説明

電子機器

【課題】従来の技術では、検出される故障は大元の原因となった構成要素の一項目に限られるため、上記故障に起因して発生する複数の他の構成要素の故障とその故障に至るまでの経緯までは検出することができず、故障原因の解明や故障箇所の修理、交換までの診断に時間を要した。
【解決手段】記憶部4に対して検知部1が検知した故障パターンを逐次書き込み、外部入力を指示部6が制御部5に伝達し、制御部5が故障パターンを表示部8へ表示するよう制御を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電子機器に関する。より詳しくは、複数の故障原因に基づいて特定の箇所の故障発生した場合であっても故障原因を独立に判断可能な電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器の複雑化が進んでいる。
【0003】
電子機器の複雑化に伴い、電子機器の構成要素も多様化が進んでいる。
【0004】
電子機器の構成要素が多様化すると、電子機器が故障した際の故障原因を特定することが困難になる。一般に、電子機器においてある構成要素の故障が、他の構成要素の故障を誘発することが知られている。すると、特定の構成要素に故障が起きているからといって、故障原因を当該構成要素の故障と断定することはできない。当該構成要素の故障が他の構成要素の故障によって誘発されたものであるならば、真の故障原因は他の構成要素の故障であるからである。
【0005】
電子機器が故障箇所を使用者やサービスマンに通知するための仕組みとしては、故障箇所に応じた発光パターンを表示するものが知られている。中でも、故障原因を断定するための技術としては、故障発生時に最初の故障のみ検出表示する故障検出回路が知られている(例えば特許文献1参照)。このようにすれば、複数の構成要素の故障が連鎖的に発生したとしても、その大元の原因となった構成要素の故障のみを検出表示するので、他の構成要素の故障と混同するおそれがない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開昭58−179835号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら上記従来の技術では、検出される故障は大元の原因となった構成要素の一項目に限られるため、上記故障に起因して発生する複数の他の構成要素の故障とその故障に至るまでの経緯までは検出することができず、故障原因の解明や故障箇所の修理、交換までの診断に時間を要した。
【0008】
本発明は上記課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記従来の課題を解決する為に、本発明の電子機器は、機器中の構成要素の故障を検知して検知結果を出力する故障検知部を複数備え、前記複数の故障検知部からの検知結果を受けて、複数の検知結果の入力パターンを故障パターンに変換して出力する故障パターン作成部と、前記故障パターンを記憶する記憶部と、前記故障パターン作成部で作成された前記故障パターンを、前記記憶部に書き込む/読み出す制御を行う制御部と、前記制御部の読み出し制御によって読み出された前記故障パターンに基づいて、故障パターンを表示する表示部と、外部入力を受付可能であり、前記外部入力に基づいて、又は所定の設定値に基づいて前記制御部に対して前記故障パターンの読み出しを指示する指示部と、を備え、前記指示部は、前記構成要素の故障が発生してから前記外部入力を受け付けるまでの期間は、前記制御部に対して所定の設定値に基づいて特定の前記故障パターンの読み出しを指示する、電子機器とした。
【発明の効果】
【0010】
本発明の電子機器によれば、発生した全ての故障箇所と故障した順番を特定でき、修理、交換までの診断に要する時間を短縮できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の請求項1に対応した電子機器の一実施例のブロック構成図
【図2】実施の形態1に対応した電子機器の故障診断処理の内容を示したフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下本発明の一実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0013】
(実施の形態1)
以下図面を参照しながら、実施の形態1について説明する。
【0014】
<機器の構成>
図1は実施の形態1にかかる電子機器のブロック図である。
【0015】
検知部1は電子機器の故障を検知する部位である。具体的には、電子機器の特定の構成要素が故障した際に、当該箇所の故障を検出して故障信号として出力する動作を行う。検知部1は検知部k1〜検知部kNの複数の検知部を有する。検知部k1〜検知部kNはそれぞれが電子機器中の固有の構成要素の故障を検知する。検知部k1〜検知部kNの出力である故障信号はパターン生成部2に出力される。
【0016】
故障パターン作成部10はパターン生成部2と、故障箇所データ変換部3とを有する。
【0017】
パターン生成部2は、検知部k1〜検知部kNから受けた複数の故障信号から故障パターン識別信号を生成するものである。具体的にはパターン生成部2は検知部k1〜検知部kNからの故障信号の入力パターンに応じて、故障パターン識別信号を異なる電圧で出力する。故障パターン識別信号の電圧によって、どの構成要素からの故障信号がパターン生成部2に入力されているかを特定することができる。すなわち、どの構成要素で故障が生じているかを特定することができる。
【0018】
故障箇所データ変換部3は、故障パターン識別信号をビット列からなる故障箇所データへ変換する。故障パターン識別信号はパターン生成部2から故障箇所データ変換部3へ入力される。故障箇所データは故障パターン識別信号と対応している。つまり、故障箇所データ変換部は入力される故障パターン識別信号の電圧に応じて異なるビット列からなる故障箇所データを生成するものである。
【0019】
記憶部4は故障箇所データを記憶するものである。記憶部4は論理的に区切られた領域を有する。故障箇所データ変換部3で生成された故障箇所データは記憶部4の特定の領域に書き込まれる。この書き込みのタイミング及び書き込む領域は後述する制御部5が管理する。記憶部4の具体的構成としては不揮発性のRAM(Random Access Memory)などを用いることができる。
【0020】
制御部5は記憶部4への書き込み制御と読み出し制御を行うものである。書き込み制御とは上述のように、故障箇所データ変換部3で生成された故障箇所データを記憶部4の特定の領域へ書き込む命令を含む。書き込み制御を行うタイミングは、故障箇所データ変換部3で故障箇所データが生成されたタイミングである。書き込み制御の対象となる記憶部4の領域は、書き込み制御を行う度に異なる。記憶部4の領域を選ぶ方法としては例えば、物理/論理的に隣り合う領域に順次書き込み制御を行う領域をシフトさせるなどの方法が適用可能である。ここで、制御部5は、記憶部4の特定の領域に書き込まれた故障箇所データが、何番目に故障箇所データ変換部3が生成したデータかを記憶しているものとする。具体的には制御部5内に形成されたROM(Read Only Memory)などに故障順序と書き込み領域との対応を記録しておくなどの手段が取られる。
【0021】
制御部5の読み出し制御とは記憶部4の特定の領域に記憶された故障箇所データを、後述する表示パターン変換部7へ出力させる制御を含む。読み出し制御を行うタイミングは後述する指示部6からの指示に基づいたタイミングである。読み出し制御の対象となる記憶部4の領域も指示部6から指定されることが可能である。
【0022】
指示部6は制御部5へ、読み出し制御を行うタイミング、及び、必要に応じて読み出し制御の対象となる記憶部4の領域を指示するものである。指示部6は外部または内部からの入力を受付可能である。指示部6はこの外部または内部からの入力に基づいて制御部5へ読み出し制御を行う。ここで、外部とはリモコンや、スイッチなどの外部入力機器を含む。また、内部とは他のソフトウェア/ハードウェアから生成された信号を含む。制御の対象となる記憶部4の領域を指定する場合とは、例えば最初に発生した故障に関する故障箇所データを参照したい場合が挙げられる。このような場合指示部6は制御部5に対して故障箇所データ変換部3が1番目に生成した故障箇所データを記憶部4から読み出し制御をするように指示を行う。
【0023】
表示パターン変換部7は、記憶部4から読み出された故障箇所データを、後述する表示部8での点灯パターンを表す表示データに変換するものである。後述する表示部8での点灯パターンが故障箇所データの取りうるパターンより少ない場合は、表示パターン変換部7でパターン数の削減を行うことが可能である。パターン数の削減とは、例えば、複数種類の故障箇所データを同一の点灯パターンを表す表示データに変換することである。
【0024】
表示部8とは、表示パターン変換部7で生成された表示データに基づいて表示を行うものである。表示部8は例えば、複数のLED(Light Emitting Diode)、またはLCD(Liquid Crystal Display)などで構成することが可能である。
【0025】
<機器の動作>
以下図2を使用して、本実施の形態における電子機器の動作について説明する。
【0026】
図2は本実施の形態における電子機器の動作を示したフローチャートである。
【0027】
ステップS1の故障検出動作では、電子機器の故障状態を監視する。具体的には検知部1が電子機器の特定の構成要素に故障が発生するか否かを検知する。
【0028】
電子機器で故障が発生した場合(ステップS1でYES)はステップS2へ進む。
【0029】
ステップS2の故障箇所判別パターン生成動作では、パターン生成部2が検知部1で生成した故障検出信号を基に、故障パターン識別信号を生成する。
【0030】
ステップS3の故障箇所データ変換動作では、故障箇所データ変換部3がS2で生成された故障箇所判別パターン識別信号を、故障箇所データに変換する。
【0031】
ステップS4の故障箇所データ書き込み動作では、制御部5が記憶部4の異なる記憶領域1〜Nに故障箇所データを順番に書き込む。
【0032】
ステップS5の初期設定記憶領域読み出し指示動作では、指示部6が制御部5に、故障箇所データを記憶部4から読み出す指示を行う。ここで読み出し制御の対象となる記憶部4の領域は、内部の所定の設定値によって設定された領域である。本実施の形態では読み出し制御の対象となる記憶部4の領域は最後に故障箇所データ変換部3が最後に生成した故障箇所データが格納されている領域である。構成要素の故障が発生してから、後述の記憶領域読み出し指示動作(ステップS9)を受け付けるまでの期間は、内部によって設定された記憶部4の領域に該当する故障箇所データが、後述の処理を経て表示部8に表示されることになる。
【0033】
ステップS6の故障箇所データ読み出し動作では、記憶部4から故障箇所データが読み出される。
【0034】
ステップS7の表示パターン変換動作では、表示パターン変換部7が、記憶部4から読み出された故障箇所データを、後述する表示部8での点灯パターンを表す表示データに変換する。
【0035】
ステップS8の故障箇所表示動作では、表示部8が表示データに基づいて表示を行う。
【0036】
ステップS9の記憶領域読み出し指示動作では、スイッチ及びリモコン等により外部入力された、記憶領域読み出し指示を受け付ける。記憶領域読み出し指示とは、記憶部4のどの領域から故障箇所データを読み出すかという指示を含む。具体的にはN番目に故障した箇所の点灯パターンを表示せよという指示を含む。記憶領域読み出し指示がされた場合、S6の処理に戻り、記憶領域読み出し指示の内容に基づいて故障箇所データの読み出しを行う。
【0037】
<まとめ>
本実施の形態にかかる電子機器によれば、次の作用効果を奏することが可能である。
【0038】
まず、構成要素の故障が起きた際に逐次、故障パターンを記憶部4に記憶し、外部入力に基づいて任意の故障パターンを表示することができるので、発生した全ての故障箇所と故障した順番を特定でき、修理、交換までの診断に要する時間を短縮できる。
【0039】
また、故障が発生してから、外部入力がされるまでは、最後に発生した故障箇所に対応する点灯パターンを表示することにより、使用者やサービスマンが機器の現状を素早く確認することができ、不意の感電などを防ぐことができる。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明の電子機器は、一例として、構成要素の多い電子機器であるテレビ分野での実装技術として有用である。
【符号の説明】
【0041】
1 検知部
2 パターン生成部
3 故障箇所データ変換部
4 記憶部
5 制御部
6 指示部
7 表示パターン変換部
8 表示部
10 故障パターン作成部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器中の構成要素の故障を検知して検知結果を出力する故障検知部を複数備え、
前記複数の故障検知部からの検知結果を受けて、複数の検知結果の入力パターンを故障パターンに変換して出力する故障パターン作成部と、
前記故障パターンを記憶する記憶部と、
前記故障パターン作成部で作成された前記故障パターンを、前記記憶部に書き込む/読み出す制御を行う制御部と、
前記制御部の読み出し制御によって読み出された前記故障パターンに基づいて、故障パターンを表示する表示部と、
外部入力を受付可能であり、前記外部入力に基づいて、又は所定の設定値に基づいて前記制御部に対して前記故障パターンの読み出しを指示する指示部と、
を備え、
前記指示部は、
前記構成要素の故障が発生してから前記外部入力を受け付けるまでの期間は、前記制御部に対して所定の設定値に基づいて特定の前記故障パターンの読み出しを指示する、
電子機器。
【請求項2】
前記特定の前記故障パターンは、複数の構成要素中で最後に故障が発生した構成要素のみが故障した場合に、前記故障パターン作成部が受ける前記入力パターンである、
請求項1記載の電子機器。
【請求項3】
前記特定の前記故障パターンは、前記記憶部に最後に書き込まれた故障パターンである、
請求項1記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−190105(P2012−190105A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−51209(P2011−51209)
【出願日】平成23年3月9日(2011.3.9)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】