電子機器
【課題】入力操作時の打鍵音を低減する。
【解決手段】キートップ51を下降位置に変位させる際に、弾性部材53の傾斜部53dがキートップ51の下面51eに当接可能とするとともに、キートップ51とメンブレンシート55との間に空隙D1を形成する構成としたことにより、ユーザーによりキートップ51が上昇位置から下降位置へ変位させた際に、キートップ51がメンブレンシート55に当接することを防ぐことができる。これにより、キートップ51とメンブレンシート55との衝突音が発生しなくなり、キーボード5の打鍵音を小さくすることができる。
【解決手段】キートップ51を下降位置に変位させる際に、弾性部材53の傾斜部53dがキートップ51の下面51eに当接可能とするとともに、キートップ51とメンブレンシート55との間に空隙D1を形成する構成としたことにより、ユーザーによりキートップ51が上昇位置から下降位置へ変位させた際に、キートップ51がメンブレンシート55に当接することを防ぐことができる。これにより、キートップ51とメンブレンシート55との衝突音が発生しなくなり、キーボード5の打鍵音を小さくすることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
パーソナルコンピューター(以下、パソコンと称する)に搭載または接続されているキーボードは、ストローク可能な複数のキートップを備えている。
特許文献1は、キートップの上下動を案内する案内部材の下方に配置されるメンブレンスイッチシートにおいて、キートップの下端縁に対応するとともに、キートップの下端縁の幅よりも大きい幅を有する領域で、各ドットスペーサを介して上側スイッチングシートの下面と下側スイッチングシートの上面との間に空間を形成する構成を開示している。特許文献1の開示によれば、キートップを押下した際にキートップの下端縁がメンブレンスイッチシートの上側シートの上面に衝突した場合においても、キートップの下端縁と上側シートとの衝突による衝撃を、上側シートと下側シート間に形成されている空間を介して緩和して衝突音を消音することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−184979号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら特許文献1が開示している構成では、キートップを押下した際にキートップの下端縁がメンブレンスイッチシートの上側スイッチングシートの上面に衝突するため、大きな衝突音が生じてしまい、入力操作時の打鍵音が大きくなってしまう可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願の電子機器は、キートップと、前記キートップを上昇位置と下降位置との間で昇降自在に支持する昇降機構と、前記キートップの昇降動作に連動してスイッチングする接点部と、前記キートップを上昇位置で待機させることが可能であるとともに、前記キートップの下降時に弾性変形可能な弾性部材と、前記昇降機構が支持されているとともに、前記弾性部材が配置されている基材とを備え、前記弾性部材は、前記キートップの操作面の裏面に当接する当接部と、前記基材に固定された固定部と、前記当接部と前記固定部との間に備わる変形部とを備え、前記変形部は、前記キートップが下降位置にあるとき、前記キートップの裏面に当接可能なように弾性変形する。
【発明の効果】
【0006】
本願の開示によれば、入力操作時の打鍵音を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】ノートパソコンの斜視図
【図2】第1の筐体の平面図
【図3】図2におけるZ−Z部の断面図(キートップが上昇位置にあるとき)
【図4】図2におけるZ−Z部の断面図(キートップが下降位置にあるとき)
【図5】弾性部材の斜視図
【図6】図5におけるY−Y部の断面図
【図7】弾性部材の変形例を示す断面図
【図8】弾性部材の変形例を示す断面図
【図9】弾性部材の変形例を示す断面図
【図10】キーの変形例1の構成を示す拡大平面図
【図11】図10におけるZ−Z部の断面図(キートップが上昇位置にあるとき)
【図12】図10におけるZ−Z部の断面図(キートップが下降位置にあるとき)
【図13】キーの変形例2の構成を示す拡大平面図
【図14】図13におけるZ−Z部の断面図
【図15】キーの変形例3におけるキートップの裏面の平面図
【図16】キーの変形例3の構成を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0008】
(実施の形態1)
〔1.電子機器の構成〕
図1は、本実施の形態にかかるノートパソコンの外観を示す斜視図である。なお、本実施の形態では、電子機器の一例としてノートパソコンを挙げたが、少なくともキーボード等の入力装置を備えた機器であればよい。また、入力装置の一例としてノートパソコンに備わるキーボードを挙げたが、デスクトップパソコンやPDA(personal digital assistant)などに接続可能な入力装置に備わるキーボードであってもよい。また、本実施の形態におけるキーボードには、例えばQWERTY配列を有するキーボードの他、数字及び算術記号のみを入力可能なキーボードなどを含む。
【0009】
図1に示すように、ノートパソコンは、第1の筐体1と第2の筐体2とを備えている。第1の筐体1は、各種電気素子が実装された回路基板やハードディスクドライブなどを内蔵している。第2の筐体2は、ディスプレイパネル4を備えている。第1の筐体1と第2の筐体2とは、ヒンジ部3によって互いに開閉自在に支持されている。ヒンジ部3は、第1の筐体1と第2の筐体2とを開閉自在に支持する支軸を備えている。
【0010】
第1の筐体1の上面1aには、キーボード5とポインティングデバイス6とが配されている。キーボード5は、ユーザーによる各種文字の入力操作を受け付ける。ポインティングデバイス6は、その操作面においてユーザーによる接触操作を受け付け、ディスプレイパネル4に表示されるカーソルを所望の位置へ移動する操作が可能なデバイスである。
【0011】
〔2.キーボード5の構成〕
図2は、第1の筐体1の平面図である。図3及び図4は、図2におけるZ−Z部の断面図である。図3は、キートップが上昇位置にある状態を示す。図4は、キートップが下降位置にある状態を示す。図5は、弾性部材の斜視図である。図6は、弾性部材の断面図である(図5におけるY−Y部の断面形状)。
【0012】
図2に示すように、キーボード5は、複数のキーを備えている。キーボード5は、例えば、ノートパソコンなどに使用されるOADG(PCオープン・アーキテクチャー推進協議会)に準拠したキーボード(85キー)などである。キーボード5の各キーには、入力可能な文字や機能が割り当てられている。キーボード5のキーの配列は、本実施の形態ではQWERTY配列としたが、このキー配列に限らず、AZERTY配列やDvorak配列など他のキー配列であってもよい。図示は省略しているが、キーボード5は、各キートップの上面(ユーザーがキーボード5で文字などを入力する際に指で押す面)に、そのキートップを押下操作することで入力可能な文字や機能名などが印刷されていることが多い。以下、キーボード5の具体的構成について説明するが、図2におけるキー5aを一例として挙げて説明する。
【0013】
図3に示すように、キー5aは、キートップ51、第1のリンク部材52a、第2のリンク部材52b、弾性部材53を備えている。
【0014】
キートップ51は、図2に示すように平面形状が四角形で、図3に示すように薄板状に形成されている。キートップ51は、上面51aに、各キーの機能を表す文字や記号などが印刷されていることが多い。キートップ51は、下面51e(上面51aの裏側)に、第1のリンク支持部51c及び第2のリンク支持部51dが形成されている。第1のリンク支持部51cは、開口部を有し、その開口部に第1のリンク部材52aの一方の端部を移動可能に支持している。第2のリンク支持部51dは、開口部を有し、その開口部に第2のリンク部材52bの一方の端部が遊嵌している。キートップ51は、外周部に傾斜部51fが備わる。傾斜部51fは、ユーザーの指による操作面上(上面5a)におけるキー5aと隣り合うキーとの間隔を広げるために形成されている。傾斜部51fは、キートップ51とメンブレンシート55との間に埃等の異物が進入することを軽減するために、メンブレンシート55側へ傾斜している。
【0015】
第1のリンク部材52a及び第2のリンク部材52bは、図3に示すように側方から見たときに互いに交差するように配されている。第1のリンク部材52a及び第2のリンク部材52bは、互いの交差部分において、一方のリンク部材に例えば円筒状の突起部を備え、他方のリンク部材に突起部の外径よりも僅かに大きな内径を有する例えば円形に開口した孔部を備え、その突起部と孔部とを遊嵌させている。第1のリンク部材52aは、一方の端部が第1のリンク支持部51cに移動可能に支持され、他方の端部がメンブレンシート55に形成された第3のリンク支持部54aに回動可能に支持されている。第2のリンク部材52bは、一方の端部が第2のリンク支持部51dに回動可能に支持され、他方の端部がメンブレンシート55に形成された第4のリンク支持部54bに移動可能に支持されている。第1のリンク部材52a及び第2のリンク部材52bは、キートップ51を矢印Eに示す下降方向及び矢印Fに示す上昇方向へ案内する部材である。
【0016】
弾性部材53は、上端部53a、当接面53b、基部53c、傾斜部53d、突起部53e、端面53f、凹部53hを備えている。弾性部材53は、図5及び図6に示すように内部が中空構造となった略円錐状に形成されている。なお、弾性部材53の形状は、円錐形状に限らず、矢印Eに示す方向へ押圧された際に少なくとも傾斜部53dが凸形状に変形可能な形状あれば他の形状であってもよい。弾性部材53は、シリコーンゴムなどの弾性材料で形成されている。弾性部材53は、図3に示すようにキートップ51が押下操作されていないときに、キートップ51が自重により矢印Eに示す方向へ変位しないように、キートップ51を支持することができる。弾性部材53は、図3に示すようにキートップ51が押下操作されていない状態から、ユーザーにより矢印Eに示す方向へ押下操作された場合、キートップ51によって矢印Eに示す方向へ押されて変形する。すなわち、弾性部材53は、外部から押圧力(例えば矢印Eに示す方向への押圧力)が印加された際に変形し、押圧力が印加されていない状態では図3、図5、図6に示す形状を維持する。
【0017】
上端部53aは、弾性部材53の上端に備わり、円筒形状に形成されている。凹部53hは、円形に開口し、キートップ51の下面51eに備わる突起部51b(不図示)が嵌合可能である。なお、凹部53hは、別の接合方法で上端部53aをキートップ51に接合できれば、省略することができる。基部53cは、円筒形状に形成され、その外径は上端部53aの外径よりも大きい。基部53cは、メンブレンシート55の上部メンブレンシート55aに固定されている。傾斜部53dは、上端部53aと基部53cとの間に備わり、略円錐形状に形成されている。傾斜部53dは、板状に形成され剛性が低いため、上端部53a及び基部53cに比べて弾性変形しやすい。突起部53eは、上端部53aの下面(当接面53bの裏側の面)に形成されている。突起部53eは、キートップ51が図4に示すように下降位置にあるときに、端面53fが上部メンブレンシート55aに当接可能である。
【0018】
第3のリンク支持部54aは、第1のリンク部材52aの他方の端部を支持している。第4のリンク支持部54bは、第2のリンク部材52bの他方の端部を支持している。キートップ51が図3に示す位置から矢印Eに示す方向へ変位する際、第1のリンク部材52aの他端は第3のリンク支持部54aを中心に回動し、第2のリンク部材52bの他端は矢印Hに示す方向へ移動する。また、キートップ51が図3に示す位置にある時は、第1のリンク部材52aの一端が第1のリンク支持部51cの矢印Gに示す方向の内壁(不図示)に当接し、第2のリンク部材52bの他端が第4のリンク支持部54bの矢印Gに示す方向の内壁に当接している。これにより、第1のリンク部材52aの一端及び第2のリンク部材52bの他端が矢印Gに示す方向へ移動するのを規制し、キートップ51が図3に示す位置から矢印Fに示す方向へ変位するのを規制することができる。
【0019】
メンブレンシート55は、上部メンブレンシート55a、下部メンブレンシート55b、スペーサ55c、上部接点55d、下部接点55eを備えている。上部メンブレンシート55aと下部メンブレンシート55bとは、互いに略平行に配されている。上部メンブレンシート55a及び下部メンブレンシート55bは、それぞれ、例えばシリコンゴムなどで形成された基材に、例えば銀(Ag)インクによる配線パターン(不図示)と上部接点55d及び下部接点55eとが形成されて、構成されている。上部接点55dは、上部メンブレンシート55aにおける下部メンブレンシート55bに対向する面に形成されている。下部接点55eは、下部メンブレンシート55bにおける上部メンブレンシート55aに対向する面に形成されている。上部接点55d及び下部接点55eは、第1の筐体1内の電気回路基板(不図示)に電気的に接続されている配線パターン(不図示)に接続されている。上部メンブレンシート55a及び下部メンブレンシート55bは、スペーサ55c及び空隙55fを挟んで接合されている。スペーサ55cは、上部メンブレンシート55a及び下部メンブレンシート55bの間、特に上部接点55dと下部接点55eとの間に所定の空隙55fを形成し、キートップ51が押下操作されていない状態において上部接点55dと下部接点55eとが接触するのを防いでいる。スペーサ55cは、キーボード5に備わる各キーの周囲に配置され、押下操作された任意のキーの隣りのキーの上部接点55dと下部接点55eとが接触することを防いでいる。なお、上部接点55dと下部接点55eとの間隙は、それぞれ非常に微小であるため、図3では両者が接しているように描画されているが実際には離間している。また、上部接点55dと下部接点55eとは、図4に示すようにキートップ5aが下降位置にあるとき、互いに接触している。
【0020】
以下、キーボード5の動作について説明する。
【0021】
図3は、キートップ51が押下操作されていない状態である。図3に示す状態では、キートップ51は、弾性部材53によって上昇位置に配置され、自重による矢印Eに示す方向への変位が規制されている。また、このとき、上部接点55dと下部接点55eとは、空隙55fを挟んで離間している。
【0022】
図3に示す状態から、ユーザーが指などでキートップ51を矢印Eに示す方向へ押下すると、キートップ51は、第1のリンク部材52a及び第2のリンク部材52bによって案内されながら、矢印Eに示す方向へ変位する。このとき、キートップ51は、操作面51aとメンブレンシート55の上面55gとの平行性を維持しながら、矢印Eに示す方向へ変位する。弾性部材53は、キートップ51が矢印Eに示す方向へ変位すると、キートップ51により上端部53aが矢印Eに示す方向へ押されて、主に傾斜部53dが湾曲変形する。キートップ51が矢印Eに示す方向へ変位する際、第1のリンク部材52aは、一方の端部が第1のリンク支持部51cに支持されながら矢印Hに示す方向へ移動し、他方の端部が第3のリンク支持部54aを中心に回動する。第2のリンク部材52bは、一方の端部が第2のリンク支持部51dを中心に回動し、他方の端部が第4のリンク支持部54bに支持されながら矢印Hに示す方向へ移動する。
【0023】
図4に示すように、キートップ51が下降位置まで変位すると、弾性部材53に形成された突起部53e(図5及び図6参照)が上部メンブレンシート55aに当接する。この状態からさらにキートップ51が矢印Eに示す方向へ変位すると、突起部53eが上部メンブレンシート55aを押圧し、上部メンブレンシート55aは矢印Eに示す方向へ湾曲変形する。上部メンブレンシート55aが所定位置まで変形すると、上部接点55dと下部接点55eとが接触する。上部接点55dと下部接点55eとが接触することにより、上部メンブレンシート55aに形成された配線パターンと下部メンブレンシート55bに形成された配線パターンとが電気的に導通した状態となる。配線パターンは、第1の筐体1内に配された信号処理回路に電気的に接続されているため(接続状態は周知であるため不図示)、信号処理回路では押下操作されたキーに対応した信号処理を実行する。例えば、押下操作されたキーに所定の文字入力機能が割り当てられている場合は、割り当てられている文字を第2の筐体2に配されたディスプレイパネル4に表示するよう制御する。
【0024】
図4に示す状態において、ユーザーがキートップ51から指を離間させると、キートップ51は、弾性部材53の弾性復帰力によって矢印Fに示す方向へ上昇する。すなわち、弾性部材53は、キートップ51を矢印Fに示す方向へ押し上げる程度の弾性復帰力を有する。このとき、キートップ51は、第1のリンク部材52a及び第2のリンク部材52bによって昇降方向へ案内されるため、メンブレンシート55の上面55gに対して平行な姿勢を保ったまま矢印Fに示す方向へ上昇する。
【0025】
弾性部材53が変形した状態から元の形状に復帰することで、上部メンブレンシート55aを押圧していた突起部53eが上部メンブレンシート55aから離間する。上部メンブレンシート55aは、突起部53eが離間することにより、湾曲変形していた状態から元の形状(図3に示すように下部メンブレンシート55bに平行対向した形状)に復帰し、上部接点55dと下部接点55eとが離間する。上部接点55dと下部接点55eとが離間することにより、上部メンブレンシート55aの配線パターン(不図示)と下部メンブレンシート55bの配線パターン(不図示)とが電気的に遮断した状態となる。
【0026】
図3に示すように、キートップ51が上昇位置まで変位すると、第1のリンク部材52aの一端は第1のリンク支持部51cの矢印G方向の内壁(不図示)に当接し、第2のリンク部材52bの他端は第4のリンク支持部54bの矢印G方向の内壁(不図示)に当接する。これにより、第1のリンク部材52aの一端が矢印Gに示す方向へ移動するのを規制し、第2のリンク部材52bの他端が矢印Gに示す方向へ移動するのを規制することができ、キートップ51が図3に示す上昇位置から矢印Fに示す方向へ変位するのを規制することができる。以上の動作により、キートップ51は図3に示す元の位置に復帰する。
【0027】
〔3.弾性部材53の動作〕
キートップ51が昇降動作する際の弾性部材53の動作について説明する。
【0028】
弾性部材53は、図3に示すようにキートップ51が上昇位置にあるとき、キートップ51の重量がかかっているが、ほとんど変形しておらず中立状態を維持している。図3に示す状態からキートップ51を矢印Eに示す方向へ変位させると、上端部53aは、キートップ51により押されて矢印Eに示す方向へ変位する。
【0029】
上端部53aが矢印Eに示す方向へ変位するのに伴って、傾斜部53dが湾曲変形する。すなわち、傾斜部53dは、図6に示すように、その長さL1が基部53cの長さL2と上端部53aの長さL3よりも長いため、剛性が低く変形しやすい。したがって、傾斜部53dは、上端部53aが矢印Eに示す方向へ変位することにより、図4に示すように上端部53aとの境界近傍が屈曲変形するとともに、上端部53aと基部53cとの間における中央近傍が湾曲変形する。なお、傾斜部53dの中央近傍は、表面53k側が凸形状となるように湾曲変形する。なお、基部53cは、傾斜部53dよりも剛性が高いため、傾斜部53dが変形する際ほとんど変形しない。
【0030】
図4に示すように、キートップ51が下降位置にあるとき、弾性部材53は、傾斜部53dの表面53kがキートップ51の下面51eに当接する。具体的には、傾斜部53dの表面53kにおける湾曲変形した部分が、キートップ51の下面51eに当接する。傾斜部53dの表面53kがキートップ51の下面51eに当接した状態にあるとき、キートップ51の端部51gとメンブレンシート55の表面55gとの間には、空隙D1が形成される。すなわち、弾性部材53の傾斜部53dは、湾曲変形してキートップ51の下面51eに当接した際にキートップ51とメンブレンシート55との間に空隙D1を形成可能な長さL1を有する。
【0031】
〔4.実施の形態の効果、他〕
本実施の形態によれば、キートップ51を下降位置に変位させる際に、弾性部材53の傾斜部53dがキートップ51の下面51eに当接可能とするとともに、キートップ51とメンブレンシート55との間に空隙D1を形成する構成としたことにより、ユーザーによりキートップ51が上昇位置(図3参照)から下降位置(図4参照)へ変位させた際に、キートップ51がメンブレンシート55に当接することを防ぐことができる。これにより、キートップ51とメンブレンシート55との衝突音が発生しなくなり、キーボード5の打鍵音を小さくすることができる。なお、キートップ51を下降位置へ変位させる際にキートップ51の下面51eと湾曲変形した傾斜部53dとが衝突するが、弾性部材53はゴムなどの柔らかい材料で形成されているため、キートップ51と傾斜部53dとの衝突音は極めて小さく、キーボード5の打鍵音を大幅に増幅することはない。
【0032】
また、本実施の形態によれば、キートップ51を下降位置に変位させる際に、弾性部材53にキートップ51を当接させる構成としたことにより、弾性部材53がゴムなどの柔らかい材料で形成されているため、キートップ51に伝わる衝撃を軽減することができる。これにより、キーボード5で打鍵操作を行っているユーザーの指に衝撃が伝わることを軽減することができ、ユーザーにおいて感じる不快感を軽減することができる。特に、長時間に亘ってキーボード5を打鍵操作する際にその効果が大きく現れる。
【0033】
また、本実施の形態によれば、別途部品を追加することなく静音構造をキーボード5に持たせることができるため、低いコストで実現することができるとともに、キーボード5の薄型化に貢献できる。
【0034】
なお、本実施の形態では、図2に示すキーボード5に備わるキーの中で操作面の面積が比較的小さいキー5aを取り上げて説明したが、操作面の面積が大きいキー(ENTERキー5b、スペースキー5c等)にも、本実施の形態の構成を採用できる。その場合、大型のキー(例えばENTERキー5b、スペースキー5c等)に備える第1のリンク部材52a及び第2のリンク部材52bは、小型のキー(例えばキー5a)に備わる第1のリンク部材52a及び第2のリンク部材52bよりもサイズを大型化することで、実現が可能となる。なお、従来のキーボードにおける大型のキーは、小型のキーに備わるリンク部材と同じサイズのリンク部材と、キートップの長手方向に配置される棒状部材とを備えていたが、本実施の形態のように大型キーのキートップのサイズに合わせて大型化したリンク部材を備えることで、棒状部材を廃止することができる。
【0035】
また、本実施の形態では、弾性部材53は、シリコーンゴムで形成したが、少なくともキートップ51により押圧された際に弾性変形する材料であれば他の材料で形成してもよい。
【0036】
また、本実施の形態では、弾性部材53の上端部53aに凹部53hを備えたが、例えば弾性部材53の材質を滑りが悪い材質で形成する等、弾性部材53とキートップ51との位置ズレを抑制できれば、凹部53hは省略できる。
【0037】
また、本実施の形態では、傾斜部53dを変形しやすくする構成として、傾斜部53dの長さL1を基部53cの長さL2及び上端部53aの長さL3よりも長くして、傾斜部53dの剛性を上端部53a及び基部53cの剛性よりも低くする構成としたが、他の構成を採用してもよい。図7〜図9は、弾性部材53の変形例である。
【0038】
図7は、傾斜部53dの厚さT1を基部53cの厚さT2よりも薄くした弾性部材53の断面図である。図7に示す構成とすることにより、傾斜部53dの剛性を基部53cの剛性よりも低くすることができるので、弾性部材53が矢印Eに示す方向へ押圧された際に傾斜部53dを優先的に湾曲変形させることができる。なお、図7に示す弾性部材53は、傾斜部53d以外の構成は図6に示す弾性部材53と同等である。また、図7に示す傾斜部53dは、全体的に厚さT1を薄くしているが、部分的に薄くする構成であっても同様の効果が得られる。
【0039】
図8は、傾斜部53dの材質を、上端部53a及び基部53cの材質と異なる材質とした弾性部材53の断面図である。図8に示す傾斜部53dの材質は、上端部53a及び基部53cの材質よりも硬度が低い材質で形成されている。図8に示す構成とすることにより、傾斜部53dの剛性を基部53cの剛性よりも低くすることができるので、弾性部材53が矢印Eに示す方向へ押圧された際に傾斜部53dを優先的に湾曲変形させることができる。なお、図8に示す弾性部材53は、傾斜部53d以外の構成は図6に示す弾性部材53と同等である。また、図8に示す傾斜部53dは、全体的に低剛性の材質で形成しているが、部分的に低剛性の材質で形成する構成であっても同様の効果が得られる。
【0040】
図9は、傾斜部53dと上端部53aとの境界近傍に、くさび形の溝部53mを備えた弾性部材53の断面図である。図9に示す弾性部材53は、溝部53m以外の構成は図6に示す弾性部材53と同等である。図9に示す構成とすることにより、弾性部材53が矢印Eに示す方向へ押圧された際に、溝部53m近傍の部分を優先的に屈曲させることができるので、傾斜部53dを優先的に湾曲変形させることができる。なお、溝部53mは、図9に示す構成では傾斜部53dの表面53k側に形成したが、表面53kの裏側の面に形成してもよい。また、溝部53mは、上端部53aと傾斜部53dとの境界近傍に限らず、傾斜部53d上に形成してもよい。また、溝部53mは、1カ所に限らず、複数箇所に形成してもよい。
【0041】
また、本実施の形態では、弾性部材53の傾斜部53dの厚さは均一としたが、上端部53aと基部53cとの間の中央付近の傾斜部53dの厚さが、基部53cに近い側の厚さよりも薄くなるように、厚さを不均一とすることが好ましい。具体的には、例えば傾斜部53dにおける中央部付近から基部53cにかけてなだらかに厚さを増加させ、基部53cに繋がる構成とすることができる。このような構成とすることで、弾性部材53が矢印Eに示す方向へ押圧されて変形した際に、傾斜部53dにおける厚みが薄い部分を優先的に湾曲変形させることができる。すなわち、例えば傾斜部53dにおける上端部53a側を、確実に湾曲変形させることができる。また、このような構成とすることにより、例えば型抜きし易い等、弾性部材53の製造が容易になる。
【0042】
また、本実施の形態では、電子機器の一例としてノートパソコンを挙げたが、少なくともキーボードを備える装置であれば、ノートパソコン以外の電子機器にも本実施の形態の構成を採用できる。また、本実施の形態における電子機器には、キーボードのみを備え、パソコン等に接続可能なキーボード装置を含む。
【0043】
また、本実施の形態におけるキートップ51は、キートップの一例である。本実施の形態における第1のリンク部材52a及び第2のリンク部材52bは、昇降機構の一例である。本実施の形態におけるメンブレンシート55は、基材の一例である。本実施の形態における弾性部材53は、弾性部材の一例である。本実施の形態における上部接点55d及び下部接点55eは、接点部の一例である。本実施の形態における上端部53aは、当接部の一例である。本実施の形態における基部53cは、固定部の一例である。本実施の形態における変形部53dは、変形部の一例である。
【0044】
本願は、さらに以下の変形例を開示する。なお、実施の形態1で開示している弾性部材53の構成に、変形例1で開示している弾性部材56の構成、変形例2で開示している弾性部材58の構成、および/または変形例3で開示している弾性部材57の構成を適宜組み合わせることで、本実施の形態で得られる効果をさらに高めることができる。
【0045】
(変形例1)
図10は、図3に示すキー5aに弾性シート56を追加した構成を示す拡大平面図である。図11及び図12は、図10におけるZ−Z部の断面図である。図11は、キートップ51が上昇位置にある状態を示す。図12は、キートップ51が下降位置にある状態を示す。
【0046】
弾性シート56は、上部メンブレンシート55aの上面55gに配されている。弾性シート56は、シート状の弾性材料で形成されている。弾性シート56は、キートップ51が衝突した際の衝撃を吸収し、衝突音を軽減できる材質で形成されており、例えばシリコーンゴムで形成することができる。弾性シート56は、上部メンブレンシート55aの上面55gに例えば接着剤で接合されている。
【0047】
弾性シート56は、キーボード5に備わる各キー毎に独立して備えてもよいし、1枚の弾性シート56でキーボード5に備わる全てのキーに対応するように備えてもよい。1枚の弾性シート56でキーボード5に備わる全てのキーに対応させる構成とすることにより、キーボード5の組立性を向上することができる。本実施の形態の弾性シート56は、1枚の弾性シートでキーボード5に備わる全てのキーに対応するように備え、各キーに対応する位置に開口部56bを備えている。第1のリンク部材52a、第2のリンク部材52b、弾性部材53は、弾性シート56の開口部56bを挿通する位置に配されている。
【0048】
弾性シート56は、キートップ51が下降位置にあるときに、キートップ51の少なくとも一部(最もメンブレンシート55に近い部分で、本実施の形態では端部51g)が当接可能で、上部電極55dと下部電極55eとの接触を妨げない厚さT11であればよい。
【0049】
弾性シート56は、図10に示すように、少なくともキートップ51において最もメンブレンシート55に近い部分(本実施の形態では端部51g)に重なる位置に配されている。
【0050】
上記構成において、キートップ51を図11に示す上昇位置から矢印Eに示す方向へ押下すると、図12に示すようにキートップ51の端部51gが弾性シート56の上面56aに当接する。弾性シート56は、シリコーンゴム等の低硬度の材質で形成されているため、キートップ51の端部51gが当接する際に生じる衝突音は小さい。具体的には、弾性シート56は、少なくともメンブレンシート55の材質よりも低い硬度の材質で形成されているため、キートップ51の端部51gが当接する際に生じる衝突音は、キートップ51の端部51gがメンブレンシート55に当接する際に生じる衝突音よりも小さい。したがって、キーボード5を打鍵操作する際の打鍵音を軽減することができる。
【0051】
また、本変形例によれば、キーボード5で打鍵操作を行っているユーザーの指に衝撃が伝わることを軽減することができ、ユーザーにおいて感じる不快感を軽減することができる。特に、長時間に亘ってキーボード5を打鍵操作する際にその効果が大きく現れる。
【0052】
また、本変形例によれば、弾性シート56を備えたことにより、仮にキートップ51が傾いた姿勢で押下された場合であっても、弾性シート56とメンブレンシート55との衝突を防ぐことができ、衝突音を軽減することができる。
【0053】
なお、本変形例では、図10に示すように、キートップ51の端部51gの全周に当接可能な位置に弾性シート56を備えたが、少なくとも端部51gの一部に当接可能な位置に弾性シート56を備えていればよい。そのような構成の一例を、変形例2として後述する。
【0054】
また、本変形例では、メンブレンシート55の上面55gに弾性シート56を備えたが、弾性シート56と同じ材質で形成した弾性部材をキートップ51の端部51gに備えてもよい。キートップ51の端部51gに備える弾性部材は、接着剤等で端部51gに接合することが好ましい。このような構成とすることで、上記変形例1と同様の効果が得られる。
【0055】
また、弾性シート56は、第1の消音部材の一例である。なお、「消音部材」は、キートップ51が当接する際に発する衝突音を完全に消すことができる部材に限定せず、衝突音を低減できる部材を含むこととする。すなわち、キートップ51が当接する際に発する衝突音は、完全に消すことが望ましいが、実際には僅かな衝突音が発生することが多い。本実施の形態では、そのような衝突音を従来構成よりも低減することを目的としているため、本明細書における「消音」という言葉が持つ意味は、衝突音を完全に消すことだけでなく、衝突音を低減することを含み、広義に解釈することができることとする。
【0056】
(変形例2)
図13は、図3に示すキー5aに弾性シート58を追加した構成を示す拡大平面図である。図14は、図13におけるZ−Z部の断面図である。図14は、キートップ51が下降位置にある状態を示す。
【0057】
弾性シート58は、上部メンブレンシート55aの上面55gに配されている。弾性シート58は、シート状の弾性材料で形成されている。弾性シート58は、キートップ51が衝突した際の衝撃を吸収し、衝突音を軽減できる材質で形成されており、例えばシリコーンゴムで形成することができる。弾性シート58は、上部メンブレンシート55aの上面55gに例えば接着剤で接合されている。
【0058】
弾性シート58は、キーボード5に備わる各キー毎に独立して備えてもよいし、1枚の弾性シート58でキーボード5に備わる全てのキーに対応するように備えてもよい。1枚の弾性シート58でキーボード5に備わる全てのキーに対応させる構成とすることにより、キーボード5の組立性を向上することができる。弾性シート58は、1枚の弾性シートでキーボード5に備わる全てのキーに対応するように備え、各キーに対応する位置に開口部58bを備えている。第1のリンク部材52a、第2のリンク部材52b、弾性部材53は、弾性シート58の開口部58bを挿通する位置に配されている。
【0059】
弾性シート58は、キートップ51が下降位置にあるときに、キートップ51の少なくとも一部(最もメンブレンシート55に近い部分で、本実施の形態では端部51g)が当接可能で、上部電極55dと下部電極55eとの接触を妨げない厚さT11(図14参照)であればよい。
【0060】
弾性シート58は、図13に示すように、少なくともキートップ51において最もメンブレンシート55に近い部分(本実施の形態では端部51g)に重なる位置に配されている。
【0061】
弾性シート58は、キートップ51に重ならない位置に、開口部58bの端部58cを配置している。すなわち、開口部58bは、キートップ51の下部からキートップ51に重ならない位置まで連続的な空間を有する。開口部58bの端部58c側は、外部空間に接している。このような構成において、図14に示すようにキートップ51を下降位置に変位させると、キートップ51のほとんどの端部51gが弾性シート58の上面58aに当接するが、端部51gの一部51hは弾性シート58に当接せず、空隙を挟んでメンブレンシート55に対向配置される。このとき、開口部58bは、キートップ51の端部51gの一部51hとメンブレンシート55との間の空隙を介して、空間的に外部につながっている。
【0062】
上記構成において、キートップ51を上昇位置から下降させると、図14に示すようにキートップ51の端部51gが弾性シート58の上面58aに当接する。弾性シート58は、シリコーンゴム等の低硬度の材質で形成されているため、キートップ51の端部51gが当接する際に生じる衝突音は小さい。具体的には、弾性シート58は、少なくともメンブレンシート55の材質よりも低い硬度の材質で形成されているため、キートップ51の端部51gが当接する際に生じる衝突音は、キートップ51の端部51gがメンブレンシート55に当接する際に生じる衝突音よりも小さい。したがって、キーボード5を打鍵操作する際の打鍵音を軽減することができる。
【0063】
また、本変形例によれば、弾性シート58を備えたことにより、キートップ51が弾性シート58に衝突する際の衝撃を軽減することができるため、キーボード5で打鍵操作を行っているユーザーの指に衝撃が伝わることを軽減することができ、ユーザーにおいて感じる不快感を軽減することができる。特に、長時間に亘ってキーボード5を打鍵操作する際にその効果が大きく現れる。
【0064】
また、本変形例によれば、弾性シート58を備えたことにより、仮にキートップ51が傾いた姿勢で押下された場合であっても、弾性シート58とメンブレンシート55との衝突を防ぐことができ、衝突音を軽減することができる。
【0065】
また、本変形例によれば、弾性シート58の開口部58bの端部58c側をキートップ51の端部51hよりも外部空間に接するように形成したことにより、キートップ51が図14に示すように下降位置に変位したときに開口部58bがキートップ51によって閉塞されても、端部51gや51h等と開口部58bとは密閉状態にならず、開口部58b内の空気圧は低下しない。したがって、キートップ51を図14に示す下降位置にある状態から、ユーザーが指をキートップ51から離間する方向へ変位させた際に、キートップ51は迅速かつ確実に上昇位置(例えば図11参照)へ変位する。これにより、キーボード5の操作性を向上させることができる。
【0066】
例えば、キートップ51が下降位置に変位した際に開口部58bが密閉状態になり開口部58b内の空気圧が低下すると、キートップ51が弾性シート58に連続的に吸引される状態となる。したがって、ユーザーが指をキートップ51から離間する方向へ変位させても、キートップ51がすぐに上昇動作を行わなかったり、下降位置に位置したままになってしまったりする場合がある。本変形例では、開口部58bを密閉状態になることを防ぐことで、開口部58b内の空気圧が大気圧と同等となり、キートップ51の上昇動作を妨げることがない。
【0067】
なお、本変形例では、メンブレンシート55の上面55gに弾性シート58を備えたが、弾性シート58と同じ材質で形成した弾性部材をキートップ51の端部51gに備えてもよい。キートップ51の端部51gに備える弾性部材は、接着剤等で端部51gに接合することが好ましい。このような構成とすることで、上記変形例1と同様の効果が得られる。
【0068】
また、開口部58bにおける外部空間に接する部分を一カ所としたが、少なくともキートップ51を確実かつ安定的に弾性シート58に当接させることができれば、複数箇所に備えてもよい。また、キートップ51と弾性シート58とが外部空間に接する弾性シート58は、キートップ51の端部51hの長さに類似する構成として説明したが、外部空間と接する部分は端部51hの一部であっても、外部空間と結びつけられれば適用することができる。さらに、弾性シート58は、キートップ51の例えば傾斜部51fに備える構成であっても適用することができる。
【0069】
また、弾性シート58は、第1の消音部材の一例である。
【0070】
(変形例3)
変形例3にかかるキーボード5は、キー5aに弾性シート57を追加した構成を有する。
【0071】
図15は、変形例3にかかるキーボード5におけるキー5aを下面から見た平面図である。図16は、図15におけるZ−Z部のキーボード5の断面図である。
【0072】
弾性シート57は、キートップ51の下面51eと第1のリンク部材52aの一端との間、およびキートップ51の下面51eと第2のリンク部材52bの一端との間に配されている。弾性シート57は、シート状の弾性材料で形成されている。弾性シート57は、第1のリンク部材52a及び第2のリンク部材52bが衝突した際の衝撃を吸収し、衝突音を軽減できる材質で形成されており、例えばシリコーンゴムで形成することができる。弾性シート57は、第1のリンク部材52a及び第2のリンク部材52bが下面51eに当接するため、第1のリンク部材52a及び第2のリンク部材52bの回動動作を妨げないように、第1のリンク部材52a及び第2のリンク部材52b側の表面は滑りが良好な材質で形成することが好ましい。弾性シート57は、キートップ51の下面51eに例えば接着剤で接合されている。なお、弾性シート57は、接着剤でキートップ51に接合されていることは必須ではなく、爪係合等によりキートップ51に固定されている構成や、キートップ51と第1のリンク部材52a及び第2のリンク部材52bとに挟持されている構成でもよい。また、弾性シート57は、キートップ51の下面51eにおける、少なくとも第1のリンク部材52a及び52bが当接可能な位置に配されていればよい。また、弾性シート57は、弾性部材53の傾斜部53dが湾曲変形した際に傾斜部53dが当接可能な位置に備えることで、打鍵音低減等の効果がさらに高まるため好ましい。
【0073】
第1のリンク部材52a及び第2のリンク部材52bは、キートップ51を昇降させる際に回動動作を行う必要があるため、第1のリンク支持部51cと第1のリンク部材52aの一端との間及び第2のリンク支持部51dと第2のリンク部材52bの一端との間に、意図的に僅かな隙間(ガタツキ)を持たせている。したがって、キートップ51を上昇位置から押下する際、および下降位置にあるキートップ51から指を離間させキートップ51を上昇位置へ移行させる際に、キートップ51の下面51eと第1のリンク部材52aの一端及び第2のリンク部材52bの一端とが衝突し、衝突音が発生する場合がある。
【0074】
そこで、図15及び図16に示すように、キートップ51と第1のリンク部材52a及び第2のリンク部材52bとの間に弾性シート57を備えたことにより、キートップ51を上昇位置から押下する際、および下降位置にあるキートップ51から指を離間させキートップ51を上昇位置へ移行させる際に、第1のリンク部材52a及び第2のリンク部材52bと弾性シート57とを衝突させることができる。なお、「衝突」とは、下降位置にあるキートップ51から指を離間させて上昇位置へ移行させる際に、第1のリンク部材52a及び第2のリンク部材52bが慣性力で下面51eに当接する構成も含む。また、弾性シート57の配置は、例えばENTERキー5bやスペースキー5c等のように、大型のキーに適用するとより効果が顕著となるため好ましい。弾性シート57は、シリコーンゴム等の低硬度の材質で形成されているため、第1のリンク部材52a及び第2のリンク部材52bが衝突した際の衝突音は小さい。したがって、キートップ51の下降時と上昇時の打鍵音を軽減することができる。
【0075】
なお、弾性シート57は、第2の消音部材の一例である。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本願は、入力装置を備えた電子機器に有用である。
【符号の説明】
【0077】
5 キーボード
51 キートップ
53 弾性部材
【技術分野】
【0001】
本願は、電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
パーソナルコンピューター(以下、パソコンと称する)に搭載または接続されているキーボードは、ストローク可能な複数のキートップを備えている。
特許文献1は、キートップの上下動を案内する案内部材の下方に配置されるメンブレンスイッチシートにおいて、キートップの下端縁に対応するとともに、キートップの下端縁の幅よりも大きい幅を有する領域で、各ドットスペーサを介して上側スイッチングシートの下面と下側スイッチングシートの上面との間に空間を形成する構成を開示している。特許文献1の開示によれば、キートップを押下した際にキートップの下端縁がメンブレンスイッチシートの上側シートの上面に衝突した場合においても、キートップの下端縁と上側シートとの衝突による衝撃を、上側シートと下側シート間に形成されている空間を介して緩和して衝突音を消音することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−184979号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら特許文献1が開示している構成では、キートップを押下した際にキートップの下端縁がメンブレンスイッチシートの上側スイッチングシートの上面に衝突するため、大きな衝突音が生じてしまい、入力操作時の打鍵音が大きくなってしまう可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願の電子機器は、キートップと、前記キートップを上昇位置と下降位置との間で昇降自在に支持する昇降機構と、前記キートップの昇降動作に連動してスイッチングする接点部と、前記キートップを上昇位置で待機させることが可能であるとともに、前記キートップの下降時に弾性変形可能な弾性部材と、前記昇降機構が支持されているとともに、前記弾性部材が配置されている基材とを備え、前記弾性部材は、前記キートップの操作面の裏面に当接する当接部と、前記基材に固定された固定部と、前記当接部と前記固定部との間に備わる変形部とを備え、前記変形部は、前記キートップが下降位置にあるとき、前記キートップの裏面に当接可能なように弾性変形する。
【発明の効果】
【0006】
本願の開示によれば、入力操作時の打鍵音を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】ノートパソコンの斜視図
【図2】第1の筐体の平面図
【図3】図2におけるZ−Z部の断面図(キートップが上昇位置にあるとき)
【図4】図2におけるZ−Z部の断面図(キートップが下降位置にあるとき)
【図5】弾性部材の斜視図
【図6】図5におけるY−Y部の断面図
【図7】弾性部材の変形例を示す断面図
【図8】弾性部材の変形例を示す断面図
【図9】弾性部材の変形例を示す断面図
【図10】キーの変形例1の構成を示す拡大平面図
【図11】図10におけるZ−Z部の断面図(キートップが上昇位置にあるとき)
【図12】図10におけるZ−Z部の断面図(キートップが下降位置にあるとき)
【図13】キーの変形例2の構成を示す拡大平面図
【図14】図13におけるZ−Z部の断面図
【図15】キーの変形例3におけるキートップの裏面の平面図
【図16】キーの変形例3の構成を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0008】
(実施の形態1)
〔1.電子機器の構成〕
図1は、本実施の形態にかかるノートパソコンの外観を示す斜視図である。なお、本実施の形態では、電子機器の一例としてノートパソコンを挙げたが、少なくともキーボード等の入力装置を備えた機器であればよい。また、入力装置の一例としてノートパソコンに備わるキーボードを挙げたが、デスクトップパソコンやPDA(personal digital assistant)などに接続可能な入力装置に備わるキーボードであってもよい。また、本実施の形態におけるキーボードには、例えばQWERTY配列を有するキーボードの他、数字及び算術記号のみを入力可能なキーボードなどを含む。
【0009】
図1に示すように、ノートパソコンは、第1の筐体1と第2の筐体2とを備えている。第1の筐体1は、各種電気素子が実装された回路基板やハードディスクドライブなどを内蔵している。第2の筐体2は、ディスプレイパネル4を備えている。第1の筐体1と第2の筐体2とは、ヒンジ部3によって互いに開閉自在に支持されている。ヒンジ部3は、第1の筐体1と第2の筐体2とを開閉自在に支持する支軸を備えている。
【0010】
第1の筐体1の上面1aには、キーボード5とポインティングデバイス6とが配されている。キーボード5は、ユーザーによる各種文字の入力操作を受け付ける。ポインティングデバイス6は、その操作面においてユーザーによる接触操作を受け付け、ディスプレイパネル4に表示されるカーソルを所望の位置へ移動する操作が可能なデバイスである。
【0011】
〔2.キーボード5の構成〕
図2は、第1の筐体1の平面図である。図3及び図4は、図2におけるZ−Z部の断面図である。図3は、キートップが上昇位置にある状態を示す。図4は、キートップが下降位置にある状態を示す。図5は、弾性部材の斜視図である。図6は、弾性部材の断面図である(図5におけるY−Y部の断面形状)。
【0012】
図2に示すように、キーボード5は、複数のキーを備えている。キーボード5は、例えば、ノートパソコンなどに使用されるOADG(PCオープン・アーキテクチャー推進協議会)に準拠したキーボード(85キー)などである。キーボード5の各キーには、入力可能な文字や機能が割り当てられている。キーボード5のキーの配列は、本実施の形態ではQWERTY配列としたが、このキー配列に限らず、AZERTY配列やDvorak配列など他のキー配列であってもよい。図示は省略しているが、キーボード5は、各キートップの上面(ユーザーがキーボード5で文字などを入力する際に指で押す面)に、そのキートップを押下操作することで入力可能な文字や機能名などが印刷されていることが多い。以下、キーボード5の具体的構成について説明するが、図2におけるキー5aを一例として挙げて説明する。
【0013】
図3に示すように、キー5aは、キートップ51、第1のリンク部材52a、第2のリンク部材52b、弾性部材53を備えている。
【0014】
キートップ51は、図2に示すように平面形状が四角形で、図3に示すように薄板状に形成されている。キートップ51は、上面51aに、各キーの機能を表す文字や記号などが印刷されていることが多い。キートップ51は、下面51e(上面51aの裏側)に、第1のリンク支持部51c及び第2のリンク支持部51dが形成されている。第1のリンク支持部51cは、開口部を有し、その開口部に第1のリンク部材52aの一方の端部を移動可能に支持している。第2のリンク支持部51dは、開口部を有し、その開口部に第2のリンク部材52bの一方の端部が遊嵌している。キートップ51は、外周部に傾斜部51fが備わる。傾斜部51fは、ユーザーの指による操作面上(上面5a)におけるキー5aと隣り合うキーとの間隔を広げるために形成されている。傾斜部51fは、キートップ51とメンブレンシート55との間に埃等の異物が進入することを軽減するために、メンブレンシート55側へ傾斜している。
【0015】
第1のリンク部材52a及び第2のリンク部材52bは、図3に示すように側方から見たときに互いに交差するように配されている。第1のリンク部材52a及び第2のリンク部材52bは、互いの交差部分において、一方のリンク部材に例えば円筒状の突起部を備え、他方のリンク部材に突起部の外径よりも僅かに大きな内径を有する例えば円形に開口した孔部を備え、その突起部と孔部とを遊嵌させている。第1のリンク部材52aは、一方の端部が第1のリンク支持部51cに移動可能に支持され、他方の端部がメンブレンシート55に形成された第3のリンク支持部54aに回動可能に支持されている。第2のリンク部材52bは、一方の端部が第2のリンク支持部51dに回動可能に支持され、他方の端部がメンブレンシート55に形成された第4のリンク支持部54bに移動可能に支持されている。第1のリンク部材52a及び第2のリンク部材52bは、キートップ51を矢印Eに示す下降方向及び矢印Fに示す上昇方向へ案内する部材である。
【0016】
弾性部材53は、上端部53a、当接面53b、基部53c、傾斜部53d、突起部53e、端面53f、凹部53hを備えている。弾性部材53は、図5及び図6に示すように内部が中空構造となった略円錐状に形成されている。なお、弾性部材53の形状は、円錐形状に限らず、矢印Eに示す方向へ押圧された際に少なくとも傾斜部53dが凸形状に変形可能な形状あれば他の形状であってもよい。弾性部材53は、シリコーンゴムなどの弾性材料で形成されている。弾性部材53は、図3に示すようにキートップ51が押下操作されていないときに、キートップ51が自重により矢印Eに示す方向へ変位しないように、キートップ51を支持することができる。弾性部材53は、図3に示すようにキートップ51が押下操作されていない状態から、ユーザーにより矢印Eに示す方向へ押下操作された場合、キートップ51によって矢印Eに示す方向へ押されて変形する。すなわち、弾性部材53は、外部から押圧力(例えば矢印Eに示す方向への押圧力)が印加された際に変形し、押圧力が印加されていない状態では図3、図5、図6に示す形状を維持する。
【0017】
上端部53aは、弾性部材53の上端に備わり、円筒形状に形成されている。凹部53hは、円形に開口し、キートップ51の下面51eに備わる突起部51b(不図示)が嵌合可能である。なお、凹部53hは、別の接合方法で上端部53aをキートップ51に接合できれば、省略することができる。基部53cは、円筒形状に形成され、その外径は上端部53aの外径よりも大きい。基部53cは、メンブレンシート55の上部メンブレンシート55aに固定されている。傾斜部53dは、上端部53aと基部53cとの間に備わり、略円錐形状に形成されている。傾斜部53dは、板状に形成され剛性が低いため、上端部53a及び基部53cに比べて弾性変形しやすい。突起部53eは、上端部53aの下面(当接面53bの裏側の面)に形成されている。突起部53eは、キートップ51が図4に示すように下降位置にあるときに、端面53fが上部メンブレンシート55aに当接可能である。
【0018】
第3のリンク支持部54aは、第1のリンク部材52aの他方の端部を支持している。第4のリンク支持部54bは、第2のリンク部材52bの他方の端部を支持している。キートップ51が図3に示す位置から矢印Eに示す方向へ変位する際、第1のリンク部材52aの他端は第3のリンク支持部54aを中心に回動し、第2のリンク部材52bの他端は矢印Hに示す方向へ移動する。また、キートップ51が図3に示す位置にある時は、第1のリンク部材52aの一端が第1のリンク支持部51cの矢印Gに示す方向の内壁(不図示)に当接し、第2のリンク部材52bの他端が第4のリンク支持部54bの矢印Gに示す方向の内壁に当接している。これにより、第1のリンク部材52aの一端及び第2のリンク部材52bの他端が矢印Gに示す方向へ移動するのを規制し、キートップ51が図3に示す位置から矢印Fに示す方向へ変位するのを規制することができる。
【0019】
メンブレンシート55は、上部メンブレンシート55a、下部メンブレンシート55b、スペーサ55c、上部接点55d、下部接点55eを備えている。上部メンブレンシート55aと下部メンブレンシート55bとは、互いに略平行に配されている。上部メンブレンシート55a及び下部メンブレンシート55bは、それぞれ、例えばシリコンゴムなどで形成された基材に、例えば銀(Ag)インクによる配線パターン(不図示)と上部接点55d及び下部接点55eとが形成されて、構成されている。上部接点55dは、上部メンブレンシート55aにおける下部メンブレンシート55bに対向する面に形成されている。下部接点55eは、下部メンブレンシート55bにおける上部メンブレンシート55aに対向する面に形成されている。上部接点55d及び下部接点55eは、第1の筐体1内の電気回路基板(不図示)に電気的に接続されている配線パターン(不図示)に接続されている。上部メンブレンシート55a及び下部メンブレンシート55bは、スペーサ55c及び空隙55fを挟んで接合されている。スペーサ55cは、上部メンブレンシート55a及び下部メンブレンシート55bの間、特に上部接点55dと下部接点55eとの間に所定の空隙55fを形成し、キートップ51が押下操作されていない状態において上部接点55dと下部接点55eとが接触するのを防いでいる。スペーサ55cは、キーボード5に備わる各キーの周囲に配置され、押下操作された任意のキーの隣りのキーの上部接点55dと下部接点55eとが接触することを防いでいる。なお、上部接点55dと下部接点55eとの間隙は、それぞれ非常に微小であるため、図3では両者が接しているように描画されているが実際には離間している。また、上部接点55dと下部接点55eとは、図4に示すようにキートップ5aが下降位置にあるとき、互いに接触している。
【0020】
以下、キーボード5の動作について説明する。
【0021】
図3は、キートップ51が押下操作されていない状態である。図3に示す状態では、キートップ51は、弾性部材53によって上昇位置に配置され、自重による矢印Eに示す方向への変位が規制されている。また、このとき、上部接点55dと下部接点55eとは、空隙55fを挟んで離間している。
【0022】
図3に示す状態から、ユーザーが指などでキートップ51を矢印Eに示す方向へ押下すると、キートップ51は、第1のリンク部材52a及び第2のリンク部材52bによって案内されながら、矢印Eに示す方向へ変位する。このとき、キートップ51は、操作面51aとメンブレンシート55の上面55gとの平行性を維持しながら、矢印Eに示す方向へ変位する。弾性部材53は、キートップ51が矢印Eに示す方向へ変位すると、キートップ51により上端部53aが矢印Eに示す方向へ押されて、主に傾斜部53dが湾曲変形する。キートップ51が矢印Eに示す方向へ変位する際、第1のリンク部材52aは、一方の端部が第1のリンク支持部51cに支持されながら矢印Hに示す方向へ移動し、他方の端部が第3のリンク支持部54aを中心に回動する。第2のリンク部材52bは、一方の端部が第2のリンク支持部51dを中心に回動し、他方の端部が第4のリンク支持部54bに支持されながら矢印Hに示す方向へ移動する。
【0023】
図4に示すように、キートップ51が下降位置まで変位すると、弾性部材53に形成された突起部53e(図5及び図6参照)が上部メンブレンシート55aに当接する。この状態からさらにキートップ51が矢印Eに示す方向へ変位すると、突起部53eが上部メンブレンシート55aを押圧し、上部メンブレンシート55aは矢印Eに示す方向へ湾曲変形する。上部メンブレンシート55aが所定位置まで変形すると、上部接点55dと下部接点55eとが接触する。上部接点55dと下部接点55eとが接触することにより、上部メンブレンシート55aに形成された配線パターンと下部メンブレンシート55bに形成された配線パターンとが電気的に導通した状態となる。配線パターンは、第1の筐体1内に配された信号処理回路に電気的に接続されているため(接続状態は周知であるため不図示)、信号処理回路では押下操作されたキーに対応した信号処理を実行する。例えば、押下操作されたキーに所定の文字入力機能が割り当てられている場合は、割り当てられている文字を第2の筐体2に配されたディスプレイパネル4に表示するよう制御する。
【0024】
図4に示す状態において、ユーザーがキートップ51から指を離間させると、キートップ51は、弾性部材53の弾性復帰力によって矢印Fに示す方向へ上昇する。すなわち、弾性部材53は、キートップ51を矢印Fに示す方向へ押し上げる程度の弾性復帰力を有する。このとき、キートップ51は、第1のリンク部材52a及び第2のリンク部材52bによって昇降方向へ案内されるため、メンブレンシート55の上面55gに対して平行な姿勢を保ったまま矢印Fに示す方向へ上昇する。
【0025】
弾性部材53が変形した状態から元の形状に復帰することで、上部メンブレンシート55aを押圧していた突起部53eが上部メンブレンシート55aから離間する。上部メンブレンシート55aは、突起部53eが離間することにより、湾曲変形していた状態から元の形状(図3に示すように下部メンブレンシート55bに平行対向した形状)に復帰し、上部接点55dと下部接点55eとが離間する。上部接点55dと下部接点55eとが離間することにより、上部メンブレンシート55aの配線パターン(不図示)と下部メンブレンシート55bの配線パターン(不図示)とが電気的に遮断した状態となる。
【0026】
図3に示すように、キートップ51が上昇位置まで変位すると、第1のリンク部材52aの一端は第1のリンク支持部51cの矢印G方向の内壁(不図示)に当接し、第2のリンク部材52bの他端は第4のリンク支持部54bの矢印G方向の内壁(不図示)に当接する。これにより、第1のリンク部材52aの一端が矢印Gに示す方向へ移動するのを規制し、第2のリンク部材52bの他端が矢印Gに示す方向へ移動するのを規制することができ、キートップ51が図3に示す上昇位置から矢印Fに示す方向へ変位するのを規制することができる。以上の動作により、キートップ51は図3に示す元の位置に復帰する。
【0027】
〔3.弾性部材53の動作〕
キートップ51が昇降動作する際の弾性部材53の動作について説明する。
【0028】
弾性部材53は、図3に示すようにキートップ51が上昇位置にあるとき、キートップ51の重量がかかっているが、ほとんど変形しておらず中立状態を維持している。図3に示す状態からキートップ51を矢印Eに示す方向へ変位させると、上端部53aは、キートップ51により押されて矢印Eに示す方向へ変位する。
【0029】
上端部53aが矢印Eに示す方向へ変位するのに伴って、傾斜部53dが湾曲変形する。すなわち、傾斜部53dは、図6に示すように、その長さL1が基部53cの長さL2と上端部53aの長さL3よりも長いため、剛性が低く変形しやすい。したがって、傾斜部53dは、上端部53aが矢印Eに示す方向へ変位することにより、図4に示すように上端部53aとの境界近傍が屈曲変形するとともに、上端部53aと基部53cとの間における中央近傍が湾曲変形する。なお、傾斜部53dの中央近傍は、表面53k側が凸形状となるように湾曲変形する。なお、基部53cは、傾斜部53dよりも剛性が高いため、傾斜部53dが変形する際ほとんど変形しない。
【0030】
図4に示すように、キートップ51が下降位置にあるとき、弾性部材53は、傾斜部53dの表面53kがキートップ51の下面51eに当接する。具体的には、傾斜部53dの表面53kにおける湾曲変形した部分が、キートップ51の下面51eに当接する。傾斜部53dの表面53kがキートップ51の下面51eに当接した状態にあるとき、キートップ51の端部51gとメンブレンシート55の表面55gとの間には、空隙D1が形成される。すなわち、弾性部材53の傾斜部53dは、湾曲変形してキートップ51の下面51eに当接した際にキートップ51とメンブレンシート55との間に空隙D1を形成可能な長さL1を有する。
【0031】
〔4.実施の形態の効果、他〕
本実施の形態によれば、キートップ51を下降位置に変位させる際に、弾性部材53の傾斜部53dがキートップ51の下面51eに当接可能とするとともに、キートップ51とメンブレンシート55との間に空隙D1を形成する構成としたことにより、ユーザーによりキートップ51が上昇位置(図3参照)から下降位置(図4参照)へ変位させた際に、キートップ51がメンブレンシート55に当接することを防ぐことができる。これにより、キートップ51とメンブレンシート55との衝突音が発生しなくなり、キーボード5の打鍵音を小さくすることができる。なお、キートップ51を下降位置へ変位させる際にキートップ51の下面51eと湾曲変形した傾斜部53dとが衝突するが、弾性部材53はゴムなどの柔らかい材料で形成されているため、キートップ51と傾斜部53dとの衝突音は極めて小さく、キーボード5の打鍵音を大幅に増幅することはない。
【0032】
また、本実施の形態によれば、キートップ51を下降位置に変位させる際に、弾性部材53にキートップ51を当接させる構成としたことにより、弾性部材53がゴムなどの柔らかい材料で形成されているため、キートップ51に伝わる衝撃を軽減することができる。これにより、キーボード5で打鍵操作を行っているユーザーの指に衝撃が伝わることを軽減することができ、ユーザーにおいて感じる不快感を軽減することができる。特に、長時間に亘ってキーボード5を打鍵操作する際にその効果が大きく現れる。
【0033】
また、本実施の形態によれば、別途部品を追加することなく静音構造をキーボード5に持たせることができるため、低いコストで実現することができるとともに、キーボード5の薄型化に貢献できる。
【0034】
なお、本実施の形態では、図2に示すキーボード5に備わるキーの中で操作面の面積が比較的小さいキー5aを取り上げて説明したが、操作面の面積が大きいキー(ENTERキー5b、スペースキー5c等)にも、本実施の形態の構成を採用できる。その場合、大型のキー(例えばENTERキー5b、スペースキー5c等)に備える第1のリンク部材52a及び第2のリンク部材52bは、小型のキー(例えばキー5a)に備わる第1のリンク部材52a及び第2のリンク部材52bよりもサイズを大型化することで、実現が可能となる。なお、従来のキーボードにおける大型のキーは、小型のキーに備わるリンク部材と同じサイズのリンク部材と、キートップの長手方向に配置される棒状部材とを備えていたが、本実施の形態のように大型キーのキートップのサイズに合わせて大型化したリンク部材を備えることで、棒状部材を廃止することができる。
【0035】
また、本実施の形態では、弾性部材53は、シリコーンゴムで形成したが、少なくともキートップ51により押圧された際に弾性変形する材料であれば他の材料で形成してもよい。
【0036】
また、本実施の形態では、弾性部材53の上端部53aに凹部53hを備えたが、例えば弾性部材53の材質を滑りが悪い材質で形成する等、弾性部材53とキートップ51との位置ズレを抑制できれば、凹部53hは省略できる。
【0037】
また、本実施の形態では、傾斜部53dを変形しやすくする構成として、傾斜部53dの長さL1を基部53cの長さL2及び上端部53aの長さL3よりも長くして、傾斜部53dの剛性を上端部53a及び基部53cの剛性よりも低くする構成としたが、他の構成を採用してもよい。図7〜図9は、弾性部材53の変形例である。
【0038】
図7は、傾斜部53dの厚さT1を基部53cの厚さT2よりも薄くした弾性部材53の断面図である。図7に示す構成とすることにより、傾斜部53dの剛性を基部53cの剛性よりも低くすることができるので、弾性部材53が矢印Eに示す方向へ押圧された際に傾斜部53dを優先的に湾曲変形させることができる。なお、図7に示す弾性部材53は、傾斜部53d以外の構成は図6に示す弾性部材53と同等である。また、図7に示す傾斜部53dは、全体的に厚さT1を薄くしているが、部分的に薄くする構成であっても同様の効果が得られる。
【0039】
図8は、傾斜部53dの材質を、上端部53a及び基部53cの材質と異なる材質とした弾性部材53の断面図である。図8に示す傾斜部53dの材質は、上端部53a及び基部53cの材質よりも硬度が低い材質で形成されている。図8に示す構成とすることにより、傾斜部53dの剛性を基部53cの剛性よりも低くすることができるので、弾性部材53が矢印Eに示す方向へ押圧された際に傾斜部53dを優先的に湾曲変形させることができる。なお、図8に示す弾性部材53は、傾斜部53d以外の構成は図6に示す弾性部材53と同等である。また、図8に示す傾斜部53dは、全体的に低剛性の材質で形成しているが、部分的に低剛性の材質で形成する構成であっても同様の効果が得られる。
【0040】
図9は、傾斜部53dと上端部53aとの境界近傍に、くさび形の溝部53mを備えた弾性部材53の断面図である。図9に示す弾性部材53は、溝部53m以外の構成は図6に示す弾性部材53と同等である。図9に示す構成とすることにより、弾性部材53が矢印Eに示す方向へ押圧された際に、溝部53m近傍の部分を優先的に屈曲させることができるので、傾斜部53dを優先的に湾曲変形させることができる。なお、溝部53mは、図9に示す構成では傾斜部53dの表面53k側に形成したが、表面53kの裏側の面に形成してもよい。また、溝部53mは、上端部53aと傾斜部53dとの境界近傍に限らず、傾斜部53d上に形成してもよい。また、溝部53mは、1カ所に限らず、複数箇所に形成してもよい。
【0041】
また、本実施の形態では、弾性部材53の傾斜部53dの厚さは均一としたが、上端部53aと基部53cとの間の中央付近の傾斜部53dの厚さが、基部53cに近い側の厚さよりも薄くなるように、厚さを不均一とすることが好ましい。具体的には、例えば傾斜部53dにおける中央部付近から基部53cにかけてなだらかに厚さを増加させ、基部53cに繋がる構成とすることができる。このような構成とすることで、弾性部材53が矢印Eに示す方向へ押圧されて変形した際に、傾斜部53dにおける厚みが薄い部分を優先的に湾曲変形させることができる。すなわち、例えば傾斜部53dにおける上端部53a側を、確実に湾曲変形させることができる。また、このような構成とすることにより、例えば型抜きし易い等、弾性部材53の製造が容易になる。
【0042】
また、本実施の形態では、電子機器の一例としてノートパソコンを挙げたが、少なくともキーボードを備える装置であれば、ノートパソコン以外の電子機器にも本実施の形態の構成を採用できる。また、本実施の形態における電子機器には、キーボードのみを備え、パソコン等に接続可能なキーボード装置を含む。
【0043】
また、本実施の形態におけるキートップ51は、キートップの一例である。本実施の形態における第1のリンク部材52a及び第2のリンク部材52bは、昇降機構の一例である。本実施の形態におけるメンブレンシート55は、基材の一例である。本実施の形態における弾性部材53は、弾性部材の一例である。本実施の形態における上部接点55d及び下部接点55eは、接点部の一例である。本実施の形態における上端部53aは、当接部の一例である。本実施の形態における基部53cは、固定部の一例である。本実施の形態における変形部53dは、変形部の一例である。
【0044】
本願は、さらに以下の変形例を開示する。なお、実施の形態1で開示している弾性部材53の構成に、変形例1で開示している弾性部材56の構成、変形例2で開示している弾性部材58の構成、および/または変形例3で開示している弾性部材57の構成を適宜組み合わせることで、本実施の形態で得られる効果をさらに高めることができる。
【0045】
(変形例1)
図10は、図3に示すキー5aに弾性シート56を追加した構成を示す拡大平面図である。図11及び図12は、図10におけるZ−Z部の断面図である。図11は、キートップ51が上昇位置にある状態を示す。図12は、キートップ51が下降位置にある状態を示す。
【0046】
弾性シート56は、上部メンブレンシート55aの上面55gに配されている。弾性シート56は、シート状の弾性材料で形成されている。弾性シート56は、キートップ51が衝突した際の衝撃を吸収し、衝突音を軽減できる材質で形成されており、例えばシリコーンゴムで形成することができる。弾性シート56は、上部メンブレンシート55aの上面55gに例えば接着剤で接合されている。
【0047】
弾性シート56は、キーボード5に備わる各キー毎に独立して備えてもよいし、1枚の弾性シート56でキーボード5に備わる全てのキーに対応するように備えてもよい。1枚の弾性シート56でキーボード5に備わる全てのキーに対応させる構成とすることにより、キーボード5の組立性を向上することができる。本実施の形態の弾性シート56は、1枚の弾性シートでキーボード5に備わる全てのキーに対応するように備え、各キーに対応する位置に開口部56bを備えている。第1のリンク部材52a、第2のリンク部材52b、弾性部材53は、弾性シート56の開口部56bを挿通する位置に配されている。
【0048】
弾性シート56は、キートップ51が下降位置にあるときに、キートップ51の少なくとも一部(最もメンブレンシート55に近い部分で、本実施の形態では端部51g)が当接可能で、上部電極55dと下部電極55eとの接触を妨げない厚さT11であればよい。
【0049】
弾性シート56は、図10に示すように、少なくともキートップ51において最もメンブレンシート55に近い部分(本実施の形態では端部51g)に重なる位置に配されている。
【0050】
上記構成において、キートップ51を図11に示す上昇位置から矢印Eに示す方向へ押下すると、図12に示すようにキートップ51の端部51gが弾性シート56の上面56aに当接する。弾性シート56は、シリコーンゴム等の低硬度の材質で形成されているため、キートップ51の端部51gが当接する際に生じる衝突音は小さい。具体的には、弾性シート56は、少なくともメンブレンシート55の材質よりも低い硬度の材質で形成されているため、キートップ51の端部51gが当接する際に生じる衝突音は、キートップ51の端部51gがメンブレンシート55に当接する際に生じる衝突音よりも小さい。したがって、キーボード5を打鍵操作する際の打鍵音を軽減することができる。
【0051】
また、本変形例によれば、キーボード5で打鍵操作を行っているユーザーの指に衝撃が伝わることを軽減することができ、ユーザーにおいて感じる不快感を軽減することができる。特に、長時間に亘ってキーボード5を打鍵操作する際にその効果が大きく現れる。
【0052】
また、本変形例によれば、弾性シート56を備えたことにより、仮にキートップ51が傾いた姿勢で押下された場合であっても、弾性シート56とメンブレンシート55との衝突を防ぐことができ、衝突音を軽減することができる。
【0053】
なお、本変形例では、図10に示すように、キートップ51の端部51gの全周に当接可能な位置に弾性シート56を備えたが、少なくとも端部51gの一部に当接可能な位置に弾性シート56を備えていればよい。そのような構成の一例を、変形例2として後述する。
【0054】
また、本変形例では、メンブレンシート55の上面55gに弾性シート56を備えたが、弾性シート56と同じ材質で形成した弾性部材をキートップ51の端部51gに備えてもよい。キートップ51の端部51gに備える弾性部材は、接着剤等で端部51gに接合することが好ましい。このような構成とすることで、上記変形例1と同様の効果が得られる。
【0055】
また、弾性シート56は、第1の消音部材の一例である。なお、「消音部材」は、キートップ51が当接する際に発する衝突音を完全に消すことができる部材に限定せず、衝突音を低減できる部材を含むこととする。すなわち、キートップ51が当接する際に発する衝突音は、完全に消すことが望ましいが、実際には僅かな衝突音が発生することが多い。本実施の形態では、そのような衝突音を従来構成よりも低減することを目的としているため、本明細書における「消音」という言葉が持つ意味は、衝突音を完全に消すことだけでなく、衝突音を低減することを含み、広義に解釈することができることとする。
【0056】
(変形例2)
図13は、図3に示すキー5aに弾性シート58を追加した構成を示す拡大平面図である。図14は、図13におけるZ−Z部の断面図である。図14は、キートップ51が下降位置にある状態を示す。
【0057】
弾性シート58は、上部メンブレンシート55aの上面55gに配されている。弾性シート58は、シート状の弾性材料で形成されている。弾性シート58は、キートップ51が衝突した際の衝撃を吸収し、衝突音を軽減できる材質で形成されており、例えばシリコーンゴムで形成することができる。弾性シート58は、上部メンブレンシート55aの上面55gに例えば接着剤で接合されている。
【0058】
弾性シート58は、キーボード5に備わる各キー毎に独立して備えてもよいし、1枚の弾性シート58でキーボード5に備わる全てのキーに対応するように備えてもよい。1枚の弾性シート58でキーボード5に備わる全てのキーに対応させる構成とすることにより、キーボード5の組立性を向上することができる。弾性シート58は、1枚の弾性シートでキーボード5に備わる全てのキーに対応するように備え、各キーに対応する位置に開口部58bを備えている。第1のリンク部材52a、第2のリンク部材52b、弾性部材53は、弾性シート58の開口部58bを挿通する位置に配されている。
【0059】
弾性シート58は、キートップ51が下降位置にあるときに、キートップ51の少なくとも一部(最もメンブレンシート55に近い部分で、本実施の形態では端部51g)が当接可能で、上部電極55dと下部電極55eとの接触を妨げない厚さT11(図14参照)であればよい。
【0060】
弾性シート58は、図13に示すように、少なくともキートップ51において最もメンブレンシート55に近い部分(本実施の形態では端部51g)に重なる位置に配されている。
【0061】
弾性シート58は、キートップ51に重ならない位置に、開口部58bの端部58cを配置している。すなわち、開口部58bは、キートップ51の下部からキートップ51に重ならない位置まで連続的な空間を有する。開口部58bの端部58c側は、外部空間に接している。このような構成において、図14に示すようにキートップ51を下降位置に変位させると、キートップ51のほとんどの端部51gが弾性シート58の上面58aに当接するが、端部51gの一部51hは弾性シート58に当接せず、空隙を挟んでメンブレンシート55に対向配置される。このとき、開口部58bは、キートップ51の端部51gの一部51hとメンブレンシート55との間の空隙を介して、空間的に外部につながっている。
【0062】
上記構成において、キートップ51を上昇位置から下降させると、図14に示すようにキートップ51の端部51gが弾性シート58の上面58aに当接する。弾性シート58は、シリコーンゴム等の低硬度の材質で形成されているため、キートップ51の端部51gが当接する際に生じる衝突音は小さい。具体的には、弾性シート58は、少なくともメンブレンシート55の材質よりも低い硬度の材質で形成されているため、キートップ51の端部51gが当接する際に生じる衝突音は、キートップ51の端部51gがメンブレンシート55に当接する際に生じる衝突音よりも小さい。したがって、キーボード5を打鍵操作する際の打鍵音を軽減することができる。
【0063】
また、本変形例によれば、弾性シート58を備えたことにより、キートップ51が弾性シート58に衝突する際の衝撃を軽減することができるため、キーボード5で打鍵操作を行っているユーザーの指に衝撃が伝わることを軽減することができ、ユーザーにおいて感じる不快感を軽減することができる。特に、長時間に亘ってキーボード5を打鍵操作する際にその効果が大きく現れる。
【0064】
また、本変形例によれば、弾性シート58を備えたことにより、仮にキートップ51が傾いた姿勢で押下された場合であっても、弾性シート58とメンブレンシート55との衝突を防ぐことができ、衝突音を軽減することができる。
【0065】
また、本変形例によれば、弾性シート58の開口部58bの端部58c側をキートップ51の端部51hよりも外部空間に接するように形成したことにより、キートップ51が図14に示すように下降位置に変位したときに開口部58bがキートップ51によって閉塞されても、端部51gや51h等と開口部58bとは密閉状態にならず、開口部58b内の空気圧は低下しない。したがって、キートップ51を図14に示す下降位置にある状態から、ユーザーが指をキートップ51から離間する方向へ変位させた際に、キートップ51は迅速かつ確実に上昇位置(例えば図11参照)へ変位する。これにより、キーボード5の操作性を向上させることができる。
【0066】
例えば、キートップ51が下降位置に変位した際に開口部58bが密閉状態になり開口部58b内の空気圧が低下すると、キートップ51が弾性シート58に連続的に吸引される状態となる。したがって、ユーザーが指をキートップ51から離間する方向へ変位させても、キートップ51がすぐに上昇動作を行わなかったり、下降位置に位置したままになってしまったりする場合がある。本変形例では、開口部58bを密閉状態になることを防ぐことで、開口部58b内の空気圧が大気圧と同等となり、キートップ51の上昇動作を妨げることがない。
【0067】
なお、本変形例では、メンブレンシート55の上面55gに弾性シート58を備えたが、弾性シート58と同じ材質で形成した弾性部材をキートップ51の端部51gに備えてもよい。キートップ51の端部51gに備える弾性部材は、接着剤等で端部51gに接合することが好ましい。このような構成とすることで、上記変形例1と同様の効果が得られる。
【0068】
また、開口部58bにおける外部空間に接する部分を一カ所としたが、少なくともキートップ51を確実かつ安定的に弾性シート58に当接させることができれば、複数箇所に備えてもよい。また、キートップ51と弾性シート58とが外部空間に接する弾性シート58は、キートップ51の端部51hの長さに類似する構成として説明したが、外部空間と接する部分は端部51hの一部であっても、外部空間と結びつけられれば適用することができる。さらに、弾性シート58は、キートップ51の例えば傾斜部51fに備える構成であっても適用することができる。
【0069】
また、弾性シート58は、第1の消音部材の一例である。
【0070】
(変形例3)
変形例3にかかるキーボード5は、キー5aに弾性シート57を追加した構成を有する。
【0071】
図15は、変形例3にかかるキーボード5におけるキー5aを下面から見た平面図である。図16は、図15におけるZ−Z部のキーボード5の断面図である。
【0072】
弾性シート57は、キートップ51の下面51eと第1のリンク部材52aの一端との間、およびキートップ51の下面51eと第2のリンク部材52bの一端との間に配されている。弾性シート57は、シート状の弾性材料で形成されている。弾性シート57は、第1のリンク部材52a及び第2のリンク部材52bが衝突した際の衝撃を吸収し、衝突音を軽減できる材質で形成されており、例えばシリコーンゴムで形成することができる。弾性シート57は、第1のリンク部材52a及び第2のリンク部材52bが下面51eに当接するため、第1のリンク部材52a及び第2のリンク部材52bの回動動作を妨げないように、第1のリンク部材52a及び第2のリンク部材52b側の表面は滑りが良好な材質で形成することが好ましい。弾性シート57は、キートップ51の下面51eに例えば接着剤で接合されている。なお、弾性シート57は、接着剤でキートップ51に接合されていることは必須ではなく、爪係合等によりキートップ51に固定されている構成や、キートップ51と第1のリンク部材52a及び第2のリンク部材52bとに挟持されている構成でもよい。また、弾性シート57は、キートップ51の下面51eにおける、少なくとも第1のリンク部材52a及び52bが当接可能な位置に配されていればよい。また、弾性シート57は、弾性部材53の傾斜部53dが湾曲変形した際に傾斜部53dが当接可能な位置に備えることで、打鍵音低減等の効果がさらに高まるため好ましい。
【0073】
第1のリンク部材52a及び第2のリンク部材52bは、キートップ51を昇降させる際に回動動作を行う必要があるため、第1のリンク支持部51cと第1のリンク部材52aの一端との間及び第2のリンク支持部51dと第2のリンク部材52bの一端との間に、意図的に僅かな隙間(ガタツキ)を持たせている。したがって、キートップ51を上昇位置から押下する際、および下降位置にあるキートップ51から指を離間させキートップ51を上昇位置へ移行させる際に、キートップ51の下面51eと第1のリンク部材52aの一端及び第2のリンク部材52bの一端とが衝突し、衝突音が発生する場合がある。
【0074】
そこで、図15及び図16に示すように、キートップ51と第1のリンク部材52a及び第2のリンク部材52bとの間に弾性シート57を備えたことにより、キートップ51を上昇位置から押下する際、および下降位置にあるキートップ51から指を離間させキートップ51を上昇位置へ移行させる際に、第1のリンク部材52a及び第2のリンク部材52bと弾性シート57とを衝突させることができる。なお、「衝突」とは、下降位置にあるキートップ51から指を離間させて上昇位置へ移行させる際に、第1のリンク部材52a及び第2のリンク部材52bが慣性力で下面51eに当接する構成も含む。また、弾性シート57の配置は、例えばENTERキー5bやスペースキー5c等のように、大型のキーに適用するとより効果が顕著となるため好ましい。弾性シート57は、シリコーンゴム等の低硬度の材質で形成されているため、第1のリンク部材52a及び第2のリンク部材52bが衝突した際の衝突音は小さい。したがって、キートップ51の下降時と上昇時の打鍵音を軽減することができる。
【0075】
なお、弾性シート57は、第2の消音部材の一例である。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本願は、入力装置を備えた電子機器に有用である。
【符号の説明】
【0077】
5 キーボード
51 キートップ
53 弾性部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キートップと、
前記キートップを上昇位置と下降位置との間で昇降自在に支持する昇降機構と、
前記キートップの昇降動作に連動してスイッチングする接点部と、
前記キートップを上昇位置で待機させることが可能であるとともに、前記キートップの下降時に弾性変形可能な弾性部材と、
前記昇降機構が支持されているとともに、前記弾性部材が配置されている基材とを備え、
前記弾性部材は、
前記キートップの操作面の裏面に当接する当接部と、前記基材に固定された固定部と、前記当接部と前記固定部との間に備わる変形部とを備え、
前記変形部は、前記キートップが下降位置にあるとき、前記キートップの裏面に当接可能なように弾性変形する、電子機器。
【請求項2】
前記弾性部材は、前記傾斜部の剛性が、前記基部の剛性よりも低く形成されている、請求項1記載の電子機器。
【請求項3】
前記弾性部材は、前記傾斜部の厚さが、前記基部の厚さよりも薄く形成されている、請求項2記載の電子機器。
【請求項4】
前記弾性部材は、前記傾斜部の硬度が、前記基部の硬度よりも低い材質で形成されている、請求項2記載の電子機器。
【請求項5】
前記弾性部材は、前記傾斜部に切り欠き部が形成されている、請求項2記載の電子機器。
【請求項6】
前記基材における前記昇降機構が備わる面に配置されている第1の消音部材を、さらに備え、
前記第1の消音部材は、前記キートップが前記下降位置にあるとき、前記キートップの一部が当接可能な位置に配置されている、請求項1記載の電子機器。
【請求項7】
前記第1の消音部材は、弾性変形可能な材質で形成されている、請求項6記載の電子機器。
【請求項8】
前記第1の消音部材は、前記キートップに重なる位置から、前記キートップが前記下降位置にあるときに外部空間に接する位置まで連続的に開口部を備えた、請求項6または7に記載の電子機器。
【請求項9】
前記キートップにおける前記昇降機構が備わる面に配置されている第2の消音部材を、さらに備え、
前記第2の消音部材は、前記キートップが前記上昇位置にあるとき、前記昇降機構の少なくとも一部が当接可能な位置に配置されている、請求項1記載の電子機器。
【請求項10】
前記第2の消音部材は、弾性変形可能な材質で形成されている、請求項9記載の電子機器。
【請求項1】
キートップと、
前記キートップを上昇位置と下降位置との間で昇降自在に支持する昇降機構と、
前記キートップの昇降動作に連動してスイッチングする接点部と、
前記キートップを上昇位置で待機させることが可能であるとともに、前記キートップの下降時に弾性変形可能な弾性部材と、
前記昇降機構が支持されているとともに、前記弾性部材が配置されている基材とを備え、
前記弾性部材は、
前記キートップの操作面の裏面に当接する当接部と、前記基材に固定された固定部と、前記当接部と前記固定部との間に備わる変形部とを備え、
前記変形部は、前記キートップが下降位置にあるとき、前記キートップの裏面に当接可能なように弾性変形する、電子機器。
【請求項2】
前記弾性部材は、前記傾斜部の剛性が、前記基部の剛性よりも低く形成されている、請求項1記載の電子機器。
【請求項3】
前記弾性部材は、前記傾斜部の厚さが、前記基部の厚さよりも薄く形成されている、請求項2記載の電子機器。
【請求項4】
前記弾性部材は、前記傾斜部の硬度が、前記基部の硬度よりも低い材質で形成されている、請求項2記載の電子機器。
【請求項5】
前記弾性部材は、前記傾斜部に切り欠き部が形成されている、請求項2記載の電子機器。
【請求項6】
前記基材における前記昇降機構が備わる面に配置されている第1の消音部材を、さらに備え、
前記第1の消音部材は、前記キートップが前記下降位置にあるとき、前記キートップの一部が当接可能な位置に配置されている、請求項1記載の電子機器。
【請求項7】
前記第1の消音部材は、弾性変形可能な材質で形成されている、請求項6記載の電子機器。
【請求項8】
前記第1の消音部材は、前記キートップに重なる位置から、前記キートップが前記下降位置にあるときに外部空間に接する位置まで連続的に開口部を備えた、請求項6または7に記載の電子機器。
【請求項9】
前記キートップにおける前記昇降機構が備わる面に配置されている第2の消音部材を、さらに備え、
前記第2の消音部材は、前記キートップが前記上昇位置にあるとき、前記昇降機構の少なくとも一部が当接可能な位置に配置されている、請求項1記載の電子機器。
【請求項10】
前記第2の消音部材は、弾性変形可能な材質で形成されている、請求項9記載の電子機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2012−164623(P2012−164623A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−50421(P2011−50421)
【出願日】平成23年3月8日(2011.3.8)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月8日(2011.3.8)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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