説明

電子機器の入力装置及び入力制御方法

【課題】静電容量方式のタッチセンサを備える入力装置の信頼性を向上させる。
【解決手段】入力装置9は、制御回路部2における、入力操作の有無の判定が未確定の時点において、かつ、第2のセンサ8から第2の検知情報が出力された状態で、第1の検知情報及び第2の検知情報に基づき、操作部に対する入力操作の有効・無効の判定を行う。第2のセンサ8は、第1のセンサ7により検知される第1の検知情報の基となる、操作部に対する入力操作の検知が困難又は不可能な特定領域における、環境変化を検知して、環境変化に係る第2の検知情報を、制御回路部2に対して出力する。静電容量方式の第1のセンサ7は、操作部に対する入力操作を検知するものであるが、同第1の検知情報は環境変化の影響をも同時に受ける。そこで、第2のセンサ8による環境変化に係る第2の検知情報を考慮することで、第1の検知情報から環境変化の影響を排除する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器のための入力装置、及び、その入力装置の入力制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、LCD(液晶表示装置)やCRT等の表示装置を備えた電子機器のための入力装置として、その表示装置の画面上に配置され、画面に表示される文字、数字及びその他の記号(図形、像等からなるアイコンと称される絵記号等を含む。複数の記号で1つの記号をなすものも含む。)を、その表面側から透かして見ながら所望の文字、数字及びその他の記号(以下、本説明において「所定の記号」という。)の位置を指等でタッチし、その記号位置に応じた情報を生成して出力する装置(以下、このような入力装置をタッチパネルともいう)が広く普及している(例えば、特許文献1参照)。
例えば、銀行等の現金自動預け払い機やカーナビゲータ等の電子機器においては、タッチパネル式ディスプレーが以前から普及しており、又携帯情報端末、電子辞書等の小型の電子機器でも盛んに使われるようになっている。
【0003】
一方、タッチパネルを用いて、必ずしもLCDやCRT等の表示装置が併設されていない入力装置を実現する提案も種々なされており、例えば、本出願人は、先に、表示装置としての機能が要求されないキーボード装置であって、かつ、タッチパネル式ディスプレーと同様に、最上面に位置する入力操作面が平坦面とされたキーボード装置を提案している(例えば、特許文献2参照)。
又、タッチパネルを用いた入力装置は、キーボード装置のような非常に多様な操作部を有するもののみならず、例えば、家電製品や住宅用機器等の操作部等にも、従来のキーキャップを備える形式の入力装置を置き換えるようにして、広く用いられている(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−317041号公報
【特許文献2】特開2011−100259号公報
【特許文献3】特開2007−208682号公報
【特許文献4】特開2005−003494号公報
【特許文献5】特開平05−215624号公報
【特許文献6】特表2005−526333号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
さて、特許文献2記載のキーボード装置や、特許文献3記載の家電製品ないし住宅用機器等の操作部のような入力装置は、平坦な入力操作面を実現するにあたり、静電容量方式のタッチセンサを採用することで、高感度の入力検知を可能とするものであり、いずれも、入力操作面が平坦面とされたことから、清掃がし易くなって汚れが固着し難くなり、見栄えが向上する上に、清潔な状態を保つことができ、機能性と美観とを高度に兼ね備えたものとなる。
ところが、静電容量方式のタッチセンサは、検知される静電容量の変化を拠り所として、操作の有無の判断をするものであることから、従来の、キーキャップを備える形式の入力装置のごとく、キーキャップを打鍵することによる変位を受けて、入力を検知する入力装置には無い、特有の課題を抱えるものとなっている。
【0006】
具体的には、入力装置の置かれた環境の変化の影響、例えば、温度や湿度の変化による部品の変形等が生じることを受けて、意図的な入力操作を実行していない状態でも、検知される静電容量が変化して、静電容量方式のタッチセンサに入力操作があったものと誤認されるおそれがある。又、これとは逆に、意図的な入力操作を実行した状態でも、静電容量の変化が不足して入力操作が受け付けられず、意図した操作をすることが出来なくなるおそれがある。
【0007】
このような課題が生じる理由は、次の通りである。図9には、プリント配線基板100にプリントされた静電容量方式のタッチセンサの電極102、104を示している。ここで、図1の上図は伸張前のプリント配線基板100及び電極102、104の状態を、図9の下図は同伸張後の状態を概略的に図示している。図示の如く、電極102、104の伸張前の長手方向の長さをLx、短手方向の長さをLyとすると、電極102、104の伸張前の面積S=Lx×Lyとなる。一方、プリント配線基板100の電極102、104が、その長手方向にLxaだけ伸張した場合には、電極102、104の伸張後の面積Sa=(Lx+Lxa)×Lyとなる。そして、タッチセンサの静電容量Cと電極面積S(Sa)とは比例関係にあることから、伸張前のタッチセンサの静電容量Cと、伸張後のタッチセンサの静電容量Caとは、Ca>Cの関係となる。
【0008】
又、図10の上図は伸張前のプリント配線基板100及び電極102、104の状態を、図10の下図は同伸張後の状態を概略的に図示している。そして、図10の例では、電極102、104の伸張前の短手方向の長さをLx、長手方向の長さをLyとしたときに、プリント配線基板100が電極102、104の短手方向にLxbだけ伸張し、かつ、電極間距離dがdbだけ広がった場合には、電極102、104の伸張後の面積Sb=(Lx+Lxb)×Lyとなる。一方、タッチセンサの静電容量Cと電極間距離dとは対数関係にあることから、伸張前のタッチセンサの静電容量Cと、伸張後のタッチセンサの静電容量Caとの大小関係は、電極102、104の面積変化と、電極間距離との双方の影響を受けて定まるものとなる。
【0009】
かかる課題に対し、本出願人は、タッチセンサから入力される入力情報に応じて、入力感度(閾値)を切り替えることで、誤入力を防止する技術を開発している(特願2010−244563号)。又、上記特許文献4〜6には、ひずみセンサや荷重センサを用いて所定の押圧を検知した場合に、入力操作を有効と判断することで、環境変化の影響を受けて、タッチセンサにより検知される静電容量の変化が生じても、意図した操作を可能とする技術が開示されている。
【0010】
本発明は、上記課題を解決するための手法を、上記従来技術とは異なるアプローチで提供すべく発案されたものであり、その目的とするところは、静電容量方式のタッチセンサが採用された電子機器用の入力装置において、入力操作の誤認識や、操作不能となるような事態に陥ることを回避し、その信頼性を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(発明の態様)
以下の発明の態様は、本発明の構成を例示するものであり、本発明の多様な構成の理解を容易にするために、項別けして説明するものである。各項は、本発明の技術的範囲を限定するものではなく、発明を実施するための最良の形態を参酌しつつ、各項の構成要素の一部を置換し、削除し、又は、更に他の構成要素を付加したものについても、本願発明の技術的範囲に含まれ得るものである。
【0012】
(1)操作部及び該操作部に対する入力操作を検知する静電容量方式の第1のセンサを備える入力部と、前記操作部に対する入力操作があったときに、前記第1のセンサにより検知される第1の検知情報の有効・無効の判定を行い、有効と判定された場合にのみ、前記第1の検知情報に対応する出力情報を電子機器に対して出力する制御回路部と、を備える電子機器の入力装置であって、
前記入力部は、前記第1のセンサにより検知される前記第1の検知情報の基となる、前記操作部に対する入力操作の検知が困難又は不可能な特定領域における環境変化を検知して、該環境変化に係る第2の検知情報を、前記制御回路部に対して出力する静電容量方式の第2のセンサを備え、前記制御回路部は、前記入力操作が行われているとの判定が未確定、かつ、前記第2のセンサから前記第2の検知情報が出力された状態で、前記第1の検知情報及び前記第2の検知情報に基づき、前記操作部に対する入力操作の有効・無効の判定を行う入力装置(請求項1)。
【0013】
本項に記載の入力装置は、制御回路部における、入力操作が行われているとの判定が未確定の状態において、かつ、第2のセンサから第2の検知情報が出力された状態で、第1の検知情報及び第2の検知情報に基づき、操作部に対する入力操作の有効・無効の判定を行うものである。ここで、入力部の静電容量方式の第2のセンサは、第1のセンサにより検知される第1の検知情報の基となる、操作部に対する入力操作の検知が困難又は不可能な特定領域(換言すれば、本入力装置の操作者が、操作部を指等により触れても、第2のセンサの静電容量に影響を及ぼさない領域(場所)等。)における環境変化を検知して、環境変化に係る第2の検知情報を、制御回路部に対して出力するものであるのに対し、静電容量方式の第1のセンサは、操作部に対する入力操作を検知するものであるが、第1の検知情報は環境変化の影響を同時に受けるものである。そこで、第2のセンサによる環境変化に係る第2の検知情報を考慮することで、第1の検知情報から環境変化の影響を排除した状態で、操作部に対する入力操作の有効・無効の判定を行うものである。かかる判定を、制御回路部によって、操作部に対する入力操作があったときに行い、有効と判定された場合にのみ、第1の検知情報に対応する出力情報を電子機器に対して出力することで、入力装置から電子機器へと、入力操作の検知情報に対応する出力情報を正確に伝えるものである。
しかも、第1の検知情報に係る物理量と、第2の検知情報に係る物理量とは、いずれも静電容量であることから、操作部に対する入力操作の有効・無効の判定を行うための、装置構成や、制御ロジックの簡素化が図られるものでもある。
【0014】
(2)上記(1)項において、前記制御回路部は、記憶部とデータ処理部とを備え、
前記記憶部は、前記第1のセンサにより検知される第1の検知情報、及び、前記第2のセンサにより検知される第2の検知情報を記憶する機能と、前記操作部に対する入力操作の有効・無効の判定をする際の判別基準である判別基準値を記憶する機能とを具備し、
前記データ処理部は、前記第1のセンサからの前記第1の検知情報と、前記第2のセンサからの前記第2の検知情報とに基づく差情報を求め、該差情報と前記判別基準値との比較結果に基づいて、前記操作部に対する入力操作の有効・無効の判定を行う機能を具備する入力装置(請求項2)。
【0015】
本項に記載の入力装置は、制御回路部の記憶部において、第1のセンサにより検知される第1の検知情報、及び、第2のセンサにより検知される第2の検知情報を記憶すると共に、操作部に対する入力操作の有効・無効の判定をする際の判別基準である判別基準値を記憶する。又、制御回路部のデータ処理部において、第1のセンサからの第1の検知情報と、第2のセンサからの第2の検知情報とに基づく差情報を求め、差情報と判別基準値との比較結果に基づいて、操作部に対する入力操作の有効・無効の判定を行うことで、上述の(1)項記載の入力装置の作用を奏するものである。
【0016】
(3)上記(2)項において、前記記憶部は、前記操作部に対する入力操作の対象位置に係る座標についての、前記第1のセンサからの前記第1の検知情報と、前記第1のセンサにより検知される前記第1の検知情報の基となる、前記操作部に対する入力操作の検知が困難又は不可能な特定領域における、環境変化に係る座標についての前記第2のセンサからの前記第2の検知情報とを、前記座標毎に記憶する機能を具備し、
前記データ処理部は、前記操作部に対する入力操作の対象位置に係る任意の座標についての、前記第1のセンサからの前記第1の検知情報と、該第1のセンサに対応する座標における前記第2のセンサからの前記第2の検知情報とに基づく第1の差情報を求め、該第1の差情報と前記判別基準値との比較結果に基づいて、前記任意の座標に対する入力操作の有効・無効の判定を行う機能を具備する入力装置(請求項3)。
【0017】
本項に記載の入力装置は、制御回路部の記憶部において、操作部に対する入力操作の対象位置に係る座標についての、第1のセンサからの第1の検知情報と、第1のセンサにより検知される第1の検知情報の基となる、操作部に対する入力操作の検知が困難又は不可能な特定領域における、環境変化に係る座標についての前記第2のセンサからの前記第2の検知情報とを、前記座標毎に記憶する。又、制御回路部のデータ処理部において、操作部に対する入力操作の対象位置に係る任意の座標についての、第1のセンサからの第1の検知情報と、第1のセンサに対応する座標における第2のセンサからの第2の検知情報とに基づく第1の差情報を求め、第1の差情報と判別基準値との比較結果に基づいて、任意の座標に対する入力操作の有効・無効の判定を行うことで、上述の(1)項記載の入力装置の作用を奏するものである。
【0018】
(4)上記(2)項において、前記記憶部は、前記操作部に対する入力操作の検知が困難又は不可能な特定領域における環境変化の検知の対象位置に係る座標についての、前記第2の検知情報の平均情報を記憶する機能を具備し、
前記データ処理部は、前記第1のセンサにより検知される前記第1の検知情報の基となる、前記操作部に対する入力操作の検知が困難又は不可能な特定領域における、環境変化の検知の対象位置に係る座標についての、前記第2の検知情報の平均情報を、前記記憶部に出力する機能と、
前記操作部に対する入力操作の対象位置に係る任意の座標についての、第1のセンサからの前記第1の検知情報と、前記第2の検知情報の平均情報とに基づく第2の差情報を求め、該第2の差情報と前記判別基準値との比較結果に基づいて、前記任意の座標に対する入力操作の有効・無効の判定を行う機能を具備する入力装置(請求項4)。
【0019】
本項に記載の入力装置は、制御回路部の記憶部において、前記第1のセンサにより検知される前記第1の検知情報の基となる、操作部に対する入力操作の検知が困難又は不可能な特定領域における環境変化の検知の対象位置に係る座標についての、第2の検知情報の平均情報を記憶する。又、制御回路部のデータ処理部において、操作部に対する入力操作の検知が困難又は不可能な特定領域における、環境変化の検知の対象位置に係る座標についての、第2の検知情報の平均情報を、記憶部に出力する。又、操作部に対する入力操作の対象位置に係る任意の座標についての、第1のセンサからの第1の検知情報と、第2の検知情報の平均情報とに基づく第2の差情報を求め、第2の差情報と判別基準値との比較結果に基づいて、任意の座標に対する入力操作の有効・無効の判定を行うことで、上述の(1)項記載の入力装置の作用を奏するものである。
なお、本項に記載の入力装置では、操作部に対する入力操作の対象位置に係る座標上で、第1のセンサ及び第2のセンサとは、必ずしも一対一の関係で一致している必要はない。例えば、第1のセンサの設置数に対して間引かれた数の第2のセンサにより環境変化に係る第2の検知情報を取得して、それを平均化した情報を用いて、第1の検知情報から環境変化の影響を排除した状態で、第1のセンサによる入力操作に係る第1の検知情報に基づく、操作部に対する入力操作の有効・無効の判定を行うものである。
【0020】
(5)上記(1)から(4)項において、前記入力部における、前記操作部に対する入力操作の、前記第1のセンサによる検知が困難又は不可能な特定領域は、前記第1のセンサと前記第2のセンサとの間に配置され、前記第1のセンサが検知する第1の検知情報の基となる入力操作を前記第2のセンサが検知することを妨げる遮蔽手段により、領域の範囲が定められている入力装置(請求項5)。
本項に記載の入力装置は、入力部における、操作部に対する入力操作の、第1のセンサによる検知が困難又は不可能な特定領域の設置範囲が、第1のセンサと第2のセンサとの間に配置され、第1のセンサが検知する第1の検知情報の基となる入力操作を第2のセンサが検知することを妨げる遮蔽手段により定められることで、第2のセンサは上述の諸機能を発揮するものとなる。なお、遮蔽手段としては、例えば、遮蔽用電極や遮蔽板等を、第1のセンサと第2のセンサとの間に介在させるものである。
【0021】
(6)上記(1)から(5)項において、前記入力部の、前記操作部に対する入力操作の対象位置に係る座標上での、前記第1のセンサの位置と対応する位置の全てに、前記第2のセンサが配置されている入力装置。
本項に記載の入力装置は、入力部の、操作部に対する入力操作の対象位置に係る座標上での、第1のセンサの位置と対応する位置の全てに、第2のセンサが配置されていることで、操作部に対する入力操作の対象位置に係る座標上で、第1のセンサ及び第2のセンサとは、一対一の関係で一致する。そして、第1のセンサ毎に、対応する第2のセンサによる環境変化に係る第2の検知情報を考慮することで、第1の検知情報から環境変化の影響を排除した状態で、第1のセンサによる入力操作に係る第1の検知情報に基づく、操作部に対する入力操作の有効・無効の判定を行うものである。
【0022】
(7)上記(4)(5)項において、前記入力部の、前記操作部に対する入力操作の対象位置に係る座標上での、前記第1のセンサの位置と対応する位置の一部に、前記第2のセンサが配置されている入力装置。
本項に記載の入力装置は、入力部の、操作部に対する入力操作の対象位置に係る座標上での、第1のセンサの位置と対応する位置の一部に、第2のセンサが配置されている、すなわち、第1のセンサの設置数に対して間引かれた数の第2のセンサを具備するものである。そして、間引かれた数の第2のセンサにより環境変化に係る第2の検知情報を取得して、それを平均化した情報を用いて、第1の検知情報から環境変化の影響を排除した状態で、第1のセンサによる入力操作に係る第1の検知情報の操作部に対する入力操作の有効・無効の判定を行うものである。
【0023】
(8)上記(1)から(7)項において、プリント基板の表裏一方の面に前記第1のセンサが、他方の面に前記第2のセンサが配置されている入力装置。
本項に記載の入力装置は、第1のセンサ及び第2のセンサが、共通のプリント基板の表裏面に各々配置されていることから、第1のセンサが操作部に対する入力操作を検知するに適した領域である上面側に配置されることで、第2のセンサは、必然的に、下面側すなわち操作部に対する入力操作の検知が困難又は不可能な領域に配置されるものとなる。そして、第2のセンサにより、入力操作を検知することなく環境変化を検知することで、上述の(1)から(7)項記載の入力装置の作用を奏するものである。
なお、第1のセンサ及び第2のセンサが、共通のプリント基板の表裏面に各々配置されることで、プリント基板のそりに対する耐性が向上することにもなる。
【0024】
(9)上記(1)から(7)項において、前記第1のセンサが配置された第1のプリント基板と、前記第2のセンサが配置された第2のプリント基板とが、積層配置されている入力装置。
本項に記載の入力装置は、第1のセンサ及び第2のセンサが、第1のプリント基板と第2のプリント基板とに各々配置され、第1のプリント基板の第1のセンサが操作部に対する入力操作を検知するに適した領域である上面側に配置され、第2のプリント基板が第1のプリント基板の下側に積層配置されることで、第2のセンサは、操作部に対する入力操作の検知が困難又は不可能な領域に配置されるものとなる。そして、第2のセンサにより、入力操作を検知することなく、環境変化を検知することで、上述の(1)から(7)項記載の入力装置の作用を奏するものである。
【0025】
(10)操作部及び該操作部に対する入力操作を検知する静電容量方式の第1のセンサと、前記第1のセンサにより検知される前記第1の検知情報の基となる、前記操作部に対する入力操作の検知が困難又は不可能な特定領域における環境変化を検知して、該環境変化に係る第2の検知情報を、前記制御回路部に対して出力する静電容量方式の第2のセンサと、を含む入力部と、記憶部及びデータ処理部を備える制御回路部とを備える、電子機器の入力装置の入力制御方法であって、
前記操作部に対する入力操作があったときに、前記入力操作が行われているとの判定が未確定、かつ、前記第2のセンサから前記第2の検知情報が出力された時点で、前記第1の検知情報及び前記第2の検知情報に基づき、前記第1のセンサにより検知される第1の検知情報の有効・無効の判定を行い、有効と判定された場合にのみ、前記制御回路部から前記第1の検知情報に対応する出力情報を、前記電子機器に対して出力する入力制御方法(請求項6)。
【0026】
(11)上記(10)項において、前記第1のセンサにより検知される第1の検知情報、及び、前記第2のセンサにより検知される第2の検知情報を、前記記憶部に記憶するステップと、
前記第1のセンサからの前記第1の検知情報と、前記前記第2のセンサからの前記第2の検知情報とに基づく差情報を求め、該差情報と、予め設定された、前記操作部に対する入力操作の有効・無効の判定をする際の判別基準である判別基準値との比較結果に基づいて、前記操作部に対する入力操作の有効・無効の判定を、前記データ処理部にて行うステップとを含む入力制御方法(請求項7)。
【0027】
(12)上記(11)項において、前記第1のセンサにより検知される第1の検知情報、及び、前記第2のセンサにより検知される第2の検知情報を、前記記憶部に記憶するステップには、前記操作部に対する入力操作の対象位置に係る座標についての、前記第1の検知情報の有無を、前記座標毎に記憶するステップを含み、
前記操作部に対する入力操作の有効・無効の判定を、前記データ処理部にて行うステップには、前記操作部に対する入力操作の対象位置に係る任意の座標についての、前記第1のセンサからの前記第1の検知情報と、該第1のセンサに対応する座標における前記第2のセンサからの前記第2の検知情報とに基づく第1の差情報を求め、該第1の差情報と前記判別基準値との比較結果に基づいて、前記任意の座標に対する入力操作の有効・無効の判定を行うステップを含む入力制御方法(請求項8)。
【0028】
(13)上記(11)項において、前記第1のセンサにより検知される第1の検知情報、及び、前記第2のセンサにより検知される第2の検知情報を、前記記憶部に記憶するステップには、前記第1のセンサにより検知される前記第1の検知情報の基となる、前記操作部に対する入力操作の検知が困難又は不可能な特定領域における、環境変化の検知の対象位置に係る座標についての、前記第2の検知情報の平均情報を記憶するステップを含み、
前記操作部に対する入力操作の有効・無効の判定を、前記データ処理部にて行うステップには、前記第1のセンサにより検知される前記第1の検知情報の基となる、前記操作部に対する入力操作の検知が困難又は不可能な特定領域における環境変化の検知の対象位置に係る座標についての、前記第2の検知情報の平均情報と、前記操作部に対する入力操作の対象位置に係る任意の座標についての、前記第1のセンサからの前記第1の検知情報とに基づく第2の差情報を求め、該第2の差情報と前記判別基準値との比較結果に基づいて、前記任意の座標に対する入力操作の有効・無効の判定を行うステップを含むことを特徴とする請求項7記載の入力制御方法(請求項9)。
【0029】
(14)上記(12)(13)項において、前記第1のセンサにより前記第1の検知情報が検知された時点で、前記第1のセンサにより検知される第1の検知情報、及び、前記第2のセンサにより検知される第2の検知情報を、前記記憶部に記憶するステップが実行された後、前記操作部に対する入力操作の有効・無効の判定を、前記データ処理部にて行うステップが実行される入力制御方法(請求項10)。
(15)上記(12)(13)項において、前記第2のセンサにより前記第2の検知情報が検知された時点で、前記第1のセンサにより検知される第1の検知情報、及び、前記第2のセンサにより検知される第2の検知情報を、前記記憶部に記憶するステップが実行された後、前記操作部に対する入力操作の有効・無効の判定を、前記データ処理部にて行うステップが実行される入力制御方法(請求項11)。
そして、上記(10)から(15)項に記載の入力制御方法は、上記ステップを実行することにより、各々、上記(1)から(4)項の入力装置に対応する作用効果を奏するものである。
【発明の効果】
【0030】
本発明はこのように構成したので、静電容量方式のタッチセンサが採用された電子機器用の入力装置において、入力操作の誤認識や、操作不能となるような事態に陥ることを回避し、その信頼性を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の一実施形態に係る入力装置の要部を示すブロック図である。
【図2】図1に示される入力装置において、静電容量方式の第1のタッチセンサ及び第2のタッチセンサが、共通のプリント基板の表裏面に各々配置された例として、立体図と、表裏面のタッチセンサの各平面図を示したものである。
【図3】図2に示される実施形態における、電子機器の入力装置の入力制御方法を示すフローチャートである。
【図4】(a)は図2に示される例におけるプリント基板の断面図を示し、(b)(c)は、図5に示される例におけるプリント基板の断面図を示すものである。
【図5】図1に示される入力装置において、静電容量方式の、第1のセンサが配置された第1のプリント基板と、第2のセンサが配置された第2のプリント基板とが、積層配置された例として、立体図と、各プリント基板のタッチセンサの平面図を示したものである。
【図6】図1に示される入力装置において、静電容量方式の第1のタッチセンサ及び第2のタッチセンサが、共通のプリント基板の表裏面に各々配置され、かつ、第1のセンサの設置数に対して第2のセンサの数が間引かれた例として、立体図と、表裏面のタッチセンサの各平面図を示したものである。
【図7】図6に示される実施形態における、電子機器の入力装置の入力制御方法を示すフローチャートである。
【図8】図1に示される入力装置において、静電容量方式の、第1のセンサが配置された第1のプリント基板と、第2のセンサが配置された第2のプリント基板とが、積層配置され、かつ、第1のセンサの設置数に対して第2のセンサの下図が間引かれた例の立体図である。
【図9】プリント配線基板及びタッチセンサの電極が、その長手方向にだけ伸張した場合を示す説明図である。
【図10】プリント配線基板及びタッチセンサの電極が、その短手方向にだけ伸張し、かつ、電極間距離が広がった場合を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。以下の説明において、従来技術と同一部分若しくは相当する部分については、同一符号で示し、詳しい説明を省略する。又、以下の説明における「上」、「下」の方向は、本説明における入力装置を平置きした状態での、上下方向を意味する。
図1に示すように、本発明の実施の形態における入力装置9は、電子機器6用の入力装置であって、例えば平坦な入力操作面を備える操作部(図示は省略する)及び操作部に対する入力操作を検知する静電容量方式のタッチセンサ7(以下、「第1のセンサ」ともいう。)を備える入力部1と、入力部1からの入力操作の検知情報が入力される制御回路部2とを備えている。
【0033】
ここで、本実施形態における入力装置9では、操作部としての入力操作面上に、それぞれ、従来の入力装置のキーキャップに対応する複数の区画が設けられており、第1のセンサ7は、各々の区画毎に設けられることで、各区画がキースイッチとして機能するものとなっている。従って、本入力装置9の操作者は、入力操作面上の各キースイッチ(区画)を指等により触れることで、第1のセンサ7により検知される、入力操作に係る検知情報(以下、「第1の検知情報」ともいう。)に対応する入力操作を実行するものである。なお、各第1のセンサ7は、例えば、各々の区画の直下に配置されるように、入力操作面の下部に配置される、プリント基板(追って詳述する)上に設けられるものであれば良い。
【0034】
又、入力部1は、対応する第1のセンサ7に生じる静電容量の変化を検出して、第1の検知情報を制御回路部2に出力する入力情報検出回路3を備えている。更に、入力装置9において、制御回路部2は、その機能ブロックとして、記憶部5及びデータ処理部4を含んでいる。尚、入力情報検出回路3は、必ずしも入力部1に備える必要はなく、入力部1の外部に構成されてもよい。
【0035】
更に、入力部1は、第1のセンサ7により検知される第1の検知情報の基となる、操作部に対する入力操作の検知が困難又は不可能な特定領域における環境変化を検知して、該環境変化に係る検知情報(以下、「第2の検知情報」ともいう。)のみ、制御回路部2に対して出力する静電容量方式の、環境変化対応用センサ8(以下、「第2のセンサ」ともいう。)を備えている。入力情報検出回路3は、第2のセンサ8によって得られる第2の検知情報についても、制御回路部2へと出力するものである。
なお、本説明において、「操作部に対する入力操作の検知が困難又は不可能な特定領域」とは、本入力装置9の操作者が、入力操作面上の各キースイッチ(区画)を指等により触れても、センサの静電容量に影響を及ぼさない領域(場所)を意味するものである。
【0036】
例えば、図2に示されるように、プリント基板20の表面20aには第1のセンサ7(SWn:図2ではn=00〜36の範囲のみ例示)が、裏面20bには第2のセンサ8(SWnb)が配置され、プリント基板20の表面が入力装置9の入力操作面から視認(View)されるように、上側に配置される。又、プリント基板20は、所謂多層板であり、表面20aに配置される第1のセンサ7(SWn)と裏面20bに配置される第2のセンサ8(SWnb)との間の干渉を避ける目的で、遮蔽用電極22を内層に備えるものである。この、遮蔽用電極22は、例えば、プレーン状又はメッシュ状をなしている。これによって、下側に配置される第2のセンサ8(SWnb)は、必然的に「操作部に対する入力操作の検知が困難又は不可能な特定領域」へと、配置されることとなる。
【0037】
又、プリント基板20の表面20a側の第1のセンサ7(SWn)と、裏面20b側の第2のセンサ8(SWnb)とは、図4(a)にも示されるように、表裏の対応する全ての位置に一対一の関係で、かつ、同一形状で配置されている。又、好ましくは、第1のセンサ7(SWn)と、第2のセンサ8(SWnb)とは、誘電率εが同じ素材(物質)で構成されている。又、説明の便宜上、図4(a)には入力装置9の操作者の指を図示しているが、実際には、プリント基板20の表面20a側の第1のセンサ7(SWn)と、操作者の指との間には、入力操作面を構成するアクリル板等のカバー部品が介在している。
【0038】
又、記憶部5は、第1のセンサ7により検知される第1の検知情報CI(後述する)、及び、第2のセンサ8により検知される第2の検知情報CS(後述する)を記憶する機能と、操作部に対する入力操作の有効・無効の判定をする際の判別基準である、判別基準値TH(後述する)を記憶する機能とを具備している。
図2のプリント基板20を具備する例では、記憶部5は、操作部に対する入力操作の対象位置に係る座標についての、第1の検知情報の有無を、座標毎(例えば、複数の第1のセンサ7(SWn)の各位置をXY座標上で把握したときの、入力操作に係る第1のセンサ7(SWn)の座標毎に記憶する機能を具備している。
【0039】
データ処理部4は、第1のセンサ7からの第1の検知情報CIと、第2のセンサ8からの第2の検知情報CSとに基づく差情報ΔCを求め、差情報ΔCと判別基準値THとの比較結果に基づいて、操作部に対する入力操作の有効・無効の判定を行う機能を具備している。
図2のプリント基板20を具備する例では、操作部に対する入力操作の対象位置に係る任意の座標についての、第1のセンサ7からの第1の検知情報CIと、第1のセンサ7に対応する座標における第2のセンサ8(該当する第1のセンサ7の真裏に位置する第2のセンサ8)からの、第2の検知情報とに基づく第1の差情報ΔCを求め、第1の差情報ΔCと判別基準値THとの比較結果に基づいて、任意の座標に対する入力操作の有効・無効の判定を行う機能を具備するものである。
【0040】
又、データ処理部4において、入力操作が行われているとの判定が行なわれる場合にのみ、制御回路部2は、入力部1から入力される入力操作の検知情報に対応する出力情報を、電子機器6に対して出力するものである。
なお、入力装置9において、制御回路部2は、中央演算処理装置、メモリ、入出力回路等を備えた周知のマイクロコンピュータシステムとして構成されるものであっても良い。その際、制御回路部2がその構成要素として備える記憶部5及びデータ処理部4は、本説明における機能を果たす限り、任意のハードウェア(比較器等)又はソフトウェア(マイクロコンピュータによる演算処理)、更にはその組み合わせにより実装することが出来る。
【0041】
次に、図1〜図4を参照しながら、これら各機能ブロックの機能と共に、本実施形態における入力装置9の入力制御方法について説明する。
本実施形態における入力装置9の入力制御方法は、概略的には、入力操作が行われているか否かの判定が未確定、かつ、第2のセンサ8から第2の検知情報CSが出力された状態で、操作部に対する入力操作があったときに、データ処理部4において、第1のセンサ7により検知される第1の検知情報CI及び第2の検知情報CSに基づき、操作部に対する入力操作の有効・無効の判定を行うステップを含むものである。そして、かかる判定において、有効と判定された場合にのみ、第1の検知情報7に対応する出力情報を、電子機器6に対して出力するステップを含むものである。
【0042】
ここで、データ処理部4において、第1の検知情報CI及び第2の検知情報CSに基づき、操作部に対する入力操作の有効・無効の判定を行うことが可能となる原理について、図4(a)を参照しながら説明する。
まず、初期の状態では、プリント基板20の表面20a(入力操作を行う面)に配置した第1のセンサ7には静電容量C1が発生し、プリント基板20の裏面20bに配置した第2のセンサ8には、静電容量C2が発生する。ここで、第1のセンサ7と第2のセンサ8を構成する電極は同じ形状で設計されているため、静電容量C1と静電容量C2は略同じ値(C1≒C2)となっている。
【0043】
一方、時間経過とともに温度変化ΔTを伴う環境変化が発生すると、プリント基板20の伸張または収縮いずれかの形状変化に伴い、第1のセンサ7と第2のセンサ8を夫々構成する対向する電極の面積や電極間距離には、図9、図10でも説明したように、略同じ変化が発生する。この変化に伴い、第1のセンサ7と第2のセンサ8とには、略同じ静電容量変化ΔCTが発生する。
すなわち、第1のセンサ7:C1+ΔCT、第2のセンサ8:C2+ΔCT(C2≒C1)となる
【0044】
この状態で、第1のセンサ7に指等が接触(または近接)して入力操作が行われる場合には、第1のセンサ7のみに接触(または近接)に伴う静電容量変化ΔCが更に発生する。
この時点では、タッチセンサ7:C1+ΔCT+ΔC(=CI)、第2のセンサ8: C2+ΔCT(=CS)(C2≒C1)となる。
【0045】
従って、第1のセンサ7の静電容量CIと第2のセンサ8の静電容量CSとの差分であるである第1の差情報ΔC=|CI−CS|を求めることにより、所謂差動入力の原理を応用して、環境変化に伴う静電容量の変化を相殺することができる。そして、入力操作による静電容量の変化ΔCが、所定の判別基準値THを超えた場合に、入力操作有効の判定を行うことが可能となるものである。
なお、判別基準値THの値は、入力装置9が使用される環境等を考慮して、適宜設定されるものである。
【0046】
上記原理を踏まえ、図2の例について、図3のフローチャートに基づき、詳細に説明する。
S100:データ処理部4において、入力部1の入力情報検出回路3からの、第1の検知情報CIの出力の有無により、第1のセンサ7が、第1の検知情報CIを検知したか否かを監視する。ここで、第1のセンサ7が、第1の検知情報CIを検知したと判断されない場合(No)には、後述するS150へと移行する。
S110:上記S100のデータ処理部4の判断において、第1のセンサ7が、第1の検知情報CIを検知したと判断された場合(Yes)には、記憶部5は、入力情報検出回路3から出力された第1の検知情報CIを、一時的に記憶する。
S120:データ処理部4は、入力情報検出回路3から出力された第2の検知情報CS、すなわち、第2のセンサ8により検知された、環境変化に係る検知情報を取得する。又、必要に応じて、第2の検知情報CSを記憶部5に一時的に記憶する。
S130:データ処理部4は、記憶部5に一時的に記憶された、第1のセンサ7からの第1の検知情報CIと、第2のセンサからの第2の検知情報CSとの、第1の差情報ΔC=|CI−CS|を求める。そして第1の差情報ΔCと判別基準値THとを比較する。ここで、|CI−CS|>THではない場合(No)には、後述するS150へと移行する。
S140:上記S130のデータ処理部4の比較の結果、|CI−CS|>THであった場合(Yes)には、データ処理部4は、操作部に対する入力操作を有効と判定する。そして、制御回路部2は、第1の検知情報CIに対応する出力情報を電子機器6に対して出力する。
S150:上記S100のデータ処理部4の判断の結果、第1のセンサ7が、第1の検知情報CIを検知したと判断されない場合(No)、及び、上記S130のデータ処理部4の比較の結果、|CI−CS|>THではない場合(No)には、データ処理部4は、操作部に対する入力操作を無効と判定する。
S160:第1のセンサにより検知される第1の検知情報の有効・無効の判定の後、記憶部5は、一時的に記憶した第1の検知情報CIをクリアする。このとき、第2の検知情報CSについても一時的に記憶している場合には、それもクリアする。
【0047】
なお、S100の判断ステップを、第1の検知情報CIを取得する、単なる処理ステップに置換することとしても良い。
又、S100の判断ステップにおいて、第2の検知情報CSの検知の有無を判断し、S110の処理ステップにて、第2の検知情報CSを一時的に記憶し、更に、S120の処理ステップにて、第1の検知情報CIを検知・取得する手順に、各々置換することとしても良い。
【0048】
更に、図3のS100〜S160の各ステップは、図2に示される、表面20a側の第1のセンサ7(SWn)と、裏面20b側の第2のセンサ8(SWnb)とを備えるプリント基板20に代えて、図5に示されるような、第1のセンサ7(SWn)が表面24aに配置された第1のプリント基板24と、第2のセンサ8(SWnb)が表面26aに配置された第2のプリント基板26とを、積層配置した構成を有する入力装置9にも適用可能である。
【0049】
ここで、図5の例に係る第1のプリント基板24、第2のプリント基板26は、例えば図4(b)に示されるように、第1のプリント基板24の表面24a側の第1のセンサ7(SWn)と、第2のプリント基板26の表面26a側の第2のセンサ8(SWnb)とが、対応する全ての位置に一対一の関係で、かつ、同一形状で配置されている。又、第1のプリント基板24、第2のプリント基板26に設けられた各センサ用電極間の干渉を避ける目的で、第1のプリント基板24の裏面24b、第2のプリント基板26の裏面26bに、各々、遮蔽用電極22を備えるものである。目的を達成する限りにおいて、この遮蔽用電極22は第1のプリント基板24の裏面24bのみに備えるものであっても良い。
【0050】
更には、図4(c)に示されるように、第1のプリント基板24、第2のプリント基板26に設けられた各センサ用電極間の干渉を避ける目的で、遮蔽用電極22に代えて、第1のプリント基板24、第2のプリント基板26の間に、例えば、プレーン状又はメッシュ状の遮蔽板28を配置することとしても良い。
図2の所謂多層板であるプリント基板20に対して、これら、図4(b)(c)、図5に示される例(所謂両面板や所謂片面板)を採用することに拠れば、各プリント基板24、26の素材や保持構造を工夫することによって、プリント基板24、26のそりに対する影響を、軽減又は解消しつつ二枚のプリント基板24、26を用いることによる、実装コストを含めた製造コストの低減を図ることも可能となる。
【0051】
なお、図4(b)、(c)の例でも、データ処理部4において、第1の検知情報CI及び第2の検知情報CSに基づき、操作部に対する入力操作の有効・無効の判定を行うことが可能となる原理は、図(a)の場合と同様であることから、詳しい説明を省略する。
又、図示の便宜上、図4(b)、(c)において、入力装置9の操作者の指や、第1のプリント基板24の表面24a側の第1のセンサ7(SWn)と、操作者の指との間に介在している、入力操作面を構成するアクリル板等のカバー部品については省略している。
【0052】
次に、本発明の実施の形態に係る、更に別の応用例について、図6〜図8を参照しながら、詳細に説明する。
図6に示されるプリント基板30は、表面30a側の第1のセンサ7の位置と対応する位置の一部に、第2のセンサ8(SWnb:図6ではn=01、03、05、31、33、35のみ例示)が配置されている。従って、図2に示されるプリント基板20との対比において、プリント基板20の表面20a側の第1のセンサ7(SWn)と、裏面20b側の第2のセンサ8(SWnb)とは、図4(a)にも示されるように、表裏の対応する全ての位置に一対一の関係で、かつ、同一形状で配置されているものと相違している。
【0053】
又、図6に示されるプリント基板30と共に採用される記憶部5は、第1のセンサ7により検知される第1の検知情報CIの基となる、操作部に対する入力操作の検知が困難又は不可能な特定領域における環境変化の検知の対象位置に係る座標についての、第2の検知情報CSの平均情報CSaveを記憶するものである。
又、データ処理部4は、第2の検知情報CSの平均情報CSaveを、記憶部5に出力すると共に、操作部に対する入力操作の対象位置に係る任意の座標についての、第1のセンサ7からの第1の検知情報CIと、第2の検知情報の平均情報CSaveとに基づく第2の差情報ΔC=|CI−CSave|を求め、第2の差情報ΔCと判別基準値THとの比較結果に基づいて、任意の座標に対する入力操作の有効・無効の判定を行うものである。
【0054】
以下、図6のプリント基板30を備える例について、図7のフローチャートに基づき、詳細に説明する。
S200:データ処理部4において、入力部1の入力情報検出回路3からの、第1の検知情報CIの出力の有無により、第1のセンサ7が、第1の検知情報CIを検知したか否かを監視する。このときの監視対象となる第1の検知情報CIは、判別基準値THよりも小さい値の範囲である。ここで、第1のセンサ7が、第1の検知情報CIを検知したと判断されない場合(No)には、後述するS270へと移行する。
S210:上記S200のデータ処理部4の判断において、第1のセンサ7が、第1の検知情報CIを検知したと判断された場合(Yes)には、記憶部5は、入力情報検出回路3から出力された第1の検知情報CIを、一時的に記憶する。
S220:複数の第2のセンサ8により第2の検知情報CS、すなわち環境変化に係る検知情報を検知する。
S230:データ処理部4は、入力情報検出回路3から出力される第2の検知情報CSの平均情報CSaveを算出する。
S240:記憶部5により、複数の第2の検知情報CSと、その平均情報CSaveを一時的に記憶する。
S250:データ処理部4は、記憶部5に一時的に記憶された、第1のセンサ7からの第1の検知情報CIと、第2のセンサからの第2の検知情報CSの平均情報CSaveとの、第2の差情報ΔC=|CI−CSave|を求める。そして、第2の差情報ΔCと判別基準値THとを比較する。ここで、|CI−CSave|>THではない場合(No)には、後述するS270へと移行する。
S260:上記S250のデータ処理部4の比較の結果、|CI−CSave|>THであった場合(Yes)には、データ処理部4は、操作部に対する入力操作を有効と判定する。そして、制御回路部2は、第1の検知情報CIに対応する出力情報を電子機器6に対して出力する。
S270:上記S230のデータ処理部4の判断の結果、第1のセンサ7が、第1の検知情報CIを検知したと判断されない場合(No)、及び、上記S250のデータ処理部4の比較の結果、|CI−CSave|>THではない場合(No)には、データ処理部4は、操作部に対する入力操作を無効と判定する。
S280:第1のセンサにより検知される第1の検知情報の有効・無効の判定の後、記憶部5は、一時的に記憶した第1の検知情報CI、第2の検知情報CS及びの平均情報CSaveをクリアする。
【0055】
なお、STARTの直後に、S220〜S240の処理ステップを実行して、その後に、S200の判断ステップ及びS210の処理ステップを実行し、S250以降のステップへと移行することとしても良い。
又、S230の処理ステップでは、データ処理部4は、入力情報検出回路3から出力される第2の検知情報CSを単純平均して、平均情報CSaveを算出しているが、入力装置9毎に(装置内の温度分布に起因する)プリント基板30の変形分布に依存する静電容量の変化分布を予め取得した上で、加重平均などの方法を用いて入力操作の有効性判定の精度を向上させることも可能である。
更には、図3の例についても、必要に応じて、入力情報検出回路3から出力される第2の検知情報CSを平均して、第1のセンサ7からの第1の検知情報CIと、第2の検知情報の平均情報CSaveとに基づく第2の差情報ΔC=|CI−CSave|を求め、第2の差情報ΔCと判別基準値THとの比較結果に基づいて、任意の座標に対する入力操作の有効・無効の判定を行う手法を適用することが可能である。
【0056】
更に、図7のS200〜S280の各ステップは、図6に示される、表面30a側の第1のセンサ7(SWn)と、裏面30b側の第2のセンサ8(SWnb)とを備えるプリント基板30に代えて、図8に示されるような、第1のセンサ7(SWn)が表面32aに配置された第1のプリント基板32と、第2のセンサ8(SWnb)が表面34aに配置された、第2のプリント基板34とを、積層配置した構成を有する入力装置9にも適用可能である。この場合、図8に例示されるように、第2のプリント基板34が分割されていることは必須ではなく、第2のプリント基板34が、図8に細線で示されるように、一体のものであっても良い。
【0057】
又、図8の例においても、図4(b)の例と同様に、第1のプリント基板32、第2のプリント基板34に設けられた各センサ用電極間の干渉を避ける目的で、第1のプリント基板32の裏面及び第2のプリント基板34の裏面に、各々、遮蔽用電極22を備えることとしても良い。目的を達成する限りにおいて、この遮蔽用電極22は第1のプリント基板32の裏面のみに備えるものであっても良い。
更には、図4(c)の例と同様に、遮蔽用電極22に代えて、第1のプリント基板32、第2のプリント基板34の間に、例えば、プレーン状又はメッシュ状の遮蔽板28を配置することとしても良い。
その他、図6のプリント基板30を用いた場合のそりに対する耐性や、図8のプリント基板32、34を用いた場合の製造コストの低減効果については、詳しい説明を省略する。
【0058】
さて、上記構成をなす、本発明の実施の形態によれば、次のような作用効果を得ることが可能である。
まず、本発明の実施の形態に係る入力装置9は、制御回路部2における、入力操作が行われているとの判定が未確定の状態において、かつ、第2のセンサ8から第2の検知情報CSが出力された状態で、第1の検知情報CI及び第2の検知情報CSに基づき、操作部に対する入力操作の有効・無効の判定を行うものである(図3のS130、図7のS250)。ここで、入力部1の静電容量方式の第2のセンサ8は、第1のセンサ7により検知される第1の検知情報CIの基となる、操作部に対する入力操作の検知が困難又は不可能な特定領域における環境変化を検知して、環境変化に係る第2の検知情報CSを、制御回路部2に対して出力するものであるのに対し、静電容量方式の第1のセンサは、操作部に対する入力操作を検知するものであるが、同第1の検知情報は環境変化の影響をも同時に受けるものである。
【0059】
そこで、第2のセンサ8による環境変化に係る第2の検知情報CSを考慮することで、第1の検知情報CIから環境変化の影響を排除した状態で、操作部に対する入力操作の有効・無効の判定を行うものである。かかる判定を、制御回路部2によって、操作部に対する入力操作があったときに行い、有効と判定された場合にのみ、第1の検知情報に対応する出力情報を電子機器に対して出力することで(図3のS140、図7のS260)、入力装置9から電子機器6へと、入力操作の検知情報に対応する出力情報を正確に伝えるものである。
しかも、第1の検知情報CIに係る物理量と、第2の検知情報CSに係る物理量とは、いずれも静電容量であることから、操作部に対する入力操作の有効・無効の判定を行うための装置構成や、制御ロジックの簡素化が図られるものでもある。
【0060】
なお、本発明の実施の形態に係る入力装置9では、入力部1における、操作部に対する入力操作の、第1のセンサ7による検知が困難又は不可能な特定領域は、第1のセンサ7と第2のセンサ8との間に配置され、第1のセンサ1が検知する第1の検知情報CIの基となる入力操作を第2のセンサ8が検知することを妨げる遮蔽手段(例えば、図4の遮蔽用電極22、遮蔽板28)により、領域の範囲が定められるものである。
【0061】
又、本発明の実施の形態に係る入力装置9は、制御回路部2の記憶部5において、第1のセンサ7により検知される第1の検知情報CI、及び、第2のセンサ8により検知される第2の検知情報CSを記憶すると共に、操作部に対する入力操作の有効・無効の判定をする際の判別基準である、判別基準値THを記憶するものである。又、制御回路部2のデータ処理部4において、第1のセンサ7からの第1の検知情報CIと、第2のセンサ8からの第2の検知情報CSとに基づく差情報ΔCを求め、差情報ΔCと判別基準値THとの比較結果に基づいて、操作部に対する入力操作の有効・無効の判定を行うことで(図3のS130、図7のS250)、上述の作用効果を奏するものである。
【0062】
より具体的には、図2から図5に例示される入力装置1の場合には、制御回路部2の記憶部4において、操作部1に対する入力操作の対象位置に係る座標についての、第1の検知情報CIの有無を座標毎に記憶する(図3のS110)。又、制御回路部2のデータ処理部4において、操作部に対する入力操作の対象位置に係る任意の座標についての、第1のセンサ7からの第1の検知情報CIと、第1のセンサ7に対応する座標における第2のセンサ8からの第2の検知情報CSとに基づく第1の差情報ΔCを求め、第1の差情報ΔCと判別基準値THとの比較結果に基づいて、任意の座標に対する入力操作の有効・無効の判定を行うことで(図3のS130)、上述の作用効果を奏するものである。
【0063】
又、図6から図8に例示される入力装置1の場合には、制御回路部2の記憶部4において、操作部に対する入力操作の検知が困難又は不可能な特定領域における環境変化の検知の対象位置に係る座標についての、第2の検知情報CSの平均情報CSaveを記憶する(図7のS240)。又、制御回路部2のデータ処理部4において、操作部に対する入力操作の検知が困難又は不可能な特定領域における環境変化の検知の対象位置に係る座標についての、第2の検知情報CSの平均情報CSaveを、記憶部5に記憶する(図7のS240)。又、操作部に対する入力操作の対象位置に係る任意の座標についての、第1のセンサ7からの第1の検知情報CIと、第2の検知情報CSの平均情報CSaveとに基づく第2の差情報ΔCを求め、第2の差情報ΔCと判別基準値THとの比較結果に基づいて、任意の座標に対する入力操作の有効・無効の判定を行うことで(図7のS250)、上述の作用効果を奏するものである。
【0064】
又、図2、図4、図5の例では、入力部の、操作部に対する入力操作の対象位置に係る座標上での、第1のセンサ7の位置と対応する位置の全てに、第2のセンサ8が配置されていることで、操作部に対する入力操作の対象位置に係る座標上で、第1のセンサ7及び第2のセンサ8とは、一対一の関係で一致する。そして、第1のセンサ7毎に、対応する第2のセンサ8による環境変化に係る第2の検知情報CSを考慮することで、第1の検知情報CIから環境変化の影響を排除した状態で、第1のセンサ7による入力操作に係る第1の検知情報CIに基づく、操作部に対する入力操作の有効・無効の判定を行うことが可能となる。
【0065】
又、図6、図8の例では、入力部1の、操作部に対する入力操作の対象位置に係る座標上での、第1のセンサ7の位置と対応する位置の一部に、第2のセンサ8が配置されている、すなわち、第1のセンサ7の設置数に対して間引かれた数の第2のセンサ8を具備するものである。そして、間引かれた数の第2のセンサ8により環境変化に係る第2の検知情報CSを取得して、それを平均化した情報CSaveを用いて、第1の検知情報CIから環境変化の影響を排除した状態で、第1のセンサ7による入力操作に係る第1の検知情報CIに基づく、操作部に対する入力操作の有効・無効の判定を行うことが可能となる。
【0066】
更に、図2、図6の例では、第1のセンサ7及び第2のセンサ8が、共通のプリント基板20、30の表裏面20a、20b、30a、30bに各々配置されていることから、第1のセンサ7が操作部に対する入力操作を検知するに適した領域である、上面側に配置される。又、プリント基板20、30は、所謂多層板であり、表面20a、30aに配置される第1のセンサ7と裏面20b、30bに配置される第2のセンサ8との間の干渉を避ける目的で、遮蔽用電極22を内層に備えるものである。この、遮蔽用電極22は、例えば、プレーン状又はメッシュ状をなしている。これによって、第2のセンサ8は、必然的に、操作部に対する入力操作の検知が困難又は不可能な領域である、下面側に配置されるものとなる。そして、第2のセンサ8により、入力操作を検知することなく、環境変化を検知することで、上述の作用効果を奏するものである。
しかも、第1のセンサ7及び第2のセンサ8が、共通のプリント基板20、30の表裏面に各々配置されることで、プリント基板20、30のそりに対する耐性が向上することにもなる。
【0067】
一方、図5、図8の例では、第1のセンサ7及び第2のセンサ8が、第1のプリント基板24、32と第2のプリント基板26、34とに各々配置され、第1のプリント基板24、32の第1のセンサ7が操作部に対する入力操作を検知するに適した領域である上面側24a、32aに配置され、第2のプリント基板26、34が、第1のプリント基板24、32の下側に積層配置される。又、第1のプリント基板24、32が所謂両面板である場合には、裏面側(下面側)24b、32bに、第1のセンサ7と第2のセンサ8との間の干渉を避ける目的で遮蔽電極22を配置し、第1のプリント基板24、32が所謂片面板である場合には、第1のプリント基板24、32と第2のプリント基板26、34との間に、同じ目的で、例えば、プレーン状又はメッシュ状の遮蔽板28を配置する。これによって、第2のセンサ8は、操作部に対する入力操作の検知が困難又は不可能な領域に配置されるものとなる。そして、第2のセンサ8により、入力操作を検知することなく、環境変化を検知することで、上述の作用効果を奏するものとなる。
しかも、二枚のプリント基板(所謂両面板や所謂片面板)を用いることによる、実装コストを含めた製造コストの低減を図ることも可能となる。
【符号の説明】
【0068】
1:入力部、2:制御回路部、3:入力情報検出回路、4:データ処理部、5:記憶部、6:電子機器、7:第1のセンサ、8:第2のセンサ、9:入力装置、 20、24、26、30:プリント基板、 20a、24a、26a、30a:表面、 20b、24b、26b、30b:裏面、22:遮蔽用電極、28:遮蔽板、CI:第1の検知情報、CS:第2の検知情報、CSave:第2の検知情報の平均情報、ΔC:第1の差情報、ΔC:第2の差情報、TH:判別基準値

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作部及び該操作部に対する入力操作を検知する静電容量方式の第1のセンサを備える入力部と、
前記操作部に対する入力操作があったときに、前記第1のセンサにより検知される第1の検知情報の有効・無効の判定を行い、有効と判定された場合にのみ、前記第1の検知情報に対応する出力情報を電子機器に対して出力する制御回路部と、を備える電子機器の入力装置であって、
前記入力部は、前記第1のセンサにより検知される前記第1の検知情報の基となる、前記操作部に対する入力操作の検知が困難又は不可能な特定領域における環境変化を検知して、該環境変化に係る第2の検知情報を、前記制御回路部に対して出力する静電容量方式の第2のセンサを備え、
前記制御回路部は、前記入力操作が行われているとの判定が未確定、かつ、前記第2のセンサから前記第2の検知情報が出力された状態で、前記第1の検知情報及び前記第2の検知情報に基づき、前記操作部に対する入力操作の有効・無効の判定を行うことを特徴とする入力装置。
【請求項2】
前記制御回路部は、記憶部とデータ処理部とを備え、
前記記憶部は、前記第1のセンサにより検知される第1の検知情報、及び、前記第2のセンサにより検知される第2の検知情報を記憶する機能と、前記操作部に対する入力操作の有効・無効の判定をする際の判別基準である判別基準値を記憶する機能とを具備し、
前記データ処理部は、前記第1のセンサからの前記第1の検知情報と、前記第2のセンサからの前記第2の検知情報とに基づく差情報を求め、該差情報と前記判別基準値との比較結果に基づいて、前記操作部に対する入力操作の有効・無効の判定を行う機能を具備することを特徴とする請求項1に記載の入力装置。
【請求項3】
前記記憶部は、前記操作部に対する入力操作の対象位置に係る座標についての、前記第1のセンサからの前記第1の検知情報と、前記第1のセンサにより検知される前記第1の検知情報の基となる、前記操作部に対する入力操作の検知が困難又は不可能な特定領域における、環境変化に係る座標についての前記第2のセンサからの前記第2の検知情報とを、前記座標毎に記憶する機能を具備し、
前記データ処理部は、前記操作部に対する入力操作の対象位置に係る任意の座標についての、前記第1のセンサからの前記第1の検知情報と、該第1のセンサに対応する座標における前記第2のセンサからの前記第2の検知情報とに基づく第1の差情報を求め、該第1の差情報と前記判別基準値との比較結果に基づいて、前記任意の座標に対する入力操作の有効・無効の判定を行う機能を具備することを特徴とする請求項2に記載の入力装置。
【請求項4】
前記記憶部は、前記操作部に対する入力操作の、前記第1のセンサによる検知が困難又は不可能な特定領域における環境変化の検知の対象位置に係る座標についての、前記第2の検知情報の平均情報を記憶する機能を具備し、
前記データ処理部は、前記第1のセンサにより検知される前記第1の検知情報の基となる、前記操作部に対する入力操作の検知が困難又は不可能な特定領域における、環境変化の検知の対象位置に係る座標についての、前記第2の検知情報の平均情報を、前記記憶部に出力する機能と、
前記操作部に対する入力操作の対象位置に係る任意の座標についての、前記第1のセンサからの前記第1の検知情報と、前記第2の検知情報の平均情報とに基づく第2の差情報を求め、該第2の差情報と前記判別基準値との比較結果に基づいて、前記任意の座標に対する入力操作の有効・無効の判定を行う機能を具備することを特徴とする請求項2に記載の入力装置。
【請求項5】
前記入力部における、前記操作部に対する入力操作の、前記第1のセンサによる検知が困難又は不可能な特定領域は、前記第1のセンサと前記第2のセンサとの間に配置され、前記第1のセンサが検知する第1の検知情報の基となる入力操作を前記第2のセンサが検知することを妨げる遮蔽手段により、領域の範囲が定められていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の入力装置。
【請求項6】
操作部及び該操作部に対する入力操作を検知する静電容量方式の第1のセンサと、前記第1のセンサにより検知される前記第1の検知情報の基となる、前記操作部に対する入力操作の検知が困難又は不可能な特定領域における環境変化を検知して、該環境変化に係る第2の検知情報を、前記制御回路部に対して出力する静電容量方式の第2のセンサと、を含む入力部と、記憶部及びデータ処理部を備える制御回路部とを備える、電子機器の入力装置の入力制御方法であって、
前記操作部に対する入力操作があったときに、前記入力操作が行われているとの判定が未確定、かつ、前記第2のセンサから前記第2の検知情報が出力された時点で、前記第1の検知情報及び前記第2の検知情報に基づき、前記第1のセンサにより検知される第1の検知情報の有効・無効の判定を行い、有効と判定された場合にのみ、前記制御回路部から前記第1の検知情報に対応する出力情報を、前記電子機器に対して出力することを特徴とする入力制御方法。
【請求項7】
前記第1のセンサにより検知される第1の検知情報、及び、前記第2のセンサにより検知される第2の検知情報を、前記記憶部に記憶するステップと、
前記第1のセンサからの前記第1の検知情報と、前記前記第2のセンサからの前記第2の検知情報とに基づく差情報を求め、該差情報と、予め設定された、前記操作部に対する入力操作の有効・無効の判定をする際の判別基準である判別基準値との比較結果に基づいて、前記操作部に対する入力操作の有効・無効の判定を、前記データ処理部にて行うステップとを含むことを特徴とする請求項6に記載の入力制御方法。
【請求項8】
前記第1のセンサにより検知される第1の検知情報、及び、前記第2のセンサにより検知される第2の検知情報を、前記記憶部に記憶するステップには、
前記操作部に対する入力操作の対象位置に係る座標についての、前記第1の検知情報の有無を、前記座標毎に記憶するステップを含み、
前記操作部に対する入力操作の有効・無効の判定を、前記データ処理部にて行うステップには、
前記操作部に対する入力操作の対象位置に係る任意の座標についての、前記第1のセンサからの前記第1の検知情報と、該第1のセンサに対応する座標における前記第2のセンサからの前記第2の検知情報とに基づく第1の差情報を求め、該第1の差情報と前記判別基準値との比較結果に基づいて、前記任意の座標に対する入力操作の有効・無効の判定を行うステップを含むことを特徴とする請求項7に記載の入力制御方法。
【請求項9】
前記第1のセンサにより検知される第1の検知情報、及び、前記第2のセンサにより検知される第2の検知情報を、前記記憶部に記憶するステップには、
前記第1のセンサにより検知される前記第1の検知情報の基となる、前記操作部に対する入力操作の検知が困難又は不可能な特定領域における、環境変化の検知の対象位置に係る座標についての、前記第2の検知情報の平均情報を記憶するステップを含み、
前記操作部に対する入力操作の有効・無効の判定を、前記データ処理部にて行うステップには、
前記第1のセンサにより検知される前記第1の検知情報の基となる、前記操作部に対する入力操作の検知が困難又は不可能な特定領域における環境変化の検知の対象位置に係る座標についての、前記第2の検知情報の平均情報と、前記操作部に対する入力操作の対象位置に係る任意の座標についての、前記第1のセンサからの前記第1の検知情報とに基づく第2の差情報を求め、該第2の差情報と前記判別基準値との比較結果に基づいて、前記任意の座標に対する入力操作の有効・無効の判定を行うステップを含むことを特徴とする請求項7に記載の入力制御方法。
【請求項10】
前記第1のセンサにより前記第1の検知情報が検知された時点で、
前記第1のセンサにより検知される第1の検知情報、及び、前記第2のセンサにより検知される第2の検知情報を、前記記憶部に記憶するステップが実行された後、
前記操作部に対する入力操作の有効・無効の判定を、前記データ処理部にて行うステップが実行されることを特徴とする請求項8又は9に記載の入力制御方法。
【請求項11】
前記第2のセンサにより前記第2の検知情報が検知された時点で、
前記第1のセンサにより検知される第1の検知情報、及び、前記第2のセンサにより検知される第2の検知情報を、前記記憶部に記憶するステップが実行された後、
前記操作部に対する入力操作の有効・無効の判定を、前記データ処理部にて行うステップが実行されることを特徴とする請求項8又は9に記載の入力制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−65249(P2013−65249A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−204603(P2011−204603)
【出願日】平成23年9月20日(2011.9.20)
【出願人】(000114215)ミネベア株式会社 (846)
【Fターム(参考)】