説明

電子機器

【課題】ハウジング内にスペースの無駄が生じるのを抑えると同時に、電源回路を流れる空気の通気効率を向上できる電子機器を提供する。
【解決手段】電子機器には、電源回路と、電源回路を収容する電源回路ケース4と、電源回路と電源回路ケース4とを収容するハウジング2とが設けられる。電源回路ケース4は、排気口43aが形成された後壁部43を有し、ハウジング2には、電源回路ケース4の後壁部43に対応する形状の開口2aが形成されている。電源回路ケース4は、後壁部43が開口2aから露出するように配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源回路を備える電子機器の通気効率を向上する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ゲーム装置や、パーソナルコンピュータ、ビジュアルオーディオ装置等の電子機器は、外部から供給される電力を、電子機器が内蔵する各装置の駆動電力に変換する電源回路を備えている。従来の電子機器には、電源回路がケースで覆われたものがある(例えば、特許文献1)。特許文献1の電子機器では、電源回路のケースに通気口が形成されており、電子機器が内蔵する冷却ファンによって発生する空気流がケース内を流れることによって、電源回路は冷却される。また、電子機器の外面を構成するハウジングにも、空気を吸い込み或いは排出する通気口が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−77436号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電源回路のケースの通気口が、ハウジングの通気口から離れて位置するレイアウトにおいて、それらの通気口の間に、電子機器が内蔵する別の装置(例えば外部記憶装置)などが配置されると、通気効率が低下する。一方、電源回路のケースの通気口とハウジングの通気口との間に、そのような装置を配置しない場合には、スペースに無駄が生じ、電子機器の大型化に繋がる。
【0005】
この点、電源回路及びそれを収容するケースを、ハウジングの通気口が形成された壁に沿って配置し、ケースの通気口とハウジングの通気口とを向き合わせるレイアウトも考えられる。しかしながら、そのようなレイアウトでは、電源回路のケースの通気口の位置及び形状と、ハウジングの通気口の位置及び形状とが正確に一致していない場合には、通気効率の確保が難しい。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、ハウジング内にスペースの無駄が生じるのを抑えると同時に、電源回路を流れる空気の通気効率を向上できる電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係る電子機器は、電源回路と、前記電源回路を収容するケースと、前記電子機器の外面を構成するとともに、前記ケースとを収容するハウジングと、を備える。前記ケースは、前記電源回路を冷却する空気流が通る通気口が形成された壁を有し、前記ハウジングには、前記ケースの前記壁に対応する形状の開口が形成され、前記ケースは、前記壁が前記開口から露出するように配置されている。
【0008】
本発明によれば、ハウジング内にスペースの無駄が生じるのを抑えると同時に、電源回路を流れる空気の通気効率を向上できる。
【0009】
また、本発明の一態様では、前記ケースの前記壁は前記ハウジングの前記開口に嵌っていてもよい。この態様によれば、ハウジングの強度を高めることができる。
【0010】
また、本発明の一態様では、前記ケースの前記通気口は前記壁の全域に亘って形成されてもよい。この態様によれば、さらに通気効率を向上できる。
【0011】
また、本発明の一態様では、前記ケースの前記通気口には、前記ケース内部を外部から遮蔽するルーバーが設けられてもよい。この態様によれば、電子機器の外観を向上できる。
【0012】
また、本発明の一態様では、前記ハウジングは、上方に開いた下ハウジングと、下方に開いた上ハウジングとを備えてもよい。そして、前記上ハウジングは、当該上ハウジングの下縁が前記下ハウジングの上縁に重なるように配置され、前記上ハウジングの下縁と前記下ハウジングの上縁の少なくとも一方には凹部が形成され、前記ハウジングの前記開口の縁は、前記凹部の縁と、前記上ハウジングの下縁と前記下ハウジングの上縁のうちの他方とによって構成されてもよい。この態様によれば、電子機器の組み立て作業を容易化できる。つまり、下ハウジングの縁の上に電源回路を収容するケースの壁が載るように、当該ケースを配置し、その後に、上ハウジングの下縁が下ハウジングの上縁に重なるように上ハウジングを下ハウジングに組み付けることができる。
【0013】
また、本発明の一態様では、前記ハウジングは、前記電子機器の背面を構成する後壁部を有し、前記開口は前記後壁部に形成されてもよい。この態様によれば、電子機器の外観を向上できる。
【0014】
また、本発明の一態様では、前記電源回路は、表面側に電子部品が配置された回路基板を有し、前記ケース内には、前記回路基板の表面側の空気流路と、前記回路基板の裏面側の空気流路とが設けられてもよい。この態様によれば、回路基板の裏面側にも空気流路が設けられているので、通気効率を向上できる。また、この態様では、前記通気口は、前記回路基板の表面側の前記空気流路を流れる空気が通過するよう設けられ、前記ケースには、前記回路基板の裏面側の前記空気流路を流れる空気が通過する第2の通気口が設けられてもよい。そして、前記第2の通気口は前記ハウジング内に位置し、前記ハウジングには前記第2の通気口と向き合う通気口が形成されてもよい。こうすることによって、回路基板の裏面側を流れる空気が円滑にハウジングの外に排出され得る。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】発明の実施形態の例である電子機器の斜視図である。
【図2】上ハウジングを取り外した状態の上記電子機器の平面図である。
【図3】上記電子機器の底面図である。
【図4】上記電子機器の背面図である。
【図5】上記電子機器が有する冷却ユニットと、電源回路を収容する電源回路ケースの平面図である。
【図6】上記冷却ユニットの分解斜視図である。
【図7】上記電源回路ケースの分解斜視図である。
【図8】上記電源回路ケースを構成する上壁部材の正面図である。
【図9】図5に示すIX−IX線での断面図である。
【図10】図9の拡大図である。
【図11】図5に示すXI−XI線での断面図である。
【図12】図11の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態について説明する。図1は本発明の実施形態の例である電子機器1の斜視図であり、図2は上ハウジング26を取り外した状態の電子機器1の平面図であり、図3は電子機器1の底面図であり、図4は電子機器1の背面図である。図5は電子機器1が有する冷却ユニット10と、電源回路17を収容する電源回路ケース4の平面図である。図6は冷却ユニット10の分解斜視図であり、図7は電源回路ケース4の分解斜視図であり、図8は電源回路ケース4を構成する上壁部材40の正面図である。図9は図5に示すIX−IX線での断面図であり、図10は図9の拡大図である。図11は図5に示すXI−XI線での断面図である。図12は図11の拡大図である。なお、図7、図10、図11では、電源回路17の回路基板17aの表面側に設けられた電子部品17bの記載を省略し、図9では電子部品17bは二点鎖線で示されている。
【0017】
図1に示すように、電子機器1は、その外面を構成するハウジング2を有している。ハウジング2は、上方に開いた下ハウジング21と、下ハウジング21に上方から被さるように配置される上ハウジング26とを有している。上ハウジング26は、その下縁26eが下ハウジング21の上縁21bに重なるように配置され、下ハウジング21を上方から閉じている。
【0018】
なお、上ハウジング26は、下ハウジング21と上下方向に向き合うように設けられる板状の上板部26aを有している。上板部26aは、その前後方向(Y1−Y2方向)の中央が上方に膨らむように湾曲している。また、上ハウジング26は、上板部26aの左右の縁から下がる横壁部26fを有している。さらに、上ハウジング26は、その前部に、上板部26aの前縁から下ハウジング21に向かって下がる左前壁部26bと右前壁部26cとを有している。電子機器1は、例えば、ゲーム装置や、オーディオビジュアル機器であり、光ディスクなど可搬型の記憶媒体を挿入するためのメディア挿入口26dが右前壁部26cに形成されている。さらに、右前壁部26cの前には、電子機器1を操作するためのボタン27aが設けられたフロントボード27が配置されている。
【0019】
図3又は図4に示すように、下ハウジング21は、当該下ハウジング21の底を構成する板状の底部21aを有している。また、下ハウジング21は、底部21aの前縁から立ち上がる前壁部23aと、底部21aの左右の縁から立ち上がる内横壁部23bとを有している。下ハウジング21は、前壁部23aと内横壁部23bとを越えて前方及び左右方向に張り出しており、前壁部23aの上縁から前方に張り出すとともに内横壁部23bの上縁とから左右方向に張り出す外底部22を有している。すなわち、外底部22は、前壁部23aの上縁から前方に張り出し、下ハウジング21の前部に位置する前底部22aと、内横壁部23bの上縁から右方向又は左方向に張り出し、下ハウジング21の右部又は左部に位置する横底部22bとを有している。電子機器1の使用の一形態では、底部21aが、電子機器1が置かれる面(以下、設置面)と面する一方で、外底部22は設置面から上方に離れている。また、下ハウジング21は、横底部22bの縁から立ち上がる外横壁部21cを有している。上ハウジング26の横壁部26fは、当該横壁部26fの下縁が外横壁部21cの上縁に重なるように設けられている。
【0020】
ハウジング2には、外部の空気をハウジング2内に導入するための通気口24が形成されている。この例では、前底部22aと横底部22bとに通気口24が形成されている。通気口24は底部21aの縁から立ち上がる前壁部23a,内横壁部23bに沿って形成されている。後述する冷却ファン15が駆動すると、この通気口24から空気が導入される。なお、下ハウジング21は、この前壁部23aと内横壁部23bとを越えて前方及び左右方向に張り出している。
【0021】
図2に示すように、電子機器1は、電子機器1が内蔵する装置を冷却する冷却ユニット10と、外部から供給される電力を、電子機器1が内蔵する各装置の駆動電力に変換する電源回路17とを有している。これらはハウジング2内に配置されている。また、電子機器1は、上述したメディア挿入口26dから挿入された記憶媒体を読み込む光ディスクドライブ16を有している。この例では、電源回路17はハウジング2の後部に配置され、電源回路17の前に冷却ユニット10と光ディスクドライブ16とが配置されている。冷却ユニット10と光ディスクドライブ16は左右に並んでいる。
【0022】
図6又は図9に示すように、冷却ユニット10は、ヒートシンク13と、ヒートシンク13から熱を吸収する空気流を発生させる冷却ファン15とを有している。冷却ファン15とヒートシンク13は、ベースプレート12上に配置されており、ヒートシンク13は冷却ファン15の半径方向の外方に位置している。この例では、ヒートシンク13は冷却ファン15の後方に位置している。なお、ヒートシンク13の冷却ファン15側の縁13cは、冷却ファン15を囲むように湾曲している。
【0023】
冷却ユニット10は回路基板(不図示)の上方に配置されている。図9に示すように、ヒートシンク13は回路基板上に実装された集積回路18の熱が伝わるように、当該集積回路18に接続されている。この例では、ベースプレート12の裏面には複数(この例では2つ)の板状の受熱ブロック12aが固定されている。受熱ブロック12aは、それぞれ集積回路18の表面に接触しており、集積回路18の熱は受熱ブロック12aを介してベースプレート12に伝わる。なお、ベースプレート12の裏面にはヒートパイプ12bも固定されている。ヒートパイプ12bは受熱ブロック12aからベースプレート12の裏面に沿って伸びており、受熱ブロック12aが受けた熱は、ヒートパイプ12bを介してベースプレート12の広い範囲に伝わる。
【0024】
ヒートシンク13は、ベースプレート12と平行に配置される複数のフィン13aと、ベースプレート12から上方に伸びる複数の支柱13bとを有している。ベースプレート12の熱は、支柱13bを介して各フィン13aに伝わる。
【0025】
上述したように、冷却ユニット10の後方に電源回路17が配置されている。この例では、電源回路17が有する回路基板17aは、左右方向(X1−X2方向)に長い矩形である(図7参照)。回路基板17aの表面には、コンデンサや、パワートランジスタ、トランスなどの電子部品17bが配置されている(図9参照)。電源回路17は、ハウジング2とは別体に構成された電源回路ケース4に収容されている。
【0026】
冷却ユニット10は、ヒートシンク13を上方から覆うとともに冷却ファン15の駆動によって発生する空気流をヒートシンク13に案内するヒートシンクカバー3を有している。電源回路ケース4はヒートシンクカバー3と合体している。すなわち、ヒートシンクカバー3が空気を排出する部分(ここでは開口3a)と、電源回路ケース4が空気を取り込む部分(ここでは導入口42aを取り囲むカバー42e)のうち一方が他方を収容するように、電源回路ケース4とヒートシンクカバー3は互いに組み合わさっている。そして、ヒートシンクカバー3と電源回路ケース4は、冷却ファン15から、ハウジング2内の空気を外部に放出する排気口43aに至る空気流路の外壁を構成している。
【0027】
冷却ユニット10を覆うカバー及び電源回路17を収容する電源回路ケース4について詳説する。
【0028】
図6に示すように、冷却ファン15には、当該冷却ファン15を覆うように円盤状のファンカバー14が取り付けられている。ファンカバー14には略環状の吸気口14aが形成されており、冷却ファン15の駆動によって回転する複数のフィン15aは吸気口14aから上方に露呈している(図5参照)。冷却ファン15が駆動することによって、吸気口14aから冷却ユニット10の内側に空気が導入される。
【0029】
図6に示すように、冷却ユニット10は、ヒートシンク13を上方から覆うとともに冷却ファン15の駆動によって発生する空気流をヒートシンク13に案内するヒートシンクカバー3を有している。ヒートシンクカバー3には開口31aが形成されている。開口31aは冷却ファン15の上方に位置しており、ファンカバー14は、開口31aの縁に取り付けられる。すなわち、ヒートシンクカバー3は、開口31aの縁に位置する複数(この例では2つ)の取付部31bを有している。ファンカバー14の外周縁にも複数の取付部14bが形成されており、取付部14bは取付部31bに螺子によって固定されている。
【0030】
ヒートシンクカバー3は、ヒートシンク13の上方に位置する板状の上板部31を有している。図9に示すように、上ハウジング26が被せられた状態では、上板部31は、上板部26aに沿って配置される。上述したように、上板部26aはその前後方向の中央が上方に膨らむように湾曲しており、上板部31は、上板部26aに合わせて湾曲している。また、ファンカバー14は、ヒートシンクカバー3の上板部31より低い位置に位置しており、上ハウジング26の上板部26aから離れている。
【0031】
図5又は図6に示すように、ヒートシンクカバー3は、上板部31の縁から下がり、冷却ファン15とヒートシンク13の双方を囲む側壁部32を有している。側壁部32は、冷却ファン15を囲むよう湾曲する第1側壁部32aと、第1側壁部32aから冷却ファン15の周方向に伸びるとともに、冷却ファン15からの距離が漸次大きくなるよう配置される第2側壁部32bとを有している。また、側壁部32は、第2側壁部32bから後方(電源回路ケース4側)に伸び、ヒートシンク13に沿って立つ第3側壁部32cと、第1側壁部32aから後方(電源回路ケース4側)に伸び、ヒートシンク13に沿って立つ第4側壁部32dとを有している。
【0032】
第3側壁部32cと第4側壁部32dは、後方に行くにしたがって、すなわち電源回路ケース4に近づくにしたがって、それらの間隔が大きくなるように設けられている。この例では、第4側壁部32dは、電源回路ケース4に近づくにしたがって、第3側壁部32cから離れるように傾斜している。なお、図6に示すように、第4側壁部32dには、冷却ユニット10に隣接する光ディスクドライブ16との干渉を避けるための凹部32eが形成されている。
【0033】
冷却ファン15の駆動によって、ハウジング2の通気口24から吸い込まれた空気は、ファンカバー14の吸気口14aからヒートシンクカバー3内に導入される。その後、空気は、冷却ファン15が有するフィン15aの回転によって半径方向に流れる。そして、その空気はヒートシンクカバー3によってヒートシンク13に案内される。すなわち、ヒートシンク13は、冷却ファン15の排気側に配置されている。図6に示すように、ヒートシンクカバー3は電源回路ケース4に向かって開口しており、ヒートシンク13のフィン13aの間を通過した空気は、ヒートシンクカバー3の電源回路ケース4側の端部に位置する開口3aを通過して電源回路ケース4に流れる。
【0034】
上述したように、電源回路17は電源回路ケース4に収容されている。この例では、電源回路17の回路基板17aは、左右方向に長い矩形であり、電源回路ケース4は、回路基板17aの形状に合わせて、略直方体状を呈している。図7に示すように、電源回路ケース4は、電源回路17を上方から覆う上壁部材40と、電源回路17を下から覆う底壁部材45とを有している。
【0035】
上壁部材40は、電源回路17の上方に配置される略矩形の上板部41を有している。上板部41は、上ハウジング26の上板部26aの裏面側において、上板部26aに沿って配置されている。この例では、上板部26aは湾曲しており、上板部41は上板部26aに合わせて、その後縁の位置が低くなるように傾斜している。また、上壁部材40は、下方に開いた箱状であり、上板部41の縁から下がる前壁部42と後壁部43と横壁部44とを有している(図7及び図10参照)。
【0036】
底壁部材45は、略矩形の板状を呈し回路基板17aの裏面側に配置される底部45aと、底部45aの前縁から立ち上がる前壁部46と、底部45aの後縁から立ち上がる後壁部47とを有している。
【0037】
上壁部材40は、冷却ユニット10に接続され、当該冷却ユニット10に続く空気流路の外壁を構成している。この例では、冷却ユニット10にはヒートシンクカバー3が設けられており、上壁部材40は、ヒートシンクカバー3の開口3aに接続されている(図10参照)。
【0038】
詳細には、図8又は図10に示すように、上壁部材40の前壁部42は、ヒートシンク13と向き合うように配置されている。この前壁部42に格子状の導入口42aが形成されている。導入口42aは、開口3aを含む平面に近接した位置において、当該平面と向き合うように配置されている。上壁部材40には、後述するように、導入口42aを囲むカバー42eが設けられている(図8乃至図11参照)。このカバー42eは、開口3aに向かって伸び、当該開口3aをも囲んでいる。そのため、導入口42aと開口3aとの間の空間がカバー42eによって囲まれた状態で、導入口42aは開口3aと接続されている。
【0039】
また、底壁部材45の前壁部46も、ヒートシンク13と向き合うように配置されている。この前壁部46にも格子状の導入口46aが形成されている(図6参照)。導入口46aも、開口3aを含む平面に近接した位置において、当該平面と向き合うように配置されている。このように導入口42a,46aが設けられることによって、ヒートシンクカバー3から流れ出る空気は、導入口42a,46aを通過して上壁部材40と底壁部材45の内側、すなわち電源回路ケース4の内側に流れ込む。
【0040】
導入口42a,46aは、ヒートシンクカバー3の開口3aの大きさに合わせて形成されている。すなわち、導入口42a,46aは開口3aの内側に位置している。この例では、図7又は図8に示すように、上壁部材40の導入口42aは、前壁部42の左右方向における一方側(この例では左側)の部分にのみ形成されている。同様に、底壁部材45の導入口46aは、前壁部46の左右方向における一方側(この例では左側)の部分にのみ形成されている。
【0041】
上述したように、上壁部材40にはヒートシンクカバー3の開口3aに囲むカバー42eが設けられている。図8乃至図11に示すように、カバー42eは、上フィン42bと左右一対の横フィン42c,42dとを有している。ヒートシンクカバー3の開口3aは、上フィン42bと横フィン42c,42dの内側に嵌っている。この例では、上フィン42bは、上板部41から伸びヒートシンクカバー3の上板部31に沿って設けられている。横フィン42cはヒートシンクカバー3の第3側壁部32cに沿って設けられ、横フィン42dは、第4側壁部32dに沿って設けられている。これらのフィンによって、ヒートシンクカバー3の空気が外部に流れ出ることが抑制されている。
【0042】
なお、図10に示すように、底壁部材45の前壁部46は、ベースプレート12上に配置されている。ベースプレート12と底壁部材45の下面との間はシールされている。すなわち、図6に示すように、ベースプレート12の縁には、当該縁に沿って伸びるシール部材19が取り付けられている。シール部材19はベースプレート12と底壁部材45の下面とに挟まれ、それらの間をシールしている。
【0043】
図4、図7又は図10に示すように、上壁部材40の後壁部43には、導入口42aと向き合う排気口(通気口)43aが形成されている。排気口43aは、前壁部42に形成された導入口42aより大きくなっている。この例では、後壁部43の全域に排気口43aが形成されており、排気口43aの横幅は、導入口42aの横幅より大きくなっている。
【0044】
図7又は図11に示すように、底壁部材45の後壁部47にも排気口(第2の通気口)47aが形成されている。この例では、排気口47aは後壁部47の一部にのみ形成されている。具体的には、排気口47aは後壁部47の左右方向における一方側(この例では、右側(X1の示す方向側))にのみ形成されている。上述したように、底壁部材45の導入口46aは、前壁部46の左側(X2の示す方向側)の部分にのみ形成されており、排気口47aの位置は導入口46aに対して右側にオフセットしている。導入口46aから排気口47aに至る空気流路は、電源回路17の回路基板17aの裏面側に位置している。排気口47aの位置が導入口46aに対して右側にオフセットしていることによって、回路基板17aの裏面の広い範囲を冷却できる。
【0045】
図10又は図11に示すように、底壁部材45と上壁部材40は、上下方向に向き合うように配置されている。上壁部材40は、当該上壁部材40の下縁が底壁部材45の上縁に合わさるようにして、底壁部材45に取り付けられている。そして、前壁部42,46の導入口42a,46aから流れ込んだ空気流は、上壁部材40と底壁部材45の内側を通って、後壁部43,47の排気口43a,47aから排出される。すなわち、冷却ユニット10から続く空気流路はこの上壁部材40と底壁部材45とによって上下及び左右から囲まれている。上壁部材40と底壁部材45との内側に配置された電源回路17は、これらの壁部材40,45によって外壁が構成された空気流路上に位置し、当該流路を流れる空気によって冷却される。すなわち、上壁部材40は、当該上壁部材40の下縁が底壁部材45の上縁に合わさるようにして、底壁部材45に取り付けられており、電源回路17は、上壁部材40と底壁部材45とによって外部から区画された空間内に配置されている。
【0046】
なお、冷却ファン15から排気口43aに至る空気流路は徐々に太くなっている。つまり、ヒートシンクカバー3の第2側壁部32bは、第1側壁部32aから冷却ファン15の周方向に伸びるとともに冷却ファン15からの距離が徐々に大きくなるように設けられている。また、ヒートシンクカバー3の第4側壁部32dは、第3側壁部32cから離れるように傾斜している。さらに、上壁部材40は、ヒートシンクカバー3の幅(左右方向の幅)より大きな幅を有し、排気口43aは導入口42aより大きくなっている。そのため、冷却ファン15から排気口43aに至る空気流路は徐々に太くなっている。
【0047】
電源回路17の回路基板17aは、底壁部材45の底部45aから離れた状態で支持されている。この例では、図7に示すように、底壁部材45の底部45aには、上方に突出する筒状の取付部45dが形成されている。この取付部45dには螺子孔が形成されている。一方、回路基板17aの取付部45dに対応する位置にも孔17cが形成されており、回路基板17aは螺子やボルトによって取付部45dに固定される。このように、回路基板17aは取付部45d上に配置される結果、底壁部材45の底部45aから離れた状態で支持される。なお、底壁部材45の底部45aには、取付部45dの他にも、上方に突出する小さな板状の支持部45cが形成され、この支持部45cも回路基板17aを支持している。
【0048】
図10又は図11に示すように、上壁部材40と底壁部材45とで構成される空気流路は、電源回路17を冷却する空気流が流れるメイン流路F1と、メイン流路F1とは回路基板17aによって区画されたバイパス流路F2とによって構成されている。この例では、回路基板17aの表面に、発熱量の多い電子部品17bが配置されている。そのため、回路基板17aの表面側の流路、すなわち回路基板17aと上壁部材40とで構成される流路が、電源回路17を冷却するメイン流路F1となっている。そして、回路基板17aの裏面側の流路、すなわち回路基板17aと底壁部材45とで構成される流路がバイパス流路F2となっている。
【0049】
なお、図7、図10又は図11に示すように、底壁部材45の底部45aには、当該底部45aの他の部分より深い深底部45bが形成されている。この深底部45bは、導入口46aから排気口47aに向かって広がっている。そのため、導入口46aから流れ込んだ空気は、排気口47aまで円滑に流れ得る。
【0050】
図7に示すように、上壁部材40の下縁には、底壁部材45と上下方向に向き合う小さな板状の取付部40aが形成されている。この取付部40aには孔が形成されている。一方、底壁部材45の縁の内側には、複数の筒状の取付部45eが形成されている。取付部40aの孔と取付部45eには上方から螺子等の固定具が嵌められ、上壁部材40は底壁部材45に固定されている。なお、上板部41には凹部41aが形成されている。この凹部41aの底にも孔が形成されており、この凹部41aも取付部45eに螺子等によって固定される。
【0051】
図4又は図12に示すように、排気口43aが形成された後壁部43はハウジング2から露呈している。すなわち、ハウジング2には、後壁部43に対応する形状の開口2aが形成されており、後壁部43はこの開口2aから露呈している。この例では、上壁部材40の後壁部43は、ハウジング2の内側から開口2aに嵌っており、電子機器1の外面の一部を構成している。そのため、後壁部43に形成された排気口43aは、ハウジング2内の空気をハウジング2の外に排出する排気口としても機能している。つまり、上壁部材40の内側を流れる空気は、排気口43aを通過すると同時に、ハウジング2の外に排出される。このように、上壁部材40は、ハウジング2から空気を排出する排気口に至る空気流路の外壁を構成している。
【0052】
この例では、ハウジング2に形成された開口2aは、上ハウジング26と下ハウジング21とによって構成され、後壁部43は上ハウジング26と下ハウジング21とによって挟まれている。すなわち、上ハウジング26には、上板部26aの後縁から下がり、電子機器1の背面を構成する後壁部28が設けられている。後壁部28の下縁には、左右方向に長い凹部28aが形成されている。また、下ハウジング21には、底部21aの後縁において立ち、電子機器1の背面を構成する後壁部25が設けられている。この後壁部25の上縁にも左右方向に長い凹部25aが形成されている。そして、上ハウジング26と下ハウジング21とが組み合わさることによって、後壁部25,28の凹部25a,28aが向き合うことによって開口2aが形成される。なお、この例では、後壁部43は矩形であるため、開口2aは、後壁部43に対応した大きさの矩形である。
【0053】
図4又は図12に示すように、下ハウジング21の後壁部25には排気口25bが形成されている。底壁部材45の後壁部47は、後壁部43と異なってハウジング2内に位置し、後壁部47に形成された排気口47aは、排気口25bと向き合っている。
【0054】
図12に示すように、排気口43aには、電源回路ケース4の内部を外部から遮蔽する複数のルーバー43bが設けられている。この例では、各ルーバー43bは、排気口43aの左右の端に掛け渡される左右方向に長い板状を呈している(4参照)。そして、ルーバー43bは、電源回路ケース4の内部を外部から遮蔽するように傾斜している。この例では、各ルーバー43bは、その後縁43cの位置が前縁43dの位置より低くなるように、傾斜している。複数のルーバー43bは上下方向に並んでいる。上下方向において隣り合う2つのルーバー43bは、電子機器1の背面視において、それらの一部が重なるように配置されている。すなわち、上側のルーバー43bの前縁43dは、下側のルーバー43bの後縁43cより低い位置に設けられている。
【0055】
上述したように、上壁部材40の上板部41は、上ハウジング26の上板部26aに合わせて、その後縁の位置が低くなるように傾斜している。ルーバー43bの傾斜角度は、この上板部41の傾斜角度より大きくなっている。すなわち、図12に示すように、水平面に対する上板部41の傾斜角度θ1より、水平面に対するルーバー43bの傾斜角度θ2は大きくなっている。このように、上板部41とルーバー43bの双方が傾斜し、空気流路の下流側に位置するルーバー43bの傾斜角度が、上流側に位置する上板部41の傾斜角度より大きくなることによって、円滑な空気流を維持しつつ、空気の排出される方向の水平方向に対する角度を大きくできる。つまり、上板部41が水平に設けられるとともに、ルーバー43bが大きく傾斜している場合には、空気の流れる方向がルーバー43bで大きく変わる。一方、図12に示すように、上板部41とルーバー43bの双方が傾斜している場合には、電源回路ケース4の上部を流れる空気は、ルーバー43bに到達する前から、上板部41に沿って斜めに流れる。そのため、ルーバー43bでの空気流の方向の変化が小さくなり、円滑な空気流が維持され得る。
【0056】
図12又は図4に示すように、ルーバー43bの間には、当該ルーバー43bを支持する複数の支持部43eが設けられている。上下方向で隣接する2つのルーバー43bの間に配置される複数の支持部43eは、互いに間隔を空けて左右方向に並んでいる。また、複数の支持部43eは、上下方向にも並んでいる。各支持部43eは、上下方向で隣接する2つのルーバー43bの間で、ルーバー43bに沿って伸びるように形成されており、上下方向に並ぶ複数の支持部43eは、全体として壁状を呈している。そのため、電子機器1が縦置きされた場合、すなわち、上ハウジング26の横壁部26fと下ハウジング21の外横壁部21cとが設置面と向き合うように配置された場合には、この支持部43eが、外部から電源回路ケース4内が視認されることを抑制する。また、隣接する2つの支持部43eの間隔は、上下方向で隣り合う2つルーバー43bの間隔より大きくなっている。そのため、隣接する2つの支持部43eと、上下方向で隣り合う2つルーバー43bとによって囲まれる開口は、左右方向に長くなっている。
【0057】
以上説明したように、電子機器1では、通気口43aが電源回路ケース4の後壁部43に形成され、ハウジング2には、電源回路ケース4の後壁部43に対応した形状の開口が形成されている。そして、後壁部43はハウジング2の開口から露出している。このような電子機器1によれば、ハウジング2内にスペースの無駄が生じるのを抑えると同時に、電源回路17を流れる空気の通気効率を向上できる。すなわち、ハウジング2と電源回路ケース4の双方に通気口が形成され、それらが相対するように配置される態様に比べて、通気効率を向上できる。
【0058】
なお、本発明は以上説明した電子機器1に限られず、種々の変更が可能である。
【0059】
例えば、以上の説明では、電源回路ケース4の後壁部43はハウジング2の開口に嵌っていた。しかしながら、後壁部43はハウジング2の開口の奥部に配置されていてもよい。
【0060】
以上の説明では、後壁部43の全域に通気口43aが形成されていた。しかしながら、通気口43aは後壁部43の一部にのみ形成されてもよい。この場合、通気口43aが形成された部分のみがハウジング2から露出していてもよい。
【符号の説明】
【0061】
1 電子機器、2 ハウジング、2a 開口、3 ヒートシンクカバー、4 電源回路ケース、10 冷却ユニット、12 ベースプレート、13 ヒートシンク、14 ファンカバー、15 冷却ファン、16 光ディスクドライブ、17 電源回路、17a 回路基板、17b 電子部品、18 集積回路、21 下ハウジング、22 外底部、22a 前底部、22b 横底部、24 通気口、25 後壁部、26 上ハウジング、28 後壁部、32 側壁部、40 上壁部材、42 前壁部、42a 導入口、42b,42c,42d フィン、43 後壁部、43a 排気口(通気口)、43b ルーバー、45 底壁部材、45a 底部、45b 深底部、46 前壁部、46a 導入口、47 後壁部、47a 排気口、F1 メイン流路、F2 バイパス流路。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源回路を有する電子機器であって、
前記電源回路を収容するケースと、
前記電子機器の外面を構成するとともに、前記ケースを収容するハウジングと、を備え、
前記ケースは、前記電源回路を冷却する空気流が通る通気口が形成された壁を有し、
前記ハウジングには、前記ケースの前記壁に対応する形状の開口が形成され、
前記ケースは、前記壁が前記開口から露出するように配置されている、
ことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
請求項1に記載の電子機器において、
前記ケースの前記壁は前記ハウジングの前記開口に嵌っている、
ことを特徴とする電子機器。
【請求項3】
請求項1に記載の電子機器において、
前記ケースの前記通気口は前記壁の全域に亘って形成されている、
ことを特徴とする電子機器。
【請求項4】
請求項1に記載の電子機器において、
前記ケースの前記通気口には、前記ケース内部を外部から遮蔽するルーバーが設けられている、
ことを特徴とする電子機器。
【請求項5】
請求項1に記載の電子機器において、
前記ハウジングは、上方に開いた下ハウジングと、下方に開いた上ハウジングとを備え、
前記上ハウジングは、当該上ハウジングの下縁が前記下ハウジングの上縁に重なるように配置され、
前記上ハウジングの下縁と前記下ハウジングの上縁の少なくとも一方には凹部が形成され、
前記ハウジングの前記開口の縁は、前記凹部の縁と、前記上ハウジングの下縁と前記下ハウジングの上縁のうちの他方とによって構成されている、
ことを特徴とする電子機器。
【請求項6】
請求項1に記載の電子機器において、
前記ハウジングは、前記電子機器の背面を構成する後壁部を有し、
前記開口は前記後壁部に形成されている、
ことを特徴とする電子機器。
【請求項7】
請求項1に記載の電子機器において、
前記電源回路は、表面側に電子部品が配置された回路基板を有し、
前記ケース内には、前記回路基板の表面側の空気流路と、前記回路基板の裏面側の空気流路とが設けられている、
ことを特徴とする電子機器。
【請求項8】
請求項7に記載の電子機器において、
前記通気口は、前記回路基板の表面側の前記空気流路を流れる空気が通過するよう設けられ、
前記ケースには、前記回路基板の裏面側の前記空気流路を流れる空気が通過する第2の通気口が設けられ、
前記第2の通気口は前記ハウジング内に位置し、前記ハウジングには前記第2の通気口と向き合う通気口が形成されている、
ことを特徴とする電子機器。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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