説明

電子機器及びバッテリの残りの使用可能時間を算出する方法

【課題】バッテリの残りの使用可能時間を正確に表示する。
【解決手段】ビデオカメラ101は、液晶モニタ102及び充電マイコン103を備えている。充電マイコン103は、バッテリ残量検出部13a、計時部13b及び使用可能時間算出部13cを含む。使用可能時間算出部13cは、(i)バッテリ201を用いてビデオカメラ101の動作を開始したときから、バッテリ201の残りの使用可能時間が所定の閾値時間に達するまでの期間において、バッテリ残量検出部13aで検出したバッテリ201の残量に関する値と、ビデオカメラ101の消費電流に関する値とに基づいて、残りの使用可能時間を算出し、(ii)残りの使用可能時間が所定の閾値時間を下回った後、残りの使用可能時間がゼロになるまでの期間において、計時部13cで計った動作時間に基づいて、残りの使用可能時間を算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリで駆動する電子機器に関し、特に、バッテリの残りの使用可能時間を表示可能な電子機器に関する。本発明は、また、バッテリの残りの使用可能時間を算出する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
バッテリで駆動する電子機器の中で、バッテリの残量を使用可能時間で表示する機能を持つ電子機器が存在する。例えば、国際公開第2008/069046号公報は、残量情報を含む電池情報を出力可能なバッテリマイコンを備えたバッテリの、残量表示を行うことができる電子機器を開示する。この電子機器は、バッテリマイコンから電池情報を取得し、電池情報に基づきバッテリの実際の残量である残量実力値を算出する本体マイコンと、本体マイコンからの制御によりバッテリの残量表示を行う表示部とを備える。本体マイコンは、残量実力値から、バッテリが有する個体差である補正余裕値を減算して残量補正値を算出し、残量補正値が補正余裕値以下の領域において残量表示をゼロにするよう表示部を制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2008/069046号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記した電子機器においても、残りの使用可能時間を正確に表示できないことがある。特に、バッテリ切れの直前期に残りの使用可能時間の表示が不正確になりがちである。
【0005】
本発明の目的は、バッテリの残りの使用可能時間、特に、バッテリ切れの直前期における残りの使用可能時間を正確に表示する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち、本発明は、
バッテリの残量を検出するバッテリ残量検出部と、
当該電子機器の動作時間を計る計時部と、
(i)前記バッテリを用いて当該電子機器の動作を開始したときから、前記バッテリの残りの使用可能時間が所定の閾値時間に達するまでの期間において、前記バッテリ残量検出部で検出した前記バッテリの残量に関する値と、当該電子機器の消費電流に関する値とに基づいて、前記残りの使用可能時間を算出し、(ii)前記残りの使用可能時間が前記閾値時間を下回った後、前記残りの使用可能時間がゼロになるまでの期間において、前記計時部で計った前記動作時間に基づいて、前記残りの使用可能時間を算出する、使用可能時間算出部と、
前記使用可能時間算出部で算出した前記残りの使用可能時間に関する情報を表示する表示部と、
を備えた、電子機器を提供する。
【0007】
他の側面において、本発明は、
バッテリの残りの使用可能時間を算出する方法であって、
前記バッテリの残量を検出するステップと、
前記バッテリに接続された電子機器の動作時間を計るステップと、
前記バッテリの電力で前記電子機器の動作を開始したときから、前記バッテリの残りの使用可能時間が所定の閾値時間に達するまでの期間において、検出した前記バッテリの残量に関する値と、前記電子機器の消費電流に関する値とに基づいて、前記残りの使用可能時間を算出するステップと、
前記残りの使用可能時間が前記閾値時間を下回った後、前記残りの使用可能時間がゼロになるまでの期間において、前記計時部で計った前記動作時間に基づいて、前記残りの使用可能時間を算出するステップと、
算出した前記残りの使用可能時間に関する情報を表示するステップと、
を含む、方法を提供する。
【発明の効果】
【0008】
上記本発明によれば、残りの使用可能時間が所定の閾値時間に達するまでの期間において、バッテリの残量に応じて正確に残りの使用可能時間を算出できる。残りの使用可能時間が所定の閾値時間を下回った後は、実際の時間の経過と一致する形で残りの使用可能時間を減少させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態に係る電子機器及びバッテリの各構成を示すブロック図
【図2A】表示された残りの使用可能時間と実際の経過時間との理想的な関係を示すグラフ
【図2B】表示された残りの使用可能時間と実際の経過時間との乖離を示すグラフ
【図3A】消費電流の時間推移を示すグラフ
【図3B】消費電流の時間推移と所定の補正値との関係を示すグラフ
【図4】バッテリの残量の時間推移を示すグラフ
【図5】バッテリの残りの使用可能時間を算出する処理のフローチャート
【図6】液晶モニタに表示された残りの使用可能時間の時間推移を示すグラフ
【図7】変形例に係る電子機器の構成を示すブロック図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付の図面を参照しつつ、本発明の電子機器をビデオカメラに適用した一実施形態について説明する。
【0011】
(1.電子機器の構成)
図1は、本実施形態に係るビデオカメラ及びバッテリの各構成を示すブロック図である。ビデオカメラ101は、液晶モニタ102、充電マイコン103及び電源回路104を備えている。ビデオカメラ101は、また、図1に図示しない光学系、撮像素子、画像処理部、記録媒体制御部等を備えている。バッテリ201は、バッテリマイコン202及びバッテリセル203を備えたバッテリユニットとして構成されており、ビデオカメラ101に対して着脱可能である。
【0012】
液晶モニタ102は、撮像中の画像を表示するとともに、バッテリ201の残りの使用可能時間を表示する。残りの使用可能時間とは、装着されたバッテリ201によってビデオカメラ101を動かし続けることができる残りの時間を意味する。残りの使用可能時間は、例えば、分単位で表示される。液晶モニタ102に代えて、又は液晶モニタ102とともに、電子ビューファインダ等の他の表示部が設けられていてもよい。また、残りの使用可能時間を文字で表示することは必須でない。例えば、文字、図形及び記号からなる群より選ばれる少なくとも1つの情報を用いて、残りの使用可能時間を表示できる。
【0013】
充電マイコン103は、バッテリ残量検出部13a、計時部13b及び使用可能時間算出部13cを含む。充電マイコン103は、バッテリ接続部(図示せず)を介してバッテリ201(詳細にはバッテリマイコン202)とシリアル通信を行い、バッテリ201に関する各種情報を取得する。バッテリ201に関する各種情報には、バッテリ201の残量が含まれる。すなわち、バッテリ残量検出部13aは、バッテリ201の残量を検出する。使用可能時間算出部13cは、取得した各種情報を用い、バッテリ201の残りの使用可能時間を算出する。計時部13bは、ビデオカメラ101の使用時間(動作時間)等の各種時間を計る。
【0014】
電源回路104は、バッテリ201からの電力をビデオカメラ101の各部に供給する。
【0015】
バッテリセル203は、バッテリ本体23aと、保護回路等の制御回路23bとで構成されている。バッテリ本体23aは、例えば、リチウムイオン二次電池で構成されている。バッテリマイコン202は、バッテリ情報管理部22aを含む。バッテリ情報管理部22aの役割は、バッテリ201に関する情報、例えば、バッテリ201の種類、バッテリ201の残量を管理することにある。具体的に、バッテリ情報管理部22aは、バッテリ本体23aから電源回路104に供給された電流(mA)の積算値と、バッテリ201の充電時にバッテリ本体23aに供給された電流の積算値とを用い、バッテリ201の残量(mAh)を逐次算出し、記憶する。バッテリ情報管理部22aに問い合わせれば、その問い合わせの時点でのバッテリ201の残量を知ることができる。また、その問い合わせの時点でバッテリ201からビデオカメラ101に供給中の電流の大きさを知ることもできる。
【0016】
充電マイコン103及びバッテリマイコン202が提供するべき機能は、典型的には、ハードウェアとソフトウェアとの組み合わせによって実現できる。ただし、充電マイコン103及びバッテリマイコン202の各々の一部又は全部がハードウェアのみで構成されていてもよい。
【0017】
(2.残りの使用可能時間の算出方法)
(2−1.バッテリの残量及び消費電流に基づく残りの使用可能時間の算出の問題点)
図2Aは、表示された残りの使用可能時間と実際の経過時間との理想的な関係を示すグラフである。図2Aに示すように、表示された残りの使用可能時間の変化率(傾き)が実際の経過時間に一致していることが理想的である。
【0018】
バッテリ201の残りの使用可能時間は、バッテリ情報管理部22aによって逐次算出及び管理されているバッテリ201の残量E(mAh)と、ビデオカメラ101の消費電流I(mA)とを用いて算出できる。一般には、残りの使用可能時間は、E/Iに等しい。消費電流Iは、バッテリ201からビデオカメラ101に供給中の電流を意味する。
【0019】
ここで、消費電流Iの変動幅が小さい場合には、残りの使用可能時間が実際の経過時間に対して良好な線形性を示す。しかし、消費電流Iの変動幅が大きいと、線形性は失われる。例えば、図3Aに示すように、使用開始から時間t1までの期間では略一定の電流が供給されるが、時間t1からバッテリ切れの時間tmaxまでの期間では電流の時間変化が非常に大きい場合を考える。使用開始から時間t1までの期間において、E/Iで求まる残りの使用可能時間は、実際の経過時間に対して良好な線形性を示す。時間t1からバッテリ切れの時間tmaxまでの期間において、E/Iで求まる残りの使用可能時間の実際の経過時間に対する線形性はよくない。
【0020】
したがって、仮に、E/Iで残りの使用可能時間を算出し続けると、バッテリ切れの直前期において問題が起こる。具体的には、図2Bに示すように、時間t1において「残り10分」と表示されたにも拘らず、実際には時間t1から5分経過した時点でバッテリ切れが起きる。残りの使用可能時間が十分にあるときの多少の誤差は大した問題とならない。しかし、バッテリ切れの直前期の誤差は、ユーザに不測の不利益をもたらす可能性がある。ビデオカメラを例に挙げると、予想以上に早くバッテリが切れてしまうことにより、記録したいシーンを撮り逃がすといった問題が起こるかもしれない。
【0021】
なお、バッテリ切れの直前期における消費電流Iの変動幅が大きいバッテリとして、リチウムイオン二次電池が知られている。リチウムイオン二次電池によると、その残量がある一定量を下回ると電圧が急に低下し始める。ビデオカメラ等の電子機器の消費電力は概ね一定なので、バッテリ切れの直前期には、より多くの電流がリチウムイオン二次電池から引き出される。つまり、バッテリ切れの直前期には、残量が速く減る。
【0022】
(2−2.本実施形態に係る残りの使用可能時間の算出)
上記問題を受けて、本実施形態では、以下のような方法を提案する。当該方法では、時間t1以降におけるバッテリ201の真の残りの使用可能時間を予め実験的に調査できる点に着目する。図2Bを参照して説明すれば、時間t1以降におけるバッテリ201の真の残りの使用可能時間は5分であり、この時間は予め実験的に調査できる。したがって、バッテリ201を用いてビデオカメラ101の動作を開始したときから時間t1まではE/Iで残りの使用可能時間を算出し、時間t1が経過したら、予め実験的に調査した真の残りの使用可能時間から実際の経過時間を逐次減らす。このようにすれば、時間t1の経過後においても、残り使用可能時間の減る速さを実際の経過時間に一致させることができる。
【0023】
ただし、次のような問題がまだ残っている。まず、E/Iの計算結果が「5分」になったとする。E/Iで求めた「5分」の残りの使用可能時間は、「現在の消費電流Iがこれ以降も続くとするとあと5分使用できる」という意味であって、必ずしも真の残りの使用可能時間を意味しない。図2Bを参照して説明すると、E/Iで求めた「残り10分」の時点こそが、真の「残り5分」の時間t1である。したがって、残りの使用可能時間の算出方法をE/Iを用いた方法から実際の経過時間を用いた方法へと切り替えた瞬間に、「残り10分」の表示を突然「残り5分」の表示に切り替える必要性に迫られる。前述したように、バッテリ切れの直前期の誤差は、ユーザに不測の不利益をもたらす可能性がある。
【0024】
そこで、E/Iで算出した「残り10分」と真の「残り5分」との間の誤差を修正するべく、E/Iで求めた残りの使用可能時間から誤差に相当する時間を予め差し引く。例えば、E/Iによる算出結果が10分だったとしても、液晶モニタ102には「残り5分」と表示する。これにより、E/Iで求めた残りの使用可能時間と、真の残りの使用可能時間との間の誤差を解消できる。
【0025】
誤差の解消は、どのような方法で行ってもよい。要するに、E/Iで求まる残りの使用可能時間よりも少ない時間が、液晶モニタ102に表示するべき残りの使用可能時間として算出されれば問題ない。本実施形態では、バッテリ201の残量Eから所定の補正値E0を減じた値(E−E0)を消費電流Iで除することによって、液晶モニタ102に表示するべき残りの使用可能時間を算出する。つまり、バッテリマイコン202で管理されている実際の残量Eよりも少ない残量(E−E0)を用いて、残りの使用可能時間を算出する。
【0026】
所定の補正値E0は次の方法で算出できる。先に説明したように、時間t1以降におけるバッテリ201の真の残りの使用可能時間は、予め実験的に調査できる。図3Bを参照して説明すると、バッテリ201は最大で時間tmaxまで使用できる。「時間t1」及び「時間tmax」は、それぞれ変数であるが、(tmax−t1)はバッテリ201に固有の値である。(tmax−t1)が、時間t1以降におけるバッテリ201の真の残りの使用可能時間に相当する。ただし、バッテリマイコン202によって管理されている残量Eにも多少の誤差が含まれていることを考慮し、(tmax−t1)よりも短い時間を「閾値時間Tth」と定義する。時間t1から閾値時間Tthが経過した時間t2までバッテリ201を使用できる。閾値時間Tthは、時間t1以降におけるバッテリ201の残りの使用可能時間であり、バッテリ201の容量等に応じて適宜設定される。例えば、(tmax−t1−Tth)が1〜10分の範囲に収まるように、閾値時間Tthが設定されうる。図2Bの例によると、閾値時間Tth=5分である。
【0027】
バッテリ201からビデオカメラ101に供給された電力は、消費電流Iの積算値で表される。例えば、バッテリ本体23aがリチウムイオン二次電池で構成されているとき、ビデオカメラ101は、使用開始から時間t1までの期間において、略平坦な消費電流特性を示す。この平坦な領域における消費電流をI0とする。使用開始から時間t1までの期間の消費電力は、I01で表される。時間t1から時間t2までの期間の消費電力は、I0th+E1で表される。I0thは、残りの使用可能時間がゼロになるまで消費電流が一定(=I0)であると仮定した場合の消費電力を表す。実際には、時間t1から時間t2までの期間において、消費電流は増加し続けるので、「E1」で表された電力が余分に消費される。
【0028】
また、上述したように、(tmax−t1)よりも短い時間が閾値時間Tthとして設定される。そのため、時間t2において、バッテリ201には、理論上「E2」で表された電力が残存している。結局、補正値E0は、「E1+E2」で表すことができる。また、残りの使用可能時間が閾値時間Tthに達した時点(すなわち時間t1)におけるバッテリ201の残量をE(t1)と定義すると、補正値E0を下式(1)によって表すことができる。
E(t1)=E0+I0th・・・(1)
【0029】
なお、本実施形態では、残りの使用可能時間の算出に、ビデオカメラ101の平均消費電流I0を用いている。平均消費電流I0は、次の方法で実験的に求めることができる。まず、バッテリ201をビデオカメラ101に装着し、ビデオカメラ101の消費電流を時系列で測定する。測定された消費電流を平均することにより、平均消費電流I0が求まる。また、ビデオカメラ101の消費電力が一定であると仮定して、バッテリ201の特性(典型的にはリチウムイオン二次電池の特性)から理論的に求めることもできる。
【0030】
図4は、バッテリの残量の時間推移を示すグラフである。使用開始時において、バッテリ201の残量Eは、図3Bからも明らかなように、E0+I0(t1+Tth)に等しい。動作時間が時間t1に達するまで、残量Eは、略一定のレートで減少する。具体的には、微小時間Δtにおける残量Eの変化量をΔEとすると、(ΔE/Δt)=I0が成立する。次に、時間t1において、残量Eは、E0+I0thに一致する。時間t1から時間t2までの期間において、(ΔE/Δt)>I0が成立する。時間t2において、残量Eは、E2に一致する。
【0031】
(3.残りの使用可能時間を算出する処理のフローチャート)
ビデオカメラ101にバッテリ201を装着し、ビデオカメラ101の電源をオンにすると、充電マイコン103は、バッテリ201が使用可能なバッテリであるか否かを判断する。具体的には、バッテリマイコン202との間で情報のやりとりを行い、バッテリ201の認証を行う。認証に成功しなかった場合、充電マイコン103は、バッテリ201からの電力供給を受け入れず、起動しない。認証に成功した場合、充電マイコン103は、バッテリ201からの電力供給を受け入れ、起動する。起動後、図5に示す処理を開始する。
【0032】
まず、充電マイコン103は、バッテリ201に関する情報として、平均消費電流I0、閾値時間Tth及び補正値E0をバッテリマイコン202から取得する(ST1)。本実施形態では、これらの値が全てバッテリマイコン202に保持されている。ただし、これらの値は充電マイコン103に保持されていてもよい。
【0033】
次に、計時部13bを用いて一定時間Δtの経過を待つ(ST2)。一定時間Δtは、残りの使用可能時間を算出するための制御周期を表す。一定時間Δtの経過後、バッテリマイコン202に問い合わせを行い、現在のバッテリ201の残量Eを取得する(ST3)。なお、ステップST4とステップST5との間でバッテリ201の残量Eを取得する処理を行ってもよい。
【0034】
次に、前回の制御周期で算出した残りの使用可能時間Tを閾値時間Tthと比較する(ST4)。残りの使用可能時間Tが閾値時間Tth以上の場合、下式(2)を用いて、新たに保持するべき残りの使用可能時間Tを算出する(ST5)。
T=(E−E0)/I0・・・(2)
【0035】
前回の制御周期で算出した残りの使用可能時間Tが閾値時間Tthを下回っている場合、前回の制御周期で算出した残りの使用可能時間Tから一定時間Δtを減じた時間を新たに保持するべき残りの使用可能時間Tとして算出する(ST6)。
【0036】
図5に示すフローチャートによると、バッテリ201を用いてビデオカメラ101の動作を開始したときから、バッテリ201の残りの使用可能時間Tが所定の閾値時間Tthに達するまでの期間において、バッテリ残量検出部13aで検出したバッテリ201の残量Eと、ビデオカメラ101の消費電流I(本実施形態では平均消費電流I0)とに基づいて、残りの使用可能時間Tを算出する。残りの使用可能時間Tが所定の閾値時間Tthを下回った後、残りの使用可能時間Tがゼロになるまでの期間において、計時部13bで計った動作時間に基づいて、残りの使用可能時間Tを算出する。具体的には、計時部13bで計った制御周期Δt(動作時間)を残りの使用可能時間Tから逐次減ずることによって、液晶モニタ102に表示するべき新たな残りの使用可能時間Tを算出する。
【0037】
このようにして求めた残りの使用可能時間を液晶モニタ102に表示する。図6に示すように、液晶モニタ102に表示された残りの使用可能時間は、実際の経過時間と略同一のレートでゼロまで減り続ける。本実施形態によれば、表示された残りの使用可能時間がゼロになる前にバッテリ切れが起きたり、バッテリの残量が未だ十分にある状態で、表示された残りの使用可能時間がゼロになったりするのを回避できる。また、表示された残りの使用可能時間が減少しない現象及び表示された残りの使用可能時間が突然大きく減る現象も防止できる。ユーザは、液晶モニタ102に表示された残りの使用可能時間を参照することによって、バッテリ201の交換時期、充電時期等を正確に把握できる。
【0038】
(4.変形例)
図1等を参照して説明した実施形態では、ビデオカメラ101の充電マイコン103で残りの使用可能時間を算出している。ただし、残りの使用可能時間を算出する処理をバッテリマイコン202で実行してもよい。すなわち、図7に示すように、バッテリマイコン202が、バッテリ残量検出部22b、計時部22c及び使用可能時間算出部22dを備えていてもよい。充電マイコン103は、バッテリマイコン202に残りの使用可能時間の算出結果を問い合わせるとともに、バッテリマイコン202から取得した残りの使用可能時間を液晶モニタ103に表示させる。なお、図7に示す変形例によると、ビデオカメラ101及びそれに装着されたバッテリ201によって本発明の電子機器が構成されうる。
【0039】
また、残りの使用可能時間を算出する処理において、バッテリの残量に代えて、バッテリの残量に関する値を使用できる。例えば、バッテリの残量に関する値として、バッテリの残量をまるめた値を使用できる。同様に、消費電流に代えて、消費電流に関する値を使用できる。消費電流に関する値として、消費電流をまるめた値、電子機器の所定の平均消費電流の値、実電流の値等を使用できる。
【0040】
実施形態では、(E−E0)/I0で求めた残りの使用可能時間が閾値時間Tthを下回った時点から、計時部13bを用いて残りの使用可能時間を算出している。このことに代えて、例えば、下記(i)〜(v)の条件を満たした時点から、計時部13bを用いて残りの使用可能時間を算出してもよい。これらの変形例は、(E−E0)/I0で求めた残りの使用可能時間が閾値時間Tthを下回ったか否かを判断している実施形態と技術的には等価である。
(i)バッテリ201の残量Eが所定値を下回る。
(ii)消費電流Iが所定値を上回る。
(iii)一定時間Δtにおける消費電流Iの変化量ΔIが所定値を上回る。
(iv)バッテリ201の電圧が所定値を下回る。
(v)一定時間Δtにおけるバッテリ201の電圧Vの変化量の絶対値│ΔV│が所定値を上回る。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明は、ビデオカメラ、スチルカメラ、移動体通信機器、携帯型メディアプレーヤ、携帯型ゲーム機、電子手帳、ノートパソコン等、バッテリで駆動する様々な電子機器に有利に適用できる。ビデオカメラのように、バッテリの交換時期又は充電時期を正確に知らせることで利便性の大幅な向上を見込める電子機器にとって、本発明が特に有効である。
【符号の説明】
【0042】
13a バッテリ残量検出部
13b 計時部
13c 使用可能時間算出部
22a バッテリ情報管理部
23a バッテリ本体
23b 制御回路
101 ビデオカメラ
102 液晶モニタ(表示部)
103 充電マイコン
104 電源回路
201 バッテリ
202 バッテリマイコン
203 バッテリセル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリの残量を検出するバッテリ残量検出部と、
当該電子機器の動作時間を計る計時部と、
(i)前記バッテリを用いて当該電子機器の動作を開始したときから、前記バッテリの残りの使用可能時間が所定の閾値時間に達するまでの期間において、前記バッテリ残量検出部で検出した前記バッテリの残量に関する値と、当該電子機器の消費電流に関する値とに基づいて、前記残りの使用可能時間を算出し、(ii)前記残りの使用可能時間が前記閾値時間を下回った後、前記残りの使用可能時間がゼロになるまでの期間において、前記計時部で計った前記動作時間に基づいて、前記残りの使用可能時間を算出する、使用可能時間算出部と、
前記使用可能時間算出部で算出した前記残りの使用可能時間に関する情報を表示する表示部と、
を備えた、電子機器。
【請求項2】
前記消費電流に関する値は、当該電子機器の所定の平均消費電流の値である、請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記処理(i)において、前記バッテリの残量に関する値を前記消費電流に関する値で除することによって算出できる前記残りの使用可能時間よりも少ない時間が、前記表示部に表示するべき前記残りの使用可能時間として算出される、請求項1に記載の電子機器。
【請求項4】
前記処理(i)において、前記バッテリの残量に関する値から所定の補正値を減じた値を前記消費電流に関する値で除することによって、前記表示部に表示するべき前記残りの使用可能時間を算出する、請求項1に記載の電子機器。
【請求項5】
前記消費電流に関する値は、当該電子機器の所定の平均消費電流の値であり、
前記残りの使用可能時間が前記閾値時間に達した時点における前記バッテリの残量に関する値をE(t1)と定義したとき、前記補正値が下式によって表される、請求項4に記載の電子機器。
E(t1)=(前記補正値)+(前記平均消費電流の値)×(前記閾値時間)
【請求項6】
前記処理(ii)において、前記計時部で計った前記動作時間を前記残りの使用可能時間から逐次減ずることによって、前記表示部に表示するべき新たな残りの使用可能時間を算出する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項7】
前記バッテリが、リチウムイオン二次電池で構成されている、請求項1〜6のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項8】
バッテリの残りの使用可能時間を算出する方法であって、
前記バッテリの残量を検出するステップと、
前記バッテリに接続された電子機器の動作時間を計るステップと、
前記バッテリの電力で前記電子機器の動作を開始したときから、前記バッテリの残りの使用可能時間が所定の閾値時間に達するまでの期間において、検出した前記バッテリの残量に関する値と、前記電子機器の消費電流に関する値とに基づいて、前記残りの使用可能時間を算出するステップと、
前記残りの使用可能時間が前記閾値時間を下回った後、前記残りの使用可能時間がゼロになるまでの期間において、前記計時部で計った前記動作時間に基づいて、前記残りの使用可能時間を算出するステップと、
算出した前記残りの使用可能時間に関する情報を表示するステップと、
を含む、方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−172186(P2010−172186A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−292808(P2009−292808)
【出願日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】