説明

電子機器

【課題】簡単な構成でありながら、外観に成型時のヒケがなく、且つ光学的な開閉状態の検出が的確になされるメンテナンス用開閉カバーを備えた電子機器を提供する。
【解決手段】機器本体10と、該機器本体10に開閉自在に取付けられたメンテナンス用開閉カバー17と、前記機器本体10内に設置され、該開閉カバー17の開閉状態を検出する光学的検出部材8とを備えた電子機器1であって、前記開閉カバー17は、板状カバー本体170の内面に前記光学的検出部材8に作用する遮光突片9を一体的に有する合成樹脂の成型体からなり、該遮光突片9は、肉厚D1が前記カバー本体170の板厚Dとの関係において該カバー本体170に成型時のヒケを生じさせない厚みとされ、且つ前記光学的検出部材8に対する有効遮光幅D2が前記肉厚D1より大となる断面形状に形成されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、パーソナルコンピュータ(パソコン)、各種測定機器、或いは音響機器等の電子機器であって、合成樹脂製のメンテナンス用開閉カバー及び該開閉カバーの開閉状態を検出する光学的検出部材を備えた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のような電子機器は、部品交換、或いは、用紙ジャムの修復等の為のメンテナンス用開閉カバーが装置本体の側部等に開閉自在に取付けられている。このメンテナンス用開閉カバーは、オペレータやサービスマンによって開閉されるが、もし開けられたまま機器が起動されると、機器に異常を来たすことになる。その為、開閉カバーの開閉状態を検出し、閉状態であることを条件として起動を許可し、開状態であるときはそのことを操作者に知らせるような制御がなされる。開閉カバーの開閉状態を検出する手段としては、装置本体内にフォトインタラプタ等の光学的検出部材を設置し、開閉カバー側に該光学的検出部材に作用する遮光片を取付けたものが挙げられる(例えば、特許文献1の0035欄及び図3参照)。
【特許文献1】特開2005−112595号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
近年、前記のような電子機器の開閉カバーは合成樹脂の成型体によるものが多くなった。この場合、前記遮光片は、板状カバー本体の内面に遮光突片として一体成型によって形成される。そして、合成樹脂の成型体の強度が増したこととも相俟って、電子機器の軽量化、或いは低コスト化等の観点から、このようなメンテナンス用開閉カバーを構成するカバー本体は、板厚が薄く(例えば、3mm程度)形成されるようになった。また、前記遮光突片は成型後の金型からのいわゆる抜きの関係上、カバー本体の板面に対して垂直な状態で突出するよう形成される。突出物としての遮光突片を板面に成型で一体に形成させる場合、遮光突片の肉厚によっては、カバー本体の反対側面(遮光突片が形成されない側の面)に成型時のヒケが生じることがある。このようなヒケは、突出物の肉厚が、その形成対象である板状基体の板厚の70%以下である場合に生じ難いことが経験的に確認されている。前記のメンテナンス用開閉カバーの場合、遮光突片が形成されない側の面が機器本体の外観の一部を構成する為、成型時のヒケがあると機器自体の見栄えを低下させることになる。従って、カバー本体の板厚を3mmとすると、ヒケを生じさせないようにするには、遮光突片の肉厚を2.1mm以下とする必要がある。
【0004】
ところで、前記メンテナンス用開閉カバーを含む機器本体の外装パネルは、薄グレー、ベージュ、薄紫等の淡色系の色調とされることが多い。合成樹脂の成型体をこのような淡色系のものとする場合、着色剤として隠ぺい力の弱い顔料が多く用いられる。その為、前記カバー本体の板厚の薄肉化に伴い遮光突片の肉厚も薄くせざるを得なくなる結果、遮光突片の遮光性が低下することになる。遮光突片の遮光性が低下すると、前記フォトインタラプタ等の光学的検知部材において、光路を当該遮光突片が遮断する位置にありながら、発光素子からの光(例えば、赤外線)の一部が透過して受光素子に受光されることがある。その結果、開閉カバーが閉状態にあるにも拘わらず、開であると誤判断される事態に至ることがある。このような遮光性の不足は、非透光性部材を遮光突片に貼り付けることによりカバーすることができるが、製造工数が増え、コスト増の原因ともなる。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであり、簡単な構成でありながら、外観に成型時のヒケがなく、且つ光学的な開閉状態の検出が的確になされるメンテナンス用開閉カバーを備えた電子機器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電子機器は、機器本体と、該機器本体に開閉自在に取付けられたメンテナンス用開閉カバーと、前記機器本体内に設置され、該開閉カバーの開閉状態を検出する光学的検出部材とを備えた電子機器であって、前記開閉カバーは、板状カバー本体の内面に前記光学的検出部材に作用する遮光突片を一体的に有する合成樹脂の成型体からなり、該遮光突片は、肉厚が前記カバー本体の板厚との関係において該カバー本体に成型時のヒケを生じさせない厚みとされ、且つ前記光学的検出部材に対する有効遮光幅が前記肉厚より大となる断面形状に形成されていることを特徴とする。
【0007】
本発明において、前記光学的検出部材に対する有効遮光幅が前記肉厚より大となる断面形状として、前記遮光突片が前記光学的検出部材における作用位置にある時、該遮光突片の厚み方向が、該光学的検出部材の光軸に対して斜めに向くような形状を採用することができる。この場合、該遮光突片の断面形状をジグザグ形状としても良い。
【発明の効果】
【0008】
本発明の電子機器によれば、メンテナンス用開閉カバーが閉じられた時には、機器本体内に設置された光学的検出部材に、カバー本体の内面に形成された遮光突片が作用し、これにより開閉カバーの閉状態が検出される。また、開閉カバーが開けられた時には、光学的検出部材に対する遮光突片の作用が解除され、これにより開閉カバーの開状態が検出される。そして、板状カバー本体の内面に形成される遮光突片は、肉厚が該カバー本体に成型時のヒケを生じさせない厚みとされているから、前記メンテナンス用開閉カバーの外面は、ヒケのない見栄えの優れた外観を呈する。また、該遮光突片は、前記光学的検出部材に対する有効遮光幅が前記肉厚より大となる断面形状とされているから、カバー本体の板厚が薄い為に遮光突片の肉厚を薄くせざるを得ない場合でも、有効遮光幅を大きく確保することができる。従って、合成樹脂材料の関係で、遮光突片自体の遮光性が低い場合でも、有効遮光幅を大きく確保することにより遮光性の低下がカバーされ、透光による前記誤検知を防止することができる。更に、メンテナンス用開閉カバーは、板状カバー本体の内面に遮光突片を一体的に有する合成樹脂の成型体からなるから、合成樹脂の成型によって、簡易且つ低コストで製することができる。
【0009】
前記遮光突片の断面形状を、該遮光突片が前記光学的検出部材における作用位置にある時、該遮光突片の厚み方向が、該光学的検出部材の光軸に対して斜めに向くような形状とした場合、有効遮光幅は遮光突片の肉厚より自ずと大となる。従って、遮光突片の肉厚がカバー本体の板厚の制約から薄くせざるを得ない場合でも、有効遮光幅を大きく確保することができる。
また、遮光突片の断面形状をジグザグ形状とした場合、一般的には光学的検出部材における投光部及び受光部の間隔が狭いが、このような光学的検出部材においても、遮光突片が投光部或いは受光部に干渉することなく、前記有効遮光幅を大きく確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下に本発明の最良の実施の形態について、図面に基づいて説明する。図1は本発明に係る電子機器の一実施形態としての画像形成装置の概略的縦断面図、図2は図1におけるX−X線矢視断面図、図3は図2におけるY−Y線矢視断面図、図4は遮光突片の肉厚と有効遮光幅との関係を示す概略的原理図である。
【0011】
本発明に係る電子機器の一例として図1に示す画像形成装置1は、電子写真方式の画像記録部を備えた所謂複合機を示している。即ち、複写機能、ファクシミリ機能及びプリンタ機能を兼ね備えたものであるが、複写装置、ファクシミリ装置或いはプリンタ装置として具現化される画像形成装置も対象とされる。図例の画像形成装置1は、上部より自動原稿送り装置(ADF)2、画像読取部3、画像記録部4及び記録紙供給部5が積層状態で構成されている。ADF2において、原稿トレイ20上に置かれた原稿は、ピックアップローラ21及び分離手段(セパレートローラとリタードローラの対)22により1枚ずつ繰出し分離され、各搬送ローラ対23、24、25により湾曲搬送路26を搬送される。途中ADF原稿の読取ポイント27において、静止した読取走査装置(後記する)30によってその画像が読取られ、排出ローラ対28によって原稿排出トレイ29上に順次排出させる。
尚、分離手段22としては、セパレートローラ及び分離パッドからなるものも多く採用されている。
【0012】
画像読取部3は、ADF読取部31と平板式読取走査部(FBS)32とにより構成され、図1は、上記読取走査装置30がADF読取ポイント27の直下のADF読取部31に静止し、ADF2によって順次自動給送される原稿の画像を読取る状態を示している。FBS32において画像読取を行う場合は、読取走査装置30がFBS32に移動し、プラテンガラス33の下を左右に往復移動しながら、プラテンガラス33の上に下向きに置かれた原稿の画像を読取る。上記ADF2を構成する一連の機構は、プラテンカバー(原稿押圧板)も兼ね、図1の紙面奥側をヒンジ部として上下に開閉可能とされている。
【0013】
図例の画像記録部4は、クリーナレスシステムの電子写真方式によるプロセス部と定着部とよりなる。このプロセス部は、感光体ドラム40と、該感光体ドラム40の周りに配された、帯電器41、露光器42、現像器43、転写器44及びメモリー除去部材45により構成され、このプロセス部の下流側には定着器46が設置されている。画像記録部4は、プロセス部においてトナー画像が転写された記録紙を定着器46において加熱・加圧し、トナー画像を永久画像として定着させ、定着器46の下流側の排出ローラ対47より記録済み記録紙を排出トレイ48に排出させるよう構成されている。
【0014】
記録紙供給部5は、画像形成装置1の装置本体(機器本体)10に形成されたカセット室50に抜差し可能に装着される記録紙供給カセット6を備える。記録紙供給カセット6の抜差し方向は、装置本体10の前面側(図1の紙面手前側)から奥側に沿った方向の他、装置本体の側部から左右方向に沿った方向とすることも可能である。記録紙供給カセット6の本体ケースは、上部が開口する箱型の筐体60からなり、該筐体60の記録紙供給方向前端側壁部は記録紙ガイド壁部61とされている。該記録紙ガイド壁部61の上面は傾斜面とされ、その中央部に圧縮ばね(不図示)により上向きに弾力が付与された状態でパッド台62が組み込まれ、更に、該パッド台62の上面には摩擦分離パッド63が固着されている。筐体60の前端側には、記録紙(用紙)供給ローラ64が回転駆動軸640を介して回転自在に設置されている。前記分離パッド63は、該記録紙供給ローラ64の周面に弾性的に押付けられ、記録紙供給ローラ64と分離パッド63とにより、記録紙を1枚ずつ分離し繰出して装置本体10内に供給する記録紙供給部材が構成される。記録紙供給ローラ64の回転駆動軸640は、その一端にカップリング部(不図示)を備え、記録紙供給カセット6が前記カセット室50に装着されると、該カップリング部が、装置本体10内の不図示の駆動伝達系に連結される。
【0015】
記録紙供給カセット6の筐体60内には、ヒンジピン65を支点として上下揺動可能とされた押上板66及び記録紙7の後端を規制する位置調整可能なエンドガイド67が設けられている。押上板66は圧縮ばね68によりヒンジピン65を支点として上向きに弾力が付与された状態とされる。前記筐体60における装置本体10の前面側には、図示を省略したが、抜差し操作用の取手を備えた前面パネルが一体に設けられている。また、筐体60内には、その他、図示及び説明を割愛するが、記録紙供給カセット6として必要な付帯部材、例えば、記録紙の幅方向を規制するサイドガイド、或いはエンドガイド及びサイドガイドの位置決め部等も装備される。
尚、記録紙供給カセット6の下に、更にオプションカセット(不図示)を配置し、2段以上のマルチカセットシステムを構成することも可能である。
【0016】
前記装置本体10内には、装着された記録紙供給カセット6の前記記録紙供給部材(分離パッド63及び記録紙供給ローラ64)に連なる湾曲状の記録紙搬送路11が形成され、該記録紙搬送路11の途中には、搬送ローラ対12(駆動ローラ13,プレスローラ14)及びレジストローラ対15が設置されている。記録紙供給カセット6から記録紙供給部材63,64によって1枚ずつ分離され繰出された記録紙7は、これらローラ対12,15によって搬送され、前記感光体ドラム40と転写ローラ44とのニップ部に導入されるよう構成されている。前記記録紙ガイド壁部61の背後には下段カセットからの記録紙の搬送路16を隔てて、ジャムアクセスカバー(メンテナンス用開閉カバー)17が取付けられており、このジャムアクセスカバー17は、装置本体10の右側壁部に、ヒンジピン18を支点として開閉可能に取付けられている。
【0017】
ジャムアクセスカバー17は板状体からなり、板状カバー本体170(図2、図3参照)の内面には、前記記録紙搬送路11のガイド壁を構成する複数のガイドリブ171が形成されている。該ガイドリブ171によるガイド壁は、下段カセットからの記録紙搬送路16のガイド壁も兼ねている。そして、該ガイドリブ171に前記搬送ローラ対12を構成するプレスローラ14が支持軸140(図2参照)を介して回転自在に取り付けられている。従って、記録紙搬送路11(16)において記録紙ジャムが発生した時には、該ジャムアクセスカバー17を開けることにより搬送ローラ対12の駆動ローラ13及びプレスローラ14のニップが解除されるから、ジャム記録紙の取り出しが可能とされる。
【0018】
上記構成の画像形成装置1による記録紙7に対する画像形成プロセスについて略述する。上記画像読取部3で読取られた画情報、或いはファクシミリやパソコン等の外部端末から送信された画情報が、帯電器41によって一様に帯電された感光体ドラム40の表面に、露光器42によって光情報として書き込まれる。これにより、感光体ドラム40の表面には光情報に基づく静電潜像が形成される。この静電潜像は、感光体ドラム40の回転に伴い、現像器43によって現像されてトナー像とされ、転写器44とのニップ部に至る。記録紙供給カセット6からは、記録紙供給部材63,64により、記録紙7が1枚ずつ分離され、繰出されて、搬送ローラ対12により湾曲搬送路11を搬送されてレジストローラ対15に至る。記録紙7は、レジストローラ対15により前記トナー像に同期するようレジストされて感光体ドラム40と転写ローラ44とのニップ部に導入され、トナー像が記録紙7上に逐次転写される。記録紙7に転写されたトナー像は、定着器46によって永久画像として定着され、永久画像が形成された記録紙7は、排出ローラ対47によって排出トレイ48上に排出・堆積される。転写部を経た感光体ドラム40の表面には、若干のトナーが付着残留しており、この残留トナーは、所定のバイアス電位が印加されたメモリー除去部材45によって掻き乱され、感光体ドラム40の表面上に分散される。この残留トナーは、その後の露光工程での静電潜像の形成に影響を及ぼすことなく現像器43に回収される。
【0019】
前記ジャムアクセスカバー17の開閉状態の検出は、前記装置本体10内に設置された光学的検出部材8と、前記カバー本体170の内面に一体に形成された遮光突片9とによりなされる。これを、図2、図3及び図4も参照して詳述する。図例の光学的検出部材8はフォトインタラプタであって、装置本体10の機体フレーム100に形成された台座部101に設置されている。該フォトインタラプタ8は、基台80上に、赤外線光等を発する発光素子からなる発光部81と、受光素子からなる受光部82とを対向関係で備えている。該発光部81と受光部82との間の空間が作用領域(位置)83とされ、該作用領域83の上部が開口している。ジャムアクセスカバー17の開閉に伴い、遮光突片9がこの開口部を介して作用領域83への介入及び作用領域83からの排出が可能とされる。この作用領域83内に、遮光突片9が存在する場合は発光部81からの光束Lが遮断されて受光部82に受光されず、存在しない場合は該光束Lが受光部82で受光される。
【0020】
ジャムアクセスカバー17は、板状カバー本体170の内面に、前記複数の平行なガイドリブ171と、遮光突片9とを一体的に有する合成樹脂の成型体からなる。遮光突片9は、ガイドリブ171群の並列方向外側で、記録紙の搬送領域から外れた位置に形成されている。ガイドリブ171及び遮光突片9は、共に、板状カバー本体170の内面に対して垂直に形成される。板状カバー本体170の外面は、装置本体10の外装パネルの一部を構成する為、成型時のヒケ等があるとその見栄えが著しく低下する。従って、ガイドリブ171及び遮光突片9の肉厚は、板状カバー本体170の板厚D(図3参照)の70%以下、望ましくは60%以下となるよう設計される。
【0021】
ジャムアクセスカバー17は、前述の通り、ヒンジピン18を支点として開閉自在とされている。図1及び図3の実線位置のようにジャムアクセスカバー17が閉じられた状態では、遮光突片9は前記フォトインタラプタ8の作用領域83内にあって前記光束Lを遮断する。また、2点鎖線位置のようにジャムアクセスカバー17が開けられた状態では、遮光突片9は前記フォトインタラプタ8の作用領域83の上方に退避し、前記光束Lは受光部82で受光される。従って、この受光部82の受光情報に基づき、遮光突片9が作用領域83内に存在する場合はジャムアクセスカバー17が閉、遮光突片9が作用領域83内に存在しない場合はジャムアクセスカバー17が開であると判断される。
【0022】
今、板状カバー本体170の板厚Dを3mmとすると、遮光突片9の肉厚D1を1.8mm程度とすれば、成型時の前記ヒケの発生は確実に抑えられる。遮光突片9の厚み方向DL(図4参照)が前記光束Lの光軸L0と平行である場合には、遮光突片9の肉厚D1(1.8mm)が、光束Lを遮断する有効遮光幅となる。しかし、前述のように合成樹脂の材料特性によっては、厚みが1.8mm程度の場合には、光束Lの一部が透過する懸念がある。その為、ジャムアクセスカバー17が閉状態であるにも拘わらず、開であるとの誤った判断がされることになる。そこで、図3及び図4に示すように、遮光突片9は、前記作用領域(作用位置)83内にある時に、その厚み方向DLが光束Lの光軸L0に対して斜めに向くような断面形状とされている。図例では、厚み方向DLと光軸L0とのなす角度θを約35°としており、これにより、遮光突片9の肉厚D1を1.8mmとした場合には、光軸L0に沿った遮光突片9の有効遮光幅D2は、約2.2mmとなる。
【0023】
このように、板状カバー本体170の板厚Dとの関係で、板状カバー本体170の外面に成型時のヒケを生じさせない為に、遮光突片9の肉厚D1を薄くせざるを得ない場合でも、有効遮光幅D2を大きく確保することができる。従って、ジャムアクセスカバー17が、色調が淡色系の合成樹脂による成型体であっても、遮光突片9の遮光性を維持することができ、板状カバー本体170の外面のヒケの防止と、フォトインタラプタ8の誤検知の防止との両立が図られる。これにより、ジャムアクセスカバー17の薄肉化が可能となり、画像形成装置1の軽量化及び低コスト化に寄与する。
【0024】
遮光突片9の断面形状は、図2に示すようにジグザク形状とされている。一般に、前記フォトインタラプタ8は小部品からなり、前記作用領域83の幅は小さい。その為、遮光突片9を単なる板状体とした場合、厚み方向DLが光束Lの光軸L0に対して斜めに向くような形状とした結果、遮光突片9が発光部81或いは受光部82に干渉する可能性が生じる。遮光突片9の断面形状を図示のようなジグザグ形状とすることにより、遮光突片9のフォトインタラプタ8に対する作用幅D3(図2参照)を、図例の場合3.61mm程度とすることができ、発光部81或いは受光部82に対する干渉もなく、有効遮光幅D2を大きく確保することができる。また、このようなジグザク形状とすることにより、遮光突片9の強化もなされる。
【0025】
遮光突片9の断面形状は、図2に示すようなジグザグ形状に限らず、例えば、鉤型に屈曲した形状でも良い。すなわち、遮光突片9の肉厚D1が、カバー本体170の板厚Dとの関係において該カバー本体170に成型時のヒケを生じさせない厚みであり、且つ前記有効遮光幅D2が遮光突片9の肉厚D1より大きくなるような断面形状であれば良い。また、前記厚み方向DLと光軸L0とのなす角度θは、遮光突片9の断面形状、作用領域83の幅等を勘案し、有効遮光幅D2をできるだけ大きく確保し得るよう設定される。
【0026】
尚、実施形態では、電子機器として画像形成装置について述べたが、パソコン、各種測定機器、音響機器等であって、合成樹脂の成型体からなるメンテナンス用開閉カバー及び開閉検出用光学的検出部材を備えた他の電子機器にも本発明を適用することができる。また、メンテナンス用開閉カバーとして、画像形成装置のジャムアクセスカバーを例示したが、画像形成装置におけるプロセスユニット等の消耗品の交換用開閉カバー、或いは、その他の電子機器に装備されるメンテナンス用開閉カバーであっても良い。光学的検出部材として、光透過型のフォトインタラプタを例示したが、反射型のフォトインタラプタでも良く、更には他の光学的検出部材であっても良い。電子機器の一例としての画像形成装置として、電子写真方式による画像記録部を備えた画像形成装置について述べたが、インクジェット方式、その他の画像記録部を備えた画像形成装置にも本発明を適用することができる。また、画像記録部は、モノクロに限らず、カラーであっても良い。更に、電子写真方式による画像記録部は、クリーナレスシステムに限らず、クリーニングシステムのものでも良く、現像方式も非磁性一成分又は二成分、いずれの方式であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明に係る電子機器の一実施形態としての画像形成装置の概略的縦断面図である。
【図2】図1におけるX−X線矢視断面図である。
【図3】図2におけるY−Y線矢視断面図である。
【図4】遮光突片の肉厚と有効遮光幅との関係を示す概略的原理図である。
【符号の説明】
【0028】
1 画像形成装置(電子機器)
10 装置本体(機器本体)
17 ジャムアクセスカバー(メンテナンス用開閉カバー)
170 板状カバー本体
8 フォトインタラプタ(光学的検出部材)
83 作用領域(作用位置)
9 遮光突片
D 板状カバー本体の板厚
D1 遮光突片の肉厚
D2 有効遮光幅
DL 遮光突片の厚み方向
L0 光軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器本体と、該機器本体に開閉自在に取付けられたメンテナンス用開閉カバーと、前記機器本体内に設置され、該開閉カバーの開閉状態を検出する光学的検出部材とを備えた電子機器であって、
前記開閉カバーは、板状カバー本体の内面に前記光学的検出部材に作用する遮光突片を一体的に有する合成樹脂の成型体からなり、該遮光突片は、肉厚が前記カバー本体の板厚との関係において該カバー本体に成型時のヒケを生じさせない厚みとされ、且つ前記光学的検出部材に対する有効遮光幅が前記肉厚より大となる断面形状に形成されていることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
請求項1に記載の電子機器において、
前記遮光突片の断面形状は、該遮光突片が前記光学的検出部材における作用位置にある時、該遮光突片の厚み方向が、該光学的検出部材の光軸に対して斜めに向くような形状であることを特徴とする電子機器。
【請求項3】
請求項2に記載の電子機器において、
前記遮光突片の断面形状がジグザグ形状であることを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−251426(P2009−251426A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−101238(P2008−101238)
【出願日】平成20年4月9日(2008.4.9)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】