説明

電子機器、環境負荷情報算出方法および環境負荷情報算出プログラム

【課題】 電子機器に装着された部品に応じた電子機器自身の環境負荷をユーザに分かりやすく出力可能にする。
【解決手段】本発明に係る電子機器は、部品を装着可能な電子機器であって、装着された部品の識別情報を入力する部品識別情報入力部と、部品識別情報入力部の入力した部品識別情報に対応する環境負荷情報である部品環境負荷情報を取得する部品環境負荷情報取得部と、電子機器に対応する環境負荷情報である本体環境負荷情報を取得する本体環境負荷情報取得部と、部品環境負荷情報取得部の取得した部品環境負荷情報と本体環境負荷情報取得部の取得した本体環境負荷情報とに基づいて、部品の装着された電子機器の環境負荷情報を算出する環境負荷情報算出部と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用状況等に応じて増減する環境負荷を演算する機能を有するデジタルカメラその他の電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球資源保護および地球環境保護の観点から、家電製品、OA機器等の機器を製造するメーカ、これらの機器を使用するユーザーに対して地球環境負荷の低減が強く求められるようになってきた。このような環境負荷を定量的に評価する手法としては、例えば、特許文献1に記載されているように、ライフサイクルアセスメント(LCA:Life Cycle Assessment)が注目されている。
【0003】
LCAとは、製品およびサービスが、資源の採取から製品の製造、物流、使用、廃棄、リサイクルなどのライフサイクル全体にわたって、環境に及ぼす影響を客観的に評価する手法の一つである。LCAの原則は、国際標準化機構の規格ISO14040に明文化され、そのまま日本工業規格(JIS Q 14040)となっている。LCAは、製品などの全ライフサイクルの環境負荷の評価及び改善のためのツールとして注目されている。
【0004】
ところで、デジタルカメラについても、LCAの手法を適用して環境負荷を定量的に評価することが考えられる。デジタルカメラの場合、製造時の環境負荷(製造環境負荷)については、製造メーカが素材、投入電力量等の環境負荷に影響を与えるファクターを把握し、これらを、例えばCO2の排出量に換算することにより定量的に把握することが可能である。その結果をインターネット上で公開するエコリーフ環境ラベルという制度も運用されている。
【0005】
特許文献1では、OA装置(例えばPC)のコンポーネント構成対応の階層的構成情報と下位構成品毎の素材、電子部品候補一覧、組立エネルギー候補一覧、製造後の流通、使用、処分側過程の燃料、エネルギー候補を含む構成ツリーテンプレートと、これを提示し構成品毎の素材、電子部品、組立エネルギー、製造後各過程の燃料、エネルギーについて使用量の入力を促し、評価対象PCの構成情報と各使用量を出力する構成ツリー作成手段と、素材、電子部品単位のLCA評価値、エネルギー、燃料の換算値を持つ圧縮データベースと、出力、圧縮データベースより評価値を算出するLCA評価値算出手段とを有すLCA評価装置が開示されている。
【0006】
特許文献2では、個々の部品や機器にLCA値を付与し、部品や機器から直接にLCA値を取得できるようにする。
【0007】
特許文献3では、部品の環境負荷情報を予め登録しておくデータベースと、製品を構成する部品についてデータベースを検索する検索手段と、検索の結果、検索対象の部品の環境負荷情報がデータベースに登録されている場合には環境負荷情報を用い、一方、検索対象の部品の環境負荷情報がデータベースに登録されていない場合には、データベースに登録されている検索対象の部品と同一品種又は同一材料の部品の環境負荷情報の平均化処理から、検索対象の部品の環境負荷情報の評価値を算出する環境負荷情報評価手段と、製品に対して算出された環境負荷情報の評価結果を出力する環境負荷情報評価結果手段と、を備える。
【0008】
特許文献4では、環境負荷情報の利用者の端末と接続されている装置であって、(a)環境負荷情報を蓄積する手段と、(b)利用者の端末から送信されてくる検索条件を入力する手段と、(c)検索条件に合致する環境負荷情報を(a)の手段に蓄積されている環境負荷情報の中から検索する手段と、(d)検索結果として得られる環境負荷情報を利用者の端末に送信する手段とを有することを特徴とする環境負荷情報装置を開示している。
【0009】
特許文献5では、製品設計情報を格納した記憶装置と3次元仮想空間表示機能4を有するCADシステムと、組立・分解に関する情報、環境負荷情報を格納したリレーショナルデータベースシステムから構成され、製品設計情報と組立・分解情報から組立・分解シミュレーションを行い組立分解性評価を行う処理と、シミュレーション結果、製品設計情報、環境負荷情報を用いた環境負荷評価を行う処理と、評価結果に基づいて設計に必要な情報を提示し設計変更を行う処理を開示している。
【0010】
その他、本願発明に関係する先行技術として、特許文献6および7が挙げられる。
【特許文献1】特開2001−209695号公報
【特許文献2】特開2002−59146号公報
【特許文献3】特開2002−49649号公報
【特許文献4】特開2003−141211号公報
【特許文献5】特開平7−311792号公報
【特許文献6】特開2007−53433号公報
【特許文献7】特開2007−189409号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
電子機器に装着されたパーツによって、電子機器自身の環境負荷は変化する。例えば、デジタルカメラ本体に純正レンズを装着した場合と非純正のレンズを装着した場合とでは、レンズ製造や輸送の環境負荷、消費電力の相違などからデジタルカメラ自身の全体的な環境負荷は異なるであろう。しかし、特許文献1〜5では、例えば、デジタルカメラ本体に、非純正のレンズを装着した場合に、それを正確に計算してユーザに分かりやすく提供することはできない。
【0012】
本発明は、電子機器に装着された部品に応じた電子機器自身の環境負荷をユーザに分かりやすく出力可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係る電子機器は、部品を装着可能な電子機器であって、装着された部品の識別情報を入力する部品識別情報入力部と、部品識別情報入力部の入力した部品識別情報に対応する環境負荷情報である部品環境負荷情報を取得する部品環境負荷情報取得部と、電子機器に対応する環境負荷情報である本体環境負荷情報を取得する本体環境負荷情報取得部と、部品環境負荷情報取得部の取得した部品環境負荷情報と本体環境負荷情報取得部の取得した本体環境負荷情報とに基づいて、部品の装着された電子機器の環境負荷情報を算出する環境負荷情報算出部と、を備える。
【0014】
環境負荷情報算出部は、電子機器の電源投入後に装着された部品が、電源投入前の部品から変更されたことに応じて部品の装着された電子機器の環境負荷情報を算出する。
【0015】
環境負荷情報算出部は、部品の装着された電子機器の環境負荷情報を算出する旨の設定を受け付けた場合に部品の装着された電子機器の環境負荷情報を算出する。
【0016】
装着された部品の入手先の入力を受け付ける入力部を備え、環境負荷情報算出部は、入力部が受け付けた入手先に基づいて輸送段階の環境負荷情報を算出する。
【0017】
電子機器に装着可能な部品に対応する環境負荷情報を部品の識別情報とともに記憶する記憶部を備え、環境負荷情報算出部は、部品識別情報入力部の入力した部品の識別情報に対応する環境負荷情報に基づいて部品の装着された電子機器の環境負荷情報を算出する。
【0018】
記憶部に記憶される環境負荷情報は、部品の製造段階、輸送段階もしくは廃棄段階の環境負荷のうち少なくとも1つを含む。
【0019】
部品環境負荷情報取得部は、部品識別情報入力部の入力した部品の識別情報に対応する環境負荷情報の検索を外部の情報処理装置に依頼して、公開されたリソースから情報処理装置が検索した環境負荷情報を取得し、環境負荷情報算出部は、情報処理装置から取得した環境負荷情報に基づいて部品の装着された電子機器の環境負荷情報を算出する。
【0020】
部品環境負荷情報取得部は、部品識別情報入力部が識別情報を入力した部品を構成する構成要素の各々に対応する環境負荷情報の検索を外部の情報処理装置に依頼して、公開されたリソースから情報処理装置が検索した部品を構成する構成要素の各々に対応する環境負荷情報環境負荷情報を取得し、環境負荷情報算出部は、情報処理装置から取得した環境負荷情報に基づいて部品の装着された電子機器の環境負荷情報を算出する。
【0021】
環境負荷情報算出部は、部品環境負荷情報取得部が環境負荷情報を取得済みの任意の部品の諸元と部品環境負荷情報取得部が環境負荷情報を未取得の部品の諸元との比率と、取得済みの部品の環境負荷情報とに基づいて未取得の部品の環境負荷情報を算出する。
【0022】
部品環境負荷情報取得部は、部品識別情報入力部が識別情報を入力した部品の定格電流の情報を取得し、環境負荷情報算出部は、部品の定格電流に基づいて部品の装着された電子機器の使用段階の環境負荷情報を算出する。
【0023】
部品の装着された電子機器の動作内容に応じた使用段階の環境負荷のモデル測定値を記憶するモデル測定値記憶部を備え、環境負荷情報算出部は、モデル測定値記憶部の記憶した使用段階のモデル測定値に基づいて部品の装着された電子機器の環境負荷情報を算出する。
【0024】
環境負荷情報算出部の算出した環境負荷情報を、所定の表示装置、印刷装置および記録装置のうち少なくとも1つに出力する出力部を備える。
【0025】
本発明に係る環境負荷情報算出方法は、部品を装着可能な電子機器が、装着された部品の識別情報を入力するステップと、入力した部品識別情報に対応する環境負荷情報である部品環境負荷情報を取得するステップと、電子機器に対応する環境負荷情報である本体環境負荷情報を取得するステップと、取得した部品環境負荷情報と取得した本体環境負荷情報とに基づいて、部品の装着された電子機器の環境負荷情報を算出するステップと、を実行する。
【0026】
この環境負荷情報算出方法を電子機器に実行させる環境負荷情報算出プログラムも本発明に含まれる。
【発明の効果】
【0027】
この発明によると、電子機器自身の環境負荷を装着された部品に応じて算出することができ、ユーザが任意に装着した部品を含めた電子機器全体の環境負荷を把握できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
<第1実施形態>
図1はデジタルカメラ10のブロック図およびデジタルカメラ10と接続されたパソコン1および外部情報環境DB2を含む環境負荷演算システムの概略構成が示されている。デジタルカメラ10は、カメラ本体10bと、カメラ本体10bに着脱自在なレンズユニット10lとから構成される。レンズユニット10lは、撮影レンズ14及び絞り15からなる撮影光学系13と駆動手段152を含んでいる。撮影レンズ14は1枚又は複数枚のレンズで構成され、例えば単一の焦点距離(固定焦点)のレンズで構成される。
【0029】
撮影光学系13を介してCCD118の受光面に結像された被写体像は、各センサで入射光量に応じた量の信号電荷に変換される。このようにして蓄積された信号電荷は、CCD駆動回路120から加えられるCCD駆動パルスによって読み出され、信号電荷に応じた電圧信号(アナログ画像信号)として順次CCD118から出力される。
【0030】
CCD118には、シャッターゲートを介してシャッタードレインが設けられており、シャッターゲートをシャッターゲートパルスによって駆動することにより、蓄積した信号電荷をシャッタードレインに掃き出すことができる。すなわち、CCD118は、シャッターゲートパルスによって各センサに蓄積される電荷の蓄積時間(シャッタースピード)を制御する、いわゆる電子シャッター機能を有している。
【0031】
CCD118から読み出された信号は、CDS回路122において相関二重サンプリング(CDS)処理されるとともに、R,G,Bの各色信号に色分離処理され、各色信号の信号レベルの調整が行われる。
【0032】
これら所定のアナログ信号処理を経た画像信号は、A/D変換器124に加えられ、このA/D変換器124によりR,G,Bのデジタル信号に変換された後、メモリ126に一時的に格納される。
【0033】
タイミング信号発生回路(TG)128は、CPU130からのコマンドに応じてCCD駆動回路120、CDS回路122及びA/D変換器124に対して適宜のタイミング信号を与えており、各回路はタイミング信号発生回路28から加えられるタイミング信号により同期して駆動されるようになっている。
【0034】
CPU130は、デジタルカメラ10の各回路を統括制御する制御部であり、バス132を介してゲイン調整回路134、ガンマ補正回路136、輝度・色差信号処理回路(YC処理回路という。)138、圧縮伸張回路140、メモリカード142のカードインターフェース144、LCD22を駆動する表示用ドライバ148、画像変換回路146及び通信部159等と接続されている。
【0035】
また、CPU130には、ステイタスディスプレイ20、消費電力測定部50、不揮発性のメモリ157、電源ボタン25が接続されている。
【0036】
ステイタスディスプレイ20には、デジタルカメラ10の各種設定や、使用モード、状態等が表示される。
【0037】
消費電力測定部50では、デジタルカメラ10の使用に際して電源30からカメラ本体10bあるいはデジタルカメラ10を介してレンズユニット10lで消費される電力が測定される。消費電力は、電源がオン状態となっている時間と各動作モード(例えば、撮影モード、再生モード)の単位時間あたりの消費電力、各動作(例えば記録動作)の回数と1回あたりの消費電力、等に基づいて求めることができる。レンズユニット10lは、1種類でなく、多数種類が存在しうる。
【0038】
不揮発性メモリ157には、後述する制御ルーチンのプログラムや、消費電力測定部50で測定された消費電力から算出される環境負荷、その他のデータが記憶されている。環境負荷に関するデータについての詳細は後述する。
【0039】
CPU130は操作スイッチ38からの入力信号に基づいて対応する回路ブロックを制御するとともに、撮影レンズ14のズーミング動作や自動焦点調節(AF)動作の制御、並びに自動露出調節(AE)の制御等を行う。
【0040】
操作スイッチ38には、カメラのモード選択手段、ズーム操作手段、その他の各種の入力手段が含まれる。これら入力手段は、スイッチボタン、ダイヤル、スライド式ツマミなど種々の形態があり、タッチパネルや液晶モニタ表示部の画面上において設定メニューや選択項目を表示してカーソルで所望の項目を選択する態様もある。この操作スイッチ38はカメラ本体10bに配設されているが、リモコン送信機としてカメラ本体と分離した構成にすることも可能である。
【0041】
CPU130は、CCD118から出力される画像信号に基づいて、焦点評価演算やAE演算などの各種演算を行い、その演算に基づいて、撮影レンズ14及び絞り16の駆動手段(例えば、AFモータやアイリスモータ等)52を制御してフォーカスレンズを合焦位置に移動させるとともに、絞り15を適正絞り値に設定する。
【0042】
例えば、AF制御には、G信号の高周波成分が最大になるようにフォーカスレンズを移動させるコントラストAF方式が採用される。AE制御には、1フレームのR、G、B信号を積算した積算値に基づいて被写体輝度(撮影EV)を求め、この撮影EVに基づいて絞り値とシャッタースピードを決定し、駆動手段152を介して絞り15を駆動するとともに、決定したシャッタースピードとなるように電子シャッターによってCCD118の電荷の蓄積時間を制御する。したがって、デジタルカメラ10の撮影レンズ14を被写体に向けるだけで、最適な露出調整が行われるとともに、ピント合わせが自動的に行われる。
【0043】
撮影記録時においては、レリーズボタン18の「半押し」時に上述した測光動作を複数回繰り返して正確な撮影EVを求め、この撮影EVに基づいて撮影時の絞り値とシャッタースピードを最終的に決定する。そして、レリーズボタン18の「全押し」時に最終的に決定した絞り値になるように絞り15を駆動し、また、決定したシャッタースピードとなるように電子シャッターによって電荷の蓄積時間を制御する。なお、AE、AFはCCD118から取得される画像信号に基づいて制御する方法の他、周知の測光センサやAF投光/受光センサからなる測距センサ等を用いてもよい。
【0044】
A/D変換器124から出力されたデータはメモリ126に格納されるとともに、積算回路160に加えられる。積算回路160は、撮影画面を複数のブロック(例えば、8×8の64個のブロック)に分割し、複数のブロック毎に受入したG信号の積算演算を行う。なお、R、G、Bのデータから輝度信号(Y信号)を生成して、輝度信号の積算演算を行ってもよい。また、積算回路160はAE演算回路で兼用することもできる。積算回路160で得られた積算値の情報(演算結果)はCPU130に入力される。
【0045】
CPU130は積算回路160からの情報に基づき、所定のアルゴリズムに従って撮影画面の評価値Eを算出し、求めた評価値Eを用いてゲイン調整回路134におけるゲイン値(増幅率)を決定する。CPU130は決定したゲイン値に従ってゲイン調整回路134におけるゲイン量を制御する。
【0046】
メモリ126に記憶されたR、G、Bの画像データはゲイン調整回路134に送られ、ここで増幅処理される。増幅処理された画像データは、ガンマ補正回路136において、ガンマ補正処理が施された後、YC処理回路138へ送られ、RGBデータから輝度信号(Y信号)及び色差信号(Cr,Cb信号)に変換される。なお、CPU130は、必要に応じてホワイトバランス処理なども行うことができる。
【0047】
YC処理回路138において生成された輝度・色差信号(YC信号と略記する)は、メモリ126に書き戻される。メモリ126に記憶されたYC信号は表示用ドライバ148に供給され、所定方式の信号(例えば、NTSC方式のカラー複合映像信号)に変換されてLCD22に出力される。LCD22には液晶ディスプレイその他のカラー表示可能な表示装置が用いられる。なお、LCD22はYC信号入力対応のタイプのものを適用してもよいし、RGB信号入力タイプのものを適用してもよく、表示装置に対応したドライバが適用される。
【0048】
CCD118から出力される画像信号によって画像データが定期的に書き換えられ、その画像データから生成される映像信号がLCD22に供給されることにより、CCD118が捉える画像がリアルタイムに動画像(ライブ画像)として、又はリアルタイムではないが、ほぼ連続した画像としてLCD22に表示される。
【0049】
LCD22は電子ビューファインダーとして利用でき、撮影者はLCD22の表示画像又はファインダーによって撮影画角を確認することができる。レリーズボタン18の押下操作など所定の記録指示(撮影開始指示)操作に呼応して、記録用の画像データの取り込みが開始される。
【0050】
撮影者が操作スイッチ38から撮影記録の指示を入力すると、CPU130は必要に応じて圧縮伸張回路140にコマンドを送り、これにより圧縮伸張回路140はメモリ126上のYCデータをJPEGその他の所定の形式に従って圧縮する。圧縮された画像データは、例えば、カードインターフェース144を介してメモリカード142に記録される。
【0051】
本実施の形態のデジタルカメラ10は、画像データを保存する手段としてメモリカード142が用いられている。具体的には、例えばxDピクチャーカード等の記録メディアが適用される。記録メディアの形態は上記のものに限らず、PCカード、マイクロドライブ、マルチメディアカード(MMC)、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、メモリスティックなど種々の形態が可能であり、使用される媒体に応じた信号処理手段とインターフェースが適用される。
【0052】
また、再生モード時にはメモリカード142から読み出された画像データが圧縮伸張回路140によって伸張処理され、表示用ドライバ148を介してLCD22に出力される。
【0053】
CPU130は、バス132を介して通信部159と接続されている。通信部159は、ユーザーのパーソナルコンピュータ1(PC)又はインターネット等の通信網を通して外部環境負荷情報データベース(外部DB)2と通信するためのインターフェースであり、例えばUSB(Universal Serial Bus)や、IEEE1394等のインターフェースを用いることができる。CPU130は、通信部159を介して及び外部DB154と情報の授受を行うことができる。
【0054】
次に、環境負荷に関するデータについて説明する。
【0055】
不揮発性メモリ157には、環境負荷についてのデータを記憶する環境負荷テーブル150が設けられている。環境負荷テーブル150には、デジタルカメラ10を製造する際(製造ステージ)に生じる製造環境負荷EPR、デジタルカメラ10を製造工場からユーザーまで移送する際(物流ステージ)に生じる物流環境負荷EPD、カメラ本体10bを使用する際(使用ステージ)に生じる使用環境負荷EUS、カメラ本体10bを廃棄する際(廃棄ステージ)に生じる廃棄環境負荷ERJ、デジタルカメラ10のこれまでの環境負荷の積算値Esum、カメラ本体10bのライフサイクル全体に亘る全環境負荷ET、カメラ本体10bに装着可能なパーツ、例えばレンズユニット10lや電源30(1次電池、2次電池、AC電源)の環境負荷情報が記憶されている。環境負荷の積算値Esumは、製造環境負荷EPR、物流環境負荷EPD、及びこれまでの使用環境負荷EUS、の合計であり、全環境負荷ETは、製造環境負荷EPR、物流環境負荷EPD、使用環境負荷EUS、及び廃棄環境負荷ERJ合計である。各ステージの環境負荷EPR、EPD、ERJ、使用環境負荷EUSは、それぞれ地球環境に対する影響を定量的かつ客観的に評価可能とするためCO2の排出量に換算される。
【0056】
上記環境負荷のうち、製造環境負荷EPR、物流環境負荷EPD、廃棄環境負荷ERJについては、カメラ本体10bが含まれる製造ロット毎に予め標準的なCO2排出量が初期値として製造メーカにより設定されており、これらの環境負荷EPR、EPD、ERJの初期値が、環境負荷テーブル150にそれぞれ格納されている。環境負荷テーブル150を常にメモリ157に格納しておく代わりに、パソコン1などの外部資源から外部I/F161を介して必要なときに入力してもよい。
【0057】
以下に、製造環境負荷EPR、物流環境負荷EPD、使用環境負荷EUS、及び廃棄環境負荷ERJ合の算出方法について説明する。
【0058】
(製造環境負荷の算出方法)
カメラ本体10bの製造環境負荷EPRは、デジタルカメラ10を形成する素材を製造し、これらの素材に加工等の処理を施して部品にするために必要となる環境負荷(素材環境負荷)と、これらの部品を組み立ててカメラ本体10bを完成させるために必要となる環境負荷(ライン環境負荷)とに大別され、これらを合算することにより算出される。
【0059】
ここで、素材環境負荷は、製品(カメラ本体10b)を構成する全ての部品について、その質量、材料原単位、加工原単位及び組立原単位を用いて下記(表1)に示すように算出する。
【0060】
【表1】

【0061】
ライン環境負荷は、カメラ本体10bを製造する製造ラインにおいて使用するエネルギと排出されるエネルギのそれぞれ原単位を用いて、下記(表2)に示すように算出する。
【0062】
【表2】

【0063】
なお、素材環境負荷及びライン環境負荷は、製造工場が異なったり、製造工場での基本的な製造単位である製造ロットが異なったりすると、この製造ロット毎に消費エネルギ、原単位等も変化することがあり、製造環境負荷EPRも異なったものになることがある。
【0064】
(物流環境負荷の算出方法)
カメラ本体10bの物流環境負荷EPDは、重量W(t)の製品(デジタルカメラ10)及び、梱包材等の付帯物をメーカの製造工場から目的地まで搬送する場合には、次の(1)式及び(2)式により算出される。
物流負荷量 = 輸送距離×W/製品の積載個数・・・(1)
物流環境負荷=物流負荷量×物流原単位・・・(2)
ここで、輸送距離は、本来的には、製造工場から目的地(小売店へデジタルカメラ10を出荷する物流センター、大規模小売店の倉庫、卸売り業者の倉庫等の場所)までの距離である。本実施形態に係るデジタルカメラ10の場合には、カメラ本体10bの出荷先(国内の物流拠点、輸出国の物流拠点等)に応じて、メーカの製造工場からカメラ本体10bの出荷先までの平均的な距離が予めメモリ157に初期値として格納されている。
【0065】
(使用環境負荷の算出方法)
カメラ本体10bの使用環境負荷EUSは、カメラ本体10bの使用に伴って消費される電力量に基づいて、下記(表3)に示されるように算出される。
【0066】
【表3】

【0067】
また使用環境負荷EUSは、カメラ本体10bを構成する何らかの部品が交換されたり、オプション品が付加されたりすると、その交換部品の製造に要した環境負荷(部品交換環境負荷)、オプション品の製造に要した環境負荷(オプション品交換環境負荷)が加算されることになる。交換部品としては、電源30の一種である電池等の消耗部品及び、カメラ本体10bの故障に伴って交換された場合の修理用部品が含まれる。各々の交換部品、オプション品についての環境負荷の値については、交換部品、オプション品毎に、メモリ157に記憶することができる。ただし、部品の環境負荷の記憶は必須でなく、パソコン1から取り込むこともできる。
【0068】
(廃棄環境負荷の算出方法)
カメラ本体10bの廃棄環境負荷ERJは、カメラ本体10bの廃却方法によって異なるものとなり、下記(表4)に示されるように算出される。
【0069】
【表4】

【0070】
ユーザーがカメラ本体10bを廃棄する際には、あらかじめ設定された廃棄方法だけでなくユーザーは、カメラ本体10bに対して(表4)に示される何れかの廃却方法を変更可能とされており、廃却方法を変更することにより、CPU130は、メモリ157の環境負荷テーブル150に設定されている廃棄環境負荷ERJを廃却方法に対応する値に書き換える。
【0071】
なお、表1〜4で用いられる原単位は、随時更新することができる。更新は、通信部159を介してパーソナルコンピュータ1その他の電子機器と接続し、接続された電子機器からダウンロードすることにより行うことができる。
【0072】
図2は、本発明に係るカメラ10全体のLCA算出の流れを概念的に示す。特許文献1と同様、カメラ本体10bを試作後、筐体、PCB、等のコンポーネントに分解する。各コンポーネントを更に細かく分解し素材毎の重量を測定する。各コンポーネントの組立製造に要した消費電力を実績値を按分し算出する。
【0073】
そしてコンポーネント単位で素材毎の使用量、組立製造の為の電力についてのリストを作成し、これらを集計する。これらのリストは設計者がパソコン1に入力して外部環境負荷情報DB2に記憶する。
【0074】
次に各素材、消費電力をLCA評価値に換算するための統計資料を捜してきて、これらを適宜組み合わせながら集計表からPC本体のLCA値を手計算により算出する。
【0075】
図3は、CPU130の実行する環境負荷算出処理のフローチャートである。この処理をCPU130に実行させるプログラムはメモリ157に記憶されている。CPU130は、この処理を実施するか否かの設定を操作スイッチ38から受け付け、実施する旨の設定を受け付けた場合のみ処理を実施し、実施しない旨の設定を受け付けた場合は処理を実施しないものとする。実施しない旨の設定をすれば、環境負荷算出処理による初期動作の完了の遅延を避けることができる。
【0076】
S1では、電源ボタン25がオンされ、電源30による各ブロックへの電源供給が開始したことに応じ、消費電力測定部50に消費電力の測定開始を指示する。
【0077】
S2では、現にカメラ本体10bに装着されている装着レンズユニット10l-cur側の識別情報(ID)やその代替物(製造番号など)や撮像素子の仕様などを含むコンフィンギュレーション情報の受信などカメラ10の動作の初期化を行う。コンフィンギュレーション情報は、装着レンズユニット10l-curに内蔵されたメモリに記憶されており、これを同じく装着レンズユニット10lに内蔵されたCPUが読み出して、これを外部I/F161経由でカメラ本体10bに送信する。あるいは、装着レンズユニット10lに貼付されたICタグやQRコードを、ICタグリーダーやQRコードリーダなどの専用の読み取り手段で読み取り、読み取った情報を外部I/F161経由で入力してもよい。
【0078】
S3では、環境負荷の表示その他の出力をオンにする旨の設定が予め操作スイッチ38から入力され不揮発性メモリ157に記憶されているか否かを判断する。Yesの場合はS4に進み、Noの場合は初期化動作を終了する。
【0079】
S4では、S2で受信した装着レンズユニット10l-curのコンフィンギュレーション情報config_curと、不揮発性メモリ157に予め格納された、今回の電源オンより以前に受信した現に装着されていない非装着レンズユニット10l_preのコンフィンギュレーション情報config_preとを比較し、両者が一致するか否かに応じて、装着レンズユニット10lが電源オンの前後で非装着レンズユニット10l_preから交換されているか否かを判断する。なお、装着レンズユニット10l以外のパーツについてもコンフィギュレーション情報を受信可能であれば、同様の判断を行う。以下、説明の間略のため、パーツはレンズユニット10lとするが、その他のパーツでも同様の処理が可能である。
【0080】
S5では、交換された装着レンズユニット10l-curの環境負荷情報を送信するよう、外部I/F161を介して接続されたパソコン1に要求する。当該要求には、交換されたレンズユニット10lのIDが含まれている。パソコン1は、要求を受信すると、その中に含まれるIDに対応する環境負荷情報を外部環境負荷情報DB2から抽出して、カメラ10に返信する。カメラ10は環境負荷情報を受信すると、これを装着レンズユニット10l-curのIDと対応づけて不揮発性メモリ157に記憶する。
【0081】
パソコン1は、その中に含まれるIDに対応する環境負荷情報を外部環境負荷情報DB2から抽出できなかった場合、該当データがない旨の通知をカメラ10に返信する。カメラ10が該当データがない旨の通知を受信した場合、外部環境負荷情報DB2以外のリソースから交換された装着レンズユニット10l-curのIDに対応する環境負荷情報の検索をパソコン1に依頼してもよい。検索の方法は任意であるが、例えばパソコン1が図示しない検索エンジンに接続し、「装着レンズユニット10l-curのIDに対応する環境負荷情報」を検索キーワードに指定して検索エンジンにサイトの検索を依頼し、検索されたサイトにパソコン1が接続して環境負荷情報を取得し、これをカメラ10に送信する。検索も不可能であれば、諸元の類似するパーツの環境負荷情報のサイトを検索してこれをカメラ10に送信してもよい。
【0082】
S6では、受信した環境負荷情報に基づき、前回の環境負荷表示以降のカメラ10の使用時の環境負荷を再計算する。
【0083】
S7では、再計算の結果得られた環境負荷をLCD22に表示する。表示時間はカメラ10の使用に差し支えのない程度の短時間、例えば3〜10秒程度である。ただし、環境負荷を表示する代わりに、あるいは表示とともに、環境負荷をメモリカード142に出力して記憶してもよいし、外部I/F161経由でパソコン1や図示しないプリンタなどに送信して保存やプリント出力してもよい。
【0084】
図4はLCD22に表示する環境負荷の表示例である。図4(a)のように、環境負荷合計を表示してもよいし、図4(b)のように、製造、輸送、使用、廃棄の各ステージに分けて環境負荷を表示してもよい。なお、廃棄時の環境負荷は予想値であるため、※マークを付している。
【0085】
例えば、カメラ本体10bに装着可能なレンズユニット10lが、タイプA、タイプB、タイプCの3種類(以下それぞれレンズユニット10l−A、10l−B、10l−Cで表す)であるとする。表5は、これらの環境負荷情報がどのように把握されたかを一覧にしている。
【0086】
【表5】

【0087】
タイプAのレンズユニット10l−Aには、図示しない内蔵メモリやICタグなどの環境負荷情報記憶手段が備えられており、IDと環境負荷情報(製造環境負荷、小売店までの物流環境負荷、シャッタボタン(操作スイッチ38の一種)1回押下当たりの消費電力を示す使用環境負荷、廃棄環境負荷)が記憶されている。レンズユニット10l−Aが装着レンズユニット10l-curとなった場合、CPU130は、それらの情報を外部I/F161を介して、あるいは図示しないICタグリーダ(読み出し手段)で読み出し、メモリ157に環境負荷テーブル150として格納する。
【0088】
ただし、タイプAのレンズユニット10l−Aは、環境負荷情報に小売店までの物流環境負荷情報を記憶していなくてもよい。CPU130は、レンズユニット10l−Aから入力した環境負荷情報に小売店までの物流環境負荷情報が含まれていないと判断した場合、操作スイッチ38からレンズユニット10l−Aの入手先の位置情報を特定可能な情報(購入先の店の住所、店の名前など)の入力を受け付ける。そして、CPU130は、IDと入力された購入先の住所を添付した物流環境負荷情報の送信をパソコン1に要求する。パソコン1は、IDと入手先の位置情報をキーに物流環境負荷情報を外部環境負荷情報DB2から検索し、検索された物流環境負荷情報をカメラ本体10bに送信する。外部環境負荷情報DB2には、入手先の位置情報ごとの物流環境負荷情報が予め格納されているものとする。カメラ本体10bは、受信した物流環境負荷情報を、環境負荷テーブル150の一部に取り込んで格納する。このようにして入手先に応じた正確な物流段階の環境負荷を計算できる。なお、物流以外のステージの環境負荷情報についても、カメラ本体10bがIDをレンズユニット10l−Aから入力できれば、これをキーにした環境負荷情報の検索を送信をパソコン1に要求して、パソコン1にて検索・送信されたステージの環境負荷情報を環境負荷テーブル150の一部に取り込んで格納できる。
【0089】
タイプBのレンズユニット10l−Bには、図示しない内蔵メモリやICタグなどの環境負荷情報記憶手段が備えられており、IDが記憶されている。レンズユニット10l−Bが装着レンズユニット10l-curとなった場合、CPU130は、それらの情報を外部I/F161を介して、あるいは図示しないICタグリーダ(読み出し手段)で読み出し、メモリ157に格納する。
【0090】
上述のように、CPU130は、IDと入力された購入先の住所を添付した各ステージの環境負荷情報の送信をパソコン1に要求する。パソコン1は、IDをキーに各ステージの環境負荷情報を外部環境負荷情報DB2から検索し、検索された物流環境負荷情報をカメラ本体10bに送信する。カメラ本体10bは、パソコン1にて検索・送信された各ステージの環境負荷情報を、環境負荷テーブル150として格納する。
【0091】
タイプCのレンズユニット10l−Cには、図示しない内蔵メモリやICタグなどの環境負荷情報記憶手段が備えられており、IDが記憶されている。レンズユニット10l−Cが装着レンズユニット10l-curとなった場合、カメラ本体10bのCPU130は、IDと入力された購入先の住所を添付した各ステージの環境負荷情報の送信をパソコン1に要求する通知を送信する。パソコン1にてIDをキーにした環境負荷情報の外部環境負荷情報DB2あるいはその他のインターネットサイトでの検索が不成功に終わった場合、インターネットサイトでのIDに対応する諸元(質量、価格、焦点距離、定格電流など)の検索を開始する。パソコン1は、検索の結果、IDに対応する諸元が発見された場合、この諸元をカメラ本体10bに送信する。
【0092】
カメラ本体10bのCPU130は、パソコン1から諸元を受信すると、その諸元に含まれる質量MCや価格PCや焦点距離FCなどの基礎データと、環境負荷テーブル150が保存されたレンズユニット10l(例えばタイプAやタイプB)の中から任意に選択されたレンズユニット10lである参照用レンズユニットのIDに対応する質量MXや価格PXや焦点距離FXなどの基礎データとから、按分比率Rを算出する。例えば、CPU130は、R=MC/MXとする。あるいは、R=PC/PXとする。あるいは、R=FC/FXとする。CPU130は、参照用レンズユニットの環境負荷テーブル150の各ステージの環境負荷値に比率Rを乗じた値を、装着レンズユニット10l-curであるレンズユニット10l−Cの各ステージの環境負荷値として算出し、これらの値を環境負荷テーブル150として格納する。
【0093】
つまり、図5に示すように、レンズユニット10l−Cの各ステージの未知の環境負荷値を、既知のレンズユニット10lの環境負荷値の比例配分(按分)により求める。図5では質量を基準にした比例配分であるが、その他の基礎データを用いてもよい。
【0094】
諸元の基礎データすらも不明な場合は、消費電力測定部50で測定した、カメラ本体10bおよび装着レンズユニット10l-curの合計の消費電力と既知のレンズユニット10lの環境負荷値を頼りに装着レンズユニット10l-curの環境負荷値を推測する。
【0095】
図6は、CPU130の実行する環境負荷値推測処理のフローチャートである。この処理をCPU130に実行させるためのプログラムは不揮発性メモリ157に記憶されている。CPU130は、この処理を実施するか否かの設定を操作スイッチ38から受け付け、実施する旨の設定を受け付けた場合のみ処理を実施し、実施しない旨の設定を受け付けた場合は処理を実施しないものとする。
【0096】
S11では、装着レンズユニット10l-curのIDを外部I/F161やICタグリーダなどを経由して入力する。ただし、装着レンズユニット10l-curからカメラ本体10bに環境負荷情報は入力されなかったものとする。
【0097】
S12では、パソコン1による装着レンズユニット10l-curの環境負荷情報の検索が成功したか否かを、パソコン1に問い合わせ、その問い合わせに対する返答の内容により環境負荷情報の受信の可否を判断する。パソコン1からの返答が「環境負荷情報あり」(Yes)の場合はS17に進み、「環境負荷情報なし」(No)の場合はS13に進む。
【0098】
S13では、装着レンズユニット10l-curの質量、材質、定格電流などの諸元を、外部I/F161やICタグリーダなどを経由して入力する。
【0099】
S14では、入力された諸元に対応する環境負荷情報の検索を外部I/F161経由でパソコン1に依頼する。パソコン1は、当該依頼を受信したことに応じて諸元に対応する環境負荷情報を検索する。例えば、パソコン1が図示しない検索エンジンに接続し、「諸元に対応する環境負荷情報」を検索キーワードに指定して検索エンジンにサイトの検索を依頼し、検索されたサイトがあれば、そこにパソコン1が接続して環境負荷情報を取得し、これをカメラ10に送信する。パソコン1からカメラ本体10bに諸元に対応する環境負荷情報が送信されればS16、当該環境負荷情報が送信されなければS15に進む。
【0100】
S15では、上述したように、パソコン1から諸元を受信すると、その諸元に含まれる質量MCや価格PCや焦点距離FCなどの基礎データと、環境負荷テーブル150が保存されたレンズユニット10l(例えばタイプAやタイプB)の中から任意に選択されたレンズユニット10lである参照用レンズユニットのIDに対応する質量MXや価格PXや焦点距離FXなどの基礎データとから、比率Rを算出する。例えば、モータ(駆動手段152)の質量が消費電力と比例するとみなせるから、これを環境負荷情報の推測基準とすることができる。そして、参照用レンズユニットの環境負荷テーブル150の各ステージの環境負荷値に比率Rを乗じた値を、装着レンズユニット10l-curであるレンズユニット10l−Cの各ステージの環境負荷値として算出し、これらの値を環境負荷テーブル150として格納する。
【0101】
S16では、パソコン1から諸元に対応する環境負荷情報を外部I/F161経由で受信する。
【0102】
S17では、パソコン1からIDに対応する環境負荷情報を外部I/F161経由で受信する。
【0103】
S18では、消費電力測定部50にて、消費電力を測定し、測定された消費電力を、カメラ10の使用ステージでの環境負荷情報としてメモリ157に格納する。あるいは、装着レンズユニット10l-curと本体10bの定格電流がそれぞれメモリ157に格納されていれば、(装着レンズユニット10l-curの定格電流+本体10bの定格電流)×電源オンから経過した総時間をカメラ10全体の消費電力としてもよい。
【0104】
S19では、環境負荷情報をLCD22に表示する。図7はS19でLCD22に表示された環境負荷情報の一例を示す。環境負荷情報の基準となった情報(IDに対応した環境負荷情報、諸元に対応した環境負荷情報)に応じた環境負荷情報の精度を合わせて表示してもよい。
【0105】
なお、消費電力測定部50の代わりに、動作履歴に応じた消費電力の推移を示す消費電流モデルを不揮発性メモリ157に記憶しておき、CPU130が統括制御した動作に対応する消費電流をモデルから推測してもよい。図8は消費電流モデルの一例を示す。
【0106】
<その他の実施形態>
第1実施形態で説明した、CPU130が実行する処理をパソコン1が実行してもよい。また、CPU130を備えるカメラ10以外各種電子機器、例えば携帯電話、パソコン、PDAなどにおいても当該処理を実行してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】環境負荷演算システムの概略構成図
【図2】カメラ全体のLCA算出の流れを概念的に示す図
【図3】環境負荷算出処理のフローチャート
【図4】環境負荷の表示例を示す図
【図5】レンズユニット10l−Cの各ステージの未知の環境負荷値を、既知のレンズユニット10lの環境負荷値の比例配分(按分)により求める様子を例示した図
【図6】環境負荷値推測処理のフローチャート
【図7】LCD22に表示された環境負荷情報の一例を示す図
【図8】消費電流モデルの一例を示す図
【符号の説明】
【0108】
1:パソコン、2:外部環境情報DB、10:デジタルカメラ、130:CPU、50:消費電力測定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品を装着可能な電子機器であって、
装着された部品の識別情報を入力する部品識別情報入力部と、
前記部品識別情報入力部の入力した部品識別情報に対応する環境負荷情報である部品環境負荷情報を取得する部品環境負荷情報取得部と、
前記電子機器に対応する環境負荷情報である本体環境負荷情報を取得する本体環境負荷情報取得部と、
前記部品環境負荷情報取得部の取得した部品環境負荷情報と前記本体環境負荷情報取得部の取得した本体環境負荷情報とに基づいて、前記部品の装着された電子機器の環境負荷情報を算出する環境負荷情報算出部と、
を備える電子機器。
【請求項2】
前記環境負荷情報算出部は、電子機器の電源投入後に装着された部品が、電源投入前の部品から変更されたことに応じて前記部品の装着された電子機器の環境負荷情報を算出する請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記環境負荷情報算出部は、前記部品の装着された電子機器の環境負荷情報を算出する旨の設定を受け付けた場合に前記部品の装着された電子機器の環境負荷情報を算出する請求項1または2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記装着された部品の入手先の入力を受け付ける入力部を備え、
前記環境負荷情報算出部は、前記入力部が受け付けた入手先に基づいて輸送段階の環境負荷情報を算出する請求項1〜3のいずれかに記載の電子機器。
【請求項5】
電子機器に装着可能な部品に対応する環境負荷情報を部品の識別情報とともに記憶する記憶部を備え、
前記環境負荷情報算出部は、前記部品識別情報入力部の入力した部品の識別情報に対応する環境負荷情報に基づいて前記部品の装着された電子機器の環境負荷情報を算出する請求項1〜4のいずれかに記載の電子機器。
【請求項6】
前記記憶部に記憶される環境負荷情報は、前記部品の製造段階、輸送段階もしくは廃棄段階の環境負荷のうち少なくとも1つを含む請求項5に記載の電子機器。
【請求項7】
前記部品環境負荷情報取得部は、前記部品識別情報入力部の入力した部品の識別情報に対応する環境負荷情報の検索を外部の情報処理装置に依頼して、公開されたリソースから前記情報処理装置が検索した環境負荷情報を取得し、
前記環境負荷情報算出部は、前記情報処理装置から取得した環境負荷情報に基づいて前記部品の装着された電子機器の環境負荷情報を算出する請求項1〜4のいずれかに記載の電子機器。
【請求項8】
前記部品環境負荷情報取得部は、前記部品識別情報入力部が識別情報を入力した部品を構成する構成要素の各々に対応する環境負荷情報の検索を外部の情報処理装置に依頼して、公開されたリソースから前記情報処理装置が検索した前記部品を構成する構成要素の各々に対応する環境負荷情報環境負荷情報を取得し、
前記環境負荷情報算出部は、前記情報処理装置から取得した環境負荷情報に基づいて前記部品の装着された電子機器の環境負荷情報を算出する請求項1〜4のいずれかに記載の電子機器。
【請求項9】
前記環境負荷情報算出部は、前記部品環境負荷情報取得部が環境負荷情報を取得済みの任意の部品の諸元と前記部品環境負荷情報取得部が環境負荷情報を未取得の部品の諸元との比率と、前記取得済みの部品の環境負荷情報とに基づいて未取得の部品の環境負荷情報を算出する請求項8に記載の電子機器。
【請求項10】
前記部品環境負荷情報取得部は、前記部品識別情報入力部が識別情報を入力した部品の定格電流の情報を取得し、
前記環境負荷情報算出部は、前記部品の定格電流に基づいて前記部品の装着された電子機器の使用段階の環境負荷情報を算出する請求項1〜9のいずれかに記載の電子機器。
【請求項11】
前記部品の装着された電子機器の動作内容に応じた使用段階の環境負荷のモデル測定値を記憶するモデル測定値記憶部を備え、
前記環境負荷情報算出部は、前記モデル測定値記憶部の記憶した使用段階のモデル測定値に基づいて前記部品の装着された電子機器の環境負荷情報を算出する請求項1〜9のいずれかに記載の電子機器。
【請求項12】
前記環境負荷情報算出部の算出した環境負荷情報を、所定の表示装置、印刷装置および記録装置のうち少なくとも1つに出力する出力部を備える請求項1〜11のいずれかに記載の電子機器。
【請求項13】
部品を装着可能な電子機器が、
装着された部品の識別情報を入力するステップと、
前記入力した部品識別情報に対応する環境負荷情報である部品環境負荷情報を取得するステップと、
前記電子機器に対応する環境負荷情報である本体環境負荷情報を取得するステップと、
前記取得した部品環境負荷情報と前記取得した本体環境負荷情報とに基づいて、前記部品の装着された電子機器の環境負荷情報を算出するステップと、
を実行する環境負荷情報算出方法。
【請求項14】
請求項13に記載の環境負荷情報算出方法を電子機器に実行させる環境負荷情報算出プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−118947(P2010−118947A)
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−291357(P2008−291357)
【出願日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】