説明

電子機器

【課題】少ない部品点数で筐体の配置関係を検出可能とする。
【解決手段】操作筐体2と表示筐体4とを重ね合わせ可能に接続するとともに、表示筐体4を、表示筐体4における操作筐体2に重ね合わせられる面にほぼ平行な面で回動可能となるように支持する支持筐体3を備える電子機器1である。支持筐体3は表示筐体4を縦状態横状態のいずれかの状態にするとともに、表示筐体4を操作筐体2に重ね合わせられた状態、または、操作筐体2に重ね合わせられていない状態のいずれかの状態とし、表示筐体4は縦状態または横状態の少なくとも一方の状態において支持筐体3と重なる部分に検出部60を備え、支持筐体3は縦状態または横状態のいずれか一方の状態において検出部60と対向する位置に第1の被検出部61を備え、操作筐体2は表示筐体4が操作筐体2に重ね合わせられた状態において検出部60と対向する位置に第2の被検出部62を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1の筐体及び第2の筐体を有する電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の携帯電話機等の電子機器には、操作部を有する操作筐体と、表示部を有し操作筐体に重ねあわされる表示筐体と、操作筐体に接続され、表示筐体を表示部の面方向に回転可能に支持する支持筐体とを有し、操作部に対する表示部の縦横方向を切り替えることができる、いわゆる回転機構を有するものが開発されている。
【0003】
このような電子機器では、表示筐体の縦横方向を切り替えるのに伴い、表示画像の縦横方向も切り替える必要があるため、表示筐体の縦横方向を検出する必要がある。
例えば、特許文献1に記載の携帯電話機では、支持筐体に3個の磁気センサを設け、表示筐体に設けた磁石による磁界を検出することにより、表示筐体の支持筐体に対する回転角度を検出する構造となっている。
なお、特許文献1に記載の携帯電話機では、表示筐体の操作部に対する位置を検出する方法については記載されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−319043号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、例えば図15に示すように、電子機器201の表示筐体204の操作筐体202に対する位置を検出するためには、表示筐体204に磁気センサ250Aを設けるとともに支持筐体203に縦横検出用磁石251を設けるほか、さらに操作筐体202に磁気センサ250Bを設けるとともに支持筐体203に開閉検出用磁石252,253を設ける必要があり、部品点数が増大するという問題があった。
【0006】
本発明の課題は、第1の筐体及び第2の筐体を有する電子機器において、少ない部品点数で筐体の配置関係を検出可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上の課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、第1の筐体と、第2の筐体と、前記第1の筐体と前記第2の筐体とを重ね合わせ可能に接続するとともに、前記第2の筐体を、前記第2の筐体における前記第1の筐体に重ね合わせられる面にほぼ平行な面において、前記第2の筐体を縦長の向きになる縦状態、または、横長の向きになる横状態のいずれかの状態に切替可能となるように支持する支持筐体とを備える電子機器において、前記第2の筐体は、前記縦状態または横状態の少なくとも一方の状態において前記支持筐体と重なる部分に検出部を備え、前記支持筐体は、前記縦状態または横状態のいずれか一方の状態において前記検出部と対向する位置に第1の被検出部を備え、前記第1の筐体は、前記第2の筐体が前記第1の筐体に重ね合わせられた状態において前記検出部と対向する位置に第2の被検出部を備えることを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の電子機器において、前記第1の被検出部と前記第2の被検出部とは、対向する位置において極性の方向がほぼ同じ向きであり、前記検出部は前記第1の被検出部及び前記第2の被検出部両方の極性の強度及び方向を検出することを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の電子機器において、前記第1の筐体は、前記縦状態または横状態のうち前記検出部と前記第1の被検出部とが対向しない一方の状態かつ前記第2の筐体が前記第1の筐体に重ね合わせられた状態において、前記検出部と対向する位置に第3の被検出部を備えることを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の電子機器において、前記第2の被検出部と第3の被検出部とは極性の方向がほぼ反対向きであることを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の電子機器において、前記支持筐体は前記第1の筐体に対して折り畳み可能に接続されていることを特徴とする。
【0012】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の電子機器において、前記支持筐体は前記第1の筐体に対してスライド可能に接続されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、第1の筐体及び第2の筐体を有する電子機器において、少ない部品点数で筐体の配置関係を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1実施形態に係る電子機器1Aを示す斜視図である。
【図2】(開・縦)状態の電子機器1Aを示す正面図である。
【図3】(開・縦)状態の電子機器1Aを示す側面図である。
【図4】(閉・縦)状態の電子機器1Aを示す側面図である。
【図5】(開・横)状態の電子機器1Aを示す正面図である。
【図6】(閉・横)状態の電子機器1Aを示す側面図である。
【図7】(開・縦)状態の電子機器1Bを示す側面図である。
【図8】(閉・縦)状態の電子機器1Bを示す側面図である。
【図9】(開・横)状態の電子機器1Bを示す正面図である。
【図10】(閉・横)状態の電子機器1Bを示す側面図である。
【図11】(上・縦)状態の電子機器101を示す斜視図である。
【図12】(下・縦)状態の電子機器101を示す斜視図である。
【図13】(上・横)状態の電子機器101を示す斜視図である。
【図14】(下・横)状態の電子機器101を示す斜視図である。
【図15】従来の電子機器201を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明を実施するための最良の形態について図面を用いて説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0016】
〔第1実施形態〕
図1は本発明の第1実施形態に係る電子機器1Aを示す斜視図である。この電子機器1Aは、折り畳み機構及び回転機構を有する携帯電話機であり、操作筐体2と、支持筐体3と、表示筐体4とを備える。操作筐体2はテンキー21、カーソルキー22、メニューキー23等の操作部20を有し、支持筐体3に対してヒンジ部5で接続されている。表示筐体4は液晶画面等の表示部40を有し、支持筐体3に対して図示しない回転機構により面方向に回転可能に接続されている。
【0017】
表示筐体4及び支持筐体3は、ヒンジ部5を動かすことで、操作筐体2に対して操作部20と表示部40とが対向するように重ね合わせられた状態(閉状態)、または、操作部20及び表示部40が使用者側に向くように開いた状態(開状態)とすることができる。
また、表示筐体4は、図示しない回転機構により、表示筐体4の長手方向が操作筐体2の長手方向と一致する状態(縦状態)、または、表示筐体4の長手方向が操作筐体2の短手方向と一致する状態(横状態)とすることができる。
【0018】
したがって、電子機器1Aは、図2及び図3に示す(開・縦)状態、図4に示す(閉・縦)状態、図1及び図5に示す(開・横)状態、図6に示す(閉・横)状態の4状態とすることができる。ここで、図2は(開・縦)状態の電子機器1Aを示す正面図であり、図3は(開・縦)状態の電子機器1Aを示す側面図であり、図4は(閉・縦)状態の電子機器1Aを示す側面図であり、図5は(開・横)状態の電子機器1Aを示す正面図であり、図6は(閉・横)状態の電子機器1Aを示す側面図である。
【0019】
本実施形態に係る電子機器1Aにおいては、(開・縦)状態、(開・横)状態、(閉・縦)状態、(閉・横)状態の4状態を検出するために、検出部として1つの磁気センサ60と、被検出部として1つの縦横検出用磁石61及び2つの開閉検出用磁石62,63とが設けられている。ここで、被検出部としては極性の方向及び強度を有するものを用いることができ、検出部としては被検出部の極性の方向及び強度を検出することができるものを用いることができる。
【0020】
磁気センサ60は表示筐体4に設けられており、図1、図5に示すように、表示筐体4の長手方向の中央部であって、(開・横)状態においてヒンジ部5側となる端部の近傍に設けられている。磁気センサ60は磁界の強度及び方向を検出するものであり、例えばホール効果により磁界の強度及び方向を検出するホール素子等を用いることができる。
磁気センサ60は、表示筐体4を横状態から縦状態に回転させることで、図2に示すように、正面視右側に配置される。
【0021】
縦横検出用磁石61は支持筐体3に設けられており、図2及び図3に示すように、縦状態において磁気センサ60が配置される位置と重なる位置に設けられている。このため、縦状態において縦横検出用磁石61による磁界が磁気センサ60により検出される。
一方、図1及び図5に示すように、横位置においては、縦横検出用磁石61と磁気センサ60とは互いに重なり合わないため、縦横検出用磁石61による磁界は磁気センサ60により検出されない。
【0022】
開閉検出用磁石62,63は操作筐体2の2箇所に設けられている。一方の開閉検出用磁石(閉・縦検出用磁石62)は、図4に示すように、(閉・縦)状態において磁気センサ60が配置される位置と重なる位置に設けられている。
他方の開閉検出用磁石(閉・横検出用磁石63)は、図6に示すように、(閉・横)状態において磁気センサ60が配置される位置と重なる位置に設けられている。
【0023】
図4に示す(閉・縦)状態においては、縦横検出用磁石61と閉・縦検出用磁石62とが対向し、その間に磁気センサ60が配置されることとなる。ここで、縦横検出用磁石61と閉・縦検出用磁石62とは、対向する位置において極性の方向がほぼ同じ向きに配置され、磁気センサ60に作用する磁界を強め合うように磁極が配置される。
【0024】
すなわち、縦横検出用磁石61を表示筐体4の裏側にN極を向けて配置したときは、閉・縦検出用磁石62を表示筐体4の表側(表示部40側)にS極を向けて配置する。あるいは、縦横検出用磁石61を表示筐体4の裏側にS極を向けて配置したときは、閉・縦検出用磁石62を表示筐体4の表側にN極を向けて配置する。
【0025】
図6に示す(閉・横)状態においては、磁気センサ60と閉・横検出用磁石63とが対向して配置されることとなる。ここで、閉・横検出用磁石63は、縦横検出用磁石61と対向する位置において極性の方向がほぼ反対向きに配置され、縦状態において縦横検出用磁石61が磁気センサ60に作用する磁界の方向と反対方向となるように磁極が配置される。つまり、閉・縦検出用磁石62と閉・横検出用磁石63の磁界の方向は反対方向となる。
【0026】
すなわち、縦横検出用磁石61を表示筐体4の裏側にN極を向けて配置したときは、閉・横検出用磁石63を表示筐体4の表側(表示部40側)にN極を向けて配置する。あるいは、縦横検出用磁石61を表示筐体4の裏側にS極を向けて配置したときは、閉・横検出用磁石63を表示筐体4の表側にS極を向けて配置する。
【0027】
本実施の形態においては、磁気センサ60に作用する磁界の強度及び方向を検出することで、以下に示すように、(開・縦)状態、(開・横)状態、(閉・縦)状態、(閉・横)状態の4状態を検出することができる。なお、縦横検出用磁石61、閉・縦検出用磁石62、及び、閉・横検出用磁石63はいずれも同程度の磁力を有するものを使用する。
【0028】
まず、図2及び図3に示す(開・縦)状態においては、磁気センサ60は縦横検出用磁石61による磁界を検出する。このときの磁気センサ60に作用する磁界の強度を1、方向を+とする(+1)。
【0029】
次に、図4に示す(閉・縦)状態においては、縦横検出用磁石61と閉・縦検出用磁石62とが磁界を強め合うように磁極が配置されており、磁気センサ60がその間に配置されるため、磁気センサ60に作用する磁界の強度は2となり、方向は+である(+2)。
【0030】
一方、図6に示す(閉・横)状態においては、磁気センサ60は閉・横検出用磁石63による磁界を検出する。このときの磁気センサ60に作用する磁界の強度は1であるが、閉・横検出用磁石63の磁極は、縦状態において縦横検出用磁石61が磁気センサ60に作用する磁界の方向と反対方向となるように配置されているので、方向は−となる(−1)。
【0031】
また、図1及び図5に示す(開・横)状態においては、磁気センサ60にはいずれの磁石の磁界も作用しないため、磁気センサ60に作用する磁界の強度は0となる(±0)。
【0032】
以上示したように、磁気センサ60に作用する磁界の強度及び方向が(−1)、(±0)、(+1)、(+2)のいずれであるかを検出することにより、(閉・横)状態、(開・横)状態、(開・縦)状態、(閉・縦)状態のいずれかであることを検出することができる。
【0033】
このように、1つの磁気センサ60と3つの磁石61,62,63を設けることで、折り畳み機構及び回転機構を有する電子機器において、(開・縦)状態、(開・横)状態、(閉・縦)状態、(閉・横)状態の4状態を検出することができ、少ない部品点数で筐体相互の配置関係を検出することができる。
また、縦横検出用磁石61と閉・縦検出用磁石62とを磁気センサ60に作用する磁界を強め合うように配置したので、磁界の強度によって筐体相互の配置関係を検出することができる。
また、閉・横検出用磁石63を、磁極が縦状態において縦横検出用磁石61が磁気センサ60に作用する磁界の方向と反対方向となるように配置したので、磁界の強度によって筐体相互の配置関係を検出することができる。
【0034】
なお、縦横検出用磁石61を横状態において磁気センサ60が配置される位置と重なる位置に設け、横状態において縦横検出用磁石61による磁界を磁気センサ60により検出するようにしてもよい。この場合、縦横検出用磁石61の磁界の方向を逆向きにするか、あるいは、閉・縦検出用磁石62、及び、閉・横検出用磁石63の磁界の方向を逆向きにすればよい。
【0035】
<変形例>
図7〜図10は本実施形態の変形例に係る電子機器1Bを示す図であり、図7は(開・縦)状態の電子機器1Bを示す側面図であり、図8は(閉・縦)状態の電子機器1Bを示す側面図であり、図9は(開・横)状態の電子機器1Bを示す正面図であり、図10は(閉・横)状態の電子機器1Bを示す側面図である。なお、電子機器1Aと同様の構成については、同符号を付して説明を割愛する。
【0036】
本変形例に係る電子機器1Bにおいては、閉・横検出用磁石63を省略している。このため、本変形例においては、磁気センサ60に作用する磁界の強度及び方向を検出することで、以下に示すように、(開・縦)状態、(閉・縦)状態、(横)状態の3状態を検出することができる。
【0037】
まず、図7に示す(開・縦)状態においては、磁気センサ60は縦横検出用磁石61による磁界を検出する。このときの磁気センサ60に作用する磁界の強度は1であり、方向は+である(+1)。
【0038】
次に、図8に示す(閉・縦)状態においては、縦横検出用磁石61と閉・縦検出用磁石62とが磁界を強め合うように磁極が配置されており、磁気センサ60がその間に配置されるため、磁気センサ60に作用する磁界の強度は2となり、方向は+である(+2)。
【0039】
一方、図9に示す(開・横)状態、及び図10に示す(開・横)状態においては、閉・横検出用磁石63が省略されているため、磁気センサ60にはいずれの磁石の磁界も作用せず、磁気センサ60に作用する磁界の強度は0となる(±0)。
【0040】
以上示したように、磁気センサ60に作用する磁界の強度及び方向が(±0)、(+1)、(+2)のいずれであるかを検出することにより、(横)状態、(開・縦)状態、(閉・縦)状態のいずれかであることを検出することができる。
【0041】
このように、1つの磁気センサ60と2つの磁石を設けることで、(横)状態、(開・縦)状態、(閉・縦)状態の3状態を検出することができる。このため、(横)状態で開閉を検知する必要がない場合には、さらに少ない部品点数で筐体相互の配置関係を検出することができる。
【0042】
なお、縦横検出用磁石61を横状態において磁気センサ60が配置される位置と重なる位置に設け、横状態において縦横検出用磁石61による磁界を磁気センサ60により検出するようにしてもよい。この場合、閉・横検出用磁石63を省略する代わりに閉・縦検出用磁石62を省略し、縦横検出用磁石61と閉・横検出用磁石63とが対向する位置において磁界の方向が同方向となるようにすればよい。
【0043】
〔第2実施形態〕
図11〜図14は本発明の第2実施形態に係る電子機器101を示す斜視図である。この電子機器101は、スライド機構及び回転機構を有する携帯電話機であり、操作筐体102と、支持筐体103と、表示筐体104とを備える。
表示筐体104は液晶画面等の表示部140及びカーソルキー141、メニューキー142等を有し、支持筐体103に対して図示しない回転機構により面方向に回転可能に接続されている。
【0044】
支持筐体103は表示筐体104の裏側であって下部に設けられており、操作筐体102のスライド溝122,122と係合する係合部131,131が設けられている。
操作筐体102はテンキー121等の操作部120を有するとともに、スライド溝122,122が形成されている。スライド溝122,122に係合部131,131が係合することで、支持筐体103がスライド溝122,122に沿って操作筐体102に対して上下方向(操作筐体102の長手方向)にスライド可能とされている。
【0045】
支持筐体103を操作筐体102に対して上下方向にスライドさせることで、表示筐体104を上方にスライドした状態(上状態)、または、操作筐体102の前部に表示筐体104が重ね合わせられた状態(下状態)とすることができる。
また、表示筐体104は、図示しない回転機構により、表示筐体104の長手方向が操作筐体102の長手方向と一致する状態(縦状態)、または、表示筐体104の長手方向が操作筐体102の短手方向と一致する状態(横状態)とすることができる。
【0046】
したがって、電子機器101は、図11に示す(上・縦)状態、図12に示す(下・縦)状態、図13に示す(上・横)状態、図14に示す(下・横)状態の4状態とすることができる。ここで、図11は(上・縦)状態の電子機器101を示す斜視図であり、図12は(下・縦)状態の電子機器101を示す斜視図であり、図13は(上・横)状態の電子機器101を示す斜視図であり、図14は(下・横)状態の電子機器101を示す斜視図である。
【0047】
本実施形態に係る電子機器101においては、(上・縦)状態、(上・横)状態、(下・縦)状態、(下・横)状態の4状態を検出するために、検出部として1つの磁気センサ160と、被検出部として1つの縦横検出用磁石161及び2つの上下検出用磁石162,163とが設けられている。
【0048】
磁気センサ160は表示筐体104に設けられており、図14に示すように、(下・横)状態において、操作筐体102の左下角部と対応する位置に設けられている。磁気センサ160としては、第1の実施形態と同様に、ホール素子等を用いることができる。
磁気センサ160は、表示筐体104を横状態から縦状態に回転させることで、図12に示すように、支持筐体103の右上方に配置される。
【0049】
縦横検出用磁石161は支持筐体103に設けられており、図11〜図14に示すように、縦状態において磁気センサ160が配置される位置と重なる右上方の位置に設けられている。このため、図11及び図12に示すように、縦状態において縦横検出用磁石161による磁界が磁気センサ160により検出される。
一方、図13及び図14に示すように、横位置においては、縦横検出用磁石161と磁気センサ160とは互いに重なり合わないため、縦横検出用磁石161による磁界は磁気センサ160により検出されない。
【0050】
上下検出用磁石162,163は操作筐体102の2箇所に設けられている。一方の上下検出用磁石(下・縦検出用磁石162)は、図12に示すように、(下・縦)状態において磁気センサ160が配置される位置と重なる位置に設けられている。
他方の上下検出用磁石(下・横検出用磁石163)は、図14に示すように、(下・横)状態において磁気センサ160が配置される位置と重なる位置に設けられている。
【0051】
図12に示す(下・縦)状態においては、縦横検出用磁石161と下・縦検出用磁石162と重なり合い、その上方に磁気センサ160が配置されることとなる。ここで、縦横検出用磁石161と下・縦検出用磁石162とは、磁気センサ160に作用する磁界を強め合うように磁極が配置される。
【0052】
すなわち、縦横検出用磁石161を表示筐体104側にN極を向けて配置したときは、下・縦検出用磁石162も表示筐体104側にN極を向けて配置する。あるいは、縦横検出用磁石161を表示筐体104側にS極を向けて配置したときは、下・縦検出用磁石162も表示筐体104側にS極を向けて配置する。
【0053】
図14に示す(下・横)状態においては、磁気センサ160と下・横検出用磁石163とが対向して配置されることとなる。ここで、下・横検出用磁石163は、縦状態において縦横検出用磁石161が磁気センサ160に作用する磁界の方向と反対方向となるように磁極が配置される。つまり、下・縦検出用磁石162と下・横検出用磁石163の磁界の方向は反対方向となる。
【0054】
すなわち、縦横検出用磁石161を表示筐体104側にN極を向けて配置したときは、下・横検出用磁石163を表示筐体104側にS極を向けて配置する。あるいは、縦横検出用磁石161を表示筐体104側にS極を向けて配置したときは、下・横検出用磁石163を表示筐体104側にN極を向けて配置する。
【0055】
本実施の形態においては、磁気センサ160に作用する磁界の強度及び方向を検出することで、以下に示すように、(上・縦)状態、(上・横)状態、(下・縦)状態、(下・横)状態の4状態を検出することができる。なお、縦横検出用磁石161、下・縦検出用磁石162、及び、下・横検出用磁石163はいずれも同程度の磁を有するのものを使用する。
【0056】
まず、図11に示す(上・縦)状態においては、磁気センサ160は縦横検出用磁石161による磁界を検出する。このときの磁気センサ160に作用する磁界の強度を1、方向を+とする(+1)。
【0057】
次に、図12に示す(下・縦)状態においては、縦横検出用磁石161と下・縦検出用磁石162とが磁界を強め合うように磁極が配置されており、磁気センサ160がその上方に配置されるため、磁気センサ160に作用する磁界の強度は2となり、方向は+である(+2)。
【0058】
一方、図14に示す(下・横)状態においては、磁気センサ160は下・横検出用磁石163による磁界を検出する。このときの磁気センサ160に作用する磁界の強度は1であるが、下・横検出用磁石163の磁極は、縦状態において縦横検出用磁石161が磁気センサ160に作用する磁界の方向と反対方向となるように配置されているので、方向は−となる(−1)。
【0059】
また、図13に示す(上・横)状態においては、磁気センサ160にはいずれの磁石の磁界も作用しないため、磁気センサ160に作用する磁界の強度は0となる(±0)。
【0060】
以上示したように、磁気センサ160に作用する磁界の強度及び方向が(−1)、(±0)、(+1)、(+2)のいずれであるかを検出することにより、(下・横)状態、(上・横)状態、(上・縦)状態、(下・縦)状態のいずれかであることを検出することができる。
【0061】
このように、本実施形態においても、1つの磁気センサ160と3つの磁石を設けることで、スライド機構及び回転機構を有する電子機器において、(上・縦)状態、(上・横)状態、(下・縦)状態、(下・横)状態の4状態を検出することができ、少ない部品点数で筐体相互の配置関係を検出することができる。
また、縦横検出用磁石161と下・縦検出用磁石162とを磁気センサ160に作用する磁界を強め合うように配置したので、磁界の強度によって筐体相互の配置関係を検出することができる。
また、下・横検出用磁石163を、磁極が縦状態において縦横検出用磁石161が磁気センサ160に作用する磁界の方向と反対方向となるように配置したので、磁界の強度によって筐体相互の配置関係を検出することができる。
【0062】
なお、本実施形態においても、第1実施形態の変形例と同様に、(横)状態で上下状態を検知する必要がない場合には、下・横検出用磁石163を省略し、(横)状態、(上・縦)状態、(下・縦)状態の3状態を検出することができ、さらに少ない部品点数で筐体相互の配置関係を検出することができる。
【0063】
以上の実施形態においては、電子機器として携帯電話機について説明したが、本発明はこれらに限られず、例えばPDA、電子手帳等といった表示筐体及び操作筐体を有するその他の電子機器にも適用することができる。
【0064】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0065】
(付記1)
操作部を備える操作筐体と、表示部を備える表示筐体と、前記操作筐体と前記表示筐体とを重ね合わせ可能に接続するとともに、前記表示筐体を前記表示部とほぼ平行な面で回動可能となるように支持する支持筐体とを備える電子機器において、
前記支持筐体は前記表示筐体を縦長の向きになる縦状態、または、横長の向きになる横状態のいずれかの状態にするとともに、前記表示筐体を前記操作筐体に重ね合わせられた状態、または、前記操作筐体に重ね合わせられていない状態のいずれかの状態とし、
前記表示筐体は、前記縦状態または横状態の少なくとも一方の状態において前記支持筐体と重なる部分に検出部を備え、
前記支持筐体は、前記縦状態または横状態のいずれか一方の状態において前記検出部と対向する位置に第1の被検出部を備え、
前記操作筐体は、前記表示筐体が前記操作筐体に重ね合わせられた状態において前記第1の被検出部と対向する位置に第2の被検出部を備えることを特徴とする電子機器。
【0066】
(付記2)
前記第1の被検出部と前記第2の被検出部とは、対向する位置において極性の方向がほぼ同じ向きであり、前記検出部は前記第1の被検出部及び前記第2の被検出部両方の極性の強度及び方向を検出することを特徴とする付記1に記載の電子機器。
【0067】
(付記3)
前記操作筐体は、前記縦状態または横状態のうち前記検出部と前記第1の被検出部とが対向しない一方の状態かつ前記表示筐体が前記操作筐体に重ね合わせられた状態において、前記検出部と対向する位置に第3の被検出部を備えることを特徴とする付記1または2に記載の電子機器。
【0068】
(付記4)
前記第2の被検出部と第3の被検出部とは極性の方向がほぼ反対向きであることを特徴とする付記3に記載の電子機器。
【0069】
(付記5)
前記支持筐体は前記操作筐体に対して折り畳み可能に接続されていることを特徴とする付記1〜4のいずれか一項に記載の電子機器。
【0070】
(付記6)
前記支持筐体は前記操作筐体に対してスライド可能に接続されていることを特徴とする付記1〜4のいずれか一項に記載の電子機器。
【符号の説明】
【0071】
1A,1B,101,201 電子機器
2,102,202 操作筐体(第1の筐体)
3,103,203 支持筐体
4,104,204 表示筐体(第2の筐体)
60,160,260A,260B 磁気センサ
61,161,261 縦横検出用磁石
62 閉・縦検出用磁石(開閉検出用磁石)
63 閉・横検出用磁石(開閉検出用磁石)
162 下・縦検出用磁石(上下検出用磁石)
163 下・横検出用磁石(上下検出用磁石)
262,263 開閉検出用磁石

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の筐体と、
第2の筐体と、
前記第1の筐体と前記第2の筐体とを重ね合わせ可能に接続するとともに、前記第2の筐体を、前記第2の筐体における前記第1の筐体に重ね合わせられる面にほぼ平行な面において、前記第2の筐体を縦長の向きになる縦状態、または、横長の向きになる横状態のいずれかの状態に切替可能となるように支持する支持筐体とを備える電子機器において、
前記第2の筐体は、前記縦状態または横状態の少なくとも一方の状態において前記支持筐体と重なる部分に検出部を備え、
前記支持筐体は、前記縦状態または横状態のいずれか一方の状態において前記検出部と対向する位置に第1の被検出部を備え、
前記第1の筐体は、前記第2の筐体が前記第1の筐体に重ね合わせられた状態において前記検出部と対向する位置に第2の被検出部を備えることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記第1の被検出部と前記第2の被検出部とは、対向する位置において極性の方向がほぼ同じ向きであり、前記検出部は前記第1の被検出部及び前記第2の被検出部両方の極性の強度及び方向を検出することを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記第1の筐体は、前記縦状態または横状態のうち前記検出部と前記第1の被検出部とが対向しない一方の状態かつ前記第2の筐体が前記第1の筐体に重ね合わせられた状態において、前記検出部と対向する位置に第3の被検出部を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記第2の被検出部と第3の被検出部とは極性の方向がほぼ反対向きであることを特徴とする請求項3に記載の電子機器。
【請求項5】
前記支持筐体は前記第1の筐体に対して折り畳み可能に接続されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の電子機器。
【請求項6】
前記支持筐体は前記第1の筐体に対してスライド可能に接続されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−176890(P2011−176890A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−131522(P2011−131522)
【出願日】平成23年6月13日(2011.6.13)
【分割の表示】特願2007−117045(P2007−117045)の分割
【原出願日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【出願人】(310006855)NECカシオモバイルコミュニケーションズ株式会社 (1,081)
【Fターム(参考)】