説明

電子機器

【課題】デザイン性及び防水性の高い電子機器を提供すること。
【解決手段】電子機器は、発光及び受光のうち少なくとも一方の機能を有する電子部品と、電子部品が搭載される基板と、基板を覆うと共に、開口を有する筐体と、電子部品が発光又は受光する光に対して透明性を有すると共に、電子部品を保護する導光部材と、を備える。導光部材は、筐体の開口から露出する露出部と、露出部を取り囲むと共に、筐体の内面に接合されているフランジ部と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外面に対して導光部材を備える電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機等の電子機器においては、電源のオンオフ状態、着信・受信等を操作者に通知するためにLED(Light-Emitting Diode;発光ダイオード)等の照光手段が使用されている。また、指紋読み取り装置等の光センサが設けられている電子機器も存在する。このような電子機器においては、LEDや光センサと外部との導光を確保すると共に、LEDや光センサを保護するレンズやカバーが設けられている。
【0003】
図5に、背景技術に係る電子機器の概略部分断面図を示す。LED92が基板91上に搭載されている。LED92を保護するレンズ93は、筐体15の外側から接合材94によって筐体15に貼り付けられている。
【0004】
また、例えば、特許文献1に記載の電子機器は、開口部を有する筐体と、該筐体内に設けられたグランド用の導体配線を有する回路基板と、開口部と対峙する回路基板上に実装された電子部品と、開口部を塞ぐ閉塞部材(導光部材)と、閉塞部材を回路基板上に隙間を設けて配置する弾性ホルダーと、を備え、閉塞部材は有底筒状体をなし、その開口を電子部品側に向けると共に、有底筒状体の開口側を回路基板と隙間を設けて配置している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−114790号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
以下の分析は、本発明の観点から与えられる。
【0007】
発光部品又は受光部品等の電子部品を有する携帯電話機等の携帯型電子機器においては、デザイン性と共に防水性が要求される。
【0008】
図5に示す電子機器においては、レンズ93の全体が外部に露出する、すなわち外観の一部を形成することになる。また、筐体95とレンズ93との間の防水性を高めるためには、筐体95とレンズ93との接合面積(接合材94の領域)は、一定以上の面積を確保する必要がある。したがって、図5に示す電子機器においては、LED92の発光面積に対して必要以上に大きなレンズ93の外観面積が必要となる。このため、電子機器のデザイン設計がレンズ93により大きな制約を受けていた。
【0009】
また、特許文献1に記載の電子機器においては、閉塞部材と回路基板との間に隙間を設けており、閉塞部材が電子部品に対して浮いたような状態となっている。閉塞部材に外部から衝撃が加わると、閉塞部材と弾性ホルダーの接続部分に負荷が加わることになる。このため、閉塞部材と弾性ホルダーとの間の密着性に欠陥が生じやすい。閉塞部材と弾性ホルダーとの間に隙間が生じると、外部から電子部品へ水が浸入してしまう。また、閉塞部材は弾性ホルダーのみによって浮かされているので、外部の衝撃により脱落してしまうおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1視点によれば、電子機器は、発光及び受光のうち少なくとも一方の機能を有する電子部品と、電子部品が搭載される基板と、基板を覆うと共に、開口を有する筐体と、電子部品が発光又は受光する光に対して透明性を有すると共に、電子部品を保護する導光部材と、を備える。導光部材は、筐体の開口から露出する露出部と、露出部を取り囲むと共に、筐体の内面に接合されているフランジ部と、を有する。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、以下の効果のうち少なくとも1つを有する。
【0012】
本発明においては、筐体の内面において導光部材と筐体とを接合している。これにより、筐体から露出する導光部材の面積を必要最小限にとどめることができると共に、導光部材の露出部分の形状を任意に設定することができる。すなわち、発光部又は受光部を有する電子機器のデザインの自由度を高めることができる。
【0013】
本発明においては、筐体の内面において導光部材と筐体とを接合しているので、電子機器のデザインに留意することなく、導光部材と筐体との接合面積を十分に確保することができる。これにより、導光部材の脱落を防止することができると共に、導光部材と筐体との隙間から筐体内部に水が浸入することを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1実施形態に係る電子機器の概略斜視図。
【図2】図1のII−II線における概略部分断面図。
【図3】図2に示す導光部材の概略平面図。
【図4】本発明の第2実施形態に係る電子機器の概略部分断面図。
【図5】背景技術に係る電子機器の概略部分断面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に上記第1視点の好ましい形態を記す。
【0016】
上記第1視点の好ましい形態によれば、フランジ部は、露出部の全周囲に亘って形成されていると共に、露出部の全周囲に亘って筐体に接合されている。
【0017】
上記第1視点の好ましい形態によれば、導光部材は、基板に支持されている。
【0018】
上記第1視点の好ましい形態によれば、電子機器は、フランジ部と筐体とを固定する固定部材をさらに備える。フランジ部は、貫通孔を有する。固定部材は、その一部を筐体に固定されると共に、貫通孔に挿通され、フランジ部における筐体と対向していない面において筐体とでフランジ部を挟持している。
【0019】
本発明の第1実施形態に係る電子機器について説明する。図1に、本発明の第1実施形態に係る電子機器の概略斜視図を示す。図2に、図1のII−II線における電子機器の概略部分断面図を示す。図1は、本発明の電子機器の一例として携帯電話機を示す。電子機器100は、発光機能及び受光機能のうち少なくとも一方を有する電子部品12と、電子部品12が搭載される配線基板、回路基板等の基板11と、電子部品12を覆う導光部材13と、電子部品12や基板11を覆う又は収容する筐体15と、導光部材13と筐体15とを接合する接合材14と、を備える。電子部品12の例としては、例えばLED等の発光部品や光センサ等の受光部品が挙げられる。導光部材13の例としては、例えば、レンズ、カバー等が挙げられる。図1に示す電子機器100においては、操作者は、筐体15から露出した導光部材13を通して電子部品12の発光を確認することができる。
【0020】
図3に、図2に示す導光部材の概略平面図を示す。導光部材13は、電子部品12が発光又は受光する光に対して透明性を有している。導光部材13は、電子機器100の外部に露出される露出部13aと、電子部品12を収容するための収容部13bと、導光部材13を筐体15及び基板11のうち少なくとも一方に固定するためのフランジ部13cと、を有する。
【0021】
導光部材13の露出部13aは、導光部材13から突出するような形状を有する。電子部品12がLED等の発光部品である場合には、操作者は露出部13aから発光の有無を認識する。電子部品12が光センサ等の受光部品である場合には、露出部13aから光や情報が取り込まれる。
【0022】
導光部材13の露出部13aから発光又は受光するために、電子部品12は、導光部材13の露出部13aの下方に配置される。すなわち、収容部13bは、露出部13aからの発光又は受光が可能なように形成される。収容部13bは、例えば、基板11に対して窪んでいる凹部として形成される。図2において、電子部品12は、この凹部に収容される。
【0023】
筐体15は、外部に対して開口15aを有する。導光部材13の露出部13aは、この開口15aに挿入され、外部に露出される。筐体15の開口15a及び導光部材13の露出部13aの形状及び大きさは、電子機器100のデザインに応じて適宜設定することができる。特に、導光部材13のフランジ部13cを筐体15の内側に隠すことができるので、導光部材13の露出面積をより小さくすることが可能となる。
【0024】
フランジ部13cは、露出部13a及び収容部13bの周囲(外側)の少なくとも一部に形成される。好ましくは、筐体15との接合性及び防水性を高めるために、フランジ部13cは、露出部13a及び収容部13bの全周に亘って形成される。すなわち、フランジ部13cは、露出部13a及び収容部13bを取り囲むように形成すると好ましい。導光部材13の露出部13aを筐体15の開口15aに挿入すると、フランジ部13cは、開口15a周囲の筐体15の内面(非露出面)に当接する。導光部材13は、フランジ部13cと筐体15との当接部分において接合材14によって筐体15に固定される。接合材14の例としては、例えば、両面テープ、接着剤等が挙げられ、又は、超音波溶着等種々の手段を用いて筐体15と導光部材13とを接合してもよい。図3に示すように、フランジ部13cが露出部13a及び収容部13bの全周囲に亘って形成されている場合、フランジ部13cの全周囲に亘って筐体15と密着させ、接合させると好ましい。これにより、筐体15の開口15aから筐体15の内側への水の浸入を防止することができる。
【0025】
導光部材13のフランジ部13cは、基板11と当接すると好ましい。これにより、導光部材13の露出部13aに外力が加わったとしても、導光部材13は、基板11によって支持されることにより、筐体15から脱落することを抑制することができる。また、導光部材13と筐体15との間の接合部が破損されにくくなり、防水性を維持することができる。
【0026】
また、導光部材13のフランジ部13cは、筐体15との接合と同様の方法によって、基板11と接合してもよい。
【0027】
本発明によれば、フランジ部13cを筐体15の内面側に配置することにより、露出部13aのデザインの自由度を高めることができる。また、フランジ部13cにおいて筐体15と接合することにより、筐体15と導光部材13との接合性を高めると共に、防水性も高めることができる。
【0028】
次に、本発明の第2実施形態に係る電子機器について説明する。図4に、本発明の第2実施形態に係る電子機器の概略部分断面図を示す。図4において、第1実施形態と同じ要素には同じ符号を付してある。第2実施形態においては、導光部材13と筐体15との接合を第1実施形態よりもさらに強固にしている。
【0029】
筐体15は、内側に、導光部材13を固定するための固定部材21を有する。固定部材21としては、例えば、熱や力によって変形可能な部材であり、例えば金属製のピンを使用することができる。
【0030】
導光部材13は、フランジ部13cに固定部13dを有する。固定部13dは、導光部材13を筐体15に固定したときに固定部材21と対応する位置に形成されている。固定部13dは1つの導光部材13に対して複数形成してもよい。2つの固定部13dを設ける場合、導光部材13の直径方向又は対角線方向に設けることができる。図4に示す形態においては、固定部13dは貫通孔として形成されている。
【0031】
導光部材13の筐体15への固定方法について説明する。ここでは、固定部13dを貫通孔として形成し、固定部材21が金属ピンである例について説明する。まず、導光部材13の露出部13aが筐体15の開口15aに挿入されるように筐体15を装着する。このとき、フランジ部13cの固定部13dに固定部材21が挿通される。次に、固定部材21が基板11側のフランジ部13c面に接触するように、固定部材21を熱かしめ等により変形させる。固定部材21は、フランジ部13cにおける筐体15と対向しない面に圧接される。これにより、筐体15の内面と固定部材21とでフランジ部13cを挟持することができ、導光部材13をより強固に筐体15に固定することができる。また、導光部材13に露出部13aから力が加わったとしても、筐体15内面とフランジ部13cとの間に隙間が形成されにくくなり、防水性も高めることができる。
【0032】
第2実施形態における上記以外の形態は第1実施形態と同様である。
【0033】
本発明の電子機器は、上記実施形態に基づいて説明されているが、上記実施形態に限定されることなく、本発明の範囲内において、かつ本発明の基本的技術思想に基づいて、上記実施形態に対し種々の変形、変更及び改良を含むことができることはいうまでもない。また、本発明の請求の範囲の枠内において、種々の開示要素の多様な組み合わせ・置換ないし選択が可能である。
【0034】
本発明のさらなる課題、目的及び展開形態は、請求の範囲を含む本発明の全開示事項からも明らかにされる。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明は、防水性を必要とする電子機器に好適に適用することができる。本発明を適用可能な電子機器としては、例えば、携帯電話機、携帯オーディオプレーヤ、携帯ゲーム機、ノート型パソコン、カメラ・ビデオ、電子辞書などを挙げることができる。
【符号の説明】
【0036】
11 基板
12 電子部品
13 導光部材
13a 露出部
13b 収容部
13c フランジ部
13d 固定部
14 接合材
15 筐体
15a 開口
21 固定部材
91 基板
92 LED
93 レンズ
94 接合材
95 筐体
100 電子機器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光及び受光のうち少なくとも一方の機能を有する電子部品と、
前記電子部品が搭載される基板と、
前記基板を覆うと共に、開口を有する筐体と、
前記電子部品が発光又は受光する光に対して透明性を有すると共に、前記電子部品を保護する導光部材と、を備え、
前記導光部材は、前記筐体の前記開口から露出する露出部と、前記露出部を取り囲むと共に、前記筐体の内面に接合されているフランジ部と、を有することを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記フランジ部は、前記露出部の全周囲に亘って形成されていると共に、前記露出部の全周囲に亘って前記筐体に接合されていることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記導光部材は、前記基板に支持されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記フランジ部と前記筐体とを固定する固定部材をさらに備え、
前記フランジ部は、貫通孔を有し、
前記固定部材は、その一部を前記筐体に固定されると共に、前記貫通孔に挿通され、前記フランジ部における前記筐体と対向していない面において前記筐体とで前記フランジ部を挟持していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−134782(P2012−134782A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−285361(P2010−285361)
【出願日】平成22年12月22日(2010.12.22)
【出願人】(310006855)NECカシオモバイルコミュニケーションズ株式会社 (1,081)
【Fターム(参考)】