説明

電子機器

【課題】ケース部材のシールド効果を高めつつ、ケース部材の機械的な強度の劣化を抑制することのできる電子機器を提供すること。
【解決手段】筐体2と、筐体2の内部に配置されると共に、一方の面72に基準電位パターン73が形成され、かつ電子部品71が配置された回路基板70と、回路基板70の一方の面72側に電子部品71を覆うように配置され、基準電位パターン73に対向して配置される対向部63を有する導電性のケース部材60と、弾性変形可能に構成されると共に、導電性を有するシール材100と、を備え、対向部63は、基準電位パターン73と接触する接触部64と、回路基板70から回路基板70の厚さ方向に離間して窪む凹部65Aとを有し、シール材100、凹部65Aと基準電位パターン73との間に配設されると共に凹部65A及び基準電位パターン73に電気的に接続される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話機等の電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯電話機等の電子機器における筐体には、複数の電子部品が搭載された回路基板が内蔵されている。この回路基板に搭載される電子部品には、例えば、無線通信用の高周波回路部品のように、電磁波等のノイズに影響を受けやすいものも多い。また、これら電子部品は、作動時に電子部品自体がノイズを放射する。そのため、放射されるノイズが筐体内の他の電子部品に影響を及ぼさないように、回路基板の電子部品が配置された側の面に、これら複数の電子部品を覆うと共に、電子部品同士を隔離するシールドケースが配置された電子機器が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1の電子機器によれば、複数の電子部品がシールドケースにより覆われると共に、電子部品同士も互いに隔離されるので、電子部品から放射されるノイズが他の電子部品に影響を及ぼし、その機能を低下させることを防止できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−238204号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方、ケース部材を回路基板に載置する場合に、シールド効果を高めるために、ケース部材と回路基板との間における接触部分に導電性のシール材を配置する場合がある。ケース部材と回路基板の間に配置されるシール材が弾性変形可能に構成されている場合には、ケース部材と回路基板との間の密着度が向上して、ケース部材のシールド効果は高まることとなる。
【0006】
しかしながら、シール材が弾性変形可能である場合には、シール材の弾性変形により、ケース部材を回路基板へ配置した場合において、ケース部材の機械的な強度が劣化する場合があった。
【0007】
本発明は、ケース部材のシールド効果を高めつつ、ケース部材の機械的な強度の劣化を抑制することのできる電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、筐体と、前記筐体の内部に配置されると共に、一方の面に基準電位パターンが形成され、かつ電子部品が配置された回路基板と、前記回路基板の前記一方の面側に前記電子部品を覆うように配置され、前記基準電位パターンに対向して配置される対向部を有する導電性のケース部材と、弾性変形可能に構成されると共に、導電性を有するシール材と、を備え、前記対向部は、前記基準電位パターンと接触する接触部と、前記回路基板から前記回路基板の厚さ方向に離間して窪む凹部とを有し、前記シール材は、前記凹部と前記基準電位パターンとの間に配設されると共に前記凹部及び前記基準電位パターンに電気的に接続される電子機器に関する。
【0009】
また、前記ケース部材は、前記回路基板の前記一方の面側に配置される板状のベース部と、前記ベース部から前記基準電位パターン側に突出して形成されると共に前記対向部を有するリブ部と、を有し、前記対向部は、前記接触部と前記凹部とが前記リブ部の厚さ方向に並んで形成されることが好ましい。
【0010】
また、前記回路基板の面方向における前記ケース部材の内部側に電子部品を備え、前記凹部は、前記回路基板の面方向における前記ケース部材の外部側に形成されることが好ましい。
【0011】
また、前記ケース部材は、前記回路基板と前記ケース部材とを固定するネジ部材を螺合可能な複数のネジ穴を有し、前記凹部は、隣接する前記複数のネジ穴同士の間に配置されることが好ましい。
【0012】
また、前記ベース部における前記リブ部が設けられる面と反対側の面には、前記ベース部の厚み方向において、前記シール材と重ならない位置にキースイッチを有するキー基板が配置されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ケース部材のシールド効果を高めつつ、ケース部材の機械的な強度の劣化を抑制することのできる電子機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態に係る携帯電話機1を、操作部側筐体2と表示部側筐体3とを開いた状態で示す斜視図である。
【図2】図1に示す携帯電話機1の操作部側筐体2の分解斜視図である。
【図3】図1に示す携帯電話機1における回路基板70の第1面72側にケース部材60が配置された状態を示す平面図である。
【図4】図3におけるA−A線断面図である。
【図5】図3におけるB−B線断面図である。
【図6】図3におけるC−C線断面図である。
【図7】図3におけるD−D線断面図である。
【図8】図1に示す携帯電話機1における回路基板70の第1面72に複数の電子部品71が配置された状態を示す図である。
【図9】図1に示す携帯電話機1におけるケース部材60を示す図である。
【図10】図9に示すケース部材60における接触部64をベース部61とは反対側から見た斜視図である。
【図11】図9に示すケース部材60における第1凹部65Aをベース部61とは反対側から見た斜視図である。
【図12】図9に示すケース部材60における第2凹部65Bをベース部61とは反対側から見た斜視図である。
【図13】図9に示すケース部材60における第3凹部65Cをベース部61とは反対側から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。まず、本発明の携帯電子機器の一実施形態としての携帯電話機1の基本構造について、図1を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る携帯電話機1を、操作部側筐体2と表示部側筐体3とを開いた状態で示す斜視図である。
【0016】
本実施形態の携帯電話機1は、折り畳み型の携帯電話機であって、略直方体形状の操作部側筐体2と、略直方体形状の表示部側筐体3と、操作部側筐体2と表示部側筐体3とを連結する連結部4と、を備える。
【0017】
操作部側筐体2は、その外面が、フロントケース21及びリアケース22を主体として構成されている。フロントケース21は、操作部側筐体2の前面2aを有する。操作部側筐体2の前面2aは、携帯電話機1を折り畳んだ状態で表示部側筐体3と向かい合う面である。リアケース22は、前面2aと反対側の面である背面2bを有する。
【0018】
フロントケース21は、操作キー群11が前面2aに露出するように構成されている。操作キー群11は、各種設定、電話帳機能、メール機能等の各種機能を作動させるための機能設定操作キー13と、電話番号の数字、メール等の文字等を入力するためのテンキー等の入力操作キー14と、各種操作における決定、上下左右方向のスクロール等を行う決定操作キー15と、から構成されている。
【0019】
操作キー群11を構成する各キーそれぞれには、携帯電話機1における開閉状態や、起動されているアプリケーションの種類に応じて所定の機能が割り当てられる(キー・アサイン)。携帯電話機1は、操作キー群11を構成する各キーが使用者により押圧されることで、各キーに割り当てられている機能に応じた動作が実行される。
【0020】
操作部側筐体2の前面2aには、携帯電話機1の使用者が通話時に発した音声が入力される音声入力部12が形成されている。音声入力部12は、操作部側筐体2の長手方向における連結部4とは反対側の端部近傍に配置される。つまり、音声入力部12は、携帯電話機1の開状態において長手方向の一方の端部側に配置される。
【0021】
操作部側筐体2の側面2cには、例えば、外部機器(例えば、ホスト装置)とデータの送受信を行うためのインターフェース、ヘッドホン/マイク端子、着脱可能な外部メモリのインターフェース、バッテリを充電するための充電端子が設けられている。
【0022】
次に、表示部側筐体3について説明する。表示部側筐体3は、図1に示すように、その外面が、フロントケース30a及びリアケース30bを主体として構成されている。表示部側筐体3の前面3aは、フロントケース30a及びカバー部材33を主体として構成されている。前面3aは、携帯電話機1を折り畳んだ状態で操作部側筐体2と向かい合う面である。表示部側筐体3の背面3bは、リアケース30bを主体として構成されている。表示部側筐体3の背面3bは、前面3aとは反対側の面である。
【0023】
表示部側筐体3内には、各種情報を表示させる不図示の液晶モジュールが配置されており、液晶モジュールは、その一方の面に設けられた表示部が、透明部分を主体とするカバー部材33を介して、フロントケース30aに形成された開口部から表示部側筐体3の前面3aに露出するように配置されている。
【0024】
また、フロントケース30aには、通話の相手側の音声を出力する音声出力部31が形成されている。音声出力部31は、表示部側筐体3の長手方向における連結部4とは反対の端部側に配置される。つまり、音声出力部31は、携帯電話機1の開状態における表示部側筐体3側の端部近傍に配置される。
【0025】
操作部側筐体2の上端部と表示部側筐体3の下端部とは、図1に示すように、連結部4を介して開閉可能に連結されている。つまり、連結部4は、表示部側筐体3と操作部側筐体2とを開閉軸Iを中心に開閉可能に連結している。
携帯電話機1は、連結部4を介して連結された操作部側筐体2と表示部側筐体3とを相対的に回転(回動)することにより、操作部側筐体2と表示部側筐体3とを互いに開いた状態(開放状態)にしたり、操作部側筐体2と表示部側筐体3とを折り畳んだ状態(折畳み状態)にしたりできる。
【0026】
次に、操作部側筐体2の内部構造について、図2を参照しながら説明する。図2は、操作部側筐体2の分解斜視図である。
【0027】
図2に示すように、操作部側筐体2は、フロントケース21と、上述した操作キー群11を構成するキーシート40と、フレキシブル配線基板(キー基板)50と、ケース部材60と、回路基板70と、メインアンテナ90と、リアケース22と、バッテリ80と、バッテリカバー81と、を備える。
【0028】
フロントケース21とリアケース22とは、互いの凹状の内側面が向き合うように配置され、互いの外周縁が重なり合うようにして結合される。フロントケース21とリアケース22との間には、キーシート40と、フレキシブル配線基板50と、ケース部材60と、回路基板70と、メインアンテナ90とが挟まれるようにして内蔵される。つまり、回路基板70の一方の面である第1面72を覆うようにケース部材60が積層配置され、ケース部材60の上面側にキー基板としてのフレキシブル配線基板50が積層配置され、フレキシブル配線基板50の上面にキーシート40が積層配置される。
【0029】
フレキシブル配線基板50は、図2に示すように、フロントケース21側の面に複数のキースイッチ51,52,53を有し、ケース部材60のベース部61上に載置される。フレキシブル配線基板50のキースイッチ51,52,53は、椀状に湾曲して立体的に形成された金属板のメタルドームを有する構造になっている。メタルドームは、その椀状形状の頂点が押圧されると、フレキシブル配線基板50の表面に印刷された不図示の電気回路に形成されるスイッチ端子に接触して電気的に導通する。なお、フレキシブル配線基板50は、複数の絶縁フィルムの間に配線を挟み込んだものである。
【0030】
キーシート40は、シリコンゴム製のシート41の表面に複数のキートップ42,43,44が接着剤により貼り付けられて構成される。キーシート40における複数のキートップ42,43,44は、フレキシブル配線基板50のキースイッチ51,52,53とそれぞれ重なり合う位置に配置されると共に、フロントケース30に形成されるキー孔21a,21b,21cからそれぞれ露出するように配置される。
【0031】
メインアンテナ90は、不図示の配線を介して回路基板70に接続される。メインアンテナ90は、高周波信号を受信又は送信する。
【0032】
リアケース22の外側には、開口が設けられており、この開口には、バッテリ80が装脱可能に収納される。バッテリ80の外側は、バッテリカバー81に覆われる。
【0033】
次に、図3から図13により、前述の回路基板70及びケース部材60について、更に詳述する。図3は、図1に示す携帯電話機1における回路基板70の第1面72側にケース部材60が配置された状態を示す平面図である。図4は、図3におけるA−A線断面図である。図5は、図3におけるB−B線断面図である。図6は、図3におけるC−C線断面図である。図7は、図3におけるD−D線断面図である。図8は、図1に示す携帯電話機1における回路基板70の第1面72に複数の電子部品71が配置された状態を示す図である。図9は、図1に示す携帯電話機1におけるケース部材60を示す図である。図10は、図9に示すケース部材60における接触部64をベース部61とは反対側から見た斜視図である。図11は、図9に示すケース部材60における第1凹部65Aをベース部61とは反対側から見た斜視図である。図12は、図9に示すケース部材60における第2凹部65Bをベース部61とは反対側から見た斜視図である。図13は、図9に示すケース部材60における第3凹部65Cをベース部61とは反対側から見た斜視図である。
【0034】
図3から図7に示すように、ケース部材60は、回路基板70の第1面72側に電子部品71を覆うように配置されている。ケース部材60は、回路基板70の第1面72に載置された状態で取り付けられ、シールドケースとして機能する。具体的には、図3から図7に示すように、回路基板70の第1面72上にケース部材60に形成される隔壁としてのリブ部62の対向部63における接触部64が接触する。そして、回路基板70とリブ部62の対向部63における第1凹部65A、第2凹部65B、第3凹部65Cとの間にシール材としてのガスケット100が配置された状態で取り付けられる。
【0035】
また、図2及び図3に示すように、回路基板70とシールドケースとしてのケース部材60とは、複数の連結部9において着脱可能に部分的に固定される。具体的には、回路基板70に形成される複数の回路基板側ネジ穴701それぞれと、ケース部材60に形成される複数のケース部材側ネジ穴601それぞれとを重ね合わせた状態で、これらの重なり合わされたネジ穴にネジ部材700を螺合させることで、回路基板70とケース部材60とは、着脱可能に部分的に固定される。
【0036】
図8に示すように、回路基板70は、長方形状に形成される。回路基板70の第1面72には、複数の電子部品71と、基準電位パターン73と、複数の回路基板側ネジ穴701とが配置される。電子部品71は、ケース部材60が回路基板70に載置された状態において、ケース部材60の内部に配置される。回路基板70に搭載される電子部品71としては、RF(Radio Frequency)回路、CPU回路、電源回路等の回路ブロックが挙げられる。これら複数の電子部品71は、回路基板70上及び回路基板70の内部に設けられた配線(図示せず)等により電気的に接続される。
【0037】
回路基板70における第1面72には、複数の電子部品71を区画するように、基準電位パターン73が形成される。基準電位パターン73は、所定の幅を有して形成される。本実施形態においては、基準電位パターン73は、回路基板70の周縁及び内側に配置され、回路基板70の第1面72を、例えば、4つの領域に区画するように配置される。基準電位パターン73は、例えば、無線回路とこれに隣接する電源回路との間や、無線回路とこれに隣接するデジタル回路との間に形成される。
【0038】
また、基準電位パターン73は、基準電位パターン73の幅方向に並んで突出する複数のパターン凸部74を有する。パターン凸部74は、基準電位パターン73の配線方向に沿って形成され、基準電位パターン73の配線方向に長い長方形状である。また、パターン凸部74は、基準電位パターン73の配線方向において隣接する回路基板側ネジ穴701、701同士の間に配置される。
【0039】
図9に示すように、ケース部材60は、回路基板70の厚さ方向から見た場合、長方形状に形成される。ケース部材60は、回路基板70側の面が開放された薄型の直方体形状である。ケース部材60は、少なくとも一部が金属材料により構成されており、導電性を有する。
【0040】
図9に示すように、ケース部材60は、上面を構成する板状のベース部61と、ベース部61から基準電位パターン73側に向かって略直角に突出して形成されるリブ部62と、回路基板70とケース部材60とを固定するネジ部材700を螺合可能な複数のケース部材側ネジ穴601と、を備える。リブ部62は、ベース部61の外縁及び内側に設けられる。リブ部62は、ベース部61の領域を区画するように形成される。リブ部62は所定の厚さを有し、ベース部61の面方向に延びて形成される。ここで、本実施形態の携帯電話機1においては、リブ部62におけるベース部61の面方向に延びる方向を、「リブ部62の延びる方向X」という。
【0041】
ケース部材側ネジ穴601は、ベース部61の四隅及びリブ部62同士が交差する位置に形成される。
【0042】
リブ部62は、図3から図7に示すように、回路基板70に設けられた基準電位パターン73に対応するように形成される。リブ部62は、回路基板70に実装される複数の電子部品71のうち最も高さのある電子部品71の高さと同等又はそれよりも十分に高くなるように形成される。
ケース部材60は、金属材料により形成する他、骨格を樹脂により形成し、その表面に導体膜を形成してもよい。
【0043】
リブ部62は、基準電位パターン73に対応して形成される対向部63を有する。対向部63は、リブ部62におけるベース部61と反対側の端部(端面)に形成される。ケース部材60が回路基板70に載置された状態において、対向部63は、基準電位パターン73に対向するように配置される。
【0044】
図4から図7、図10から図13に示すように、対向部63は、基準電位パターン73と接触可能な接触部64と、回路基板70から回路基板70の厚さ方向に離間して窪む複数の第1凹部65A、第2凹部65B及び第3凹部65Cと、を有する。
【0045】
接触部64は、基準電位パターン73に対向して接触する面部を有する。1凹部65A、第2凹部65B及び第3凹部65Cは、回路基板70に対向して回路基板70の厚さ方向に離間する底面部を有し、一般的な凹状でない部分も含む。第1凹部65A、第2凹部65B及び第3凹部65Cの底面部は、接触部64の面部に対して回路基板70の厚さ方向に離間する段差部としての段差面を構成する。
図9に示すように、複数の第1凹部65A、第2凹部65B及び第3凹部65Cは、リブ部62が延びる方向Xにおいて、ケース部材60における隣接するケース部材側ネジ穴601、601同士の間に形成される。
【0046】
図4及び図10に示すように、対向部63における接触部64は、リブ部62において、ベース部61から基準電位パターン73側に向かって最も突出した位置に形成される。接触部64は、ベース部61に対して平行な平面上に並ぶように配置される。接触部64は、ケース部材60が回路基板70に載置された状態において、回路基板70における基準電位パターン73に直接接触する。ケース部材60は、接触部64により、回路基板70における基準電位パターン73と電気的に導通する。
【0047】
図5から図7に示すように、第1凹部65A、第2凹部65B及び第3凹部65Cは、リブ部62において、ベース部61から基準電位パターン73側に向かって接触部64の突出よりも短く突出した位置に形成される。つまり、第1凹部65A、第2凹部65B及び第3凹部65Cは、接触部64からベース部61側に窪むように形成される。そして、前述のように、第1凹部65A、第2凹部65B及び第3凹部65Cは、接触部64に対して回路基板70の厚さ方向に離間する段差部として構成される。
【0048】
図3、図5及び図11に示すように、第1凹部65Aは、リブ部62の厚さ方向全域に亘ってベース部61側に窪むように形成される。具体的には、第1凹部65Aは、ベース部61の外縁に沿って形成されるリブ部62において、リブ部62の延びる方向Xに直線状に延びるように形成された対向部63の幅の全域が途中で窪むように、接触部64と接触部64との間に形成される。
【0049】
また、図3、図6及び図12に示すように、第2凹部65Bは、リブ部62の厚さ方向に接触部64と並んで形成される。第2凹部65Bは、回路基板70の面方向におけるケース部材60の内部側に形成される。回路基板70の面方向におけるケース部材60の内部側には、電子部品71が配置される。具体的には、第2凹部65Bは、リブ部62の延びる方向Xに直線状に延びるように連続して形成された接触部64に沿うように並んで形成され、リブ部62の延びる方向Xに長い形状である。第2凹部65Bは、ケース部材60の内部側に形成され、電子部品71は、リブ部62における第2凹部65B側に配置される。
【0050】
また、図3、図7及び図13に示すように、第3凹部65Cは、リブ部62の厚さ方向に接触部64と並んで形成される。第3凹部65Cは、回路基板70の面方向におけるケース部材60の外部側に形成される。回路基板70の面方向におけるケース部材60の内部側には、電子部品71が配置される。具体的には、第3凹部65Cは、リブ部62の延びる方向Xに直線状に延びるように形成された対向部63の幅の一部の領域が途中で窪むように形成される。接触部64は、リブ部62の延びる方向Xに延びるように連続して形成され、第3凹部65Cの底面部の外縁に沿うように形成される。第3凹部65Cは、ケース部材60の外部側に形成され、電子部品71は、リブ部62における第3凹部65Cとは反対側に配置される。
【0051】
図11から図13に示すように、第1凹部65A、第2凹部65B及び第3凹部65Cそれぞれの底面部と、回路基板70との間には、シール材としてのガスケット100が配置される。ガスケット100は、本実施形態においては、例えば、導電性を有する密着性の高いシール材により構成される。また、ガスケット100は、復元力を発現する材料により構成される。復元力を発現する材料は、弾性力を有する弾性部材(弾性変形可能に構成される部材)により構成される。復元力を発現する材料は、弾性力を有した状態で、第1凹部65A、第2凹部65B及び第3凹部65Cそれぞれの底面部と、回路基板70との間に配置される。ガスケットには、例えば、液状シリコン樹脂により形成されたシールド効果を有するシール材等がある。
【0052】
図5から図7に示すように、ガスケット100は、基準電位パターン73上に積層配置される。第1凹部65Aは、基準電位パターン73上に積層されたガスケット100上に積層配置される。第2凹部65Bは、基準電位パターン73におけるパターン凸部74上に積層されたガスケット100上に積層配置される。第3凹部65Cは、基準電位パターン73におけるパターン凸部74上に積層配置されたガスケット上に積層配置される。
【0053】
ガスケット100は、ケース部材60の接触部64が基準電位パターン73に接触するように配置された状態において、基準電位パターン73と、第1凹部65A、第2凹部65B及び第3凹部65Cそれぞれの底面とに挟み込まれる。ガスケット100は、第1凹部65A、第2凹部65B及び第3凹部65Cと、基準電位パターン73とを電気的に導通させる。また、ガスケット100は、復元力を発現する材料により弾性変形可能に構成されるため、基準電位パターン73に対応するように平面状に変形し、基準電位パターン73とリブ部62とにおける確実な接触に寄与する。
【0054】
また、基準電位パターン73上に配置されるガスケット100は、図2に示すように、ケース部材60の厚み方向において、前述の複数のキースイッチ51、52、53と重ならない位置に配置される。
【0055】
ここで、ケース部材60を回路基板70に取り付ける手順について説明する。
まず、図11から図13に示すように、ケース部材60における第1凹部65A、第2凹部65B及び第3凹部65Cにガスケット100を配置する。ガスケット100は、対向部63における接触部64の面部よりベース部61とは反対側に盛り上がるように、第1凹部65A、第2凹部65B及び第3凹部65C上に配置される。
【0056】
そして、対向部63における接触部64を基準電位パターン73に接触するように回路基板70上にケース部材60を配置する。ガスケット100は、基準電位パターン73と、第1凹部65A、第2凹部65B又は第3凹部65Cとの間に挟みこまれる。この場合、ガスケット100が接触部64の面部よりベース部61とは反対側に盛り上がっていることから、回路基板70及びケース部材60が回路基板70の厚さ方向に変形する。一方、ガスケット100は、回路基板70とケース部材60に追従するように変形する。
【0057】
その結果、ガスケット100は、ケース部材60と回路基板70とを密着させる。回路基板70及びケース部材60は、ケース部材60と回路基板70とが接触する方向へ復帰するように変形する。この場合のガスケット100を配置する量は、ガスケット100が復元力により変形する点を考慮して、ガスケット100が配置される部分においては、ケース部材60と回路基板70とを密着させ、ガスケット100が配置されない部分においては、接触部64を回路基板70に接触させる量に適宜調整する。
【0058】
そして、図3から図7に示すように、ケース部材60を、ケース部材60におけるリブ部62が回路基板70の第1面72を向くように配置する。第1凹部65Aに配置されたガスケット100が回路基板70の基準電位パターン73上に配置されるようにケース部材60を配置する。第2凹部65B及び第3凹部65Cに配置されたガスケット100それぞれが、対応するパターン凸部74上に配置されるようにケース部材60を配置する。
【0059】
次に、ケース部材60を、ケース部材60の複数のケース部材側ネジ穴601それぞれが、回路基板70に形成される回路基板側ネジ穴701それぞれに重なるように配置する。そして、この重なり合うネジ穴に、ネジ部材700を回路基板70における第1面72側から挿入して螺合させることで、回路基板70とケース部材60とを着脱可能に部分的に固定する。
【0060】
このように、回路基板70とケース部材60とを固定することで、ケース部材60における対向部は、接触部64が基準電位パターン73に接触すると共に、第1凹部65A、第2凹部65B及び第3凹部65Cに積層配置されたガスケット100が、基準電位パターン73に接触するように配置される。この場合、ガスケット100は、基準電位パターン73に押圧されて基準電位パターン73側が平面状に変形する。また、ガスケット100は、復元力を発現する材料により変形可能に構成されるため、前述のように、回路基板70とケース部材60に追従するように変形する。その結果、ガスケット100は、ケース部材60と回路基板70とを密着させて、基準電位パターン73とリブ部62とにおける確実な接触に寄与する。
【0061】
接触部64は、基準電位パターン73に接触して基準電位パターン73と電気的に接続される。第1凹部65A、第2凹部65B及び第3凹部65Cは、第1凹部65A、第2凹部65B及び第3凹部65Cの底面部に配置されたガスケット100を介して基準電位パターン73に電気的に接続される。
【0062】
このように、上述したケース部材60は、回路基板70の第1面72側に、リブ部62が基準電位パターン73上に位置するように配置される。これにより、複数の電子部品71は、リブ部62により囲われると共に、ベース部61により覆われる。
【0063】
ケース部材60は、リブ部62の対向部63が回路基板70の基準電位パターン73に直接的又は間接的に接触して、基準電位パターン73と電気的に接続される。そして、ケース部材60は、基準電位パターン73と同じ大きさの電位を有するようになる。つまり、ケース部材60は、シールドケースとして機能する。
【0064】
具体的には、接触部64は、基準電位パターン73と直接接触して基準電位パターン73と電気的に接続される。第1凹部65A、第2凹部65B及び第3凹部65Cの底面部は、ガスケット100を介して基準電位パターン73と確実に電気的に接続される。その結果、ケース部材60と回路基板70の基準電位パターン73とが電気的に導通し、ケース部材60は、シールドケースとして機能する。
【0065】
回路基板70上に載置されたケース部材60は、シールドケースとして外部からの高周波等のノイズが回路基板70に搭載される複数の電子部品71に作用するのを抑制すると共に、RF(Radio Frequency)回路、CPU回路、電源回路等の回路基板上に搭載された複数の電子部品71から放射されるノイズを遮蔽して、他の電子部品やメインアンテナ90に接続される受信回路等に作用することを抑制する。
つまり、リブ部62は、複数の電子部品71を区画する隔壁として機能し、ベース部61と共に、回路基板70上に搭載された他の電子部品71から放射されるノイズをシールドする。
【0066】
また、ケース部材60は、接触部64においては、回路基板70に直接接触し、第1凹部65A、第2凹部65B及び第3凹部65Cにおいては、復元力を発現する材料により変形可能に構成されるシール材としてのガスケット100を介して接触している。そのため、ケース部材60と、回路基板70に形成された基準電位パターン73との密着度が向上し、ケース部材60のシールド効果が向上する。
【0067】
本実施形態の携帯電話機1によれば、以下の効果が奏される。
本実施形態によれば、ケース部材60における対向部63は、回路基板70における基準電位パターン73と接触可能な接触部64と、回路基板70から回路基板70の厚さ方向に離間して窪む第1凹部65Aとを有する。そして、弾性変形可能なガスケット100は、第1凹部65Aと基準電位パターン73との間に配設されると共に第1凹部65A及び基準電位パターン73に電気的に接続されるように構成される。
【0068】
そのため、本実施形態における携帯電話機1は、ノイズによる電気部品の機能低下を防止できる(ケース部材60のシールド効果を高める)と共に、ケース部材60を回路基板70上に安定した状態で配置することができる。具体的には、ケース部材60は、ガスケット100を対向部63の全域に配設する場合に比べて、接触部64で接触する部分が多いので機械的な強度を向上させることができる。また、接触部64及びガスケット100によりケース部材60と回路基板70の基準電位パターン73とが電気的に導通するので、ケース部材60は、シールドケースとして機能する。
【0069】
また、ガスケット100は、対向部63の一部に配設される。そのため、ガスケット100を対向部63の全域に配設する場合に比べて、コストを低減することができる。
また、ケース部材60を回路基板70から取り外した場合に、ガスケット100を容易に配設できるので、メンテナンス性を向上させることができる。
また、ケース部材60を回路基板70上に安定した状態で配置することができるので、ケース部材60と回路基板70とを固定するネジ部材等を削減することができる。そのため、ケース部材60と回路基板70とを固定ためのネジ部材等に要するコストを低減することができる。
【0070】
また、本実施形態によれば、ケース部材60は、回路基板70の第1面72側に配置される板状のベース部61と、ベース部61から基準電位パターン73側に突出して形成されると共に対向部63を有するリブ部62と、を有し、対向部63は、接触部64と第2凹部65Bとがリブ部62の厚さ方向に並んで形成される。そのため、対向部63により、ケース部材60は、接触部64による基準電位パターン73への安定した状態での接触及びガスケット100による基準電位パターン73との密着度の向上、の効果を同時に得ることができる。従って、ノイズによる電気部品の機能低下を防止できると共に、ケース部材60を回路基板70上により安定した状態で配置することができる。
【0071】
また、対向部63は、接触部64と第2凹部65Bとがリブ部62の厚さ方向に並んで2重に形成されており、高いシールド効果を得ることができる。そのため、回路基板70上において、この接触部64と第2凹部65Bとが並んで形成される近傍の位置に、ノイズを放射する電子部品71を配置しやすくなり、回路基板70における電子部品71の実装レイアウトの自由度を向上させることができる。
【0072】
また、本実施形態によれば、携帯電話機1は、回路基板70の面方向におけるケース部材60の内部側に電子部品71を備え、第3凹部65Cは、回路基板70の面方向におけるケース部材60の外部側に形成される。そのため、ガスケット100が破損や剥離等により落下した場合であっても、回路基板70上の電子部品71へのガスケット100の接触を防止できる。
【0073】
また、本実施形態によれば、ガスケット100は、復元力を発現する材料により変形可能に構成される。つまり、ケース部材60は、接触部64においては、回路基板70に直接接触し、第1凹部65A、第2凹部65B及び第3凹部65Cにおいては、復元力を発現する材料により変形可能に構成されるシール材としてのガスケット100を介して接触している。そのため、ガスケット100が回路基板70とケース部材60に追従するように変形するので、ケース部材60と、回路基板70に形成された基準電位パターン73との密着度が向上し、ケース部材60のシールド効果が向上する。
【0074】
また、本実施形態によれば、ケース部材60は、回路基板70とケース部材60とを固定するネジ部材700を螺合可能な複数のケース部材側ネジ穴601を有し、第1凹部65A、第2凹部65B、第3凹部65Cは、リブ部62の延びる方向Xにおける隣接する複数のケース部材側ネジ穴601同士の間に配置される。そのため、ネジ部材700に固定されずに隙間ができやすい部分において、ケース部材60と回路基板70とを密着させて固定することができる。従って、ケース部材60と、回路基板70に形成された基準電位パターン73との密着度が向上し、ケース部材60のシールド効果が向上する。
【0075】
また、本実施形態によれば、ガスケット100は、ケース部材60の厚み方向において、複数のキースイッチ51、52、53と重ならない位置に配置される。そのため、複数のキースイッチ51、52、53の押圧時におけるクリック感が損なわれることを防止できる。
【0076】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は前述した実施形態に限定されることなく種々の形態で実施することができる。
例えば、第1凹部65A、第2凹部65B、第3凹部65Cは、前述の実施形態では同一のケース部材60に備えられているが、これに限定されない。例えば、第1凹部65A、第2凹部65B、第3凹部65Cは、いずれか1つのみケース部材60に備える構成であってもよい。
【0077】
また、ケース部材60は、前述の実施形態では操作部側筐体2に設けられているが、これに限定されず、表示部側筐体3に設けられていてもよい。
【0078】
また、前述の実施形態においては、連結部4により折り畳み可能な携帯電話機1の説明をしているが、このような折り畳み式ではなく、操作部側筐体2と表示部側筐体3との重ね合わせた状態から一方の筐体を一方向にスライドさせるようにしたスライド式や、操作部側筐体2と表示部側筐体3との重ね合せ方向に沿う軸線を中心に一方の筐体を回転させるようにした回転(ターン)式や、操作部側筐体2と表示部側筐体3とが一つの筐体に配置され連結部を有さない型式(ストレートタイプ)でもよい。
【0079】
また、前述の実施形態は、本発明を携帯電話機に適用したものであるが、本発明は、これに限定されない。本発明は、携帯電子機器以外の電子機器、例えば、PHS(登録商標;Personal Handy phone System)、PDA(Personal Digital Assistant)、ポータブルナビゲーション装置、ノートパソコン等に適用することができる。
【符号の説明】
【0080】
1 携帯電話機(電子機器)
2 操作部側筐体(筐体)
3 表示部側筐体
60 ケース部材
61 ベース部
62 リブ部
63 対向部
64 接触部
65A 第1凹部
65B 第2凹部
65C 第3凹部
70 回路基板
72 第1面(一方の面)
73 基準電位パターン
100 ガスケット(シール材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体の内部に配置されると共に、一方の面に基準電位パターンが形成され、かつ電子部品が配置された回路基板と、
前記回路基板の前記一方の面側に前記電子部品を覆うように配置され、前記基準電位パターンに対向して配置される対向部を有する導電性のケース部材と、
弾性変形可能に構成されると共に、導電性を有するシール材と、
を備え、
前記対向部は、前記基準電位パターンと接触する接触部と、前記回路基板から前記回路基板の厚さ方向に離間して窪む凹部とを有し、
前記シール材は、前記凹部と前記基準電位パターンとの間に配設されると共に前記凹部及び前記基準電位パターンに電気的に接続される
電子機器。
【請求項2】
前記ケース部材は、前記回路基板の前記一方の面側に配置される板状のベース部と、前記ベース部から前記基準電位パターン側に突出して形成されると共に前記対向部を有するリブ部と、を有し、
前記対向部は、前記接触部と前記凹部とが前記リブ部の厚さ方向に並んで形成される
請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記回路基板の面方向における前記ケース部材の内部側に電子部品を備え、
前記凹部は、前記回路基板の面方向における前記ケース部材の外部側に形成される請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記ケース部材は、前記回路基板と前記ケース部材とを固定するネジ部材を螺合可能な複数のネジ穴を有し、
前記凹部は、隣接する前記複数のネジ穴同士の間に配置される
請求項1から3のいずれかに記載の電子機器。
【請求項5】
前記ベース部における前記リブ部が設けられる面と反対側の面には、前記ベース部の厚み方向において、前記シール材と重ならない位置にキースイッチを有するキー基板が配置されている請求項2から4のいずれかに記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−200044(P2010−200044A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−43180(P2009−43180)
【出願日】平成21年2月25日(2009.2.25)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】