説明

電子機器

【課題】追加部材を設けることができつつも、筐体内に追加部材を設けるためのスペースをなくすることができ、筐体の小型化ができる電子機器を得る。
【解決手段】壁面内に埋め込まれる箱型の本体2と、該本体2の前面に取り付けられるカバー3とからなる電子機器1において、前記本体2は、下壁に設けられ、オプション部材6が本体2内から挿入される開口部2bと、該開口部2bの近傍に設けられ、前記オプション部材6の上端部に形成した係止部6i、6kが係止する本体係止部2d、2fとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電子部材を有する電子機器 、例えば、戸建の住宅又は集合住宅の各戸に設置される住宅情報盤やドアホン等の電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、住宅情報盤やドアホン等の電子機器において、電子機器の標準の機能に加えて、オプション的に機能を追加したり、又は異なる機能を有する別部材を電子器機器の筐体内に追加して設けたりする場合がある。例えば、特開平2002−281489号公報(特許文献1)には、テレビドアホンの筐体において、玄関子機で撮影された画像を録画する録画ユニットを、後付けで、筐体内に装着できる構造が開示されている。又、登録実新案第3031590号公報(特許文献2)には、壁面内に埋め込まれる玄関子機において、別部材として、映像アダプタを、子機の筐体に装着できる構造が開示されている。
【特許文献1】特開平2002−281489号公報
【特許文献2】登録実新案第3031590号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記従来例は何れも、筐体本体へのオプション部材又は別部材等の追加部材の装着構造を開示するものであるが、この場合、当然、追加部材を筐体内に設けることを前提として筐体は設計されており、即ち、最初から追加部材を設けるためのスペースが用意されている。このため、追加部材を設けない場合にも、追加部材を設けるためのスペースが必要であり、筐体の小型化が困難であった。
【0004】
前記の事情に鑑み、この発明は、追加部材を設けることができつつも、筐体内に追加部材を設けるためのスペースをなくすことができ、筐体の小型化ができる電子機器を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は、壁面内に埋め込まれる箱型の本体と、該本体の前面に取り付けられるカバーとからなる電子機器において、前記本体は、該本体の下壁に設けられ、オプション部材が本体内から挿入される開口部と、該開口部の近傍に設けられ、前記オプション部材の上端部に形成した係止部が係止する本体係止部とを備えたことを特徴とする電子機器、である。
【0006】
又、この発明は、前記電子機器であって、前記開口部の上部に前記本体の底壁からボスを立設し、前記オプション部材を該ボスに係止すると共に、ネジ止めして固定することを特徴とする電子機器、である。
【0007】
又、この発明は、前記電子機器であって、前記オプション部材の背面には、前記オプション部材の前記開口部への挿入をガイドする、前記ボスの外径と略等しい内径のガイド溝が形成されていることを特徴とする電子機器、である。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、オプション部材を、本体の内部から下壁に形成した開口部を通して本体の外部に露出させて設けることができ、本体内部にオプション部材を設けるスペースがなくとも、オプション部材を追加して設けることができる。従って、この発明によれば、電子機器において、追加部材を設けることができつつも、箱型の本体内に追加部材を設けるためのスペースをなくすることができ、本体の小型化ができ、延いては本体とカバーからなる筐体の小型化ができる。
【0009】
更に、この発明によれば、オプション部材と本体に互いに係合する係止部をそれぞれ設けているので、オプション部材を本体の開口部より垂下した状態で係止することができ、手を離しても本体の開口部から落ちることがなく、そして、本体の係止部を底壁に立設したボスとし、オプション部材の係止部をボスにネジ止めすることで、オプション部材を本体に固定することができ、又オプション部材の挿入をガイドするボスの外径と略等しい内径のガイド溝をオプション部材に設けることで、オプション部材の装着の際に本体の開口部への挿入を容易にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
この発明の電子器機器の実施の形態を図1乃至6に基づき説明する。尚、図1(a,b,c)は、この発明の電子機器の一例である住宅情報盤を示し、カバーが本体に装着され、且つオプション部材が本体に装着された状態における正面図、側面図及び底面図であり、図2(a,b)は、同上の本体を示し、オプション部材が装着されていない状態における本体内面側の斜視図であり、図3(a,b,c)は、同上のオプション部材を示し、その正面図、背面(ガイド溝側)図及び(a)のC−C線部断面図であり、図4(a,b)は、同上の本体を示し、オプション部材の挿入の前後を示す本体内面側の正面図であり、図5(a,b,c)は、同上の本体を示し、オプション部材の開口部への挿入から装着までを示す図4(a)のV−V線部に相当する部分の断面図であり、図6(a,b)は、同上のオプション部材を示し、その平面図及び底面図である。
【0011】
図1乃至6において、1は、この発明の電子機器の一例である住宅情報盤であある。尚、住宅情報盤は、戸建の住宅又は集合住宅の各戸の戸内に設置され、玄関に設置されるドアホン子機や集合住宅における集合玄関機等の戸外に設置される機器と接続されて用いられるものである。
【0012】
住宅情報盤1は、図1(a,b,c)に示す様に、箱型の本体2とその前面に取り付けられるカバー3とからなり、居室の壁面に設けられるものであるが、カバー3が壁面より露出し、本体2が壁面内に埋め込まれて設けられるタイプのものである。又、本体2が、それを背面側より収容する図示しない埋め込み用ボックス(スイッチボックスともいう)を介して壁面内に設けられるタイプのものである。
【0013】
住宅情報盤1は、そのカバー3の表面側に表示モニタ4や通話釦5等が設けられており、ドアホン子機や集合玄関機等の前の訪問者を表示モニタ4により映像で確認したり、その訪問者と通話釦5を押すことで通話できるようになっている。
【0014】
6は、オプションユニット(オプション部材)であり、住宅情報盤1の標準機能にオプション機能を付加するものであり、ユーザの希望等、必要に応じて増設されるものである。このオプションユニット6の内容としては、例えば、録画機能、コール釦機能、水漏れ機能等がある。
【0015】
オプションユニット6は、本体2の下壁2aより外部に垂下する如く設けられている。そして、図示は省略するが、このオプションユニット6は、本体2が壁面に埋設された状態において、壁面内部に形成される下壁2aの下方(具体的には下壁2aと図示しない埋め込み用ボックスの下壁との間)のデッドスペースに配置されることとなる。
【0016】
本体2には、図2(a,b)に詳細に示す様に、その下壁2aに、オプションユニット6を本体2内より挿通又は挿入するための開口部2bが形成されている。又、その底壁2cに、開口部2bの近傍であってその上部に位置する第1の本体側係止部2dを外周面上部に有すると共に、底壁2cから立設されるオプション用止めボス2eが設けられている。更に、下壁2aの内面には開口部2bの本体2の表側の開口縁部に第2の本体側係止部2fが設けられている。
【0017】
オプションユニット6は、図3(a,b,c)に詳細に示す様に、そのケーシング6aの上端面6dに、本体2にオプションユニット6を装着した状態で、本体2におけるオプション用止めボス2eのネジ孔と相対する止めネジ挿通孔6fを有するネジ止め部6eが設けられている。このネジ止め部6eは、その裏面側(ケーシング6aの裏面6c側)に、上端に円弧状の裏面側フック部6gを有し、本体2のオプション用止めボス2eを収容する収容凹部6hを有している。円弧状のリブで形成されるフック部6gは、その内面にオプション用止めボス2eの外径と略等しい内径を有し、第1の本体側係止部2dが内接する第1のオプション側係止部6iを有している。ケーシング6aの裏面6c側には、その上下方向に延在し、本体2のオプション用止めボス2dの外径と略等しい内径を有するガイド溝6jが形成されている。このガイド溝6jは、上端はネジ止め部6eの裏面側の収容凹部6hに至りそれと連続して設けられており、下端はケーシング6aの下端に至り、又その下端側には下端に向けて径が徐々に大きくなる拡径部6mが形成されている。ガイド溝6jにより、オプションユニット6の開口部2bへの挿入時に位置ずれが防止できる様にガイドされる。ケーシング6aの表面6b側にはその上端縁に表面側フック部6pが突設されており、表面側フック部6pはその下面に本体2の第2の本体側係止部2fに上側から係合する第2のオプション側係止部6kを有する。尚、6nは、ネジ止め部6eの表面側(ケーシング6aの表面側6b)に設けられ、ネジ挿通孔6fに至るドライバー挿入部である。
【0018】
そして、オプションユニット6を本体2に装着する際には、図4(a,b)に示す様に、本体2の内側からオプションユニット6を開口部2bに向けて挿入して装着する。
【0019】
具体的には、先ず、図5(a)に示す様に、オプションユニット6を手前に傾けて、ケーシング6aの表面6b側の下端縁を開口部2b内に収めつつ、ケーシング6aの裏面6c側に形成されているガイド溝6jの下端側の拡径部6m内にオプション止め用ボス2eをあてがう。この際、ガイド溝6jの拡径部6mの内径はオプション止め用ボス2eの外径よりも若干大きく形成されているので、拡径部6m内にオプション止め用ボス2eをあてがい易い。次いで、図5(b)に示す様に、オプションユニット6を下方に、即ち本体2外に押しやり、ケーシング6aを開口部2bに挿通させる。この際、ガイド溝6jの内径はオプション止め用ボス2eの外径とほぼ同じに形成されているので、ガイド溝6jとオプション用止めボス2eによって方向が規制されながら、ケーシング6aは下方にスライドすることとなる。そして、図5(c)に示す様に、更にオプションユニット6を下方に押しやり、ガイド溝6jに連続して設けられるネジ止め部6eの裏面側の収容凹部6hにオプション止め用ボス2eを収容し、ネジ止め部6eの裏面側の上端のフック部6g内面の第1のオプション側係止部6iにオプション止め用ボス2eの外周面上部の第1の本体側係止部2dを内接させて、両係止部6i、2dを係合させ、且つ、ケーシング6aの表面側のフック部6p下面の第2のオプション側係止部6kを下壁2aの第2の本体側係止部2fに上側から当接させて、両係止部6k、2fを係合させる。これにより、オプションユニット6は開口部2bより本体2外に垂直に懸架されると共に、且つ前後(表裏)左右に位置が規制された状態で本体2に係止される。その後、ネジ止め部6eのネジ挿通孔6fにネジを挿通し、オプション止め用ボス2dのネジ孔にネジを螺合することで、オプションユニット6を本体2に固定する。
【0020】
前記の様に、住宅情報盤1においては、オプションユニット6のケーシング6aの殆どを本体2の下壁2aより外部の埋め込みボックスとの間の空きスペースに位置させて設けることができる。
【0021】
従って、住宅情報盤1によれば、オプションユニット6を追加して設けることができつつも、本体2内にそれを設けるためのスペースをなくすることができるので、本体2を小型化することができ、延いては本体2とカバー3からなる筐体を小型化することができる。
【0022】
ここで、オプションユニット6について詳細な説明を行う。図6はオプションユニット6の上面図と下面図である。オプションユニット6は、内部にプリント基板6rを有し、この基板に前述の録画機能、コール釦機能、水漏れ機能などの標準機能にはない、追加機能を行うための回路が設けられている。また、オプションユニット6の上端面6d側には、内部配線を接続するためのコネクタ端子6sが設けられ、下端面6t側には、外部配線を接続するためのコネクタ端子6uが基板6rに設けられている。
【0023】
次にオプションユニット6に配線を結線する手順について説明する。まず、壁面内に埋め込まれた本体2の開口部2bから外部配線を本体2側に引き込み、その外部配線にコネクタ付きのリード線を圧着する。そして、そのリード線のコネクタを、コネクタ端子6uに接続する。接続がすんだら、外部配線やリード線を、再び開口部2bを通して、本体の外側に押しやる。この際、開口部2bは、図1(b)に示すように、下壁2aだけでなく、側壁方向にもまたがって開口しているので、外部配線を引き出したり、引き込む作業が容易である。その後、内部配線のコネクタをコネクタ端子6sに接続し、あとは、上述したように、開口部2bにオプションユニット6を挿入する。
【0024】
本発明は、以上の通りであるが、住宅情報盤の本体は、埋込ボックス内に取り付ける代わりに、たる木を使用した木枠方式の取り付けによって、壁面内に埋め込むようにしてもよく、必ずしも、埋込ボックスが必要なわけではない。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】この発明の電子機器の一例である住宅情報盤を示し、カバーが本体に装着され、且つオプション部材が本体に装着された状態における、(a)が正面図、(b)が側面図、(c)が底面図である。
【図2】同上の本体を示し、(a)及び(b)何れも、本体内面側の斜視図であり、オプション部材が装着されていない状態を示す図である。
【図3】同上のオプション部材を示し、(a)が正面図、(b)が背面(ガイド溝側)図、(c)が(a)のC−C線部断面図である。
【図4】同上の本体を示し、(a)及び(b)何れも本体内面側の正面図であり、オプション部材を開口部へ挿入の前後の状態を示す図である。
【図5】同上の本体を示し、(a)乃至(c)何れも図4(a)のV−V線部に相当する部分の断面図であり、オプション部材の開口部への挿入から装着までを示す図である。
【図6】同上のオプション部材を示し、(a)が平面図、(b)が底面図である。
【符号の説明】
【0026】
1 住宅情報盤 2 本体 2a 下壁
2b 開口部 2c 底壁 2d 第1の本体側係止部
2e オプション用止めボス 2f 第2の本体側係止部
3 カバー 4 表示モニタ 5 通話ボタン
6 オプションユニット 6a ケーシング 6b 表面
6c 裏面 6d 上端面 6e ネジ止め部
6f 止めネジ挿通孔 6g 裏面側フック部
6h 収容凹部 6i 第1のオプション側係止部
6j ガイド溝 6m 拡径部 6k 第2のオプション側係止部
6n ドライバ挿入部 6p 表面側フック部
6r 基板 6s コネクタ端子
6u コネクタ端子 6t 下端面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁面内に埋め込まれる箱型の本体と、該本体の前面に取り付けられるカバーとからなる電子機器において、
前記本体は、該本体の下壁に設けられ、オプション部材が本体内から挿入される開口部と、該開口部の近傍に設けられ、前記オプション部材の上端部に形成した係止部が係止する本体係止部とを備えたことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記開口部の上部に前記本体の底壁からボスを立設し、前記オプション部材を該ボスに係止すると共に、ネジ止めして固定することを特徴とする請求項1記載の電子機器。
【請求項3】
前記オプション部材の背面には、前記オプション部材の前記開口部への挿入をガイドする、前記ボスの外径と略等しい内径のガイド溝が形成されていることを特徴とする請求項2記載の電子機器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2008−252575(P2008−252575A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−91888(P2007−91888)
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【出願人】(000233826)能美防災株式会社 (918)
【Fターム(参考)】