説明

電子機器収納ラック

【課題】電子機器の内蔵ファンに加わる負担を少なくしつつ、ラック実装ファンの消費電力を抑えることができる電子機器収納ラックを提供する。
【解決手段】ラック実装ファンをデフォルト回転数で回転し(S1)、内側圧力センサからラック本体内部の内気圧を入力するとともに外側圧力センサからラック本体外部の外気圧を入力し(S2)、内気圧と外気圧とを比較する(S3)。内気圧と外気圧とが同圧又は内気圧がやや低い負圧の場合、何もせずにステップS2へ移行する一方、内気圧が外気圧より高い場合、ラック実装ファンの回転数を上げてラック本体外へ排出量を増大して(S4)、ステップS2へ移行する。内気圧が外気圧より低い場合、ラック実装ファンの回転数を下げてラック本体外への排出量を減少して(S5)、ステップS2へ移行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サーバコンピュータ等の電子機器を収納する電子機器収納ラックに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、サーバーコンピュータやネットワーク機器等の電子機器を管理する際には、電子機器収納ラックが用いられている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
この電子機器収納ラックのラック本体には、複数の電子機器が上下に配置されており、各電子機器は、その前面が前方に露出するように取り付けられている。各電子機器には、電子機器内蔵ファンが設けられており、該電子機器内蔵ファンによって電子機器前面から空気を取り込んで背面から排出することで、当該電子機器内部の熱をラック本体の背面スペースへ排出できるように構成されている。
【0004】
一方、前記電子機器収納ラックには、ラック実装ファンが設けられており、前記各電子機器よりラック本体内の背面スペースに排出された空気をラック本体外部へ強制排出できるように構成されている。これにより、ラック本体内に貯留した熱を外部へ排出できるように構成されている。
【0005】
前記ラック実装ファンのとしては、ラック本体内の温度に応じてオンオフ制御あるいは回転制御されるものが知られおり、前記各電子機器に設けられた電子機器内蔵ファンと独立して制御することで、ラック本体内の温度が設定値以上にならないように制御されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−019857号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、このような従来の電子機器収納ラックにあっては、各電子機器の電子機器内蔵ファンによる総風量よりラック実装ファンの風量が多い場合、ラック本体内部が負圧となり、内外の圧力差は次第に大きくなる。
【0008】
すると、この圧力差は、前記電子機器内蔵ファンの回転数を無理矢理上昇する力として働き、当該電子機器内蔵ファンに加わる負担が大きく、寿命を低下させる恐れがあった。
【0009】
一方、前記各電子機器内蔵ファンによる総風量よりも前記ラック実装ファンの風量が少ない場合、ラック本体内の熱を外部へ排出する能力が低下し、本来の冷却能力を十分に発揮することができない。
【0010】
このため、ラック実装ファンは、常時最大風量で回転させなければならず、必要風量に応じた消費電力の削減を図ることができなかった。
【0011】
本発明は、このような従来の課題に鑑みてなされたものであり、電子機器の内蔵ファンに加わる負担を少なくしつつ、ラック実装ファンの消費電力を抑えることができる電子機器収納ラックを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記課題を解決するために本発明の請求項1の電子機器収納ラックにあっては、ラック本体に収納された電子機器の内蔵ファンによって当該ラック本体内に排出された熱を該ラック本体に設けられたラック実装ファンによって当該ラック本体外部へ排出する機能を備えた電子機器収納ラックにおいて、前記ラック本体内部の内気圧と前記ラック本体外部の外気圧とを入力する圧力入力手段と、前記内気圧と前記外気圧との差に基づいて前記ラック実装ファンの回転を制御する回転制御手段と、を備えている。
【0013】
すなわち、ラック本体に収納された電子機器の内部温度が設定値より高くなった場合、当該電子機器は、内部の冷却効率を高める為に内蔵ファンを回転する又は回転数を上昇する。すると、ラック本体内の内気圧は、ラック本体外部の外気圧より高くなる。一方、前記電子機器の内部温度が設定値より低くなった場合には、冷却効率を低下する為に前記内蔵ファンを停止する又は回転数を低下する。これにより、前記内気圧は、前記外気圧より低くなる。
【0014】
このとき、電子機器収納ラックにおいては、前記内気圧と前記外気圧とを入力するとともに、前記内気圧と前記外気圧との差に基づいて、前記ラック実装ファンの回転を制御する。
【0015】
このため、前記ラック本体内の温度に応じてラック実装ファンを制御する構造上、前記内気圧の状態と前記外気圧の状態とは無関係に前記ラック実装ファンを制御する従来と比較して、前記内気圧と前記外気圧との差を抑える為の制御が可能となる。
【0016】
この際に、前記電子機器から排出された熱は、その排出量に応じて当該ラック本体外部へ排出される。このため、電子機器の内部温度が高くなり、当該電子機器からの排出量が増大した際には、これに伴ってラック本体外部への排出量が増大し、排熱効率が高められる。また、電子機器の内部温度が低くなり、当該電子機器からの排出量が減少した際には、これに伴ってラック本体外部への排出量を減少することで、前記ラック実装ファンの消費電力が抑えられる。
【0017】
また、請求項2の電子機器収納ラックにおいては、前記回転制御手段は、前記内気圧が前記外気圧より高い場合に前記ラック実装ファンの回転数を上げて排出量を増大する一方、前記内気圧が前記外気圧より低い場合に前記ラック実装ファンの回転数を下げて排出量を減少し、前記内気圧と前記外気圧とが略同圧又は前記内気圧がやや負圧となるように制御する。
【0018】
すなわち、前記内気圧が前記外気圧より高くなった場合には、前記ラック実装ファンの回転数を上げることによって、ラック本体外部への排出量を増大することができる。一方、前記内気圧が前記外気圧より低くなった場合には、前記ラック実装ファンの回転数を下げることによって、ラック本体外部への排出量を減少することができ、これにより前記内気圧と前記外気圧とが略同圧又は前記内気圧がやや負圧となるように制御することができる。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように本発明の請求項1の電子機器収納ラックにあっては、ラック本体に収納された電子機器の内部温度に基づいて当該電子機器の内蔵ファンが制御され、これに伴って当該ラック本体内の内気圧とラック本体外の外気圧とに差圧が生じた場合には、この差圧に基づいて当該ラック本体に設けられたラック実装ファンの回転を制御することができる。
【0020】
このため、前記ラック本体内の温度に応じて前記ラック実装ファンを制御する構造上、前記内気圧の状態と前記外気圧の状態とは無関係に前記ラック実装ファンを制御してしまう従来と比較して、前記ラック本体内部と外部とで生じ得る圧力差を抑えることができる。
【0021】
また、十分な冷却性能を得る為に前記ラック実装ファンの風量を高めに設定するため、ラック本体内が常時負圧となる場合のように、前記内蔵ファンがこの負圧によって無理矢理回転させられる場合と比較して、当該内蔵ファンに加わる外的負担を減少することができる。
【0022】
そして、前記電子機器の内部温度の上昇に伴って当該電子機器からの排出量が増大し、前記圧力差が変化した際には、前記ラック実装ファンによるラック本体外部への排出量が増大することで、排熱効率を高めることができる。一方、前記電子機器の内部温度が低くなり、当該電子機器からの排出量が減少し、前記圧力差が変化した際には、これに伴って前記ラック実装ファンの回転を抑えて前記ラック本体外への排出量を減少することで、前記ラック実装ファンの消費電力を抑えることができる。
【0023】
したがって、収納された電子機器の内蔵ファンの長寿命化と、前記ラック実装ファンの省電力化とを両立することができる。
【0024】
また、請求項2の電子機器収納ラックにおいては、ラック本体内の内気圧がラック本体外の外気圧より高くなった場合には、ラック実装ファンの回転数を上げることで、ラック本体外への排出量を増大することができる。一方、前記内気圧が前記外気圧より低くなった場合には、前記ラック実装ファンの回転数を下げることで、ラック本体外への排出量を減少することができる。
【0025】
このように、前記内気圧と前記外気圧との圧力差に基づいて前記ラック実装ファンの回転数を制御することで、前記内気圧と前記外気圧とが略同圧又は前記内気圧がやや負圧となるように制御することができる。
【0026】
したがって、前記内蔵ファンへの負荷状態と前記ラック実装ファンの消費電力とを適切な状態に維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の第一の実施の形態を示す模式図である。
【図2】第一の実施の形態の動作を示すフローチャートである。
【図3】第二の実施の形態の動作を示すフローチャートである。
【図4】第三の実施の形態の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
(第一の実施の形態)
【0029】
以下、本発明の第一の実施の形態を図に従って説明する。
【0030】
図1は、本実施の形態にかかる電子機器収納ラック1を示す図であり、該電子機器収納ラック1は、サーバー室などに設置されサーバコンピュータやネットワーク機器等の電子機器2を収納して管理するものである。
【0031】
この電子機器収納ラック1のラック本体11は、骨格を構成する図外のフレームを備えており、該フレームの底部には、底面を構成する底板12が設けられている。前記フレームの天部には、天板13が設けられており、その側面を構成する両側部は、側板14によって覆われている。また、前記フレームの背部には、背面ドア15が開閉可能に設けられており、開放することで前記電子機器2のメインテナンス背面側からできるように構成されている。
【0032】
前記各側板14(一方のみ図示)には、任意の高さ位置に固定用ブラケットを取り付けられるように構成されており、前記両側板14の対向位置に設けられた固定用ブラケットによって前記電子機器2を支持できるように構成されている。
【0033】
これにより、当該ラック本体11には、複数の電子機器2,・・・を上下に配置した状態で保持できるように構成されており、前記電子機器2が実装されない空き空間21には、ブランクパネル22を設けることで、当該空き空間21の開放を防止できるように構成されている。
【0034】
前記各電子機器2,・・・は、その前面31が当該ラック本体11の前方を向いた状態で取り付けられるように構成されており、各電子機器2,・・・の前面31に設けられたスイッチ類の操作や表示類の確認を行えるように構成されている。
【0035】
このラック本体11は、前記電子機器2,・・・を格納した状態で、各電子機器2,・・・の背部側に背面スペース41を確保できるように、奥行寸法が設定されている。これにより、各電子機器2,・・・間を接続するケーブルの配索等を前記背面スペース41にて行えるように構成されている。
【0036】
前記各電子機器2,・・・は、使用に際して発熱するため、冷却用の電子機器内蔵ファン51を備えている。該電子機器内蔵ファン51は、前記電子機器2によって制御されており、当該電子機器2の内部温度が設定温度に達した際に作動する又は回転数が上昇するように構成されている。この電子機器内蔵ファン51は、冷却用の空気を前記前面31から取り込んで背面52から排出するように構成されており、内部で発生した熱を前記背面スペース41へ排出できるように構成されている。
【0037】
前記電子機器2の前記設定温度は、各電子機器2,・・・毎に異なる温度に設定されており、それぞれの電子機器2,・・・に適した温度に設定されている。このため、前記各電子機器2,・・・から空気の排出量は、前記各電子機器2,・・・の状態によって大きく異なるとともに、その排出温度も電子機器2,・・・毎に異なるので、前記背面スペース41の温度管理を行うには複雑な制御を要する。
【0038】
一方、前記ラック本体11の前記天板13には、その奥側に開口部61が開設されており、該開口部61には、ラック実装ファン62が設けられている。該ラック実装ファン62は、当該ラック本体11に設けられた制御装置63に接続されており、該制御装置63からの出力によって制御されるように構成されている。これにより、当該ラック本体11に収納された前記各電子機器2,・・・の前記電子機器内蔵ファン51,・・・によって当該ラック本体11内に排出された熱を、前記ラック実装ファン62により当該ラック本体11外部へ排出できるように構成されている。
【0039】
前記制御装置63には、内側圧力センサ71と外側圧力センサ72とが接続されている。各圧力センサ71,72は、圧力を検出するとともに検出した圧力を電気信号として前記制御装置63に出力するように構成されており、例えば電気抵抗が圧力に応じて変化する部品によって構成されている。
【0040】
前記内側圧力センサ71は、前記背面ドア15の内側に設けられており、当該ラック本体11内、具体的には前記背面スペース41の圧力を検出し、その圧力を前記制御装置63に出力するように構成されている。また、前記外側圧力センサ72は、前記背面ドア15の外側に設けられており、当該ラック本体11外部の圧力を検出し、その圧力を前記制御装置63に出力するように構成されている。
【0041】
この制御装置63は、ROM及びRAMを内蔵したマイコンを中心に構成されており、前記ROMに記憶されたプログラムに従って動作することで、前記ラック実装ファン62を制御できるように構成されている。
【0042】
これにより、前記内側圧力センサ71から入力した当該ラック本体11内部の内気圧と前記外側圧力センサ72から入力した当該ラック本体11外部の外気圧との圧力差に基づいて、前記ラック実装ファン62の回転を制御できるように構成されている。
【0043】
すなわち、前記制御装置63のマイコンが前記ROMに記憶されたプログラムに従って動作を開始すると、図2に示すフローチャートに示すように、前記ラック実装ファン62を、前記ROM等に予め設定されたデフォルト回転数で回転した後(S1)、前記内側圧力センサ71から当該ラック本体11内部の内気圧を入力するとともに前記外側圧力センサ72から当該ラック本体11外部の外気圧を入力し(S2)、前記内気圧と前記外気圧とを比較する(S3)。
【0044】
このとき、前記内気圧と前記外気圧とが同圧又は前記内気圧がやや低い負圧の場合には、何もせずに前記ステップS2へ移行する一方、前記内気圧が前記外気圧より高い場合には、前記ラック実装ファン62の回転数を上げラック本体11外への排出量を増大して(S4)、前記ステップS2へ移行する。また、前記内気圧が前記外気圧より低い場合には、前記ラック実装ファン62の回転数を下げラック本体11外への排出量を減少して(S5)、前記ステップS2へ移行する。
【0045】
そして、前記ステップS2〜前記ステップS5の処理を繰り返すことによって、前記内気圧と前記外気圧とが略同圧又は前記内気圧がやや負圧となるように制御できるように構成されている。
【0046】
以上の構成にかかる本実施の形態において、前記ラック本体11に収納された前記各電子機器2,・・・の内部温度が各電子機器2,・・・に設定された設定温度より高くなると、各電子機器2,・・・は、内部の冷却効率を高める為に前記電子機器内蔵ファン51を回転する又は回転数を上昇する。すると、前記ラック本体11内の内気圧は、当該ラック本体11外部の外気圧より高くなる。
【0047】
一方、前記各電子機器2,・・・の内部温度が設定温度より低くなった場合には、冷却効率を低下する為に前記電子機器内蔵ファン51を停止する又は回転数を低下する。これにより、前記内気圧は、前記外気圧より低くなる。
【0048】
このとき、この電子機器収納ラック1の前記制御装置63は、前記内気圧と前記外気圧とを入力するとともに(S2)、前記内気圧と前記外気圧との差に基づいて(S3)、前記ラック実装ファン62の回転を制御する(S4,S5)。
【0049】
具体的に説明すると、前記ラック本体11内の内気圧が該ラック本体11外の外気圧より高くなった場合には、前記ラック実装ファン62の回転数を上げることで、当該ラック本体11外への排出量を増大することができる。一方、前記内気圧が前記外気圧より低くなった場合には、前記ラック実装ファン62の回転数を下げることで、当該ラック本体11外への排出量を減少することができる。
【0050】
このように、前記ラック本体11に収納された各電子機器2,・・・の内部温度に基づいて当該電子機器2,・・・の電子機器内蔵ファン51,・・・が制御され、これに伴って当該ラック本体11内の内気圧とラック本体11外の外気圧とに差圧が生じた場合には、この圧力差に基づいて当該ラック本体11に設けられた前記ラック実装ファン62の回転を制御することができる。これにより、前記内気圧と前記外気圧とが略同圧又は前記内気圧がやや負圧となるように制御することができる。
【0051】
このため、前記ラック本体11内の温度に応じて前記ラック実装ファン62を制御する構造上、前記内気圧の状態と前記外気圧の状態とは無関係に前記ラック実装ファン62を制御してしまう従来と比較して、前記ラック本体11内部と外部とで生じ得る圧力差を抑えることができる。
【0052】
また、十分な冷却性能を得る為に前記ラック実装ファン62の風量を高めに設定するため、ラック本体11内が常時負圧となり、前記電子機器内蔵ファン51がこの負圧によって無理矢理回転させられる場合と比較して、当該電子機器内蔵ファン51に加わる外的負担を減少することができる。
【0053】
そして、前記電子機器2,・・・の内部温度の上昇に伴って当該電子機器2,・・・からの排出量が増大し、前記圧力差が変化した際には、前記ラック実装ファン62によるラック本体11外部への排出量が増大することで、排熱効率を高めることができる。
【0054】
一方、前記電子機器2,・・・の内部温度が低くなり、当該電子機器2,・・・からの排出量が減少し、前記圧力差が変化した際には、これに伴って前記ラック実装ファン62の回転を抑えて前記ラック本体11外への排出量を減少することで、前記ラック実装ファン62の消費電力を抑えることができる。
【0055】
これにより、前記電子機器内蔵ファン51への負荷状態と前記ラック実装ファン62の消費電力とを適切な状態に維持することができるので、収納された電子機器2,・・・の電子機器内蔵ファン51,・・・の長寿命化と、前記ラック実装ファン62の省電力化とを両立することができる。
【0056】
(第二の実施の形態)
【0057】
図3は、本発明の第二の実施の形態の動作を示すフローチャートであり、前記ラック実装ファン62をPWM制御する場合における前記制御装置63のマイコンによる動作が示されている。
【0058】
すなわち、前記制御装置63のマイコンが前記ROMに記憶されたプログラムに従って動作を開始すると、前記ROMに予め設定されたデューティー比のPWM制御信号を前記ラック実装ファン62に出力することで当該ラック実装ファン62をデフォルト回転数で回転した後(SB1)、前記内側圧力センサ71から当該ラック本体11内部の内気圧を入力するとともに前記外側圧力センサ72から当該ラック本体11外部の外気圧を入力して(SB2)、前記内気圧と前記外気圧とを比較する(SB3)。
【0059】
このとき、前記内気圧と前記外気圧とが同圧又は前記内気圧がやや低い負圧の場合には、前記PWM制御信号を現在のデューティー比に維持したまま前記ラック実装ファン62へ出力することで、該ラック実装ファン62の回転数を維持して(SB4)、前記ステップSB2へ移行する。
【0060】
また、前記内気圧が前記外気圧より高い場合には、前記PWM制御信号のデューティー比を大きくして前記ラック実装ファン62へ出力することで、該ラック実装ファン62の回転数を上げ、当該ラック本体11外への排出量を増大して(SB5)、前記ステップSB2へ移行する。
【0061】
一方、前記内気圧が前記外気圧より低い場合には、前記PWM制御信号のデューティー比を小さくして前記ラック実装ファン62へ出力することで、該ラック実装ファン62の回転数を下げ、当該ラック本体11外への排出量を減少して(SB6)、前記ステップSB2へ移行する。
【0062】
そして、前記ステップSB2〜前記ステップSB6の処理を繰り返すことによって、前記内気圧と前記外気圧とが略同圧又は前記内気圧がやや負圧となるように制御する。
【0063】
これにより、前述した第一の実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0064】
また、前記ラック実装ファン62の回転数を前記PWM制御信号のデューティー比によって制御するため、前記マイコンから出力されるデジタル信号をD/A変換等することなく利用でき、回路構成の簡素化を図ることができる。
【0065】
(第三の実施の形態)
【0066】
図4は、本発明の第三の実施の形態の動作を示すフローチャートであり、前記ラック実装ファン62を電圧制御する場合における前記制御装置63のマイコンによる動作が示されている。
【0067】
すなわち、前記制御装置63のマイコンが前記ROMに記憶されたプログラムに従って動作を開始すると、前記ROMに予め設定された電圧値の制御信号を前記ラック実装ファン62に出力することで当該ラック実装ファン62をデフォルト回転数で回転した後(SC1)、前記内側圧力センサ71から当該ラック本体11内部の内気圧を入力するとともに前記外側圧力センサ72から当該ラック本体11外部の外気圧を入力して(SC2)、前記内気圧と前記外気圧とを比較する(SC3)。
【0068】
このとき、前記内気圧と前記外気圧とが同圧又は前記内気圧がやや低い負圧の場合には、前記制御信号を現在の電圧値に維持したまま前記ラック実装ファン62へ出力することで、該ラック実装ファン62の回転数を維持して(SC4)、前記ステップSC2へ移行する。
【0069】
また、前記内気圧が前記外気圧より高い場合には、前記制御信号の電圧値を大きくして前記ラック実装ファン62へ出力することで、該ラック実装ファン62の回転数を上げ、当該ラック本体11外への排出量を増大して(SC5)、前記ステップSC2へ移行する。
【0070】
一方、前記内気圧が前記外気圧より低い場合には、前記制御信号の電圧値を小さくして前記ラック実装ファン62へ出力することで、該ラック実装ファン62の回転数を下げ、当該ラック本体11外への排出量を減少して(SC6)、前記ステップSC2へ移行する。
【0071】
そして、前記ステップSC2〜前記ステップSC6の処理を繰り返すことによって、前記内気圧と前記外気圧とが略同圧又は前記内気圧がやや負圧となるように制御する。
【0072】
これにより、前述した第一の実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0073】
また、前記ラック実装ファン62へ印加する電圧値を変更して回転数を制御するため、ラック実装ファン62の回転を滑らかにすることができる。
【符号の説明】
【0074】
1 電子機器収納ラック
2 電子機器
11 ラック本体
51 電子機器内蔵ファン
62 ラック実装ファン
63 制御装置
71 内側圧力センサ
72 外側圧力センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラック本体に収納された電子機器の内蔵ファンによって当該ラック本体内に排出された熱を該ラック本体に設けられたラック実装ファンによって当該ラック本体外部へ排出する機能を備えた電子機器収納ラックにおいて、
前記ラック本体内部の内気圧と前記ラック本体外部の外気圧とを入力する圧力入力手段と、
前記内気圧と前記外気圧との差に基づいて前記ラック実装ファンの回転を制御する回転制御手段と、
を備えたことを特徴とする電子機器収納ラック。
【請求項2】
前記回転制御手段は、前記内気圧が前記外気圧より高い場合に前記ラック実装ファンの回転数を上げて排出量を増大する一方、前記内気圧が前記外気圧より低い場合に前記ラック実装ファンの回転数を下げて排出量を減少し、前記内気圧と前記外気圧とが略同圧又は前記内気圧がやや負圧となるように制御することを特徴とする請求項1記載の電子機器収納ラック。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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