電子機器、情報処理方法、プログラム、及び電子機器システム
【課題】ユーザに違和感を与えることなく、表示画面を見ながら自然な操作で入力を行うる。
【解決手段】本発明に係る電子機器100は、操作面での操作者による操作に基づいて、操作主体による操作情報を取得するタッチセンサ104と、操作情報に基づいて、操作主体を反映したイメージ画像を生成する制御部110と、イメージ画像を元画像に重ねた画像を生成する画像生成部120と、を備える。この構成により、ユーザは、イメージ画像を視認しながら、自然な操作で入力を行うことが可能となる。
【解決手段】本発明に係る電子機器100は、操作面での操作者による操作に基づいて、操作主体による操作情報を取得するタッチセンサ104と、操作情報に基づいて、操作主体を反映したイメージ画像を生成する制御部110と、イメージ画像を元画像に重ねた画像を生成する画像生成部120と、を備える。この構成により、ユーザは、イメージ画像を視認しながら、自然な操作で入力を行うことが可能となる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器、情報処理方法、プログラム、及び電子機器システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近時では、スマートフォン等の携帯端末において普及しているGUI(Graphical User Interface)として、タッチパネルなどのタッチセンサを用いた操作入力装置が導入されている。タッチパネルは、液晶ディスプレイ(LCD)画面などの上に配置されたタッチセンサを用いて、画面上を直接触ることで直感的な操作(ダイレクトマニュピレーション)を実現している。例えば、下記の特許文献1には、静電式タッチパネル上のオブジェクトを移動させる操作として、2つの操作モードを備える装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−262556号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
タッチパネルは、表示画面上で直接操作できる操作入力装置として非常に有用であるが、その一方で、例えばノート型のパーソナルコンピュータに代表されるように表示画面とタッチセンサ(タッチパッド)が分離している機器が存在する。
【0005】
このような表示画面とタッチセンサが分離している機器では、タッチセンサ上での操作位置(指が触れている位置)と画面上に指定した位置(例えばカーソルの位置)との関係をユーザが認識し難くなる問題がある。一例として、表側に表示画面が設けられ、背面(装置の裏側)にタッチセンサが設けられた携帯型端末装置が挙げられる。このような機器では、目には見えない装置の背面で手指を操作するので、タッチセンサ上での操作位置と画面上に指定した位置との関係をユーザが認識し難くなる。また、ユーザが気づかずに手指の一部がタッチセンサに触れてしまい、想定していない作動を引き起こす可能性もある。
【0006】
また、表示画面とタッチセンサが分離している他の例として、離れた画面上のユーザインタフェース(UI)をタッチパネル的に操作するコントローラーが挙げられる。このような機器では、ユーザは画面を見ながら手元のコントローラを操作するので、タッチセンサ上での操作位置と画面上に指定した位置との関係をユーザが認識し難くなる。また、ユーザが気づかずに手指の一部がタッチセンサに触れてしまい、やはり想定していない作動を引き起こすことが想定される。また、操作入力としてマルチタッチ(指で触れた複数の位置に対応して複数のカーソルを表示してそれぞれを操作可能とする)を採用すると、複数のポインティング位置(カーソル位置)同士の絶対的な位置関係を把握し難くなる問題も生じる。
【0007】
また、別の問題として、タッチパッドを用いた場合は、指をタッチセンサに触れているときにはカーソルが表示されるものの、指をタッチセンサから離すと、カーソルが消えるため、画面へのフィードバックが全く無くなってしまう。このため、ユーザが次に指をどこに置いたらよいのか分からなくなるという問題があった。
【0008】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、ユーザに違和感を与えることなく、表示画面を見ながら自然な操作で入力を行うことが可能な、新規かつ改良された電子機器、情報処理方法、プログラム、及び電子機器システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、操作面での操作者による操作に基づいて、操作主体による操作情報を取得する操作情報取得部と、前記操作情報に基づいて、前記操作主体のイメージを反映したイメージ画像を生成する画像処理部と、前記イメージ画像を元画像に重ねた画像を生成する画像生成部と、を備える、電子機器が提供される。
【0010】
また、前記操作面とは別の箇所に設けられ、前記イメージ画像を前記元画像に重ねた画像を表示する表示部を備えるものであってもよい。
【0011】
前記操作情報は、前記電子機器とは別体の装置であって前記操作面を有する他の装置から受信した情報であってもよい。
【0012】
また、前記画像処理部は、前記操作情報に基づいて、前記操作主体の代表点の位置の情報を生成し、前記画像生成部は、前記操作主体の代表点の位置の画像を、前記イメージ画像とともに前記元画像に重ねた画像を生成するものであってもよい。
【0013】
また、前記画像処理部は、前記イメージ画像を前記元画像に対して半透明又は縁取りされた画像として生成するものであってもよい。
【0014】
また、前記画像処理部は、前記操作情報取得部で検出された前記操作情報の信号強度が所定のしきい値以下の場合は前記イメージ画像の情報を生成しないものであってもよい。
【0015】
また、前記画像処理部は、前記操作情報取得部で取得された前記操作情報の信号強度が第1のしきい値以下の場合は前記イメージ画像の情報を生成せず、前記操作情報取得部で検出された前記操作情報の信号強度が前記第1のしきい値よりも大きな第2のしきい値以下の場合は前記代表点の位置の情報を生成しないものであってもよい。
【0016】
また、前記画像処理部は、前記イメージ画像の情報に第1の強度のローパスフィルタ処理を行うとともに、前記代表点の画像の情報に第2のローパスフィルタ処理を行い、前記第1のローパスフィルタ処理の強度は前記第2のローパスフィルタ処理の強度よりも強いものであってもよい。
【0017】
また、前記画像処理部は、前記操作情報取得部で取得された前記操作情報の信号強度が所定値以下になった場合は、過去に取得された前記操作情報の信号強度に基づいて前記イメージ画像を推定して生成するものであってもよい。
【0018】
また、前記操作情報取得部で検出された前記操作情報の信号強度が前記第1のしきい値よりも大きな第2のしきい値以下の場合は、前記操作主体による入力を受け付けないものであってもよい。
【0019】
また、前記画像処理部は、前記操作情報に基づいて、予め設定された図形を前記イメージ画像の情報として生成するものであってもよい。
【0020】
また、前記画像処理部は、前記操作情報に基づいて、前記操作面と前記操作主体との距離に応じた前記イメージ画像を生成するものであってもよい。
【0021】
また、前記画像処理部は、前記イメージ画像の大きさを前記操作情報の信号強度に応じた大きさとして前記イメージ画像を生成するものであってもよい。
【0022】
また、前記画像処理部は、前記イメージ画像の濃度を前記操作情報の信号強度に応じた大きさとして前記イメージ画像を生成するものであってもよい。
【0023】
また、前記イメージ画像の大きさが所定値以下の場合は、前記操作主体による入力を受け付けないものであってもよい。
【0024】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、操作面での操作者による操作に基づいて、操作主体による操作情報を取得すること、前記操作情報に基づいて、前記操作主体を反映したイメージ画像を生成すること、前記イメージ画像を元画像に重ねた画像を生成すること、を備える、情報処理方法が提供される。
【0025】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、操作面での操作者による操作に基づいて、操作主体による操作情報を取得する手段、前記操作情報に基づいて、前記操作主体のイメージを反映したイメージ画像を生成する手段、前記イメージ画像を元画像に重ねた画像を生成する手段、としてコンピュータを機能させるためのプログラムが提供される。
【0026】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、操作面での操作者による操作に基づいて、操作主体による操作情報を取得する操作情報取得部と、前記操作情報を送信する送信部と、を有するコントローラと、前記操作情報を受信する受信部と、前記操作情報に基づいて、前記操作主体のイメージを反映したイメージ画像を生成する画像処理部と、前記イメージ画像を元画像に重ねた画像を生成する画像生成部と、を有する電子機器と、備える、電子機器システムが提供される。
【0027】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、操作面での操作者による操作に基づいて、操作主体による操作情報を取得する操作情報取得部と、前記操作情報に基づいて、前記操作主体のイメージを反映したイメージ画像を生成する画像処理部と、前記イメージ画像の情報を送信する送信部と、を有するコントローラと、前記イメージ画像の情報を受信する受信部と、前記イメージ画像を元画像に重ねた画像を生成する画像生成部と、を有する電子機器と、備える、電子機器システムが提供される。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、ユーザに違和感を与えることなく、表示画面を見ながら自然な操作で入力を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】第1の実施形態の携帯型電子機器の外観を示す模式図である。
【図2】図1に示す携帯型電子機器の構成を示すブロック図である。
【図3】タッチセンサをグリッド式静電容量式のタッチセンサから構成した場合に、そのグリッド構造を示す模式図である。
【図4】タッチセンサを光学式インセルタッチセンサから構成した場合の構成を示す模式図である。
【図5】図2に示した静電容量式のタッチセンサによってスキャンされた静電容量の実測結果の一例を示す特性図である。
【図6】図2に示す各グリッドのうち、特定グリッドにおける、ユーザの指の近接又は接触による静電容量の大きさを示した特性図である。
【図7】タッチセンサが取得した静電容量を示す模式図である。
【図8】図7に示すようなタッチセンサが取得した静電容量に基づいて、カーソルの画像を生成して、送受信部が受信したURLの画面と重畳して表示した状態を示す模式図である。
【図9】重心を求める方法の一例を示す模式図である。
【図10】一般的なコンター(等高線)を求める方法の一例を示す模式図である。
【図11】ローパスフィルタ処理を示すブロック図である。
【図12】ローパスフィルタ処理を示すブロック図である。
【図13】静電容量に基づいてカーソルの代表点を表示するとともに、静電容量に基づいてイメージ画像152を表示し、更に実際の指の形状を表示した例を示す模式図である。
【図14】タッチセンサに指が近接する過程で、カーソルの周囲のイメージ画像152の範囲と濃度を変化させた表示例を示す模式図である。
【図15】タッチセンサによる静電容量の検出可能範囲の外に指が離れた場合の表示例を示す模式図である。
【図16】本実施形態の携帯型電子機器における処理を示すフローチャートである。
【図17】第2の実施形態に係るコントローラーと、電子機器の構成を示す構成図である。
【図18】第2の実施形態に係るコントローラーと、電子機器の構成を示す構成図である。
【図19】第2の実施形態の構成を示すブロック図である。
【図20】電子機器がセットトップボックス等の装置であり、表示部が別体に構成された例を示すブロック図である。
【図21】ユーザがタッチセンサの左側を左手の親指で触れるとともに、タッチセンサ230の右側を右手の人差し指で触れている状態を示す模式図である。
【図22】グリッドごとの静電容量の大きさに応じてカーソルのステイタスを変更する例である。
【図23】電子機器のステイタス(状態)を示す情報を、擬似的な指画像に重畳させた例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0031】
なお、説明は以下の順序で行うものとする。
1.実施形態の概要
2.第1の実施形態
2.1.システム構成例
2.2.タッチセンサの構成例
2.3.画面上での表示例
2.4.ローパスフィルタ処理について
2.5.手指の形状を表示する例
2.6.距離に応じてイメージ画像の範囲と濃度を変化させた表示例
2.7.指がタッチセンサの検出可能範囲外に離れた場合の表示例
2.8.本実施形態の携帯型電子機器における処理
3.第2の実施形態(取込制御:パン方向の検出に方位センサを使用する例)
3.1.システム構成例
3.2.画面上での表示例
【0032】
1.実施形態の概要
ノート型のパーソナルコンピュータに代表されるように表示画面とタッチセンサ(タッチパッド)が分離している機器が存在する。このような機器では、タッチパッドは、相対座標系を用いたものが用いられている。
【0033】
相対座標系を用いたタッチパッドの場合、タッチパッド上での操作位置(指が触れている位置)と画面上に指定した位置(例えばカーソルの位置)は1対1で対応するものではない。ユーザがタッチパッド上でカーソルを移動する操作をすると、現在のカーソルの位置を基準として、操作に応じた相対的な距離だけカーソルが移動する。例えば、ユーザが画面上でカーソルを画面の一端から他端に移動する場合、タッチパッド上で指を所定距離だけ移動し、この所定距離の移動を複数回繰り返すことによりカーソルを画面の一端から他端へ移動することができる。
【0034】
一方、他の座標系としてタッチパネルに代表される絶対座標系がある。絶対座標系の場合、タッチセンサ上で指定した位置(指が触れている位置)と画面上に指定した位置(例えばカーソルの位置)は1対1で対応するため、例えば、ユーザがタッチセンサの左端に触れると画面の左端にカーソルが移動し、タッチセンサの右端に触れると画面の右端にカーソルが移動する。
【0035】
画面とタッチパッドが分離している場合、ノート型のパーソナルコンピュータに代表されるように相対座標系を用いることが一般的であるが、場面によっては絶対座標系を用いた方が、利便性が高くなる。一例として、第1の実施形態で説明するような、表示装置の背面(装置の裏側)にタッチセンサを付加した携帯型端末装置が挙げられる。これは、操作面は背面であるが、表側の表示画面と操作面が表裏で対応しており、いわば擬似的なタッチパネル的操作入力装置である。このような装置で相対座標系を用いると、カーソルの位置と指で操作している位置が相違してしまい、ユーザに混乱が生じてしまう。従って、このような装置では、絶対座標系を用いることでユーザビリティの高い操作体系とすることができる。
【0036】
表示装置の背面にタッチセンサを付加した操作系では、タッチパネルと異なり、指が画面を隠すことがないという大きな利点がある。従って、ユーザは、表示画面を指で遮られることなく、タッチパネルと同等の操作を行うことができる。一方、目には見えない装置の背面で手指を操作するので、ユーザが気づかずに手指の一部がタッチセンサに触れてしまい、想定していない作動を引き起こす可能性もある。このため、指の位置を表側の表示画面に表示することが望ましい。
【0037】
また、他の例として、第2の実施形態で説明するような、離れた画面上のユーザインタフェース(UI)をタッチパネル的に操作するコントローラーが挙げられる。ここで、操作入力としてマルチタッチ(指で触れた複数の位置に対応して複数のカーソルを表示してそれぞれを操作可能とする)を採用すると、複数のポインティング位置(カーソル位置)同士の絶対的な位置関係が重要となるため、絶対座標系を採用すると操作が容易になる。この場合、既存のノート型PC等のタッチパッドで常用されている相対座標になじんだユーザーが座標系の違いに混乱してしまう可能性がある。
以上のように、ポインティングデバイスを用いる従来のGUI系(Windows(登録商標)PCなど)では操作のための座標系として相対座標系をもちいることが一般的である。しかし、ダイレクトマニュピレーション的な操作感をパッチパッドで実現しようとした場合には、操作オブジェクトの位置を直接操作する必要性があるために、絶対座標系を用いることが望ましい。さらに、マルチタッチ操作を行う場合も、各指の位置関係を崩さないためには絶対座標系が望ましい。
【0038】
また、タッチパッドを用いた場合は、指をタッチセンサに触れているときにはカーソルが表示されるものの、指をタッチセンサから離すと、カーソルが消えるため、画面へのフィードバックが全く無くなってしまう。このため、ユーザが次に指をどこに置いたらよいのか分からなくなる可能性も存在する。
【0039】
このため、以下に説明する各実施形態では、タッチセンサの各グリッドが取得する手指のイメージ情報をビジュアル化して、画面に表示するようにした。ここで、手指のイメージ情報を表示する際には、非接触の近接状態でも表示できるように、所定のしきい値を用いることができる。また、イメージ情報には、ポインティングのためのカーソルを重畳させることができる。また、手指がタッチセンサに接触しておらず、接近しているのみの場合は、カーソルを重畳させない、または機能させないようにすることもできる。このような構成によれば、ユーザーの手指の場所を(接触する前から)ビジュアルフィーバックすることが可能となり、絶対座標を用いるタッチパッドの操作性を向上させることが可能である。以下、各実施形態について詳細に説明する。
【0040】
2.第1の実施形態
2.1.システム構成例
本実施形態は、GUI(Graphical User Interface)のコントローラーに関するものであり、一例としてタッチセンサを用いた携帯型電子機器を例に挙げて説明する。図1は、第1の実施形態の携帯型電子機器100の外観を示す模式図である。携帯型電子機器100は、筐体108の表面に設けられた表示部102と、裏面に配置されたタッチセンサ104とを有して構成されている。表示部102は、例えば液晶表示パネル(LCD)等から構成される。また、タッチセンサ104は、一例として静電容量式のタッチセンサから構成することができるが、これに限定されるものではない。ユーザは、表示部102を上に向けて携帯型電子機器100を保持し、背面のタッチセンサ104を操作することによって、表示部102に表示されたカーソルを動かしたり、アイコンを選択したり、ドラッグ等の操作を行うことができる。
【0041】
図2は、図1に示す携帯型電子機器100の構成を示すブロック図である。図2に示すように、携帯型電子機器100は、表示部102、タッチセンサ104、送受信部106、制御部110、画像生成部120、メモリ130を有して構成される。
【0042】
送受信部106は、無線通信ネットワークを介して情報を送受信する。タッチセンサ104は、ユーザの手指の接近または接触を検出する。タッチセンサ104は、検出結果を制御部110へ送る。制御部110は、タッチセンサ104から送られた検出結果に基づいて、表示部102に表示するための情報を生成し、画像生成部120へ送る。ここで、制御部110が生成する情報は、後述するカーソルの代表点150の画像と、イメージ画像152とが含まれる。制御部110は、タッチセンサ104の検出結果を取得する操作情報取得部、及び、代表点150、イメージ画像152を生成する画像処理部として機能する。また、制御部110は、カーソルの操作に基づいて、コンテンツの選択、ドラッグ等の電子機器100の全般的な処理を行う。画像生成部120は、制御部110から送られた情報と、送受信部106にて受信した画像またはメモリ130に保存された画像とを重畳して、表示部102に表示する画像のデータを生成する。画像生成部120にて生成された画像データは、表示部102に送られて、表示部102に表示される。メモリ130は、ユーザの手指の接近または検出に関する情報、画像等の情報を記憶する。
【0043】
図2に示す構成は、ハードウェア(回路)またはCPUなどの中央演算処理装置とこれを機能させるためのソフトウェア(プログラム)から構成することができる。この場合において、そのプログラムは、メモリ130など電子機器100が備える記憶部または外部から挿入される記憶媒体に格納されることができる。
【0044】
2.2.タッチセンサの構成例
図3は、タッチセンサ104をグリッド式静電容量式のタッチセンサから構成した場合に、そのグリッド構造を示す模式図である。図3に示すように、タッチセンサ104は、静電容量センサをグリッド(格子)状に配置したものであり、各グリッドごとに、表面に近接又は接触されるユーザの手指の静電容量を順次スキャンする構成とされている。
【0045】
また、図4は、タッチセンサ104を光学式インセルタッチセンサから構成した場合の構成を示す模式図である。光学式インセルタッチセンサは、バックライト、TFT側ガラス、液晶層(センサー)、対向側ガラスを有して構成される。光学式のタッチセンサを用いた場合、図4に示すように、バックライトから光を照射し、その反射光の強弱を液晶層(センサー)で検出して、タッチセンサの表面にユーザの指が近接又は接触したことを検知する。
【0046】
図5は、図3に示した静電容量式のタッチセンサ104によってスキャンされた静電容量の実測結果の一例を示す特性図である。図5は、タッチセンサ104によって得られた静電容量値をわかりやすく示すために極性反転している。従って、以下では、ユーザの指がタッチセンサ104に近接するほど静電容量値(極性反転した値)が小さくなるものとして説明する。図5に示すように、矢印Aで示す領域で静電容量が局所的に小さくなっており、この領域でユーザの指が近接又は接触したことが検知できる。
【0047】
図6は、図2に示す各グリッドのうち、特定グリッドにおける、ユーザの指の近接又は接触による静電容量の大きさを示した特性図である。ここで、縦軸は静電容量の大きさを示しており、横軸は指をタッチセンサ104の表面に近づけていく過程での経過時間を示している。また、図6中に示す数値は、ユーザの指からタッチセンサ104表面までの距離[mm]を示している。図6に示すように、タッチセンサ104で検出される静電容量は、ユーザの指がタッチセンサ104の表面に近づくほど減少し、指が表面に接触すると最小となる。
【0048】
2.3.画面上での表示例
次に、表示部102上での画像の表示について説明する。表示部102には、送受信部106にて受信した画像と、タッチセンサ104から送られた検出結果に基づいて生成された情報とが重畳されて表示される。図7は、タッチセンサ104が取得した静電容量をコンター(等高線)で示した模式図である。ここでは、左右の親指が同時にタッチセンサ104に触れた場合の結果を示しており、タッチセンサ104の左右の領域B、領域Cの位置で静電容量値が周囲よりも低くなっている状態を示している。
【0049】
また、図8(A)〜図8(D)は、図7に示す静電容量値に基づいてカーソルの画像を生成して、送受信部106が受信したURLの画面と重畳して表示した状態を示す模式図である。ここでは、一例として送受信部106が受信した検索エンジンのURLの画面にカーソルの画像を重畳した例を示す。図8(A)〜図8(D)は、図7に示すタッチセンサ104のグリッドごとの静電容量値を図示化して画面に重畳させた例を示したものである。従って、図8(A)〜図8(D)においては、右手の親指と左手の親指の2箇所に対応するカーソルが表示されている。
【0050】
図8(A)は、静電容量の大きさのコンター(等高線)を求め、これをイメージ画像152(手指のイメージを反映した画像)によって表現して画面に重畳した例である。ここで、中央部の白丸部分は、操作に応じて移動するカーソルの代表点(カーソルの中央)150を示している。代表点150は、コンテンツの選択、ドラッグ等の操作を行う場合に基準となる点である。代表点150は、例えばしきい値を超えたグリッドごとの静電容量値の加重された重心として求められる。また、イメージ画像152の部分は、指がタッチセンサ104と接触している箇所及びその周辺において、静電容量値に応じた形状に表示される。従って、イメージ画像152の部分は、指の形状に対応したものとなる。イメージ画像152の部分では、静電容量値に応じたコンターが表示され、また、静電容量値に応じてドットが表示され、指がタッチセンサ104に対して接近しているほどドットの濃度が濃く表示される。また、制御部110は、イメージ画像152の部分には、元画像であるGUIやコンテンツを隠さないために、半透明または縁取り処理(縁が描画されていて、内側が透明、または薄い半透明)を行っても良い。また、図8(A)において、例えば左右の指に応じて、画像に重畳する代表点150とその周辺のイメージ画像152の色を変えても良い。
【0051】
このように、図8(A)に示すイメージ画像152の部分は、タッチセンサ104に触れた指を擬似的に表している。ユーザは、携帯型電子機器100の裏面のタッチセンサ104に触れた際に、表面の表示部102に表示された代表点150とその周辺のイメージ画像152を視認することで、裏面の指が表示部102に表示された画面のどの位置を指しているかを視覚的に認識することができる。
【0052】
図8(A)の表示を行う際には、制御部110は、図7の静電容量値から重心を求めて代表点150の位置を生成する。また、制御部110は、図7の静電容量値からコンターを求め、これに対応するイメージ画像152の情報を生成する。画像処理部120は、制御部110が生成した情報を用いて、送受信部106が受信したURLの画像に代表点150及びイメージ画像152を重畳して表示のための画像を生成する。
【0053】
代表点150の位置は、静電容量の大きさが最も小さい重心の位置とすることができる。図9は、重心を求める方法の一例を示す模式図である。図9は、各グリッド(図9では、16個のグリッドを示す)の静電容量の大きさを、濃淡を用いて模式的に示しており、濃淡が濃いグリッドほど検出された静電容量が小さいものとする。ここで、重心の座標を(Xcg,Ycg)とすると、以下の式より重心位置を求めることができる。
【0054】
【数1】
【0055】
上式において、Z(i,j)は、座標(x,y)=(i,j)における静電容量の大きさである。
【0056】
また、図10は、一般的なコンター(等高線)を求める方法の一例を示す模式図である。コンターは、以下の手順に従って求めることができる。
(手順1)図10に示すように、各グリッドの中心を結ぶ三角形を設定する。
(手順2)各三角形の3つの頂点における静電容量値の大小を比較し、大きさの順に並べ替えを行い、例えば静電容量値の小さい順にT1,T2,T3と頂点の名称を付ける。
(手順3)ある1つの三角形において、等高線の一端を求める。この三角形において等高線の一端は、頂点T1とT3を結ぶ辺T1−T3を通る。例えば、等高線の値dがT1<T3の場合、等高線の一端は、値dを辺T1−T3上で頂点T1とT3の静電容量値を比例配分した点を通るものとすることができる。
(手順4)次に、この三角形において、等高線のもう一端を求める。等高線の値dがT1<d<T2の場合、等高線のもう一端は頂点T1とT2を結ぶ辺T1−T2を通る。また、等高線dの値がT2<d<T3の場合、等高線のもう一端は頂点T2とT3を結ぶ辺T2−T3を通る。また、等高線の値dがd=T2の場合、等高線のもう一端は頂点T2を通る。また、等高線の値dがd=T3の場合、等高線のもう一端は頂点T3を通る。
【0057】
以上のようにして、上記の手順1〜4を各三角形について行うことで、各三角形を通る等高線を一意に決定することができる。また、このように求められた等高線(多角形)に対して、スプライン曲線などで補間を行えば、曲線状の等高線を得ることができる。
【0058】
また、代表点150及びその周辺のイメージ画像152の画像は、静電容量値をそのまま反映した形状、または大きさで出力させる必要はなく、例えば図8(B)、図8(C)、図8(D)のようにデフォルメさせてもよい。
【0059】
図8(B)は、例えば代表点150を中心として、コンターに対応するイメージ画像152の画像を図8(A)よりも縮小した例を示している。このような処理を行うことで、イメージ画像152の領域がより狭くなるので、画面上に表示されるイメージ画像152(指の像)によって画面にビジーさが生じてしまうことを防止できる。また、画面へのビジーさを防止するためには、イメージ画像152の部分の透明度を上げることで対応することも可能である。
【0060】
図8(C)は、コンターによるイメージ画像152に対して代表点150を所定方向に段階的にシフトさせた例を示している。ここでは、静電容量が小さいほど代表点150をイメージ画像152に対して画面上方にシフトするような処理を加えている。このような処理を行うのは、ユーザーは、指先(画面上方に位置することが多い)の先端でタッチセンサ104の表面を触っているつもりでいるが、実際の静電容量の取得データはおおよそ指の中央(指の腹)で最小となり、ユーザの意識と実際の代表点150の位置との差が違和感として感じられる場合があるためである。図8(C)のように代表点150の位置をシフトすることで、このような違和感を抑止できる。
【0061】
図8(D)は、図8(C)の表示において、代表点150を更に左右方向にもシフトさせた例を示している。なお、図8(D)では、図8(C)で説明した上方向へのシフトと左右方向のシフトの混合としているが、左右方向だけをシフトする処理であってもよい。
【0062】
図8(D)の例では、右側のカーソルに関しては、静電容量が小さいほど、実際の静電容量のピーク位置よりも代表点150が左方にシフトするように処理を加えている。また、左側のカーソルに関しては、静電容量が小さいほど、実際の静電容量のピーク位置よりも代表点150が右方にシフトするように処理を加えている。これは、図8(C)と同様に、右手で触っているときのユーザの意識では、実際のピーク位置よりも左上にカーソルが位置し、左手で触っているときのユーザの意識では、実際のピーク位置よりも右上にカーソルが位置するためである。
【0063】
また、左右の2本の指を接触するほど近づけた場合、実際の静電容量のピーク位置を代表点150の位置としてしまうと、2つのカーソルの間には隙間が存在してしまい、その間に存在するアイコン等にカーソルが届かないことが想定される。しかし、図8(D)のような処理を加えることで、2つの指が近接(接触でなくてもよい)するときに2つの代表点150の間の距離を実質的に0とすることができるため、アイコン等にカーソルが届かない事態を回避することが可能である。
【0064】
図8(D)において、左右方向のいずれかにシフトさせる方法としては、以下の方法が挙げられる。先ず、最初に接触した指に対応する代表点150の座標が、タッチセンサ104の左右の中心線に対して右側の場合は、接触した指が右手の指であると判断し、代表点150を実際の静電容量のピーク位置に対して左へシフトする。また、最初に接触した指に対応する代表点150の座標が、タッチセンサ104の左右の中心線に対して左側の場合は、接触した指が左手の指であると判断し、代表点150を実際の静電容量のピーク位置に対して右へシフトする。
【0065】
タッチセンサ104に手指が2箇所で接触し、代表点150が2つ存在する場合は、右側の代表点150が右手に対応し、左側の代表点150が左手に対応すると判断し、右側の代表点150を実際の静電容量のピーク位置に対して左にシフトし、左側の代表点150を実際の静電容量のピーク位置に対して右にシフトする。
【0066】
なお、シフト方向が決まった後は、上記の方法に依然させず、カーソルのトラッキングに依存してシフト方向を決めるようにしてもよい。また、カーソルが1つしかない場合は、左右にはシフトさせないようにしてもよい。
【0067】
図8に示す代表点150、及びイメージ画像152の表示は、絶対座標系で行われる。この際、イメージ画像152は手指の画像を示しているため、ユーザは、イメージ画像152の表示から絶対座標系であることを直感的に認識することができる。タッチセンサ104と表示部102が別に設けられている場合、手指の相対的な位置関係が分かりにくくなるが、擬似的に指を示すイメージ画像152を表示することでユーザの理解を促進することができる。これにより、マルチタッチの場合においても、ユーザは混乱を生じることなく各カーソルを操作することができる。
【0068】
また、背面にタッチセンサ104を設けた場合に、意図せず操作面を手指がタッチしてしまうことが考えられるが、擬似的な手指のイメージ画像152を表示することにより、手指が画面上のどの位置に対応するか認識し易くなり、誤操作を抑止することができる。なお、表示は絶対座標系に限定されるものではなく、相対座標系であっても良い。
【0069】
2.4.ローパスフィルタ処理について
また、図8では、コンターをイメージ画像152で表した擬似的な指の画像にカーソル(代表点150)をさらに重畳させているが、静電容量センサはノイズが比較的大きい場合があり、場合によっては輪郭などのエッジ形状が目立つ場合がある。この状況を防止するために、描画されるコンターの元になるグリッドごとの静電容量値に対してローパスフィルタ(LPF)処理を行うことができる。
【0070】
図11及び図12は、ローパスフィルタ処理を示すブロック図である。ローパスフィルタ処理は、制御部110で行われる。図11に示す処理では、カーソルの代表点150の座標を求めるときには、グリッドごとの静電容値にはローパスフィルタ処理を行わずに重心を算出し(ブロック400,410)、重心の座標に対して弱いローパスフィルタ処理(以下、LPF1という)を行い(ブロック420)、LPF1通過後の座標を代表点150として表示する(ブロック430)。一方、コンターによって示されるイメージ画像152を求める際には、各グリッドの静電容量値に対して強いローパスフィルタ処理(以下、LPF2という)を行い(ブロック440)、LPF2処理後の静電容量値からイメージ画像152を演算し(ブロック450)、イメージ画像152を表示する(ブロック460)。
【0071】
また、図12に示す処理では、各グリッドの静電容量値から重心及びイメージ画像152を演算した後(ブロック500)、重心の代表座標に対しては弱いローパスフィルタ処理(LPF1)を行い(ブロック520)、イメージ画像152に対しては強いローパスフィルタ処理(LPF2)を行う(ブロック550)。そして、LPF1処理後の重心(代表点150)を表示するとともに(ブロック530)、代表点150の座標の周りにLPF2処理後のイメージ画像152を描画する(ブロック560)。なお、図11及び図12において、LPF1の処理を省略することも可能である。
【0072】
このような処理によれば、代表点150の動きに比べ、イメージ画像152で表される擬似的な指の画像の動きに若干の遅延時間(レイテンシー)が生じるが、イメージ画像152の画像のエッジが荒れた状態となることを抑えることができ、エッジにばたつき感が生じることを抑止できる。また、代表点150の座標演算とは別のローパスフィルタでイメージ画像152の画像を求めることで、代表点150の動きに関するレイテンシーは悪化しないため、操作性を良好に維持することができる。そして、イメージ画像152で表される擬似的な指のイメージよりも座標カーソルのほうが操作に対する追従性が高くなるため、操作性を良好にすることができる。また、イメージ画像152で表される擬似的な指のイメージには強めのLPF2をかけることで動きが落ち着き、画面のビジーさを低減することができる。
【0073】
2.5.手指の形状を表示する例
図8では、指の位置に応じて代表点150とイメージ画像152を表示するようにしたが、代表点150とともに実際の指の形状を表示することもできる。図13は、静電容量に基づいてカーソルの代表点150を表示するとともに、静電容量に基づいてイメージ画像152を表示し、更に実際の指の形状154を表示した例を示す模式図である。上述したように、タッチセンサ104への近接の度合いに応じて各グリッドにて静電容量が検出されるため、指が近接した場合はその形状に応じて静電容量が検出される。従って、図13に示すように、静電容量に応じて指の形状の画像を生成して重畳することが可能である。そして、このような表示によれば、ユーザは、携帯型電子機器100の背面で操作している指の位置を視覚的により確実に認識することが可能であり、所望の操作を行うことができる。
【0074】
図13の例においても、各指の腹の位置で実際の静電容量のピーク値が検出され、ピーク位置よりも上にシフトさせて代表点150が表示される。また、図13に示す例では、右手の人差し指と中指はタッチセンサ104に接触しているため、代表点150が表示されている。一方、薬指についてはタッチセンサ104に近接しているものの、接触はしていない。このため、表示部102に薬指の形状154と薬指に対応するイメージ画像152は表示されているが、薬指に対応する代表点150は表示されていない。このように、指が接触していない場合についても、代表点150は表示せずに指の形状154及びイメージ画像152を表示することで、ユーザは背面のタッチセンサ104上における各指の位置を表示部102上の表示から認識することができる。
【0075】
2.6.距離に応じてイメージ画像の範囲と濃度を変化させた表示例
図14は、タッチセンサ104に指が近接する過程で、カーソルの周囲のイメージ画像152の範囲と濃度が変化する様子を示す模式図である。図14において、3mm,2mm,1mmの距離は、タッチセンサ104と指との距離を示している。図14に示すように、タッチセンサ104に指が近接するほど、イメージ画像152の領域が広くなる。また、タッチセンサ104に指が近接するほど、コンターに応じてイメージ画像152のドットの濃度が濃くなる。そして、タッチセンサ104に指が接触すると、イメージ画像152の領域が最大となり、同時にカーソルの中心である代表点150が表示され、代表点150を用いてアイコンの選択、スクロール、ドラッグ等の操作が可能となる。このような表示によれば、ユーザは、タッチセンサ104と指との距離を視覚的に認識することが可能となり、また、アイコンの選択等の操作入力が実際に可能か否かを視覚的に認識できる。
【0076】
図6に基づいて説明すると、静電容量値が第1のしきい値以上の場合は、イメージ画像152を表示しない。また、静電容量値が第2のしきい値以上の場合は、代表点150を表示しない。従って、静電容量値が、第1のしきい値よりも小さく、第2のしきい値以上の場合に、イメージ画像152のみが表示される。また、静電容量値が第2のしきい値よりも小さい場合は、指がタッチセンサ104に接触しているか、又は指とタッチセンサ104が微小距離まで近接しているため、代表点150とイメージ画像152がともに表示される。また、静電容量値が第1のしきい値以上の場合は、代表点150とイメージ画像152のいずれも表示されない。
【0077】
これにより、手指がタッチセンサ104に接触しておらず、近接状態であるときは、擬似的な手指のイメージ(イメージ画像152)は表示されるが、カーソル(代表点150)は表示されないため、手指の位置をユーザに伝えるとともに、操作ができないことも伝えることができる。このように、手指のイメージ画像152だけしか描画されていないときには、選択、決定、ドラッグ、などのフリーカーソル操作ができない構成とすることができる。また、イメージ画像152の大きさが所定値以下の場合は、フリーカーソル操作ができない構成とすることで、手指が小さい場合は操作を禁止することができ、チャイルドロックなどの処理を行うことも可能となる。
【0078】
図14において、イメージ画像152は、静静電量値に基づいて忠実に描画することができる。また、イメージ画像152は、静静電量値に基づいて忠実に描画することなく、静電容量の大きさで規定された、あらかじめ用意された複数の大きさの画像テンプレート(円、四角形など)を用いることもできる。この場合、静電容量が小さく、指がタッチセンサ104に近接するほど、面積の大きな画像テンプレートを使用する。ここで、指の角度や楕円などの形状のアスペクト比に関してはコンターをベースに生成してもよい。このような処理を行うことで、ユーザーがタッチセンサ104から指を離したときでも、手指の静電容量が取得できる範囲内であれば距離に応じた擬似的な指画像を描画することができるので、突然カーソルが消失してユーザーが混乱することを予防できる。
【0079】
2.7.指がタッチセンサの検出可能範囲外に離れた場合の表示例
図15は、タッチセンサ104による静電容量の検出可能範囲の外に指が離れた場合の表示例を示す模式図である。タッチセンサ104による静電容量の検出可能範囲がタッチセンサ104の表面から距離dの範囲である場合、検出可能範囲内では、図14で説明したように、指が離れるほどイメージ画像152の範囲を狭くして表示を行う。指が検出可能範囲よりも外に離れた場合は、過去の手の動きに基づいて指の位置を推定し、推定した位置にイメージ画像152を表示する。制御部110は、検出可能範囲においては、静電容量に基づいて指の動きのxyz座標を検出し、指が検出可能範囲の外に出た場合は、検出可能範囲で過去に取得した指のxyz座標に基づいて指のxyz座標を推定し、推定したxy位置に推定したz位置に応じた範囲でイメージ画像152を表示する。ここで、xy座標はタッチセンサ104の表面上での直交する座標であり、z座標はタッチセンサ104の表面から垂直に離れる方向の座標である。
【0080】
近接距離における手指の検出可能範囲は、セルフキャパシタンス方式の静電容量型センサではタッチセンサ表面から4mm程度であり、ミューチャル方式の静電容量型センサではタッチセンサ表面から20mm程度であり、光学式インセルセンサでは表面から30mm程度である。このため、状況によっては、操作する手指の検出ができないこともある。このような場合は、図15のように、指に対応するイメージ画像152が消失する以前の軌跡から、あるべき指の位置を推定して描画することで、画面上でのイメージ画像152の消失を減らすことが可能である。推定方法としては、過去n履歴の移動速度の平均を算出し、これを最新の座標に加える、などの手法がある。以上のように、イメージ画像152で示される擬似的な指の動きを外挿することで、動いていく方向感をユーザーに提示することができる。
【0081】
2.8.本実施形態の携帯型電子機器における処理
次に、図16に基づいて、本実施形態の携帯型電子機器100における処理について説明する。先ず、ステップS10では、ユーザがタッチセンサ104をタッチする。次のステップS12では、タッチセンサ104がグリッド毎の静電容量値を取得し、制御部110へ送る。次のステップS14では、グリッド毎の静電容量値に基づいて、重心の座標(Xdg,Ycg)を算出する。
【0082】
次のステップS16では、各グリッド毎の静電容量値にローパスフィルタ処理(LPF2)を施す。次のステップS18では、ステップS16のLPF2の処理後の静電容量値からコンターを算出し、イメージ画像152を生成する。
【0083】
次のステップS20では、コンターによるイメージ画像152の拡大、縮小、オフセット等の処理を行う。次のステップS22では、重心の座標(Xdg,Ycg)に対してローパスフィルタ処理(LPF1)を施し、カーソル中心(代表点150)の座標を算出する。
【0084】
次のステップS24ではコンターにより生成されるイメージ画像152を描画し、次のステップS26ではカーソル(代表点150)を描画する。次のステップS28では、代表点150、及びイメージ画像152を元画像に重畳して表示部102に表示する。
【0085】
なお、ステップS12〜S22の処理は、主として制御部110が行い、ステップS24〜S28の処理は主として画像生成部120が行う。
【0086】
以上説明したように第1の実施形態によれば、タッチセンサ104で検出した静電容量値に基づいてカーソルの中心(代表点150)を表示し、その周辺に静電容量値に応じたイメージ画像152を表示するようにした。これにより、ユーザは、擬似的な指の画像を表示画面上に認識することができ、表示部102上での操作入力を容易に行うことが可能になるとともに、誤操作の発生を抑止することができる。
【0087】
特に、絶対座標系のタッチパッドを用いた電子機器において、手指のイメージ情報を表示部102にビジュアルフィードバックとすることで、実際に手指の見えない背面操作系において、ユーザが気づかずに手指の一部がタッチセンサに触れてしまい、誤作動を引き起こすことを確実に抑止することができる。また、手指のイメージ情報を表示部102にビジュアルフィードバックとすることで、絶対座標系であることをユーザに直感的に理解させることが可能となる。
【0088】
また、手指のイメージ情報を表示部102にビジュアルフィードバックとすることで、指をタッチセンサから離しても画面へのフィードバックが残るので、次に指をどこに置いたらよいのか分からなくなることを抑止できる。
【0089】
3.第2の実施形態
3.1.システム構成例
次に、第2の実施形態について説明する。第2の実施形態では、タッチセンサから得られた手指の擬似的なイメージ画像を、離れた場所の画面に表示するものである。図17及び図18は、第2の実施形態に係るコントローラ200と、電子機器300の構成を示す構成図である。コントローラ200は、電子機器220を遠隔操作(リモートコントロール)するための機器であり、例えば静電容量式のタッチセンサ230を内蔵している。なお、第1の実施形態と同様に、タッチセンサ230は静電容量式に限定されるものではない。
【0090】
第2の実施形態では、ユーザがコントローラ200のタッチセンサ230上で指を用いて位置を指定すると、その位置情報に応じて電子機器300の表示部350にカーソルが表示される。また、第1の実施形態と同様に、カーソルの代表点150とともにイメージ画像152が表示される。なお、電子機器300は、例えばテレビ受像機、セットトップボックス等の機器であるが、特に限定されるものではない。また、コントローラ200と電子機器300との間の通信方式は特に限定されるものではなく、無線通信ネットワーク等を介して通信を行うことができる。
【0091】
図19は、第2の実施形態の構成を示すブロック図である。図19に示すように、コントローラ200は、制御部210、送信部220、タッチセンサ230、メモリ240を有して構成される。また、電子機器300は、制御部310、画像生成部320、受信部330、メモリ340、表示部350、画像受信部360を有して構成される。
【0092】
また、図20は、電子機器300がセットトップボックス等の装置であり、表示部350が別体に構成された例を示すブロック図である。
【0093】
図17及び図18に示すように、コントローラ200の表側には、タッチセンサ230が設けられている。タッチセンサ230は、第1の実施形態のタッチセンサ104と同様に、ユーザの手指の接近または接触を検出する。タッチセンサ230は、検出結果を制御部210へ送る。制御部210は、タッチセンサ230から送られた検出結果を送信部220を介して電子機器300へ送信する。メモリ240は、ユーザの手指の接近または検出に関する情報等を一時的に記憶する。
【0094】
電子機器300の受信部330は、ユーザの手指の接近または接触に関する情報を受信すると、その情報を制御部310へ送信する。制御部310は、受信部330から送られた検出結果に基づいて、表示部350に表示するための情報を生成し、画像生成部320へ送る。ここで、制御部310が生成する情報は、カーソルの代表点150の画像と、イメージ画像152とが含まれる。制御部310は、代表点150、イメージ画像152を生成する画像処理部として機能する。また、制御部310は、カーソルの操作に基づいて、コンテンツの選択、ドラッグ等の電子機器300の全般的な処理を行う。画像生成部320は、制御部310から送られた情報と、画像送受信部360にて受信した画像またはメモリ340に保存された画像とを重畳して、表示部350に表示する画像のデータを生成する。画像生成部320にて生成された画像データは、表示部350に送られて、表示部350に表示される。
【0095】
なお、上述の説明では、コントローラ200側からはタッチセンサ230の検出結果を電子機器300へ送信し、電子機器300の制御部310で表示部350に表示するための情報を生成するものとしたが、これに限定されるものではない。コントローラ200の制御部210で表示部350に表示するための情報を生成して電子機器300へ送るものとしても良い。この場合、制御部210は、タッチセンサ230の検出結果を取得する操作情報取得部、及び、代表点150、イメージ画像152を生成する画像処理部として機能する。電子機器300の画像生成部320は、コントローラ200の制御部210で生成された情報と、画像送受信部360にて受信した画像またはメモリ340に保存された画像とを重畳して、表示部350に表示する画像のデータを生成する。
【0096】
図19及び図20に示す構成は、ハードウェア(回路)またはCPUなどの中央演算処理装置とこれを機能させるためのソフトウェア(プログラム)から構成することができる。この場合において、そのプログラムは、メモリ240,340など電子機器100が備える記憶部または外部から挿入される記憶媒体に格納されることができる。
【0097】
3.2.画面上での表示例
図17及び図18は、ユーザがタッチセンサ230の左側を左手の親指で触れている状態を示している。これにより、表示部350の左側の対応する位置にカーソルの代表点150が表示される。また、第1の実施形態と同様に、カーソルの周囲には静電容量に応じてイメージ画像152が表示される。図17及び図18では、図8で説明したデフォルメを示すとともに、静電容量値が所定のしきい値と一致する領域のエッジ(輪郭)を算出し、イメージ画像152の外縁としてエッジを描画している。また、図17は、左手の親指がタッチセンサ230の比較的広い領域と接触した状態を示し、図18は左手の親指がタッチセンサ230の比較的狭い領域と接触した状態を示している。つまり、図17は、左手の親指をタッチセンサ230に強く押し付けた状態を示しており、図18は左手の親指がタッチセンサ230に軽く触れた状態を示している。なお、イメージ画像152の外縁の形状をさらに単純化し、所定半径の円、または楕円にフィッティングさせてもよい。
【0098】
図21は、ユーザがタッチセンサ230の左側を左手の親指で触れるとともに、タッチセンサ230の右側を右手の人差し指で触れているマルチタッチの状態を示している。この場合、ユーザがタッチセンサ230に触れている2箇所の位置に対応して、カーソルの代表点150とその周辺のイメージ画像152が表示部350の左右の2箇所に表示される。このとき、タッチセンサ230のグリッドごとの静電容量の特徴に応じてカーソル(代表点150及びイメージ画像152)の描画表現を変更することができる。例えば、画面右側と左側のカーソルの色を異ならせることで、ユーザが左右いずれのカーソルを操作しているかを判別し易くすることができる。
【0099】
第2の実施形態においても、代表点150、及びイメージ画像152の表示は、絶対座標系で行われ、タッチセンサ230上での指の位置は1対1で表示部350上の代表点150及びイメージ画像152と対応する。イメージ画像152は手指の画像を示しているため、ユーザは、イメージ画像152の表示から絶対座標系であることを直感的に認識することができる。タッチセンサ230と表示部350が別に設けられている場合、手指の相対的な位置関係が分かりにくくなるが、擬似的に指を示すイメージ画像152を表示することでユーザの理解を促進することができる。これにより、マルチタッチの場合においても、ユーザは混乱を生じることなく各カーソルを操作することができる。
【0100】
図22は、グリッドごとの静電容量の大きさに応じてカーソルのステイタスを変更する例である。ステイタスを変更する場合、電子機器300は、例えば、描画される代表点150またはイメージ画像152の色、大きさ等を変えたり、操作できる対象を変える等のアクションを行う。ここで、ステイタスを変更するために、イメージ画像152の大きさを指標とすることができる。同一強度の静電容量で示されるイメージ画像152の大きさ(面積、またはフィッティングされた円の径など)が所定のしきい値を超えたが否かでステイタスを変更する。これにより、例えば大人と子供では指の大きさが相違するため、大人と子供で違う色のイメージ画像152(擬似指)を表現することができる。また、イメージ画像152の面積が所定値よりも小さい場合は、子供が操作していると判断し、操作を禁止することで、チャイルドロック等の操作が可能となる。
【0101】
また、図23は、電子機器300のステイタス(状態)を示す情報を、擬似的な指画像(イメージ画像152)に重畳させた例を示す模式図である。図23に示すように、電子機器300の「初期状態」、「読み込み中」等のステイタスに応じて擬似的な指を示すイメージ画像152を変更することで、ユーザは視覚的に電子機器300のステイタスを認識することができる。また、代表点150の色を左右で変化させることで、ユーザが左右いずれのカーソルを操作しているかを判別し易くすることができる。このような構成によれば、ユーザーは、少ない視線移動で機器の状態を直感的に認知することが可能となる。
【0102】
以上説明したように第2の実施形態によれば、タッチセンサ230と表示部350が分離しているシステムにおいて、タッチセンサ230で検出した静電容量値に基づいてカーソルの中心(代表点150)を表示し、その周辺に静電容量値に応じたイメージ画像152を表示するようにした。これにより、ユーザは、擬似的な指の画像を表示画面上に認識することができ、表示部350上での操作入力を容易に行うことが可能になるとともに、誤操作の発生を抑止することができる。
【0103】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0104】
100 電子機器
104 タッチセンサ
110,310 制御部
120,320 画像生成部
200 コントローラ
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器、情報処理方法、プログラム、及び電子機器システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近時では、スマートフォン等の携帯端末において普及しているGUI(Graphical User Interface)として、タッチパネルなどのタッチセンサを用いた操作入力装置が導入されている。タッチパネルは、液晶ディスプレイ(LCD)画面などの上に配置されたタッチセンサを用いて、画面上を直接触ることで直感的な操作(ダイレクトマニュピレーション)を実現している。例えば、下記の特許文献1には、静電式タッチパネル上のオブジェクトを移動させる操作として、2つの操作モードを備える装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−262556号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
タッチパネルは、表示画面上で直接操作できる操作入力装置として非常に有用であるが、その一方で、例えばノート型のパーソナルコンピュータに代表されるように表示画面とタッチセンサ(タッチパッド)が分離している機器が存在する。
【0005】
このような表示画面とタッチセンサが分離している機器では、タッチセンサ上での操作位置(指が触れている位置)と画面上に指定した位置(例えばカーソルの位置)との関係をユーザが認識し難くなる問題がある。一例として、表側に表示画面が設けられ、背面(装置の裏側)にタッチセンサが設けられた携帯型端末装置が挙げられる。このような機器では、目には見えない装置の背面で手指を操作するので、タッチセンサ上での操作位置と画面上に指定した位置との関係をユーザが認識し難くなる。また、ユーザが気づかずに手指の一部がタッチセンサに触れてしまい、想定していない作動を引き起こす可能性もある。
【0006】
また、表示画面とタッチセンサが分離している他の例として、離れた画面上のユーザインタフェース(UI)をタッチパネル的に操作するコントローラーが挙げられる。このような機器では、ユーザは画面を見ながら手元のコントローラを操作するので、タッチセンサ上での操作位置と画面上に指定した位置との関係をユーザが認識し難くなる。また、ユーザが気づかずに手指の一部がタッチセンサに触れてしまい、やはり想定していない作動を引き起こすことが想定される。また、操作入力としてマルチタッチ(指で触れた複数の位置に対応して複数のカーソルを表示してそれぞれを操作可能とする)を採用すると、複数のポインティング位置(カーソル位置)同士の絶対的な位置関係を把握し難くなる問題も生じる。
【0007】
また、別の問題として、タッチパッドを用いた場合は、指をタッチセンサに触れているときにはカーソルが表示されるものの、指をタッチセンサから離すと、カーソルが消えるため、画面へのフィードバックが全く無くなってしまう。このため、ユーザが次に指をどこに置いたらよいのか分からなくなるという問題があった。
【0008】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、ユーザに違和感を与えることなく、表示画面を見ながら自然な操作で入力を行うことが可能な、新規かつ改良された電子機器、情報処理方法、プログラム、及び電子機器システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、操作面での操作者による操作に基づいて、操作主体による操作情報を取得する操作情報取得部と、前記操作情報に基づいて、前記操作主体のイメージを反映したイメージ画像を生成する画像処理部と、前記イメージ画像を元画像に重ねた画像を生成する画像生成部と、を備える、電子機器が提供される。
【0010】
また、前記操作面とは別の箇所に設けられ、前記イメージ画像を前記元画像に重ねた画像を表示する表示部を備えるものであってもよい。
【0011】
前記操作情報は、前記電子機器とは別体の装置であって前記操作面を有する他の装置から受信した情報であってもよい。
【0012】
また、前記画像処理部は、前記操作情報に基づいて、前記操作主体の代表点の位置の情報を生成し、前記画像生成部は、前記操作主体の代表点の位置の画像を、前記イメージ画像とともに前記元画像に重ねた画像を生成するものであってもよい。
【0013】
また、前記画像処理部は、前記イメージ画像を前記元画像に対して半透明又は縁取りされた画像として生成するものであってもよい。
【0014】
また、前記画像処理部は、前記操作情報取得部で検出された前記操作情報の信号強度が所定のしきい値以下の場合は前記イメージ画像の情報を生成しないものであってもよい。
【0015】
また、前記画像処理部は、前記操作情報取得部で取得された前記操作情報の信号強度が第1のしきい値以下の場合は前記イメージ画像の情報を生成せず、前記操作情報取得部で検出された前記操作情報の信号強度が前記第1のしきい値よりも大きな第2のしきい値以下の場合は前記代表点の位置の情報を生成しないものであってもよい。
【0016】
また、前記画像処理部は、前記イメージ画像の情報に第1の強度のローパスフィルタ処理を行うとともに、前記代表点の画像の情報に第2のローパスフィルタ処理を行い、前記第1のローパスフィルタ処理の強度は前記第2のローパスフィルタ処理の強度よりも強いものであってもよい。
【0017】
また、前記画像処理部は、前記操作情報取得部で取得された前記操作情報の信号強度が所定値以下になった場合は、過去に取得された前記操作情報の信号強度に基づいて前記イメージ画像を推定して生成するものであってもよい。
【0018】
また、前記操作情報取得部で検出された前記操作情報の信号強度が前記第1のしきい値よりも大きな第2のしきい値以下の場合は、前記操作主体による入力を受け付けないものであってもよい。
【0019】
また、前記画像処理部は、前記操作情報に基づいて、予め設定された図形を前記イメージ画像の情報として生成するものであってもよい。
【0020】
また、前記画像処理部は、前記操作情報に基づいて、前記操作面と前記操作主体との距離に応じた前記イメージ画像を生成するものであってもよい。
【0021】
また、前記画像処理部は、前記イメージ画像の大きさを前記操作情報の信号強度に応じた大きさとして前記イメージ画像を生成するものであってもよい。
【0022】
また、前記画像処理部は、前記イメージ画像の濃度を前記操作情報の信号強度に応じた大きさとして前記イメージ画像を生成するものであってもよい。
【0023】
また、前記イメージ画像の大きさが所定値以下の場合は、前記操作主体による入力を受け付けないものであってもよい。
【0024】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、操作面での操作者による操作に基づいて、操作主体による操作情報を取得すること、前記操作情報に基づいて、前記操作主体を反映したイメージ画像を生成すること、前記イメージ画像を元画像に重ねた画像を生成すること、を備える、情報処理方法が提供される。
【0025】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、操作面での操作者による操作に基づいて、操作主体による操作情報を取得する手段、前記操作情報に基づいて、前記操作主体のイメージを反映したイメージ画像を生成する手段、前記イメージ画像を元画像に重ねた画像を生成する手段、としてコンピュータを機能させるためのプログラムが提供される。
【0026】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、操作面での操作者による操作に基づいて、操作主体による操作情報を取得する操作情報取得部と、前記操作情報を送信する送信部と、を有するコントローラと、前記操作情報を受信する受信部と、前記操作情報に基づいて、前記操作主体のイメージを反映したイメージ画像を生成する画像処理部と、前記イメージ画像を元画像に重ねた画像を生成する画像生成部と、を有する電子機器と、備える、電子機器システムが提供される。
【0027】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、操作面での操作者による操作に基づいて、操作主体による操作情報を取得する操作情報取得部と、前記操作情報に基づいて、前記操作主体のイメージを反映したイメージ画像を生成する画像処理部と、前記イメージ画像の情報を送信する送信部と、を有するコントローラと、前記イメージ画像の情報を受信する受信部と、前記イメージ画像を元画像に重ねた画像を生成する画像生成部と、を有する電子機器と、備える、電子機器システムが提供される。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、ユーザに違和感を与えることなく、表示画面を見ながら自然な操作で入力を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】第1の実施形態の携帯型電子機器の外観を示す模式図である。
【図2】図1に示す携帯型電子機器の構成を示すブロック図である。
【図3】タッチセンサをグリッド式静電容量式のタッチセンサから構成した場合に、そのグリッド構造を示す模式図である。
【図4】タッチセンサを光学式インセルタッチセンサから構成した場合の構成を示す模式図である。
【図5】図2に示した静電容量式のタッチセンサによってスキャンされた静電容量の実測結果の一例を示す特性図である。
【図6】図2に示す各グリッドのうち、特定グリッドにおける、ユーザの指の近接又は接触による静電容量の大きさを示した特性図である。
【図7】タッチセンサが取得した静電容量を示す模式図である。
【図8】図7に示すようなタッチセンサが取得した静電容量に基づいて、カーソルの画像を生成して、送受信部が受信したURLの画面と重畳して表示した状態を示す模式図である。
【図9】重心を求める方法の一例を示す模式図である。
【図10】一般的なコンター(等高線)を求める方法の一例を示す模式図である。
【図11】ローパスフィルタ処理を示すブロック図である。
【図12】ローパスフィルタ処理を示すブロック図である。
【図13】静電容量に基づいてカーソルの代表点を表示するとともに、静電容量に基づいてイメージ画像152を表示し、更に実際の指の形状を表示した例を示す模式図である。
【図14】タッチセンサに指が近接する過程で、カーソルの周囲のイメージ画像152の範囲と濃度を変化させた表示例を示す模式図である。
【図15】タッチセンサによる静電容量の検出可能範囲の外に指が離れた場合の表示例を示す模式図である。
【図16】本実施形態の携帯型電子機器における処理を示すフローチャートである。
【図17】第2の実施形態に係るコントローラーと、電子機器の構成を示す構成図である。
【図18】第2の実施形態に係るコントローラーと、電子機器の構成を示す構成図である。
【図19】第2の実施形態の構成を示すブロック図である。
【図20】電子機器がセットトップボックス等の装置であり、表示部が別体に構成された例を示すブロック図である。
【図21】ユーザがタッチセンサの左側を左手の親指で触れるとともに、タッチセンサ230の右側を右手の人差し指で触れている状態を示す模式図である。
【図22】グリッドごとの静電容量の大きさに応じてカーソルのステイタスを変更する例である。
【図23】電子機器のステイタス(状態)を示す情報を、擬似的な指画像に重畳させた例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0031】
なお、説明は以下の順序で行うものとする。
1.実施形態の概要
2.第1の実施形態
2.1.システム構成例
2.2.タッチセンサの構成例
2.3.画面上での表示例
2.4.ローパスフィルタ処理について
2.5.手指の形状を表示する例
2.6.距離に応じてイメージ画像の範囲と濃度を変化させた表示例
2.7.指がタッチセンサの検出可能範囲外に離れた場合の表示例
2.8.本実施形態の携帯型電子機器における処理
3.第2の実施形態(取込制御:パン方向の検出に方位センサを使用する例)
3.1.システム構成例
3.2.画面上での表示例
【0032】
1.実施形態の概要
ノート型のパーソナルコンピュータに代表されるように表示画面とタッチセンサ(タッチパッド)が分離している機器が存在する。このような機器では、タッチパッドは、相対座標系を用いたものが用いられている。
【0033】
相対座標系を用いたタッチパッドの場合、タッチパッド上での操作位置(指が触れている位置)と画面上に指定した位置(例えばカーソルの位置)は1対1で対応するものではない。ユーザがタッチパッド上でカーソルを移動する操作をすると、現在のカーソルの位置を基準として、操作に応じた相対的な距離だけカーソルが移動する。例えば、ユーザが画面上でカーソルを画面の一端から他端に移動する場合、タッチパッド上で指を所定距離だけ移動し、この所定距離の移動を複数回繰り返すことによりカーソルを画面の一端から他端へ移動することができる。
【0034】
一方、他の座標系としてタッチパネルに代表される絶対座標系がある。絶対座標系の場合、タッチセンサ上で指定した位置(指が触れている位置)と画面上に指定した位置(例えばカーソルの位置)は1対1で対応するため、例えば、ユーザがタッチセンサの左端に触れると画面の左端にカーソルが移動し、タッチセンサの右端に触れると画面の右端にカーソルが移動する。
【0035】
画面とタッチパッドが分離している場合、ノート型のパーソナルコンピュータに代表されるように相対座標系を用いることが一般的であるが、場面によっては絶対座標系を用いた方が、利便性が高くなる。一例として、第1の実施形態で説明するような、表示装置の背面(装置の裏側)にタッチセンサを付加した携帯型端末装置が挙げられる。これは、操作面は背面であるが、表側の表示画面と操作面が表裏で対応しており、いわば擬似的なタッチパネル的操作入力装置である。このような装置で相対座標系を用いると、カーソルの位置と指で操作している位置が相違してしまい、ユーザに混乱が生じてしまう。従って、このような装置では、絶対座標系を用いることでユーザビリティの高い操作体系とすることができる。
【0036】
表示装置の背面にタッチセンサを付加した操作系では、タッチパネルと異なり、指が画面を隠すことがないという大きな利点がある。従って、ユーザは、表示画面を指で遮られることなく、タッチパネルと同等の操作を行うことができる。一方、目には見えない装置の背面で手指を操作するので、ユーザが気づかずに手指の一部がタッチセンサに触れてしまい、想定していない作動を引き起こす可能性もある。このため、指の位置を表側の表示画面に表示することが望ましい。
【0037】
また、他の例として、第2の実施形態で説明するような、離れた画面上のユーザインタフェース(UI)をタッチパネル的に操作するコントローラーが挙げられる。ここで、操作入力としてマルチタッチ(指で触れた複数の位置に対応して複数のカーソルを表示してそれぞれを操作可能とする)を採用すると、複数のポインティング位置(カーソル位置)同士の絶対的な位置関係が重要となるため、絶対座標系を採用すると操作が容易になる。この場合、既存のノート型PC等のタッチパッドで常用されている相対座標になじんだユーザーが座標系の違いに混乱してしまう可能性がある。
以上のように、ポインティングデバイスを用いる従来のGUI系(Windows(登録商標)PCなど)では操作のための座標系として相対座標系をもちいることが一般的である。しかし、ダイレクトマニュピレーション的な操作感をパッチパッドで実現しようとした場合には、操作オブジェクトの位置を直接操作する必要性があるために、絶対座標系を用いることが望ましい。さらに、マルチタッチ操作を行う場合も、各指の位置関係を崩さないためには絶対座標系が望ましい。
【0038】
また、タッチパッドを用いた場合は、指をタッチセンサに触れているときにはカーソルが表示されるものの、指をタッチセンサから離すと、カーソルが消えるため、画面へのフィードバックが全く無くなってしまう。このため、ユーザが次に指をどこに置いたらよいのか分からなくなる可能性も存在する。
【0039】
このため、以下に説明する各実施形態では、タッチセンサの各グリッドが取得する手指のイメージ情報をビジュアル化して、画面に表示するようにした。ここで、手指のイメージ情報を表示する際には、非接触の近接状態でも表示できるように、所定のしきい値を用いることができる。また、イメージ情報には、ポインティングのためのカーソルを重畳させることができる。また、手指がタッチセンサに接触しておらず、接近しているのみの場合は、カーソルを重畳させない、または機能させないようにすることもできる。このような構成によれば、ユーザーの手指の場所を(接触する前から)ビジュアルフィーバックすることが可能となり、絶対座標を用いるタッチパッドの操作性を向上させることが可能である。以下、各実施形態について詳細に説明する。
【0040】
2.第1の実施形態
2.1.システム構成例
本実施形態は、GUI(Graphical User Interface)のコントローラーに関するものであり、一例としてタッチセンサを用いた携帯型電子機器を例に挙げて説明する。図1は、第1の実施形態の携帯型電子機器100の外観を示す模式図である。携帯型電子機器100は、筐体108の表面に設けられた表示部102と、裏面に配置されたタッチセンサ104とを有して構成されている。表示部102は、例えば液晶表示パネル(LCD)等から構成される。また、タッチセンサ104は、一例として静電容量式のタッチセンサから構成することができるが、これに限定されるものではない。ユーザは、表示部102を上に向けて携帯型電子機器100を保持し、背面のタッチセンサ104を操作することによって、表示部102に表示されたカーソルを動かしたり、アイコンを選択したり、ドラッグ等の操作を行うことができる。
【0041】
図2は、図1に示す携帯型電子機器100の構成を示すブロック図である。図2に示すように、携帯型電子機器100は、表示部102、タッチセンサ104、送受信部106、制御部110、画像生成部120、メモリ130を有して構成される。
【0042】
送受信部106は、無線通信ネットワークを介して情報を送受信する。タッチセンサ104は、ユーザの手指の接近または接触を検出する。タッチセンサ104は、検出結果を制御部110へ送る。制御部110は、タッチセンサ104から送られた検出結果に基づいて、表示部102に表示するための情報を生成し、画像生成部120へ送る。ここで、制御部110が生成する情報は、後述するカーソルの代表点150の画像と、イメージ画像152とが含まれる。制御部110は、タッチセンサ104の検出結果を取得する操作情報取得部、及び、代表点150、イメージ画像152を生成する画像処理部として機能する。また、制御部110は、カーソルの操作に基づいて、コンテンツの選択、ドラッグ等の電子機器100の全般的な処理を行う。画像生成部120は、制御部110から送られた情報と、送受信部106にて受信した画像またはメモリ130に保存された画像とを重畳して、表示部102に表示する画像のデータを生成する。画像生成部120にて生成された画像データは、表示部102に送られて、表示部102に表示される。メモリ130は、ユーザの手指の接近または検出に関する情報、画像等の情報を記憶する。
【0043】
図2に示す構成は、ハードウェア(回路)またはCPUなどの中央演算処理装置とこれを機能させるためのソフトウェア(プログラム)から構成することができる。この場合において、そのプログラムは、メモリ130など電子機器100が備える記憶部または外部から挿入される記憶媒体に格納されることができる。
【0044】
2.2.タッチセンサの構成例
図3は、タッチセンサ104をグリッド式静電容量式のタッチセンサから構成した場合に、そのグリッド構造を示す模式図である。図3に示すように、タッチセンサ104は、静電容量センサをグリッド(格子)状に配置したものであり、各グリッドごとに、表面に近接又は接触されるユーザの手指の静電容量を順次スキャンする構成とされている。
【0045】
また、図4は、タッチセンサ104を光学式インセルタッチセンサから構成した場合の構成を示す模式図である。光学式インセルタッチセンサは、バックライト、TFT側ガラス、液晶層(センサー)、対向側ガラスを有して構成される。光学式のタッチセンサを用いた場合、図4に示すように、バックライトから光を照射し、その反射光の強弱を液晶層(センサー)で検出して、タッチセンサの表面にユーザの指が近接又は接触したことを検知する。
【0046】
図5は、図3に示した静電容量式のタッチセンサ104によってスキャンされた静電容量の実測結果の一例を示す特性図である。図5は、タッチセンサ104によって得られた静電容量値をわかりやすく示すために極性反転している。従って、以下では、ユーザの指がタッチセンサ104に近接するほど静電容量値(極性反転した値)が小さくなるものとして説明する。図5に示すように、矢印Aで示す領域で静電容量が局所的に小さくなっており、この領域でユーザの指が近接又は接触したことが検知できる。
【0047】
図6は、図2に示す各グリッドのうち、特定グリッドにおける、ユーザの指の近接又は接触による静電容量の大きさを示した特性図である。ここで、縦軸は静電容量の大きさを示しており、横軸は指をタッチセンサ104の表面に近づけていく過程での経過時間を示している。また、図6中に示す数値は、ユーザの指からタッチセンサ104表面までの距離[mm]を示している。図6に示すように、タッチセンサ104で検出される静電容量は、ユーザの指がタッチセンサ104の表面に近づくほど減少し、指が表面に接触すると最小となる。
【0048】
2.3.画面上での表示例
次に、表示部102上での画像の表示について説明する。表示部102には、送受信部106にて受信した画像と、タッチセンサ104から送られた検出結果に基づいて生成された情報とが重畳されて表示される。図7は、タッチセンサ104が取得した静電容量をコンター(等高線)で示した模式図である。ここでは、左右の親指が同時にタッチセンサ104に触れた場合の結果を示しており、タッチセンサ104の左右の領域B、領域Cの位置で静電容量値が周囲よりも低くなっている状態を示している。
【0049】
また、図8(A)〜図8(D)は、図7に示す静電容量値に基づいてカーソルの画像を生成して、送受信部106が受信したURLの画面と重畳して表示した状態を示す模式図である。ここでは、一例として送受信部106が受信した検索エンジンのURLの画面にカーソルの画像を重畳した例を示す。図8(A)〜図8(D)は、図7に示すタッチセンサ104のグリッドごとの静電容量値を図示化して画面に重畳させた例を示したものである。従って、図8(A)〜図8(D)においては、右手の親指と左手の親指の2箇所に対応するカーソルが表示されている。
【0050】
図8(A)は、静電容量の大きさのコンター(等高線)を求め、これをイメージ画像152(手指のイメージを反映した画像)によって表現して画面に重畳した例である。ここで、中央部の白丸部分は、操作に応じて移動するカーソルの代表点(カーソルの中央)150を示している。代表点150は、コンテンツの選択、ドラッグ等の操作を行う場合に基準となる点である。代表点150は、例えばしきい値を超えたグリッドごとの静電容量値の加重された重心として求められる。また、イメージ画像152の部分は、指がタッチセンサ104と接触している箇所及びその周辺において、静電容量値に応じた形状に表示される。従って、イメージ画像152の部分は、指の形状に対応したものとなる。イメージ画像152の部分では、静電容量値に応じたコンターが表示され、また、静電容量値に応じてドットが表示され、指がタッチセンサ104に対して接近しているほどドットの濃度が濃く表示される。また、制御部110は、イメージ画像152の部分には、元画像であるGUIやコンテンツを隠さないために、半透明または縁取り処理(縁が描画されていて、内側が透明、または薄い半透明)を行っても良い。また、図8(A)において、例えば左右の指に応じて、画像に重畳する代表点150とその周辺のイメージ画像152の色を変えても良い。
【0051】
このように、図8(A)に示すイメージ画像152の部分は、タッチセンサ104に触れた指を擬似的に表している。ユーザは、携帯型電子機器100の裏面のタッチセンサ104に触れた際に、表面の表示部102に表示された代表点150とその周辺のイメージ画像152を視認することで、裏面の指が表示部102に表示された画面のどの位置を指しているかを視覚的に認識することができる。
【0052】
図8(A)の表示を行う際には、制御部110は、図7の静電容量値から重心を求めて代表点150の位置を生成する。また、制御部110は、図7の静電容量値からコンターを求め、これに対応するイメージ画像152の情報を生成する。画像処理部120は、制御部110が生成した情報を用いて、送受信部106が受信したURLの画像に代表点150及びイメージ画像152を重畳して表示のための画像を生成する。
【0053】
代表点150の位置は、静電容量の大きさが最も小さい重心の位置とすることができる。図9は、重心を求める方法の一例を示す模式図である。図9は、各グリッド(図9では、16個のグリッドを示す)の静電容量の大きさを、濃淡を用いて模式的に示しており、濃淡が濃いグリッドほど検出された静電容量が小さいものとする。ここで、重心の座標を(Xcg,Ycg)とすると、以下の式より重心位置を求めることができる。
【0054】
【数1】
【0055】
上式において、Z(i,j)は、座標(x,y)=(i,j)における静電容量の大きさである。
【0056】
また、図10は、一般的なコンター(等高線)を求める方法の一例を示す模式図である。コンターは、以下の手順に従って求めることができる。
(手順1)図10に示すように、各グリッドの中心を結ぶ三角形を設定する。
(手順2)各三角形の3つの頂点における静電容量値の大小を比較し、大きさの順に並べ替えを行い、例えば静電容量値の小さい順にT1,T2,T3と頂点の名称を付ける。
(手順3)ある1つの三角形において、等高線の一端を求める。この三角形において等高線の一端は、頂点T1とT3を結ぶ辺T1−T3を通る。例えば、等高線の値dがT1<T3の場合、等高線の一端は、値dを辺T1−T3上で頂点T1とT3の静電容量値を比例配分した点を通るものとすることができる。
(手順4)次に、この三角形において、等高線のもう一端を求める。等高線の値dがT1<d<T2の場合、等高線のもう一端は頂点T1とT2を結ぶ辺T1−T2を通る。また、等高線dの値がT2<d<T3の場合、等高線のもう一端は頂点T2とT3を結ぶ辺T2−T3を通る。また、等高線の値dがd=T2の場合、等高線のもう一端は頂点T2を通る。また、等高線の値dがd=T3の場合、等高線のもう一端は頂点T3を通る。
【0057】
以上のようにして、上記の手順1〜4を各三角形について行うことで、各三角形を通る等高線を一意に決定することができる。また、このように求められた等高線(多角形)に対して、スプライン曲線などで補間を行えば、曲線状の等高線を得ることができる。
【0058】
また、代表点150及びその周辺のイメージ画像152の画像は、静電容量値をそのまま反映した形状、または大きさで出力させる必要はなく、例えば図8(B)、図8(C)、図8(D)のようにデフォルメさせてもよい。
【0059】
図8(B)は、例えば代表点150を中心として、コンターに対応するイメージ画像152の画像を図8(A)よりも縮小した例を示している。このような処理を行うことで、イメージ画像152の領域がより狭くなるので、画面上に表示されるイメージ画像152(指の像)によって画面にビジーさが生じてしまうことを防止できる。また、画面へのビジーさを防止するためには、イメージ画像152の部分の透明度を上げることで対応することも可能である。
【0060】
図8(C)は、コンターによるイメージ画像152に対して代表点150を所定方向に段階的にシフトさせた例を示している。ここでは、静電容量が小さいほど代表点150をイメージ画像152に対して画面上方にシフトするような処理を加えている。このような処理を行うのは、ユーザーは、指先(画面上方に位置することが多い)の先端でタッチセンサ104の表面を触っているつもりでいるが、実際の静電容量の取得データはおおよそ指の中央(指の腹)で最小となり、ユーザの意識と実際の代表点150の位置との差が違和感として感じられる場合があるためである。図8(C)のように代表点150の位置をシフトすることで、このような違和感を抑止できる。
【0061】
図8(D)は、図8(C)の表示において、代表点150を更に左右方向にもシフトさせた例を示している。なお、図8(D)では、図8(C)で説明した上方向へのシフトと左右方向のシフトの混合としているが、左右方向だけをシフトする処理であってもよい。
【0062】
図8(D)の例では、右側のカーソルに関しては、静電容量が小さいほど、実際の静電容量のピーク位置よりも代表点150が左方にシフトするように処理を加えている。また、左側のカーソルに関しては、静電容量が小さいほど、実際の静電容量のピーク位置よりも代表点150が右方にシフトするように処理を加えている。これは、図8(C)と同様に、右手で触っているときのユーザの意識では、実際のピーク位置よりも左上にカーソルが位置し、左手で触っているときのユーザの意識では、実際のピーク位置よりも右上にカーソルが位置するためである。
【0063】
また、左右の2本の指を接触するほど近づけた場合、実際の静電容量のピーク位置を代表点150の位置としてしまうと、2つのカーソルの間には隙間が存在してしまい、その間に存在するアイコン等にカーソルが届かないことが想定される。しかし、図8(D)のような処理を加えることで、2つの指が近接(接触でなくてもよい)するときに2つの代表点150の間の距離を実質的に0とすることができるため、アイコン等にカーソルが届かない事態を回避することが可能である。
【0064】
図8(D)において、左右方向のいずれかにシフトさせる方法としては、以下の方法が挙げられる。先ず、最初に接触した指に対応する代表点150の座標が、タッチセンサ104の左右の中心線に対して右側の場合は、接触した指が右手の指であると判断し、代表点150を実際の静電容量のピーク位置に対して左へシフトする。また、最初に接触した指に対応する代表点150の座標が、タッチセンサ104の左右の中心線に対して左側の場合は、接触した指が左手の指であると判断し、代表点150を実際の静電容量のピーク位置に対して右へシフトする。
【0065】
タッチセンサ104に手指が2箇所で接触し、代表点150が2つ存在する場合は、右側の代表点150が右手に対応し、左側の代表点150が左手に対応すると判断し、右側の代表点150を実際の静電容量のピーク位置に対して左にシフトし、左側の代表点150を実際の静電容量のピーク位置に対して右にシフトする。
【0066】
なお、シフト方向が決まった後は、上記の方法に依然させず、カーソルのトラッキングに依存してシフト方向を決めるようにしてもよい。また、カーソルが1つしかない場合は、左右にはシフトさせないようにしてもよい。
【0067】
図8に示す代表点150、及びイメージ画像152の表示は、絶対座標系で行われる。この際、イメージ画像152は手指の画像を示しているため、ユーザは、イメージ画像152の表示から絶対座標系であることを直感的に認識することができる。タッチセンサ104と表示部102が別に設けられている場合、手指の相対的な位置関係が分かりにくくなるが、擬似的に指を示すイメージ画像152を表示することでユーザの理解を促進することができる。これにより、マルチタッチの場合においても、ユーザは混乱を生じることなく各カーソルを操作することができる。
【0068】
また、背面にタッチセンサ104を設けた場合に、意図せず操作面を手指がタッチしてしまうことが考えられるが、擬似的な手指のイメージ画像152を表示することにより、手指が画面上のどの位置に対応するか認識し易くなり、誤操作を抑止することができる。なお、表示は絶対座標系に限定されるものではなく、相対座標系であっても良い。
【0069】
2.4.ローパスフィルタ処理について
また、図8では、コンターをイメージ画像152で表した擬似的な指の画像にカーソル(代表点150)をさらに重畳させているが、静電容量センサはノイズが比較的大きい場合があり、場合によっては輪郭などのエッジ形状が目立つ場合がある。この状況を防止するために、描画されるコンターの元になるグリッドごとの静電容量値に対してローパスフィルタ(LPF)処理を行うことができる。
【0070】
図11及び図12は、ローパスフィルタ処理を示すブロック図である。ローパスフィルタ処理は、制御部110で行われる。図11に示す処理では、カーソルの代表点150の座標を求めるときには、グリッドごとの静電容値にはローパスフィルタ処理を行わずに重心を算出し(ブロック400,410)、重心の座標に対して弱いローパスフィルタ処理(以下、LPF1という)を行い(ブロック420)、LPF1通過後の座標を代表点150として表示する(ブロック430)。一方、コンターによって示されるイメージ画像152を求める際には、各グリッドの静電容量値に対して強いローパスフィルタ処理(以下、LPF2という)を行い(ブロック440)、LPF2処理後の静電容量値からイメージ画像152を演算し(ブロック450)、イメージ画像152を表示する(ブロック460)。
【0071】
また、図12に示す処理では、各グリッドの静電容量値から重心及びイメージ画像152を演算した後(ブロック500)、重心の代表座標に対しては弱いローパスフィルタ処理(LPF1)を行い(ブロック520)、イメージ画像152に対しては強いローパスフィルタ処理(LPF2)を行う(ブロック550)。そして、LPF1処理後の重心(代表点150)を表示するとともに(ブロック530)、代表点150の座標の周りにLPF2処理後のイメージ画像152を描画する(ブロック560)。なお、図11及び図12において、LPF1の処理を省略することも可能である。
【0072】
このような処理によれば、代表点150の動きに比べ、イメージ画像152で表される擬似的な指の画像の動きに若干の遅延時間(レイテンシー)が生じるが、イメージ画像152の画像のエッジが荒れた状態となることを抑えることができ、エッジにばたつき感が生じることを抑止できる。また、代表点150の座標演算とは別のローパスフィルタでイメージ画像152の画像を求めることで、代表点150の動きに関するレイテンシーは悪化しないため、操作性を良好に維持することができる。そして、イメージ画像152で表される擬似的な指のイメージよりも座標カーソルのほうが操作に対する追従性が高くなるため、操作性を良好にすることができる。また、イメージ画像152で表される擬似的な指のイメージには強めのLPF2をかけることで動きが落ち着き、画面のビジーさを低減することができる。
【0073】
2.5.手指の形状を表示する例
図8では、指の位置に応じて代表点150とイメージ画像152を表示するようにしたが、代表点150とともに実際の指の形状を表示することもできる。図13は、静電容量に基づいてカーソルの代表点150を表示するとともに、静電容量に基づいてイメージ画像152を表示し、更に実際の指の形状154を表示した例を示す模式図である。上述したように、タッチセンサ104への近接の度合いに応じて各グリッドにて静電容量が検出されるため、指が近接した場合はその形状に応じて静電容量が検出される。従って、図13に示すように、静電容量に応じて指の形状の画像を生成して重畳することが可能である。そして、このような表示によれば、ユーザは、携帯型電子機器100の背面で操作している指の位置を視覚的により確実に認識することが可能であり、所望の操作を行うことができる。
【0074】
図13の例においても、各指の腹の位置で実際の静電容量のピーク値が検出され、ピーク位置よりも上にシフトさせて代表点150が表示される。また、図13に示す例では、右手の人差し指と中指はタッチセンサ104に接触しているため、代表点150が表示されている。一方、薬指についてはタッチセンサ104に近接しているものの、接触はしていない。このため、表示部102に薬指の形状154と薬指に対応するイメージ画像152は表示されているが、薬指に対応する代表点150は表示されていない。このように、指が接触していない場合についても、代表点150は表示せずに指の形状154及びイメージ画像152を表示することで、ユーザは背面のタッチセンサ104上における各指の位置を表示部102上の表示から認識することができる。
【0075】
2.6.距離に応じてイメージ画像の範囲と濃度を変化させた表示例
図14は、タッチセンサ104に指が近接する過程で、カーソルの周囲のイメージ画像152の範囲と濃度が変化する様子を示す模式図である。図14において、3mm,2mm,1mmの距離は、タッチセンサ104と指との距離を示している。図14に示すように、タッチセンサ104に指が近接するほど、イメージ画像152の領域が広くなる。また、タッチセンサ104に指が近接するほど、コンターに応じてイメージ画像152のドットの濃度が濃くなる。そして、タッチセンサ104に指が接触すると、イメージ画像152の領域が最大となり、同時にカーソルの中心である代表点150が表示され、代表点150を用いてアイコンの選択、スクロール、ドラッグ等の操作が可能となる。このような表示によれば、ユーザは、タッチセンサ104と指との距離を視覚的に認識することが可能となり、また、アイコンの選択等の操作入力が実際に可能か否かを視覚的に認識できる。
【0076】
図6に基づいて説明すると、静電容量値が第1のしきい値以上の場合は、イメージ画像152を表示しない。また、静電容量値が第2のしきい値以上の場合は、代表点150を表示しない。従って、静電容量値が、第1のしきい値よりも小さく、第2のしきい値以上の場合に、イメージ画像152のみが表示される。また、静電容量値が第2のしきい値よりも小さい場合は、指がタッチセンサ104に接触しているか、又は指とタッチセンサ104が微小距離まで近接しているため、代表点150とイメージ画像152がともに表示される。また、静電容量値が第1のしきい値以上の場合は、代表点150とイメージ画像152のいずれも表示されない。
【0077】
これにより、手指がタッチセンサ104に接触しておらず、近接状態であるときは、擬似的な手指のイメージ(イメージ画像152)は表示されるが、カーソル(代表点150)は表示されないため、手指の位置をユーザに伝えるとともに、操作ができないことも伝えることができる。このように、手指のイメージ画像152だけしか描画されていないときには、選択、決定、ドラッグ、などのフリーカーソル操作ができない構成とすることができる。また、イメージ画像152の大きさが所定値以下の場合は、フリーカーソル操作ができない構成とすることで、手指が小さい場合は操作を禁止することができ、チャイルドロックなどの処理を行うことも可能となる。
【0078】
図14において、イメージ画像152は、静静電量値に基づいて忠実に描画することができる。また、イメージ画像152は、静静電量値に基づいて忠実に描画することなく、静電容量の大きさで規定された、あらかじめ用意された複数の大きさの画像テンプレート(円、四角形など)を用いることもできる。この場合、静電容量が小さく、指がタッチセンサ104に近接するほど、面積の大きな画像テンプレートを使用する。ここで、指の角度や楕円などの形状のアスペクト比に関してはコンターをベースに生成してもよい。このような処理を行うことで、ユーザーがタッチセンサ104から指を離したときでも、手指の静電容量が取得できる範囲内であれば距離に応じた擬似的な指画像を描画することができるので、突然カーソルが消失してユーザーが混乱することを予防できる。
【0079】
2.7.指がタッチセンサの検出可能範囲外に離れた場合の表示例
図15は、タッチセンサ104による静電容量の検出可能範囲の外に指が離れた場合の表示例を示す模式図である。タッチセンサ104による静電容量の検出可能範囲がタッチセンサ104の表面から距離dの範囲である場合、検出可能範囲内では、図14で説明したように、指が離れるほどイメージ画像152の範囲を狭くして表示を行う。指が検出可能範囲よりも外に離れた場合は、過去の手の動きに基づいて指の位置を推定し、推定した位置にイメージ画像152を表示する。制御部110は、検出可能範囲においては、静電容量に基づいて指の動きのxyz座標を検出し、指が検出可能範囲の外に出た場合は、検出可能範囲で過去に取得した指のxyz座標に基づいて指のxyz座標を推定し、推定したxy位置に推定したz位置に応じた範囲でイメージ画像152を表示する。ここで、xy座標はタッチセンサ104の表面上での直交する座標であり、z座標はタッチセンサ104の表面から垂直に離れる方向の座標である。
【0080】
近接距離における手指の検出可能範囲は、セルフキャパシタンス方式の静電容量型センサではタッチセンサ表面から4mm程度であり、ミューチャル方式の静電容量型センサではタッチセンサ表面から20mm程度であり、光学式インセルセンサでは表面から30mm程度である。このため、状況によっては、操作する手指の検出ができないこともある。このような場合は、図15のように、指に対応するイメージ画像152が消失する以前の軌跡から、あるべき指の位置を推定して描画することで、画面上でのイメージ画像152の消失を減らすことが可能である。推定方法としては、過去n履歴の移動速度の平均を算出し、これを最新の座標に加える、などの手法がある。以上のように、イメージ画像152で示される擬似的な指の動きを外挿することで、動いていく方向感をユーザーに提示することができる。
【0081】
2.8.本実施形態の携帯型電子機器における処理
次に、図16に基づいて、本実施形態の携帯型電子機器100における処理について説明する。先ず、ステップS10では、ユーザがタッチセンサ104をタッチする。次のステップS12では、タッチセンサ104がグリッド毎の静電容量値を取得し、制御部110へ送る。次のステップS14では、グリッド毎の静電容量値に基づいて、重心の座標(Xdg,Ycg)を算出する。
【0082】
次のステップS16では、各グリッド毎の静電容量値にローパスフィルタ処理(LPF2)を施す。次のステップS18では、ステップS16のLPF2の処理後の静電容量値からコンターを算出し、イメージ画像152を生成する。
【0083】
次のステップS20では、コンターによるイメージ画像152の拡大、縮小、オフセット等の処理を行う。次のステップS22では、重心の座標(Xdg,Ycg)に対してローパスフィルタ処理(LPF1)を施し、カーソル中心(代表点150)の座標を算出する。
【0084】
次のステップS24ではコンターにより生成されるイメージ画像152を描画し、次のステップS26ではカーソル(代表点150)を描画する。次のステップS28では、代表点150、及びイメージ画像152を元画像に重畳して表示部102に表示する。
【0085】
なお、ステップS12〜S22の処理は、主として制御部110が行い、ステップS24〜S28の処理は主として画像生成部120が行う。
【0086】
以上説明したように第1の実施形態によれば、タッチセンサ104で検出した静電容量値に基づいてカーソルの中心(代表点150)を表示し、その周辺に静電容量値に応じたイメージ画像152を表示するようにした。これにより、ユーザは、擬似的な指の画像を表示画面上に認識することができ、表示部102上での操作入力を容易に行うことが可能になるとともに、誤操作の発生を抑止することができる。
【0087】
特に、絶対座標系のタッチパッドを用いた電子機器において、手指のイメージ情報を表示部102にビジュアルフィードバックとすることで、実際に手指の見えない背面操作系において、ユーザが気づかずに手指の一部がタッチセンサに触れてしまい、誤作動を引き起こすことを確実に抑止することができる。また、手指のイメージ情報を表示部102にビジュアルフィードバックとすることで、絶対座標系であることをユーザに直感的に理解させることが可能となる。
【0088】
また、手指のイメージ情報を表示部102にビジュアルフィードバックとすることで、指をタッチセンサから離しても画面へのフィードバックが残るので、次に指をどこに置いたらよいのか分からなくなることを抑止できる。
【0089】
3.第2の実施形態
3.1.システム構成例
次に、第2の実施形態について説明する。第2の実施形態では、タッチセンサから得られた手指の擬似的なイメージ画像を、離れた場所の画面に表示するものである。図17及び図18は、第2の実施形態に係るコントローラ200と、電子機器300の構成を示す構成図である。コントローラ200は、電子機器220を遠隔操作(リモートコントロール)するための機器であり、例えば静電容量式のタッチセンサ230を内蔵している。なお、第1の実施形態と同様に、タッチセンサ230は静電容量式に限定されるものではない。
【0090】
第2の実施形態では、ユーザがコントローラ200のタッチセンサ230上で指を用いて位置を指定すると、その位置情報に応じて電子機器300の表示部350にカーソルが表示される。また、第1の実施形態と同様に、カーソルの代表点150とともにイメージ画像152が表示される。なお、電子機器300は、例えばテレビ受像機、セットトップボックス等の機器であるが、特に限定されるものではない。また、コントローラ200と電子機器300との間の通信方式は特に限定されるものではなく、無線通信ネットワーク等を介して通信を行うことができる。
【0091】
図19は、第2の実施形態の構成を示すブロック図である。図19に示すように、コントローラ200は、制御部210、送信部220、タッチセンサ230、メモリ240を有して構成される。また、電子機器300は、制御部310、画像生成部320、受信部330、メモリ340、表示部350、画像受信部360を有して構成される。
【0092】
また、図20は、電子機器300がセットトップボックス等の装置であり、表示部350が別体に構成された例を示すブロック図である。
【0093】
図17及び図18に示すように、コントローラ200の表側には、タッチセンサ230が設けられている。タッチセンサ230は、第1の実施形態のタッチセンサ104と同様に、ユーザの手指の接近または接触を検出する。タッチセンサ230は、検出結果を制御部210へ送る。制御部210は、タッチセンサ230から送られた検出結果を送信部220を介して電子機器300へ送信する。メモリ240は、ユーザの手指の接近または検出に関する情報等を一時的に記憶する。
【0094】
電子機器300の受信部330は、ユーザの手指の接近または接触に関する情報を受信すると、その情報を制御部310へ送信する。制御部310は、受信部330から送られた検出結果に基づいて、表示部350に表示するための情報を生成し、画像生成部320へ送る。ここで、制御部310が生成する情報は、カーソルの代表点150の画像と、イメージ画像152とが含まれる。制御部310は、代表点150、イメージ画像152を生成する画像処理部として機能する。また、制御部310は、カーソルの操作に基づいて、コンテンツの選択、ドラッグ等の電子機器300の全般的な処理を行う。画像生成部320は、制御部310から送られた情報と、画像送受信部360にて受信した画像またはメモリ340に保存された画像とを重畳して、表示部350に表示する画像のデータを生成する。画像生成部320にて生成された画像データは、表示部350に送られて、表示部350に表示される。
【0095】
なお、上述の説明では、コントローラ200側からはタッチセンサ230の検出結果を電子機器300へ送信し、電子機器300の制御部310で表示部350に表示するための情報を生成するものとしたが、これに限定されるものではない。コントローラ200の制御部210で表示部350に表示するための情報を生成して電子機器300へ送るものとしても良い。この場合、制御部210は、タッチセンサ230の検出結果を取得する操作情報取得部、及び、代表点150、イメージ画像152を生成する画像処理部として機能する。電子機器300の画像生成部320は、コントローラ200の制御部210で生成された情報と、画像送受信部360にて受信した画像またはメモリ340に保存された画像とを重畳して、表示部350に表示する画像のデータを生成する。
【0096】
図19及び図20に示す構成は、ハードウェア(回路)またはCPUなどの中央演算処理装置とこれを機能させるためのソフトウェア(プログラム)から構成することができる。この場合において、そのプログラムは、メモリ240,340など電子機器100が備える記憶部または外部から挿入される記憶媒体に格納されることができる。
【0097】
3.2.画面上での表示例
図17及び図18は、ユーザがタッチセンサ230の左側を左手の親指で触れている状態を示している。これにより、表示部350の左側の対応する位置にカーソルの代表点150が表示される。また、第1の実施形態と同様に、カーソルの周囲には静電容量に応じてイメージ画像152が表示される。図17及び図18では、図8で説明したデフォルメを示すとともに、静電容量値が所定のしきい値と一致する領域のエッジ(輪郭)を算出し、イメージ画像152の外縁としてエッジを描画している。また、図17は、左手の親指がタッチセンサ230の比較的広い領域と接触した状態を示し、図18は左手の親指がタッチセンサ230の比較的狭い領域と接触した状態を示している。つまり、図17は、左手の親指をタッチセンサ230に強く押し付けた状態を示しており、図18は左手の親指がタッチセンサ230に軽く触れた状態を示している。なお、イメージ画像152の外縁の形状をさらに単純化し、所定半径の円、または楕円にフィッティングさせてもよい。
【0098】
図21は、ユーザがタッチセンサ230の左側を左手の親指で触れるとともに、タッチセンサ230の右側を右手の人差し指で触れているマルチタッチの状態を示している。この場合、ユーザがタッチセンサ230に触れている2箇所の位置に対応して、カーソルの代表点150とその周辺のイメージ画像152が表示部350の左右の2箇所に表示される。このとき、タッチセンサ230のグリッドごとの静電容量の特徴に応じてカーソル(代表点150及びイメージ画像152)の描画表現を変更することができる。例えば、画面右側と左側のカーソルの色を異ならせることで、ユーザが左右いずれのカーソルを操作しているかを判別し易くすることができる。
【0099】
第2の実施形態においても、代表点150、及びイメージ画像152の表示は、絶対座標系で行われ、タッチセンサ230上での指の位置は1対1で表示部350上の代表点150及びイメージ画像152と対応する。イメージ画像152は手指の画像を示しているため、ユーザは、イメージ画像152の表示から絶対座標系であることを直感的に認識することができる。タッチセンサ230と表示部350が別に設けられている場合、手指の相対的な位置関係が分かりにくくなるが、擬似的に指を示すイメージ画像152を表示することでユーザの理解を促進することができる。これにより、マルチタッチの場合においても、ユーザは混乱を生じることなく各カーソルを操作することができる。
【0100】
図22は、グリッドごとの静電容量の大きさに応じてカーソルのステイタスを変更する例である。ステイタスを変更する場合、電子機器300は、例えば、描画される代表点150またはイメージ画像152の色、大きさ等を変えたり、操作できる対象を変える等のアクションを行う。ここで、ステイタスを変更するために、イメージ画像152の大きさを指標とすることができる。同一強度の静電容量で示されるイメージ画像152の大きさ(面積、またはフィッティングされた円の径など)が所定のしきい値を超えたが否かでステイタスを変更する。これにより、例えば大人と子供では指の大きさが相違するため、大人と子供で違う色のイメージ画像152(擬似指)を表現することができる。また、イメージ画像152の面積が所定値よりも小さい場合は、子供が操作していると判断し、操作を禁止することで、チャイルドロック等の操作が可能となる。
【0101】
また、図23は、電子機器300のステイタス(状態)を示す情報を、擬似的な指画像(イメージ画像152)に重畳させた例を示す模式図である。図23に示すように、電子機器300の「初期状態」、「読み込み中」等のステイタスに応じて擬似的な指を示すイメージ画像152を変更することで、ユーザは視覚的に電子機器300のステイタスを認識することができる。また、代表点150の色を左右で変化させることで、ユーザが左右いずれのカーソルを操作しているかを判別し易くすることができる。このような構成によれば、ユーザーは、少ない視線移動で機器の状態を直感的に認知することが可能となる。
【0102】
以上説明したように第2の実施形態によれば、タッチセンサ230と表示部350が分離しているシステムにおいて、タッチセンサ230で検出した静電容量値に基づいてカーソルの中心(代表点150)を表示し、その周辺に静電容量値に応じたイメージ画像152を表示するようにした。これにより、ユーザは、擬似的な指の画像を表示画面上に認識することができ、表示部350上での操作入力を容易に行うことが可能になるとともに、誤操作の発生を抑止することができる。
【0103】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0104】
100 電子機器
104 タッチセンサ
110,310 制御部
120,320 画像生成部
200 コントローラ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作面での操作者による操作に基づいて、操作主体による操作情報を取得する操作情報取得部と、
前記操作情報に基づいて、前記操作主体のイメージを反映したイメージ画像を生成する画像処理部と、
前記イメージ画像を元画像に重ねた画像を生成する画像生成部と、
を備える、電子機器。
【請求項2】
前記操作面とは別の箇所に設けられ、前記イメージ画像を前記元画像に重ねた画像を表示する表示部を備える、請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記操作情報は、前記電子機器とは別体の装置であって前記操作面を有する他の装置から受信した情報である、請求項1に記載の電子機器。
【請求項4】
前記画像処理部は、前記操作情報に基づいて、前記操作主体の代表点の位置の情報を生成し、
前記画像生成部は、前記操作主体の代表点の位置の画像を、前記イメージ画像とともに前記元画像に重ねた画像を生成する、請求項1に記載の電子機器。
【請求項5】
前記画像処理部は、前記イメージ画像を前記元画像に対して半透明又は縁取りされた画像として生成する、請求項1に記載の電子機器。
【請求項6】
前記画像処理部は、前記操作情報取得部で検出された前記操作情報の信号強度が所定のしきい値以下の場合は前記イメージ画像の情報を生成しない、請求項1に記載の電子機器。
【請求項7】
前記画像処理部は、前記操作情報取得部で取得された前記操作情報の信号強度が第1のしきい値以下の場合は前記イメージ画像の情報を生成せず、前記操作情報取得部で検出された前記操作情報の信号強度が前記第1のしきい値よりも大きな第2のしきい値以下の場合は前記代表点の位置の情報を生成しない、請求項4に記載の電子機器。
【請求項8】
前記画像処理部は、前記イメージ画像の情報に第1の強度のローパスフィルタ処理を行うとともに、前記代表点の画像の情報に第2のローパスフィルタ処理を行い、前記第1のローパスフィルタ処理の強度は前記第2のローパスフィルタ処理の強度よりも強い、請求項4に記載の電子機器。
【請求項9】
前記画像処理部は、前記操作情報取得部で取得された前記操作情報の信号強度が所定値以下になった場合は、過去に取得された前記操作情報の信号強度に基づいて前記イメージ画像を推定して生成する、請求項1に記載の電子機器。
【請求項10】
前記操作情報取得部で検出された前記操作情報の信号強度が前記第1のしきい値よりも大きな第2のしきい値以下の場合は、前記操作主体による入力を受け付けない、請求項7に記載の電子機器。
【請求項11】
前記画像処理部は、前記操作情報に基づいて、予め設定された図形を前記イメージ画像の情報として生成する、請求項1に記載の電子機器。
【請求項12】
前記画像処理部は、前記操作情報に基づいて、前記操作面と前記操作主体との距離に応じた前記イメージ画像を生成する、請求項1に記載の電子機器。
【請求項13】
前記画像処理部は、前記イメージ画像の大きさを前記操作情報の信号強度に応じた大きさとして前記イメージ画像を生成する、請求項12に記載の電子機器。
【請求項14】
前記画像処理部は、前記イメージ画像の濃度を前記操作情報の信号強度に応じた大きさとして前記イメージ画像を生成する、請求項12に記載の電子機器。
【請求項15】
前記イメージ画像の大きさが所定値以下の場合は、前記操作主体による入力を受け付けない、請求項13に記載の電子機器。
【請求項16】
操作面での操作者による操作に基づいて、操作主体による操作情報を取得すること、
前記操作情報に基づいて、前記操作主体のイメージを反映したイメージ画像を生成すること、
前記イメージ画像を元画像に重ねた画像を生成すること、
を備える、情報処理方法。
【請求項17】
操作面での操作者による操作に基づいて、操作主体による操作情報を取得する手段、
前記操作情報に基づいて、前記操作主体のイメージを反映したイメージ画像を生成する手段、
前記イメージ画像を元画像に重ねた画像を生成する手段、
としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
【請求項18】
操作面での操作者による操作に基づいて、操作主体による操作情報を取得する操作情報取得部と、
前記操作情報を送信する送信部と、を有するコントローラと、
前記操作情報を受信する受信部と、
前記操作情報に基づいて、前記操作主体のイメージを反映したイメージ画像を生成する画像処理部と、
前記イメージ画像を元画像に重ねた画像を生成する画像生成部と、を有する電子機器と、
備える、電子機器システム。
【請求項19】
操作面での操作者による操作に基づいて、操作主体による操作情報を取得する操作情報取得部と、
前記操作情報に基づいて、前記操作主体のイメージを反映したイメージ画像を生成する画像処理部と、
前記イメージ画像の情報を送信する送信部と、を有するコントローラと、
前記イメージ画像の情報を受信する受信部と、
前記イメージ画像を元画像に重ねた画像を生成する画像生成部と、を有する電子機器と、
備える、電子機器システム。
【請求項1】
操作面での操作者による操作に基づいて、操作主体による操作情報を取得する操作情報取得部と、
前記操作情報に基づいて、前記操作主体のイメージを反映したイメージ画像を生成する画像処理部と、
前記イメージ画像を元画像に重ねた画像を生成する画像生成部と、
を備える、電子機器。
【請求項2】
前記操作面とは別の箇所に設けられ、前記イメージ画像を前記元画像に重ねた画像を表示する表示部を備える、請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記操作情報は、前記電子機器とは別体の装置であって前記操作面を有する他の装置から受信した情報である、請求項1に記載の電子機器。
【請求項4】
前記画像処理部は、前記操作情報に基づいて、前記操作主体の代表点の位置の情報を生成し、
前記画像生成部は、前記操作主体の代表点の位置の画像を、前記イメージ画像とともに前記元画像に重ねた画像を生成する、請求項1に記載の電子機器。
【請求項5】
前記画像処理部は、前記イメージ画像を前記元画像に対して半透明又は縁取りされた画像として生成する、請求項1に記載の電子機器。
【請求項6】
前記画像処理部は、前記操作情報取得部で検出された前記操作情報の信号強度が所定のしきい値以下の場合は前記イメージ画像の情報を生成しない、請求項1に記載の電子機器。
【請求項7】
前記画像処理部は、前記操作情報取得部で取得された前記操作情報の信号強度が第1のしきい値以下の場合は前記イメージ画像の情報を生成せず、前記操作情報取得部で検出された前記操作情報の信号強度が前記第1のしきい値よりも大きな第2のしきい値以下の場合は前記代表点の位置の情報を生成しない、請求項4に記載の電子機器。
【請求項8】
前記画像処理部は、前記イメージ画像の情報に第1の強度のローパスフィルタ処理を行うとともに、前記代表点の画像の情報に第2のローパスフィルタ処理を行い、前記第1のローパスフィルタ処理の強度は前記第2のローパスフィルタ処理の強度よりも強い、請求項4に記載の電子機器。
【請求項9】
前記画像処理部は、前記操作情報取得部で取得された前記操作情報の信号強度が所定値以下になった場合は、過去に取得された前記操作情報の信号強度に基づいて前記イメージ画像を推定して生成する、請求項1に記載の電子機器。
【請求項10】
前記操作情報取得部で検出された前記操作情報の信号強度が前記第1のしきい値よりも大きな第2のしきい値以下の場合は、前記操作主体による入力を受け付けない、請求項7に記載の電子機器。
【請求項11】
前記画像処理部は、前記操作情報に基づいて、予め設定された図形を前記イメージ画像の情報として生成する、請求項1に記載の電子機器。
【請求項12】
前記画像処理部は、前記操作情報に基づいて、前記操作面と前記操作主体との距離に応じた前記イメージ画像を生成する、請求項1に記載の電子機器。
【請求項13】
前記画像処理部は、前記イメージ画像の大きさを前記操作情報の信号強度に応じた大きさとして前記イメージ画像を生成する、請求項12に記載の電子機器。
【請求項14】
前記画像処理部は、前記イメージ画像の濃度を前記操作情報の信号強度に応じた大きさとして前記イメージ画像を生成する、請求項12に記載の電子機器。
【請求項15】
前記イメージ画像の大きさが所定値以下の場合は、前記操作主体による入力を受け付けない、請求項13に記載の電子機器。
【請求項16】
操作面での操作者による操作に基づいて、操作主体による操作情報を取得すること、
前記操作情報に基づいて、前記操作主体のイメージを反映したイメージ画像を生成すること、
前記イメージ画像を元画像に重ねた画像を生成すること、
を備える、情報処理方法。
【請求項17】
操作面での操作者による操作に基づいて、操作主体による操作情報を取得する手段、
前記操作情報に基づいて、前記操作主体のイメージを反映したイメージ画像を生成する手段、
前記イメージ画像を元画像に重ねた画像を生成する手段、
としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
【請求項18】
操作面での操作者による操作に基づいて、操作主体による操作情報を取得する操作情報取得部と、
前記操作情報を送信する送信部と、を有するコントローラと、
前記操作情報を受信する受信部と、
前記操作情報に基づいて、前記操作主体のイメージを反映したイメージ画像を生成する画像処理部と、
前記イメージ画像を元画像に重ねた画像を生成する画像生成部と、を有する電子機器と、
備える、電子機器システム。
【請求項19】
操作面での操作者による操作に基づいて、操作主体による操作情報を取得する操作情報取得部と、
前記操作情報に基づいて、前記操作主体のイメージを反映したイメージ画像を生成する画像処理部と、
前記イメージ画像の情報を送信する送信部と、を有するコントローラと、
前記イメージ画像の情報を受信する受信部と、
前記イメージ画像を元画像に重ねた画像を生成する画像生成部と、を有する電子機器と、
備える、電子機器システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図6】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図5】
【図7】
【図2】
【図3】
【図4】
【図6】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図5】
【図7】
【公開番号】特開2012−194843(P2012−194843A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−58988(P2011−58988)
【出願日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
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