説明

電子機器

【課題】本発明は、配線部の強度を向上させることができる電子機器を得ることにある。
【解決手段】第1壁部100aと、互いに対向するとともに前記第1壁部100aから突出した一対の第2壁部100bと、この第2底壁部100bの前記第1壁部100aから離れた端部100dと連続した内面14とを有した絶縁性の筐体4と、前記筐体4に収容され、前記内面14に設けられた第1収容部品26と、前記筐体4に収容され、前記内面14に設けられた第2収容部品31と、前記一対の第2壁部100bの間に埋め込まれ、前記第1収容部品26と前記第2収容部品31とを電気的に接続した導電性接着剤20と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばポータブルコンピュータのような携帯性を重視する電子機器では、その外郭となる筐体を薄くコンパクトに形成したいという要求がある。
この筐体の薄型化を実現するため、例えば特許文献1に開示された電子機器では、筐体の内面に導電性接着剤を印刷することで配線パターンを一体に形成し、この配線パターンのランド部にコネクタのような回路部品を接着することが行われている。
【0003】
この構成によれば、配線パターンを形成する導電性接着剤を利用して、配線パターンと回路部品との間を電気的に接続することができる。よって、筐体の小型化および省スペース化を図ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−268521号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、回路部品が筐体の内面に直に接着されている。この構成によると、例えば筐体に何らかの外力が作用して筐体が撓んだ時に、回路部品と配線パターンとの接着部分に応力が生じ、接着部分が破壊されたり損傷することがあり得る。
【0006】
本発明の目的は、配線パターンの強度を向上させることができる電子機器を得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の一つの形態に係る電子機器は、第1壁部と、互いに対向するとともに前記第1壁部から突出した一対の第2壁部と、この第2底壁の前記第1壁部から離れた端部と連続した内面とを有した絶縁性の筐体と、前記筐体に収容され、前記内面に設けられた第1収容部品と、前記筐体に収容され、前記内面に設けられた第2収容部品と、前記一対の第2壁部の間に埋め込まれ、前記第1収容部品と前記第2収容部品とを電気的に接続した導電性接着剤と、を有することを特徴とする。
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の一つの形態に係る電子機器は、内面と、第1壁部と、前記内面と前記第1壁部とに亘るとともに該第1壁部とは交差する方向に延びた第2壁部とを有した絶縁性の筐体と、前記筐体に収容された収容部品と、前記第1壁部と前記第2壁部とに跨って塗布され、前記収容部品と電気的に接続した第1端部と、この第1端部とは異なる位置に設けられた第2端部とを有した導電性接着剤と、を有することを特徴とする。
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の一つの形態に係る電子機器は、第1壁部と、該第1壁部とは交差する方向に延びた第2壁部とを有した絶縁性の筐体と、前記筐体に収容された収容部品と、前記第1壁部と前記第2壁部とに跨って塗布され、前記収容部品と電気的に接続した第1端部と、この第1端部とは異なる位置に設けられた第2端部とを有した導電性接着剤と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、配線部の強度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るポータブルコンピュータの斜視図。
【図2】本発明の第1の実施の形態において、複数の信号配線および複数の接着剤充填部が形成された筐体と、接続端子を有するコネクタとの位置関係を分解して示す斜視図。
【図3】本発明の第1の実施の形態において、筐体のコネクタ実装領域に導電性接着剤を介してコネクタを接着した状態を示す断面図。
【図4】本発明の第1の実施の形態において、信号配線および接着剤充填部が形成された筐体とコネクタとの位置関係を示す断面図。
【図5】本発明の第1の実施の形態において、筐体に形成された信号配線とプリント回路板との間をゴムコネクタで電気的に接続した状態を示す断面図。
【図6】図5のF6-F6線に沿う断面図。
【図7】本発明の第1の実施の形態において、ゴムコネクタをプリント回路板と筐体の底壁との間で加圧する以前の状態を示す断面図。
【図8】本発明の第2の実施の形態において、複数の信号配線および複数の接着剤充填部が形成された筐体と、接続端子を有するコネクタとの位置関係を分解して示す斜視図。
【図9】本発明の第2の実施の形態において、筐体に形成された信号配線とプリント回路板との間をゴムコネクタで電気的に接続した状態を示す断面図。
【図10】図2に示したポータブルコンピュータにおける溝部100周辺の構成を示した図である。
【図11】本発明のポータブルコンピュータの第1の変形例における溝部周辺の構成を示した図である。
【図12】本発明のポータブルコンピュータの第2の変形例における溝部周辺の構成を示した図である。
【図13】本発明のポータブルコンピュータの第2の実施例における溝部周辺の構成を示した図である。
【図14】本発明のポータブルコンピュータの第3の実施例における溝部周辺の構成を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下本発明の実施の形態を図1ないし図7に基づいて説明する。
図1は、電子機器の一例であるポータブルコンピュータ1を開示している。ポータブルコンピュータ1は、コンピュータ本体2とディスプレイモジュール3とで構成されている。
【0013】
コンピュータ本体2は、筐体4を備えている。筐体4は、例えば合成樹脂材料により成形されて、電気絶縁性を有している。筐体4は、底壁4a、上壁4bおよび側壁4cを有する偏平な箱状をなしている。筐体4の上壁4bは、キーボード5を支持している。側壁4cは、底壁4aの側縁から起立している。四角い開口部6が筐体4の側壁4cに設けられている。
【0014】
図1に示すように、ディスプレイモジュール3は、ディスプレイ筐体7と、このディスプレイ筐体7に収容された液晶ディスプレイパネル8とを備えている。ディスプレイ筐体7は、コンピュータ本体2と略同じ大きさを有する偏平な箱状をなしている。液晶ディスプレイパネル8は、画像情報や文字情報を表示するスクリーン8aを有している。スクリーン8aは、ディスプレイ筐体7の前面からディスプレイ筐体7の外に露出されている。
【0015】
ディスプレイモジュール3は、コンピュータ本体2の後端部に図示しないヒンジを介して支持されている。そのため、ディスプレイモジュール3は、キーボード5を覆うようにコンピュータ本体2の上に横たわると閉じ位置と、キーボード5およびスクリーン8aを露出させるようにコンピュータ本体2の後端部から起立する開き位置との間で回動可能となっている。
【0016】
図1および図2に示すように、側壁4cの開口部6にコネクタ10が配置されている。コネクタ10は、例えば外部モニタのような周辺機器(図示せず)を接続するためのものである。コネクタ10は、複数の接続端子12を有している。接続端子12は、コネクタ10のフラットな下面13にマトリクス状に配列されている。
【0017】
コネクタ10は、筐体4の底壁4aの内面14の上に支持されている。筐体4の内面14は、コネクタ実装領域15を有している。コネクタ実装領域15は、前記コネクタ10を筐体4に固定するための領域であって、前記開口部6に隣接されている。
【0018】
図2ないし図4に示すように、複数の接着剤充填部16がコネクタ実装領域15に設けられている。接着剤充填部16は、コネクタ10の接続端子12に対応するように隔壁17によって格子状に区画されている。隔壁17は、底壁4aの内面14から筐体4の内側に向かって突出するリブ状をなしており、各接着剤充填部16を取り囲んでいる。各接着剤充填部16は、底壁4aの上方に向けて開放されているとともに、コネクタ10の各接続端子12よりも大きな形状を有している。
【0019】
隔壁17は、複数の配線導入部19を備えている。配線導入部19は、夫々接着剤充填部16に開口するスリット状をなしている。配線導入部19に対応する位置では、底壁4aの内面14が露出されている。
【0020】
図2に示すように、底壁4aの内面14に複数の信号配線20が一体的に設けられている。信号配線20は、底壁4aの内面14に設けられた溝部100内に導電性接着剤をライン状に埋め込むように塗布することで構成されている。信号配線20は、コネクタ10と電気的に接続した第1の端部20Sと、この第1の端部20Sとは反対側に位置し、回路基板26と電気的に接続した第2の端部20Tとを有する。尚、第1の端部20S・第2の端部20Tは、例えば筐体4の内面に設けられたグランド部(図示していない)に接続されたアースの役割を果たすこともできる。溝部100は、筐体4の幅方向に延びているとともに、互いに間隔を存して平行に配置されている。底壁4aの内面14に導電性接着剤を塗布する方法としては、例えばスクリーン印刷法又はディスペンス法を用いることができる。尚、本実施例における溝部100の構成については、図10乃至図14を参照しながら後述する。
【0021】
信号配線20の一端は、個々に隔壁17の配線導入部19から接着剤充填部16に入り込んでいる。信号配線20の一端に図2に示すようなランド21が形成されている。ランド21は、接着剤充填部16の底に位置されている。
【0022】
図3および図4に示すように、コネクタ10は、隔壁17の上に重ね合わされている。コネクタ13の下面14は、接着剤充填部16の開放端を上方から塞いでいる。これにより、コネクタ10の接続端子12が接着剤充填部16に入り込んで、ランド21の上に積層されている。
【0023】
導電性接着剤23が接着剤充填部16に充填されている。導電性接着剤23は、接続端子12およびランド21を一体的に覆った状態で硬化されている。隣り合う接着剤充填部16に充填された導電性接着剤23は、隔壁17によって電気的に絶縁された状態に保たれている。
【0024】
そのため、コネクタ10は、導電性接着剤23を介して筐体4のコネクタ実装領域15に固定されて、コネクタ10の接続端子12が信号配線20のランド21に電気的に接続された状態に保たれている。
【0025】
図2に示すように、信号配線20のランド21とは反対側の他端は、コネクタ実装領域15から遠ざかる方向に導かれるとともに、底壁4aの内面14の上で互いに間隔を存して一列に並んでいる。
【0026】
さらに、筐体4の内部にプリント回路板25が収容されている。図5に示すように、プリント回路板25は、回路基板26と、この回路基板26の下面の一端に形成された複数のパッド27とを有している。パッド27は、プリント回路板25の導体パターンに電気的に導通された端子部の一例であり、信号配線20の他端に対応するように間隔を存して一列に並んでいる。
【0027】
回路基板26の一端は、底壁4aの内面14から突出する一対のボス部28a,28bの上に固定具としてのねじ29を介して固定されている。そのため、回路基板26は、底壁4aの内面14と平行に配置されており、これら回路基板26と底壁4aの内面14との間にボス部28a,28bの高さに相当する隙間30が形成されている。
【0028】
回路基板26のパッド27は、信号配線20の他端と向かい合っている。パッド27と信号配線20の他端との間は、ゴムコネクタ31を介して電気的に接続されている。ゴムコネクタ31は、別名「エラスティックコネクタ」とも呼ばれており、筐体4の底壁4aと回路基板26の一端との間に介在されている。
【0029】
図5ないし図7に示すように、ゴムコネクタ31は、コネクタボディ32と複数の金属線33とを備えている。コネクタボディ32は、例えばシリコーンゴムのようなゴム状弾性体で構成されて、信号配線20の他端を横断する方向に延びる細長い形状を有している。そのため、コネクタボディ32は、第1の端部32aと、第1の端部32aの反対側32aに位置された第2の端部32bとを有している。第1の端部32aおよび第2の端部32bは、コネクタボディ32の長手方向に互いに離れている。
【0030】
金属線33は、導体の一例であって、コネクタボディ32を厚み方向に貫通するようにコネクタボディ32に一体的に埋設されている。さらに、金属線33は、コネクタボディ32の長手方向に間隔を存して一列に並んでいる。
【0031】
コネクタボディ32は、筐体4の底壁4aと回路基板26との間で厚み方向に圧縮されている。この圧縮により、金属線33の一端が信号配線20に接触するとともに、金属線33の他端がパッド27に接触する。よって、信号配線20の他端とパッド27との間は、金属線33を介して電気的に接続されている。
【0032】
図2および図5に示すように、筐体4の底壁4aの内面14に、筐体4に対するゴムコネクタ31の取り付け位置を定めるホルダ部35が一体に設けられている。本実施の形態のホルダ部35は、第1の係合部36および第2の係合部37を有している。
【0033】
第1の係合部36は、底壁4aの内面14から上向きに突出するリブ状をなしており、コネクタボディ32の第1の端部32aを三方向から取り囲むことで、第1の端部32aを拘束している。同様に、第2の係合部37は、底壁4aの内面14から上向きに突出するリブ状をなしており、コネクタボディ32の第2の端部32bを三方向から取り囲むことで、第2の端部32bを拘束している。このため、第1および第2の係合部36,37は、コネクタボディ32の長手方向に互いに離れている。
【0034】
コネクタボディ32は、第1の係合部36と第2の係合部37との間に跨るようにホルダ部35に保持されており、これにより、筐体4の幅方向および奥行き方向に沿うコネクタボディ32の位置決めがなされている。
【0035】
さらに、第1および第2の係合部36,37は、回路基板26が固定されたボス部28a,28bの間に位置されている。第1および第2の係合部36,37の高さ寸法H1は、ボス部28a,28bの高さ寸法H2と同等となっている。これにより、回路基板26をボス部28a,28bに固定した状態では、第1および第2の係合部36,37の上端が回路基板26の下面に突き当たって、回路基板26を底壁4aの方向から受け止めている。
【0036】
図7に示すように、第1および第2の係合部36,37の高さ寸法H1は、コネクタボディ32が圧縮前の自由状態にある時の前記コネクタボディ32の厚み寸法H3よりも小さく設定されている。このため、図2に示すように、回路基板26をボス28a,28bに固定する以前の状態では、コネクタボディ32の上端部が第1および第2の係合部36,37の上端から上方に張り出している。
【0037】
次に、筐体4の底壁4aに印刷された信号配線20とプリント回路板25のパッド27との間を、ゴムコネクタ31を用いて接続する手順について説明する。
まず、コネクタボディ32の第1の端部32aをホルダ部35の第1の係合部36に嵌め込むとともに、コネクタボディ32の第2の端部32bをホルダ部35の第2の係合部37に嵌め込む。これにより、筐体4の底壁4aに対するゴムコネクタ31の位置が定まる。ゴムコネクタ31の位置決めがなされた状態では、図2および図7に示すように、コネクタボディ32の上端部が第1および第2の係合部36,37から上方に張り出している。
【0038】
次に、プリント回路板25を底壁4aから突出するボス部28a,28bの上端にねじ29を介して固定する。この固定により、プリント回路板25の回路基板26がコネクタボディ32の上端部に接触して、コネクタボディ32を筐体4の底壁4aに向けて押圧する。
【0039】
この結果、コネクタボディ32が底壁4aと回路基板26との間で厚み方向に圧縮される。さらに、回路基板26の下面がホルダ部35の第1および第2の係合部36,37の上端に突き当たり、これら第1および第2の係合部36,37によって回路基板26が下方から受け止められる。
【0040】
これにより、回路基板26と底壁4aとの間の距離が定まり、コネクタボディ32の圧縮量が制御される。言い換えると、ホルダ部35の第1および第2の係合部36,37は、筐体4の底壁4aに対するコネクタボディ32の位置を決めると同時に、コネクタボディ32の過度の圧縮を制限する。
【0041】
コネクタボディ32が回路基板26と底壁4aとの間で圧縮されると、金属線33の一端が適切な圧力で信号配線20に接触する。同様に、金属線33の他端が適切な圧力でプリント回路板25のパッド27に接触する。よって、筐体4の信号配線20とプリント回路板25との間がゴムコネクタ31を介して電気的に接続された状態に維持される。
【0042】
このような第1の実施の形態によると、筐体4の底壁4aに対するコネクタボディ32の取り付け位置を定めるホルダ部35は、底壁4aの内面14から突出するように筐体4に一体に設けられている。しかも、ホルダ部35の第1および第2の係合部36,37の高さ寸法H1は、圧縮前のコネクタボディ32の厚み寸法H3よりも低く設定されている。
【0043】
このため、プリント回路板25の回路基板26をボス部28a,28bの上に固定すると、ホルダ部35の第1および第2の係合部36,37の先端が回路基板26の下面に突き当たり、コネクタボディ32の過度の圧縮を制限する。
【0044】
言い換えると、ホルダ部35の第1および第2の係合部36,37の高さ寸法H1は、コネクタボディ32の圧縮量が適切となるように設定されており、コネクタボディ32の圧縮量を制御している。したがって、コネクタボディ32に埋設された金属線33の座屈を防ぎつつ、金属線33と信号配線20および金属線33とパッド27との接触圧を適正に保つことができ、電気的な接続の信頼性を高めることができる。
【0045】
第1の実施の形態によると、コネクタボディ32の圧縮量を制御するホルダ部35は、筐体4の底壁4aに一体に設けられている。そのため、ゴムコネクタ31の圧縮量を制御する専用のコネクタホルダを省略することができ、ポータブルコンピュータ1の部品点数を削減できる。
【0046】
それとともに、コネクタホルダを支える専用の構成要素を筐体4の底壁4aに付加する必要もなく、筐体4の構造の簡略化は勿論のこと、ポータブルコンピュータ1を組み立てる際の作業工数を減らすことができる。
【0047】
よって、ポータブルコンピュータの製造コストを低減でき、安価なポータブルコンピュータ1を提供できるといった利点がある。
本発明は、前記第1の実施の形態に特定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々変形して実施可能である。
例えば、図8および図9は本発明の第2の実施の形態を開示している。第2の実施の形態は、信号配線20が設けられた筐体4の底壁4aを補強するようにした点が前記第1の実施の形態と相違しており、それ以外のポータブルコンピュータ1の基本的な構成は第1の実施の形態と同様である。そのため、第2の実施の形態において、第1の実施の形態と同一の構成部分には同一の参照符号を付して、その説明を省略する。
【0048】
図8に示すように、筐体4の底壁4aの内面14に一対の凸部41a,41bが一体に設けられている。凸部41a,41bは、底壁4aから起立するとともに、信号配線20に沿うように信号配線20と平行に配置されている。本実施の形態では、信号配線40が凸部41a,41bの間に位置されている。
【0049】
さらに、凸部41a,41bは、ホルダ部35の第1の係合部36と筐体4の側壁4cとの間、およびホルダ部35の第2の係合部37と筐体4の側壁4cとの間を結ぶように互いに間隔を存して平行に配置されている。したがって、ホルダ部35の第1および第2の係合部36,37と凸部41a,41bとは、筐体4の底壁4aから起立する一体構造物となっている。
【0050】
このような構成によれば、筐体4の底壁4aから起立する凸部41a,41bの間に信号配線20が位置されている。そのため、凸部41a,41bが底壁4aのうち信号配線20が形成された領域を補強するリブとしての機能を果たす。このため、底壁4aの剛性が強化されて底壁4aが撓み難くなり、導電性接着剤で底壁4aに設けられた信号配線20の断線や損傷を防止することができる。
【0051】
なお、凸部は隣り合う信号配線の間に形成してもよい。この構成によれば、凸部と信号配線とが底壁の上で交互に並ぶので、底壁の剛性がより向上するとともに、個々の信号配線を凸部によって保護することができる。
【0052】
前記第1の実施の形態では、筐体を合成樹脂材料により形成したが、例えばマグネシウムやアルミニウムのような金属材料で形成してもよい。筐体を金属製とした場合、例えば筐体の内面に絶縁層をコーティングすることで筐体に電気絶縁性を付与するとともに、この絶縁層の上に信号配線を設ければよい。
【0053】
さらに、ホルダ部は、コネクタボディの第1および第2の端部を取り囲む構造に特定されるものではなく、例えばコネクタボディが全体的に嵌まり込む形状としてもよい。
【0054】
次に、図10乃至図14を参照しながら、本実施例における溝部100の構成について説明する。先ず、図10を参照しながら図2に示した溝部100の構成を説明する。図10は、図2に示したポータブルコンピュータにおける溝部100周辺の構成を示した図である。
【0055】
図10に示すように、本実施例の筐体4の内面14には、信号配線20が配線される溝部100が設けられている。溝部100は、底壁部100aと、突出部100bと、側壁部100cと、端部100dとを有する。底壁部100aは、内面14に沿って延びた平坦な面である。側壁部100cは、内面14に沿って延びた平坦な面であり、底壁部100aと内面14とに亘る。端部100dは、側壁部100cと内面14とで規定される角部分であり、内面14と連続している。
【0056】
突出部100bは、底壁部100aから筐体4内部に向かって突出した形状を有する。突出部100bの高さ、即ち突出部100bと底壁部100aとの距離は、信号配線20の高さより高い。従って、図10に示すように信号配線20は、全体が溝部100内に収容されている状態で設けられる。
【0057】
このような構成により、例えば溝部100周辺に設けられ、定位置又は定姿勢に固定されていない収容部品が内面14に接触することがあっても、信号配線20が剥離したり、断線したりする可能性を低減できる。尚ここでは、内面14と突出部100bとは略同一の高さに設けられた例を示したが、これに限らず信号配線20が内面14又は突出部100b以上に筐体4内部に向かって突出していない構成であればよい。
【0058】
本実施例の溝部100では、底壁部100aから延びた一対の側壁部100cは、それぞれ底壁部100aと略直交するように起立しているが、これに限らない。例えば、底壁部100aの幅を一対の端部100dの間隔よりも広くなるように側壁部100cを構成する場合、即ち一対の側壁部100cが底壁部100aから筐体4内部に向かって其々拡開するように延びた形状を有する場合、信号配線20の塗布行程が簡易となる。当該形状は、例えば、信号配線20が塗布し難い、筐体4の角部や側壁近傍等に信号配線20を配策する際に有効である。
【0059】
一方、例えば、底壁部100aの幅を一対の端部100dの間隔よりも狭くなるように側壁部100cを構成する場合、即ち一対の側壁部100cが底壁部100aから筐体4内部に向かって其々閉じるように延びた形状を有する場合、信号配線20をより強固に保護することができる。当該形状は、例えば、定位置又は定姿勢に固定されていない収容部品が密集して設けられ箇所等に信号配線20を配策する際に有効である。このように、上記構成を信号配線20の設ける位置に応じて使い分けることによって、より好適に信号配線20を配策することができる。
【0060】
次に、図11及び図12を参照しながら、本実施形態の変形例を説明する。図11は、本実施形態に係るポータブルコンピュータの第1の変形例における溝部周辺の構成を示した図である。図12は、本実施形態に係るポータブルコンピュータの第2の変形例における溝部周辺の構成を示した図である。なお上記第1の実施形態の構成と同一または類似の機能を有する構成は、同一の符号を付してその説明を省略する。また、下記に説明する以外の構成は、上記第1の実施形態と同じである。
【0061】
先ず、図11を参照しながら本実施例の第1の変形例を説明する。図11に示す通り、本実施例の第1の変形例では、溝部100における一対の側壁部100cが、底壁部100aの構成を担っている。即ち、一対の側壁部100cが信号配線20を筐体4の底面側で支持した構成を有している。このように構成することで、上記第1の実施形態と同様の効果を得ることができるとともに、溝部100をより簡易に設けることが可能となる。また、上記第1の実施形態と比較して筐体4の内面14が削られる量は低減されるため、その分筐体4の剛性が高い。また、信号配線20が流れ込み易い形状であるため、充填性が向上する。
【0062】
次に、図12を参照しながら本実施例の第2の変形例を説明する。図12に示す通り、本実施例の第2の変形例では、溝部100における底壁部100aが筐体4の外部に向かって湾曲した構成を有する。このように構成することで、上記第1の実施形態と同様の効果を得ることができるとともに、溝部100と信号配線20との接着面積を増加させることができる。また、上記第1の実施形態と比較して信号配線20を多く収容することができるため、その分電気的導通性が安定する。また、信号配線20が流れ込み易い形状であるため、充填性が向上する。また、断面がU字形状を有するため、角が無く、亀裂等が筐体4に発生する可能性を低減することが出来る。
【0063】
次に、図13を参照しながら、本実施形態の第2の実施例を説明する。図13は、本ポータブルコンピュータの第2の実施例における溝部周辺の構成を示した図である。なお上記第1の実施形態の構成と同一または類似の機能を有する構成は、同一の符号を付してその説明を省略する。また、下記に説明する以外の構成は、上記第1の実施形態と同じである。
【0064】
図13に示すように、第2の実施形態におけるパーソナルコンピュータでは、筐体4の内面にシール部材101が設けられている。シール部材101は、例えば薄膜の絶縁性フィルム部材や、絶縁性の塗料等により構成され、絶縁層として機能する。本実施例では、シール部材101を有することより、信号配線20が筐体4の内面に露出されることがなく、該信号配線20をより強固に保護することができる。
【0065】
次に、図14を参照しながら、本実施形態の第3の実施例を説明する。図14は、本ポータブルコンピュータの第3の実施例における溝部周辺の構成を示した図である。なお上記第1の実施形態の構成と同一または類似の機能を有する構成は、同一の符号を付してその説明を省略する。また、下記に説明する以外の構成は、上記第1の実施形態と同じである。
【0066】
図14に示すように、第3の実施形態におけるパーソナルコンピュータでは、筐体4の内面にリブ102が設けられている。該リブ102には溝部100が設けられる。本実施例のリブ102に設けられる溝部100は、例えば筐体4の内面を削って設けられる溝よりも深く構成することがかのうである。これにより、信号配線20が筐体4の内面に露出されることがなく、該信号配線20をより強固に保護することができる。
【0067】
本発明の電子機器は、パーソナルコンピュータに限らず、例えばテレビジョン受像機等の機器にも実施可能である。その他、電子機器は、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0068】
4…筐体
20…信号配線
26…回路基板
31…コネクタ(ゴムコネクタ)
32…コネクタボディ
33…導体(金属線)
35…ホルダ部
41a,41b…凸部
100…溝部
100a…底壁部
100b…突出部
100c…端部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1壁部と、互いに対向するとともに前記第1壁部から突出した一対の第2壁部と、この第2底壁の前記第1壁部から離れた端部と連続した内面とを有した絶縁性の筐体と、
前記筐体に収容され、前記内面に設けられた第1収容部品と、
前記筐体に収容され、前記内面に設けられた第2収容部品と、
前記一対の第2壁部の間に埋め込まれ、前記第1収容部品と前記第2収容部品とを電気的に接続した導電性接着剤と、
を有することを特徴とする電子機器。
【請求項2】
請求項1の記載において、
前記第1壁部は、前記第1収容部品と前記第2収容部品との間に位置することを特徴とする電子機器。
【請求項3】
請求項2の記載において、
前記第1壁部は、前記筐体の前記内面に設けられた凹部の底壁であり、前記第2壁部は、前記底壁の周縁に設けられ、該底壁と前記筐体の前記内面とに亘ることを特徴とする電子機器。
【請求項4】
請求項3の記載において、
前記第1壁部は、第1収容部品の実装領域まで延びた第1部分と、第2収容部品の実装領域まで延びた第2部分とを有することを特徴とする電子機器。
【請求項5】
請求項4の記載において、
前記第1壁部は、第1収容部品の実装領域まで延びた第1端部と、第2収容部品の実装領域まで延びた第2端部と、を有することを特徴とする電子機器。
【請求項6】
内面と、第1壁部と、前記内面と前記第1壁部とに亘るとともに該第1壁部とは交差する方向に延びた第2壁部とを有した絶縁性の筐体と、
前記筐体に収容された収容部品と、
前記第1壁部と前記第2壁部とに跨って塗布され、前記収容部品と電気的に接続した第1端部と、この第1端部とは異なる位置に設けられた第2端部とを有した導電性接着剤と、
を有することを特徴とする電子機器。
【請求項7】
請求項6の記載において、
前記筐体は、グランド部が設けられ、前記導電性接着剤の前記第2端部は、前記グランド部に接続されたことを特徴とする電子機器。
【請求項8】
請求項6の記載において、
前記筐体は、他の収容部品が収容され、前記導電性接着剤の前記第2端部は、前記他の収容部品に電気的に接続されたことを特徴とする電子機器。
【請求項9】
第1壁部と、該第1壁部とは交差する方向に延びた第2壁部とを有した絶縁性の筐体と、
前記筐体に収容された収容部品と、
前記第1壁部と前記第2壁部とに跨って塗布され、前記収容部品と電気的に接続した第1部分と、この第1部分とは異なる位置に設けられた第2部分とを有した導電性接着剤と、
を有することを特徴とする電子機器。
【請求項10】
請求項9の記載において、
前記筐体は、他の収容部品が収容され、前記導電性接着剤の前記第2部分は、前記他の収容部品に電気的に接続されたことを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−159762(P2011−159762A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−19685(P2010−19685)
【出願日】平成22年1月29日(2010.1.29)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】