンピュータ(またはサーバ)等にこのプログラムを記憶させておいてもよい。この場合には、コンピュータ100がこれらからプログラムを読み出して実行する。
【0041】
なお、上記実施例では、携帯型端末10として、携帯電話、スマートフォン、PDA(Personal Digital Assistant)といった様々な携帯型端末装置を想定して説明した。しかしながら、本願に開示の技術は、カーナビゲーション、PC(Personal Computer)、テレビ等、複数の表示画面を有する様々な電子機器に適用可能である。携帯型端末の場合、照度センサが2つあると、持ち方によっては片方が手指で隠れてしまったり、端末の角度によっては、検出される照度が異なってしまうことがある。このように、携帯型端末の場合、2つのLCDユニットに輝度差分が生じ易くなることから、上記実施例の適用により両画面の輝度を揃えることが特に効果的である。しかしながら、携帯型端末以外の端末装置であっても、設置の仕方や周辺環境(人の動きや物の位置)によっては、検出照度が異なる場合も想定される。したがって、携帯型端末に限らず、携帯型端末以外の端末装置に対しても、上記実施例の適用は有効である。
【0042】
また、上記実施例では、携帯型端末10が2つのLCDユニット151a、152aを有する場合を例に採って説明したが、LCDユニットは3つ以上であってもよい。かかる態様でも、携帯型端末10は、3つ以上のLCDユニットの設定値を、照度及び輝度毎に、設定値参照テーブル131に追加設定することで、上記実施例と同様に、複数の画面間における輝度のずれが調整される。したがって、携帯型端末10のユーザは、3つ以上のLCDユニットを、見易い状態(周囲の照度に適した、かつ、各画面の明るさの等しい状態)で見ることができる。
【0043】
更に、図示した携帯型端末の各構成要素は、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的態様は図示のものに限られず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況等に応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することもできる。例えば、入出力部としてのプロセッサ12と制御部としてのバックライト制御IC141、142とを1つの構成要素として統合してもよい。反対に、プロセッサ12に関し、検出された照度を入力する部分と、当該照度に対応する設定値をメモリ13から取得して出力する部分とに分散してもよい。また、メモリ13を、携帯型端末10の外部装置として、ネットワークやケーブル経由で接続するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0044】
10 携帯型端末
10a ヒンジ
11 照度センサ
12 プロセッサ
13 メモリ
131 設定値参照テーブル
141、142 バックライト制御IC
151、152 バックライト
151a、152a LCDユニット
100 コンピュータ
110 CPU
120 入力装置
130 モニタ
140 音声入出力装置
150 無線通信装置
160 照度センサ
170 RAM
171 輝度制御プロセス
180 ハードディスク装置
181 輝度制御プログラム
182 輝度制御処理関連データ
183 輝度制御履歴ファイル
190 バス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
照度センサと、プロセッサと、複数の表示部とを有する電子機器であって、
前記プロセッサは、
前記照度センサから照度を取得し、
当該照度と第1の表示部の輝度設定値と第2の表示部の輝度設定値とが対応付けて記憶されたテーブルから、取得された前記照度に対応する、第1の表示部の輝度設定値及び第2の表示部の輝度設定値を取得し、
取得された前記第1の表示部の輝度設定値を第1の表示部に通知すると共に、取得された前記第2の表示部の輝度設定値を第2の表示部に通知することを特徴とする電子機器。
【請求項2】
照度センサと、プロセッサと、複数の表示部とを有する電子機器により実行される輝度制御プログラムであって、
前記照度センサから照度を取得し、
当該照度と第1の表示部の輝度設定値と第2の表示部の輝度設定値とが対応付けて記憶されたテーブルから、取得された前記照度に対応する、第1の表示部の輝度設定値及び第2の表示部の輝度設定値を取得し、
取得された前記第1の表示部の輝度設定値を第1の表示部に通知すると共に、取得された前記第2の表示部の輝度設定値を第2の表示部に通知する
処理を前記プロセッサに実行させることを特徴とする輝度制御プログラム。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−37140(P2013−37140A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−172273(P2011−172273)
【出願日】平成23年8月5日(2011.8.5)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】