説明

電子機器、電子機器の制御方法

【課題】指向性が強い通信波は、通信可能な方向(範囲)が限定される。例えば、アレイアンテナを複数備えれば、通信可能な方向を増加させることが可能になる。しかし、アレイアンテナの使用数を増やすと、製品コストが上昇したり、電力消費が増加したりしてしまうという問題があった。このため。電子機器において、アレイアンテナの使用数を低減しつつ、通信相手を確認し易くすることが課題になっていた。
【解決手段】実施形態の電子機器は、第1の方向に通信波の送受信が可能なアンテナ部を備える。また、前記第1の方向の一部に設けられ、前記通信波の送受信可能な方向を第2の方向へ電気的に切替え可能な切替え部を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、電子機器、電子機器の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、無線通信にミリ波と呼ばれる電磁波が用いられつつある。
ミリ波とは、電磁波の中でも、周波数帯域が30GHzから300GHzほどの電波のことである。すなわち、その波長がおおよそ10mm(30GHz)から1mm(300GHz)程度であることから、ミリ波(Extremely High FrequencyまたはEHF)と呼ばれている。
【0003】
例えば、携帯電話等の通信に用いられている通信波の周波数は、およそ1.7GHzから2GHz程度であるが、ミリ波はその数十倍から数百倍の周波数である。このため、広い帯域を使用することが可能であり、短距離通信であれば、例えば、1Gbpsを超えるような高速の無線通信を行うことが可能である。
【0004】
また、ミリ波の通信(ミリ波の送受信)においては、ミリ波が光の特性に近く、直進性および指向性が強いため、通信を行うことが可能な方向(範囲)が限定される。
【0005】
このため、例えば、アレイアンテナ(array antenna)を用い、ビームフォーミング等が行われる。
しかし、アレイアンテナの通信可能な方向(範囲)は、通常は、60°程度の方向であり、上記ビームフォーミング等を行なっても160°程度の方向である。このため、160°を超えるアレイアンテナの真横方向や裏側(反対)方向にはミリ波の通信電波は届かず、この場合、通信相手を確認することはできなかった。
【0006】
例えば、アレイアンテナを複数備えれば、通信可能な方向(範囲)を増加させることが可能であり、通信相手を確認し易くなる。
しかし、電子機器において、アレイアンテナの使用数を増やすと、製品コストが上昇したり、複数のアレイアンテナで電力が消費され、電力消費が増加したりしてしまうという問題があった。
【0007】
このため、アレイアンテナの使用数を低減しつつ、通信相手を確認し易くすることが課題になっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平11−27036号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
電子機器において、アレイアンテナの使用数を低減しつつ、通信相手を確認し易くすることが課題になっていた。
【課題を解決するための手段】
【0010】
実施形態の電子機器は、第1の方向に通信波の送受信が可能なアンテナ部を備える。
また、前記第1の方向の一部に設けられ、前記通信波の送受信可能な方向を第2の方向へ電気的に切替え可能な切替え部を備える。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】電子機器と他の電子機器で行なわれる、指向性が強い電波を用いるデータ通信の一例を説明する図。
【図2】実施形態に係わる電子機器の一例の外観図。
【図3】実施形態に係わる電子機器の一例の構成を説明するブロック図。
【図4】実施形態に係わる電子機器の一例の構成を説明する図。
【図5】実施形態に係わる電子機器の他の例の構成を説明する図。
【図6】実施形態に係わる電子機器の他の例の構成を説明する図。
【図7】実施形態に係わる電子機器の一例の動作を説明するフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照し、実施の形態を説明する。
図1は、電子機器と他の電子機器で行なわれる、指向性が強い電波を用いるデータ通信の一例を説明する図である。
符号10は、例えば、ミリ波のように指向性が強い電波を用いて、データ通信を行なう電子機器である。ここではパーソナルコンピュータ(PC1)を一例として用い、説明する。符号10bは他の電子機器(PC2)である。電子機器10はこの電子機器(PC2)10bとミリ波を用いたデータ通信を行なう。
【0013】
符号131は、例えば、電子機器(PC1)10において、指向性が強い電波であるミリ波を用いた通信が可能な方向を示している。ここでは、すなわち、パーソナルコンピュータ(PC1)10の他の電子機器との通信が可能な方向である。
【0014】
図に示すように、電子機器(PC2)10bは電子機器(PC1)10のミリ波通信可能な方向であるPC1の通信方向にある。このため、電子機器(PC1)10と電子機器(PC2)10bは指向性が強い電波であるミリ波を用いた通信を行なうことが可能である。
【0015】
また、符号20は電子機器(TV)、符号30は電気機器(スマートフォン)である。
図に示すように、これらの電子機器(TV)20および電気機器(スマートフォン)30は、ここでは、電子機器(PC1)10のミリ波通信が可能な方向であるPC1の通信方向にない。このため、電子機器(TV)20および電気機器(スマートフォン)30は、電子機器(PC1)10とはミリ波通信を行なうことができない状態である。
【0016】
このように、例えば、ミリ波通信のような指向性が強い電波を用いる通信においては、他の電子機器との通信可能な方向(範囲)が限定される。
このため、この実施の形態においては、後述するように、例えば、電子機器(PC)10の通信波の送受信可能な方向を電気的に切替えることによって、通信相手(他の電子機器)を確認し易くするようにしている。
【0017】
図2は、実施形態に係わる電子機器の一例の外観図である。
ここでは、電子機器は、例えばノートブックタイプのパーソナルコンピュータ(ノートPC)10として実現されている。
なお、この実施の形態はパーソナルコンピュータに限られず、TVや携帯電話、携帯型の電子機器等に適用することも可能である。
図2に示すように、本電子機器(ノートPC)10は、コンピュータ(ノートPC)本体の筐体11と、映像表示部(ディスプレイユニット)12とから構成されている。映像表示部(ディスプレイユニット)12には、例えば、LCD(liquid crystal display)17が組み込まれている。
【0018】
映像表示部(ディスプレイユニット)12は、コンピュータ(ノートPC)本体の筐体11の上面が露出される開放位置と、コンピュータ(ノートPC)本体の筐体11の上面を覆う閉塞位置との間を、回動自在にコンピュータ(ノートPC)本体の筐体11に取り付けられている。
【0019】
コンピュータ(ノートPC)本体の筐体11は、例えば、薄い箱形の筐体を有しており、その上面には、キーボード13、本電子機器(ノートPC)10を電源オン/電源オフするためのパワーボタン14、入力操作パネル15、タッチパッド16、スピーカ18A、18Bなどが配置されている。入力操作パネル15上には、各種操作ボタンが設けられている。
【0020】
また、コンピュータ(ノートPC)本体の筐体11の右側面には、例えばUSB(universal serial bus)2.0規格のUSBケーブルやUSBデバイスを接続するためのUSBコネクタ19が設けられている。
【0021】
さらに、コンピュータ(ノートPC)本体の筐体11の背面には、例えばHDMI(high-definition multimedia interface)規格に対応した外部ディスプレイ接続端子(図示せず)が設けられている。この外部ディスプレイ接続端子は、デジタル映像信号を外部ディスプレイに出力するために用いられる。
【0022】
図2は、実施形態に係わる電子機器(ノートPC)の構成を示すブロック図である。
本電子機器(ノートPC)10は、図2に示されているように、CPU(central processing unit)101、ノースブリッジ102、主メモリ103、サウスブリッジ104、GPU(Graphics Processing Unit)105、VRAM(ビデオRAM:random access memory)105A、サウンドコントローラ106、BIOS−ROM(basic input/output system-read only memory)107、LAN(local area network)コントローラ108、ハードディスクドライブ(HDD(記憶装置))109、光ディスクドライブ(ODD)110、USBコントローラ111A、カードコントローラ111B、無線LANコントローラ112、エンベデッドコントローラ/キーボードコントローラ(EC/KBC)113、EEPROM(electrically erasable programmable ROM)114等を備える。
【0023】
また、CPU101は、本電子機器(ノートPC)10内の各部の動作を制御するプロセッサである。
CPU101は、BIOS−ROM107に格納されたBIOSを実行する。BIOSは、ハードウェア制御のためのプログラムである。
ノースブリッジ102は、CPU101のローカルバスとサウスブリッジ104との間を接続するブリッジデバイスである。ノースブリッジ102には、主メモリ103をアクセス制御するメモリコントローラも内蔵されている。また、ノースブリッジ102は、例えば、PCI EXPRESS規格のシリアルバスなどを介してGPU105との通信を実行する機能も有している。
【0024】
GPU105は、本電子機器(ノートPC)10のディスプレイモニタとして使用されるLCD17を制御する表示コントローラである。
このGPU105によって生成される表示信号はLCD17に送られる。また、GPU105は、HDMI制御回路3およびHDMI端子2を介して、外部ディスプレイ1にデジタル映像信号を送出することもできる。
【0025】
HDMI端子2は、前述の外部ディスプレイ接続端子である。HDMI端子2は、非圧縮のデジタル映像信号とデジタルオーディオ信号とを1本のケーブルでテレビのような外部ディスプレイ1に送出することができる。HDMI制御回路3は、HDMIモニタと称される外部ディスプレイ1にデジタル映像信号を、HDMI端子2を介して送出するためのインタフェースである。
【0026】
サウスブリッジ104は、HDD109及びODD110を制御するためのIDE(Integrated Drive Electronics)コントローラを内蔵している。
【0027】
さらに、サウスブリッジ104は、サウンドコントローラ106との通信を実行する機能も有している。
サウンドコントローラ106は音源デバイスであり、再生対象のオーディオデータをスピーカ18A,18BまたはHDMI制御回路3に出力する。LANコントローラ108は、例えばIEEE 802.3規格の有線通信を実行する有線通信デバイスであり、一方、無線LANコントローラ112は、例えばIEEE 802.11g規格の無線通信を実行する無線通信デバイスである。USBコントローラ111Aは、(USBコネクタ19を介して接続される)例えばUSB 2.0規格に対応した外部機器との通信を実行する。
【0028】
例えば、USBコントローラ111Aは、例えば、デジタルカメラに格納されている画像データファイルを受信するために使用される。カードコントローラ111Bは、コンピュータ(ノートPC)本体の筐体11に設けられたカードスロットに挿入される、SDカードのようなメモリカードに対するデータの書き込み及び読み出しを実行する。
【0029】
EC/KBC113は、電力管理のためのエンベデッドコントローラと、キーボード13及びタッチパッド16を制御するためのキーボードコントローラとが集積された1チップマイクロコンピュータである。EC/KBC113は、ユーザによるパワーボタン14の操作に応じて本電子機器(ノートPC)10を電源オン/電源オフする機能を有している。
【0030】
この実施の形態における表示制御は、例えばCPU101が主メモリ103やHDD109等に記録されたプログラムを実行させることにより行われる。
また、この実施の形態においては、電子機器(PC)10の通信波の送受信可能な方向を、例えば、第1の方向と第2の方向の間で、電気的に切替えることによって、ミリ波通信の通信相手(電子機器)を確認し易くするために、例えば、ミリ波通信コントローラ120、アンテナ22、透過/反射板23を備えている。
【0031】
アンテナ22は、例えば、図4で説明するアレイアンテナである。また、透過/反射板23は、後述するように、ミリ波の透過および反射を行なう。
ミリ波通信コントローラ120は、これらのアンテナ22および、透過/反射板23を電気的に制御する。
図4は、実施形態に係わる電子機器の一例の構成を説明する図である。
上記のように、符号11は電子機器(PC)10の筐体である。また、符号22はアレイアンテナ、符号23aは透過/反射板、符号24は通信制御回路である。この通信制御回路24は、例えば、上記ミリ波通信コントローラ120に含まれる。
【0032】
また、符号31は電子機器(PC)10がミリ波通信可能な第1の通信方向(透過)である。また、符号32は同じく電子機器(PC)10がミリ波通信可能な第2の通信方向(反射)である。
【0033】
これらのアレイアンテナ22、透過/反射板23a、通信制御回路24は、例えば、電子機器(PC)10の筐体11内部に収容される。
この実施の形態においては、アレイアンテナ22は、例えば、上記のように指向性が強く、第1の通信方向31にミリ波を送受信する。
ここで、一般的なアレイアンテナについて説明する。
上記のように、アレイアンテナは、指向性が強いアンテナである。
一般に、アレイアンテナは、小さなアンテナを平面状に多数配列したもので、その数は、数千個に上ることがある。個々のアンテナの出力は微弱である。しかし、複数のアンテナから合成されるので大出力が得られる。
【0034】
また、アレイアンテナの上記小さなアンテナから同時に電波(ミリ波)が出力された場合は、合成波は、アンテナ面と直角な方向に向かって進む。また、上記小さなアンテナ毎に電波の位相をずらすと、合成波はアンテナ面から斜め方向に出力される。
【0035】
また、ミリ波の受信は、小さなアンテナ毎の位相の差を調べることにより、電波(ミリ波)の入射方向を調べることが可能である。
また、この実施の形態においては、透過/反射板23aが構成され、例えば、この第1の通信方向31、すなわち、アレイアンテナ22からミリ波が送受信される方向に、アレイアンテナ22から送受信されるミリ波が透過および反射される。
【0036】
また、この透過/反射板23aは、上記ミリ波の反射および透過を電気的に制御する。例えば、ミリ波の反射を行なう場合は、透過/反射板23aが実質的に金属等のように鏡面にされ、ミリ波を反射するように電気的に制御される。また、ミリ波の透過を行なう場合は、例えば、上記金属等のような鏡面に、そのミリ波の波長よりも小さい隙間が形成され、ミリ波が透過可能になるように、電気的に制御される。
【0037】
一般に、電磁波はその波長よりも小さい隙間が金属面にあいていても透過せず、反射される性質がある。
この実施の形態においては、これを利用し、例えば、複数の隙間のあるパネルを組み合わせて透過/反射板23aに鏡面を構成したり、その透過/反射板23aのパネルに穴を開けたりすることを電気的に行なうことで透過/反射の切替え制御を行なうことが可能である。
【0038】
この実施の形態においては、例えば、このように、この透過/反射板23に対してミリ波の反射および透過を電気的に切替え制御し、透過/反射板23aを制御する。
【0039】
これらは、例えば、電気信号で光の反射、透過を切換える液晶シャッタのように切り替え制御される。
この実施の形態においては、通信制御回路24に制御され、透過/反射板23aは、ミリ波の透過および反射を切替え制御する。
そして、通信制御回路24が透過/反射板23aをミリ波の透過に切替え制御した場合は、透過/反射板23aにおいてミリ波は透過される。このため、アレイアンテナ22におけるミリ波の送受信方向は、図に示すように、符号31を付した第1の通信方向になる。
【0040】
また、通信制御回路24が透過/反射板23aをミリ波の反射に切替え制御した場合は、透過/反射板23aにおいてミリ波は反射される。このため、アレイアンテナ22におけるミリ波の送受信方向は、図に示すように、符号32を付した第2の通信方向になる。
【0041】
この実施の形態においては、上記透過/反射板23aにおけるミリ波の透過/反射の切替え制御は、例えば、数十ミリ秒〜1秒程度の間隔で、周期的に行なわれる。
また、この実施の形態においては、例えば、通信相手の電子機器が確認された場合は、通信相手が確認されたタイミングの方向、すなわち、透過の切替え制御タイミングで通信相手が確認された場合は透過/反射板23aの制御を透過側に固定する。また、反射の切替え制御タイミングで通信相手が確認された場合は透過/反射板23aの制御を反射側に固定する。これにより、相手方電子機器とのデータ通信ができるようにする。
【0042】
上記のように、この実施の形態においては、透過/反射板23aが透過状態になっていれば、第1の通信方向31に電波が放射され、実質的に透過/反射板23aがない場合と同様の通信が可能になる。
【0043】
また、透過/反射板23aが反射状態になった場合は、ミリ波は反射され、第2の通信方向32に電波が放射され、第2の通信方向32で相手電子機器との通信が可能になる。これにより、相手電子機器を確認し易くなる。
【0044】
図5は、実施形態に係わる電子機器の他の例の構成を説明する図である。
この実施の形態においては、上記透過/反射板23aに代え、フィルム状の透過/反射フィルム23bを構成する。また、ここでは、ミリ波を透過する程度に略透明のフィルム固定部25を備える。フィルム固定部25は、例えば、筐体11に支持される。
【0045】
そして、透過/反射フィルム23bは上記フィルム固定部25に貼付され、上記透過/反射板23aと同様に、通信制御回路24に指示され、アレイアンテナ22と送受信されるミリ波の透過/反射を切替え制御する。
【0046】
この実施の形態においては、フィルム状の透過/反射フィルム23bを用いることにより、安価に、または柔軟に電子機器10に設置することが可能になる。
また、例えば、このフィルム状の透過/反射フィルム23bを用いる場合は、図に示すように筐体11の内部の構造体に貼り付けることで、容易に透過/反射フィルム23bが貼付されたフィルム固定部25を固定し、設置することが可能になる。
【0047】
図6は、実施形態に係わる電子機器の他の例の構成を説明する図である。
この実施の形態においては、上記透過/反射板23aに代え、図に示すように、湾曲した透過/反射板あるいは湾曲した透過/反射シート23cを構成する。
そして、上記と同様に、例えば、通信制御回路24が湾曲した透過/反射板(シート)23cをミリ波の透過に切替え制御した場合は、湾曲した透過/反射板(シート)23cにおいてミリ波は透過される。このため、アレイアンテナ22におけるミリ波の送受信方向は、図に示すように、第1の通信方向31である。
【0048】
また、通信制御回路24が湾曲した透過/反射板(シート)23cをミリ波の反射に切替え制御した場合は、湾曲した透過/反射板(シート)23cにおいてミリ波は反射される。このため、アレイアンテナ22におけるミリ波の送受信方向は、図に示すように、第2の通信方向32である。
【0049】
そして、この実施の形態においては、上記湾曲した透過/反射板(シート)23cにおけるミリ波の透過/反射の切替え制御は、例えば、数十ミリ秒〜1秒程度の間隔で、周期的に行なわれる。
【0050】
そして、例えば、通信相手の電子機器が確認された場合は、通信相手が確認されたタイミングの方向、すなわち、透過の切替え制御タイミングで通信相手が確認された場合は湾曲した透過/反射板(シート)23cの制御を透過側に固定する。また、反射の切替え制御タイミングで通信相手が確認された場合は湾曲した透過/反射板(シート)23cの制御を反射側に固定する。これにより、相手方電子機器とのデータ通信ができるようにする。
【0051】
上記のように、例えば、透過/反射板(シート)23cを、図に示すように凸面鏡のように湾曲した形にし、反射した場合のミリ波の放射方向(範囲)をさらに広げることが可能になる。
【0052】
図7は、実施形態に係わる電子機器の一例の動作を説明するフローチャートである。
符号S100は、ここでの開始ステップである。続いて、ステップS101へ進む。
ステップS101は、他電子機器とのミリ波通信をONにするステップである。続いて、続いて、ステップS102へ進む。
ステップS102は、CPU101の指示で透過/反射部(例えば、透過/反射板23a、透過/反射シート23b、湾曲した透過/反射板(シート)23c等)の通信波(ミリ波)の透過および反射制御を周期的に切替え、通信相手機器を探すステップである。続いて、続いて、ステップS103へ進む。
【0053】
ステップS103は、電子機器(PC)10の通信相手機器は確認されたかを判別するステップである。電子機器(PC)10の通信相手機器は確認されたかと判別された場合はステップS104へ進む(Yes)。電子機器(PC)10の通信相手機器は確認されないと判別された場合はステップS102へ進み上記処理を繰り返す(No)。
【0054】
ステップS104は、透過/反射部(23a、23b、23c等)を、上記説明したように、通信相手機器とのミリ波通信が確認された、透過または反射制御のいずれかに固定するステップである。続いて、続いて、ステップS105へ進む。
【0055】
ステップS105は、通信が確認された相手電子機器とデータ通信を行なうステップである。続いて、続いて、ステップS106へ進む。
ステップS106は、相手電子機器と行なうデータ通信を監視し、データ通信は切れたかを判別するステップである。データ通信が切れたと判別される場合は、ステップS102へ戻り、上記処理を繰り返す(Yes)。データ通信が切れないと判別される場合は、ステップS105へ戻り、上記処理を繰り返す(No)。
【0056】
この実施の形態においては、例えば、相手電子機器との通信が非接続の場合に、相手電子機器を見つけるために、周期的にビーコンや接続要求信号を送信または受信しなくてはならない場合、例えば、通信制御回路24が、上記透過と反射を一定時間毎に、周期的に切換え制御を行うため、相手電子機器が上記第1の方向31または上記第2の方向32のどちらにいても、相手電子機器を検出し、データ通信の接続を行うことが可能になる。
【0057】
上記のように構成することによって、この発明の実施の形態においては、アレイアンテナの使用数を低減しつつ、通信相手を確認し易くすることが可能となるという効果がある。
【0058】
なお、上記実施形態は、記述そのものに限定されるものではなく、実施段階では、その趣旨を逸脱しない範囲で、構成要素を種々変形して具体化することが可能である。
【0059】
また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。
例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【符号の説明】
【0060】
10…電子機器(PC)、11…筐体、22…アレイアンテナ、23a…透過/反射板、23b…透過/反射フィルム、23c…湾曲した透過/反射板(シート)、24…通信制御回路、31…第1の通信方向(透過)、32…第2の通信方向(反射)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の方向に通信波の送受信が可能なアンテナ部と、
前記第1の方向の一部に設けられ、前記通信波の送受信可能な方向を第1の方向および第2の方向へ電気的に切替え可能な切替え部を備える電子機器。
【請求項2】
前記切替え部は、前記通信波の透過および反射を切替え可能な切替え部材を備える請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記切替え部の制御を行なう制御部を備える請求項1または2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記切替え部は、前記通信波を透過した場合は前記第1の方向に、反射した場合は前記第2の方向に通信波を送受信する請求項1乃至3に記載の電子機器。
【請求項5】
筐体を備え、前記筐体は前記アンテナ部および前記切替え部を収容する請求項1乃至4に記載の電子機器。
【請求項6】
前記切替え部材は、板状またはフィルム状に構成される請求項1乃至5に記載の電子機器。
【請求項7】
前記切替え部材は、一部が湾曲した湾曲部を備える請求項1乃至6に記載の電子機器。
【請求項8】
前記切替え部の制御を行なうことによって、実質的に指向性を向上させる請求項1乃至7に記載の電子機器。
【請求項9】
第1の方向に通信波の送受信を行なうステップと、
前記通信波の送受信を第1の方向および第2の方向へ電気的に切替えるステップを備える電子機器の制御方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2012−199733(P2012−199733A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−61992(P2011−61992)
【出願日】平成23年3月22日(2011.3.22)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】