説明

電子機器

【課題】電池が電子機器に接続される際、または電池使用中に電池の劣化状態を検出し、ユーザーに警告表示するとともに、劣化電池が接続された状態のまま電子機器を使用し続けることに制限を掛けられる電子機器を提供することを目的とする。
【解決手段】電池カバー107の装着を検出する検出端子105(検出端子201、検出端子202、検出端子203、検出端子204)によって劣化電池が接続されたことを時系列的に検出した際に、ユーザーに警告し、充電も含めた機器の使用を制限する手段を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力供給源となる電池を機器に接続する際に前記電池を収納する為に蓋をする電池カバーと、前記電池カバーの装着状態を検出する機能と、前記検出結果より前記電池の劣化を警告する機能を備えた電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電池を主電源とした電子機器は、通常電池の交換を容易に行うために、電池収納部を備え、この収納部を電池カバーで蓋をして使用する。
【0003】
このような電池収納部を構成する機器として、例えば、特許文献1に開示される電池収納装置は、電池カバーに形成された当接ポストが、跳上げ機構の跳上ピースを押し下げることでスイッチを押圧し、スイッチのON/OFF 状態をマイコンが検出することで、電池カバーの開閉を検出し、電池が取り出される前に終了制御を実行したり、電池カバーが開いている場合は当該装置の電源投入を不能にしたりする構成を採っている。しかし、スイッチが1個のみの構成であるため、確実に電池カバーが閉じられていなくても、スイッチ側だけ収まるように蓋をしてしまえば電池カバー閉状態と検出してしまい、動作してしまうという問題があった。
【0004】
また、特許文献2に開示される電池収納装置は、ロック機構を有し、装置が起動されたときに、電池カバーロック機構から電池カバーロック状態を読み出して判別し、ロックが解除された状態であった場合は、警告メッセージ表示を行うとともに、電池カバーロック状態を継続して監視し、一定時間経過後もロックが解除された状態のままであった場合は、装置の電源を切断し、一定時間内にロックされた状態に切り替わった場合は、切り替わった時点で装置を起動する制御装置と警告メッセージを表示する表示装置とを有した構成になっている。しかし、電池カバーのロック機構部、ならびにロック検出部等の複雑な機構部品や回路部品の追加が必要となり、目的を達成するには電子機器自体のサイズが大きくなり、コストも掛かってしまうという問題があった。
【0005】
一方、電子機器に接続される電池については、電子機器の小型軽量化に伴い、現状の容量を維持しながら小型化、薄型化を実現することへの要望が高まっており、ますますエネルギー密度が高くなる傾向にある中で、劣化した電池を使用し続けた事が原因で発熱、膨れのなどの電池として危険な症状が発生しているにも関わらず、ユーザーが劣化電池を使用し続けてしまうことがある。このような電池の検出手段として、特許文献3に開示される電池パックは、電池本体の周囲ラベルに切り込み溝を設け、電池本体の劣化による膨れ発生時の応力で切り込み溝に沿ってスリット状の裂け目が生ずることを目視で検出し、電池の劣化を判定できるようにしている。しかし、電池表面のラベルが擦れて破れてしまうことが容易に想像され、ユーザーに誤解を与えてしまうという問題があった。また、仮に劣化電池と判定できたとしても、電子機器に接続され使用されてしまうという問題は解決できない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−109535号公報
【特許文献2】特開2001−119865号公報
【特許文献3】特開2009−9734号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記問題を解決し、ユーザーにとって安心・便利な電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記従来の課題を解決するため、本発明の電子機器は、電池収納部に電池カバーの装着を検出する検出部を備え、膨らんだ劣化電池が前記電池収納部に収納され電子機器に接続された際に前記電池カバーが正常に閉まらないことを検出する手段を有していることを特徴としている。
【0009】
また、本発明の電子機器は、前記電池カバーの装着を検出する検出部を複数設置し、前記複数の検出部での検出を時系列的に検出させることで、前記電池カバーの装着手段を限定させる手段を有していることを特徴としている。
【0010】
また、本発明の電子機器は、使用中に前記電池収納部に収納された前記電池が劣化により膨らんだことによって前記電池カバーが所定の位置からずれたことを、前記検出部によって検出する手段を有することを特徴としている。
【0011】
また、本発明の電子機器は、前記電池カバーの装着を検出する検出部によって前記劣化電池が接続されたことを検出した際に、ユーザーに警告し、充電も含めた機器の使用を制限する手段を有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、電子機器の安全性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態1および実施形態2におけるブロック図
【図2】本発明の実施形態1を説明する構成概要図
【図3】本発明の実施形態1の動作を示すフローチャート
【図4】本発明の実施形態2を説明する構成概要図
【図5】本発明の実施形態2の動作を示すフローチャート
【図6】本発明の実施形態1の変形例を示す図
【図7】本発明の実施形態1の変形例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の実施の形態1および実施形態2におけるブロック図である。
【0015】
図1を参照すると、本発明の実施形態1及び実施形態2は、電池カバー107の装着を検出する検出端子105と、検出端子105の検出状況から電池カバー107の装着状態を判定し、電池の膨れがあるかどうかを判断する装着判定部102と、装着判定部102が判断した結果に基づいて、必要に応じて表示部100に警告を表示させたり、充電制御部104に充電を停止させたり、システム起動を停止させたりするシステム制御部101と、システム制御部101からの情報を表示する表示部100と、充電アダプタ106の接続の検出と2次電池103への充電を制御する充電制御部104とを備えている。
【0016】
(実施の形態1)
図2は、本発明の実施形態1を説明する構成概要図の一例である。電子機器本体200に電池収納部206と、電池収納部206の開口部には電池カバーの位置を検出する検出端子201〜204と、固定用のつめ逃げ穴205を備えている。また、電池カバー207には固定用のつめ208を備えている。図示はしていないが、電池収納部206の開口部、及び電池カバー207にはスライド用のガイドが設けられている。
【0017】
次に、本発明の第1の実施形態の動作について図2、図3を参照して詳細に説明する。
図3は、本発明の実施形態1の動作を示すフローチャートである。まず、ユーザーが電子機器の電池収納部206に電池209を装着し電子機器200に電池209が接続される(S301 )。次に電池209より電力が供給されシステムが起動する(S302)。充電アダプタが装着されている場合は、充電が開始される(S303〜S304 )。
【0018】
次に、電池カバー207が検出端子1 201側からスライドさせながら装着が開始される(S305)。電池収納部206に装着され電子機器200に接続された電池209が劣化により膨らんでいない場合は、電池カバー207がスムーズにスライド装着されるので、検出端子1 201から検出端子4 204まで順番に電池カバー207の装着が検出される(S306〜S309)。次に、電池収納部206に装着され電子機器200に接続された電池209が劣化により膨らんでいない場合は、検出端子4 204までの検出が完了した後、再度全検出端子の検出状態の確認を実施しても、全検出端子にて電池カバー207の装着の検出が可能で(S310)、その場合は、システム起動を継続する(S315 )。充電中の場合は、充電を継続する(S316〜S317)。次に、電池収納部206に装着され電子機器200に接続された電池209が劣化により膨らんでいた場合は、電池カバー207のスライド装着が困難な為、検出端子1 201〜検出端子4 204のいずれかの検出端子にて電池カバー207の装着が検出できない状態になる。検出端子1 201〜検出端子4 204にて電池カバー207の装着が検出できない状態が一定時間経過した場合は(S311〜S314)、警告表示を行う(S318)。その後、充電中の場合は充電を停止し(S319〜S320)、システムを停止する(S321)。以上説明したように、本実施の形態においては、電子機器200に接続される電池209が劣化している場合、劣化による膨らみを電池カバー207の装着時に検出することで継続して劣化電池が使用されることを回避できる。
また、図6、図7は、本発明の実施形態1を説明する構成概要図のもう一つの例であ
る。電子機器本体600に電池収納部606と、電池収納部606の開口部には電池カバーの位置を検出する検出端子601〜604と、電池カバー605と、電池カバー605には回転軸1 607、回転軸2 608、回転軸3 609、回転軸4 610を備えている。図示はしていないが、電池収納部606の開口部、及び電池カバー605には固定用のつめが設けられている。
【0019】
次に、本発明の第1の実施形態の動作について図3、図6を参照して詳細に説明する。
図3は、本発明の実施形態1の動作を示すフローチャートである。まず、ユーザーが電子
機器の電池収納部606に電池611を装着し電子機器600に電池611が接続される
(S301 )。次に電池611より電力が供給されシステムが起動する(S302)。
充電アダプタが装着されている場合は、充電が開始される(S303〜S304 )。
【0020】
次に、電池カバー605が、回転軸1 607から回転軸4 610までそれぞれを中
心に順番に回転されながら検出端子1 601側から装着が開始される(S305)。さら
に電池収納部606に装着され電子機器600に接続された電池611が劣化により膨ら
んでいない場合は、電池カバー605がスムーズに装着されるので、検出端子1 601
から検出端子4 604まで順番に電池カバー605の装着が検出される(S306〜S
309)。
次に、電池収納部606に装着され電子機器600に接続された電池611が劣化によ
り膨らんでいない場合は、検出端子4 604までの検出が完了した後、再度全検出端子
の検出状態の確認を実施しても、全検出端子にて電池カバー605の装着の検出が可能で
(S310)、その場合は、システム起動を継続する(S315 )。充電中の場合
は、充電を継続する(S316〜S317)。次に、電池収納部606に装着され電子機
器600に接続された電池611が劣化により膨らんでいた場合は、電池カバー605の
装着が困難な為、検出端子1 601〜検出端子4 604のいずれかの検出端子にて電
池カバー605の装着が検出できない状態になる。検出端子1 601〜検出端子4 6
04にて電池カバー605の装着が検出できない状態が一定時間経過した場合は(S31
1〜S314)、警告表示を行う(S318)。その後、充電中の場合は充電を停止し
(S319〜S320)、システムを停止する(S321)。以上説明したように、本実
施の形態においても、電子機器600に接続される電池611が劣化している場合、劣化
による膨らみを電池カバー605の装着時に検出することで継続して劣化電池が使用され
ることを回避できる。
【0021】
なお、本実施例のいずれにおいても検出端子を4個として説明を行ったが、検出端子は2個以上あれば本発明の目的を果たすことは可能である。
(実施の形態2)
図4は、本発明の実施形態2を説明する構成概要図の一例である。図2の状態から電子機器200対して電池カバー207が完全に装着された状態を図示している。
【0022】
次に、本発明の第2の実施形態の動作について図2、図4、図5を参照して詳細に説明する。図5は、本発明の実施形態2の動作を示すフローチャートである。まず、ユーザーが電子機器200の電池収納部206に電池209を装着し、電子機器200に電池209が接続された状態で使用している最中に充電アダプタを装着する(S501)。次に、電池カバー207の装着状態の確認を検出端子1 201〜検出端子4 204まで順番に実施する(S502〜S505)。電池収納部206に装着され電子機器200に接続された電池209が劣化により膨らんでいない場合は、全検出端子にて電池カバー207装着の検出が可能である。全検出端子にて電池カバー207装着が検出された場合、充電を開始し(S510)、充電開始後は一定時間間隔で電池カバーの装着の確認を実施する(S512)。電池収納部206に装着され電子機器200に接続された電池209が劣化により膨らんでいた場合は、いずれかの検出端子にて電池カバー207の装着が検出できない状態になる。いずれかの検出端子にて電池カバー207の装着が検出できない状態が一定時間経過した場合は(S506〜S509)、警告表示を行う(S513)。その後、充電を停止し(S514)、システムも停止する(S515)。
【0023】
以上説明したように、本実施の形態においては、電子機器に接続される電池が劣化している場合、劣化による膨らみを充電開始時と充電中に検出することで、電子機器使用中に継続して劣化電池が使用されることを回避できる。
【0024】
なお、本実施例において検出端子を4個として説明を行ったが、検出端子は2個以上あれば本発明の目的を果たすことは可能である。また、本実施例において電子機器内の処理負荷、および消費電流を考慮して充電開始時、ならびに充電中に電池カバー装着の検出を行う様説明を行ったが、本発明はそれに限定されることなく、機器使用中に常に電池カバー装着の検出を行っても構わない。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明にかかる劣化電池の接続を検出し、ユーザーに警告、及び劣化電池の継続使用を制限することを備えた電気機器は、電力供給源を電池とする電子機器の安全利用を促し、ユーザーを危険な状況から回避することができるという効果がある。
【符号の説明】
【0026】
200 本体機器
201 検出端子1
202 検出端子2
203 検出端子3
204 検出端子4
205 つめ逃げ穴
206 電池収納部
207 電池カバー
208 つめ
209 電池
600 本体機器
601 検出端子1
602 検出端子2
603 検出端子3
604 検出端子4
605 電池カバー
606 電池収納部
607 回転軸1
608 回転軸2
609 回転軸3
610 回転軸4
611 電池

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と、
前記本体に設けられた表示部と、
前記本体に収納された電池と、
前記本体に装着され、前記電池を覆う電池カバーと、
前記本体と前記電池カバーとの間に配置され、前記電池カバーが前記本体に装着される
ことを時系列的に検出する複数の検出部と、
前記検出部の検出結果に応じて、前記本体の動作を制御する制御部と、を備えた電子
機器
【請求項2】
前記電池カバーの装着を電池接続時、充電開始時、もしくは充電中に検出する機能を備えた、請求項1に記載の電子機器
【請求項3】
前記制御部は、前記表示部に前記電池が劣化していることを表示する請求項1または請求項2記載の電子機器

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−249063(P2011−249063A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−119071(P2010−119071)
【出願日】平成22年5月25日(2010.5.25)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】