説明

電子機器

【課題】筐体を薄型にできる電子機器を提供する。
【解決手段】電子機器10は、ケース22およびカバー23を有する筐体12と、ケース22に固定された回路基板14と、回路基板14に設けられ、カバー23に向けて弾性を有する給電部16と、回路基板14の少なくとも一部14Bを覆う板金部材18と、板金部材18よりもカバー23側に設けられたアンテナ部材20とを備えている。アンテナ部材20の接点部32が板金部材18よりも回路基板14側において給電部16に接触している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケースおよびカバーが組み付けられて筐体が形成され、筐体内に回路基板が収容され、回路基板にアンテナ部材が接続された電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電子機器は、一般に樹脂製のケースおよび樹脂製のカバーが互いに組み付けられて、ケースおよびカバーで筐体が形成され、ケースに回路基板が固定されている。
この回路基板が金属ばね部を介して金属プレートに設置され、金属プレートおよびカバー間には導電ゴム部材が介在されている。
よって、ケースにカバーが組み付けられることにより回路基板の接地を安定させることができる(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−194223号公報(要約、図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、図6に示すように、近年では、筐体101にシート状のアンテナ部材102が内蔵された電子機器100が提案されている。
アンテナ部材102は、接点部102Aが回路基板104の給電部105に接続される。給電部105は、回路基板104から離れる方向に弾性を有する。
【0005】
従って、この電子機器100は、給電部105の弾性がアンテナ部材102を介して筐体101のカバー101Aを厚み方向(矢印方向)に押圧する。
このため、電子機器100は、カバー101Aが厚み方向に変形(膨らむ)することを防止するために、カバー101Aの肉厚寸法Tを大きくする必要があり、筐体101が厚くなる。
【0006】
本発明は、前述した課題を解決するためになされたものであり、その目的は、筐体を薄型にできる電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の電子機器は、ケースおよびカバーを有する筐体と、前記ケースに固定された回路基板と、前記回路基板に設けられ、前記カバーに向けて弾性を有する給電部と、前記回路基板の少なくとも一部を覆う板金部材と、前記板金部材よりも前記カバー側に設けられたアンテナ部材と、を備え、前記アンテナ部材の接点部が前記板金部材よりも前記回路基板側において前記給電部に接触している。
【0008】
回路基板の少なくとも一部を板金部材で覆い、板金部材よりもカバー側にアンテナ部材を設けた。そして、アンテナ部材の接点部を、板金部材よりも回路基板側において給電部に接触させるようにした。
よって、接点部およびカバー間に板金部材を介在させることができるので、給電部の弾性力が接点部を介してカバーに影響することを板金部材で抑えることができる。
これにより、従来に比較してカバーの肉厚寸法を小さくできるので筐体全体の厚み寸法を小さくできる。
【0009】
また、本発明の電子機器は、前記板金部材が前記ケースに固定されている。
【0010】
板金部材をケースに固定することにより、板金部材とケースとの相対位置を維持できる。これにより、給電部の弾性力が接点部を介してカバーに影響することを板金部材で抑えて、カバーが厚み方向に変形することを確実に防止できる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の電子機器によれば、アンテナ部材の接点部を板金部材よりも回路基板側において給電部に接触させることにより、給電部の弾性力がカバーに影響することを板金部材で抑え、カバーの肉厚寸法を小さくして筐体全体の厚み寸法を小さくできる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る電子機器のケースからカバーを分解した状態を示す斜視図
【図2】図1のケースから板金部材およびアンテナ部材を分解した状態を示す斜視図
【図3】本発明に係る電子機器を示す断面図
【図4】図2の板金部材およびアンテナ部材を示す斜視図
【図5】図4の板金部材およびアンテナ部材を分解した状態を示す斜視図
【図6】従来の電子機器を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態に係る電子機器について図面を参照して説明する。
【0014】
図1に示すように、本発明の実施形態である電子機器10は、樹脂製の筐体12を備え、さらに、筐体12に内蔵された回路基板14、給電部16、板金部材18およびアンテナ部材20を備えた携帯端末(携帯電話機)である。
【0015】
図2に示すように、筐体12は、箱形に形成された樹脂製のケース22と、パネル状に形成された樹脂製のカバー23とを有する。この筐体12は、ケース22の開口部にカバー23が一体に組み付けられることで略矩形体状に形成されている。
【0016】
図3に示すように、ケース22の底部22Aおよびカバー23間に収納空間25が形成されている。筐体12内の収納空間25に、回路基板14、給電部16、板金部材18およびアンテナ部材20が内蔵されている。
【0017】
回路基板14は、筐体12内の収納空間25に配置されるようにケース22の底部22A沿って設けられ、この状態でケース22に固定されている。
この回路基板14は、カバー23側のカバー面14Aに実装部品13が実装され、アンテナ用の給電部16が設けられている。
回路基板14には、筐体12に内蔵された電池パック15(図2参照)が接続されている。
【0018】
給電部16は、回路基板14のうちカバー23側のカバー面14Aに設けられ、カバー23に向けて弾性を有する部材である。
この給電部16は、略J字状に形成され、カバー面14Aに設けられた基部16Aと、基部16Aの先端からアンテナ部材20の接点部32に向けて折り曲げられた折曲部16Bとを有する。
【0019】
折曲部16Bには接点部32に接触可能(押圧可能に)に隆起された隆起部16Cを有する。
給電部16の隆起部16Cがアンテナ部材20の接点部32に接触されることにより、回路基板14にアンテナ部材20が接続されている。この状態で、給電部16が弾性変形された状態に保たれている。
【0020】
給電部16が弾性変形された状態に保たれることにより、隆起部16Cにより接点部32がカバー23側(すなわち、厚み方向)に向けて矢印方向に押圧されている。
給電部16よりカバー23側に板金部材18が配置されている。
【0021】
板金部材18は、回路基板14およびカバー23間に介在され、回路基板14の少なくとも一部14Bを覆う部材である。
この板金部材18は、例えば、縁部18Aに折曲壁18Bを有し、給電部16の近傍にスリット18Dを有し、スリット18Dに隣接して隆起された弾性力抑部18Eを有する。
【0022】
折曲壁18Bに係止開口18Cが形成され、係止開口18Cがケース22の爪部22Bに係合されている。
係止開口18Cが爪部22Bに係合されることにより、板金部材18がケース22に固定されている。
よって、給電部16から板金部材18に厚み方向(矢印方向)への押圧力が作用した状態において、板金部材18がカバー23側に移動しないようにケース22に固定されている。
【0023】
図4に示すように、給電部16の近傍にスリット18Dが形成されることにより、スリット18Dにアンテナ部材20の接点部32を差し込むことができる。
図3に示すように、接点部32をスリット18Dに差し込むことにより、接点部32を給電部16に対峙させ、かつ、板金部材18の弾性力抑部18Eに対峙さえることができる。
【0024】
図5に示すように、アンテナ部材20は、柔軟性を有するシート状の部材であり、略矩形状の形成されたアンテナ本体31と、アンテナ本体31から突出された接点部32とを有する。
接点部32がスリット18Dから弾性力抑部18Eに向けて矢印方向に差し込まれる。
【0025】
図3に示すように、接点部32は、スリット18Dに差し込まれた状態で、板金部材18(弾性力抑部18E)よりもカバー23側に設けられている。
アンテナ本体31は、板金部材18よりも回路基板14側において給電部16に接触されている。
【0026】
すなわち、アンテナ本体31がカバー23側に設けられ、接点部32がスリット18Dに矢印の如く差し込まれることにより、接点部32が弾性力抑部18Eより回路基板14側に設けられている。
よって、接点部32およびカバー23間に弾性力抑部18Eを介在させ、さらに、接点部32を給電部16に対峙させることができる。
【0027】
ここで、給電部16の隆起部16Cがアンテナ部材20の接点部32に接触されることにより給電部16が弾性変形された状態に保たれ、隆起部16Cにより接点部32がカバー23側に向けて押圧されている。
アンテナ部材20は柔軟性を有するシート状の部材であり、接点部32がカバー23側に向けて弾性変形しようとする。
【0028】
そこで、接点部32およびカバー23間に板金部材18(弾性力抑部18E)を介在させることにより、接点部32の弾性変形を弾性力抑部18Eで抑えることができる。
すなわち、給電部16の弾性力が接点部32を介してカバー23に影響することを弾性力抑部18Eで抑えることができる。
これにより、従来に比較してカバー23の肉厚寸法T1を小さくできるので筐体12全体の厚み寸法を小さくできる。
【0029】
ここで、前述したように、板金部材18がケース22に固定されている。よって、給電部16の弾性力が接点部32に作用した状態において板金部材18とケース22との相対位置が維持される。
これにより、給電部16の弾性力が接点部32を介してカバー23に影響することを板金部材18(弾性力抑部18E)で抑えて、カバー23が厚み方向に変形することを確実に防止できる。
【0030】
また、板金部材18がケース22に固定されているため、ケース22およびカバー23間に防水両面テープを介装することにより筐体12に防水性を確保した電子機器10の場合、外力等により筐体12の内部において圧力の増減が生じても、圧力の増減が防水両面テープに対する負荷とならず、防水信頼性を確保することができる。
【0031】
さらに、アンテナ部材20の接点部32が板金部材18の裏側に支持されているため、ケース22およびカバー23の膨らみやすい箇所に対応した位置に接点部32を配置しても、ケース22およびカバー23を膨らませるような変形の原因とならない。
すなわち、アンテナ部材20の接点部32の配置に制約がなく、設計の自由度が向上する。
【0032】
なお、本発明に係る電子機器は、前述した実施形態に限定されるものではなく適宜変更、改良等が可能である。
例えば、実施形態では、電子機器10として携帯端末(携帯電話機)を例示したが、電子機器10は携帯電話機に限定するものではなく、その他の電子機器に適用可能である。
例えば、電子機器として、携帯ゲームやデジタルカメラ等に本発明を適用することが可能である。
【0033】
また、実施形態で使用した電子機器、筐体、回路基板、給電部、板金部材、アンテナ部材、ケース、カバーおよび接点部等の形状や構成は例示したものに限定するものではなく適宜変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明は、筐体がケースおよびカバーで箱状に形成され、ケース内に回路基板が収容され、回路基板にアンテナ部材が接続された電子機器への適用に好適である。
【符号の説明】
【0035】
10 電子機器
12 筐体
14 回路基板
16 給電部
18 板金部材
20 アンテナ部材
22 ケース
23 カバー
32 接点部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケースおよびカバーを有する筐体と、
前記ケースに固定された回路基板と、
前記回路基板に設けられ、前記カバーに向けて弾性を有する給電部と、
前記回路基板の少なくとも一部を覆う板金部材と、
前記板金部材よりも前記カバー側に設けられたアンテナ部材と、を備え、
前記アンテナ部材の接点部が前記板金部材よりも前記回路基板側において前記給電部に接触している電子機器。
【請求項2】
請求項1に記載の電子機器であって、
前記板金部材が前記ケースに固定されている電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−185935(P2012−185935A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−46732(P2011−46732)
【出願日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】