説明

電子機器用回路

【課題】 解決しようとする問題点はシステムの消費電力削減とシステムの安定的な制御が両立しない問題となってしまっていたことである。
【解決手段】 計時機能と表示駆動機能を含む電子機器用回路を第1と第2の2つの半導体チップで構成しており、該第1の半導体チップチップが、発振回路と、該発振回路の発振出力信号を分周する分周回路と、該分周回路の分周比を制御することで発振回路の論理周波数調整を実施する論理周波数調整回路とを有する制御回路部と、該分周信号出力を前記半導体チップの第2のチップに送る手段とを有し、前記第2の半導体チップチップが、前記論理周波数調整回路により調整された分周信号を入力してカウントし計時を実施する計時部と、該計時部のデータを入力し、表示手段へ該データの内容を表示する表示駆動手段を有する表示駆動部とを有した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器、特に腕時計のような計時機能を有する電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
時計用マイクロコンピューター(以下マイコンと略記する)は、液晶(以下液晶及び液晶表示装置をLCDと略記する)ドライバーも組み込んだ1チップマイコンで製品を構成することが主流となっている。
【0003】
しかし、時計の表示仕様の複雑化により、たとえ腕時計のような携帯用電子機器においても、マイコンICとLCDドライバーICの2チップ構成にしたほうが効率的な場合も多い。(例えば特許文献2第1図参照)
このような2チップ構成において、今までのシステム構成をがらりと変え、LCDドライバーICに発振回路や計時用カウンタを持たせ、通常の歩進や表示などのルーチン作業をLCDドライバーに行わせてマイコンは停止を継続し、例えば、1分毎にマイコンを起動してより複雑な動作(時以上への桁上げ処理など)をマイコンに行わせることで、システム的に低消費電力化を図ることが考えられた。(例えば特許文献1第9図参照)
特許文献1のシステム構成は非常に優れた低消費電力システムであるが、いくつか欠点も存在する。
【0004】
その欠点について、図7を用いて説明する。
【0005】
図7は特許文献1の第9図をその思想を変えない程度にモディファイした、従来の計時機能を有する電子機器用の電子回路のブロック図で、電子回路が発振回路OSC120を有するLCD駆動用IC112と中央演算ユニットCPU130を有するマイクロコンピュータIC110との2チップで構成されている。
【0006】
図7において、発振器OSC120が基準信号を出力し、該基準信号を分周器DIV132が分周し、計時に必要な信号を、時刻計時を行う時刻カウンタTK134,クロノ計時を行うクロノカウンタCC136,タイマー(加算、逆算は不問)計時を行うタイマーカウンタTM138を有する計時部133に送る。液晶駆動部139はLCDデコーダ140,LCDドライバー142を有し、計時ブロック133の計時情報やマイクロコンピュータIC110から送られてくる情報に従ってLCDの駆動信号を作成し、LCD144は該駆動信号によって駆動されて表示を行う。
【0007】
また発振器OSC120の基準信号はバッファ124を介してCPU130を有するマイコンチップ110に送られる。該送られた基準信号はマイコンチップ110内のクロックジェネレータCG118を介してCPU130に送られる。クロックジェネレータCG118ではマイコンチップ110内の各部を制御するための基準信号が作られる。
【0008】
マイコンチップ110内には割り込み信号を受け付けるINT126が設けられており、例えば計時部133からの割り込み信号を受け付けてCPU130に割り込み信号を送っている。この機能により、通常の時刻計時などのルーチン作業はLCD駆動用IC112により行われてマイクロコンピュータIC110は停止を継続し、例えば1分毎にマイコンチップ110を起動して、マイコンチップ110は例えば時以上への桁上げ処理などのより複雑な動作を分担することで、低消費電力化を図ることが可能となっている。
【0009】
マイコンチップ110はまたRAM116,ROM114を有してCPU130が演算
の必要に応じて使用し、出力ポート128を有してマイコンチップ110の情報を液晶駆動部139に送ってLCD144に表示させている。
【特許文献1】特開昭55−142272号公報(第9図)
【特許文献2】特開昭58−148992号公報(第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
このようなシステムの欠点の第1はマイコンへチップ110へのクロック供給で、発振回路120を液晶駆動部139側のチップ112に持たせているため、液晶駆動部139側のチップ112からマイコンチップ110にクロックを供給する必要があることである。このため、比較的周波数が高い発振回路120の出力をディジタル化した上でバッファ124を介してマイコンに送る必要があるので、このバッファ124の部分で電力を消費してしまう。また発振回路120の出力である比較的周波数が高いクロック信号を引き回すので、寄生容量の充放電でも消費電力が上がってしまい、ノイズ耐性的にも問題が生じる。
【0011】
欠点の第2は発振回路の論理周波数調整(ディジタル周波数調整と呼ばれているので以下Dfと略記する)を実施するDf回路の採用が難しいことである。
【0012】
発振回路の消費電力を下げるためには、周波数調整において、アナログ的な発振回路の容量値調整ではなく、Dfを採用する必要がある。
【0013】
容量値調整の場合、発振回路の容量を変化させることにより周波数を調整するために、発振状態保持のために発振回路の消費電力を下げることが出来ない。これに対し、Dfでは、発振回路自体により周波数調整を行わないので、発振回路の消費電力を発振動作が維持可能なギリギリの状態まで下げることが可能である。
【0014】
しかしながら、Dfは分周回路132の分周比を変化させて周波数調整を行う、具体的には、分周回路132を構成するフリップフロップを適宜セット・リセットすることで周波数調整を行う。そのため、分周信号は必ずしも均一なクロックではないため、マイコンの駆動を司る源信としては使用出来ない。
【0015】
即ち、このシステムでは、Dfを採用すると発振回路120の出力をそのままマイコンのシステムクロックに使用しなければならず、源信より低い周波数の信号をマイコンのシステムクロックに使用するにはDfを採用できないため、低消費電力化には限界があった。
本発明は、この課題を解決し、より一層の低消費電力を図った表示システムを提供することに有る。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明による電子機器は、発振回路と、該発振回路の発振出力信号を分周する分周回路と、
該分周回路の分周比を制御することで発振回路の論理周波数調整を実施する論理周波数調整回路と、
該論理周波数調整回路により調整された分周信号を出力する分周信号出力部と、
を有する制御回路部と、
前記論理周波数調整回路により調整された前記分周回路の出力する分周信号を入力してカウントし計時を実施する計時カウンタと、
該計時カウンタのデータを入力し、表示手段へ該データの内容を表示する表示駆動手段と、
を有する表示駆動部と、を有することを特徴とする。
【0017】
このように構成することで、以下のような効果を得ることが出来る。
(1)論理周波数調整を使用することで、発振回路の低消費電力化が可能。
(2)計時用基準信号、表示用基準信号として低周波の信号を出力するので、低消費電力化が可能で基準信号出力によるノイズの低減も可能。
(3)計時用基準信号と表示用基準信号を兼用できるので、クロックを送信する信号線を削減でき、より一層の低消費電力化、ノイズの低減が可能。
【0018】
また本発明による電子機器は、前記論理周波数調整回路は、複数のトグル型フリップフロップを有し、該論理周波数調整は所定の該トグル型フリップフロップを所定周期で強制セットもしくはリセットすることで実施され、かつ該所定の該トグル型フリップフロップを少なくとも2つの第1と第2のグループに分け、該第1のグループのフリップフロップと該第2のグループのフリップフロップとを別々の異なるタイミングで強制セットもしくはリセットしたことを特徴とする。
【0019】
このように構成することで、安定した表示制御を確保し表示品質の低下を防ぐことが可能となる。
【0020】
また本発明による電子機器は、発振停止検出回路を設け、前記表示駆動部は、該発振停止検出回路の出力信号に応答して、前記表示駆動部の初期化を実施することを特徴とする。
【0021】
また本発明による電子機器は、前記制御回路部が前記表示駆動手段を停止させる停止信号を出力すると共に、前記表示駆動手段の駆動時よりも長周期の分周信号を前記表示駆動部に出力することを特徴とする。
【0022】
このようにすることで、一層の低消費電力化が可能となる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば消費電力が小さく安定的な制御が可能な計時機能付き電子機器が実現出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下実施例に基づいて本発明の説明を行う。
【実施例1】
【0025】
以下実施例に基づいて本発明の説明を行う。
【0026】
図1は本発明による、腕時計のような、計時機能を有する電子機器のブロック図で、電子機器の回路が発振回路OSC16とCPU40を有するマイコンチップ10と液晶駆動部44を有するLCDドライバーチップ24(以下、LCDチップ24と省略する)との2つで構成されている。
【0027】
まず、マイコンチップ10の構成について説明する。
【0028】
図1において、チップ10内の発振回路OSC16が基準信号CXを出力し、該基準信号CXを分周回路DIV18が分周する。
【0029】
Df回路20は、分周回路DIV18の分周比を調整することで、計時に係わる信号の
周波数調整を行う。具体的には、決まった周期(通常、5秒や10秒の単位)で分周回路DIV18を構成するフリップフロップ(以下、FF)のセットリセットを実施する。具体例は、後述する。
【0030】
分周回路DIV18からは、Df回路20により論理周波数調整された信号CKがLCDチップ24に出力される。通常は、図示するようにバッファ22を介して出力される。
【0031】
一般的に、Dfにより周波数調整で使用される、言い換えると、Df回路20によりセットリセットの処理がなされる分周回路DIV18のFFは、発振回路OSC16の基準信号CXの入力側から7段目までのFFが使用されることが多いので、256Hzの周波数の信号が出力される。
【0032】
CKはLCDチップ24において、計時用基準信号として使用されると共に、液晶表示駆動の基準信号としても使用される。
【0033】
選択手段90は、分周回路18から出力される論理周波数調整された複数のタイミング信号を選択しCKとして出力する。詳細の動きは後述する。
【0034】
CG19はクロックジェネレータであり、発振回路OSC16の基準信号CXを受けて、マイコンの各種制御クロックを作成する。
【0035】
マイコンチップ10内には割り込み信号を受け付ける割り込み制御回路INT42が設けられており、例えば後述する計時部32からの割り込み信号を受け付けてCPU40に割り込み信号を送っている。この機能により、普段はマイコンチップ10を停止させ、例えば1分毎にマイコンチップ10を起動することにより、低消費電力化を図ることが可能となっている。マイコンチップ10は例えば時以上への桁上げ処理などのより複雑な動作を分担している。
【0036】
また計時部32でイベントが発生した場合、割り込み制御回路INT42を介してマイコンチップ10にその旨を伝えるようにしている。
【0037】
さらにイベントの内容が複数ある場合はINT42を介する2チップ間の通信によってどのイベントが発生しているのかわかるようにしている。
【0038】
マイコンチップ10はまたRAM36,ROM14を有してCPU40が必要に応じて使用し、出力ポート38を有してマイコンチップ10の情報を後述する液晶駆動部44に送ってLCD50に表示させている
液晶駆動部44を有するLCDチップ24は主に計時部32と液晶駆動部44とを有し、計時部32はTK30,CC28,TM26を有して例えば時の桁未満の時計動作、タイマー動作等を行う。バッファ22を介して送られてきた信号CKがLCDチップ24の基本クロック信号となる。
【0039】
TK30,CC28,TM26の構成は従来例の図7と同様なので説明は省略する。
【0040】
前記したイベントとは、例えば、時刻、クロノ、タイマーが秒、分や時の桁に桁上げした、クロノ、タイマーがカウントアップしたなどの内容である。チップ24はこれらのイベントの発生時に、前述のような情報を示すイベント情報信号IVを、出力ポート60を介しマイコンチップ10の割り込み制御回路42に出力する。マイコンチップ10は、イベント情報信号IVを元に各種処理(桁上げ表示、カレンダー処理、タイマーカウントアップ音出力など)を実行する。なお、処理に際し計時データが必要な場合は、LCDチッ
プ24からTK30,CC28,TM26の内容を、出力ポート60を介してマイコンチップ10に出力し、マイコンチップ10は入力ポート35を通介してデータを入力する。
【0041】
液晶駆動部44はLCDデコーダ46,LCDドライバー48を有し、計時部32の計時情報やマイコンチップ10から送られてくる情報に従ってLCDの駆動信号を作成し、LCD50は該駆動信号によって駆動されて表示を行う。
【0042】
マイコンチップ10から送られてくる情報は入力ポート55を介して入力される。入力情報としては、LCD50にて表示すべきデータの他、計時に関するデータ、さらには、LCDチップ24内の制御信号(後述するPSTなど)なども入力される。
【0043】
制御信号作成回路CG34は、分周回路DIV18から出力された信号CKをバッファ57を介して入力し、液晶駆動部44で使用する各種制御信号を出力する。
【0044】
バッファ57には、後述する節電状態において“H”となり、それ以外の状態で“L”となる信号PSTが入力され、“L”の時は単純バッファとして機能し、“H”の時にはその出力が“L”か“H”に固定される。詳細は後述する。
【0045】
LCDチップ24はまた、前記分周信号CKの入力の有無を検出する発振停止検出回路12を有し、該発振停止検出回路の出力信号により、前記表示駆動部の初期化を行っている。
【0046】
例えば、発電機能付き時計において電池電圧が低下し、充電されて回路の駆動か可能になった場合、マイコンチップ10、液晶駆動部44は各々初期状態が安定しない。
【0047】
仮にマイコンチップ10のみに発振停止検出機能があり、初期化できたとしても液晶駆動部44はマイコンチップ10の初期化が出来るまで不安定な状態になり、液晶駆動部44で大電流を消費し、再度、電池電圧が低下し、何時まで経っても時計としての機能復帰が出来ない状態になる可能性がある。
このため、発振停止検出回路12によりチップ24にシステムリセットを掛けることで、チップ24の誤動作による不具合を最低限に抑えることが出来る。
【0048】
図2は制御信号を作成するCG34の例を示した図である。
【0049】
上述の如く、チップ24はDf調整された256Hzの信号CKを入力し、計時と表示の両方の基準信号として使用している。
【0050】
計時用の基準信号としては256Hz程度でも充分な細かさであるが、表示の制御を行うためにはもっと幅の狭いクロック信号も必要となる。これを作成するのがCG34である。
【0051】
図2(a)において、52,54,56は直列に接続されたそれぞれ比較的遅延時間の大きなバッファで、52の入力端子に図2(b)に示した、例えば分周回路DIV18の分周信号信号であるDL0(前出CK)が印加されると、バッファ52,54,56の出力は図2(b)に示すDL1,DL2、DL3のようになる。これらのバッファ52,54,56はいわば遅延時間の逓倍回路として機能している。これらの信号を論理回路的に処理することで、D1,D2に示すような、お互いのエッジが接しない信号が得られ、例えばこのような信号を液晶駆動部44で駆動制御用信号として用いている。
【0052】
バッファ52,54,56の遅延時間については、CKの周期よりは小さく、かつ、充
分信頼性のあるクロック幅となるように適宜決定することとなる。
【0053】
図3は分周回路18とDf回路20の実施回路例である。
【0054】
図3において、分周回路18はセットリセット付きトグル型FF(以下、SR−FF)であるFF1からFF7よりなる前段分周段73と、トグル型FF8個からなる後段分周段70からなる。前段分周段73は発振回路からの基準回路CX(32768Hz)を分周して256Hzの中間周波数を作成し、後段分周段70は256Hzの中間周波数を分周して1Hzを含む各種タイミング信号を出力する。
【0055】
CKとして使用されるのは、論理周波数調整がなされた信号である256Hz以降の信号が使用される。
【0056】
Df回路20は、Dfタイミング回路71とDf用記憶回路72とANDゲート751〜757から構成される。
【0057】
Dfタイミング回路71は、後段分周段70が出力する各種タイミング信号tdを受け、Dfを実行するタイミング信号t1,t2(実行タイミングで“1”)を作成する。
【0058】
Df用記憶回路72は、FF1〜FF7に対し、Dfタイミングにおいてセットリセット(以下、SR)を実行する(“1”)か否か(“0”)を記憶し、ANDゲート751〜757に出力する回路である。一般に知られているように、周波数調整量は個々の時計用回路により異なる(水晶振動子や発振回路定数のバラツキに起因する)ので、各時計毎に調整が必要になり、従って各時計に対応する値をDf用記憶回路72に記憶させる必要がある。メモリとしては不揮発性メモリなどの電気的メモリやDIPスイッチなどの機械的メモリが使用可能であり、適宜選択可能である。
【0059】
ANDゲート751〜757は、タイミング信号t1,t2とDf用記憶回路72の出力する信号を受け、Dfタイミングにて、タイミング信号t1,t2とDf用記憶回路72の出力信号が同時に“1”になった時に“1”を出力し、FF1〜FF7をSRする。
【0060】
ところで、本実施例では、Dfを実行するタイミング信号をt1とt2の2つに分けて実行しているが、この理由について説明する。
【0061】
簡単のため、この実施例では、論理周波数調整はFF1〜FF7をセットすることで実施するものとする。これは、調整しない場合、常に遅れる方向に周波数がずれる水晶振動子を使うことで可能となる。
【0062】
また、極端な例ではあるが、非常に遅れる水晶振動子が付けられたため、FF1〜FF7全てをセットする必要があるものとする。
【0063】
図4の(a)は、Dfが実施されない場合のCK(256Hz)である。Dfタイミング信号が1系統tのみだった場合の、DfタイミングでのCKの様子を図4の(b)に示す。DfタイミングにおいてFF1〜FF7の全てがセットされるため、極端にCKが狭められ、波形が歪むのがわかる。
このような状態ではCKの幅が一時的狭くなる為、図2に示した制御信号作成回路で作成するD1、D2信号が作成できない可能性が有り、LCDチップ24の表示制御が不安定になる可能性がある。さらには、LCDの駆動信号が歪んでしまうため、LCD表示の見栄えに直接影響を与える可能性がある。
【0064】
これに対し、Dfタイミングをt1とt2の2つに分けて実行した場合の例を図4の(c)に示す。CKの歪がかなり緩和されるのがわかる。これにより、図2に示した制御信号作成回路の安定動作も補償され、また、LCD表示の見栄えの影響も抑えることが出来る。
【0065】
なお、本実施例では2系統に分けてSRを実施していたが、もちろん、それ以上に細かく分けても良い。極端な例では、全てのFFについてそのDfタイミングを分けても良い。こうすることで、より確実で見栄えの良い表示制御が実現できる。
【0066】
図5は分周回路18とDf回路20の他の実施例である。
【0067】
図5の実施例が図3の実施例と異なるのはFF7の出力がSR機能のないFF7で1/2分周されて256Hz信号として出力されていることである。
【0068】
このように構成すると図4(c)にはf調タイミング付近に存在した細い信号も1/2分周されることにより、その幅の縮まりも大幅に緩和されるので、信号転送途上の事故の確率も低下し、システムをより安定化出来る。(図4(d)参照)
【実施例2】
【0069】
図6は本発明の第2実施例の一部分を示したブロック図である。
【0070】
図6の構成で、分周回路18の出力を分周回路18中のFF出力から複数出力して選択手段90に入力し、選択手段90は選択信号SELにより前記複数のFF出力を切り替え出力するように構成されている。選択信号SELは、各種処理過程で必要に応じCPU40が出力する。
【0071】
ここでは、簡単のため選択手段90に入力されるFF出力は256Hzと1Hzとし、SELが“H”の時に1Hz、“L”の時に256Hzを出力するものとする。
【0072】
また、バッファ22には停止信号STが入力されており、STが“L”の場合は上記256Hz、もしくは1Hzの信号が出力されるが、STが“H”の場合は、入力信号Dfoutの如何にかかわらず、バッファ22の出力は“L”か“H”に固定される。
【0073】
実施例1ではLCDチップ24に入力されるCKは256Hzの信号であった。これは、CKが計時用の基準信号であると同時に表示用の基準信号として兼用されているためである。
【0074】
しかしながら、例えば、LCDを表示しない節電状態に有る場合には、表示用の基準信号は不要であり、CKは計時用のクロックとしての機能のみを果たせば良い。
【0075】
そこで、LCDの駆動を停止し、かつ、クロノやタイマーなどの細かい精度の計時を実施していない場合には、CKは256Hzから1Hzに切り替えることで、より低消費電力のシステムとすることができる。
【0076】
以下、図8を用いて、各状態におけるLCD表示、SEL,ST,PST,CK各信号の変化とクロックジェネレータCG34の状態変化を説明する。
【0077】
図8(a)は、通常状態におけるLCD表示、SEL,ST,PST,CK各信号を示す。LCD表示の上段は、左より計時時刻の時、分、秒を示し、上段は、左より、月、日、曜を示す。図8(a)では、4月29日(日曜日)21時59分35秒を表示している

【0078】
図8(a)に示す通常状態では、CKが計時用の基準信号であると同時に表示用の基準信号としても使用する必要がある。従って、CKより256Hzが出力されるように、SELに“L”、STに“H”が出力される。また、クロックジェネレータCG34が動作可能なようにPSTには“L”が供給され、クロックジェネレータCG34は供給された256Hz信号により図2で説明したような信号を作成し、LCDチップ24は表示動作を実行する。
【0079】
次に、何らかの理由で節電状態(以下、PS)に入った状態を図8(b)に示す。
【0080】
PSとしては、ユーザーが任意に時計の表示を停止させるような仕様も考えられるし、また、
太陽電池などの発電手段で2次電池を充電するソーラー時計が暗い環境下で発電不可能となり、かつ、液晶の視認も難しい時に自動で節電状態に入るようにしても良い。
【0081】
図8(b)に示すように、PSに入ると、CPU40は、それまで“L”だったSELを“H”に変化させ、CKを256Hzから1Hzに切り替える。CKは計時用基準信号としてのみ使用される。これにより、バッファ22での消費電力やTK30などの計時部32でのカウント時の消費電力を低減できるので、節電状態でより一層の低消費電力化が可能となる。
【0082】
また、入力ポート55を介して節電状態であることを認識することでPSTは“H”となって、バッファ57の出力は“L”か“H”の電位に固定され、クロックジェネレータCG34は動作を停止する。これにより、LCDチップ24のさらなる低消費電力化が可能である。
【0083】
なお、バッファ57の出力を“L”か“H”の電位に固定するのは、クロックジェネレータCG34がオープン状態となり、動作が不安定になったり、リークが発生することを防ぐためである。
【0084】
なお、PS時のCKとしては1Hzを例に挙げたが、もちろん、これに限定されない。もし、PSが長期にわたって解除されないことがわかっているような場合には、例えば、1分、1時間、果ては、1日や1月ごとのクロックでも良い。このようにすれば、更なる節電が可能である。
【0085】
さらに、本システムを電波修正時計に適用した場合の有効性について説明する。
【0086】
標準電波の受信状態を図8(c)に示す。
【0087】
標準電波を受信し時刻を修正する電波修正時計の場合、受信中にLCDを駆動することは電磁気ノイズを発生させるため好ましくない。LCD駆動時の電磁気ノイズは、LCD自体から発生するのみではなく、LCDドライバーへの供給クロックやLCDドライバーの出力など、回路基板から発生するものも大きな影響を与える。従って、電波修正時計において電波受信中はLCD表示を停止させることが好ましい。停止により時刻情報を表示できないが、電波状態が良ければ数分間の停止で済むので、受信時刻をユーザーが就寝している深夜に設定していれば大きな問題とはならない。
【0088】
このような電波修正時計において本システムを導入する場合、停止時にはLCDチップ24へのクロック信号CKの供給を停止することで実現できる。これにより、受信中は、
LCDチップ24は動作を停止するので、LCD50、LCDドライバー48から出力されるノイズはもちろん、CK自体によるノイズ発生も抑えることが出来る。具体的には、CPU40はバッファ22に対し“H”状態の停止信号STを出力し、バッファ22の出力を一定出力に固定する。
【0089】
CK停止中はLCDチップ24の入力側のフローティングを防ぐため、オープン状態では無く“H”もしくは“L”の固定電位が出力される。
【0090】
なお、CKの停止によりLCDチップ24での時刻計時が継続できなくなるが、受信開始前にLCDチップ24からマイコンチップ10に時刻データ(時刻カウンタTK30の内容)を送信しておき、受信終了後に受信成功いかんにかかわらずマイコンチップ10より時刻をLCDチップ24に再度送信し、その時刻データを基に時刻表示を行い、計時を継続すれば、問題無い。
【0091】
なお、この場合、受信に成功すれば標準電波より取得した時刻が、失敗した場合はチップ24より送信した時点の時刻に受信に要した時刻を補正してLCDチップ24に出力される。
【0092】
なお、CKを停止することにより発振停止検出回路12によるシステムリセットがかかってしまい、保持データを消失する恐れがあるため、この実施形態では、発振停止検出回路12によるシステムリセットを禁止しておくことが好ましい。この場合、LCDチップ24のシステムリセットは、マイコンチップ10からの制御信号により行うこととなる。
【0093】
発振停止検出回路12によるシステムリセットを禁止しておけば、時刻カウンタTK30のデータは保持されるので、先ほどの受信失敗の場合には、受信に要した時間をマイコンチップ10より受信し、保持している時刻カウンタTK30のデータに加算することで、LCDチップ24による計時再開が可能となる。
【0094】
図8(c)の電波受信状態においては、もとのバッファ22においてその出力が停止しているので、PSTの状態については不問である。普通には、図8(b)と同じ“H”状態が維持される。
【0095】
図8(d)は受信終了時の状態であり、上記の如くマイコンチップ10より時刻データを得た後、1Hzクロックにより時刻計時を再開する。
【0096】
この状態では、まだPSが継続しているので、PSTは“H”が出力され、クロックジェネレータCG34は動作停止を継続する。
【0097】
図8(e)はPS解除時の状態を示したものである。SEL,ST、PSTとも“L”が選択され、CKとして256Hzが出力され、クロックジェネレータCG34は動作を再開し、LCD表示が再開される。
【0098】
もちろん、実施形態としては図8の流れに限定されない。
【0099】
例えば、PS状態に入らない場合は、(a)→(c)→(e)の流れになり、CKは256Hz(通常)と電位固定(受信中)の状態の変化となり、受信中のみLCD表示は全消灯となる。
【0100】
逆に、PS中に受信しない場合は、(a)→(b)→(e)の流れになり、CKは256Hz(通常)と1Hz(PS中)の状態の変化となり、PS中のみLCD表示は全消灯
となる。
【0101】
以上説明したように、本発明によればシステムの消費電力削減とシステムの安定的な制御の双方が実現出来る。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】本発明による電子機器の第1の実施例を示すブロック図である。
【図2】制御信号を作成する回路の例を示した図である。
【図3】論理周波数調整回路の第1の実施例回路である。
【図4】図3の実施例における波形図である。
【図5】論理周波数調整回路の第2の実施例回路である。
【図6】本発明の第2実施例の一部分を示したブロック図である。
【図7】従来の計時機能を有する電子機器用の電子回路のブロック図である。
【図8】本実施例の時計の各状態における制御信号や回路の動作状態をまとめた図である。
【符号の説明】
【0103】
10 第1の半導体チップチップ
12 発振停止検出回路
16 発振回路
18 分周回路
20 論理周波数調整回路
22 分周信号出力を第2のチップに送る手段
24 第2の半導体チップチップ
32 計時部
44 液晶駆動部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発振回路と、該発振回路の発振出力信号を分周する分周回路と、
該分周回路の分周比を制御することで発振回路の論理周波数調整を実施する論理周波数調整回路と、
該論理周波数調整回路により調整された分周信号を出力する分周信号出力部と、
を有する制御回路部と、
前記論理周波数調整回路により調整された前記分周回路の出力する分周信号を入力してカウントし計時を実施する計時カウンタと、
該計時カウンタのデータを入力し、表示手段へ該データの内容を表示する表示駆動手段と、
を有する表示駆動部と、
を有することを特徴とする電子機器用回路。
【請求項2】
前記表示駆動部は、前記分周信号を入力して前記表示駆動手段の駆動制御用信号を作成する駆動信号作成回路を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の電子機器用回路。
【請求項3】
前記駆動信号作成回路は、前記分周信号を逓倍して前記駆動制御用信号を作成する
ことを特徴とする請求項2に記載の電子機器用回路。
【請求項4】
前記論理周波数調整回路は、複数のトグル型フリップフロップを有し、
該論理周波数調整は所定の該トグル型フリップフロップを所定周期で強制セットもしくはリセットすることで実施され、
かつ該所定の該トグル型フリップフロップを少なくとも2つの第1と第2のグループに分け、該第1のグループのフリップフロップと該第2のグループのフリップフロップとを別々の異なるタイミングで強制セットもしくはリセットしたこと
を特徴とする請求項1もしくは3のいずれか1つに記載の電子機器用回路。
【請求項5】
前記制御回路部は
前記表示駆動手段と前記駆動信号作成回路を停止させる停止信号を出力すると共に、
前記表示駆動手段の駆動時よりも長周期の分周信号を前記表示駆動部に出力するように制御する
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1つに記載の電子機器用回路。
【請求項6】
前記制御回路部は、分周信号出力部からの出力を停止可能に構成されている
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1つに記載の電子機器用回路。
【請求項7】
前記表示駆動部は、前記分周信号の入力の有無を検出する発振停止検出回路を有し、
該発振停止検出回路の出力信号により、前記表示駆動部の初期化を実施する
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1つに記載の電子機器用回路。
【請求項8】
前記制御回路部は、前記表示駆動部に対して表示用データを出力する表示データ出力部と、
前記表示駆動部に対する制御信号を出力する表示制御信号出力部を有し、
前記表示駆動手段は、前記表示データ出力部の出力する表示用データと、
表示制御信号出力部の出力する制御信号を入力し、
前記表示手段へ該データの内容を表示する
ことを特徴とする請求項1から7のいずれか1つに記載の電子機器用回路。
【請求項9】
前記表示駆動部は、内部でのイベント発生時に制御回路部に対しイベント発生とその発生理由を伝える信号を出力する
ことを特徴とする請求項1から8のいずれか1つに記載の電子機器用回路。
【請求項10】
前記駆動制御部と前記表示駆動部は個別の半導体装置として形成される
ことを特徴とする請求項1から9のいずれか1つに記載の電子機器用回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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