説明

電子機器収容ケース及び電子機器収容ケースの取付具

【課題】
電子機器を収納するケースは、ケースの設置場所応じて取付の形式が異なり、同一目的のケースであっても、色々な利用環境に対応するため、異なる形状のケースを用意する必要がある。
【解決手段】
ケースを建造物に取り付ける取付具をケースに固着する固定金具と、ケースから分離された可動金具と、固定金具と可動金具を連結する連結金具とにより構成する。取付場所が壁等の平面か、電柱等の比較的太い柱か、あるいは、街路灯のように比較的細い柱かに応じて、可動金具と固定金具の位置を変更することにより、1つの取付具により多くの取付環境に対応可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は信号ケーブルの集配装置等の電子機器を収容するケースに関するものであり、特にケースを建築物の側壁あるいは電柱等に取り付けるための取付具を有するケースの構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
信号ケーブルの集配装置等の電子機器を収納するケースの多くは屋外に設置される。しかし、信号ケーブルの集配装置を収納するという同一目的のケースであっても、建築物の側壁に設置する、電柱に設置する等、ケースの設置場所は装置の利用環境に応じて大きく異なる。従って、同一目的のケースであっても、色々な利用環境に対応するため、異なる形状のケースを用意する必要がある。また、ケースを設置する時は、予め設置場所を調査し必要とするケースの形状を決定し、その形状のケースを準備して作業に出向く必要がある。
【0003】
従来のケースあるいはケースの取付具は、複数の形状のものを用意する必要があり在庫管理等が煩雑となる。また、作業時には、作業環境調査し作業環境に則した形状のケースを予め用意する必要があり、作業現場でケースの設置場所を柔軟に変更するためには、使用する可能性のある複数の形状のケースを持参する。従って、作業終了後使用しなかったケースを持ち帰り返品する等の手続が必要となる。電子機器の収容ケースを電柱に取り付ける公報には以下のものがある。
【特許文献1】特開特開2001−5257号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、電子機器等を収容するケースを建造物に取り付ける取付具に関するものであり、1つの構成により、ケースを建物の平らな側壁に取り付けることが可能であると共に、街路灯等の比較的細い柱にも、電柱等の太い柱にも取り付け可能な取付具を有するケースを提供するのである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、ケースを建造物に取り付ける取付具を、ケースに固着させた固定部品である固定金具と、ケースから分離された可動部品である可動金具と、固定金具と可動金具を連結する部品である連結金具とから構成する。可動金具を固定金具に直接取り付けることにより、ケースを建造物の平らな壁面に設置することを可能とする。また、可動金具と固定金具により柱を挟むことのより、街路灯等の比較的細い柱にケースを取り付けることが可能となる。また、スチールベルト等の補助具を用いることにより電柱等の太い柱にも取り付け可能となる。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、電子機器等を収容するケースを建造物に取り付ける取付具であって、ケースを建物の平らな側壁に取り付けることが可能であると共に、1つの構成により、街路灯等の比較的細い柱にも電柱等の太い柱にも取り付け可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
図1−1は本発明に係るケース100と、ケースの固定具を構成する固定金具200、可動金具300、連結金具400の斜視図である。図示されていないが、連結金具400にはネジ山が切られている。
ケースの多くは屋外に設置されるため、図1−1のケース100の上面、前面、及び左右の両側面にはケース本体と空間を空けてカバー(105ないし107)が取付けられている。これらのカバーは直射日光よりケース本体の温度が高くなることを防止するものである。ケース100の裏面110に、固定金具200が溶接等により固着されている。
図1−2は可動金具300を固定金具200の上に搭載した状態を示す図である。可動金具300には嵌合用のツメ350が設けられており、固定金具200のツメ嵌合部250と嵌合した状態となる。ケース100の裏面下方には、ケース支え115が取り付けられている。ケース支え115と固定金具200の上に搭載された可動金具300の前面はほぼ同一面となる。
【0008】
図2−1の(a)は固定金具200の上面図、(b)は前面図、(c)は側面図、(d)は底面図であり、図2−2は固定金具200の斜視図である。固定金具200は背面上下の固定板210と215によりケース本体の裏面に固着、あるいはネジ留めされる。固定金具200の上面の左右後部には、可動金具300のツメ350(図3−2参照)が嵌合するツメ嵌合部250が設けられている。固定金具200の上面部材と下面部材には街路灯等の柱に当接する凹部240が設けられている。固定金具200の上面部材から前面部材に連結穴220が二つ開けられている。図2−2に示されるように、連結穴220は、固定金具200の上面部材に開けられた横長の連結穴上部220−1と、前面部材に開けられた縦長の連結穴下部220−2からなり、略T字の形状である。
【0009】
図3−1の(a)は可動金具300の上面図、(b)は前面図、(c)は側面図、(d)は底面図であり、図3−2の(a)は可動金具300の後面斜視図、(b)は前面斜視図である。可動金具300の上面部材と下面部材には街路灯等の柱に当接する凹部340が設けられている。可動金具300の下面部材の左右後部には、固定金具200のツメ嵌合部250(図2−2参照)に嵌合するツメ350が設けられている。可動金具300の上面部材から前面部材に連結穴320が二つ開けられている。連結穴320は、可動金具300の上面部材に開けられた連結穴上部320−1と、全面部材に開けられた連結穴下部320−2からなり、略I字の形状である。
可動金具300の下面部材には連結溝350が二つ設けられており、前面部材にはフック穴320が開けられている。
【0010】
図4−1は固定金具200をケースの裏面に固着した状態を示す図であり、図4−2はその斜視図である。固定金具200の上部固定板210と下部固定板215はケース本隊の裏面に溶接等の方法により固着されている。固定金具200に開けられた連結穴220の連結穴上部220−1が上方を向き、連結穴下部220−2が後方を向く状態となる。
固定金具200の前面とケース本体の裏面の間には空間があり、ケースを建造物に取り付ける時、スチールベルト等の補助具を通すことが可能となっている。
【0011】
図5−1、図5−3、図5−5、および図5−7は、ケース100の裏面110に固着されている固定金具200に連結金具400を挿入する過程を示す図である。図5−2、図5−4、図5−6および図5−8は各々、図5−1、図5−3、図5−5および図5−7の斜視図である。図5−3および図5−4に示されるように、連結金具400の一方の脚が連結穴上部220−1の一方から挿入され、固定金具200とケース裏面の間を通り、図5−5および図5−6に示されるように、他方の連結穴上部220−1から出され、図5−7および図5−8に示され位置とされる。固定金具200の上面部材に開けられた連結穴上部220−1は、連結金具400を挿入することか可能な形状と長さにされている。
【0012】
図6−1および図6−2は、固定金具200と可動金具300を一体にして使用する方法を示す図である。図6−1は固定金具200に通された連結金具400と可動金具300の斜視図であり、図6−2はケース100の裏面110で、可動金具300が固定金具200にナットにより固定された図である。
図5−8に示され状態にある連結金具400の脚が、可動金具300の下面部材に設けられた連結溝350から連結溝320の連結穴上部320−1(図3−2参照)を貫通している。
図6−2に示されるように、可動金具300の下面部材の左右両端に設けられているツメ350が、固定金具200の上面部材の左右両端に設けられているツメ嵌合部250に嵌合する様に、可動金具300を固定金具200に搭載し、連結金具400のネジ山とナット410により両金具を固定する。図6−3は側面の詳細図である。ケース100の理面に固着された固定金具200のツメ嵌合部250がケースの裏面との間に形成する空間に、可動金具300のツメ350が嵌合している。固定金具200の前面とケース100の裏面の間には、スチールベルト等、建造物にケースを取り付けるための補助部材を通す固定金具空間600が形成されている。
【0013】
図7−1は、建造物の壁等、垂直な平面にケース100を取付る方法を示す図である。壁にはケース100を掛けるためのフック500が埋め込まれている。図6−2に示される状態の可動金具300の前面にフック穴320が位置している。フック穴320にフック500を挿入することにより、ケース100は壁に掛けられる。可動金具300を固定金具200に搭載し固定すると、可動金具300の前面が固定金具200より前方に位置するように、可動金具300の厚みを固定金具200の厚みより大きく構成されている。従ってケース100をフックに掛けると、可動金具300の前面とケース支え115が壁に当節し安定する。
図7−2は、電柱等、比較的太い柱にケース100を取り付ける方法を示す図である。固定金具200とケースの裏面の間の固定金具空間600に取付補助具であるスチールベルト610を通し、スチールベルト610によりケース100を電柱に締め付けて取り付ける。
【0014】
図8−1及び図8−2は、街路灯等の比較的細い柱にケース100を取り付ける方法を示す図である。この方法は固定金具200と可動金具300により柱を挟んで固定する方法であり、図8−1はその概要を示す斜視図である。固定金具200に通された連結金具400(図5−8参照)の両脚を固定金具200の連結穴下部220−2に移動さ、両脚により取り付ける柱を挟む。次に可動金具300の連結穴下部320−2を連結金具400の両脚が貫通する様に装着し、ナットにより固定する。図8−2は比較的細い柱にレース100を取り付けた図であり、(a)は上面図、(b)は背面図、(c)は側面図である。柱は固定金具と可動金具の凹部に当接し、ナットにより締め付けられている。
【産業上の利用可能性】
【0015】
本発明は信号ケーブルの集配装置等の電子機器を収納するケースを建造物に取り付けるための取付具に関するものであり、取付具をケースに固着する固定金具と、ケースから分離された可動金具と、固定金具と可動金具を連結する連結金具とにより構成する。
1.固定金具と可動金具を一体に固定することにより、建造物の壁等の平面にケースの取り付けが可能となる。
2.固定金具と可動金具により取付る建造物を挟むことにより、街路灯等の比較的細い柱にケースを取り付けることが可能となる。
3.スチールベルト等の補助具を用いることにより、電柱等の比較的太い柱にケースを取り付けることが可能となる。
【0016】
本発明に係る取付具を用いることにより、共通の構造のケースでもって各種の取付環境に対応可能となる。この結果、多くの品種のケースを用意する必要がなくなり在庫管理が容易となる。また、作業の柔軟性を確保するため、従来は多くの種類のケースを作業現場に持参する必要があったが、本発明に係るケースは、1つのケースにより多くの作業環境に対応可能であり、多くの種類のケースを作業現場に持参する必要が無い。
なお、本実施例では取付具を金属製とし、取付具を固定金具、可動金具、連結金具としたが、取付具の材質は金属に限られるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1−1】本発明に係るケースと取付具の斜視図
【図1−2】本発明に係るケースと固定金具と可動金具の斜視図
【図2−1】固定金具の詳細図
【図2−2】固定金具の斜視図
【図3−1】可動金具の詳細図
【図3−2】可動金具の斜視図
【図4−1】ケースと固定金具の詳細図
【図4−2】ケースと固定金具の斜視図
【図5−1】固定金具と連結金具の詳細図
【図5−2】図5−1の斜視図
【図5−3】固定金具と連結金具の詳細図
【図5−4】図5−3の斜視図
【図5−5】固定金具と連結金具の詳細図
【図5−6】図5−5の斜視図
【図5−7】固定金具と連結金具の詳細図
【図5−8】図5−7の斜視図
【図6−1】固定金具と可動金具と連結金具の第1の位置の斜視図
【図6−2】第1の位置の詳細図
【図6−3】図6−2の詳細図
【図7−1】本発明に係る取付具の第1の使用形態を示す図
【図7−2】本発明に係る取付具の第2の使用形態を示す図
【図8−1】固定金具と可動金具と連結金具の第2の位置の斜視図
【図8−2】本発明に係る取付具の第3の使用形態を示す図

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケースに取付られた固定部品と前記固定部品と連結部品により連結される可動部品とからなる取付具を有する電子部品の収納ケースであって、
前記固定部品と前記可動部品は前記連結部品を通す連結穴を有し、
前記可動部品にはフック穴と前記連結部品を通す連結穴を有し、
前記固定部品と前記可動部品の対向する位置にケースを取り付ける柱を挟持する凹部を有することを特徴とするケース。
【請求項2】
請求項1記載のケースであって、
前記固定部品の連結穴は略T字形であることを特徴とするケース。
【請求項3】
請求項1または請求項2記載のケースであって、
前記固定部品とケースの間には取付補助具のための空間を有することを特徴とするケース。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3に記載のケースであって、
前記固定部品と前記可動部品は嵌合手段を有することを特徴とするケース。
【請求項5】
ケースに取付ける固定部品と前記固定部品と連結部品により連結される可動部品とからなる取付具を有するケースの取付具であって、
前記固定部品と前記可動部品は前記連結部品を通す連結穴を有し、
前記可動部品にはフック穴と前記連結部品を通す連結穴を有し、
前記固定部品と前記可動部品の対向する位置にケースを取り付ける柱を挟持する凹部を有することを特徴とする取付具。
【請求項6】
請求項5記載の取付具であって、
前記固定部品の連結穴は略T字形であることを特徴とする取付具。
【請求項7】
請求項5または請求項6記載の取付具であって、
前記固定部品とケースの間には取付補助具のための空間を有することを特徴とする取付具。
【請求項8】
請求項1ないし請求項3に記載の取付具であって、
前記固定部品と前記可動部品は嵌合手段を有することを特徴とする取付具。



【図1−1】
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【図1−2】
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【図2−1】
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【図2−2】
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【図3−1】
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【図3−2】
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【図4−1】
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【図4−2】
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【図5−1】
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【図5−2】
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【図5−3】
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【図5−4】
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【図5−5】
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【図5−6】
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【図5−7】
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【図5−8】
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【図6−1】
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【図6−2】
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【図6−3】
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【図7−1】
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【図7−2】
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【図8−1】
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【図8−2】
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【公開番号】特開2007−324323(P2007−324323A)
【公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−151961(P2006−151961)
【出願日】平成18年5月31日(2006.5.31)
【出願人】(000227892)日本アンテナ株式会社 (176)
【Fターム(参考)】