説明

電子機器の制御装置、駆動源のトルク出力制限方法及び電子機器

【課題】制御負荷を低減させつつ、駆動源から出力されるトルクの制限制御を適切なタイミングで実行させることができる電子機器の制御装置、駆動源のトルク出力制限方法及び電子機器を提供する。
【解決手段】PF制御部52は、PFモーター14に流れる電流値Iを取得する電流値算出部66と、PFモーター14の目標速度Vtを設定する第1印加電圧設定部65と、PFモーター14の回転速度Vnを検出する回転速度算出部64と、目標速度Vtから回転速度Vnを減算して差分Vsubを取得する差分算出部67と、電流値Iに基づきPFモーター14から出力されるトルクTrを算出するトルク算出部69と、トルクTrが第1制限値を超える場合にはPFモーター14に印加する第2電圧V2を低下させる第2印加電圧設定部71とを備える。トルク算出部69は、差分Vsubが差分閾値KVsub未満である場合にはトルクTrを算出しない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モーターなどの駆動源を備える電子機器の制御装置、電子機器に搭載される駆動源のトルク出力制限方法及び該制御装置を備える電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、モーターなどの駆動源を備える電子機器として、装置内に給送された記録媒体(例えば用紙)にインクなどの記録材を付着させて記録処理を施す記録装置が知られている。このような記録装置は、インクなどの記録材を記録媒体に付着させる記録ヘッドと、記録媒体を所定の搬送方向に給送する給送装置と、該給送装置の駆動源としてモーターとを備えている。
【0003】
モーターから出力されるトルクを取得する方法としては、モーターのトルクを検出するためのトルクセンサーを設け、該トルクセンサーからの検出信号に基づきモーターのトルクを検出する方法が提案されている(特許文献1参照)。
【0004】
また、近年では、モーターから出力されるトルクと該モーターに流れる電流値との間に比例関係があることに着眼し、モーターに流れる電流値を取得して該電流値に基づきモーターのトルクを算出する方法が提案されている。この方法では、トルクセンサーを設ける必要がない分、部品点数及びコストの低減を図ることが可能であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−207799号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、モーターを備える電子機器では、モーターから出力されるトルクが所定の制限値を超えた場合には、トルクの出力制限制御が行なわれることがある。こうした制御を行なう場合、電子機器では、所定間隔毎にモーターのトルクが取得され、該トルクが所定の制限値を超えたか否かが判定される。ところが、モーターのトルクを該モーターに流れる電流値に基づき算出する方法では、所定間隔毎にモーターのトルクを算出することによる制御負荷が増大する問題があった。
【0007】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、制御負荷を低減させつつ、駆動源から出力されるトルクの制限制御を適切なタイミングで実行させることができる電子機器の制御装置、駆動源のトルク出力制限方法及び電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の電子機器の制御装置は、駆動源を備える電子機器の制御装置であって、前記駆動源に流れる電流値を取得する電流値取得手段と、前記駆動源の目標速度を設定する速度設定手段と、前記駆動源の駆動速度を検出する速度検出手段と、前記速度設定手段によって設定された目標速度と前記速度検出手段によって検出された駆動速度との差分を取得する差分取得手段と、前記電流値取得手段によって取得された電流値に基づき前記駆動源から出力されるトルクを算出するトルク算出手段と、前記トルク算出手段によって算出されたトルクが、設定された差分用トルク制限値を超える場合には、前記駆動源に印加する電圧を低下させる電圧調整手段と、を備え、前記トルク算出手段は、前記差分取得手段によって取得された差分が、設定された差分閾値未満である場合には前記駆動源から出力されるトルクを算出しない。
【0009】
上記構成によれば、設定された目標速度と検出された駆動速度との差分が差分閾値以上である場合には、駆動源に流れる電流値に基づき駆動源から出力されるトルクが算出される。そして、算出されたトルクが差分用トルク制限値を超える場合には、駆動源に印加される電圧を低下させて該駆動源から出力されるトルクが制限される。すなわち、駆動源から出力されるトルクの制限制御が適切なタイミングで行なわれる。その一方で、上記差分が差分閾値未満である場合には、駆動源から出力されるトルクが過剰にはなっていないと判断され、駆動源から出力されるトルクが算出されない。すなわち、駆動源から適切な大きさのトルクが出力される場合には、電流値に基づいたトルクの算出が行なわれない。したがって、駆動源から適切な大きさのトルクが出力される場合でも電流値に基づきトルクが算出される場合と比較して、トルクの算出を行なう回数が減少される分、トルクの算出に伴う制御負荷が低減される。したがって、制御負荷を低減させつつ、駆動源から出力されるトルクの制限制御を適切なタイミングで実行させることができる。
【0010】
本発明の電子機器の制御装置は、前記差分閾値を、前記駆動源の駆動速度を上昇させる領域を含む第1制御状態である場合には第1の値に設定する一方、前記第1制御状態の後の制御状態であって且つ前記駆動源の駆動速度を一定とする領域を含む第2制御状態である場合には前記第1の値よりも小さい第2の値に設定する閾値設定手段をさらに備える。
【0011】
駆動源の駆動速度を上昇させる場合では、設定された目標速度と検出された駆動速度との差分は、駆動源の駆動速度を定速で維持させる場合と比較して大きくなる。そこで、本発明では、第1制御状態である場合における差分閾値は、第2制御状態である場合と比較して大きな値に設定される。そのため、制御状態に関係なく差分閾値が一定値である場合と比較して、電流値を用いたトルクの算出回数を少なくでき、ひいては制御装置の制御負荷を更に低減させることができる。
【0012】
本発明の電子機器の制御装置において、前記電流値取得手段は、前記速度検出手段によって検出される前記駆動源の駆動速度と前記駆動源に印加される電圧とに基づき、前記駆動源に流れる電流値を算出する。
【0013】
上記構成によれば、駆動源に流れる電流値は、検出される駆動源の駆動速度と駆動源に印加される電圧とによって算出される。そのため、駆動源に流れる電流値を検出するためのセンサーを別途設ける必要がなく、電子機器の部品点数の低減に貢献できる。
【0014】
本発明の電子機器の制御装置は、前記電流値取得手段によって取得された前記駆動源に流れる電流値に基づき、前記駆動源の蓄熱量を算出する蓄熱量算出手段をさらに備え、前記トルク算出手段は、前記蓄熱量算出手段によって算出された蓄熱量が予め設定された蓄熱量閾値以上である場合には前記駆動源から出力されるトルクを算出し、前記電圧調整手段は、前記蓄熱量算出手段によって算出された蓄熱量が予め設定された蓄熱量閾値以上である場合において、前記トルク算出手段によって算出されるトルクが予め設定された蓄熱量用トルク制限値を超えるときには、前記駆動源に印加する電圧を低下させる。
【0015】
駆動源の蓄熱量が多くなり過ぎると、駆動源の性能が低下したり、駆動源の寿命が短くなったりする可能性がある。そこで、本発明では、駆動源の蓄熱量が蓄熱量閾値以上である場合には、駆動源から出力されるトルクが算出される。そして、算出されたトルクが蓄熱量用トルク制限値を超える場合には、駆動源に印加される電圧を低下させて該駆動源から出力されるトルクが制限される。そのため、駆動源を適切に保護できる。
【0016】
本発明の電子機器の制御装置において、前記電圧調整手段は、前記差分用トルク制限値が前記蓄熱量用トルク制限値以上である場合において、前記トルク算出手段によって算出されたトルクが前記蓄熱量用トルク制限値を超えるときには、前記駆動源に印加する電圧を低下させる一方、前記差分用トルク制限値が前記蓄熱量用トルク制限値未満である場合において、前記トルク算出手段によって算出されたトルクが前記差分用トルク制限値を超えるときには、前記駆動源に供給する電力を低下させる。
【0017】
上記構成によれば、各トルク制限値のうち値の小さい方のトルク制限値を基準に、駆動源から出力されるトルクの制限制御が行なわれる。そのため、駆動源の蓄熱量の過多の抑制と、駆動源のトルクの出力過多の抑制とを両立できる。
【0018】
本発明の電子機器の制御装置は、前記速度設定手段によって設定される目標速度が複数回連続して同一速度となる場合に、前記駆動源の減速度を算出する減速度算出手段をさらに備え、前記トルク算出手段は、前記減速度算出手段によって算出された減速度が予め設定された減速度閾値以上である場合には、前記電流値取得手段によって取得された電流値に基づき前記駆動源から出力されるトルクを算出する。
【0019】
目標速度が複数回連続して同一速度に設定される場合には、通常、駆動源の減速度が大きくなることはない。そこで、本発明では、目標速度が複数回連続して同一速度に設定される場合において、駆動源の減速度が減速度閾値以上であるときには、駆動源から出力されるトルクの過多が発生している可能性があるため、駆動源に流れる電流値に基づき該駆動源から出力されるトルクが算出される。そして、算出されたトルクが差分用トルク制限値を超える場合には、駆動源に印加される電圧を低下させて該駆動源から出力されるトルクが制限される。したがって、駆動源及び該駆動源からのトルクに基づき駆動する被駆動部を適切に保護できる。
【0020】
本発明の電子機器は、駆動源と、前記駆動源から出力されるトルクによって駆動する被駆動部と、上記電子機器の制御装置と、を備える。
上記構成によれば、駆動源から出力されるトルクが適切に調整される。
【0021】
一方、本発明の駆動源のトルク出力制限方法は、電子機器に搭載される駆動源のトルク出力制限方法であって、前記駆動源に流れる電流値を取得させる電流値取得ステップと、前記駆動源の目標速度を設定させる速度設定ステップと、前記駆動源の駆動速度を検出させる速度検出ステップと、前記速度設定ステップで設定した目標速度と前記速度検出ステップで検出した駆動速度との差分を取得させる差分取得ステップと、前記電流値取得ステップで取得した電流値に基づき前記駆動源から出力されるトルクを算出させるトルク算出ステップと、前記トルク算出ステップで算出したトルクが、設定された差分用トルク制限値を超える場合には、前記駆動源に印加する電圧を低下させる電圧調整ステップと、を有し、前記差分取得ステップで取得した差分が、設定された差分閾値未満である場合には、前記トルク算出ステップが行なわれない。
【0022】
上記構成によれば、上記電子機器の制御装置と同等の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本実施形態の記録装置の概略斜視図。
【図2】記録装置の電気的構成を説明するブロック図。
【図3】PF制御部の機能構成を説明するブロック図。
【図4】目標速度テーブルの一例を示すグラフ。
【図5】PFモーター駆動処理ルーチンを説明するフローチャート(前半部分)。
【図6】PFモーター駆動処理ルーチンを説明するフローチャート(後半部分)。
【図7】(a)は目標速度と回転速度との変化を示すタイミングチャート、(b)は制御状態に応じて差分閾値が変更される様子を示すタイミングチャート、(c)は制御状態に応じて各制限値の大小関係が変化する様子を示すタイミングチャート。
【図8】(a)は目標速度と回転速度との変化を示すタイミングチャート、(b)は別の実施形態において差分閾値が変更される様子を示すタイミングチャート。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図1〜図7に基づいて説明する。なお、以下における本明細書中の説明において、「前後方向」、「左右方向」、「上下方向」をいう場合は、図1に矢印で示す前後方向(副走査方向)及び左右方向(主走査方向)、並びに上下方向をそれぞれ示すものとする。
【0025】
図1に示すように、電子機器としての記録装置11は、インクジェット式のシリアルタイプのプリンターであって、略矩形箱状をなすフレーム12を備えている。このフレーム12内の下部には、記録媒体としての用紙Pを支持するプラテン13が左右方向に沿って延設されている。このプラテン13上には、図1及び図2に示すように、フレーム12の後面下部に設けられた紙送りモーター(以下、「PFモーター」という。)14を駆動源とする被駆動部としての給送装置(「自動給紙装置」ともいう。)15の駆動に基づき、用紙Pが後方側から前方に向けて給送される。なお、PFモーター14の一例として、ステッピングモーターが挙げられる。
【0026】
給送装置15は、プラテン13の後側に配置される給紙ローラー対30と、プラテン13の前側に配置される排紙ローラー対31とを備えている。これら各ローラー対30,31は、PFモーター14から伝達されるトルクによって回転する駆動ローラー30a,31aと、該駆動ローラー30a,31aの回転に伴って従動的に回転する従動ローラー30b,31bとをそれぞれ有している。なお、図1では、各ローラー対30,31の図示を省略している。
【0027】
PFモーター14の図示しない出力軸には、その出力軸の回転速度、回転位置及び回転方向を検出するためのロータリーエンコーダー32が設けられている。このロータリーエンコーダー32は、PFモーター14の出力軸に固定される円盤状の被検出部材(図示略)と、該被検出部材に対向配置される検出部(図示略)とを備えている。被検出部材は、PFモーター14の出力軸を中心とする周方向に沿って等間隔に配置される多数のスリットを有すると共に、検出部は、周方向において互いに異なる位置に配置される複数(一例として2つ)のセンサー(図示略)を有している。そして、検出部の各センサーからは、PFモーター14の出力軸の回転量に応じたパルス状の検出信号が制御装置40に出力される。
【0028】
フレーム12内においてプラテン13の上方には、プラテン13の長手方向(左右方向)と平行な棒状のガイド軸16が設けられている。このガイド軸16には、その軸線方向(左右方向であって、主走査方向)に往復移動可能な状態で被駆動部としてのキャリッジ17が支持されている。
【0029】
フレーム12の後壁内面におけるガイド軸16の両端部と対応する各位置には、駆動プーリー18及び従動プーリー19が回転自在な状態で支持されている。駆動プーリー18にはキャリッジ17を往復移動させる際の駆動源となるキャリッジモーター(以下、「CRモーター」ともいう。)20の出力軸が連結されると共に、これら一対のプーリー18,19間には一部がキャリッジ17に連結された無端状のタイミングベルト21が掛装されている。したがって、キャリッジ17は、ガイド軸16にガイドされながら、CRモーター20から出力されるトルクにより無端状のタイミングベルト21を介して左右方向に移動される。なお、CRモーター20の一例として、ステッピングモーターが挙げられる。
【0030】
また、フレーム12内には、後壁内面側に配置され且つ左右方向に延びる被検出用テープ22と、キャリッジ17に設けられる検出部23とを備えるリニアエンコーダー24が設けられている。被検出用テープ22は、左右方向に沿って等間隔に配置される多数のスリットを有すると共に、検出部23は、左右方向において互いに異なる位置に配置される複数(一例として2つ)のセンサー(図示略)を有している。そして、検出部23の各センサーからは、キャリッジ17の移動距離に相当するパルス状の検出信号が制御装置40にそれぞれ出力される。
【0031】
キャリッジ17の下面側には記録ヘッド25が設けられる一方、キャリッジ17上には記録ヘッド25へ供給するインク(記録材)を貯留する複数のインクカートリッジ26が着脱可能に搭載されている。各インクカートリッジ26には、互いに異なる種類(色)のインクがそれぞれ貯留されている。そして、各インクカートリッジ26内に収容されたインクが図示しない圧電素子の駆動により記録ヘッド25の下面に開口する複数のノズル(図示略)に供給され、該各ノズルからインク滴が用紙Pに吐出されることにより、印刷(記録)が行われる。
【0032】
また、フレーム12内において用紙Pが搬送される印刷領域の右側には、用紙Pが搬送されないホームポジション領域が形成されている。このホームポジション領域には、記録ヘッド25のクリーニングなどの各種メンテナンスを行なうためのメンテナンス装置27が設けられている。
【0033】
次に、本実施形態の記録装置11の電気的構成について説明する。
図2に示すように、記録装置11は、該記録装置11における各種の制御処理を実行する制御装置40を備えている。この制御装置40には、PFモーター14、CRモーター20、リニアエンコーダー24、記録ヘッド25及びロータリーエンコーダー32などが電気的に接続されている。そして、制御装置40は、各エンコーダー24,32などからの検出信号に基づき、PFモーター14、CRモーター20及び記録ヘッド25などの駆動を個別に制御する。
【0034】
また、制御装置40は、デジタルコンピューター41(図2では破線で囲まれた部分)、CR用ドライバー42、PF用ドライバー43及びヘッド用ドライバー44などを備えている。また、デジタルコンピューター41は、図示しないCPU、ROM、RAM、不揮発性のメモリー及びASIC((Application Specific IC(特定用途向けIC))などで構築されている。こうしたデジタルコンピューター41は、ハードウェア及びソフトウェアのうち少なくとも一方により実現される機能部分として、主制御部50、CR制御部51、PF制御部52及びヘッド制御部53を備えている。
【0035】
主制御部50は、CR制御部51、PF制御部52及びヘッド制御部53に対して制御指令を適宜出力する。具体的には、主制御部50は、図示しないホストコンピューター側から図示しないインターフェースを介して印刷指令及び画像情報を受信した場合、該画像情報に基づくラスターデータを生成させる旨の制御指令をヘッド制御部53に出力する。また、主制御部50は、用紙Pの給紙を開始させる旨の制御指令をPF制御部52に出力すると共に、キャリッジ17の移動を開始させる旨の制御指令をCR制御部51に出力する。
【0036】
CR制御部51は、キャリッジ17を移動させる場合に、リニアエンコーダー24からの検出信号に基づきCRモーター20を制御する。すなわち、CR制御部51は、リニアエンコーダー24からの検出信号に基づきキャリッジ17の左右方向における位置、移動速度及び移動方向を算出する。そして、CR制御部51は、算出結果などに基づいた駆動信号をCR用ドライバー42に出力する。すると、CRモーター20の出力軸は、CR用ドライバー42から供給される電力に基づき回転する。
【0037】
なお、CR制御部51は、用紙Pの給送時においても、PFモーター14からの動力伝達経路に設けられた図示しないクラッチの接・断制御を行なうためにCRモーター20を駆動させることもある。
【0038】
ヘッド制御部53は、図示しないホストコンピューターなどから受信した画像データに各種変換処理(解像度変換処理、色変換処理及びハーフトーン処理等)を施してラスターデータを生成する。そして、ヘッド制御部53は、画像データに基づく印刷時には、用紙Pの給送及びキャリッジ17の移動などと連動して記録ヘッド25から各種のインク滴が吐出されるように、生成したラスターデータに基づいた駆動信号をヘッド用ドライバー44に出力する。すると、記録ヘッド25の各ノズルからは、ヘッド用ドライバー44から供給される電力に基づきインク滴が各別に吐出される。
【0039】
次に、本実施形態のPF制御部52について説明する。
図2及ぶ図3に示すように、PF制御部52は、用紙Pの給送を行なう場合に、ロータリーエンコーダー32からの検出信号に基づきPFモーター14を制御する。こうしたPF制御部52は、ハードウェア及びソフトウェアのうち少なくとも一方により実現される機能部分として、回転位置算出部60、目標速度設定部61、目標速度記憶部62、クロック信号発生部63、回転速度算出部64及び第1印加電圧設定部65を備えている。また、PF制御部52は、電流値算出部66、差分算出部67、減速度算出部68、トルク算出部69、蓄熱量算出部70、第2印加電圧設定部71及び信号生成部72をさらに備えている。
【0040】
回転位置算出部60は、ロータリーエンコーダー32から出力されるパルス状の検出信号に基づき、回転開始前の停止位置を基準としたPFモーター14の出力軸の相対的な回転位置(以下、単に「回転位置」ともいう。)を算出する。具体的には、回転位置算出部60は、ロータリーエンコーダー32からのパルス状の検出信号に含まれるパルスの数を計数し、該計数結果に基づき出力軸の回転量及び出力軸の回転位置を算出する。そして、回転位置算出部60は、算出したPFモーター14の出力軸の回転位置に関する情報を第1印加電圧設定部65に出力する。
【0041】
目標速度設定部61は、主制御部50によって設定された用紙Pの搬送量に基づき、目標速度テーブルを構築し、該目標速度テーブルを目標速度記憶部62に記憶させる。すなわち、目標速度設定部61は、図4に示すように、PFモーター14の出力軸の目標速度Vtを次第に高速にする加速領域と、目標速度Vtを一定とする定速領域と、目標速度Vtを次第に低速にする減速領域とを設定する。定速領域は、用紙Pの搬送量が多いほど広めに設定される。そのため、用紙Pの搬送量が非常に少ない場合には、定速領域が設定されずに、加速領域の後に減速領域が設定されることもある。
【0042】
図3に示すように、目標速度記憶部62は、主制御部50によって用紙Pの搬送量が設定される毎に目標速度テーブルが更新されるように、RAMの一部によって構築されている。
【0043】
クロック信号発生部63は、周期的な信号、即ちクロック信号を生成するクロック発生回路(図示略)を備えている。そして、クロック信号発生部63は、クロック発生回路で生成されたクロック信号を回転速度算出部64に出力する。
【0044】
回転速度算出部64は、ロータリーエンコーダー32から出力されるパルス状の検出信号と、クロック信号発生部63から出力されるクロック信号とに基づき、PFモーター14の出力軸の回転速度Vnを算出する。具体的には、回転速度算出部64は、ロータリーエンコーダー32からのパルス状の検出信号におけるパルスの発生周期を、クロック信号に基づき算出する。そして、回転速度算出部64は、算出したパルスの発生周期が短いほど高速となるようにPFモーター14の出力軸の回転速度Vnを算出すると共に、該回転速度Vnに関する情報を第1印加電圧設定部65、電流値算出部66、差分算出部67及び減速度算出部68に出力する。したがって、本実施形態では、クロック信号発生部63及び回転速度算出部64により、PFモーター14の回転速度(駆動速度)Vnを算出する速度検出手段が構成される。
【0045】
第1印加電圧設定部65は、回転位置算出部60から入力されたPFモーター14の出力軸の回転位置に対応した目標速度Vtを、目標速度記憶部62に設定された目標速度テーブルから取得する。一例として、図4に示すように、PFモーター14の出力軸の回転位置が第1位置P1である場合、第1印加電圧設定部65は、目標速度テーブルから第1位置P1に対応する第1速度Vt1を取得し、該第1速度Vt1を目標速度Vtとする。そして、第1印加電圧設定部65は、図3に示すように、設定した目標速度Vtに関する情報を差分算出部67に出力する。したがって、本実施形態では、第1印加電圧設定部65が、PFモーター14の目標速度Vtを設定する目標速度設定手段として機能する。
【0046】
また、第1印加電圧設定部65は、回転速度算出部64から入力されたPFモーター14の出力軸の回転速度Vnと目標速度テーブルから取得した目標速度Vtとに基づき、PFモーター14に印加する電圧(以下、「第1電圧」ともいう。)V1を設定する。すなわち、第1印加電圧設定部65は、目標速度Vtから回転速度Vnを減算した値が大きいほど第1電圧V1を高電圧に設定する。そして、第1印加電圧設定部65は、設定した第1電圧V1に関する情報を第2印加電圧設定部71に出力する。
【0047】
電流値算出部66は、回転速度算出部64から入力されたPFモーター14の出力軸の回転速度Vnと第2印加電圧設定部71から入力されたPFモーター14に実際に印加する電圧(以下、「第2電圧」ともいう。)V2とに基づき、PFモーター14に流れる電流値Iを算出する。すなわち、PFモーター14の出力軸の回転速度Vnが一定である場合には、PFモーター14に印加される第2電圧V2が高圧であるほどPFモーター14から出力されるトルクが大きいため、電流値Iが大きな値とされる。また、PFモーター14に印加される第2電圧V2が一定である場合には、PFモーター14の出力軸の回転速度Vnが高速であるほどPFモーター14から出力されるトルクが小さいため、電流値Iが小さな値とされる。そして、電流値算出部66は、算出した電流値Iに関する情報をトルク算出部69及び蓄熱量算出部70に出力する。したがって、本実施形態では、電流値算出部66が、PFモーター14に流れる電流値Iを取得する電流値取得手段として機能する。
【0048】
差分算出部67は、第1印加電圧設定部65から入力された目標速度Vtと、回転速度算出部64から入力された回転速度Vnとの差分Vsub(=Vt−Vn)を算出する。そして、差分算出部67は、算出した差分Vsubに関する情報をトルク算出部69に出力する。したがって、本実施形態では、差分算出部67が、差分取得手段として機能する。
【0049】
減速度算出部68は、回転速度算出部64から入力された回転速度Vnに対して時間微分を施し、PFモーター14の出力軸の減速度DVnを取得する。そして、減速度算出部68は、取得した減速度DVnに関する情報をトルク算出部69に出力する。したがって、本実施形態では、減速度算出部68が、減速度算出手段として機能する。
【0050】
トルク算出部69は、差分算出部67から入力された差分Vsub、減速度算出部68から入力された減速度DVn及び第2印加電圧設定部71からのトルク算出指令に基づき、PFモーター14から出力されるトルクTrを算出するか否かを判断する。そして、トルク算出部69は、トルクTrを算出すると判断した場合、電流値算出部66から入力された電流値Iに対して所定のトルク算出用計数を乗算し、該乗算結果をPFモーター14から出力されるトルクTrとする。また、トルク算出部69は、算出したトルクTrに関する情報を第2印加電圧設定部71に出力する。したがって、本実施形態では、トルク算出部69が、トルク算出手段として機能する。
【0051】
蓄熱量算出部70は、電流値算出部66から入力された電流値Iに基づきPFモーター14の蓄熱量Esを所定周期毎に算出する。具体的には、蓄熱量算出部70は、PFモーター14の駆動時には、所定周期に相当する時間(以下、「単位時間」ともいう。)あたりにおけるPFモーター14の発熱量を、電流値算出部66から入力された電流値Iに基づき算出する。一方、蓄熱量算出部70は、PFモーター14の停止時には、単位時間あたりにおけるPFモーター14からの放熱量を算出する。一例として、蓄熱量算出部70は、前回に算出した蓄熱量Esに対して放熱ゲイン(例えば0.1)を乗算し、該乗算結果を単位時間あたりの放熱量とする。そして、蓄熱量算出部70は、PFモーター14の駆動時には、前回に算出した蓄熱量Esに対して、算出した発熱量を加算し、該加算結果を今回のPFモーター14の蓄熱量Esとする。また、蓄熱量算出部70は、PFモーター14の停止時には、前回に算出した蓄熱量Esに対して、算出した放熱量を減算し、該減算結果を今回のPFモーター14の蓄熱量Esとする。そして、蓄熱量算出部70は、算出した蓄熱量Esに関する情報を第2印加電圧設定部71に出力する。したがって、本実施形態では、蓄熱量算出部70が、蓄熱量算出手段として機能する。
【0052】
第2印加電圧設定部71は、蓄熱量算出部70から入力された蓄熱量Esに基づき、必要に応じてトルク算出指令をトルク算出部69に出力する。また、第2印加電圧設定部71は、第1印加電圧設定部65から入力された第1電圧V1と、トルク算出部69から入力されたトルクTrと、蓄熱量算出部70から入力された蓄熱量Esとに基づき、PFモーター14に実際に印加する第2電圧V2を設定する。そして、第2印加電圧設定部71は、設定した第2電圧V2に関する情報を信号生成部72及び電流値算出部66に出力する。
【0053】
信号生成部72は、図示しないPWM(Pulse Width Modulation)波形生成回路を備えている。そして、信号生成部72は、第2印加電圧設定部71から入力された第2電圧V2に応じた駆動信号(パルス信号)を生成し、該駆動信号をPF用ドライバー43に出力する。その結果、PFモーター14は、駆動信号に応じた態様で駆動する。
【0054】
次に、PF制御部52が実行するPFモーター駆動処理ルーチンについて、図5及び図6に示すフローチャートと、図7に示すタイミングチャートとに基づき説明する。
さて、PFモーター駆動処理ルーチンは、主制御部50から用紙Pの搬送を促す制御指令が入力されると実行される。そして、初めのステップS10では、目標速度設定部61は、用紙Pの搬送量に応じた目標速度テーブル(図4参照)を構築し、該目標速度テーブルを目標速度記憶部62に記憶させる。次のステップS11では、回転位置算出部60は、ロータリーエンコーダー32からのパルス状の検出信号に基づきPFモーター14の出力軸の回転位置Pnを算出する。
【0055】
次のステップS12では、第1印加電圧設定部65は、ステップS11で算出されたPFモーター14の出力軸の回転位置(即ち、現時点の回転位置)Pnが目標位置Ptと一致するか否かを判定する。この目標位置Ptとは、今回の制御指令に基づく用紙Pの搬送が完了した時点でPFモーター14の出力軸が本来位置すべき回転位置である。そして、第1印加電圧設定部65は、回転位置Pnが目標位置Ptと一致する場合には、PFモーター14を駆動させる必要がなくなったため、PFモーター駆動処理ルーチンを終了させる一方、回転位置Pnが目標位置Ptと一致しない場合にはその処理が次のステップS13に移行させる。
【0056】
ステップS13では、回転速度算出部64は、ロータリーエンコーダー32からのパルス状の検出信号に基づきPFモーター14の出力軸の回転速度Vnを算出する。したがって、本実施形態では、ステップS13が、速度検出ステップに相当する。
【0057】
次のステップS14では、第1印加電圧設定部65は、ステップS11で算出された回転位置Pnに応じたPFモーター14の出力軸の目標速度Vtを、ステップS10で構築された目標速度テーブルから取得する。したがって、本実施形態では、ステップS14が、速度設定ステップに相当する。次のステップS15では、第1印加電圧設定部65は、ステップS13で算出された回転速度VnとステップS14で取得された目標速度Vtとに基づき、第1電圧V1を設定する。この第1電圧V1は、回転速度Vnを目標速度Vtに近づけるために必要な電圧である。
【0058】
次のステップS16では、電流値算出部66は、PFモーター14に印加される第2電圧V2とステップS13で算出された回転速度Vnとに基づき、PFモーター14に流れる電流値Iを算出する。したがって、本実施形態では、ステップS16が、電流値取得ステップに相当する。
【0059】
次のステップS17では、蓄熱量算出部70は、ステップS16で算出された電流値Iに基づきPFモーター14の蓄熱量Esを算出する。次のステップS18では、第2印加電圧設定部71は、ステップS17で算出された蓄熱量Esが予め設定された蓄熱量閾値KEs以上であるか否かを判定する。この蓄熱量閾値KEsは、PFモーター14の蓄熱量Esの過多の可能性があるか否かを判断するための基準値であって、モーターの特性に基づき予め設定された値である。そして、第2印加電圧設定部71は、蓄熱量Esが蓄熱量閾値KEs未満である場合にはその処理を後述するステップS20に移行させる一方、蓄熱量Esが蓄熱量閾値KEs以上である場合にはその処理を次のステップS19に移行させる。
【0060】
ステップS19では、第2印加電圧設定部71は、蓄熱量用トルク制限値としての第2制限値KTr2を設定すると共に、トルク算出指令をトルク算出部69に出力する。その後、第2印加電圧設定部71は、その処理を後述するステップS21に移行させる。第2制限値KTr2は、PFモーター14が蓄熱過多になった場合に、PFモーター14から出力されるトルクTrを制限するための基準値である。
【0061】
ステップS20では、第2印加電圧設定部71は、第2制限値KTr2の設定を解除し、その後、その処理を次のステップS21に移行させる。なお、第2制限値KTr2が設定されていない場合には、PFモーター14の蓄熱量Esの上昇を抑制させるためのPFモーター14のトルクTrの出力制限が行なわれない。
【0062】
ステップS21では、減速度算出部68は、PFモーター14の制御状態が第2制御状態であるか否かを判定する。ここで、図7(a)に示すように、PFモーター14の制御状態は、第1制御状態、第1制御状態の次の第2制御状態及び第2制御状態の次の第3制御状態に分類される。第1制御状態とは、PFモーター14の出力軸の回転速度Vnを加速させるための制御状態であって、目標速度設定部61によって設定された加速領域と、定速領域の初めの一部とを含んでいる。定速領域の初めの一部とは、PFモーター14の出力軸の回転を制御するにあたってオーバーシュート(Overshoot )する部分であって、回転速度Vnが実際には未だ安定していない制御領域である。また、第2制御状態とは、PFモーター14の出力軸の回転速度Vnが実際に安定した制御領域である。そして、第3制御状態とは、PFモーター14の出力軸の回転速度Vnを減速させる制御領域であって、減速領域とほぼ一致する。
【0063】
図6に戻り、減速度算出部68は、PFモーター14の制御状態が第2制御状態ではない場合にはその処理を後述するステップS24に移行させる一方、PFモーター14の制御状態が第2制御状態である場合にはその処理を次のステップS22に移行させる。
【0064】
ステップS22では、減速度算出部68は、ステップS13で算出された回転速度Vnに基づき、PFモーター14の出力軸の減速度DVnを算出する。次のステップS23では、トルク算出部69は、ステップS22で算出された減速度DVnが予め設定された減速度閾値KDVn以上であるか否かを判定する。この減速度閾値KDVnは、定速で駆動しているはずのPFモーター14、PFモーター14から出力されるトルクTrによって駆動する各ローラー対30,31及びPFモーター14からのトルク伝達経路上に異常が発生したか否かを判断するための基準値であって、実験やシミュレーションなどによって予め設定される。そして、トルク算出部69は、減速度DVnが減速度閾値KDVn以上である場合にはその処理を後述するステップS28に移行させる一方、減速度DVnが減速度閾値KDVn未満である場合にはその処理を次のステップS24に移行させる。
【0065】
ステップS24では、差分算出部67は、ステップS14で取得された目標速度VtからステップS13で算出された回転速度Vnを減算し、差分Vsubを取得する。したがって、本実施形態では、ステップS24が、差分取得ステップに相当する。
【0066】
次のステップS25では、トルク算出部69は、PFモーター14の制御状態(第1制御状態、第2制御状態、第3制御状態)に応じた差分閾値KVsubを設定する。具体的には、トルク算出部69は、図7(b)に示すように、差分閾値KVsubを、第1制御状態である場合には第1の値KV1に設定する一方、第2制御状態及び第3制御状態である場合には第1の値KV1よりも小さい第2の値KV2に設定する。第1の値KV1及び第2の値KV2は、用紙Pを正常に搬送する場合には差分Vsubが超えないようにそれぞれ設定される。したがって、本実施形態では、トルク算出部69が、閾値設定手段としても機能する。
【0067】
図6に戻り、ステップS26では、トルク算出部69は、ステップS24で算出された差分VsubがステップS25で設定された差分閾値KVsub以上であるか否かを判定する。そして、トルク算出部69は、差分Vsubが差分閾値KVsub以上である場合にはその処理を後述するステップS28に移行させる一方、差分Vsubが差分閾値KVsub未満である場合にはその処理を次のステップS27に移行させる。
【0068】
ステップS27では、トルク算出部69は、第2制限値KTr2が設定されているか否かを判定する。そして、トルク算出部69は、第2制限値KTr2が設定されていない場合(即ち、上記ステップS20が実行された場合)にはその処理を後述するステップS34に移行させる一方、第2制限値KTr2が設定された場合(即ち、上記ステップS19が実行された場合)にはその処理を次のステップS28に移行させる。
【0069】
ステップS28では、トルク算出部69は、ステップS16で算出された電流値Iに基づき、PFモーター14から出力されるトルクTrを算出する。したがって、本実施形態では、ステップS28が、トルク算出ステップに相当する。
【0070】
次のステップS29では、第2印加電圧設定部71は、PFモーター14の制御状態(第1制御状態、第2制御状態、第3制御状態)に応じた差分用トルク制限値としての第1制限値KTr1を設定する。具体的には、第2印加電圧設定部71は、図7(c)に示すように、第1制限値KTr1を、第1制御状態及び第3制御状態である場合には第2制限値KTr2よりも大きな値に設定する一方、第2制御状態である場合には第2制限値KTr2よりも小さい値に設定する。すなわち、PFモーター14の出力軸が加減速中である場合には、PFモーター14から大きなトルクTrが発生しやすいため、第1制御状態及び第3制御状態の場合の第1制限値KTr1は、第2制御状態の場合の第1制限値KTr1よりも大きな値に設定される。したがって、本実施形態では、第2印加電圧設定部71が、制限値設定手段としても機能する。
【0071】
図6に戻り、次のステップS30では、第2印加電圧設定部71は、ステップS29で設定された第1制限値KTr1が第2制限値KTr2未満であるか否かを判定する。そして、第2印加電圧設定部71は、第1制限値KTr1が第2制限値KTr2以上である場合にはその処理を後述するステップS32に移行させる一方、第1制限値KTr1が第2制限値KTr2未満である場合にはその処理を次のステップS31に移行させる。
【0072】
ステップS31では、第2印加電圧設定部71は、ステップS28で算出されたトルクTrがステップS29で設定された第1制限値KTr1を超えたか否かを判定する。そして、第2印加電圧設定部71は、トルクTrが第1制限値KTr1以下である場合にはその処理を後述するステップS34に移行させる一方、トルクTrが第1制限値KTr1を超えた場合にはその処理を後述するステップS33に移行させる。
【0073】
ステップS32では、第2印加電圧設定部71は、ステップS28で算出されたトルクTrがステップS19で設定された第2制限値KTr2を超えたか否かを判定する。そして、第2印加電圧設定部71は、トルクTrが第2制限値KTr2以下である場合にはその処理を後述するステップS34に移行させる一方、トルクTrが第2制限値KTr2を超えた場合にはその処理を次のステップS33に移行させる。
【0074】
ステップS33では、第2印加電圧設定部71は、トルク出力制限制御を行なう。具体的には、第2印加電圧設定部71は、ステップS31の判定処理が実行された場合にはトルクTrが第1制限値KTr1未満となるような電圧が第2電圧V2として設定される。また、第2印加電圧設定部71は、ステップS32の判定処理が実行された場合にはトルクTrが第2制限値KTr2未満となるような電圧が第2電圧V2として設定される。こうして設定された第2電圧V2は、ステップS15で設定された第1電圧V1よりも低電圧である。その後、第2印加電圧設定部71は、その処理を次のステップS34に移行させる。したがって、本実施形態では、第2印加電圧設定部71が、電圧調整手段としても機能する。また、ステップS33が、電圧調整ステップに相当する。
【0075】
ステップS34では、信号生成部72は、設定された第2電圧V2に応じた駆動信号を生成し、該駆動信号をPF用ドライバー43に出力する。このとき、ステップS33のトルク出力制限処理が実行されていない場合、第2電圧V2は、ステップS15で設定された第1電圧V1と同一電圧に設定される。その後、信号生成部72は、その処理を前述したステップS11に移行させる。
【0076】
したがって、上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)用紙Pの搬送時には、該用紙Pを正常に搬送できなくなる所謂紙ジャムが発生することがある。この場合、PFモーター14から出力されたトルクTrに基づき駆動する各ローラー対30,31は、トルクTrが伝達されているにも関わらず、適切に駆動できなくなることがある。すると、各ローラー対30,31、該各ローラー対30,31とPFモーター14とのトルク伝達経路上に配置される各種部材(ギヤなど)及びPFモーター14に多大なる負荷が加わる。そこで、本実施形態では、PFモーター14の駆動時において、設定された目標速度Vtと算出された回転速度Vnとの差分Vsubが差分閾値KVsub以上である場合には、各ローラー対30,31、該各ローラー対30,31とPFモーター14とのトルク伝達経路上に配置される各種部材及びPFモーター14に多大なる負荷が加わる異常状態であると判断する。すると、PFモーター14に流れる電流値Iに基づきPFモーター14から出力されるトルクTrが算出される。そして、算出されたトルクTrが第1制限値KTr1を超えた場合には、PFモーター14に印加される第2電圧V2を低下させて該PFモーター14から出力されるトルクTrが制限される。すなわち、PFモーター14から出力されるトルクTrの制限制御を適切なタイミングで実行できる。したがって、各ローラー対30,31、該各ローラー対30,31とPFモーター14とのトルク伝達経路上に配置される各種部材及びPFモーター14を好適に保護できる。
【0077】
(2)その一方で、差分Vsubが差分閾値KVsub未満である場合には、異常状態ではないと判断され、PFモーター14から出力されるトルクTrが算出されない。すなわち、PFモーター14から適切な大きさのトルクTrが出力される場合には、電流値Iを用いた乗算処理によるトルクTrの算出が行なわれない。ちなみに、トルクTrを算出する乗算処理は、差分Vsubを算出するための減算処理や差分Vsubと差分閾値KVsubとを用いた判定処理と比較して制御負荷が非常に大きい。したがって、差分Vsubの大きさに関係なくトルクTrが算出される場合と比較して、トルクTrを算出する回数が減少される分、PF制御部52の制御負荷を低減させることができる。
【0078】
(3)第1制御状態である場合における差分Vsubは、第2制御状態や第3制御状態の場合における差分Vsubと比較して大きくなりやすい。そのため、制御状態に関係なく差分閾値KVsubを一定値としたとすると、第1制御状態の場合には、PFモーター14の出力軸の回転を加速させる際に生じた差分Vsubが差分閾値KVsub以上となり、異常状態ではなくてもトルクTrの算出処理が行なわれる可能性がある。また、第2制御状態や第3制御状態の場合には、異常状態となって差分Vsubが大きくなっても該差分Vsubが差分閾値KVsub以上となるまでに時間を要し、トルクTrの算出処理がなかなか行なわれず、トルクTrの出力制限が開始されるタイミングが遅れるおそれがある。
【0079】
この点、本実施形態では、第1制御状態である場合における差分閾値KVsubは、第2制御状態や第3制御状態である場合と比較して大きな値に設定される。そのため、制御状態に関係なく差分閾値KVsubが一定値である場合と比較して、電流値Iを用いたトルクTrの算出回数を少なくでき、ひいてはPF制御部52の制御負荷を更に低減させることができる。また、第2制御状態や第3制御状態である場合には、適切なタイミングでトルクTrの出力制限を開始させることができる。
【0080】
(4)本実施形態では、PFモーター14に流れる電流値Iは、検出されるPFモーター14の出力軸の回転速度VnとPFモーター14に印加される第2電圧V2とによって算出される。そのため、PFモーター14に流れる電流値Iを検出するためのセンサーを別途設ける必要がなく、記録装置11の部品点数の低減に貢献できる。
【0081】
(5)また、トルクTrの算出に用いられる電流値Iは、PFモーター14の蓄熱量Esを算出する際にも用いられる。すなわち、一つのパラメーター(この場合は電流値I)を用いて、複数(本実施形態では2つ)の値(トルクTr及び蓄熱量Es)が算出される。そのため、トルクTr及び蓄熱量Esを別々のパラメーターを用いて算出する場合と比較して、PF制御部52の制御負荷を低減させることができる。
【0082】
(6)PFモーター14の蓄熱量Esが多くなり過ぎると、PFモーター14の性能が低下したり、PFモーター14の寿命が短くなったりする可能性がある。そこで、本実施形態では、PFモーター14の蓄熱量Esが蓄熱量閾値KEs以上である場合には、PFモーター14から出力されるトルクTrが算出される。そして、算出されたトルクTrが第2制限値KTr2を超えるときには、トルクTrの出力制限が行なわれる。そのため、PFモーター14の蓄熱量Esの過多を抑制でき、該PFモーター14を適切に保護できる。
【0083】
(7)各制限値KTr1,KTr2のうち値の小さい方の制限値(例えば第1制限値KTr1)を基準に、トルクTrの出力制限が行なわれる。そのため、PFモーター14の蓄熱量Esの過多の抑制と、PFモーター14のトルクTrの出力過多の抑制とを両立できる。
【0084】
(8)目標速度Vtが複数回連続して同一速度に設定される定速領域である場合には、通常、PFモーター14の減速度DVnが大きくなることはない。換言すると、定速領域である場合においてPFモーター14の減速度DVnが大きくなるときには、異常状態になった可能性がある。そこで、本実施形態では、定速領域である場合においてPFモーター14の減速度DVnが減速度閾値KDVn以上であるときには、異常状態になった可能性があるため、差分Vsubの大きさに関係なくPFモーター14から出力されるトルクTrが算出される。そして、算出されたトルクTrが第1制限値KTr1を超える場合には、トルクTrの出力制限が開始される。したがって、各ローラー対30,31、該各ローラー対30,31とPFモーター14とのトルク伝達経路上に配置される各種部材及びPFモーター14を適切に保護できる。
【0085】
(9)本実施形態では、第1制限値KTr1は、制御状態(第1制御状態、第2制御状態、第3制御状態)に応じた値に設定される。そのため、その時点の制御状態に応じた適切なタイミングでトルクTrの出力制限を開始させることができる。
【0086】
(10)PFモーター14が適切に保護されるため、記録装置11の製品寿命を長くすることができる。
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
【0087】
・実施形態において、ステップS21,S22,S23の各処理を省略してもよい。すなわち、第2制御状態である場合における減速度DVnに基づき、トルクTrの算出を開始させるか否かを判定しなくてもよい。
【0088】
・第1制御状態における差分Vsubの変化の仕方は、図8(a)に示すように、毎回ほぼ同一である。同様に、第3制御状態における差分Vsubの変化の仕方は、毎回ほぼ同一である。そこで、図8(b)に示すように、PFモーター14の特性に応じた差分Vsubの変化を予め取得しておき、該予め取得された差分Vsubの変化に対して所定のオフセット値Oftを加算し、該加算結果を差分閾値KVsubとしてもよい。このように構成すると、PFモーター14の出力軸の回転位置Pnに応じた最適な差分閾値KVsubを設定することができる。
【0089】
・実施形態において、差分Vsubが差分閾値KVsub以上となった場合には、各制限値KTr1,KTr2の大小に関係なく、算出されたトルクTrが第1制限値KTr1を超えたことを契機にトルクTrの出力制限を行なってもよい。
【0090】
・実施形態において、第2制限値KTr2が設定された場合には、各制限値KTr1,KTr2の大小に関係なく、算出されたトルクTrが第2制限値KTr2を超えたことを契機にトルクTrの出力制限を行なってもよい。
【0091】
・実施形態において、PFモーター14の蓄熱量Esが蓄熱量閾値Es以上になった場合には、現時点でPFモーター14から出力されるトルクTrの大きさに関係なく、トルクの出力制限を行なってもよい。
【0092】
・実施形態において、PFモーター14に流れる電流値Iを検出するための電流センサーを設けてもよい。このように構成すると、PF制御部52における制御負荷を低減できる。なお、本発明において「取得」とは、算出と、センサーを用いた検出との両方を含んだ概念である。
【0093】
・実施形態において、第3制御状態における差分閾値KVsubを、第1制御状態における差分閾値KVsubよりも小さい値に設定してもよい。
・実施形態において、差分閾値KVsubは、制御状態(第1制御状態、第2制御状態、第3制御状態)に関係なく一定値であってもよい。
【0094】
・実施形態において、PFモーター14及びCRモーター20は、直流モーターであってもよい。
・本発明を、CRモーター20のトルク出力制限に具体化してもよい。
【0095】
・各実施形態では、記録装置をインクジェット式のシリアルプリンターに具体化したが、インク以外の他の液体(記録材)を噴射したり吐出したりする液体噴射装置を採用してもよく、微小量の液滴を吐出させる液体噴射ヘッド等を備える各種の液体噴射装置に流用可能である。なお、液滴とは、上記液体噴射装置から吐出される液体の状態をいい、粒状、涙状、糸状に尾を引くものも含むものとする。また、ここでいう液体とは、液体噴射装置が噴射させることができるような材料であればよい。例えば、物質が液相であるときの状態のものであればよく、粘性の高い又は低い液状態、ゾル、ゲル水、その他の無機溶剤、有機溶剤、溶液、液状樹脂、液状金属(金属融液)のような流状態、また物質の一状態としての液体のみならず、顔料や金属粒子などの固形物からなる機能材料の粒子が溶媒に溶解、分散又は混合されたものなどを含む。また、液体の代表的な例としては上記実施形態で説明したようなインクや液晶等が挙げられる。ここで、インクとは一般的な水性インク及び油性インク並びにジェルインク、ホットメルトインク等の各種液体組成物を包含するものとする。液体噴射装置の具体例としては、例えば液晶ディスプレイ、EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ、面発光ディスプレイ、カラーフィルターの製造などに用いられる電極材や色材などの材料を分散又は溶解のかたちで含む液体を噴射する液体噴射装置、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を噴射する液体噴射装置、精密ピペットとして用いられ試料となる液体を噴射する液体噴射装置、捺染装置やマイクロディスペンサ等であってもよい。さらに、時計やカメラ等の精密機械にピンポイントで潤滑油を噴射する液体噴射装置、光通信素子等に用いられる微小半球レンズ(光学レンズ)などを形成するために紫外線硬化樹脂等の透明樹脂液を基板上に噴射する液体噴射装置、基板などをエッチングするために酸又はアルカリ等のエッチング液を噴射する液体噴射装置を採用してもよい。そして、これらのうち何れか一種の噴射装置に本発明を適用することができる。
【0096】
・実施形態において、記録装置は、モーターを備える装置であれば、ドットインパクト式プリンターなどのインパクト式プリンターでもよい。
・実施形態において、電子機器は、モーターを備える装置であれば、記録装置以外の他の任意の装置(例えばスキャナー)などであってもよい。
【0097】
次に、上記実施形態及び別の実施形態から把握できる技術的思想を以下に追記する。
(イ)前記差分用トルク制限値を、前記第1制御状態、及び前記第2制御状態の後の制御状態であって且つ前記駆動源の駆動速度が減速する領域を含む第3制御状態である場合には、前記第2制御領域である場合よりも大きな値に設定する制限値設定手段をさらに備える。
【0098】
(ロ)前記速度設定手段は、前記駆動源の駆動によって変位する被駆動部の駆動量に応じて、目標速度を次第に大きくする領域、目標速度を一定とする領域及び目標速度を次第に小さくする領域を設定する。
【0099】
(ハ)駆動源を備える電子機器の制御装置であって、
前記駆動源に流れる電流値を取得する電流値取得手段と、
前記駆動源の目標速度を設定する速度設定手段と、
前記駆動源の駆動速度を検出する速度検出手段と、
前記速度設定手段によって設定される目標速度が複数回連続して同一速度となる場合に、前記駆動源の減速度を算出する減速度算出手段と、
前記電流値取得手段によって取得された電流値に基づき前記駆動源から出力されるトルクを算出するトルク算出手段と、
前記トルク算出手段によって算出されたトルクが、設定された差分用トルク制限値を超えるときには、前記駆動源に印加する電圧を低下させる電圧調整手段と、を備え、
前記トルク算出手段は、前記減速度算出手段によって算出された減速度が予め設定された減速度閾値未満である場合には前記駆動源から出力されるトルクを算出しないことを特徴とする電子機器の制御装置。
【符号の説明】
【0100】
11…電子機器としての記録装置、14,20…駆動源としてのモーター、15…被駆動部としての給送装置、17…被駆動部としてのキャリッジ、40…制御装置、63…速度検出手段を構成するクロック信号発生部、64…速度検出手段を構成する回転速度算出部、65…速度設定手段としての第1印加電圧設定部、66…電流値取得手段としての電流値算出部、67…差分取得手段としての差分算出部、68…減速度算出手段としての減速度算出部、69…トルク算出手段、閾値設定手段としてのトルク算出部、70…蓄熱量算出手段としての蓄熱量算出部、71…電圧調整手段、制限値設定手段としての第2印加電圧設定部、DVn…減速度、Es…蓄熱量、I…電流値、KDVn…減速度閾値、KEs…蓄熱量閾値、KTr1…差分用トルク制限値としての第1制限値、KTr2…蓄熱量用トルク制限値としての第2制限値、KV1…第1の値、KV2…第2の値、KVsub…差分閾値、Tr…トルク、V1,V2…電圧、Vn…駆動速度としての回転速度、Vsub…差分、Vt…目標速度。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動源を備える電子機器の制御装置であって、
前記駆動源に流れる電流値を取得する電流値取得手段と、
前記駆動源の目標速度を設定する速度設定手段と、
前記駆動源の駆動速度を検出する速度検出手段と、
前記速度設定手段によって設定された目標速度と前記速度検出手段によって検出された駆動速度との差分を取得する差分取得手段と、
前記電流値取得手段によって取得された電流値に基づき前記駆動源から出力されるトルクを算出するトルク算出手段と、
前記トルク算出手段によって算出されたトルクが、設定された差分用トルク制限値を超える場合には、前記駆動源に印加する電圧を低下させる電圧調整手段と、を備え、
前記トルク算出手段は、前記差分取得手段によって取得された差分が、設定された差分閾値未満である場合には前記駆動源から出力されるトルクを算出しないことを特徴とする電子機器の制御装置。
【請求項2】
前記差分閾値を、前記駆動源の駆動速度を上昇させる領域を含む第1制御状態である場合には第1の値に設定する一方、前記第1制御状態の後の制御状態であって且つ前記駆動源の駆動速度を一定とする領域を含む第2制御状態である場合には前記第1の値よりも小さい第2の値に設定する閾値設定手段をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の電子機器の制御装置。
【請求項3】
前記電流値取得手段は、前記速度検出手段によって検出される前記駆動源の駆動速度と前記駆動源に印加される電圧とに基づき、前記駆動源に流れる電流値を算出することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電子機器の制御装置。
【請求項4】
前記電流値取得手段によって取得された前記駆動源に流れる電流値に基づき、前記駆動源の蓄熱量を算出する蓄熱量算出手段をさらに備え、
前記トルク算出手段は、前記蓄熱量算出手段によって算出された蓄熱量が予め設定された蓄熱量閾値以上である場合には前記駆動源から出力されるトルクを算出し、
前記電圧調整手段は、前記蓄熱量算出手段によって算出された蓄熱量が予め設定された蓄熱量閾値以上である場合において、前記トルク算出手段によって算出されるトルクが予め設定された蓄熱量用トルク制限値を超えるときには、前記駆動源に印加する電圧を低下させることを特徴とする請求項3に記載の電子機器の制御装置。
【請求項5】
前記電圧調整手段は、
前記差分用トルク制限値が前記蓄熱量用トルク制限値以上である場合において、前記トルク算出手段によって算出されたトルクが前記蓄熱量用トルク制限値を超えるときには、前記駆動源に印加する電圧を低下させる一方、
前記差分用トルク制限値が前記蓄熱量用トルク制限値未満である場合において、前記トルク算出手段によって算出されたトルクが前記差分用トルク制限値を超えるときには、前記駆動源に供給する電力を低下させることを特徴とする請求項4に記載の電子機器の制御装置。
【請求項6】
前記速度設定手段によって設定される目標速度が複数回連続して同一速度となる場合に、前記駆動源の減速度を算出する減速度算出手段をさらに備え、
前記トルク算出手段は、前記減速度算出手段によって算出された減速度が予め設定された減速度閾値以上である場合には、前記電流値取得手段によって取得された電流値に基づき前記駆動源から出力されるトルクを算出することを特徴とする請求項1〜請求項5のうち何れか一項に記載の電子機器の制御装置。
【請求項7】
駆動源と、
前記駆動源から出力されるトルクによって駆動する被駆動部と、
請求項1〜請求項6のうち何れか一項に記載の電子機器の制御装置と、を備えることを特徴とする電子機器。
【請求項8】
電子機器に搭載される駆動源のトルク出力制限方法であって、
前記駆動源に流れる電流値を取得させる電流値取得ステップと、
前記駆動源の目標速度を設定させる速度設定ステップと、
前記駆動源の駆動速度を検出させる速度検出ステップと、
前記速度設定ステップで設定した目標速度と前記速度検出ステップで検出した駆動速度との差分を取得させる差分取得ステップと、
前記電流値取得ステップで取得した電流値に基づき前記駆動源から出力されるトルクを算出させるトルク算出ステップと、
前記トルク算出ステップで算出したトルクが、設定された差分用トルク制限値を超える場合には、前記駆動源に印加する電圧を低下させる電圧調整ステップと、を有し、
前記差分取得ステップで取得した差分が、設定された差分閾値未満である場合には、前記トルク算出ステップが行なわれないことを特徴とする駆動源のトルク出力制限方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−217585(P2011−217585A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−86239(P2010−86239)
【出願日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】