説明

電子機器

【課題】電子機器が有するLC共振回路からの出力は、温度の影響を受けやすかった。
【解決手段】LC共振回路と、マイクロコンピュータと、を有する電子機器は、LC共振回路からの出力が温度によらず最大となるように、マイクロコンピュータからLC共振回路へ出力した信号と、LC共振回路の可変容量素子に基づき出力される信号とに基づき、キャリブレーションされる。キャリブレーションは定期的に行われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信など非接触手段により、必要な情報を記憶させ、或いは情報を読み
取るための情報処理装置に関する。本発明は特にRFID(Radio Frequen
cy Identification)用ICチップ(IDチップ、ICタグ、IDタグ
、RFタグ、無線タグ、電子タグ、トランスポンダともいう)の情報の読み込み、書き込
みを行うためのリーダ/ライタ装置(質問器、インテロゲータ、コントローラともいう)
に関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータ技術の発展や、画像認識技術の向上によって、バーコードなどの媒体を用
いた情報認識が広く普及し、商品データの認識などに用いられている。今後はさらに多量
の情報認識が実施されると予想される。その一方、バーコードによる情報読み取りなどで
は、バーコードリーダーがバーコードとの接触を必要とすることや、バーコードに記録さ
れる情報量があまり多くできないという欠点があり、非接触の情報認識および媒体の記憶
容量増大が望まれている。
【0003】
このような要望から、近年、非接触型のRFID用ICチップ(以下、ICチップとい
う)、及びリーダ/ライタ装置(以下、リーダ/ライタという)が開発されている。IC
チップとはICチップ内のメモリ回路に必要な情報を記憶し、非接触手段、一般的には無
線手段を用い、リーダ/ライタにより内部の情報を読み取るものである。このようなIC
チップに記憶された情報を読み取る情報処理装置の実用化によって、商品流通などの簡素
化、低コスト化、高いセキュリティの確保が可能になるものと期待されている。
【0004】
ICチップを用いたRFIDシステムの概要について図13を用いて説明する。図13
は従来技術として、特許文献1に開示されているリーダ/ライタのブロック図について示
したものである。図13は、ICチップ1301、リーダ/ライタ1302、上位装置1
303により構成される。ここで上位装置1303は、リーダ/ライタ1302を介して
、ICチップ1301に対しデータ処理命令、データ処理結果のやりとりをし、個体情報
の判別を管理する。
【0005】
リーダ/ライタ1302は、受信部1304、送信部1305、制御部1306、イン
ターフェース部1307、アンテナ1308、共振容量1309で構成される。制御部1
306は、インターフェース部1307を介した上位装置1303の制御により、データ
処理命令、データ処理結果について、受信部1304、送信部1305を制御する。送信
部1305はICチップ1301に送信するデータ処理命令を変調し、アンテナ1308
から電磁波として出力する。また受信部1304は、アンテナ1308で受信された電磁
波を復調し、データ処理結果として制御部1306に出力する。
【0006】
受信部1304及び送信部1305に接続され、LC並列共振回路を構成するアンテナ
1308及び共振容量1309(以下、アンテナ回路1310という)は、受信時には、
ICチップ1301により出力された電磁波によってアンテナ回路1310に誘導される
起電力を電気的信号として受信する。また、送信時には、アンテナ回路1310に誘導電
流を供給し、アンテナ1308よりICチップ1301に電磁波を送信する。
【0007】
なお、詳細については割愛するが、ICチップ1301においてもアンテナと共振容量
で構成されたLC並列共振回路を有し、リーダ/ライタ1302のアンテナ1308から
電磁波を受信し、リーダ/ライタ1302のアンテナ1308へ電磁波を送信している。
【0008】
上述のアンテナ回路1310は、アンテナ1308のインダクタンスと共振容量130
9の容量値によって決まる固有の共振周波数f0を持っている。RFIDシステムにおい
て個体情報の通信を行う場合、リーダ/ライタ1302のアンテナ回路1310の共振周
波数f0をある程度、送信部1305より出力される送信周波数fcに合わせ込む必要が
ある。ここでアンテナ回路1310の共振周波数f0は、式(1)に示すように設定され
ている。式(1)において、LおよびCは、アンテナ1308のインダクタンスLおよび
共振容量1309のキャパシタンスCをそれぞれ表している。
【0009】
f0=1/{2π(LC)1/2} (1)
【0010】
この共振周波数f0は、送信部1305から出力される送信周波数fcに一致させるこ
とでもっとも効率的に送受信が可能になる。そのためアンテナ回路1310において、共
振周波数f0は、送信周波数fcと等しくなるように予め設定される。
【0011】
なお、送受信される周波数は、125kHz、13.56MHz、915MHz、2.
45GHzなどがあり、それぞれISO規格などが設定される。また、送受信の際の変調
・復調方式も規格化されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2001−250096号公報
【特許文献2】特開2001−250393号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
前述したようにリーダ/ライタに接続されたアンテナ回路の共振周波数f0は、アンテ
ナのインダクタンスと共振容量の容量値で決まる。しかしながら、リーダ/ライタに接続
されたアンテナ回路において、アンテナのインダクタンスは温度の影響を受けにくいが、
共振容量の容量値は温度の影響を受けやすい。
【0014】
共振容量として用いられるコンデンサは、小型化が求められるため、強誘電体を母体と
した容量の大きいコンデンサが用いられている。チタン酸バリウムに代表される強誘電体
は、1000以上の大きな比誘電率を持ち、電子機器に幅広く使用されており、汎用性が
高い。しかしながら、強誘電体を母体としたコンデンサでは、静電容量の温度依存性が比
較的大きく、静電容量や誘電損失の変化が大きい。
【0015】
そのため、アンテナユニットにおいて、周囲の温度が変化するとそれに併せて共振容量
の値も変化し、式(1)から明らかなように、アンテナ回路の共振周波数f0が変化して
しまっていた。そのため、データを受信するICチップにおいて、受信電圧レベルが低下
するといった問題があった。
【0016】
アンテナ回路に入力される送信周波数fcは、送信部に水晶振動子などを用いることに
よって、温度に対する変化を数ppmに抑えることが可能である。しかしながら、上述の
ように強誘電体を母体としたコンデンサを有するアンテナ回路では、静電容量の温度依存
性は比較的大きく、共振容量の変化は数%になることもある。そのため、周囲の温度が変
化する毎に共振周波数f0が変化し、アンテナ回路から送信される信号が減衰してしまう
という問題があった。
【0017】
本発明は上述の諸問題を鑑みて案出されたもので、アンテナ回路の共振周波数f0を温
度に依存することなく定期的に補正し、周囲の温度が変化してもアンテナ回路から放出さ
れる信号を一定に入出力し、ICチップの情報の読み込み、書き込みを行うための情報処
理装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上述の諸問題を解決するため、本発明においては、新たな情報処理装置を提供するもの
である。
【0019】
より具体的には、本発明の情報処理装置は、アンテナ回路と、受信信号発生回路、マイ
クロコンピュータ、送信信号発生回路、レベル検出回路、及びD/Aコンバータを有する
リーダ/ライタ装置と、を有し、前記受信信号発生回路は、前記マイクロコンピュータ及
びアンテナ回路に接続され、前記送信信号発生回路は、前記マイクロコンピュータ及びア
ンテナ回路に接続されており、前記D/Aコンバータは、前記マイクロコンピュータ及び
前記アンテナ回路に接続されており、前記レベル検出回路は、前記マイクロコンピュータ
及び前記アンテナ回路に接続されており、前記アンテナ回路は、アンテナ、共振容量、及
び可変容量素子を有する構成とした。
【0020】
さらに別の本発明の情報処理装置は、アンテナ回路と、受信信号発生回路、送信信号発
生回路、レベル検出回路、第1のD/Aコンバータ、第2のD/Aコンバータ、マイクロ
コンピュータ及びマッチング回路を有するリーダ/ライタ装置と、を有し、前記受信信号
発生回路は、前記マイクロコンピュータ及びアンテナ回路に接続され、前記送信信号発生
回路は、前記マイクロコンピュータ及びアンテナ回路に接続されており、前記第1のD/
Aコンバータは、前記マイクロコンピュータ及び前記アンテナ回路に接続されており、前
記第2のD/Aコンバータは、前記マイクロコンピュータ及び前記マッチング回路に接続
されており、前記レベル検出回路は、前記マイクロコンピュータ及び前記アンテナ回路に
接続されており、前記アンテナ回路は、アンテナ、共振容量、及び第1の可変容量素子を
有し、前記マッチング回路は第2の可変容量素子を有する構成とした。
【0021】
さらに別の本発明の情報処理装置は、アンテナ、共振容量、及び可変容量素子を有する
アンテナ回路と、前記アンテナ回路で受信した電圧信号を復調し、復調された電圧信号を
マイクロコンピュータに出力する受信信号発生回路と、前記マイクロコンピュータから出
力された電圧信号を変調し、変調された電圧信号を前記アンテナ回路に送信する送信信号
発生回路と、前記可変容量素子の容量を変化させるための電圧信号を出力するD/Aコン
バータと、前記変調された電圧信号と、前記D/Aコンバータからの前記可変容量素子の
容量を変化させるための電圧信号と、が入力されたときの前記アンテナ回路における出力
値を検出し、前記出力値を前記マイクロコンピュータに出力するレベル検出回路を有する
構成とした。
【0022】
さらに別の本発明の情報処理装置は、アンテナ、共振容量、及び第1の可変容量素子を
有するアンテナ回路と、前記アンテナ回路で受信した電圧信号を復調し、復調された電圧
信号をマイクロコンピュータに出力する受信信号発生回路と、前記マイクロコンピュータ
から出力された電圧信号を変調し、変調された電圧信号を前記アンテナ回路に送信する送
信信号発生回路と、第2の可変容量素子を有するマッチング回路と、前記第1の可変容量
素子の容量を変化させるための電圧信号を出力する第1のD/Aコンバータと、前記第2
の可変容量素子の容量を変化させるための電圧信号を出力する第2のD/Aコンバータと
、前記変調された電圧信号と、前記第1のD/Aコンバータからの前記1の可変容量素子
の容量を変化させるための電圧信号と、が入力されたときの前記アンテナ回路における出
力値を検出し、前記出力値を前記マイクロコンピュータに出力するレベル検出回路を有す
る構成とした。
【0023】
また本発明のレベル検出回路は、ダイオード、コンデンサ、及びA/Dコンバータを有
する構成であってもよい。
【0024】
また本発明のレベル検出回路は、アンテナ回路における出力値の検出を定期的に行う構
成であってもよい。
【0025】
また本発明の可変容量素子は、可変容量ダイオード、カップリングコンデンサ、及び電
圧供給抵抗を有する構成であってもよい。
【0026】
また本発明のアンテナは、ダイポールアンテナ、パッチアンテナ、ループアンテナ、八
木アンテナのいずれかを有する構成であってもよい。
【発明の効果】
【0027】
本発明の第1の構成をとることによって、アンテナ回路から送信される信号の出力が最
大になるような動作を定期的に行うことができる情報処理装置を提供することができる。
そのため周囲温度が変化し、アンテナ回路の共振容量の値が変化しても、最大の信号を得
ることができる情報処理装置を提供することができる。また、本発明の構成をとる情報処
理装置は、温度環境の変化に限らず、共振容量が変化するあらゆる環境下においても定期
的にアンテナ回路から出力される信号の出力が最大になるような動作を行うことができる

【0028】
本発明の第2の構成を取ることによって、第1の構成の効果に加えて、定期的にアンテ
ナユニットとリーダ/ライタとのインピーダンス整合を行うことができる。そのため周囲
温度が変化しても、アンテナユニットとリーダ/ライタとのインピーダンス整合をとるこ
とができる。また、本発明の構成をとる情報処理装置は、温度環境の変化に限らず、共振
容量の値が変化するあらゆる環境下においても定期的にアンテナユニットとリーダ/ライ
タとのインピーダンス整合をとることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施の形態1の構成を示すブロック図。
【図2】本発明のレベル検出回路の回路図。
【図3】本発明のレベル検出回路の回路図。
【図4】本発明のアンテナ回路の回路図。
【図5】可変容量素子についての印加電圧と容量の関係図。
【図6】本発明の実施の形態2の構成を示すブロック図。
【図7】本発明のマッチング回路の回路図。
【図8】本発明の実施例1の一形態を示す図。
【図9】本発明の実施例1の一形態を示す図。
【図10】本発明の実施例1の一形態を示す図。
【図11】本発明の実施例2の一形態を示す図。
【図12】本発明の実施例2の一形態を示すフローチャート図。
【図13】従来の情報処理装置について示した図。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施の態様について、図面を参照して説明する。但し、本発明は多くの
異なる態様で実施することが可能であり、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することな
くその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って
、本実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、以下に示す図面に
おいて、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を付し、その繰り返しの説
明は省略する。
(実施の形態1)
【0031】
図1は本発明の第1の構成による情報処理装置の構成を示すブロック図である。図1は
、リーダ/ライタ101、アンテナユニット102、コンピュータ103、ICチップ1
04により構成される。ここでコンピュータ103は、リーダ/ライタ101に接続され
たアンテナユニット102を介して、ICチップ104に対しデータ処理命令、データ処
理結果のやりとりをし、個体情報の判別を管理する。
【0032】
リーダ/ライタ101は、受信信号発生回路105、送信信号発生回路106、レベル
検出回路107、D/A(デジタル−アナログ)コンバータ108、マイクロコンピュー
タ109で構成される。マイクロコンピュータ109は、コンピュータ103の制御によ
り、データ処理命令、データ処理結果について、受信信号発生回路105、送信信号発生
回路106と電圧信号を送受信する。送信信号発生回路106はICチップ104に送信
するデータ処理命令の電圧信号を変調し、変調された電圧信号をアンテナユニット102
から電磁波として出力する。また受信信号発生回路105は、アンテナユニット102で
受信された電磁波によって生じた電圧信号を復調し、復調された電圧信号をデータ処理結
果としてマイクロコンピュータ109に出力する。つまり、マイクロコンピュータ109
は送信信号発生回路106にデータを出力し、また受信信号発生回路105より出力され
る受信データを処理する。
【0033】
なお、送信信号発生回路において、送信するデータ処理命令の電圧信号の変調は、振幅
変調であってもよいし、位相変調、周波数変調であってもよい。なお送信信号発生回路に
おいて、振幅変調を採用した場合は、ICチップ側の受信した電磁波を復調するための回
路に、ダイオードを用いた包絡線検波を用いることができる。包絡線検波は単純な回路で
行うことができるため、小型化されたICチップを読み取るための情報処理装置を提供す
ることができる。
【0034】
アンテナユニット102は、アンテナ回路110を有し、アンテナ回路110は共振容
量111、可変容量素子112、アンテナ113とから構成される。アンテナ回路110
において、共振容量111、可変容量素子112、アンテナ113は並列に接続され、そ
れぞれ一方の電極は接地されている。なお、可変容量素子は外部から入力された電圧信号
により、容量を可変することができる素子のことである。
【0035】
なお、アンテナユニットにおいて、アンテナ回路は複数設ける構成であってもよい。ま
た、本発明の情報処理装置において、受信用と送信用のアンテナ回路を別々に設ける構成
であってもよい。また、複数のアンテナ回路を設ける場合は、アンテナ回路に併せて、受
信信号発生回路、送信信号発生回路を複数も受ける構成であってもよい。
【0036】
なお、本明細書において、接続されるとは、特にことわりのない限り、電気的な接続の
ことを指すものとする。
【0037】
レベル検出回路107は、アンテナユニット102での出力する信号の大きさを検出す
る回路である。図2にレベル検出回路107の構成例について示す。レベル検出回路10
7は、ダイオード201、コンデンサ202、A/D(アナログ/デジタル)コンバータ
203より構成される。アンテナユニット102がICチップ104に送信した出力信号
は、ダイオード201に入力され、半波整流波として出力される。出力された半波整流波
は、コンデンサ202によって平滑化される。平滑化された出力信号は、A/Dコンバー
タ203によりアナログ信号からデジタル信号に変換され、デジタル信号化された出力値
はマイクロコンピュータ109に出力される。
【0038】
なお、上記レベル検出回路107において、整流回路、平滑回路を組み合わせることで
、アンテナユニット102がICチップ104に送信した出力信号を直流電流化したが、
出力信号の大きさを検出できる回路であれば何でもよい。例えば、図3に示すようにチョ
ークコイル204を使用したレベル検出回路を用いてもよい。チョークコイル204を使
用することによって平滑化する際の電圧変動を小さくすることができる。
【0039】
D/Aコンバータ108はマイクロコンピュータからのデジタル信号をアナログ直流電
圧の信号に変換するものである。D/Aコンバータとしては、公知のD/Aコンバータを
用いればよい。例えば、入力されるビット数対応した複数の電圧供給線にスイッチング素
子を配し、デコーダを介してスイッチング素子を選択的に駆動してデジタル信号をアナロ
グ直流電圧の信号に変換すればよい。勿論、デジタル信号をアナログ直流電圧の信号とし
て出力することが可能な回路であればどのような回路でも適用することもできる。
【0040】
次にアンテナユニット102のアンテナ回路110について、図1よりさらに詳細に図
4に示す。図4におけるアンテナ回路110はアンテナ113、共振容量111、可変容
量素子112とから構成されたLC並列共振回路である。アンテナ回路110における可
変容量素子112は、カップリングコンデンサ401、電圧供給抵抗402、可変容量ダ
イオード403によって構成されている。電圧供給抵抗402は、D/Aコンバータ10
8に接続されている。
【0041】
なお、本実施の形態において、電圧供給抵抗は電圧源のインピーダンスを高くするため
に用いる。勿論、電圧源のインピーダンスを高くする構成であれば他の構成を用いてもよ
い。また、カップリングコンデンサは可変容量素子部への直流電圧の印加を遮断するため
に用いる。勿論、可変容量素子部への直流電圧の印加を遮断する構成であれば他の構成を
用いてもよい。
【0042】
なお、可変容量ダイオード(バラクタダイオード、バリキャップともいう)は、pn接
合したダイオードの両端にかかる電圧の大きさによって、そこで生じる空乏層が誘電体と
して働き、半導体内のp型、n型領域が導体として働く。つまり、可変容量ダイオードは
、pn接合したダイオードに対し印加した逆バイアスの電圧によって生じる空乏層、およ
びp型、n型領域が容量として働くことを利用したものである。換言すれば、可変容量ダ
イオードは、pn接合したダイオードに逆バイアスの電圧を印加することで静電容量を変
化させ、容量を可変させるものである。図5に可変容量ダイオードの印加される逆バイア
ス電圧と容量の関係について簡単に示す。可変容量ダイオードはこの入力された逆バイア
ス電圧が増加することにより空乏層の幅が変化し容量を減少させ、逆バイアス電圧が減少
することにより空乏層の幅が変化し容量を増加させることができる。
【0043】
なおアンテナには、電波法に定められた範囲内で目的見合った大きさのアンテナであれ
ばよい。送受信される信号は、125kHz、13.56MHz、915MHz、2.4
5GHzなどがあり、それぞれISO規格などが設定される。具体的なアンテナとしては
、ダイポールアンテナ、パッチアンテナ、ループアンテナ、八木アンテナなどが用いれば
よい。またアンテナの形状はICチップに接続されるアンテナの形状、偏波に見合ったも
のを選択すればよい。具体的には、ダイポールアンテナであれば折り返しダイポールアン
テナであってもよい。ループアンテナであれば、円形ループアンテナ、方形ループアンテ
ナであってもよい。パッチアンテナであれば円形パッチアンテナ、方形パッチアンテナで
あってもよい。
【0044】
なお、パッチアンテナの場合、セラミック等の誘電材料を用いたアンテナを用いればよ
い。パッチアンテナの基板として用いる誘電材料の誘電率を高くすることによってアンテ
ナを小型化することができる。また、パッチアンテナの場合、機械強度が高いため、繰り
返し使用することが可能である。
【0045】
なお、パッチアンテナの誘電材料は、セラミック、有機樹脂、又はセラミックと有機樹
脂の混合物等で形成することができる。セラミックの代表例としては、アルミナ、ガラス
、フォルステライト等が挙げられる。さらには、複数のセラミックを混合して用いてもよ
い。また、高い誘電率を得るためには、誘電体層を、強誘電体材料で形成することが好ま
しい。強誘電体材料の代表例としては、チタン酸バリウム(BaTiO)、チタン酸鉛
(PbTiO)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO)、ジルコン酸鉛(PbZr
)、二オブ酸リチウム(LiNbO)、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等が挙げ
られる。さらには、複数の強誘電体材料を混合して用いてもよい。
【0046】
次に、本発明の動作について説明する。まず、本発明は特定の周期、たとえば10分間
に一度アンテナ回路から放出される信号のキャリブレーションを行う、この時間10分は
あくまで例でありこれに限定されない。キャリブレーションは以下の手順で行われる。
【0047】
まず、送信信号発生回路106から送信周波数fcを有する無変調信号がアンテナ回路
110に入力される。ここで、無変調信号とは、送信信号発生回路106がマイクロコン
ピュータ109からの信号を送信信号発生回路106で振幅変調、周波数変調、位相変調
せずに出力する信号のことをいう。
【0048】
そして、送信信号発生回路106から無変調信号がアンテナ回路110に入力された状
態で、マイクロコンピュータ109よりD/Aコンバータ108の出力電圧を変化させる
。すると、D/Aコンバータ108の出力電圧が入力される可変容量素子112の容量値
が変化し、アンテナ回路110の共振周波数f0が変化する。そして、可変容量素子11
2の容量値の変化に対応して、アンテナ回路110から出力される信号も変化する。
【0049】
送信信号発生回路106からの無変調信号をアンテナ回路110が出力すると共に、レ
ベル検出回路107には、アンテナ回路110が出力した信号が入力される。
【0050】
レベル検出回路107は、アンテナ回路110からの信号を整流化、平滑化の後、アナ
ログ信号をデジタル信号に変換して、マイクロコンピュータ109に出力する。マイクロ
コンピュータ109はこのデジタル信号をみて、D/Aコンバータ108の出力電圧がど
の値の時に、送信信号発生回路106からの無変調信号がアンテナ回路110で最大に出
力されるかを判断する。
【0051】
そして、マイクロコンピュータ109は、非キャリブレーション時に、D/Aコンバー
タ108からの出力電圧により変化するアンテナ回路110から出力される信号について
最大になるように設定をおこなう。このD/Aコンバータ108からアンテナ回路110
への出力の設定は、次のキャリブレーション時まで保持される。
【0052】
このようにして、定期的にアンテナ回路110から出力される信号の出力が最大になる
ような動作を行うので、周囲温度が変化し、アンテナ回路の共振容量値が変化しても、最
大の信号を得ることができる。
【0053】
なお、本発明の第1の構成は、温度変化に起因した共振容量の変化に限らず、共振容量
が変化するあらゆる環境下においても定期的にアンテナ回路から放出される信号の出力が
最大になるような動作を行うことができる。
(実施の形態2)
【0054】
図6は本発明の第2の構成による情報処理装置の構成を示すブロック図である。図6は
、リーダ/ライタ601、アンテナユニット602、コンピュータ603、ICチップ6
04により構成される。ここでコンピュータ603は、リーダ/ライタ601に接続され
たアンテナユニット602を介して、ICチップ604に対しデータ処理命令、データ処
理結果のやりとりをし、個体情報の判別を管理する。
【0055】
リーダ/ライタ601は、受信信号発生回路605、送信信号発生回路606、レベル
検出回路607、第1のD/Aコンバータ608A、第2のD/Aコンバータ608B、
マイクロコンピュータ609、マッチング回路615で構成される。マイクロコンピュー
タ609は、コンピュータ603の制御により、データ処理命令、データ処理結果につい
て、受信信号発生回路605、送信信号発生回路606と電圧信号を送受信する。送信信
号発生回路606はICチップ604に送信するデータ処理命令の電圧信号を変調し、変
調された電圧信号をアンテナユニット602から電磁波として出力する。また受信信号発
生回路605は、アンテナユニット602で受信された電磁波によって生じた電圧信号を
復調し、復調された電圧信号をデータ処理結果としてマイクロコンピュータ609に出力
する。つまり、マイクロコンピュータ609は送信信号発生回路606にデータを出力し
、また受信信号発生回路605より出力される受信データを処理する。
【0056】
本発明の第2の実施の形態である図6においてはアンテナ回路だけでなく、マッチング
回路にも可変容量素子を適応する。マッチング回路もLC共振を用いており、共振容量が
温度で変化すると信号が低下する原因となるため、アンテナ回路と同様に可変容量を用い
て、共振周波数を最適化したものである。そのため、温度環境の変化に限らず、共振容量
が変化するあらゆる環境下においても定期的にアンテナユニットとリーダ/ライタとのイ
ンピーダンス整合をとることができる。そして、本発明の情報処理回路は、温度環境の変
化に限らず、良好な通信を可能にする。
【0057】
アンテナユニット602は、アンテナ回路610を有し、アンテナ回路610は共振容
量611、可変容量素子612、アンテナ613とから構成される。アンテナ回路610
において、共振容量611、可変容量素子612、アンテナ613は並列に接続され、そ
れぞれ一方の電極は接地されている。なお、可変容量素子は外部から入力された電圧信号
により、容量を可変することができる素子のことである。なお、アンテナユニット102
のアンテナ回路110の詳細については、実施の形態1で示した図4と同様である。
【0058】
リーダ/ライタ601、アンテナユニット602のインピーダンス整合をとるためのマ
ッチング回路615は、共振容量616、可変容量素子617、コイル618A、コイル
618Bとから構成される。マッチング回路615において、共振容量616、可変容量
素子617は並列に接続され、それぞれ一方の電極は接地されている。また、共振容量6
16、可変容量素子617の他方の電極は、コイル618A、618Bが接続されている

【0059】
マッチング回路615について、図6よりさらに詳細に図7に示す。図7におけるマッ
チング回路615は共振容量616、可変容量素子617、コイル618A、コイル61
8Bとから構成される。マッチング回路615における可変容量素子617は、カップリ
ングコンデンサ701、電圧供給抵抗702、可変容量ダイオード703によって構成さ
れている。電圧供給抵抗702は、D/Aコンバータ608Bに接続されている。
【0060】
なお、本実施の形態において図7に示したマッチング回路は一例であって、図7の構成
に示したマッチング回路に限定されるものではない。本発明の情報処理装置におけるマッ
チング回路は、共振容量を有するマッチング回路であれば何でもよい。なお、マッチング
回路には、設計するリーダ/ライタ、アンテナ回路間のインピーダンスの抵抗成分、リア
クタンス成分に応じて、インピーダンス整合をとるためのコイル、コンデンサを適宜設け
ればよい。
【0061】
なお、可変容量ダイオードの詳細については、実施の形態1で示した図6と同様である

【0062】
レベル検出回路607は、アンテナユニット602での出力する信号の大きさを検出す
る回路である。レベル検出回路607の構成例については、実施の形態1で示した図2、
図3の構成と同様である。
【0063】
D/Aコンバータ608A、608Bはマイクロコンピュータ609からのデジタル信
号をアナログ直流電圧に変換するものである。D/Aコンバータとしては、公知のD/A
コンバータを用いればよい。例えば、入力されるビット数対応した複数の電圧供給線にス
イッチング素子を配し、デコーダを介してスイッチング素子を選択的に駆動してデジタル
信号をアナログ直流電圧に変換すればよい。勿論、デジタル信号をアナログ直流電圧の信
号として出力することが可能な回路であればどのような回路でも適用することもできる。
【0064】
なおアンテナには、電波法に定められた範囲内で目的見合った大きさのアンテナであれ
ばよい。送受信される信号は、125kHz、13.56MHz、915MHz、2.4
5GHzなどがあり、それぞれISO規格などが設定される。具体的なアンテナとしては
、ダイポールアンテナ、パッチアンテナ、ループアンテナ、八木アンテナなどが用いれば
よい。またアンテナの形状はICチップ内のアンテナの形状、偏波に見合ったものを選択
すればよい。具体的には、ダイポールアンテナであれば折り返しダイポールアンテナであ
ってもよい。ループアンテナであれば、円形ループアンテナ、方形ループアンテナであっ
てもよい。パッチアンテナであれば円形パッチアンテナ、方形パッチアンテナであっても
よい。
【0065】
なお、パッチアンテナの場合、セラミック等の誘電材料を用いたアンテナを用いればよ
い。パッチアンテナの基板として用いる誘電材料の誘電率を高くすることによってアンテ
ナを小型化することができる。また、パッチアンテナの場合、機械強度が高いため、繰り
返し使用することが可能である。
【0066】
なお、パッチアンテナの誘電材料は、セラミック、有機樹脂、又はセラミックと有機樹
脂の混合物等で形成することができる。セラミックの代表例としては、アルミナ、ガラス
、フォルステライト等が挙げられる。さらには、複数のセラミックを混合して用いてもよ
い。また、高い誘電率を得るためには、誘電体層を、強誘電体材料で形成することが好ま
しい。強誘電体材料の代表例としては、チタン酸バリウム(BaTiO)、チタン酸鉛
(PbTiO)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO)、ジルコン酸鉛(PbZr
)、二オブ酸リチウム(LiNbO)、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等が挙げ
られる。さらには、複数の強誘電体材料を混合して用いてもよい。
【0067】
次に、本発明の動作について説明する。まず、本発明は特定の周期、たとえば10分間
に一度アンテナ回路から放出される信号のキャリブレーションを行う、この時間10分は
あくまで例でありこれに限定されない。キャリブレーションは以下の手順で行われる。
【0068】
まず、送信信号発生回路606から送信周波数fcを有する無変調信号がアンテナ回路
610に入力される。ここで、無変調信号とは、送信信号発生回路606がマイクロコン
ピュータ609からの信号を送信信号発生回路606で振幅変調、周波数変調、位相変調
せずに出力する信号のことをいう。
【0069】
そして、送信信号発生回路606から無変調信号がアンテナ回路610に入力された状
態で、マイクロコンピュータ609よりD/Aコンバータ608Aの出力電圧を変化させ
る。すると、D/Aコンバータ608Aの出力電圧が入力される可変容量素子612の容
量値が変化し、アンテナ回路610の共振周波数f0が変化する。そして、可変容量素子
612の容量値の変化に対応して、アンテナ回路610から出力される信号も変化する。
【0070】
送信信号発生回路606からの無変調信号をアンテナ回路610が出力すると共に、レ
ベル検出回路607には、アンテナ回路610が出力した信号が入力される。
【0071】
レベル検出回路607は、アンテナ回路610からの信号を整流化、平滑化の後、アナ
ログ信号をデジタル信号に変換して、マイクロコンピュータ609に出力する。マイクロ
コンピュータ609はこのデジタル信号をみて、D/Aコンバータ608Aの出力電圧が
どの値の時に、送信信号発生回路606からの無変調信号がアンテナ回路610で最大に
出力されるかを判断する。
【0072】
そして、マイクロコンピュータ609は、非キャリブレーション時に、D/Aコンバー
タ608Aからの出力電圧により変化するアンテナ回路610から出力される信号につい
て最大になるように設定をおこなう。このD/Aコンバータ608Aからアンテナ回路6
10への出力の設定は、次のキャリブレーション時まで保持される。
【0073】
アンテナ回路の最適化を行った後、マッチング回路の最適化を行う。まず、送信信号発
生回路606から送信周波数fcを有する無変調信号がアンテナ回路610に入力される

【0074】
そして、送信信号発生回路606から無変調信号がアンテナ回路610に入力された状
態で、マイクロコンピュータ609よりD/Aコンバータ608Bの出力電圧を変化させ
る。すると、D/Aコンバータ608Bの出力電圧が入力される可変容量素子617の容
量値が変化し、アンテナ回路610の共振周波数f0が変化する。そして、可変容量素子
617の容量値の変化に対応して、アンテナ回路610から出力される信号も変化する。
【0075】
送信信号発生回路606からの無変調信号をアンテナ回路610が出力すると共に、レ
ベル検出回路607には、アンテナ回路610が出力した信号が入力される。
【0076】
レベル検出回路607は、アンテナ回路610からの信号を整流化、平滑化の後、アナ
ログ信号をデジタル信号に変換して、マイクロコンピュータ609に出力する。マイクロ
コンピュータ609はこのデジタル信号をみて、D/Aコンバータ608Bの出力電圧が
どの値の時に、送信信号発生回路606からの無変調信号がアンテナ回路610で最大に
出力されるかを判断する。
【0077】
そして、マイクロコンピュータ609は、非キャリブレーション時に、D/Aコンバー
タ608Bからの出力電圧により変化するアンテナ回路610から出力される信号につい
て最大になるように設定をおこなう。このD/Aコンバータ608Bからアンテナ回路6
10への出力の設定は、次のキャリブレーション時まで保持される。
【0078】
なお、共振周波数の最適化の順序は、マッチング回路、アンテナ回路の順に調整しても
良い。
【0079】
このようにして、定期的に信号の出力が最大になるような動作を行うので、周囲温度が
変化し、アンテナ回路及びマッチング回路の共振容量値が変化しても、最大の信号を得る
ことができる。
【0080】
なお、本発明の第2の構成は、実施の形態1で示した本発明の第1の構成の効果に加え
て、温度変化に起因した共振容量の変化に限らず、共振容量が変化するあらゆる環境下に
おいても定期的にアンテナユニットとリーダ/ライタとのインピーダンス整合をとること
ができる。
【実施例1】
【0081】
本実施例において、本発明の具体的な実施例について説明する。本発明の情報処理装置
は、ICカード、ICタグ、紙幣、パスポート、電子機器、バッグ及び衣類等のICチッ
プを具備したあらゆる物品の読み取りに用いることができる。ここでは、ICチップを具
備した物品の例について図8〜10を用いて説明する。
【0082】
図8はICカード用情報処理装置に上記実施の形態で示した本発明のリーダ/ライタを
適用した例について示したものである。ICカード用情報処理装置は、ICカードに内蔵
されたICチップ内の個人の識別、現金を使わない代金の決済情報、あるいは電子マネー
といった情報の読み込み/書き込みを行うことができる。
【0083】
図8において、801はICカード、802はICチップ、803はリーダ/ライタ、
804は操作部、805はコンピュータである。ICカード801に内蔵されたICチッ
プ802の情報は、リーダ/ライタ803を介して読み込み/書き込みが行われ、コンピ
ュータ805に情報が蓄積される。
【0084】
本発明の情報処理装置は、常設型の情報処理装置、または携帯型情報処理装置に限らず
、あらゆる形状に適用することが可能であり、様々な環境下(亜熱帯、砂漠、寒冷地等)
、もしくは寒暖の差が激しい地域においても、定期的に信号の出力が最大になるような動
作を行うので、周囲温度が変化し、アンテナ回路の共振容量値が変化しても、最大の信号
を得ることができる。その結果、ICチップの情報の読み取れない等の不具合を少なくす
ることができる。
【0085】
図9(A)、(B)はICチップ用情報処理装置に上記実施の形態で示した本発明のリ
ーダ/ライタを適用した例について示したものである。図9(A)、(B)において、9
01はリーダ/ライタ、902はICチップ、903は物品、904はバッグ、905は
コンピュータである。
【0086】
図9(A)、(B)は、スーパーマーケットなどの小売店で商品を扱う際の商品管理を
行うためのICチップ902を物品903に貼付した例であり、本発明はリーダ/ライタ
901によってバッグ904内の物品903に貼り付けされたICチップ902に内蔵さ
れた物品についての個体情報の読み取り/書き込みを行うことによって、コンピュータ9
05に照会し、万引きなどの被害を防ぐことも可能である。バッグ904内の物品903
に貼り付けされたICチップ902に内蔵された物品903の個体情報について、店舗で
の購入について代金の授受等の情報の読み取り/書き込みを行うことができる。
【0087】
本発明の情報処理装置は、常設型の情報処理装置、または携帯型情報処理装置に限らず
あらゆる形状に適用することが可能であり、様々な環境下(亜熱帯、砂漠、寒冷地等)、
もしくは寒暖の差が激しい地域においても、定期的に信号の出力が最大になるような動作
を行うので、周囲温度が変化し、アンテナ回路の共振容量値が変化しても、最大の信号を
得ることができる。その結果、ICチップの情報の読み取れない等の不具合を少なくする
ことができる。
【0088】
図10はICタグ用情報処理装置に上記実施の形態で示した本発明のリーダ/ライタを
適用した例について示したものである。図10において、1001はリーダ/ライタ、1
002はICチップ、1003はICタグ、1004は衣服、1005はコンピュータで
ある。
【0089】
図10は、ICチップ1002を内蔵したICタグ1003が取り付けられた衣服10
04の商品管理の例であり、本発明はリーダ/ライタ1001によってこのICタグ10
03内におけるICチップ1002の情報の読み取り/書き込みを行うことによって、コ
ンピュータ1005に照会し、在庫管理を容易にすることが可能である。
【0090】
本発明の情報処理装置は、常設型の情報処理装置、または携帯型情報処理装置に限らず
あらゆる形状に適用することが可能であり、様々な環境下(亜熱帯、砂漠、寒冷地等)、
もしくは寒暖の差が激しい地域においても、定期的に信号の出力が最大になるような動作
を行うので、周囲温度が変化し、アンテナ回路の共振容量値が変化しても、最大の信号を
得ることができる。その結果、ICチップの情報の読み取れない等の不具合を少なくする
ことができる。
【0091】
なお、本実施例に示した例はごく一例であり、これらの用途に限定するものではないこ
とを付記する。
【0092】
以上の様に、本発明の適用範囲は極めて広く、周囲温度が変化し、アンテナ回路の共振
容量値が変化する条件下においても、本発明の情報処理装置は物品の個体認識用のICチ
ップの情報の読み込み/書き込みを最大の信号にて行うことが可能である。また、本実施
例は上記実施の形態のどのような組み合わせからなる構成を用いても実現することができ
る。
【実施例2】
【0093】
本実施例においてセキュリティ確保を目的として、多様な物品へICチップを実装し、
各所に設けられた情報処理装置において実装された物品の情報について読み込み/書き込
みを行う場合を説明する。セキュリティ確保とは、盗難防止又は犯罪防止の面から捉える
ことができる。
【0094】
本実施例においては、屋外において、自動車などの走行物にICチップを実装し、各所
に設けられたリーダ/ライタによって走行中の自動車の情報の読み込み/書き込みを行う
場合について説明する。
【0095】
図11に示すように、自動車にICチップを実装する。例えば、自動車1101のナン
バープレート、フロントガラス、ハンドル等にICチップを実装することができる。図1
1において、1102は道路、1103は支柱、1104はICチップ、1105A、1
105B、1105Cはリーダ/ライタである。
【0096】
ICチップ1104には、製造日、製造場所、車種、所有者の個人情報等の基本事項を
記録する。このような基本事項は、書き換え、付け替えを未然に防止することができるよ
うに、MROM等の書き換え不能なメモリを用いて記録し、物品の内部に埋め込んでおく
とよい。
【0097】
図11に示すように、道路1102を走行する自動車1101の情報を特定するために
リーダ/ライタを道路1102の至る所に配置する。上方よりリーダ/ライタで自動車1
101のICチップ1104の情報を読み込み/書き込みを行う場合には、リーダ/ライ
タ1105Aを支柱1103に固定すればよい。また図11のように、下方よりリーダ/
ライタで自動車1101のICチップ1104の情報を読み込み/書き込みを行う場合に
は、道路1102表面に設けられた道路標識等に、リーダ/ライタ1105Bを予め埋め
込んでおいてもよい。また、走行中でも自動車1101のICチップ1104の情報を読
み込み/書き込みを行う場合は、リーダ/ライタ1105Cを自動車の走行方向に等間隔
で配列して設ければよい。
【0098】
図12にフローチャートの概略について示す。リーダ/ライタは、走行中の自動車に設
けられたICチップ1104の情報を読み出し、盗難された自動車かどうか犯罪に使われ
た自動車でないかについて、リーダ/ライタに接続されたコンピュータのデータベースに
照会する。そして、盗難された自動車かどうか犯罪に使われた自動車に該当する場合には
コンピュータは、直ちに警察、所有者等に連絡し、該当する車両に警告を発することがで
きる。
【0099】
本発明の情報処理装置には、上記実施の形態で示したリーダ/ライタを適用する。屋外
にリーダ/ライタを設置する場合、季節や天候等の様々な条件により、外気気温が上下し
、そのため周囲温度が変化し、アンテナ回路の共振容量値が変化する。本発明は様々な環
境下(亜熱帯、砂漠、寒冷地等)、もしくは寒暖の差の激しい地域においても、定期的に
信号の出力が最大になるような動作を行うので、周囲温度が変化し、アンテナ回路の共振
容量値が変化しても、最大の信号を得ることができる。その結果、ICチップの情報の読
み取れない等の不具合を少なくすることができる。
【0100】
また、本発明の情報処理装置は、全ての道路に配置する必要がなく、交通量の多い幹線
道路や、空港や港につながる道路に予め配置すればよい。
【0101】
なお、本実施例において、走行物は自動車としたが、これに限定されない。本実施例は
、鉄道上を走行する列車であってもよいし、歩道を走行する人間、動物、または自転車で
あってもよい。もちろん、走行物に搭載した物品の情報を取得する手段として、リーダ/
ライタを用いて、データベースに照会してもよい。この場合、ICチップは盗難物のおそ
れのある物品等に予め貼り付けしておけばよい。
【0102】
なお、本実施例に示した例はごく一例であり、これらの上述の例に限定するものではな
いことを付記する。
【0103】
以上の様に、本発明の適用範囲は極めて広く、周囲温度が変化し、アンテナ回路の共振
容量値が変化する条件下においても、本発明の情報処理装置は物品の個体認識用のICチ
ップの情報の読み込み/書き込みを最大の信号にて行うことが可能である。また、本実施
例は実施形態のどのような組み合わせからなる構成を用いても実現することができる。
【符号の説明】
【0104】
101 リーダ/ライタ
102 アンテナユニット
103 コンピュータ
104 ICチップ
105 受信信号発生回路
106 送信信号発生回路
107 レベル検出回路
108 D/Aコンバータ
109 マイクロコンピュータ
110 アンテナ回路
111 共振容量
112 可変容量素子
113 アンテナ
201 ダイオード
202 コンデンサ
203 A/Dコンバータ
204 チョークコイル
401 カップリングコンデンサ
402 電圧供給抵抗
403 可変容量ダイオード
601 リーダ/ライタ
602 アンテナユニット
603 コンピュータ
604 ICチップ
605 受信信号発生回路
606 送信信号発生回路
607 レベル検出回路
608A D/Aコンバータ
608B D/Aコンバータ
609 マイクロコンピュータ
610 アンテナ回路
611 共振容量
612 可変容量素子
613 アンテナ
615 マッチング回路
616 共振容量
617 可変容量素子
618A コイル
618B コイル
701 カップリングコンデンサ
702 電圧供給抵抗
703 可変容量ダイオード
801 ICカード
802 ICチップ
803 リーダ/ライタ
805 コンピュータ
901 リーダ/ライタ
902 ICチップ
903 物品
904 バッグ
905 コンピュータ
1001 リーダ/ライタ
1002 ICチップ
1003 ICタグ
1004 衣服
1005 コンピュータ
1101 自動車
1102 道路
1103 支柱
1104 ICチップ
1105A リーダ/ライタ
1105B リーダ/ライタ
1105C リーダ/ライタ
1301 ICチップ
1302 リーダ/ライタ
1303 上位装置
1304 受信部
1305 送信部
1306 制御部
1307 インターフェース部
1308 アンテナ
1309 共振容量
1310 アンテナ回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
LC共振回路と、
マイクロコンピュータと、
前記マイクロコンピュータと、前記LC共振回路との間に電気的に接続された第1の回路と、
前記マイクロコンピュータと、前記LC共振回路との間に電気的に接続された第2の回路と、
前記マイクロコンピュータと、前記LC共振回路との間に電気的に接続された第3の回路と、
前記マイクロコンピュータと、前記LC共振回路が有する第1の可変容量素子との間に電気的に接続された第4の回路とを有する電子機器であって、
前記電子機器は、前記マイクロコンピュータにより、前記LC共振回路からの出力を定期的にキャリブレーションする機能を有し、
前記キャリブレーションは、
前記マイクロコンピュータから前記第1の回路へ第1の信号が入力される第1のステップと、
前記第1の回路から前記LC共振回路へ第2の信号が入力される第2のステップと、
前記マイクロコンピュータから前記第4の回路へ、前記第4の回路の出力電圧を変化させる第3の信号が入力される第3のステップと、
前記第4の回路から出力された出力電圧が、前記LC共振回路が有する前記第1の可変容量素子へ入力される第4のステップと、
前記LC共振回路から出力された第4の信号が前記第3の回路に入力される第5のステップと、
前記第3の回路から出力された第5の信号が前記マイクロコンピュータに入力される第6のステップと、を有し、
前記マイクロコンピュータは、前記第4の回路から出力された出力電圧により変化する前記第5の信号と、前記第1の信号に基づき、前記LC共振回路からの出力が最大となる判断を行う
ことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
請求項1において、
前記LC共振回路と、前記第1の回路との間に電気的に接続された第5の回路と、
前記マイクロコンピュータと、前記第5の回路が有する第2の可変容量素子との間に電気的に接続された第6の回路を有し、
前記第6のステップの後、
前記第1の回路から前記LC共振回路へ第6の信号が入力される第7のステップと、
前記マイクロコンピュータから前記第6の回路へ、前記第6の回路の出力電圧を変化させる第7の信号が入力される第8のステップと、
前記第6の回路から出力された出力電圧が、前記第5の回路が有する前記第2の可変容量素子へ入力される第9のステップと、
前記LC共振回路から出力された第8の信号が、前記第3の回路に入力される第10のステップと、
前記第3の回路から出力された第9の信号が前記マイクロコンピュータに入力される第11のステップと、を有し、
前記マイクロコンピュータは、前記第4の回路から出力された出力電圧により変化する前記第9の信号と、前記第6の信号とに基づき、前記LC共振回路からの出力が最大となる判断を行う
ことを特徴とする電子機器。
【請求項3】
請求項1又は2において、
前記マイクロコンピュータは、前記キャリブレーションを行っていないときに、前記LC共振回路からの出力が最大となる設定を行う
ことを特徴とする電子機器。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一において、
前記第3の回路は、ダイオードを有することを特徴とする電子機器。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一において、
前記第3の回路は、コンデンサを有することを特徴とする電子機器。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一において、
前記第3の回路は、A/Dコンバータを有し、
前記第5の信号は、前記A/Dコンバータによって変換されたデジタル信号であることを特徴とする電子機器。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか一において、
前記LC共振回路からの出力は電磁波であることを特徴とする電子機器。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか一において、
前記LC共振回路は複数設けられることを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−118934(P2011−118934A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−48953(P2011−48953)
【出願日】平成23年3月7日(2011.3.7)
【分割の表示】特願2006−68685(P2006−68685)の分割
【原出願日】平成18年3月14日(2006.3.14)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】