説明

電子機器システム及び記憶装置

【課題】記憶装置の汎用性を維持しつつ、記憶装置からのデータの不正流出を防止することが可能な電子機器システム及び記憶装置を提供する。
【解決手段】SDカード2が電子機器1のSDソケット1aに接続された場合、SDカード2の制限部21は、電子機器1の設定部11から出力される許否情報(出力信号)を取得する。制限部21は、取得した許否情報に基づいて、データ読み出しを許可すべきメモリ部24,26に対応するDCDCコンバータ23,25の動作を開始させる。よって、許否情報に応じたメモリ部24,26からのデータ読み出しが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記憶装置と、該記憶装置からデータを読み出す電子機器とが接続された電子機器システム及び記憶装置に関する。
【背景技術】
【0002】
パーソナルコンピュータ、テレビジョン等を含む電子機器には、外部デバイスとの接続が可能な接続インタフェースが設けられているものが多い。接続インタフェースとして、例えば、SD(Secure Digital)規格、SDIO(Secure Digital Input Output)規格のインタフェースがある。
【0003】
SDIO規格に対応したデバイスは、省電力なデバイスであれば、独自の電源部を備える必要がなく、接続された電子機器から供給される電源によって動作可能となる。このようなデバイスは、電子機器に接続するだけで使用可能となり、汎用性が高いので、多くの種類のデバイスにおいてSDIO規格が採用されている。
特に、SD規格の接続インタフェースを有するメモリ、所謂SDメモリカードは、持ち運びが容易であり、低コスト化及び大容量化が進んだため、広く一般に普及している。特許文献1には、SDメモリカードの装着が可能な携帯通信端末装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−109036号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、SDメモリカードは、利便性が高いが故に、SDメモリカードを利用してデータの不正流出が容易であるという問題がある。
そこで、SDメモリカードに特殊なソフトウェアを格納しておき、SDメモリカードが装着された場合に、電子機器に、そのソフトウェアを実行させることによってSDメモリカードからのデータの不正流出を抑制する対策が取られることがある。しかし、このような対策は、SDメモリカード及び電子機器に対して複雑な設定を行なう必要があり、不慣れなユーザにとっては操作負担となるので、敬遠されることも多い。また、適切なユーザが、このような対策を施されたSDメモリカードからデータを読み出す場合、パスワードの入力が必要となる、又はSDメモリカードを使用できる電子機器のOS(Operating System)が制限される等、使用する際の制限も増える。
【0006】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、SDメモリカードのような記憶装置の汎用性を維持しつつ、記憶装置からのデータの不正流出を簡易に防止することが可能な電子機器システム及び記憶装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る電子機器システムは、データを記憶する記憶装置と、該記憶装置に接続されて前記記憶装置からデータを読み出す電子機器とを備える電子機器システムにおいて、前記電子機器は、前記記憶装置に対して、データの読み出しの許否を示す許否情報を送出する送出部を有し、前記記憶装置は、前記電子機器から送出された許否情報に基づいて、データの読み出しを制限する制限部を有することを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、記憶装置と電子機器とが接続された電子機器システムにおいて、電子機器は、例えば記憶装置が接続された場合に、記憶装置に対して許否情報を送出する。許否情報は、記憶装置に記憶されているデータの読み出しの許否を示す情報であり、予め電子機器に登録されている。記憶装置は、電子機器から取得した許否情報がデータ読み出しの許可を示す場合、自身が記憶するデータの読み出しを許可し、許否情報がデータ読み出しの禁止を示す場合、自身が記憶するデータの読み出しを禁止する。電子機器毎に記憶装置からのデータ読み出しの許可又は禁止を設定できるので、不特定の電子機器による記憶装置からのデータ読み出しを防止でき、データの不正流出を防止できる。また、記憶装置が、電子機器から取得した許否情報に基づいてデータ読み出しの制限を行なうので、電子機器のOSが制限されない。
【0009】
本発明に係る電子機器システムは、前記記憶装置は、複数の記憶部を有し、前記許否情報は、各記憶部からのデータの読み出しの許否を示し、前記制限部は、前記許否情報に基づいて、各記憶部からのデータの読み出しを制限するようにしてあることを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、記憶装置は複数の記憶部を有し、電子機器から記憶装置へ送出される許否情報は、各記憶部からのデータの読み出しの許否を示す情報である。記憶装置は、電子機器から取得した許否情報がデータ読み出しの許可を示す記憶部からのデータの読み出しを許可し、許否情報がデータ読み出しの禁止を示す記憶部からのデータの読み出しを禁止する。よって、記憶装置内の記憶部毎にデータ読み出しの許可又は禁止を設定できるので、より細かい制限が可能となる。
【0011】
本発明に係る電子機器システムは、前記電子機器は、接続された前記記憶装置に電力を供給する供給部を有し、前記記憶装置は、前記電子機器から供給された電力を各記憶部に供給する電力供給部を有し、前記制限部は、前記電力供給部に、前記許否情報がデータの読み出しの許可を示す記憶部に電力を供給させるようにしてあることを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、電子機器は、接続された記憶装置に電力を供給し、記憶装置は、電子機器からの電力を各記憶部に供給する。記憶装置は、電子機器から取得した許否情報がデータ読み出しの許可を示す記憶部に電力を供給することにより、この記憶部からのデータの読み出しを可能にする。一方、記憶装置は、許否情報がデータ読み出しの禁止を示す記憶部に電力を供給しないことにより、この記憶部からのデータの読み出しを禁止する。各記憶部に電力を供給するか否かに応じて、各記憶部からのデータの読み出しを許可又は禁止するので、データの読み出しを簡易に制限できる。
【0013】
本発明に係る電子機器システムは、前記許否情報は、数値で示される許否レベルを示し、前記記憶装置は、前記電子機器から送出された許否情報が示す許否レベルが所定レベル以上であるか否かを判定する判定部を有し、前記制限部は、前記判定部による判定結果に基づいて、データの読み出しを制限するようにしてあることを特徴とする。
【0014】
本発明によれば、電子機器から記憶装置へ送出される許否情報は、数値で示される許否レベルを示す情報である。記憶装置は、例えば、電子機器から取得した許否情報が示す許否レベルが所定レベル以上であれば、自身が記憶するデータの読み出しを許可し、所定レベル未満であれば、自身が記憶するデータの読み出しを禁止する。電子機器に予め設定しておく許否情報が数値で示される許否レベルであるので、許否情報を決定し易く、電子機器に許否情報を登録する際の操作負担をより軽減できる。
【0015】
本発明に係る電子機器システムは、前記記憶装置は、複数の記憶部と、各記憶部に予め設定されたレベルを記憶するレベル記憶部とを有し、前記判定部は、前記電子機器から送出された許否情報が示す許否レベルと、前記レベル記憶部に記憶してある各記憶部のレベルとを比較するようにしてあり、前記制限部は、前記判定部による判定結果に基づいて、各記憶部からのデータの読み出しを制限するようにしてあることを特徴とする。
【0016】
本発明によれば、記憶装置は複数の記憶部を有し、各記憶部に予め設定されたレベルを記憶している。記憶装置は、電子機器から取得した許否情報が示す許否レベルと、各記憶部のレベルとを比較し、例えば、許否レベル以下のレベルの記憶部からのデータの読み出しを許可し、許否レベルよりも大きい(高い)レベルの記憶部からのデータの読み出しを禁止する。よって、記憶装置内の記憶部毎により細かい制限が可能となると共に、数値で示される許否レベルに基づいて、各記憶部に対するデータの読み出しの許否を容易に設定できる。
【0017】
本発明に係る電子機器システムは、前記電子機器及び前記記憶装置は、SD規格の標準端子と拡張端子とを有する接続部を介して接続されており、前記接続部を介して前記電子機器及び前記記憶装置が接続された場合、前記送出部は、前記拡張端子を介して前記許否情報を前記記憶装置へ送出するようにしてあることを特徴とする。
【0018】
本発明によれば、電子機器と記憶装置とが、SD規格の標準端子と拡張端子とを有する接続部を介して接続される。電子機器は、接続部の拡張端子を介して許否情報を記憶装置へ送出するので、SD規格の互換性が保持される。
【0019】
本発明に係る記憶装置は、データを記憶する記憶装置において、データの読み出しの許否を示す許否情報を外部から取得する取得部と、該取得部が取得した許否情報に基づいて、データの読み出しを制限する制限部とを備えることを特徴とする。
【0020】
本発明によれば、記憶装置は、外部から取得した許否情報がデータ読み出しの許可を示す場合、自身が記憶するデータの読み出しを許可し、許否情報がデータ読み出しの禁止を示す場合、自身が記憶するデータの読み出しを禁止する。よって、予め許可された電子機器によってのみ記憶装置からのデータの読み出しが可能であるので、データの不正流出を防止できる。
【0021】
本発明に係る記憶装置は、複数の記憶部を備え、前記許否情報は、各記憶部からのデータの読み出しの許否を示し、前記制限部は、前記許否情報に基づいて、各記憶部からのデータの読み出しを制限するようにしてあることを特徴とする。
【0022】
本発明によれば、記憶装置は複数の記憶部を備え、外部から取得した許否情報がデータ読み出しの許可を示す記憶部からのデータの読み出しを許可し、許否情報がデータ読み出しの禁止を示す記憶部からのデータの読み出しを禁止する。よって、記憶部毎にデータ読み出しの制限が可能となる。
【発明の効果】
【0023】
本発明では、不特定の電子機器によって記憶装置からデータが読み出されることを防止できるので、データの不正流出を防止できる。また、電子機器に特殊なソフトウェアを実行させる構成と比較して、ユーザが行なうべき設定及び操作が煩雑とならないので、簡易にデータの不正流出を防止できる。更に、記憶装置側でデータ読み出しの制限を行なうので、記憶装置を使用できる電子機器のOSが制限されず、汎用性を維持できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】実施形態1の電子機器システムの構成を示すブロック図である。
【図2】SDカードの外観を示す模式図である。
【図3】設定部の内部構成例を示す回路図である。
【図4】許否情報テーブルの格納内容を示す模式図である。
【図5】実施形態1のSDカードの制限部による処理の手順を示すフローチャートである。
【図6】実施形態2の許否情報テーブルの格納内容を示す模式図である。
【図7】実施形態2のSDカードの制限部による処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明をその実施形態を示す図面に基づいて具体的に説明する。
【0026】
(実施形態1)
図1は実施形態1の電子機器システムの構成を示すブロック図である。本実施形態1の電子機器システムでは、記憶装置としてのSDメモリカード(以下、SDカードという)2が電子機器1に接続されている。電子機器1及びSDカード2は、例えば、SD規格に準拠したコネクタを介して互いに接続される。
【0027】
電子機器1は、SDカード2の着脱が可能なSDソケット1aを備える。SDソケット1aは、SDカード2を接続するためのコネクタであり、データの入出力を行なうためのインタフェースであるSDIOインタフェースに対応したコネクタである。SDソケット1aは、例えばUHS−II(Ultra High Speed−II)規格に対応したコネクタであり、例えばUHS−I規格と共通である9つの標準9端子と、拡張用である4つの拡張4端子とを備える。よって、電子機器1及びSDカード2は、13本の信号線を介して互いに接続される。UHS−II規格は、UHS−I規格と互換性を有する。
【0028】
図2はSDカード2の外観を示す模式図である。図2にはSDカード2の一面側を示す。SDカード2は、UHS−II規格に対応するSDメモリカードであり、電子機器1のSDソケット1aに設けられた13個の端子のそれぞれと接続される13個の端子を外周面に有する。SDカード2に設けられた13個の端子は、SD規格に準拠したデータ伝送に使用される標準9端子と、拡張用の拡張4端子とを含む。図2に示すように、標準9端子はSDカード2の一端側に並べて設けられており、拡張4端子はSDカード2の中央部に並べて設けられている。
【0029】
電子機器1とSDカード2とが接続される場合、SDソケット1aに設けられた13端子(接続部)と、SDカード2の表面に設けられた13端子(接続部)とが直接的に接続される。
SDカード2は、UHS−II規格に対応したSDメモリカードであるが、電子機器1は、このほかに、UHS−I規格に対応したSDカード又はSDIOデバイスもSDソケット1aを介して接続可能である。なお、電子機器1にUHS−I規格対応のSDカード又はSDIOデバイスが接続される場合、SDソケット1aの標準9端子のみを介して接続される。
【0030】
電子機器1は、SDIOコントローラ10、設定部11、CPU(Central Processing Unit)12、RAM(Random Access Memory)13、電源部14等を備える。上述したようにSDソケット1aは13個の端子を有しており、13個の端子のうちの標準9端子は、SDIOコントローラ10に接続され、拡張4端子は設定部11に接続されている。なお、図1では、SDソケット1aの上側に標準9端子が設けられ、SDソケット1aの下側に拡張4端子が設けられている状態を示す。
【0031】
設定部11は、SDソケット1aの拡張4端子に接続されており、拡張4端子を介してSDカード2との間でデータ転送を行なう。設定部(送出部)11には、SDカード2に格納されたデータの読み出しの許否を示す許否情報が予め設定されており、SDソケット1aにSDカード2が接続された場合、拡張4端子を介して許否情報をSDカード2へ送出する。
【0032】
図3は設定部11の内部構成例を示す回路図である。設定部11は、電源部14から電力を供給される電力線(図示せず)に接続された定電位点を備え、定電位点は所定の定電位を発生する。設定部11は、SDソケット1aの拡張4端子のそれぞれに接続される4本の信号線のそれぞれに対応して、定電位点に接続されたプルアップ抵抗R1〜R4又はグランドに接続されたプルダウン抵抗R5〜R8のいずれか一方を備える。各信号線に接続される抵抗がプルアップ抵抗であった場合、各信号線の電位はハイ「1」となり、各信号線に接続される抵抗がプルダウン抵抗であった場合、各信号線の電位はロー「0」となる。各信号線に接続される抵抗としてプルアップ抵抗又はプルダウン抵抗が実装されることにより、設定部11は、4本の信号線によって、(0,0,0,0)から(1,1,1,1)までの16通りの信号のいずれかひとつを出力するように構成される。
なお、図3では、各信号線が、プルアップ抵抗R1〜R4及びプルダウン抵抗R5〜R8と接続された状態を示しているが、各信号線は、プルアップ抵抗又はプルダウン抵抗の一方(例えば、抵抗R1又はR5、抵抗R2又はR6)に接続される。
【0033】
設定部11が出力する信号が、許否情報を示す信号であり、設定部11の内部の回路が予め定められていることにより、設定部11は、予め定められた信号(許否情報)をSDカード2へ出力する。即ち、SDカード2に格納されたデータの読み出しの許否は、各電子機器1毎に予め設定されている。
【0034】
SDIOコントローラ10は、SDIO規格の通信プロトコルに従ったデータ転送処理において、ホスト側の処理を行なうためのインタフェースである。SDソケット1aにSDカード2が接続された場合、SDIOコントローラ10は、SDソケット1aの標準9端子を使用して、SDカード2との間でデータ転送を行なう。また、SDIOコントローラ10には電源部14が接続されている。SDソケット1aにSDカード2が接続された場合、SDIOコントローラ10は、SDソケット1aの標準9端子のうちのいずれかの端子を使用して、電源部14から供給される電力をSDカード2へ供給する。
【0035】
SDIOコントローラ10は、電子機器1が備える各部の動作を制御するCPU12に接続されている。CPU12には、CPU12が各種処理を実行する際に発生するデータを一時的に記憶するRAM13が接続されている。CPU12は、図示しない記憶部に予め格納されている制御プログラムをRAM13にロードして実行することにより、電子機器1を、本発明に係る電子機器システムの電子機器として動作させる。
【0036】
CPU12には、ほかに、ディスプレイ、操作部等、電子機器1に必要な各種のデバイスが接続されている。電子機器1自身の機能を行なう構成については、簡略化のため説明を省略する。
電源部14は、電源コンセント又は電池から供給される電力を、電子機器1が備える各部に供給する。また、電源部14は、SDIOコントローラ10を介して、SDソケット1aに接続されたSDカード2に、電源コンセント又は電池から供給される電力を供給する。
【0037】
図1の説明に戻り、SDカード2は、SDIOコントローラ20、制限部21、第1DCDCコンバータ23、第1メモリ部(記憶部)24、第2DCDCコンバータ25、第2メモリ部(記憶部)26、電力供給部27等を備える。上述したようにSDカード2は13個の端子を有しており、13個の端子のうちの標準9端子は、SDIOコントローラ20に接続され、拡張4端子は制限部21に接続されている。
【0038】
SDIOコントローラ20は、SDIO規格の通信プロトコルに従ったデータ転送処理において、デバイス側の処理を行なうためのインタフェースである。電子機器1のSDソケット1aにSDカード2が接続された場合、SDIOコントローラ20は、標準9端子を使用して、電子機器1との間でデータ転送を行なう。SDIOコントローラ20には、第1メモリ部24及び第2メモリ部26が接続されており、SDIOコントローラ20は、第1メモリ部24又は第2メモリ部26から読み出したデータを標準9端子を介して電子機器1へ転送する。
【0039】
また、標準9端子のうちのいずれかの端子を介して電子機器1からSDカード2へ電力が供給されており、SDIOコントローラ20は、電子機器1から供給された電力を電力供給部27によって、SDカード2が備える各部に供給する。なお、図1では、電力供給部27が第1DCDCコンバータ23及び第2DCDCコンバータ25に電力を供給している状態のみを示す。SDIOコントローラ20には、メモリ部24,26及び電力供給部27のほかに、SDカード2に必要な各部が接続されているが、簡略化のため説明を省略する。
【0040】
制限部21は、拡張4端子を介して電子機器1の設定部11から送出された出力信号(許否情報)を取得し、取得した出力信号に基づいて、DCDCコンバータ23,25等の動作を制御する。なお、制限部21には、第1DCDCコンバータ23及び第2DCDCコンバータ25が接続されており、第1DCDCコンバータ23には第1メモリ部24が接続されており、第2DCDCコンバータ25には第2メモリ部26が接続されている。
【0041】
第1メモリ部24及び第2メモリ部26は、フラッシュメモリ等の不揮発性の半導体メモリである。なお、メモリ部24,26の数は2つに限定されず、3つ以上であってもよく、また、1つでもよい。
第1DCDCコンバータ23及び第2DCDCコンバータ25は、制限部21からの制御に従って、電力供給部27から供給された電力を第1メモリ部24及び第2メモリ部26にそれぞれ供給する。また、第1DCDCコンバータ23及び第2DCDCコンバータ25は、SDカード2が電子機器1のSDソケット1aに接続されていない状態では停止した状態となっている。第1DCDCコンバータ23及び第2DCDCコンバータ25は、電力供給部27から供給される電力の直流電圧を変換するコンバータである。
【0042】
メモリ部24,26は、DCDCコンバータ23,25を介して電力が供給された場合にアクセス可能となり、SDIOコントローラ20によるデータの読み書きが可能となる。一方、メモリ部24,26は、電力が供給されない場合はアクセスができなくなり、SDIOコントローラ20によるデータの読み書きが不可能となる。
【0043】
制限部21は、演算を行なう演算部、演算に必要な制御プログラム等を予め記憶する記憶部22、演算の実行に伴って発生する情報を一時的に記憶するメモリ、信号の入力端子及び出力端子等を含むマイクロコンピュータによって構成されている。なお、制限部21の入力端子には、4本の信号線が接続されており、4本の信号線を介して拡張4端子に接続されている。
【0044】
記憶部22には、電子機器1の設定部11から出力される出力信号と、各出力信号が示す許否情報(データ読み出しの許否内容)とを対応付けた許否情報テーブルが格納されている。図4は許否情報テーブルの格納内容を示す模式図である。図4に示す許否情報テーブルには、4パターンの出力信号のそれぞれに、各メモリ部24,26からのデータ読み出しの許否内容が対応付けて格納されている。許否情報テーブルの格納内容は、電子機器システムを管理する管理者によって予め決定され、許否情報テーブルは予め記憶部22に格納されている。
【0045】
SDカード2が電子機器1のSDソケット1aに接続された場合、制限部(取得部)21は、電子機器1の設定部11からの出力信号を取得し、取得した出力信号に対応する許否内容(許否情報)を許否情報テーブルから読み出す。制限部21は、許否情報テーブルから読み出した許否内容に応じて、DCDCコンバータ23,25に動作の開始を指示する。例えば、設定部11からの出力信号が(1,1,1,1)であった場合、許否内容が「全メモリ部からの読み出しを許可」であるので、制限部21は、DCDCコンバータ23,25の両方に動作開始を指示する。これにより、2つのDCDCコンバータ23,25は、電力供給部27からの電力をメモリ部24,26のそれぞれに供給するので、メモリ部24,26の両方からのデータの読み出しが可能となる。
【0046】
また、設定部11からの出力信号が(1,1,0,1)であった場合、許否内容が「第1メモリ部からの読み出しを許可」であるので、制限部21は、第1DCDCコンバータ23のみに動作開始を指示する。これにより、第1DCDCコンバータ23は、電力供給部27からの電力を第1メモリ部24に供給するので、第1メモリ部24からのデータの読み出しが可能となる。一方、第2DCDCコンバータ25は、電力供給部27からの電力を第2メモリ部26に供給しないので、第2メモリ部26からのデータの読み出しは行なえない。
【0047】
このように、制限部21がDCDCコンバータ23,25の動作を開始させるか否かに応じて、メモリ部24,26からのデータ読み出しを制限できる。
制限部21は、PLD(Programmable Logic Device )又は汎用ロジックIC(Integrated Circuit)で構成されてもよく、また、複数のICで構成されてもよい。
【0048】
図5は実施形態1のSDカード2の制限部21による処理の手順を示すフローチャートである。動作中の電子機器1のSDソケット1aにSDカード2が接続された場合、又はSDソケット1aにSDカード2が接続された後に電子機器1が起動した場合、SDカード2の制限部21が起動する(S1)。
【0049】
制限部21は、拡張4端子と接続された信号線の電位を検出して、電子機器1の設定部11からの出力信号を取得し(S2)、設定部11で予め設定されている許否情報を示す信号を取得する。制限部21は、記憶部22に格納してある許否情報テーブルの格納内容に基づいて、取得した出力信号に対応する許否内容を特定する(S3)。制限部21は、特定した許否内容に基づいて、データの読み出しが可能な(許可された)メモリ部24,26があるか否かを判断する(S4)。
【0050】
データの読み出しが可能なメモリ部24,26がある場合(S4:YES)、制限部21は、対応するDCDCコンバータ23,25に動作を開始させる(S5)。これにより、対応するメモリ部24,26からのデータの読み出しが可能となる。データの読み出しが可能なメモリ部24,26がない場合(S4:NO)、制限部21は、ステップS5の処理をスキップし、処理を終了する。
【0051】
本実施形態1では、電子機器1の設定部11に予め設定された許否情報(出力信号)に基づいて、SDカード2の制限部21がメモリ部24,26からのデータ読み出しを制限(許可又は禁止)する。よって、電子機器1毎にSDカード2からのデータ読み出しの許可又は禁止を設定できるので、不特定の電子機器によるデータ読み出しを防止でき、データの不正流出を防止できる。また、SDカード2側でデータ読み出しの制限を行なうので、電子機器1のOSが制限されず、SDカード2の汎用性を維持できる。また、本実施形態1では、SDカード2内のメモリ部24,26毎にデータ読み出しの許可又は禁止を設定できるので、より細かい制限が可能となる。更に、本実施形態1では、電子機器1からSDカード2へ出力される出力信号(許否情報)が拡張4端子を介して転送されるので、標準9端子に影響を与えず、SD規格の互換性が保持される。
【0052】
本実施形態1の許否情報テーブルでは、電子機器1の設定部11からの各出力信号に対して、「第1メモリ部からの読み出しを許可」、「第2メモリ部からの読み出しを許可」等のように、1つのメモリ部からのデータ読み出しを許可する許否内容が設定してある。このほかに、例えば、SDカード2に3つ以上のメモリ部が設けられている場合に、1つの出力信号に対して、「第1メモリ部及び第2メモリ部からの読み出しを許可」のように、複数のメモリ部からのデータ読み出しを許可する許否内容を設定してもよい。
【0053】
(実施形態2)
以下に、実施形態2の電子機器システムについて説明する。本実施形態2の電子機器システムは、上述の実施形態1の電子機器システムと同様の構成を有しており、同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
本実施形態2の電子機器システムでは、SDカード2の制限部21の記憶部22に格納されている許否情報テーブルの内容が、上述の実施形態1とは相違する。
【0054】
図6は実施形態2の許否情報テーブルの格納内容を示す模式図である。図6に示す許否情報テーブルには、SDカード2内のメモリ部24,26のそれぞれに、各メモリ部24,26に予め設定されたレベルが対応付けて格納されている。本実施形態2においても、許否情報テーブルの格納内容は、電子機器システムを管理する管理者によって予め決定され、許否情報テーブルは予め記憶部(レベル記憶部)22に格納されている。
【0055】
本実施形態2の電子機器1の設定部11は、実施形態1の設定部11と同様の構成であるが、設定部11からの出力信号は、SDカード2(メモリ部24,26)に格納されたデータの読み出しの許否のレベルを数値で示した許否レベルを示している。即ち、本実施形態2の設定部11は、0(0,0,0,0)から15(1,1,1,1)までの16通りの信号(許否レベル)のいずれかひとつを出力する。なお、拡張4端子のそれぞれを介して出力される各信号と、最上位ビットから最下位ビットまでの各ビットとの対応は予め決定しておく。
【0056】
SDカード2が電子機器1のSDソケット1aに接続された場合、制限部21は、電子機器1の設定部11からの出力信号を取得する。制限部(判定部)21は、取得した出力信号が示す許否レベルと、許否情報テーブルに格納された各メモリ部24,26のレベルとを比較する。制限部21は、例えば、出力信号が示す許否レベル以下のレベルのメモリ部24,26があるか否かを判断し、許否レベル以下のレベルのメモリ部24,26を、データ読み出しを許可するメモリ部に特定する。なお、出力信号が示す許否レベル以上のレベルのメモリ部24,26を、データ読み出しを許可するメモリ部に特定するように構成してもよい。
【0057】
制限部21は、データ読み出しを許可するメモリ部24,26を特定した場合、特定したメモリ部24,26に対応するDCDCコンバータ23,25に動作の開始を指示する。これにより、許否レベル以下のレベルのメモリ部24,26からのデータ読み出しが可能となる。
例えば、設定部11からの出力信号が7(2進数で0111)であった場合、制限部21は、許否情報テーブルの格納内容に基づいて、データ読み出しを許可するメモリ部として、許否レベル7以下のレベルの第2メモリ部26を特定する。そして、制限部21は、第2メモリ部26に対応する第2DCDCコンバータ25に動作開始を指示する。これにより、許否レベル7よりも高いレベルの第1メモリ部24からのデータの読み出しは行なえないが、許否レベル7以下のレベルの第2メモリ部26からのデータの読み出しは可能となる。
【0058】
図7は実施形態2のSDカード2の制限部21による処理の手順を示すフローチャートである。動作中の電子機器1のSDソケット1aにSDカード2が接続された場合、又はSDソケット1aにSDカード2が接続された後に電子機器1が起動した場合、SDカード2の制限部21が起動する(S11)。
【0059】
制限部21は、電子機器1の設定部11からの出力信号を取得し(S12)、設定部11で予め設定されている許否レベルを示す信号を取得する。制限部21は、取得した出力信号が示す許否レベルと、許否情報テーブルに格納された各メモリ部24,26のレベルとを比較し、比較結果に基づいて、データ読み出しを許可するメモリ部24,26を特定する(S13)。
【0060】
制限部21は、特定した結果、データの読み出しが可能な(データの読み出しを許可する)メモリ部24,26があるか否かを判断する(S14)。データの読み出しが可能なメモリ部24,26がある場合(S14:YES)、制限部21は、対応するDCDCコンバータ23,25に動作を開始させる(S15)。これにより、対応するメモリ部24,26からのデータの読み出しが可能となる。データの読み出しが可能なメモリ部24,26がない場合(S14:NO)、制限部21は、ステップS15の処理をスキップし、処理を終了する。
【0061】
本実施形態2でも、上述の実施形態1と同様の効果が得られる。また、本実施形態2では、電子機器1の設定部11に予め設定された許否情報(出力信号)が、数値で示される許否レベルを示す情報であるので、許否情報を決定し易い。
【0062】
上述の実施形態1,2の電子機器システムは、SDカード2内のメモリ部24,26毎にデータ読み出しの許可又は禁止を制限する構成であるが、単純にSDカード2からのデータ読み出しを制限する構成でもよい。即ち、SDカード2内の全てのメモリ部24,26からのデータ読み出しの許可又は禁止を制限する構成でもよい。
また、SDカード2内のメモリ部24,26へのデータの書き込みを制限する場合にも、同様の構成を利用できる。
【符号の説明】
【0063】
1 電子機器
2 SDカード(記憶装置)
10 SDIOコントローラ
11 設定部(送出部)
14 電源部(供給部)
21 制限部(取得部、判定部)
22 記憶部(レベル記憶部)
24 第1メモリ部(記憶部)
26 第2メモリ部(記憶部)
27 電力供給部
1a SDソケット(接続部)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
データを記憶する記憶装置と、該記憶装置に接続されて前記記憶装置からデータを読み出す電子機器とを備える電子機器システムにおいて、
前記電子機器は、
前記記憶装置に対して、データの読み出しの許否を示す許否情報を送出する送出部を有し、
前記記憶装置は、
前記電子機器から送出された許否情報に基づいて、データの読み出しを制限する制限部を有する
ことを特徴とする電子機器システム。
【請求項2】
前記記憶装置は、複数の記憶部を有し、
前記許否情報は、各記憶部からのデータの読み出しの許否を示し、
前記制限部は、前記許否情報に基づいて、各記憶部からのデータの読み出しを制限するようにしてあることを特徴とする請求項1に記載の電子機器システム。
【請求項3】
前記電子機器は、接続された前記記憶装置に電力を供給する供給部を有し、
前記記憶装置は、前記電子機器から供給された電力を各記憶部に供給する電力供給部を有し、
前記制限部は、前記電力供給部に、前記許否情報がデータの読み出しの許可を示す記憶部に電力を供給させるようにしてあることを特徴とする請求項2に記載の電子機器システム。
【請求項4】
前記許否情報は、数値で示される許否レベルを示し、
前記記憶装置は、
前記電子機器から送出された許否情報が示す許否レベルが所定レベル以上であるか否かを判定する判定部を有し、
前記制限部は、前記判定部による判定結果に基づいて、データの読み出しを制限するようにしてあることを特徴とする請求項1に記載の電子機器システム。
【請求項5】
前記記憶装置は、
複数の記憶部と、
各記憶部に予め設定されたレベルを記憶するレベル記憶部とを有し、
前記判定部は、前記電子機器から送出された許否情報が示す許否レベルと、前記レベル記憶部に記憶してある各記憶部のレベルとを比較するようにしてあり、
前記制限部は、前記判定部による判定結果に基づいて、各記憶部からのデータの読み出しを制限するようにしてあることを特徴とする請求項4に記載の電子機器システム。
【請求項6】
前記電子機器及び前記記憶装置は、SD(Secure Digital)規格の標準端子と拡張端子とを有する接続部を介して接続されており、
前記接続部を介して前記電子機器及び前記記憶装置が接続された場合、前記送出部は、前記拡張端子を介して前記許否情報を前記記憶装置へ送出するようにしてあることを特徴とする請求項1から5までのいずれかひとつに記載の電子機器システム。
【請求項7】
データを記憶する記憶装置において、
データの読み出しの許否を示す許否情報を外部から取得する取得部と、
該取得部が取得した許否情報に基づいて、データの読み出しを制限する制限部と
を備えることを特徴とする記憶装置。
【請求項8】
複数の記憶部を備え、
前記許否情報は、各記憶部からのデータの読み出しの許否を示し、
前記制限部は、前記許否情報に基づいて、各記憶部からのデータの読み出しを制限するようにしてあることを特徴とする請求項7に記載の記憶装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−114489(P2013−114489A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−260619(P2011−260619)
【出願日】平成23年11月29日(2011.11.29)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】