説明

電子機器

【課題】標準電波の受信動作を含む各種処理の動作制御をより簡便に実行することができる。
【解決手段】時刻を計時する計時部201と、所定の時刻に関する情報を記憶する時刻記憶部202と、計時部201によって計時される時刻と、時刻記憶部202によって記憶された情報にかかる時刻とを比較し、両時刻が一致した場合に一致信号を出力する比較部203と、比較部によって出力された一致信号の入力があった場合に、所定の機能を実現するための所定の処理を実行する処理部204と、時刻記憶部202に記憶された所定の時刻に関する情報を変更することによって所定の処理の実行を制御する処理実行制御部205と、を備え、処理実行制御部205が、時刻記憶部202に記憶された各種処理の実行開示時刻情報のみの変更によって各種処理の動作を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、計時手段を備え、各種機能を実現する電子機器に関し、特に腕時計などを含む携帯型の電子機器などに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、電波修正時計において、定時受信をおこなうとともに、ユーザーの使用状態によってパワーセーブ状態にして、電池寿命を延ばす技術が存在する(たとえば下記特許文献1参照。)。特許文献1では、たとえば図7において、受信時間記憶回路(401)と時刻カウンタ(402)と受信時間比較回路(403)を備えるとともに、在庫状態比較回路(709)を備えている。
【0003】
このような回路構成において、受信時間記憶回路(401)と時刻カウンタ(402)の数値が一致することによって、受信時間比較回路(403)から出力される信号(E)と、在庫状態比較回路(709)から出力される信号(F)を受信開始判定回路(410)に入力し、それらの信号によって標準電波の受信を開始するか否かを判定し、信号(E)と信号(F)の反転信号がアンドの場合に受信回路(711)が作動するようになっている。また、パワーセーブ状態の解除時の強制受信は、強制受信開始回路(713)により実現していた。
【0004】
【特許文献1】特開平7−159555号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1にかかる従来技術にあっては、在庫状態であれば、受信開始判定回路(410)によって、かならず受信回路(711)は作動しないようになっている。それにもかかわらず、受信時間比較回路403において、無用な比較処理がなされているという問題点があった。
【0006】
また、上記特許文献1にかかる従来技術にあっては、強制受信を開始するための強制受信開始回路(713)が別途必要であるばかりでなく、さらに、仕様変更ごとに回路構成が複雑になってしまうという問題点があった。
【0007】
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するため、標準電波の受信動作を含む各種処理の動作制御をより簡便に実行することができる電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、この発明にかかる電子機器は、時刻を計時する計時手段と、所定の時刻に関する情報を記憶する時刻記憶手段と、前記計時手段によって計時される時刻と、前記時刻記憶手段によって記憶された情報にかかる時刻とを比較し、両時刻が一致した場合に一致信号を出力する比較手段と、前記比較手段によって出力された一致信号の入力があった場合に、所定の機能を実現するための所定の処理を実行する処理手段と、前記時刻記憶手段に記憶された所定の時刻に関する情報を変更することによって前記所定の処理の実行を制御する処理実行制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
また、この発明にかかる電子機器は、上記発明において、前記処理実行制御手段が、前記時刻記憶手段に記憶された所定の時刻に関する情報を、前記比較手段において前記一致信号が出力されない情報に変更することを特徴とする。
【0010】
また、この発明にかかる電子機器は、上記発明において、前記処理実行制御手段が、前記時刻記憶手段に記憶された所定の時刻に関する情報を、前記計時手段において計時することができない時刻となるように変更することを特徴とする。
【0011】
また、この発明にかかる電子機器は、上記発明において、前記処理実行制御手段が、前記時刻記憶手段に記憶された所定の時刻に関する情報を、前記計時手段においてすでに計時した過去の時刻となるように変更することを特徴とする。
【0012】
また、この発明にかかる電子機器は、上記発明において、前記処理手段が、時刻情報を含む標準電波を受信する受信手段と、前記計時手段によって計時されている計時時刻を前記標準電波に基づいて修正する時刻修正手段と、を含み、前記処理実行制御手段が、前記時刻記憶手段に記憶された情報にかかる時刻に、前記受信手段による受信処理と前記時刻修正手段による時刻修正処理を実行させることを特徴とする。
【0013】
また、この発明にかかる電子機器は、上記発明において、所定の条件に基づいて、通常の動作状態から所定の機能を実現するための前記処理手段の所定の処理の実行を停止する節電状態へと移行するように、節電制御信号を処理実行制御手段へ出力する節電状態制御手段を備え、前記処理実行制御手段が、前記節電制御信号が入力された場合に、前記時刻記憶手段に記憶された所定の時刻に関する情報を変更することを特徴とする。
【0014】
また、この発明にかかる電子機器は、上記発明において、前記処理実行制御手段が、前記節電状態が解除された場合に、解除された時刻に所定の時刻を加算した時刻となるように前記時刻記憶手段に記憶された所定の時刻に関する情報を変更することを特徴とする。
【0015】
また、この発明にかかる電子機器は、上記発明において、前記処理手段が、前記所定の時刻になったことを告知する告知手段を含むことを特徴とする。
【0016】
また、この発明にかかる電子機器は、上記発明において、前記告知手段が、発音手段、振動手段、表示手段を含むことを特徴とする。
【0017】
また、この発明にかかる電子機器は、上記発明において、前記処理実行制御手段が、前記時刻記憶手段に記憶された所定の時刻に関する情報を変更する際に、変更前の情報を所定の記憶領域に保存することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、各種処理の実行開始時刻情報のみの変更によって各種処理の動作を制御するので、標準電波の受信動作を含む各種処理の動作制御をより簡便に実行することができる電子機器が得られるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下に添付図面(図1〜図11)を参照して、この発明による電子機器の実施の形態を詳細に説明する。
【0020】
(電子機器の構成)
図1は、この発明の実施の形態にかかる電子機器のハードウエア構成を示す説明図である。図1において、電子機器本体には、マイコンIC100と、RAM101と、ROM102と、モータ駆動回路103と、モータ104(104a、104b、104c)と、輪列105(105a、105b、105c)と、基準信号発生部106と、カウンタ部107と、アンテナ108と、同調回路109と、受信回路110と、スイッチ部111と、スイッチ制御回路112と、ソーラセル113と、二次電池114と、充電制御回路115と、液晶画面116と、液晶駆動回路117と、LED118と、LED駆動回路119と、アラーム120と、アラーム駆動回路121と、バイブレータ122と、を備える。
【0021】
マイコンIC100は、電子機器本体の全体を制御するほか、各種の構成部、回路を個別に演算制御する。RAM101は、時刻情報あるいはカレンダー情報を含む計時データなどの各種データを記憶している。また、ROM102は、各種の制御プログラムを記憶している。
【0022】
モータ駆動回路103は、独立した3つのモータ104(104a、104b、104c)を駆動し、輪列105(105a、105b、105c)を介して、図示を省略するそれぞれの指針(日板、曜板を含む)を別個独立に駆動する。モータ104は3つに限らず、電子機器の機能などに応じて2つ以下でもよく、4つ以上であってもよい。
【0023】
基準信号発生部106は、たとえば発振回路から構成され、計時処理の基準となる所定の周波数を有する信号を発生する。また、カウンタ部107は、基準信号発生部106から発生される所定の周波数を有する信号をマイコンIC100に対して出力する。
【0024】
同調回路109は、アンテナ108と同調をとり、たとえばコンデンサの容量を切り替えるなどによって、60kHz(米国)、77.5kHz(独国)、40kHz、60kHz(日本)などの周波数にアンテナ108を同調する。また、受信回路110は、アンテナ108によって受信された信号から標準電波を検出し、マイコンIC100に対して出力する。
【0025】
スイッチ部111は、操作者の操作指示を入力する。具体的には、りゅうず、操作ボタンなどによって構成される。スイッチ制御回路112は、スイッチ部111からの信号に基づいて、操作者からの操作指示に関する入力をマイコンIC100に送信する。
【0026】
充電制御回路115は、ソーラセル113によって受光された光を電力に変換し、二次電池114に蓄積する。また、充電制御回路115は、二次電池114の電圧(値)を検出する電圧検出機能、ソーラセル113が発電状態か非発電状態かを検出する発電検出機能などを備える。そして、これらの機能によって検出結果に関する信号をマイコンIC100に対して出力する。
【0027】
液晶駆動回路117は、液晶画面116を駆動して各種情報を表示させる。液晶画面116および液晶駆動回路117は、具体的にはたとえば強誘電性液晶または電気泳動表示素子などである。これらは、同一内容の画面を表示している間は電力を消費しないので、好ましい。
【0028】
また、LED駆動回路119は、LED118を駆動してバックライトとして液晶画面116を照明したり、警告光を出力したりする。LED118の代わりに、EL(Electroluminescence)、ランプなどを用いてもよい。またアラーム駆動回路121は、アラーム120が搭載する図示を省略する圧電素子を駆動して、アラーム(ブザー)120を出力する。その際、アラーム駆動回路121は、告知の種類によって、音の種類、高さ、音量などを変えて出力する。さらに、振動を発生するバイブレータ122を備えていてもよい。
【0029】
図2および図3は、この発明の実施の形態にかかる電子機器の機能的構成を示す説明図である。図2は、所定の処理として時刻修正処理の場合の機能的構成を示している。図2において、電子機器は、計時部201と、時刻記憶部202と、比較部203と、処理部204と、処理実行制御部205と、節電状態制御部206と、所定記憶領域(退避領域)207と、入力部208と、を含む構成となっている。
【0030】
計時部201は、現在時刻(具体的にはたとえば日本時間、UTCなどの現地時間にかかる時刻)その他の時刻(または時間)を計時し、計時した現在時刻に関する情報を比較203へ出力する。計時部201は計時した現在時刻に関する情報を、処理実行制御部205へ出力するようにしてもよい(処理実行制御部205では、入力された現在時刻に関する情報に基づいて、時刻記憶部202に記憶されている時刻に関する情報を変更する場合もある)。計時部201は、具体的には、たとえば図1に示した基準信号発生部106およびカウンタ部107によってその機能を実現することができる。
【0031】
時刻記憶部202は、所定の時刻(たとえば時刻修正開始時刻)に関する情報を記憶する。時刻記憶部202は具体的には、たとえば図1に示したRAM101、ROM102などによってその機能を実現する。
【0032】
比較部203は、計時部201によって計時される時刻と、時刻記憶部202によって記憶された情報にかかる時刻とを比較し、両時刻が一致した場合に一致信号を処理部204へ出力する。具体的には、たとえば図1に示したマイコンIC100が、RAM101、ROM102に記憶されたプログラムなどを実行することによってその機能を実現する。また、比較部203は、計時部201から出力された情報を入力し、時刻記憶部202から抽出した情報を抽出し、両情報を比較する、図示を省略する比較回路などによってその機能を実現するようにしてもよい。
【0033】
処理部204は、比較部203によって出力された一致信号の入力があった場合に、所定の機能を実現するための所定の処理(たとえば時刻修正処理)を実行する。処理部204は、具体的には、たとえば図1に示したマイコンIC100が、RAM101、ROM102に記憶されたプログラムなどを実行することによってその機能を実現する。処理部204の詳細については後述する。
【0034】
処理実行制御部205は、たとえば入力部208によって受け付けられた受信禁止の指示などの各種操作指示の入力や、節電状態制御部206からの節電制御信号の入力などに基づいて、時刻記憶部202に記憶された所定の時刻に関する情報を変更することによって、処理部204における各種所定の処理(たとえば時刻修正処理)の実行を制御する。処理実行制御部205は、具体的には、たとえば図1に示したマイコンIC100が、RAM101、ROM102に記憶されたプログラムなどを実行することによってその機能を実現する。
【0035】
処理実行制御部205は、時刻記憶部202に記憶された所定の時刻に関する情報を、比較部203において一致信号が出力されない情報に変更することで、各種所定の処理の実行を制御する。比較部203において一致信号が出力されない情報であればいかなる情報であってもよい。
【0036】
たとえば、処理実行制御部205は、時刻記憶部202に記憶された所定の時刻に関する情報を、計時手段において計時することができない時刻となるように変更することで、比較部203において一致信号が出力されないようにすることができる(たとえば、後述する図4または図5を参照)。また処理実行制御部205は、前記時刻記憶部202に記憶された所定の時刻に関する情報を、計時部201においてすでに計時した過去の時刻(あるいは遠い未来の時刻)となるように変更することで、比較部203において一致信号が出力されないようにすることができる(たとえば、後述する図6を参照)。
【0037】
処理部204は、標準電波受信部211と、時刻修正部212と、を含む構成となっている。ここで標準電波受信部211は、時刻情報を含む標準電波を受信する。標準電波受信部211は、具体的には、たとえば図1に示した受信回路110などによってその機能を実現する。すなわち標準電波受信部211は、たとえば増幅部、フィルタ部、検波部、AD変換部、ゲインコントロール部などを含む構成となっている。これらの各構成部は従来技術によって実現可能であるので、その説明は省略する。
【0038】
時刻修正部212は、計時部201によって計時されている計時時刻を標準電波に基づいて修正する。したがって、標準電波受信部211が標準電波の受信に失敗した場合は、計時時刻の修正はおこなわない。時刻修正部212は、具体的には、たとえば図1に示したマイコンIC100が、RAM101、ROM102に記憶されたプログラムなどを実行することによってその機能を実現する。
【0039】
そして、処理実行制御部205は、時刻記憶部202に記憶された情報にかかる時刻に、標準電波受信部211による受信処理と時刻修正部212による時刻修正処理を実行させる。ここで、処理実行制御部205は直接、標準電波受信部211、時刻修正部212に対して、処理実行開始信号を送信するのではなく、処理実行制御部205が設定し、時刻記憶部202に記憶した時刻になったかを比較部203が計時部201の計時時刻と比較し、その比較結果に基づいた時刻になったかを比較部203が比較し、一致信号を処理部204へ出力する。標準電波受信部211はその一致信号の入力があった場合に、標準電波の受信処理を開始する。そして、標準電波の受信が成功した場合に、時刻修正部212が時刻の修正処理をおこなう。
【0040】
節電状態制御部206は、所定の条件に基づいて、通常の動作状態から所定の機能を実現するための処理部204の所定の処理の実行を停止する節電状態へと移行するように、節電制御信号を処理実行制御部205へ出力する。
【0041】
所定の条件とは、たとえば図1に示したソーラセル113による発電がなされなくなった場合や、二次電池114の充電残量が所定値以下となった場合などである。これらは、充電制御回路115による二次電池114への充電状況や二次電池の電圧値の測定結果に基づいて判断することができる。
【0042】
処理実行制御部205は、節電制御信号が入力された場合に、時刻記憶部202に記憶された所定の時刻に関する情報を変更する。また、処理実行制御部205は、節電状態が解除された場合に、解除された時刻に所定の時刻を加算した時刻となるように時刻記憶部202に記憶された所定の時刻に関する情報を変更する。解除された時刻に所定の時刻を加算した時刻とは、後述するように、たとえば次の分の正分であってもよい。すなわち、解除された時刻(復帰時刻)が「5時25分36秒」であれば、次の正分は「5時26分0秒」である(たとえば図7を参照)。
【0043】
所定記憶領域(退避領域)207は、処理実行制御部205による制御に基づいて、時刻記憶部202に記憶された所定の時刻に関する情報を変更する際に変更前の情報を保存する。そうすることによって、時刻記憶部202の時刻に関する情報が変更されている間、変更前の情報を保持し、必要に応じて、当該変更前の情報を時刻記憶部202へ出力することによって、時刻記憶部202において変更前の情報へ復帰させることができる。
【0044】
入力部208は、時刻記憶部202に記憶する時刻に関する情報の入力、変更、削除などを受け付ける。入力部208は、強制受信の指示および受信禁止の指示などの各種操作指示の入力を受け付ける。入力部208は、具体的には、たとえば図1に示したスイッチ部111およびスイッチ制御回路112によってその機能を実現する。
【0045】
図3は、所定の処理として告知処理の場合の機能的構成を示している。図3において、電子機器は、計時部201と、時刻記憶部202と、比較部203と、処理部204と、処理実行制御部205と、所定記憶領域(退避領域)207と、入力部208と、告知部301と、を含む構成となっている。
【0046】
計時部201は、図2と同様に、現在時刻その他の時刻(または時間)を計時し、計時した現在時刻に関する情報を比較部203へ出力する(処理実行制御部205では、入力された現在時刻に関する情報に基づいて、時刻記憶部202に記憶されている時刻に関する情報を変更する場合もある)。時刻記憶部202は、所定の時刻(たとえば告知開始時刻)に関する情報を記憶する。比較部203は、図2と同様に、計時部201によって計時される時刻と、時刻記憶部202によって記憶された情報にかかる時刻とを比較し、両時刻が一致した場合に一致信号を処理部204へ出力する。
【0047】
処理実行制御部205は、たとえば入力部208による告知のオン/オフの指示などの各種操作指示の入力に基づいて、時刻記憶部202に記憶された所定の時刻に関する情報を変更することによって、処理部204における各種所定の処理の実行(たとえば告知処理)を制御する。処理実行制御部205は、時刻記憶部202に記憶された所定の時刻に関する情報を、比較部203において一致信号が出力されない情報に変更することで、各種所定の処理の実行を制御する。
【0048】
処理部204は、比較部203によって出力された一致信号の入力があった場合に、所定の機能を実現するための所定の処理(たとえば告知処理)を実行する。処理部204は、告知部301を含む構成となっている。告知部301は、所定の時刻になったことを告知する、発音部311と、振動部312と、表示部313とを含んでいる。
【0049】
発音部221は、具体的には、たとえば図1に示したアラーム120およびアラーム駆動回路121によってその機能を実現する。振動部222は、具体的には、たとえば図1に示したバイブレータ122によってその機能を実現する。表示部313は、具体的には図1に示した液晶画面216および液晶駆動回路117、LED118およびLED駆動回路119などによってその機能を実現する。
【0050】
また表示部313は、たとえば図1に示したモータ駆動回路103、モータ104、輪列105と、図示を省略する各指針(日板、曜板を含む)および文字板によって表示機能を実現するようにしてもよい。その際、指針の運針方法を変化させるなどの方法によって告知部301としての機能を果たすことができる。
【0051】
ここで、処理実行制御部205は直接、告知部301(発音部311、振動部312、表示部313)に対して、処理実行開始信号を送信するのではなく、処理実行制御部205が設定し、時刻記憶部202に記憶した時刻になったかを比較部203が計時部201の計時時刻と比較し、その比較結果に基づいた時刻になったかを比較部203が比較し、一致信号を処理部204へ出力する。告知部301はその一致信号の入力があった場合に、告知処理(たとえばアラームの発音処理、振動処理、表示処理など)を開始する。
【0052】
所定記憶領域(退避領域)207は、図2と同様に、処理実行部205による制御に基づいて、時刻記憶部202に記憶された所定の時刻に関する情報を変更する際に変更前の情報を保存する。入力部208は、時刻記憶部202に記憶する時刻に関する情報の入力、変更、削除などを受け付ける。また入力部208は、告知のオン/オフの指示などの各種操作指示の入力を受け付ける。
【0053】
(時刻記憶部202および退避領域207のデータ構成)
図4〜9は、時刻記憶部202および退避領域207のデータ構成を示す説明図である。図4において、通常、時刻記憶部(時刻記憶回路)202には、「02:00」、「04:00」の時刻情報が記憶されている。この場合、午前2時0分および午前4時0分に比較部203から一致信号が出力され、処理部204において所定の処理の実行がなされる。
【0054】
そして、処理実行制御部205が、その時刻情報「02:00」および「04:00」を退避領域207へ退避させ、新たな時刻情報として、通常の時刻情報に「24(時)」を加算した数値を更新して記憶する。したがって「02:00」が「26:00」に「04:00」が「28:00」に変更される。計時部201では、「23:59」まで計時(カウント)した後は、「00:00」に戻るため、「24:00」以上になることはない。したがって、数値「24(時)」を加算することによって、比較部203において、計時時刻と一致することはなく、比較部203からの一致信号は出力されない。
【0055】
図5は、現在に計時時刻に「24(時)」を加算する代わりに、現在時刻とは無関係に、計時部201では計時しない数値に変更した状態を示している。すなわち、図5では、図4と同様に、時刻情報「02:00」および「04:00」を退避領域207へ退避させ、新たな時刻情報として、データを空にしたり、特定のデータ「FF:FF」を記憶する。この場合でも、比較部203からは一致信号の出力がなされることはない。
【0056】
図6は、時刻記憶部202に、時刻情報のほかに日付情報もあわせて記憶し、比較部203では、計時部201によって計時された情報を日付も含めて比較する。ここで、通常、毎日同時刻「02:00(午前2時0分)」に処理をおこなうように時刻記憶部202に記憶しておく。そして、処理実行制御部205によって、時刻記憶部202に記憶された情報を退避領域207へ退避させ、時刻記憶部202の情報は、前日より前の日付に変更する。その際、時刻情報は変更せずにそのままでよい。
【0057】
現在時刻が「9月25日、1:59(午前1時59分)」であれば、通常であれば、1分後に、比較部203から一致信号が出力されるが、日にちが1日前(9月24日)であるので、1分後には比較部203から一致信号は出力されない。このように、時刻情報はそのままで、日時情報のみを変更することによって、容易に処理部207からの一致信号の出力を禁止することができる。
【0058】
図7は、退避領域207に時刻情報「02:00」が退避されている状態において、処理禁止解除(復帰)がなされた場合に、復帰時刻(「05:25’36”(午前5時25分36秒)」)を計時部201から取得して、その時刻の次の正分(「05:26’00”」)を時刻記憶部202に記憶する。そうすることによって、特に時刻修正処理(標準電波受信処理)にあっては、最短でかつ効率的に標準電波の自動受信処理を実行することができる。その後、退避領域207に退避してあった時刻情報「02:00」を、上記「05:27’00」に代えて時刻記憶部202に記憶するので、翌日からは再び「02:00」に(時刻修正)処理が実行されることになる。
【0059】
図8は、時刻記憶部202に、時刻(標準電波の受信時刻を含む各種時刻)情報のほかに間隔(標準電波の受信間隔を含む各種間隔)情報を記憶する。そして、時刻情報を変更することなく、間隔情報のみを変更することによって、処理(標準電波の受信処理を含む各種処理)間隔を通常よりも長くすることができる。すなわち、通常、間隔情報が「1日」となっており、この通常状態では、前回の受信から24時間経過したかを計時部201が計時することで、毎日午前2時に処理が実行されるが、間隔情報を「1日」から「7日(1週間)」に変更することによって、計時部201が24時間×7日=168時間経過した後でなければ、比較部203は一致信号を出力しないようにすることができる。このように、間隔情報のみを変更することによって、容易に処理間隔が長くなるように制御することができる。
【0060】
図9は、通常、毎日午前2時と午前4時の2回、所定の処理(標準電波の受信処理を含む各種処理)を実行する。処理実行制御部205は、通常の時刻情報(「02:00」、「04:00」)とは別の時刻情報(「20:00」、「21:00」、「22:00」の3回分)を追加して記憶することによって、時刻情報の処理回数を2回から5回に増やすように時刻記憶部202を変更することができる。これによって、1日当たりの処理頻度を上げることができる。図示は省略するが、通常の時刻情報を削除することによって、1日の処理頻度を下げることもできる。
【0061】
(処理実行制御部の動作内容)
つぎに、処理実行制御部205の動作内容について説明する。図10および図11は、処理実行制御部205の動作内容を示すフローチャート(その1)である。図10のフローチャートにおいて、処理実行制御部205は、節電状態制御部206や入力部208からの時刻修正処理などの処理を中止する指示があったか否かを判断する(ステップS1001)。
【0062】
ステップS1001において、処理を中止する指示があるのを待って、指示があった場合(ステップS1001:Yes)は、時刻記憶部202に記憶されている時刻情報を、退避領域207へ退避させる(ステップS1002)。そして、当該時刻情報を、あらかじめ定められた数値(上記図4から図9を参照)に置き換えるよう時刻変更処理をおこなう(ステップS1003)。
【0063】
その後、退避領域207へ退避した時刻情報の復帰指示(たとえば、節電状態から通常状態に移行した場合など)があったか否かを判断する(ステップS1004)。そして、復帰指示があるのを待って、復帰指示があった場合(ステップS1004:Yes)は、退避領域207へ退避していた時刻情報を時刻記憶部202に復帰させ(ステップS1005)、その後、ステップS1001へ戻る。以後は、ステップS1001〜S1005の各ステップの処理を繰り返しおこなう。
【0064】
図11のフローチャートは、処理中止から復帰した際の自動受信をおこなう場合の動作内容を示している。図11のフローチャートにおいて、ステップS1101〜ステップS1104までは、図10のフローチャートのステップS1001〜ステップS1004までと同一の処理内容なので、それらの説明は省略する。
【0065】
ステップS1104において、復帰指示があるのを待って、復帰指示があった場合(ステップS1104:Yes)は、復帰指示があった時刻(復帰時刻)を取得する(ステップS1105)。つぎに、その復帰時刻の次の正分(0秒)を算出する(ステップS1106)。そして、ステップS1106において演算した時刻(算出時刻)となるように、時刻記憶部202を変更する(ステップS1107)。これによって、次の正分にはすぐに所定の処理(たとえば標準電波の受信処理)が開始される。
【0066】
その後、算出時刻が経過するのを待って、経過した場合(ステップS1108:Yes)は、時刻情報を復帰する(ステップS1109)。すなわち、時刻記憶部202に記憶されている算出時刻を、退避領域207へ退避していた時刻情報に変更する。その後、ステップS1101へ戻る。以後は、ステップS1101〜S1109の各ステップの処理を繰り返しおこなう。
【0067】
以上説明したように、本実施の形態では、時刻を計時する計時部201と、所定の時刻に関する情報を記憶する時刻記憶部202と、計時部201によって計時される時刻と、時刻記憶部202によって記憶された情報にかかる時刻とを比較し、両時刻が一致した場合に一致信号を出力する比較部203と、比較部203によって出力された一致信号の入力があった場合に、所定の機能を実現するための所定の処理を実行する処理部204と、時刻記憶部202に記憶された所定の時刻に関する情報を変更することによって所定の処理の実行を制御する処理実行制御部205と、を備えたので、処理実行制御部205が、時刻記憶部202に記憶された各種処理の実行開示時刻情報のみの変更によって各種処理の動作を制御するため、標準電波の受信動作を含む各種処理の動作制御をより簡便に実行することができる。
【0068】
なお、上記実施の形態においては、電子機器を腕時計を一例にして説明したが、この電子機器には、腕時計、懐中時計、掛け時計、置き時計などのすべての種類の時計が含まれる。また、指針式表示機能を備えている、カメラ、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、ゲーム機器、携帯電話機、PDA(Personal Digital Assistant)、ノート型パーソナルコンピュータなどの携帯可能な情報端末装置、さらには、家庭電化製品や自動車を含む電子機器であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0069】
以上のように、本発明は、計時手段を備える電子機器に有用であり、特に、腕時計などの携帯型電子機器に適している。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】この発明の実施の形態にかかる電子機器のハードウエア構成を示す説明図である。
【図2】この発明の実施の形態にかかる電子機器の機能的構成を示す説明図(その1)である。
【図3】この発明の実施の形態にかかる電子機器の機能的構成を示す説明図(その2)である。
【図4】時刻記憶部202および退避領域207のデータ構成を示す説明図(その1)である。
【図5】時刻記憶部202および退避領域207のデータ構成を示す説明図(その2)である。
【図6】時刻記憶部202および退避領域207のデータ構成を示す説明図(その3)である。
【図7】時刻記憶部202および退避領域207のデータ構成を示す説明図(その4)である。
【図8】時刻記憶部202および退避領域207のデータ構成を示す説明図(その5)である。
【図9】時刻記憶部202および退避領域207のデータ構成を示す説明図(その6)である。
【図10】処理実行制御部205の動作内容を示すフローチャート(その1)である。
【図11】処理実行制御部205の動作内容を示すフローチャート(その2)である。
【符号の説明】
【0071】
100 マイコンIC
101 RAM
102 ROM
106 基準信号発生部
107 カウンタ部
113 ソーラセル
114 二次電池
115 充電制御回路
116 液晶画面
118 LED
120 アラーム
122 バイブレータ
201 計時部
202 時刻記憶部
203 比較部
204 処理部
205 処理実行制御部
206 節電状態制御部
207 所定記憶領域(退避領域)
208 入力部
211 標準電波受信部
212 時刻修正部
301 告知部
311 発音部
312 振動部
313 表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
時刻を計時する計時手段と、
所定の時刻に関する情報を記憶する時刻記憶手段と、
前記計時手段によって計時される時刻と、前記時刻記憶手段によって記憶された情報にかかる時刻とを比較し、両時刻が一致した場合に一致信号を出力する比較手段と、
前記比較手段によって出力された一致信号の入力があった場合に、所定の機能を実現するための所定の処理を実行する処理手段と、
前記時刻記憶手段に記憶された所定の時刻に関する情報を変更することによって前記所定の処理の実行を制御する処理実行制御手段と、
を備えたことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記処理実行制御手段は、前記時刻記憶手段に記憶された所定の時刻に関する情報を、前記比較手段において前記一致信号が出力されない情報に変更することを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記処理実行制御手段は、前記時刻記憶手段に記憶された所定の時刻に関する情報を、前記計時手段において計時することができない時刻となるように変更することを特徴とする請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記処理実行制御手段は、前記時刻記憶手段に記憶された所定の時刻に関する情報を、前記計時手段においてすでに計時した過去の時刻となるように変更することを特徴とする請求項2に記載の電子機器。
【請求項5】
前記処理手段は、
時刻情報を含む標準電波を受信する受信手段と、
前記計時手段によって計時されている計時時刻を前記標準電波に基づいて修正する時刻修正手段と、を含み、
前記処理実行制御手段は、前記時刻記憶手段に記憶された情報にかかる時刻に、前記受信手段による受信処理と前記時刻修正手段による時刻修正処理を実行させることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の電子機器。
【請求項6】
所定の条件に基づいて、通常の動作状態から所定の機能を実現するための前記処理手段の所定の処理の実行を停止する節電状態へと移行するように、節電制御信号を処理実行制御手段へ出力する節電状態制御手段を備え、
前記処理実行制御手段は、前記節電制御信号が入力された場合に、前記時刻記憶手段に記憶された所定の時刻に関する情報を変更することを特徴とする請求項5に記載の電子機器。
【請求項7】
前記処理実行制御手段は、前記節電状態が解除された場合に、解除された時刻に所定の時刻を加算した時刻となるように前記時刻記憶手段に記憶された所定の時刻に関する情報を変更することを特徴とする請求項6に記載の電子機器。
【請求項8】
前記処理手段は、前記所定の時刻になったことを告知する告知手段を含むことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一つに記載の電子機器。
【請求項9】
前記告知手段は、発音手段、振動手段、表示手段を含むことを特徴とする請求項8に記載の電子機器。
【請求項10】
前記処理実行制御手段は、前記時刻記憶手段に記憶された所定の時刻に関する情報を変更する際に、変更前の情報を所定の記憶領域に保存することを特徴とする請求項1〜9のいずれか一つに記載の電子機器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate