説明

電子機器の取付構造及びこの電子機器の取付構造を備えた産業機械システム

【課題】電子機器を産業機械システムに容易に、しかもコンパクトに配設することができる電子機器の取付構造及びこの電子機器の取付構造を備えることで設計変更等に容易に対応することができる産業機械システムを提供する。
【解決手段】産業機械システム100を構成する中空状のフレーム材104に非常停止スイッチ105等の様々な電子機器を着脱自在に取り付けることができ、しかも、電子機器をフレーム材104に取り付けた際に当該電子機器の少なくとも一部がフレーム材104の内部に収納される。したがって、電子機器を産業機械システム100に容易に、しかもコンパクトに配設することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば産業機械システムを構成する中空状のフレームに着脱自在に取り付けられる電子機器の取付構造及びこの電子機器の取付構造を備えた産業機械システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、工場などにおいてロボット等の産業機器が設置される産業機械システムでは、産業機器(ここでは、産業用ロボット)の周囲の危険ゾーンを、開閉自在の出入口を有する安全柵などで取り囲むことにより、作業者が産業機器に巻き込まれるといったトラブルを未然に防止している。そして、産業機器を通常運転する場合には、安全柵の外面に取り付けられた操作盤により、安全柵の外側から産業機器の操作を行っている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
また、安全性の観点から、この操作盤及び安全柵内外の複数箇所には、非常停止スイッチが取り付けられている。そして、産業機器が危険な状態に陥った場合には、安全柵の内外において、この非常停止スイッチを適宜操作することで、産業機械システムの主回路への電源を遮断して産業機械システム全体を緊急停止させることができる。
【0004】
さらに、安全柵の出入口には、安全性の観点から、出入口の扉が完全に閉まっていないときには、産業機器の駆動を停止する安全スイッチが設けられている。
【0005】
この安全スイッチは、例えば安全柵内に設置された産業機器に電気的に接続されるもので、開閉器を内蔵したスイッチ本体と、スイッチ本体への抜き差しによりスイッチ本体内の開閉器を開閉するアクチュエータとにより構成される。スイッチ本体は安全柵の出入口周縁の壁面に固着され、またアクチュエータは扉に固着される。そのアクチュエータの位置はスイッチ本体の進入口に対向する位置で、扉を閉鎖した状態のときにスイッチ本体の操作部内に進入する。
【0006】
そして、アクチュエータの進入により、スイッチ本体のスイッチ部に内蔵される開閉器が閉状態に切り換わり、安全柵内の産業機器への電源が供給されて産業機器が駆動可能な状態となる。一方、扉の開放によりアクチュエータが操作部から抜け出たときにはスイッチ部の開閉器が開状態に切り換わり、産業機器への電源が遮断されて産業機械システムが手動操作以外では駆動されないようになる。こうすることで、扉が開放されている場合には産業機器が駆動しないため、安全柵内で作業を行う作業者が、産業機器に巻き込まれるといったトラブルの発生を防止することができる。
【0007】
また、産業機械システムは産業機器として、安全柵の外部から安全柵の内部の産業用ロボットへワークを搬送し、産業用ロボットにより加工された後のワークを安全柵の外部へ搬送するベルトコンベアを備えている場合がある。この場合、ベルトコンベアが配設されている安全柵の開口部には作業者の安全を守るためにライトカーテンが配設されている。
【0008】
このライトカーテンは、発光素子と受光素子から成る光検出器を複数組備えており、安全柵の開口部に発光素子から受光素子へと投光された光による保護バリアを形成している。そして、開口部(光による保護バリア)を作業者の腕等の遮光物が通過して、発光素子から受光素子へと投光される光が遮光されると、産業機械システムの主回路への電源を遮断して産業機械システム全体を緊急停止させるように構成されている。
【0009】
また、産業機械システムには、上記した非常停止スイッチ、安全スイッチ及びライトカーテンから信号が入力されることにより、産業機械システムの主回路への電源供給及び電源遮断の制御を行う安全リレーモジュールが設けられている。すなわち、非常停止スイッチ、安全スイッチ及びライトカーテンのうちのいずれかが、産業機器の動作を停止させる信号を出力している状態であれば(換言すれば、作業者に危険が及ぶ可能性がある状態であれば)、安全リレーモジュールが確実に産業機械システムの主回路への電源を遮断するように構成されている。
【0010】
また、産業機械システムの動作状態を発光色によって作業者が目視できるように、安全柵の複数箇所に表示灯が設けられている。作業者は表示灯の発光状態(色、点滅等)を目視することで、産業機械システムの通電状態及び動作状態を視認することができる。
【0011】
【特許文献1】特開2002−93260号公報([0002]〜[0006],図17)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ところで、上記した非常停止スイッチ、安全スイッチ、ライトカーテン及び表示灯といった電子機器を産業機械システムに配設する際には、安全柵のフレームを穿設加工したり、別途、取付金具をフレームを取り付けたりしなければならない。そのため、電子機器の取り付けには手間がかかり、電子機器を容易に産業機械システムに配設できる技術が要望されている。また、電子機器をフレームに取り付けた際に、電子機器の大きさ分だけ該電子機器がフレームから突出し、作業者の服などに引っ掛かるなど作業の邪魔になることがあった。
【0013】
また、フレームに電子機器を取り付けるためにはフレームを穿設加工したり、フレームに取付金具を配設したりしなければならないため、当該加工位置や取付金具の位置に電子機器の取付位置が制限されるという不都合もある。
【0014】
また、特にライトカーテンについては、安全カテゴリに応じた様々な規格が法的に定められており、産業機械システムを設計する段階でライトカーテンの寸法等を決定しなければならない。そのため、産業機械システムの急な設計変更に対応することが困難であった。
【0015】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、電子機器を産業機械システムに容易に、しかもコンパクトに配設することができる電子機器の取付構造及びこの電子機器の取付構造を備えることで設計変更等に容易に対応することができる産業機械システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記した課題を解決するため、本発明にかかる電子機器の取付構造は、産業機械システムを構成する中空状のフレーム材と、前記フレーム材に着脱自在に取り付けられる電子機器とを備え、前記電子機器は、前記フレーム材の内部に少なくとも一部が収納されることを特徴としている(請求項1)。
【0017】
このように構成された発明では、産業機械システムを構成する中空状のフレーム材に電子機器を着脱自在に取り付けることができ、しかも、電子機器をフレーム材に取り付けた際に当該電子機器の少なくとも一部がフレーム材の内部に収納される。したがって、電子機器を産業機械システムに容易に、しかもコンパクトに配設することができる。
【0018】
また、前記産業機械システムは、産業機器と当該産業機器を囲む柵とを含み、前記柵の一部を構成すべく前記フレーム材が配設され固定され、前記電子機器が、当該産業機器の動作制御、作動状況の表示を行うものであってもよい(請求項2)。また、前記産業機械システムは産業機器を含み、前記産業機器の一部を構成すべく前記フレーム材が配設され固定され、前記電子機器が、当該産業機器の動作制御、作動状況の表示を行うものであってもよい(請求項3)。このような構成とすれば、産業機械システムを構成するフレーム材に電子機器を容易に、しかもコンパクトに配設することができる。
【0019】
また、前記フレーム材の所定位置から前記電子機器が露出して取り付けられる構成でもよい(請求項4)。このような構成とすれば、電子機器が、例えば非常停止スイッチである場合に、押ボタン部分のみをフレーム材から露出するように配設することができるため、フレーム材から電子機器が突出するのを最小限に抑えることができる。また、電子機器が、表示灯やライトカーテンである場合には、表示灯や発光素子及び受光素子本体をフレーム材の内部に収納し、表示灯及び発光素子の発光部並びに受光素子の受光部のみをフレーム材から露出するように配設することができるため、電子機器をさらにコンパクトに産業機械システムに配設することができる。すなわち、電子機器を、当該電子機器の種類に応じて必要な部分のみをフレーム材から露出させて配設することができるため、電子機器がフレーム材から突出するのを最小限に抑えることができ、産業機械システムに電子機器をコンパクトに配設することができる。
【0020】
また、前記フレーム材は金属製であり、前記フレーム材には、該フレーム材の長さ方向に沿って溝状の開口部が形成され、前記電子機器には、前記開口部に沿って摺動する摺動部が形成されている構成でもよい(請求項5)。このような構成とすれば、フレーム材としては十分な強度を確保しつつ、摺動部を開口部に沿って摺動させることで、電子機器をフレーム材の任意の位置に配置することができる。したがって、産業機械システムへの電子機器の配設位置の自由度が高くなり、産業機械システムの設置現場に応じて、電子機器の配設位置の微調整を容易に行うことができる。
【0021】
また、前記電子機器は、複数の前記電子機器どうしを結合すべく相互に係合可能な係合部、及び、複数の前記電子機器どうしを相互に電気的に接続可能な接続部を備える構成でもよい(請求項6)。このような構成とすれば、複数の電子機器の係合部が相互に係合されて各電子機器が結合され、接続部が接続されることで各電子機器どうしが電気的に接続される。したがって、例えば電子機器が発光部品である場合に、それぞれ異なる発光色を有する複数の発光部品を組み合わせることで、任意の発光色を有する表示灯を構成することができる。また、発光素子及び受光素子から成る電子機器をそれぞれ任意の数だけ結合することで、いわゆるライトカーテンを構成することができる。すなわち、最小単位の電子機器を産業機械システムの設計に応じて組み合わせることで、当該産業機械システムに必要な電子機器を構成することができる。したがって、最小単位の電子機器を量産することで、産業機械システムの設計に応じた電子機器を特別に設計する必要がなくなるので、電子機器の量産効果による低コスト化及び電子機器の特別設計に要する費用の削減を図ることができる。
【0022】
また、前記電子機器が、前記フレーム材の端部に取り付けられて前記フレーム材どうしを連結する連結部材として機能する構成でもよい(請求項7)。このような構成とすれば、電子機器がフレーム材どうしを連結する連結部材として機能するため、電子機器をフレーム材と一体的に配設することができ、よりコンパクトに電子機器を産業機械システムに配設することができる。
【0023】
一般に、電子機器を産業機械システムを構成するフレーム材の外側に、しかも産業機械システムの複数箇所に、それぞれ離別して配設することが一般的であるため、電子機器どうしの配線や、電子機器と産業機械システムの制御装置との配線はフレーム材の外側に沿うように束ねてくくりつける必要があった。したがって、電子機器数が多くなると、配線をまとめるための中継ボックスが必要となったり、配線が複雑で見栄えが悪くなったりするという問題があった。また、電子機器数の増大に伴って、各電子機器間の共通(COM)線の配線が複雑になる。さらに、作業者がそれらの配線に引っ掛かることもあった。
【0024】
そこで、前記フレーム材は内部に配設された少なくとも電源ライン又は信号ラインを含み、前記電子機器が前記電源ライン又は信号ラインに接離自在に接続される構成とすることで(請求項8)、配線を全てフレーム材の内部に収納することができ、中継ボックス等の必要性が少なくなる。また、フレーム材の内部に配線された共通の電源ラインに各電子機器が接続することで、各電子機器への電源供給が容易に行える。また、共通の信号ラインに各電子機器が接続することで、各機器間で通信を行って各電子機器の連携動作が可能となる。
【0025】
このように、各電子機器ごとに必要な配線を別途設ける必要がなくなり、省配線化を図ることができる。また、各ラインがフレーム材の内部に設けられることで、作業者が配線に引っ掛かるのを防止できるため、断線を防止することができる。さらに、各ラインがフレーム材の内部に設けられることで、各電子機器間の配線をフレーム材の外部に沿って束ねる必要がなくなり、複雑な配線によって産業機械システムの見栄えが悪くなるのを防止できる。
【0026】
なお、電源ライン及び信号ラインとして、それぞれ別のラインをフレーム材の内部に設けてもよいが、電源ラインの+側に交流の通信信号を重畳することで、1つのラインで電源ライン及び信号ラインを兼ねることができるように構成されたラインを設けてもよい。具体的には、通信ラインとしては、例えば光ケーブルをフレーム材の内部に設けることができる。また、電源ライン及び信号ラインを兼ねるラインとしては、例えばASI(Actuator Sensor Interface)ケーブルをフレーム材の内部に設けることができる。
【0027】
また、上記した課題を解決するため、本発明にかかる産業機械システムは、請求項1ないし8のいずれかに記載の電子機器の取付構造を備え、発光素子から成る前記電子機器と、受光素子から成る前記電子機器とで1組の光検出器が構成され、対向配置された一対の前記フレーム材の一方に、異なる位置に複数の発光素子からなる前記電子機器が配設され、前記一対のフレーム材の他方に、発光素子からなる前記各電子機器それぞれに対向して複数の受光素子からなる前記電子機器が配設され、前記一対のフレーム材に複数組の前記光検出器が配設されて成ることを特徴としている。
【0028】
このように構成された発明では、上記した電子機器の取付構造を備えることで、一対のフレーム材に、1組の発光素子及び受光素子から成る光検出器を任意の数だけ必要な位置に配設することで産業機械システムが構成されている。よって、産業機械システムを設計する際に、必要な数の光検出器を必要な位置に設けることができ、産業機械システムに設計変更が必要となった場合でも容易に対応することができる。なお、設計する産業機械システムに必要な安全基準に応じて、一対のフレーム材の長さ及び配設方向を任意に設定することで、複数の光検出器を当該安全基準を満足するよう産業機械システムに配設することができる。
【発明の効果】
【0029】
以上のように、請求項1に記載の発明によれば、産業機械システムを構成する中空状のフレーム材に電子機器を着脱自在に取り付けることができ、しかも、電子機器をフレーム材に取り付けた際に当該電子機器の少なくとも一部がフレーム材の内部に収納される。したがって、電子機器を産業機械システムに容易に、しかもコンパクトに配設することができる。
【0030】
また、請求項2及び3に記載の発明によれば、産業機械システムを構成するフレーム材に電子機器を容易に、しかもコンパクトに配設することができる。
【0031】
また、請求項4に記載の発明によれば、電子機器を、当該電子機器の種類に応じて必要な部分のみをフレーム材から露出させて配設することができるため、電子機器がフレーム材から突出するのを最小限に抑えることができ、産業機械システムに電子機器をコンパクトに配設することができる。
【0032】
また、請求項5に記載の発明によれば、フレーム材としては十分な強度を確保しつつ、摺動部を開口部に沿って摺動させることで、電子機器をフレーム材の任意の位置に配置することができるため、産業機械システムへの電子機器の配設位置の自由度が高くなり、産業機械システムの設置現場に応じて、電子機器の配設位置の微調整を容易に行うことができる。
【0033】
また、請求項6に記載の発明によれば、最小単位の電子機器を産業機械システムの設計に応じて組み合わせることで、当該産業機械システムに必要な電子機器を構成することができる。したがって、最小単位の電子機器を量産することで、産業機械システムの設計に応じた電子機器を特別に設計する必要がなくなるので、電子機器の量産効果による低コスト化及び電子機器の特別設計に要する費用の削減を図ることができる。
【0034】
また、請求項7に記載の発明によれば、電子機器がフレーム材どうしを連結する連結部材として機能するため、電子機器をフレーム材と一体的に配設することができ、よりコンパクトに電子機器を産業機械システムに配設することができる。
【0035】
また、請求項8に記載の発明によれば、各電子機器ごとに必要な配線を別途設ける必要がなくなり、省配線化を図ることができる。また、各ラインがフレーム材の内部に設けられることで、作業者が配線に引っ掛かるのを防止できるため、断線を防止することができる。さらに、各ラインがフレーム材の内部に設けられることで、各電子機器間の配線をフレーム材の外部に沿って束ねる必要がなくなり、複雑な配線によって産業機械システムの見栄えが悪くなるのを防止できる。
【0036】
また、請求項9に記載の発明によれば、産業機械システムを設計する際に、必要な数の光検出器を必要な位置に設けることができ、産業機械システムに設計変更が必要となった場合でも容易に対応することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
<第1実施形態>
この発明の第1実施形態について図1ないし図10を参照して説明する。図1は産業機械システムを示す外観図、図2ないし図10はそれぞれ電子機器の取付構造の一例を示す図である。
【0038】
1.産業機械システム
図1に示すように、本実施形態における産業機械システム100は、上記した従来のものとほぼ同様に、工場などにおいて産業用ロボット101(本発明の「産業機器」に相当)の周囲の危険ゾーンを、アルミニウムや鉄等の金属製であって中空状のフレーム材104を配設し固定することにより構成した、開閉自在の出入口102を有する安全柵103で取り囲むことにより、作業者が産業用ロボット101に巻き込まれるといったトラブルを未然に防止している。そして、産業用ロボット101を通常運転する場合には、安全柵103の外面に取り付けられた操作盤(図示省略)により、安全柵103の外側から産業用ロボット101の操作を行っている。
【0039】
また、安全性の観点から、この操作盤及び安全柵103内外のフレーム材104の複数箇所には、産業用ロボット101の動作制御を行う非常停止スイッチ105(本発明の「電子機器」に相当/他の非常停止スイッチは図示省略)が、スイッチ105の一部がフレーム材104の内部に収納されて取り付けられている。そして、産業用ロボット101が危険な状態に陥った場合には、安全柵103の内外において、この非常停止スイッチ105を適宜操作することで、産業機械システム100の主回路への電源を遮断して産業機械システム100全体を緊急停止させることができる。なお、非常停止スイッチ105及びこの後に説明する安全スイッチ106、表示灯107のフレーム材104への取付構造については後で詳細に述べる。
【0040】
さらに、安全柵103の出入口102には、安全性の観点から、出入口102の扉が完全に閉まっていないときには、産業用ロボット101の動作制御を行って駆動を停止する安全スイッチ106(本発明の「電子機器」、「連結部材」に相当)が設けられている。
【0041】
この安全スイッチ106は、例えば安全柵103内に設置された産業用ロボット101に電気的に接続されるもので、開閉器を内蔵したスイッチ本体106aと、スイッチ本体106aへの抜き差しによりスイッチ本体106a内の開閉器を開閉するアクチュエータ(図示省略)とにより構成される。スイッチ本体106aは、安全柵103の出入口102周縁のフレーム材104b,104cを連結する連結部材としてフレーム材104b,104cの端部に取り付けられ、またアクチュエータは扉109に固着される。そのアクチュエータの位置はスイッチ本体106aの進入口に対向する位置で、扉109を閉鎖した状態のときにスイッチ本体106aの操作部内に進入する。
【0042】
そして、アクチュエータの進入により、スイッチ本体106aのスイッチ部に内蔵される開閉器が閉状態に切り換わり、安全柵103内の産業用ロボット101への電源が供給されて産業用ロボット101が駆動可能な状態となる。一方、扉109の開放によりアクチュエータが操作部から抜け出たときにはスイッチ部の開閉器が開状態に切り換わり、産業用ロボット101への電源が遮断されて産業機械システム100が手動操作以外では駆動されないようになる。こうすることで、扉109が開放されている場合には産業用ロボット101が駆動しないため、安全柵103内で作業を行う作業者が、産業用ロボット101に巻き込まれるといったトラブルの発生を防止することができる。
【0043】
また、産業機械システム100(産業用ロボット101)の作動状況を発光色により表示して作業者が目視できるように、安全柵103のフレーム材104の複数箇所に表示灯107,108(本発明の「電子機器」に相当)が、表示灯107,108の一部がフレーム材104の内部に収納されて取り付けられている。作業者は表示灯107,108の発光状態(色、点滅等)を目視することで、産業機械システム100(産業用ロボット101)の通電状態及び作動状況を視認することができる。
【0044】
また、産業機械システム100には、上記した従来のものと同様に、安全リレーモジュール(図示省略)が設けられており、作業者に危険が及ぶ可能性がある状態であれば、安全リレーモジュールが確実に産業機械システム100の主回路への電源を遮断するように構成されている。
【0045】
また、産業機械システム100を構成するフレーム材104の内部には電源ライン及び信号ライン(図示省略)が配設されており、上記した非常停止スイッチ105、安全スイッチ106、表示灯107,108、安全リレーモジュール、操作盤はこの電源ライン及び信号ラインに接続されている。そして、電源ラインから電源供給されると共に、信号ラインを介して相互通信することにより連携して動作するように構成されている。
【0046】
2.取付構造(1)
次に、図2を参照して安全スイッチ106とフレーム材104b,104cとの取付構造について説明する。図2は図1に示す産業機械システム100の安全スイッチ106部分の部分拡大図であり、(a)、(c)はフレーム材、(b)はスイッチ本体を示す。
【0047】
図2(a)、(c)に示すように、フレーム材104b、104cには、ねじ孔104b1、104c1が穿設されている。また、(b)に示すように、スイッチ本体106aの側面にはアクチュエータが操作部に進入する進入口106a4が設けられており、上面と下面にはそれぞれ連結部106a2が形成されている。
【0048】
そして、この連結部106a2の側面にはねじ孔106a1が穿設されており、連結部106a2がフレーム材104b,104cに収納されることで、ねじ孔106a1とねじ孔104b1,104c1とをねじが挿通可能に構成されている。したがって、電子機器である安全スイッチ106の一部である連結部106a2がフレーム材104b,104cに収納された状態で、ねじ孔106a1とねじ孔104b1,104c1にねじを挿通し、固定することでフレーム材104bとフレーム材104cとを連結することができる。
【0049】
また、連結部106a2には、上記した電源ライン又は信号ライン接続可能にコネクタ106a3が形成されており、安全スイッチ106aと、産業用ロボット101等と電気的に接続することができる。
【0050】
なお、本発明の連結部材として機能する電子機器は、上記した安全スイッチ106に限られず、表示灯等、他の電子機器であってももちろんよい。
【0051】
3.取付構造(2)
次に、図3及び図4を参照して表示灯107とフレーム材104aとの取付構造について説明する。図3は図1に示す産業機械システム100の表示灯107部分の部分拡大図であり、(a)は表示灯を個々の電子部品に分解した図、(b)はフレーム材を示す図である。また、図4は図3(a)に示す電子部品が(b)のフレーム材に取り付けられて表示灯として完成した状態を示す図である。
【0052】
図3(a)に示すように、本実施形態における表示灯107は仕切部材107a及び発光素子107b,107c(それぞれ本発明の「電子機器」に相当)が組み合わされることで、所謂、積層表示灯として構成されている。また、(b)に示すように、断面四角形状のフレーム材104aには、その長さ方向に沿って溝状の開口部104a1が形成されている。
【0053】
また、図3(a)に示すように、仕切り部材107a及び発光素子107b,107cは断面がロ字状であり、その内側にT字状に一体的に突設されることで、フレーム材104aの開口部104a1に沿って摺動可能な摺動部107a1,107b1,107c1が形成されている。また、仕切部材107a及び発光素子107b,107cは、摺動部107a1,107b1,107c1が開口部104a1に沿って摺動しつつ、フレーム104aが仕切り部材107a及び発光素子107b,107cに挿通可能な大きさに形成されている。
【0054】
また、発光素子107b,107cは、それぞれ、その側面が赤色及び黄色に発光するLEDであり、摺動部107b1,107c1にはコネクタ(図示省略)がフレーム104a内に配設された電源ライン及び信号ラインと接続可能に設けられている。
【0055】
このように構成された、仕切り部材107a及び発光素子107b,107cを図4に示すように、摺動部107a1,107b1,107c1を開口部104a1に沿って摺動させつつ、仕切部材107aから順にフレーム材104aの任意の位置に嵌合していくことで、仕切部材107a及び発光素子107b,107cの一部である摺動部107a1,107b1,107c1がフレーム部材104aに収納されて表示灯107が完成する。
【0056】
なお、仕切り部材107a及び発光素子107b,107cの摺動部107a1,107b1,107c1と、フレーム材104aの開口部104a1との間に作用する静止摩擦力によって表示灯107はフレーム材104aの任意の位置に固定される。
【0057】
また、発光素子の発光色及び発光素子の発光方式(ランプ方式、有機ELデバイス等)は、産業機械システム100の規模、コスト等に応じて、それぞれ任意の発光色及び発光方式を採用することができる。また、発光素子の数は2個に限定されるものではなく、必要な発光色を有する発光素子を必要な数だけ組み合わせてもよい。
【0058】
また、本実施形態では、フレーム材104a、仕切り部材107a及び発光素子107b,107cの断面形状は四角形状(多角形状)となるものを採用したが、円形状又は楕円形状であってもよい。要は、電子機器の摺動部がフレーム材の開口部と摺動可能であって、さらに、当該摺動部及び開口部との間に作用する静止摩擦力によって電子機器がフレーム材に固定可能であればよい。
【0059】
また、本実施形態における非常停止スイッチ105は、この「電子機器の取付構造(2)」と同様の取付構造を有するため、その構成及び動作の説明は省略する。
【0060】
4.取付構造(3)
次に、図5及び図6を参照して、図1中の一点鎖線で囲まれた部分Aに取り付けられた表示灯110とフレーム材104dとの取付構造について説明する。図5は図1中の一点鎖線で囲まれた部分Aの部分拡大図であり、(a)は表示灯を個々の電子部品に分解した図、(b)はフレーム材を示す図である。また、図6は図5(a)に示す電子部品が(b)のフレーム材に取り付けられて表示灯として完成した状態を示す図である。
【0061】
図5(a)に示すように、本実施形態における表示灯110はカバー110a及び発光素子110b,110c(それぞれ本発明の「電子機器」に相当)が組み合わされることで構成されている。また、(b)に示すように、断面四角形状のフレーム材104dは、安全柵103の一隅部を構成するため湾曲しており、また、その長さ方向に沿って溝状の開口部104d1が形成されている。
【0062】
また、図5(a)に示すように、カバー110aは可撓性で弾性を有する透明又は半透明の樹脂で構成されており、その断面はエ字状であって紙面に向って背面側には開口部104d1に沿って摺動可能な摺動部110a1が形成されている。また、発光素子110b,110cには、フレーム材104dの内側面に沿って摺動可能に摺動部110b1,110c1が形成されている。
【0063】
また、発光素子110b,110cは、摺動部110b1,110c1がフレーム材104dの内側面に沿って摺動しつつ、フレーム材104dの内側に収納可能な大きさに形成されている。また、発光素子110b,110cには、発光素子110b,110cどうしを結合すべく相互に係合可能な係合部110b2,110c2が形成されている。また、係合部110b2,110c2の側面には、発光素子110b,110cどうしを相互に電気的に接続可能にコネクタ110b3,110c3(本発明の「接続部」に相当)が形成されている。
【0064】
したがって、発光素子110b,110cの係合部110b2,110c2が相互に係合されて発光素子110b,110cが結合され、コネクタ110b3,110c3が接続されることで発光素子110b,110cどうしが電気的に接続される。また、図5(a)に示すように、発光素子110b,110cどうしが結合された際、コネクタ110b3,110c3を回動の中心として発光素子110b,110cどうしが回動自在に結合される。したがって、結合した発光素子110b,110cの結合体を湾曲したフレーム材104dに沿って、フレーム材104dの内部に収納ことができる。
【0065】
また、発光素子110b,110cの表面には、それぞれ、青色及び赤色に発光するLED110b4,110c4が一体的に設けられている。また、発光素子110b,110cの結合体の両端部のコネクタ110b3,110c3が、フレーム104d内に配設された電源ライン及び信号ラインと接続可能に設けられている。
【0066】
このように構成された、発光素子110b,110cを図6に示すように、摺動部110b1,110c1をフレーム材104dの内側面に沿って摺動させつつフレーム104d内に収納してフレーム材104dの任意の位置に配置する。そして、カバー110aを摺動部110a1を開口部104d1に沿って摺動させつつ、カバー110aを発光素子110b,110cを覆う位置に固定することで、カバー110aの一部である摺動部110a1がフレーム材104dに収納されて表示灯110が完成する。
【0067】
なお、カバー110a及び発光素子110b,110cの摺動部110a1,110b1,110c1と、フレーム材104dの開口部104d1及び内側面との間に作用する静止摩擦力によって表示灯110はフレーム材104dの任意の位置に固定される。
【0068】
また、発光素子の発光色及び発光素子の発光方式(ランプ方式等)は、産業機械システム100の規模、コスト等に応じて、それぞれ任意の発光色及び発光方式を採用することができる。また、発光素子の数は2個に限定されるものではなく、必要な発光色を有する発光素子を必要な数だけ組み合わせてもよい。
【0069】
また、本実施形態では、フレーム材104d、仕切り部材110a及び発光素子110b,110cの断面形状は四角形状(多角形状)となるものを採用したが、円形状又は楕円であってもよい。要は、電子機器の摺動部がフレーム材の開口部又は内側面と摺動可能であって、さらに、当該摺動部と開口部及び内側面との間に作用する静止摩擦力によって電子機器がフレーム材に固定可能であればよい。
【0070】
また、本実施形態では、発光素子110b、110cをカバー110aで被覆して表示灯110を構成したが、カバー110aは必ずしも必要なものではない。また、本実施形態では、発光素子110b,110cの係合部110b2,110c2にコネクタ110b3,110c3を設けたが、発光素子110b、110cの紙面に向って背面にコネクタを別途設けて、フレーム材104d1内の電源ライン又は信号ラインと接続する構成としてもよい。この場合、コネクタ110b3,110c3の替わりに突起を突設することで、当該突起が回動の中心となって回動自在に発光素子どうしを結合することができる。
【0071】
5.取付構造(4)
次に、図7を参照して、図1中に図示省略した表示灯111とフレーム材104eとの取付構造について説明する。図7は表示灯111及びフレーム材104eの部分拡大図であり、(a)ないし(e)は表示灯111を個々の電子部品に分解した図、(f)はフレーム材104eを示す図である。
【0072】
図7(a)ないし(e)に示すように、表示灯111はカバー111a及び終端抵抗111b、発光素子111c,111d、配線部材111e(それぞれ本発明の「電子機器」に相当)が組み合わされることで構成されている。また、(f)に示すように、断面四角形状のフレーム材104eは、安全柵のフレーム材104の一部を構成しており、その長さ方向に沿って溝状の開口部104e1が形成されている。また、内側面には、フレーム材104eの長さ方向に沿って一対の凸部104e2が形成されている。
【0073】
また、図7(a)に示すように、カバー111aは透明又は半透明の樹脂で構成されており、その断面はエ字状であって紙面に向って背面側には開口部104e1に沿って摺動可能な摺動部111a1が形成されている。また、(b)及び(e)に示すように、終端抵抗111b及び配線部材111eには、フレーム材104eの内側面に形成された一対の凸部104e2と摺動可能な摺動部111b6,111e6が形成されている。また、(c)及び(d)に示すように、発光素子111c,111dには、フレーム材104eの内側面に沿って摺動可能に摺動部111c1,111d1が形成されている。
【0074】
また、終端抵抗111b及び配線部材111eは、摺動部111b6,111e6が、フレーム材104eの内側面の凸部104e2に沿って、また、発光素子111c,111dは、摺動部111c1,111d1が、フレーム材104eの内側面に沿って摺動しつつ、フレーム材104eの内側に収納可能な大きさに形成されている。また、終端抵抗111b、発光素子111c,111d、配線部材111eには、これらの電子機器を結合すべく相互に係合可能な係合部111b2,111c2,111d2,111e2が形成されている。また、係合部111b2,111c2,111d2,111e2には、これらの電子機器どうしを相互に電気的に接続可能にコネクタ111b3,111c3,111d3,111e3(本発明の「接続部」に相当)が形成されている。
【0075】
したがって、終端抵抗111b、発光素子111b,111c及び配線部材111eの係合部111b2,111c2,111d2,111e2が相互に係合されて終端抵抗111b、発光素子111b,111c及び配線部材111eが結合され、コネクタ111b3,111c3,111d3,111e3が接続されることで終端抵抗111b、発光素子111b,111c及び配線部材111eどうしが電気的に接続される。
【0076】
また、発光素子111c,111dcの表面には、それぞれ、青色及び赤色に発光するLED111cb4,111d4が一体的に設けられている。また、(e)に示すように、配線部材111eの下面側には、配線111e5がフレーム104e内に配設された電源ライン及び信号ラインと接続可能に設けられている。
【0077】
このように構成された、終端抵抗111b、発光素子111c,111d及び配線部材111eを、摺動部111b6,111e6をフレーム材104eの内側面の凸部104e2に沿って、摺動部111c1,111d1をフレーム材104eの内側面に沿って摺動させつつフレーム材104e内に収納してフレーム材104eの任意の位置に配置する。そして、カバー111aを摺動部111a1を開口部104e1に沿って摺動させつつ、カバー111aを、終端抵抗111b、発光素子111c,111d及び配線部材111eを覆う位置に固定することで、カバー111aの一部である摺動部111a1がフレーム材104eに収納されて表示灯111が完成する。
【0078】
なお、カバー111a、終端抵抗111b、発光素子111c,111d及び配線部材111eの摺動部111a1,111b6,111c1,111d1,111e6と、フレーム材104eの開口部104e1、内側面の凸部104e2及び内側面との間に作用する静止摩擦力によって表示灯111はフレーム材104eの任意の位置に固定される。
【0079】
また、発光素子の発光色及び発光素子の発光方式(ランプ方式等)は、産業機械システム100の規模、コスト等に応じて、それぞれ任意の発光色及び発光方式を採用することができる。また、発光素子の数は2個に限定されるものではなく、必要な発光色を有する発光素子を必要な数だけ組み合わせてもよい。
【0080】
また、本実施形態では、フレーム材104e、各電子機器111b,111c,111d,111eの断面形状は四角形状(多角形状)となるものを採用したが、円形状又は楕円であってもよい。要は、電子機器の摺動部がフレーム材の開口部又は内側面と摺動可能であって、さらに、当該摺動部と開口部及び内側面との間に作用する静止摩擦力によって電子機器がフレーム材に固定可能であればよい。
【0081】
また、本実施形態では、終端抵抗111b、発光素子111c,111d及び配線部材111eをカバー111aで被覆して表示灯111を構成したが、カバー111aは必ずしも必要なものではない。また、本実施形態では、配線部材111eの下面に配線111e5を設けたが、配線111e5に替えてコネクタを設けてもよい。要は、配線部材111eと、フレーム材104e内部に設けられた電源ライン及び信号ラインと接続可能な構成であればよい。
【0082】
6.取付構造(5)
次に、図8を参照して、図1中に図示省略した表示灯112とフレーム材104fとの取付構造について説明する。図8は表示灯112及びフレーム材104fの部分拡大図であり、(a)表示灯112示す図、(b)はフレーム材104fを示す図である。
【0083】
図8(a)に示すように、表示灯112はそれぞれ異なる発光色を有するLEDから成る発光素子112b,112c,112dを有している。また、(b)に示すように、断面四角形状のフレーム材104fは、安全柵のフレーム材104の一部を構成しており、その側面には所定の位置に開口104f1,104f2,104f3が形成されている。
【0084】
また、図8(a)に示すように、表示灯112には、フレーム材104fの内側面に沿って摺動可能に摺動部112aが形成されている。また、表示灯112の上面には、コネクタ112fがフレーム104f内に配設された電源ライン及び信号ラインと接続可能に設けられている。
【0085】
また、表示灯112は、摺動部112aがフレーム材104fの内側面に沿って摺動しつつ、フレーム材104fの内側に収納可能な大きさに形成されている。
【0086】
このように構成された、表示灯112を、摺動部112aをフレーム材104fの内側面に沿って摺動させつつフレーム材104f内に収納して、発光素子112b,112c,112dが、それぞれフレーム材104fの開口104f1,104f2,104f3から露出する位置に配置することで表示灯112が配設される。
【0087】
なお、表示灯112の摺動部112aと、フレーム材104fの内側面との間に作用する静止摩擦力によって表示灯112はフレーム材104fの任意の位置に固定される。
【0088】
また、発光素子の発光色及び発光素子の発光方式(ランプ、有機EL方式等)は、産業機械システム100の規模、コスト等に応じて、それぞれ任意の発光色及び発光方式を採用することができる。また、表示灯112の下面側に、上面のコネクタ112fと接続可能にコネクタを設け、複数の表示等を組み合わせてもよい。また、表示灯が有する発光素子の数は3個に限定されるものではなく、必要な発光色を有する発光素子を必要な数だけ組み合わせてもよい。
【0089】
また、本実施形態では、表示灯112及びフレーム材104fの断面形状は四角形状(多角形状)となるものを採用したが、円形状又は楕円であってもよい。要は、電子機器の摺動部がフレーム材の内側面と摺動可能であって、さらに、当該摺動部と内側面との間に作用する静止摩擦力によって電子機器がフレーム材に固定可能であればよい。
【0090】
7.取付構造(6)
次に、図9及び図10を参照して、図1中で図示省略された照明113の取付構造について説明する。図9は照明113とフレーム104gの部分拡大図であり、(a)はフレーム材を示す図であり、(b)ないし(d)は照明を個々の電子部品に分解した図である。また、図10は図9の(b)ないし(d)に示す電子部品が(a)のフレーム材に取り付けられて照明して完成した状態を示す図である。
【0091】
図9(a)に示すように、断面四角形状のフレーム材104gは、その長さ方向に沿って溝状の開口部104g1が形成されている。また、(b)ないし(d)に示すように、本実施形態における照明113はLEDを有する発光素子113a,113b及び円筒状の導光部材113c(それぞれ本発明の「電子機器」に相当)が組み合わされることで構成されている。
【0092】
また、図9(b)及び(d)に示すように、発光素子113a,113bには、T字状に一体的に突設されることで、フレーム材104aの開口部104g1に沿って摺動可能な摺動部113a1,113b1が形成されている。また、摺動部113a1,113b1にはコネクタ(図示省略)がフレーム104g内に配設された電源ライン及び信号ラインと接続可能に設けられている。
【0093】
このように構成された、発光素子113a,113bを図10に示すように、摺動部113a1,113b1を開口部104g1に沿って摺動させつつ、フレーム材104gの任意の位置に嵌合する。そして、導光部材113cと、発光素子113a,113bの発光部113a2,113b2とを嵌挿することで、発光素子113a,113bの一部である摺動部113a1,113b1がフレーム材104gに収納されて照明113が完成する。
【0094】
なお、発光素子113a,113bの摺動部113a1,113b1と、フレーム材104gの開口部104g1との間に作用する静止摩擦力によって照明113はフレーム材104gの任意の位置に固定される。
【0095】
また、発光素子の発光色及び発光素子の発光方式(ランプ方式、有機ELデバイス等)は、産業機械システム100の規模、コスト等に応じて、それぞれ任意の発光色及び発光方式を採用することができる。
【0096】
また、本実施形態では、フレーム材104gの断面形状は四角形状(多角形状)となるものを採用したが、円形状又は楕円形状であってもよい。要は、電子機器の摺動部がフレーム材の開口部と摺動可能であって、さらに、当該摺動部及び開口部との間に作用する静止摩擦力によって電子機器がフレーム材に固定可能であればよい。
【0097】
以上のように、上記した実施形態では、産業機械システム100を構成する中空状のフレーム材104に非常停止スイッチ105等の様々な電子機器を着脱自在に取り付けることができ、しかも、電子機器をフレーム材104に取り付けた際に当該電子機器の少なくとも一部がフレーム材104の内部に収納される。したがって、電子機器を産業機械システム100に容易に、しかもコンパクトに配設することができる。
【0098】
また、非常停止スイッチ105等の電子機器を、当該電子機器の種類に応じて必要な部分のみをフレーム材104から露出させて配設することができるため、電子機器がフレーム材100から突出するのを最小限に抑えることができ、産業機械システム100に電子機器をコンパクトに配設することができる。
【0099】
また、フレーム材104が金属で構成されているため、フレーム材104としては十分な強度を確保しつつ、非常停止スイッチ105等の電子機器の摺動部をフレーム104開口部に沿って摺動させることで、電子機器をフレーム材104の任意の位置に配置することができるため、産業機械システム100への電子機器の配設位置の自由度が高くなり、産業機械システム100の設置現場に応じて、電子機器の配設位置の微調整を容易に行うことができる。
【0100】
また、発光素子111c,111d等の最小単位の電子機器を産業機械システム100の設計に応じて組み合わせることで、当該産業機械システム100に必要な電子機器を構成することができる。したがって、最小単位の電子機器を量産することで、産業機械システム100の設計に応じた電子機器を特別に設計する必要がなくなるので、電子機器の量産効果による低コスト化及び電子機器の特別設計に要する費用の削減を図ることができる。
【0101】
また、安全スイッチ106がフレーム材104b,104cどうしを連結する連結部材として機能するため、安全スイッチをフレーム材と一体的に配設することができ、よりコンパクトに安全スイッチ106を産業機械システム100に配設することができる。
【0102】
また、フレーム材104の内部に電源ライン及び信号ラインを配設しているため、各電子機器ごとに必要な配線を別途設ける必要がなくなり、省配線化を図ることができる。また、各ラインがフレーム材の内部に設けられることで、作業者が配線に引っ掛かるのを防止できるため、断線を防止することができる。さらに、各ラインがフレーム材の内部に設けられることで、各電子機器間の配線をフレーム材の外部に沿って束ねる必要がなくなり、複雑な配線によって産業機械システム100の見栄えが悪くなるのを防止できる。
【0103】
<第2実施形態>
この発明の第2実施形態について図11ないし図16を参照して説明する。図11は産業機械システムを示す外観図、図12は図11の産業機械システムの要部拡大図、図13ないし図16はそれぞれ電子機器の取付構造の一例を示す図である。
【0104】
1.産業機械システム
図11に示すように、本実施形態における産業機械システムは、例えば第1実施形態で説明した産業機械システム100の安全柵103の外部から安全柵103の内部の産業用ロボット101へワークを搬送し、産業用ロボット101により加工された後のワークを安全柵103の外部へ搬送するベルトコンベア200(本発明の「産業機器」に相当)である。このベルトコンベア200のベルト部201は、フレーム材204で構成された台座の上に配設されている。
【0105】
また、ベルトコンベア200を産業機械システム100に配設する場合には、安全柵103の一部に開口部を設けてベルトコンベア200を配設する。そして、ベルトコンベア200の端部には開口部側には作業者の安全を守るためにライトカーテン202が配設されている。
【0106】
図12に示すように、ライトカーテン202には、対向配置された一対のフレーム材204a,204bに、発光素子301a,302a,303a(本発明の「電子機器」に相当)と受光素子301b,302b,303b(本発明の「電子機器」に相当)とが対応配置されて成る光検出器301,302,303をがそれぞれ異なる位置に配設されている。そして、安全柵103の開口部に発光素子301a,302a,303aから受光素子301b,302b,303bへと投光された光Lによる保護バリアを形成している。このようにして形成された光による保護バリアを作業者の腕等のベルト部201上を流れるワークと比べて非常に大きな遮光物が通過して、例えば発光素子301a,302a,303aから受光素子301b,302b,303bへと投光される光が一斉に遮光されると異常とみなして、ライトカーテン202が有する安全リレーモジュールから信号が送信されて、ベルトコンベア200の主回路への電源を遮断して産業機械システム全体を緊急停止させるように構成されている。
【0107】
また、上記した第1実施形態と同様に、ベルトコンベア200の台座を構成するフレーム204cには非常停止スイッチ205、表示灯207等が設けられており、上記した動作と同様の動作を行うように構成されている。その他の構成及び動作は上記第1実施形態と同様であるため、以下では、図1も参照して、主として第1実施形態との相違点について詳細に述べる。なお、第1実施形態と同一な構成及び動作については、同一符号を引用してその構成及び動作の説明を省略する。
【0108】
2.取付構造(7)
次に、図13及び図14を参照して、ライトカーテン202を構成するための各電子機器とフレーム204a,204bとの取付構造について説明する。図13は図12に示すライトカーテンの部分拡大図であり、(a)はフレーム材204bを示した図、(b)ないし(g)はライトカーテン202を個々の電子部品に分解した図である。また、図14は、図13(d)に示すスペーサ403の変形例を示す図である。
【0109】
図3(a)に示すように、断面四角形状のフレーム材204bには、その長さ方向に沿って溝状の開口部204b1が形成されている。また、本実施形態におけるライトカーテン200は、(b)に示す終端抵抗401、(c)に示すライトカーテン202の作動状況を表示する発光部402cを有するミュートランプ402、(d)に示すスペーサ403、(e)に示す受光部404cを有する受光素子404、(f)に示す安全リレーモジュール405、(g)に示す発光部406cを有する発光素子406(それぞれが本発明の「電子機器」に相当)が、産業機械システムの設計に応じて任意の数だけ組み合わされてフレーム材204a,204bに取り付けられることによって構成されている。
【0110】
また、図13(c)ないし(g)に示すように、フレーム材204a,204bの内側面に沿って摺動可能な摺動部402a,403a,404a,405a,406aが形成されている。また、ミュートランプ402、スペーサ403、受光素子404、安全リレーモジュール405及び発光素子406は、摺動部402a,403a,404a,405a,406aがフレーム材204a,204bの内側面に沿って摺動しつつ、フレーム材204a,204bに収納可能な大きさに構成されている。
【0111】
ミュートランプ402、スペーサ403、受光素子404、及び発光素子406の上面及び下面、安全リレーモジュール405の上面には、それぞれ電気的にかつ機械的に接続可能にコネクタ402b,403b,404b,405b,406bが設けられている。また、安全リレーモジュール405の下面及び側面には、コネクタ405cがフレーム204a,204b内に配設された電源ライン及び信号ラインと接続可能に設けられている。
【0112】
したがって、図13(b)ないし(f)に示すように、最上部に終端抵抗401を、最下部に安全リレーモジュール405を配置し、これら終端抵抗401と安全リレーモジュールとの間に、ミュートランプ402、スペーサ403を受光素子404を必要な組み合わせで、しかも、発光部402cと受光部404cとが同方向を向くように配置して、コネクタどうしを結合することで、ライトカーテン202の受光器側を構成することができる。
【0113】
また、この受光器の受光素子404を発光素子406と入れ替えて、発光部406cがミュートランプ402の発光部402cと同方向を向くように配置することで、ライトカーテン202の投光器側を構成することができる。
【0114】
そして、このように構成された受光器を、摺動部402a,403a,404a,405aをフレーム材204bの内側面に沿って摺動させつつフレーム204b内に収納して、発光部402c及び受光部404cが開口から露出するように配置することで受光器が配設される。
【0115】
また、同様に投光器を、摺動部402a,403a,405a,406aをフレーム材204aの内側面に沿って摺動させつつフレーム204a内に収納して、発光部402c、406cが開口から露出するように配置することで受光器が配設される。
【0116】
なお、摺動部402a,403a,404a,405a,406aと、フレーム材204a,204bの内側面との間に作用する静止摩擦力によって受光器及び投光器はフレーム材204a,204bの任意の位置に固定される。
【0117】
また、発光素子406は、ねじ406dを外して、内部の発光体の投光方向を調整することで、発光素子406の投光方向を調整可能に構成されており、受光器の受光素子404の受光部404cに確実に光Lが投光されるように調整することができる。また、ミュートランプ402をスペーサ403の替わりに利用することもできる。
【0118】
また、フレーム204a,204b内に配設された電源ライン及び信号ラインと、安全リレーモジュール405との接続は上面側と側面側のどちらのコネクタ405cを用いても構わないが、利用しない方のコネクタ405cには終端抵抗401を嵌着する。
【0119】
また、スペーサとして、図14に示すスペーサを利用してもよい。図14(a)に示すスペーサ407は、その長さが、図13(d)に示すスペーサ403の整数倍となっている。また、図14(b)に示すスペーサ408は柔軟な樹脂で構成されており、スリットを設けることで、湾曲したフレームに収納することができる。
【0120】
なお、例えば、受光素子404及び発光素子406の長さHを最小単位とした場合に、その他の電子機器(ミュートランプ402、スペーサ403等)の長さは、全て、
H×(整数倍)
となるように構成されている。このように構成すると、ライトカーテン202の投光器と受光器との間で、対応する発光素子406と受光素子404との位置を容易に合わせることができる。
【0121】
また、ミュートランプ402の発光色及び発光素子の発光方式(ランプ方式等)は、産業機械システムの規模、コスト等に応じて、それぞれ任意の発光色及び発光方式を採用することができる。またミュートランプ402の数は限定されるものではなく、必要な発光色を有するミュートランプ402を必要な数だけ組み合わせてもよい。
【0122】
また、本実施形態では、フレーム材204a,204b、各電子機器402,403,404,405,406,407,408の断面形状は四角形状(多角形状)となるものを採用したが、円形状又は楕円であってもよい。要は、電子機器の摺動部がフレーム材の開口部又は内側面と摺動可能であって、さらに、当該摺動部と開口部及び内側面との間に作用する静止摩擦力によって電子機器がフレーム材に固定可能であればよい。
【0123】
3.取付構造(8)
次に、図15及び図16を参照して、表示灯500とフレーム材204cとの取付構造について説明する。図15は図1の表示灯207の部分拡大図であり、(a)は表示灯207を電子部品ごとに分解した図、(b)は発光素子501,502がフレーム材204cの開口部204c1に取り付けられる状態を示す図である。また、図16は、表示灯207がフレーム材204cに取り付けられた状態を示す図であり、(a)はその正面図を示し、(b)は図15(b)の上側から見た図である。
【0124】
図15(a)、(b)に示すように、表示灯207を構成する発光素子501,502には任意の発光色を有するLEDから成る発光部501c、502cが設けられ、フレーム材204cの長さ方向に沿って形成された溝状の開口部204c1に摺動可能な摺動部501a,502aが一体的に形成されている。また、摺動部501a,502aには、発光素子501,502どうしを機械的に連結可能に連結部501b、502bが設けられている。
【0125】
この連結部501b、502bどうしを連結することで、所謂、積層型表示灯を構成することができる。なお、表示灯207のフレーム材204cへの取付構造については、上記第1実施形態の「7.電子機器の取付構造(6)」の項で説明した構造とほぼ同様であるため、その構成及び動作の説明を省略し、以下ではこの取付構造に特有な構造について説明する。
【0126】
図16(b)に示すように、フレーム材204cの内側面には、電源/信号ライン204c2が配設されている。また、本発明の電子機器である発光素子501,502の摺動部501a,502aには接触端子501d,502dが設けられており、発光素子501,502をフレーム材204cから脱着することで、電源/信号ライン204c2と接触端子501d,502dとが接離するように構成されている。
【0127】
したがって、各発光素子501,502ごとに必要な配線を別途設ける必要がなくなり、省配線化を図ることができる。また、各ラインがフレーム材204cの内部に設けられることで、作業者が配線に引っ掛かるのを防止できるため、断線を防止することができる。さらに、各ラインがフレーム材204の内部に設けられることで、各電子機器間の配線をフレーム材の外部に沿って束ねる必要がなくなり、複雑な配線によってベルトコンベア200の見栄えが悪くなるのを防止できる。
【0128】
また、発光素子501,502の発光色及び発光素子の発光方式(ランプ方式等)は、産業機械システムの規模、コスト等に応じて、それぞれ任意の発光色及び発光方式を採用することができる。また発光素子の数は限定されるものではなく、必要な発光色を有する発光素子を必要な数だけ組み合わせて表示灯を形成してもよい。
【0129】
また、本実施形態では、フレーム材204cの断面形状は四角形状(多角形状)となるものを採用したが、円形状又は楕円であってもよい。要は、電子機器の摺動部がフレーム材の開口部と摺動可能であって、さらに、当該摺動部と開口部との間に作用する静止摩擦力によって電子機器がフレーム材に固定可能であればよい。
【0130】
なお、図11に示す非常停止スイッチ205も、上記した取付構造と同様の構成であるため、その構成及び動作の説明を省略する。
【0131】
また、この取付構造では、電子機器に接触端子501d,502dを設けて電源/信号ライン204c2と接続したが、連結部501b,502bにそれぞれ端子を設けて、別途、フレーム材204c内に配設された電源ライン及び信号ラインと接続する構成でもよい。
【0132】
<その他>
1.取付構造(9)
次に、図17を参照して、センサ等の電子機器603とフレーム材600との取付構造について説明する。図17に示すように、その長さ方向に開口602が設けられたフレーム材600に、センサ等の電子機器603を収納してねじ601で取り付けてもよい。
【0133】
2.取付構造(10)
次に、図18を参照して、センサ等の電子機器704とフレーム材700との取付構造について説明する。図18は取付構造の一例を示す図であって、(a)は上面図、(b)は一部拡大斜視図、(c)は補助フレーム材に電子機器が取り付けられている図である。
【0134】
図18(a)に示すように、フレーム材700は、横断面ほぼ”の”字状に形成されており、(b)に示すように、電子機器704をフレーム材700に収納することで、開口部701及び703でセンサ等の電子機器704を挟持できるように構成されている。
【0135】
また、図18(a)に示すように、フレーム材700の開口部には凸部702が設けられており、この凸部702が電子機器704に設けられた凹部(図示省略)に嵌入することで、電子機器704のフレーム材700への取付位置を固定することができる。
【0136】
また、センサ等の電子機器705が小型であり、フレーム材700の開口部701及び703で挟持できない場合には、フレーム材700に補助フレーム材700aを設けてもよい。補助フレーム材700aには凸部702と嵌合可能に凹部702bが設けられており、ねじ706によって小型の電子機器705を補助フレーム材700aに取り付け可能に構成されている。そして、電子機器705を取り付けた状態で補助フレーム材700aをフレーム材700に収納することで、開口部701及び703で補助フレーム材700aを挟持することができ、その結果、センサ等の電子機器705がフレーム材700に取り付けられる。
【0137】
3.取付構造(11)
次に、図19ないし図22を参照して、表示灯307,507及びスイッチ305等の電子機器とフレーム材800との取付構造について説明する。図19は取付構造の一例を示す図であって、(a)はフレーム材800の斜視図、(b)は表示灯307の斜視図、(c)はスイッチ305の斜視図である。
【0138】
また、図20は図19に示す取付構造を有するフレーム材及び電子機器の要部断面図であって、(a)は図19(a)のP−P線矢視断面図、(b)は図19(b)のQ−Q線矢視断面図、(c)は図19(c)のR−R線矢視断面図である。また、図21は図19に示す表示等307及びスイッチ305がフレーム材800に取り付けられた状態を示す斜視図である。また、図22は図19に示すフレーム材800に取り付けられる電子機器の他の一例を示す図であって、(a)は表示灯507の斜視図、(b)は(a)のS−S線矢視断面図を示す。
【0139】
図19(a)、図20(a)に示すように、フレーム材800はアルミニウムや鉄等の金属製であって中空状に形成されており、その側面にはフレーム材800の長さ方向に沿って横断面略T字状に溝状の開口部803が形成されており、上述したように、開口部803に沿って摺動する摺動部107b1,107c1を有する発光素子107b,107c等の電子機器が取り付け可能に構成されている。
【0140】
また、開口部803はフレーム材800どうしを連結するための機能も有し、例えば断面形状が略T字状であって開口部803と摺動可能な摺動部を有する連結部材(図示省略)の一端を一のフレーム材800の開口部803に差し込み、同連結部材の他端を他のフレーム材800の開口部803に差し込むことで、フレーム材800どうしを互いに連結することができる。なお、連結部材としては、断面形状がフレーム材800に外挿可能な大きさの四角(多角)形状、円形状又は楕円形状であって、その内側面に開口部803と摺動可能に断面形状が略T字状の摺動部が突設されたものを用いることができる。また、板状の本体部に断面形状が略T字状の摺動部が突設されたものを連結部材として用いてもよい。また、板状の部材を連結部材の摺動部として機能させて、当該板状の連結部材を開口部803に挿入することでフレーム材800どうしを連結してもよい。要は、連結部材の摺動部がフレーム材800の開口部803と摺動可能であって、さらに、当該摺動部及び開口部803との間に作用する静止摩擦力によって連結部材がフレーム材800に固定可能であればよい。また、連結部材はアルミニウムや鉄等の金属製であってもよいし、アクリル等の樹脂性であってもよい。要は、フレーム材800を連結するにあたり、外力が加わっても破壊されない等、十分な破壊強度及び硬度を有し、安全性を確保できる材質であればどのような材質であってもよい。
【0141】
また、図19(a)及び図20(a)に示すように、フレーム材800の側面には、後述するように表示灯307,507及びスイッチ305の一部が収納されて嵌入して取り付けられるように横断面がほぼ”台形”状の凹部801がほぼ同形状に4ヶ所形成されている。また、同図に示すように、凹部801の底面部801aにはフレーム800内に配設された電源ライン及び信号ラインと接続されたコネクタ802が設けられている。
【0142】
また、図19(b)及び図20(b)に示すように、表示灯307はそれぞれ異なる発光色を有する発光部307R,307Y,307Bを有し、フレーム材800の凹部801に嵌入可能に横断面略扇形状に形成されている。また、図20(b)に示すように、表示灯307の内部にはLED307bを有する基板307cが配設されている。そして、基板307cには表示灯307の背面側に露出するようにコネクタ307aが設けられており、このコネクタ307aは、表示灯307がフレーム材800の凹部801に着脱されることで凹部801に設けられたコネクタ802と接離して、表示灯307がフレーム材800に取り付けられた状態で、コネクタ802,307aを介して基板307cがフレーム材800内部に配設された電源ライン及び信号ラインと電気的に接続されるように構成されている。
【0143】
また、図20(b)に示すように、表示灯307の前面側には、発光部307R,307Y,307Bの発光色に対応した色に着色された半透明の透光色板307y(307r、307b)が配設されている。したがって、発光部307R,307Y,307Bは、LED307bが発光することで、透光色板307y(307r、307b)の色に対応した発光色で発光することができる。すなわち、表示灯307は電源ライン及び信号ラインからの信号にしたがい、産業機器の動作状況に応じた発光色で発光することができるように構成されている。
【0144】
また、図20(b)に示すように、表示灯307の側面には、フレーム材800の凹部801の内側面801bに沿って摺動可能に摺動部307dが形成されている。また、表示灯307は、摺動部307dが凹部801の内側面801bに沿って摺動しつつ凹部801に嵌入してフレーム材800に収納可能な大きさに形成されている。なお、表示灯307の摺動部307dと、凹部801の内側面801bとの間に作用する静止摩擦力によって表示灯307はフレーム材800の凹部801に固定される。
【0145】
また、図19(c)及び図20(c)に示すように、スイッチ305は産業機器の停止状態を解除する解除押ボタン305a及び産業機器を非常停止させる非常停止押ボタン305bを有しており、フレーム材800の凹部801に嵌入可能に横断面がほぼ”台形”状に形成されている。
【0146】
図20(c)に示すように、スイッチ305の内部には押ボタン305b(305a)と接続され、スイッチ305の背面側に露出するようにコネクタ305dが設けられた基板305cが配設されている。そして、コネクタ305dは、スイッチ305がフレーム材800の凹部801に着脱されることで凹部801に設けられたコネクタ802と接離して、スイッチ305がフレーム材800に取り付けられた状態で、コネクタ802,305dを介して基板305cがフレーム材800内部に配設された電源ライン及び信号ラインと電気的に接続されるように構成されている。したがって、必要に応じてスイッチ305に設けられた解除押ボタン305aまたは非常停止押ボタン305bを押すことによって、電源ライン及び信号ラインを介して産業機器の動作を制御できる。
【0147】
また、図20(c)に示すように、スイッチ305の側面には、フレーム材800の凹部801の内側面801bに沿って摺動可能に摺動部305eが形成されている。また、スイッチ305は、摺動部305eが凹部800の内側面801bに沿って摺動しつつ凹部801に嵌入してフレーム材800に収納可能な大きさに形成されている。なお、スイッチ305の摺動部305eと、凹部801の内側面801bとの間に作用する静止摩擦力によって表示灯307はフレーム材800の凹部801に固定される。
【0148】
次に、図21を参照して表示灯307及びスイッチ305をフレーム材800に取り付けた状態について説明する。本取付構造では、図21に示すように、スイッチ305の押ボタン305a,305b及び表示灯307の発光部307R,307Y,307Bのみをフレーム材800から露出するように配設することができるため、これらの電子機器をコンパクトに産業機械システムに配設することができる。
【0149】
なお、表示灯307の発光色及び発光素子の発光方式(LED、ランプ、有機EL方式等)は、産業機械システムの規模、コスト等に応じて、それぞれ任意の発光色及び発光方式を採用することができる。例えば、図22に示すように、発光素子としてLEDの代わりに液晶ディスプレイ507bを採用してもよい。また、液晶ディスプレイ507bの代わりに、多数のLEDの組み合わで数字や文字などを映し出すLEDディスプレイ(いわゆるキャラクターディスプレイと称されるものも含む)を採用してもよいことは言うまでもない。なお、表示灯507のその他の構成及び動作は表示灯307の構成及び動作と同様であるため、相当符号を付してその構成及び動作の説明を省略する。
【0150】
また、表示灯307では、半透明の透光色板を採用して発光部307R,307Y,307Bの発光色を形成したが、発光色の形成方法としてはこれに限られず、目的に応じて特定の発光色を有するLEDを設けることで発光色を形成してもよい。
【0151】
また、本取付構造では、コネクタ802,307a,305d,507aを利用して、電源ライン及び信号ラインと電子機器との電気的接続を行ったが、電源ライン及び信号ラインと電子機器との接続はフレーム材800から直接配線することで接続するようにしてもよい。
【0152】
また、フレーム材800の凹部801に取り付ける電子機器の組合せは図21に示す組み合わせに限られず、必要に応じて、表示灯307,507及びスイッチ305を種々組み合わせてフレーム材800に取り付ければよい。例えば、図20のフレーム材800の4つの凹部801の全てに表示灯307を取り付けることで、フレーム材800の全周を表示灯307とする、いわゆる全周表示灯を構成してもよい。また、4つの凹部801の全てに表示灯307を取り付けずに、4つの凹部801のうちの一部の凹部801に表示灯307を取り付け、残りの凹部801には何も取り付けない構成にしてもよい。また、全周表示灯を構成した場合、表示灯307の制御装置(図示省略)によって4つの表示灯307を順に点灯して消灯させることで、4つの表示灯307により回転灯を構成することができる。また、図20のフレーム材の4つの凹部801のうち、1つの凹部801には何も取り付けず、残りの凹部801に種々の電子機器を取り付け、その何も取り付けていない凹部801の底面部801aを壁面と対向させて、フレーム材800を壁面に所定の取付部材(例えばねじ)を用いて取り付けることもできる。また、本取付構造では電子機器(表示灯307,507及びスイッチ305)をフレーム材800に静止摩擦力を利用して取り付けたが、ねじやボルト・ナット等で取り付けてももちろんよい。
【0153】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したものに対して種々の変更を加えることが可能である。例えば、上記した実施形態では、開口部はフレーム材の同一側面に形成したが、2以上の側面に開口部を形成してもよい。また、開口部の向きが異なるように2つのフレーム材を連結した構成でもよい。このような構成とすれば、例えば、このようなフレーム材が安全柵の一部を構成する場合に、このフレーム材のみで安全柵の内部と安全柵の外部とに電子機器を取り付けることが可能となり、電子機器の配置位置をほぼ一箇所に集めることができる。また、フレームに取り付ける電子機器の種類に応じて開口部の方向を変更することで、電子機器の取付方向をコンパクトにまとめることができる。
【0154】
また、上記第1実施形態では、安全柵103に囲まれる産業機器として産業用ロボット101を例に挙げて説明したが、産業機器はこれに限定されず、例えばプレス機のように作業者に危険が及ぶ可能性のある産業機器全てを採用することができる。
【0155】
また、フレーム材を構成するアルミニウムや鉄といった金属に限定されず、十分な強度を持つものであればどのようなものであってもよい。
【0156】
また、本発明に係る中空状のフレーム材は、産業機械システムのうち、電子機器を配設する部分にのみ用いてもよい。
【0157】
また、上記した実施形態では、電源ライン及び信号ラインの両方をフレーム材の内部に配設する構成としたが、いずれか一方のラインのみをフレーム材の内部に配設してもよい。また、両ラインとも従来のようにフレーム材の外部に配設してもよい。
【0158】
また、上記した実施形態で説明した「取付構造(9)、(10)」において、必要に応じてセンサ等の電子機器をフレーム材の外部に配設してもよい。
【0159】
また、上記した実施形態において、多数の電子機器と産業機械システムの制御装置との間の接続は、例えばASI(Actuator Sensor Interface)ケーブルを用いて省配線で行ってもよいし、多数の信号線から成るバスラインを用いてもよい。
【0160】
また、上記した実施形態で説明した「取付構造(1)〜(11)」は、それぞれの取付構造の一態様にすぎず、可能であれば、それぞれの取付構造を相互に組み合わせて利用してももちろんよい。
【0161】
さらに、電子機器が取り付けられるフレームは、図1や図11に示すように産業機械システムを構成する骨格であることが望ましい。特にこのような骨格は、強度向上やコストダウン、軽量化などのため中空状である場合が多く、この空間を利用して電子機器を取り付けることが望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0162】
【図1】この発明の第1実施形態における産業機械システムを示す外観図である。
【図2】この発明の第1実施形態における産業機械システムを構成するフレーム材へ電子機器を取り付ける取付構造の一例を示す図である。
【図3】この発明の第1実施形態における産業機械システムを構成するフレーム材へ電子機器を取り付ける取付構造の一例を示す図である。
【図4】図3に示す取付構造を有する電子機器がフレーム材に取り付けられた図である。
【図5】この発明の第1実施形態における産業機械システムを構成するフレーム材へ電子機器を取り付ける取付構造の一例を示す図である。
【図6】図5に示す取付構造を有する電子機器がフレーム材に取り付けられた図である。
【図7】この発明の第1実施形態における産業機械システムを構成するフレーム材へ電子機器を取り付ける取付構造の一例を示す図である。
【図8】この発明の第1実施形態における産業機械システムを構成するフレーム材へ電子機器を取り付ける取付構造の一例を示す図である。
【図9】この発明の第1実施形態における産業機械システムを構成するフレーム材へ電子機器を取り付ける取付構造の一例を示す図である。
【図10】図9に示す取付構造を有する電子機器がフレーム材に取り付けられた図である。
【図11】この発明の第2実施形態における産業機械システムを示す外観図である。
【図12】図1の産業機械システムの要部拡大図である。
【図13】この発明の第2実施形態における産業機械システムを構成するフレーム材へ電子機器を取り付ける取付構造の一例を示す図である。
【図14】この発明の第2実施形態における産業機械システムを構成するフレーム材へ電子機器を取り付ける取付構造の一例を示す図である。
【図15】この発明の第2実施形態における産業機械システムを構成するフレーム材へ電子機器を取り付ける取付構造の一例を示す図である。
【図16】図15に示す取付構造を有する電子機器がフレーム材に取り付けられた図である。
【図17】この発明の他の実施形態における産業機械システムを構成するフレーム材へ電子機器を取り付ける取付構造の一例を示す図である。
【図18】この発明の他の実施形態における産業機械システムを構成するフレーム材へ電子機器を取り付ける取付構造の一例を示す図である。
【図19】この発明の他の実施形態における産業機械システムを構成するフレーム材へ電子機器を取り付ける取付構造の一例を示す図である。
【図20】図19に示す取付構造を有するフレーム材及び電子機器の要部断面図である。
【図21】図19に示す取付構造を有する電子機器がフレーム材に取り付けられた状態を示す斜視図である。
【図22】図19に示すフレーム材に取り付けられる電子機器の他の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0163】
100…産業機械システム
101…産業用ロボット(産業機器)
105,205…非常停止スイッチ(電子機器)
305…スイッチ(電子機器)
106…安全スイッチ(電子機器)
107,207,307,507…表示灯(電子機器)
104a,104b,104c,104d,104e,104f,104g…フレーム材
204a,204b,204c…フレーム材
600,700,800…フレーム材
200…ベルトコンベア(産業機器)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
産業機械システムを構成する中空状のフレーム材と、
前記フレーム材に着脱自在に取り付けられる電子機器と
を備え、
前記電子機器は、前記フレーム材の内部に少なくとも一部が収納されることを特徴とする電子機器の取付構造。
【請求項2】
前記産業機械システムは、産業機器と当該産業機器を囲む柵とを含み、
前記柵の一部を構成すべく前記フレーム材が配設され固定され、
前記電子機器が、当該産業機器の動作制御、作動状況の表示を行うものであることを特徴とする請求項1に記載の電子機器の取付構造。
【請求項3】
前記産業機械システムは産業機器を含み、
前記産業機器の一部を構成すべく前記フレーム材が配設され固定され、
前記電子機器が、当該産業機器の動作制御、作動状況の表示を行うものであることを特徴とする請求項1に記載の電子機器の取付構造。
【請求項4】
前記フレーム材の所定位置から前記電子機器が露出して取り付けられることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の電子機器の取付構造。
【請求項5】
前記フレーム材は金属製であり、
前記フレーム材には、該フレーム材の長さ方向に沿って溝状の開口部が形成され、
前記電子機器には、前記開口部に沿って摺動する摺動部が形成されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の電子機器の取付構造。
【請求項6】
前記電子機器は、
複数の前記電子機器どうしを結合すべく相互に係合可能な係合部、及び、複数の前記電子機器どうしを相互に電気的に接続可能な接続部を備えることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の電子機器の取付構造。
【請求項7】
前記電子機器が、前記フレーム材の端部に取り付けられて前記フレーム材どうしを連結する連結部材として機能することを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の電子機器の取付構造。
【請求項8】
前記フレーム材は内部に配設された少なくとも電源ライン又は信号ラインを含み、
前記電子機器が前記電源ライン又は信号ラインに接離自在に接続されることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の電子機器の取付構造。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれかに記載の電子機器の取付構造を備えた産業機械システムにおいて、
発光素子から成る前記電子機器と、受光素子から成る前記電子機器とで1組の光検出器が構成され、
対向配置された一対の前記フレーム材の一方に、異なる位置に複数の発光素子からなる前記電子機器が配設され、
前記一対のフレーム材の他方に、発光素子からなる前記各電子機器それぞれに対向して複数の受光素子からなる前記電子機器が配設され、
前記一対のフレーム材に複数組の前記光検出器が配設されて成ることを特徴とする産業機械システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2007−335398(P2007−335398A)
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−67311(P2007−67311)
【出願日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【出願人】(000000309)IDEC株式会社 (188)
【Fターム(参考)】