説明

電子機器

【課題】設定時に設定用パソコンと双方向のシリアル通信を行い、運用時にリモコン受信ユニットからリモコン信号を受信するカラオケアンプにおいて、シリアル通信コネクタと信号受信用コネクタを共用する。
【解決手段】設定用パソコン2とシリアル通信するRx,Txおよび2台のリモコン受信ユニット3,4の信号を受信するRmote0/1を有するCPU10と、信号端子12A,12Bを有するミニDINコネクタ12とを備え、前記信号端子12AにRxおよびRemote0を接続するとともに、信号端子12BにTxおよびRemote1を接続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
双方向のシリアル通信と単方向の信号受信とを別々の場面で行うカラオケアンプ等の電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
カラオケアンプは、その設置時に設置場所の広さ等の条件に合わせたボリューム、イコライザ、エコー等の音づくりの設定作業(インストール)が行われる。インストールは、効率的な作業が可能なノートパソコンを介して行われる。すなわち、カラオケアンプにシリアルインタフェースを介してノートパソコンを接続し、ノートパソコンで設定ソフトを起動してインストールを行う。このため、従来のカラオケアンプには、図1に示すように、シリアル通信用のRS232C等のシリアルコネクタ120が設けられていた(非特 文献1参照)。
【0003】
また、カラオケアンプには、選曲用リモコンからの赤外線信号を受信するためのリモコン受信ユニットが接続される。大きい部屋では2台のリモコン受信ユニットが設置される場合があるため、従来のカラオケアンプは、リモコン受信ユニットを2台接続可能なように、2つのリモコン受信ユニット接続用のコネクタ121,122が設けられていた。
【0004】
このため、カラオケアンプの背面は図1に示すように3つのコネクタ120,121,122が配列される構成になっていた。
【0005】
さらに、上記のように、±12Vで信号を送受信するRS232Cコネクタを有しているため、図2に示すように、カラオケアンプに内蔵されている5VのTTL回路との電圧レベルを変換する電圧レベル変換回路111を内蔵する必要があった。
【0006】
【非特許文献1】「2006 REFERENCE CATALOG」、ヤマハ株 会社、2006年、p16
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
設置時のインストール作業が終了すると、設定用のノートパソコンは取り外されるため、シリアル通信用のコネクタは不要になる。また、インストール時には、リモコン信号を受信するためのリモコン受信ユニットは不要である。
【0008】
にもかかわらず、従来のカラオケアンプでは、図1に示すように、シリアル通信用のコネクタとリモコン信号受信用のコネクタを併置していたため、コネクタ用のスペースが多く必要となり背面パネルの広い範囲を占有していた。また、部品点数が多くなりコストアップにつながっていた。
【0009】
以上はカラオケアンプについて説明したが、インストール時に必要なコネクタと通常運用時に必要なコネクタが異なる機器について共通の問題点である。
【0010】
この発明は、双方向のシリアル通信と単方向の信号受信とを別々の場面で行う電子機器において、シリアル通信コネクタと信号受信用コネクタを共用した電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1の発明は、シリアル通信用の受信端子、送信端子および第1、第2の信号受信用端子を有し、シリアル通信動作および信号受信動作を実行する制御部と、第1、第2の信号端子を有する外部機器接続用のコネクタと、を備え、前記第1の信号端子に前記受信端子および前記第1の信号受信用端子を接続するとともに、前記第2の信号端子に前記送信端子および前記第2の信号受信用端子を接続したことを特徴とする。
【0012】
請求項2の発明は、前記制御部は、前記シリアル通信用の受信端子に信号が入力され とき前記シリアル通信動作を実行し、前記第1、第2の信号受信用端子に信号が入力されたとき信号受信動作を実行することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
この発明によれば、シリアル通信と単方向の信号受信とを同時に行わない装置の場合、シリアル通信を行う場面ではコネクタにシリアル通信機器を接続し、単方向の信号受信を行う場面ではコネクタに信号出力装置を接続することにより、コネクタ数を節約することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図3はこの発明の実施形態であるカラオケアンプの端子接続の態様を示すブロック図、図4は同カラオケアンプの裏面パネルの一部構成を示す図である。
【0015】
図3に示すように、カラオケアンプ1は、制御部であるCPU10を備えている。CPU10には、信号入出力端子としてRemote0,Remote1,Rx,Txが設けられている。端子Remote0,Remote1は、カラオケアンプ1に外部接続されるリモコン受光ユニット3、4が受信したリモコン信号を入力するための端子である。端子Rx,Txは、カラオケアンプ1の動作設定用のノートパソコン2とシリアル通信するための受信端子Rx,送信端子Txである。
【0016】
一方、図4に示すように、カラオケアンプ1は、筐体の背面に1つのコネクタ12を有している。コネクタ12は、4端子のミニDINコネクタである。図3では、4つの端子を、12A,12B,12H,12Gと呼ぶ。端子12A,Bは信号用の端子である。端子12Hは電源用の端子であり、カラオケアンプ1の電源回路から+5Vの電圧が供給される。端子12Gは接地端子であり、カラオケアンプ1のGND線に接続されている。
【0017】
コネクタ12の信号端子12Aは、CPU10のRemote0およびRxに接続されている。また、信号端子12Bは、CPU10のRemote1およびTxに接続されている。
【0018】
カラオケアンプ1の設置時には、カラオケアンプ1の設定(インストール)作業を行うため、図3(A)に示すように、設定用のノートパソコン2がコネクタ12に接続される。ノートパソコン2とカラオケアンプ1のCPU10とはシリアル通信を行う。ノートパソコン2はRS232Cコネクタを介して信号を送受信する。RS232Cインタフェースの電圧仕様は±12Vである。一方、ミニDINコネクタ12は、カラオケアンプ1の内部回路に接続されているため、TTLレベルすなわち5Vで信号の入出力を行う。ノートパソコン2のRS232Cコネクタとカラオケアンプ1のコネクタ12との間には信号レベル変換装置5が接続されている。信号レベル変換装置5は、ノートパソコン2から入力された±12Vの信号を5Vの信号に変換してカラオケアンプ1のコネクタ12に向けて出力し、カラオケアンプ1のコネクタ12から入力された5Vの信号を±12Vの信号に変換してノートパソコン2のRS232Cコネクタに向けて出力する。この信号レベル変換装置5はカラオケアンプ1のコネクタ12の電源端子12Hから供給される電力で動作する。
【0019】
図3(A)の形態でノートパソコン2を接続したのち、係員が、ノートパソコン2にインストールされている設定プログラムを起動し、カラオケアンプ1の動作を設定する。設定内容は、デフォルトのボリューム、エコー設定、イコライジング、ハウリングキャンセルフィルタの設定等である。
【0020】
カラオケアンプ1のCPU10は、Rxに信号が入力されたとき設定モード(シリアル通信動作)となる。設定モードでは、Rxから入力されたパラメータで動作を設定するとともに、現在の設定状態等をTxから送信する。なお、Txから送信するメッセージは、ケーブルの抜き差しがされたとき、このケーブルの抜き差しを跨いで継続しない程度の短いメッセージ(1秒程度)に区切って行われる。また、コネクタ12のケーブルが差し換えられてリモコン受信ユニット3,4が接続された場合の信号の衝突を避けるため、設定モードであってもCPU10は積極的に信号を送信せず、相手装置(設定用ノートパソコン2)からの要求に応答してメッセージを送信する動作を行う。
【0021】
こののち、カラオケアンプ1は通常の運用に供される。通常の運用時には、設定用のノートパソコン2は不要である。そこで、コネクタ12に2台のリモコン受光ユニット3、4が接続される。リモコン受光ユニット3、4は、赤外線リモコンから送信される曲番号等のリモコン信号を受信する外部ユニットである。カラオケアンプを含むカラオケ装置が、利用者から見えないラック等に収納されている場合にリモコン受光ユニット3,4が外付け接続される。
【0022】
1つのコネクタ12に2台のリモコン受光ユニット3、4を接続するため、図5に示すようなコネクタケーブル20を用いる。このケーブル20は、カラオケアンプ側のプラグ21に2つのリモコン受光ユニット側プラグ22,23が接続されたものである。なお リモコン受光ユニット3、4側のコネクタがオス形状であるため、プラグ22,23はメスプラグになっている。
【0023】
図4において、ミニDINコネクタ12は、第1ピン12−1〜第4ピン12−4の4つのピンを有する。このうち、ピン13−3が電源端子12H、ピン12−4が設置端子12Gに対応し、ピン12−1が信号端子12A、ピン12−2が信号端子12Bに対応する。
【0024】
図5のコネクタケーブル20では、カラオケアンプ側プラグ21の1番ピン(コネクタ12のピン12−1に対応)が第1リモコン受光ユニット側プラグ22の第1ピンに接続され、カラオケアンプ側プラグ21の第2ピン(コネクタ12のピン12−2に対応)が第2リモコン受光ユニット側プラグ23の第1ピンに接続されている。すなわち、カラオケアンプ側プラグ21では第1ピン、第2ピンを2つのリモコン受光ユニット側プラグ22、23に分岐しているが、リモコン受光ユニット側プラグ22、23では両方とも第1ピンに信号線が接続されている。これにより、リモコン受光ユニットは、プラグ22、23のどちらに接続されるかによってコネクタ(ミニDINソケット)の配線を変更する必要がない。
【0025】
図3(B)において、リモコン受光ユニット3が受光したリモコン信号は、コネクタ12の信号端子12Aを介してCPU10のRemote0端子に入力され、リモコン受光ユニット4が受光したリモコン信号は、コネクタ12の信号端子12Bを介してCPU10のRemote1端子に入力される。カラオケアンプ1のCPU10は、Remote0またはRemote1に信号が入力されたとき通常動作モード(信号受信動作)となり、曲番号を受信して演奏を再生する動作を行う。
【0026】
なお、図5に示したコネクタケーブルは、リモコン受光ユニット側プラグ22、23 メスプラグ(中継プラグ)としているが、プラグ22、23をオスプラグとしてもよい。
【0027】
また、この実施形態は、カラオケアンプ1に設定用ノートパソコン2と2台のリモコン受光ユニット3、4を接続する例について説明したが、本発明はこれに限定されず、他の電子機器に適用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】従来のカラオケアンプのコネクタ配置例を示す図
【図2】従来のカラオケアンプのコネクタ接続形態を示すブロック図
【図3】この発明の実施形態であるカラオケアンプのコネクタ接続形態を示すブロック図
【図4】同カラオケアンプのコネクタ配置例を示す図
【図5】同コネクタに接続されたコネクタケーブルの例を示す図
【符号の説明】
【0029】
1…カラオケアンプ
2…設定用ノートパソコン
3、4…リモコン受光ユニット
5…信号レベル変換装置
10…CPU
12…(ミニDIN)コネクタ
20…コネクタケーブル
21…カラオケアンプ側プラグ
22、23…リモコン受光ユニット側プラグ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリアル通信用の受信端子、送信端子および第1、第2の信号受信用端子を有し、シリアル通信動作および信号受信動作を実行する制御部と、
第1、第2の信号端子を有する外部機器接続用のコネクタと、
を備え、
前記第1の信号端子に前記受信端子および前記第1の信号受信用端子を接続するとともに、前記第2の信号端子に前記送信端子および前記第2の信号受信用端子を接続したことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記制御部は、前記シリアル通信用の受信端子に信号が入力されたとき前記シリアル通信動作を実行し、前記第1または第2の信号受信用端子に信号が入力されたとき信号受信動作を実行する請求項1に記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−57086(P2010−57086A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−222068(P2008−222068)
【出願日】平成20年8月29日(2008.8.29)
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【Fターム(参考)】