説明

電子機器

【課題】目視による機器固有パラメータの誤入力を防止でき、複数の電子機器のデータ更新が効率よく行える電子機器を提供すること。
【解決手段】内部構成が変更可能な電子機器において、
前記電子機器の外部から識別可能に設けられた少なくとも1枚の情報媒体を備え、この情報媒体には前記内部構成に関連した情報がコード化されて可視化されていることを特徴とするもの。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器に関し、詳しくは、電子機器に固有の各種情報の管理に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子機器の一種に、たとえばプラントを制御するために測定対象の流量や温度や圧力などの情報を測定するように構成されたフィールド機器がある。図5は従来のフィールド機器の一例を示す構成説明図、図6は従来のフィールド機器の変換部の一例を示すブロック図、図7は従来のホスト機器の一例を示すブロック図である。
【0003】
これら図面において、フィールド機器10は、変換部11と検出部12が分離されていて、変換部11と検出部12のいずれかが故障した場合には故障した側のみを交換できるように構成されている。これら変換部11と検出部12の間では、無線や有線による信号の授受が行われる。ホスト機器20は、フィールド機器10との間で信号の授受を行い、フィールド機器10のパラメータ設定や、フィールド機器10で算出された情報や動作状況の確認、制御などを行う。
【0004】
変換部11は、図6に示すように、表示部11a、入力部11b、情報格納部11c、情報送信部11d、情報受信部11e、演算制御部11f、測定値算出部11g、検出信号受信部11h、検出部駆動部11iなどがバスを介して相互に接続されている。
【0005】
ホスト機器20は、図7に示すように、表示部20a、入力部20b、情報格納部20c、演算制御部20d、情報送信部20e、情報受信部20fなどがバスを介して相互に接続されている。
【0006】
検出部12は、測定対象が流れるパイプ12aを中心に構成されている。ところが、検出部12に固有のパラメータは、同じ型式の製品でも、製造日や部品交換などで異なることがある。そこで、検出部12を変換部11と組み合わせるのにあたっては、検出部12毎に固有のパラメータを変換部11の情報保持部11cに設定格納することが行われる。
【0007】
これら検出部12毎に固有のパラメータは、製造番号、製造年月日、適合規格情報、製品名、製造メーカーなどとともに、パイプ12aの側面に設けられている銘板13に銘板情報13aとして記載されている。作業者は、検出部12毎に固有のパラメータを変換部11の情報保持部11cに設定格納するのにあたっては、銘板13に記載されている銘板情報13aから固有のパラメータを目視で読み取り、変換部11の入力部11aから入力したり、ホスト機器20の入力部20aから情報送信部20eを介して変換部11の情報受信部11eに送信入力する。
【0008】
図8は、従来のフィールド機器の他の例を示す構成説明図である。図8の例では、フィールド機器10は、変換部11と検出部12が一体化されている。そして、銘板13は変換部11の側面に設けられている。
【0009】
これらの構成において、フィールド機器10の検出部12は、測定対象の測定値の算出に用いる信号を検出生成して変換部11に出力する。変換部11は、この信号を検出信号受信部11hで受信し、測定値算出部11gに入力する。測定値算出部11gは、前もって情報保持部11cに格納されている補正係数や銘板情報13aから読み取られた検出部固有パラメータなどを利用して、流量や温度や圧力などの測定対象の測定値情報を算出する。
【0010】
測定値算出部11gで算出されたこれら測定値情報は、表示部11aに表示されるとともに、情報送信部11dを介してホスト機器20にも伝送される。
【0011】
ホスト機器20は、フィールド機器10で算出された測定値や補正係数や検出部固有パラメータなどの各種情報を情報受信部20fで受信することができ、これら受信した情報を表示部20aに表示して確認することができる。
【0012】
なお、検出部12は、変換部11の検出部駆動部11iから出力される駆動信号で駆動される。
【0013】
特許文献1には、計測流路を有する使い捨て可能なディスポハウジングをベースハウジングに着脱可能に装着するように構成された電磁流量計において、ディスポハウジングにそれぞれのディスポハウジングに固有のデータ類がコード化された2次元バーコードを設けてベースハウジングにはバーコードリーダを設け、正確な流量測定を行う技術が記載されている。
【0014】
特許文献2には、フィールド機器のファームウェアを更新した場合における金属プレートの銘板代替に関する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開2007−71695号公報
【特許文献2】特開2009−211359号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
しかし、従来の構成によれば、作業者が銘板情報13aから検出部固有パラメータを目視で読み取って手動で入力していたため、作業工数がかかるとともに、パラメータを間違えて入力してしまうことがあった。
【0017】
また、銘板13の大きさには制限があることから、銘板13に記載できる銘板情報13aの情報量は限られていた。
【0018】
また、検出部固有パラメータ13aが多いフィールド機器の場合には、銘板13のサイズを大きくせざるを得ず、コストが高くなってしまう。
【0019】
さらに、近年のデジタル技術の発達に伴い、銘板情報13aとフィールド機器に実装されている機能の情報とが一致しないケースも発生している。このような例としては、製品の出荷後にソフトウェアのダウンロードによりフィールド機器のファームウェアのみを更新した場合や、フィールド機器の内部のアンプのみを交換した場合などが考えられる。
【0020】
これらの場合には、出荷後の機器の機能アップに伴って出荷時点における銘板の内容と機器の内容が一致しなくなることが多くなり、本来であれば銘板も交換すべきであるが、特許文献2にも記載されているように銘板の交換には費用や時間がかかる。
【0021】
また、銘板に記述されている銘板情報13aは、フィールド機器のマニュアルや、各種通信を介してホストから見る方法でほぼすべてを把握できるなどの理由もあり、実際には出荷後の銘板の交換は行わず、銘板情報13aと実装されている機能の情報との違いを、付箋やシールを用いて手書きで記入して対応していることが多い。
【0022】
ところが、このような付箋やシールへの手書き記入の場合には、以下のような問題がある。一般に、ファームウェアの更新には、重要な情報やパラメータ値変更などが含まれるが、これらの重要な情報やパラメータ値変更などを全て把握して手書きで漏れなく記入するのは困難であり、誤記や記入忘れなどのヒューマンエラーが生じる可能性が高くなる。
【0023】
さらに、ファームウェア更新は、1台だけでなく複数台について行うことが多く、複数のフィールド機器10の機器固有パラメータの入れ替えには多大な工数を要することになる。
【0024】
本発明は、これらの問題を解決するものであり、その目的は、目視による機器固有パラメータの誤入力を防止でき、複数の電子機器のデータ更新が効率よく行える電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0025】
このような課題を達成するために、本発明のうち請求項1記載の発明は、
内部構成が変更可能な電子機器において、
前記電子機器の外部から識別可能に設けられた少なくとも1枚の情報媒体を備え、この情報媒体には前記内部構成に関連した情報がコード化されて可視化されていることを特徴とする。
【0026】
請求項2記載の発明は、請求項1に記載の電子機器において、
前記内部構成に関連した情報は、前記電子機器のファームウェアの更新情報を含むことを特徴とする。
【0027】
請求項3記載の発明は、請求項1に記載の電子機器において、
前記情報媒体には、前記電子機器の管理情報もコード化されていることを特徴とする。
【0028】
請求項4記載の発明は、請求項3に記載の電子機器において、
前記電子機器の管理情報は、前記電子機器の銘板記載情報、前記電子機器の使用方法を記載したテキスト情報、音声ガイドや動作音を含む音声情報、前記電子機器の動作を評価するためのソフトウェア、前記電子機器の動作条件を設定するための設定ファイルのうちの少なくとも一つであることを特徴とする。
【0029】
請求項5記載の発明は、請求項1から請求項4のいずれかに記載の電子機器において、
前記情報媒体にコード化された情報は、暗号化されていることを特徴とする。
【0030】
請求項6記載の発明は、請求項1から請求項5のいずれかに記載の電子機器において、
前記電子機器は、プラントを制御するフィールド機器であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0031】
これらにより、目視による誤入力を防止でき、複数の電子機器のデータ更新を効率よく行える。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の一実施例を示す構成図である。
【図2】本発明で用いるホスト機器20の具体例を示すブロック図である。
【図3】本発明で用いるフィールド機器10の変換部11の具体例を示すブロック図である。
【図4】図1におけるフィールド機器10のファームウェア更新処理の流れの具体例を説明するフローチャートである。
【図5】従来のフィールド機器の一例を示す構成説明図である。
【図6】従来のフィールド機器の変換部の一例を示すブロック図である。
【図7】従来のホスト機器の一例を示すブロック図である。
【図8】従来のフィールド機器の他の例を示す構成説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明について、図面を用いて詳細に説明する。図1は本発明の一実施例を示す構成図であり、図5と共通する部分には同一の符号を付けている。
【0034】
図1において、銘板13には、アンプや前述のようなファームウェアの更新情報に代表される検出部12に固有のパラメータをはじめ、製造番号、製造年月日、適合規格情報、製品名、製造メーカーなどの内部構成に関連した情報を含む銘板情報13aがコード化され記録された情報媒体14として1個のQRコード(登録商標)が設けられている。
【0035】
図1の情報媒体14には、たとえば以下の情報がコード化され記録されている。
製品名:電磁流量計
型名:ADMAG−AXF
製造番号:10−*****
製造年月日:2010.07.25
付加仕様コード:LCI
ファーム情報:rev.***
【0036】
図2は、本発明で用いるホスト機器20の具体例を示すブロック図であり、図7と共通する部分には同一の符号を付けている。図2において、デコーダ20gは、コードリーダー20hで読み取った情報媒体14のコード化情報を、検出部12の内部構成に関連した情報を含む銘板情報13aにデコードする。
【0037】
そして、デコードされた銘板情報13aの中から測定対象の測定値の算出に必要な検出部固有パラメータ(図1の実施例ではファーム情報:rev.***)を選択し、前述図5と同様に、情報送信部20eを介して変換部11の情報受信部11eに送信入力され、情報格納部11cに格納される。なお、図1の情報媒体14のQRコードを読み取るのにあたっては、コードリーダー20hとしてQRコードリーダーを用いる。
【0038】
このような構成において、フィールド機器10の検出部12は、測定対象の測定値の算出に用いる信号を検出生成して変換部11に出力する。変換部11は、この信号を検出信号受信部11hで受信し、測定値算出部11gに入力する。測定値算出部11gは、前もって情報保持部11cに格納されている補正係数や、情報送信部20eを介して変換部11の情報受信部11eに送信入力され情報格納部11cに格納された情報媒体14のコード化情報に基づく検出部固有パラメータなどを利用して、流量や温度や圧力などの測定対象の測定値情報を算出する。
【0039】
測定値算出部11gで算出されたこれら測定値情報は、表示部11aに表示されるとともに、情報送信部11dを介してホスト機器20にも伝送される。
【0040】
ホスト機器20は、前述と同様に、フィールド機器10で算出された測定値や補正係数や検出部固有パラメータなどの各種情報を情報受信部20fで受信することができ、これら受信した情報を表示部20aに表示して確認することができる。
【0041】
なお、図1の実施例では、情報媒体14には、検出部12に固有のパラメータをはじめ、製造番号、製造年月日、適合規格情報、製品名、製造メーカーなどの内部構成に関連した情報を含む銘板情報13aがコード化されて記録されていることから、デコードされた銘板情報13aの中から測定対象の測定値の算出に必要な検出部固有パラメータを変換部11に送信するために選択識別する必要がある。
【0042】
そこで、たとえば銘板情報13aのコード化にあたり、検出部固有パラメータの項目には送信識別情報を付加しておく。
【0043】
これにより、ホスト機器20は、デコードされた銘板情報13aの中から付加されている送信識別情報に基づいて検出部固有パラメータを選択識別でき、検出部固有パラメータを変換部11に送信することができる。
【0044】
他の方法としては、銘板情報13aのコード化にあたって検出部固有パラメータの項目に送信識別情報は付加せず、デコードされた全ての銘板情報13aをホスト機器20側に送信し、ホスト機器20の送信情報識別部20iで送信すべき検出部固有パラメータの情報を識別するようにしてもよい。
【0045】
図1および図2のように構成することにより、従来のような検出部固有パラメータの目視で読み取り入力に伴う誤入力を防止できる。
【0046】
また、情報がコード化され記録される情報媒体を用いることにより、面積が比較的小さく制限されている銘板13に比較的大量のコード化された情報を記録できる。
【0047】
また、情報がコード化され記録される情報媒体を用いることにより、銘板13に、文字情報だけではなく、音声、画像、ソフトウェアなどの各種の電子情報も保持することができる。
【0048】
なお、上記実施例では、情報媒体14として1個のQRコードを設けた例を示しているが、これに限るものではなく、1次元バーコードやその他の2次元バーコードであってもよいし、RFIDタグなどであってもよく、情報量が多くなる場合にはこれら情報媒体14を2個以上設けるようにしてもよい。
【0049】
また、情報媒体14は、銘板13に直接印刷してもよいし、別途シールなどに印刷してそのシールをフィールド機器12の銘板13に貼り付けるようにしてもよい。
【0050】
また、情報媒体14に、使用期限、製造工場、製造担当者などを含む管理用の情報を記録してもよい。
【0051】
これにより、ホスト機器20を携帯可能にすることで、フィールド機器が設置されている現場で管理用の情報を確認することが可能になる。
【0052】
また、情報媒体14に記録する情報を、暗号化することもできる。この場合、ホスト機器20のデコーダ20gは、暗号化された情報を復号化する機能を持つようにする。
【0053】
これにより、ユーザーに知られたくないサービス用の情報や競合他社に知られたくない情報を暗号化して記録することが可能になる。
【0054】
また、情報媒体14に、電子機器の使用方法を記載した操作マニュアルのテキスト情報、音声情報、前記電子機器の動作を評価するためのソフトウェア、電子機器の動作条件を設定するための設定ファイルなどを記録してもよい。
【0055】
たとえば、マニュアルとしては、設置方法、パラメータ設定方法、作動方法、検出部の変更方法などを記録する。音声情報としては、音声ガイド、正常時の動作音、異常時の動作音などを記録する。動作を評価するためのソフトウェアとしては、DTM、シミュレータ、デバッグ用ソフトウェアなどを記録する。設定ファイルとしては、DD(デバイス記述)ファイル、CF(機能定義)ファイルなどを記録する。
【0056】
これにより、従来はマニュアルや音声情報やソフトウェアや設定ファイルは、インターネットを介して取得するか、CDやDVDなどの記憶メディアから読み込み機器を介して取得していた。つまり、インターネットに接続する環境や記憶メディアとそれを読み込む機器が必要であったが、フィールド機器10の表面にこれらの情報がコード化され記録された情報媒体を設けることで、インターネットに接続する環境や記録メディアとそれを読み込む機器が不要になる。
【0057】
また、図3に示すように、フィールド機器10の変換部11に、QRコード生成部11jを設け、測定値算出部11gで算出した流量や温度や圧力などの測定値情報や補正係数や検出部固有パラメータや機器の設定パラメータなどの情報をQRコードに変換し、生成したQRコードをたとえば液晶表示器で構成されている表示部11aで表示するようにしてもよい。なお、QRコード生成部11jは、QRコードに変換する情報を暗号化してからQRコードに変換してもよい。
【0058】
従来のフィールド機器とホスト機器との間におけるデータ送信は、通信線や電波などによる無線通信で行われていたが、通信線には配線の手間やコストがかかってしまうという問題があり、電波による無線通信には医用電気機器周辺や航空機内や電波の干渉が大きい場所などでは利用できないという問題があった。ところが、フィールド機器とホスト機器との間におけるデータ送信をたとえばQRコードで行うことにより、配線の手間やコストを削減することができ、従来の電波による無線通信が使用できない場所での無線によるデータ送信も可能になる。
【0059】
図4は、ファームウェア更新処理の流れの具体例を説明するフローチャートである。なお、フィールド機器10とホスト機器20との間の通信にあたっては、Foundation Fieldbus、HART、Profibusなどの汎用の工業用プロトコルが利用される。
【0060】
QR情報を更新する際には、まず、フィールド機器10のファームウェアを更新するかどうかを判断する(ステップS1)。フィールド機器10のファームウェアを更新する場合には、製造番号などの機器により1台ずつの情報が異なる機器固有情報の読み込みを行い、データをフィールド機器10の変換部11の情報保持部11cやホスト機器20の情報格納部20cに一時保存する(ステップS2)。
【0061】
その後、ファームウェアの更新を行うが(ステップS3)、その方法には「ソフトウェアダウンロード」(ステップS4)と「フィールド機器内部のアンプ交換」(ステップS5)の2つがある。
【0062】
「ソフトウェアダウンロード」の場合、ソフトウェアダウンロードを用いてファームウェアを更新し、機器の再起動を行うことで最新のファームウェアが動作する。ソフトウェアダウンロード時に、銘板情報に関連したQR情報も最新版に更新されているが(ステップS4)、機器固有情報部には一時的に初期値が入力される。
【0063】
「フィールド機器内部のアンプ交換」の場合、フィールド機器10の電源をOFFにした後に内部のアンプユニットを交換することでファームウェアの更新を実現する(ステップS5)。交換後のアンプユニットには既に最新のファームウェアが搭載されており、アンプユニットを交換してフィールド機器10の電源をONにすることで、最新のファームウェアが動作する。もちろん、ファームウェアに搭載されている銘板情報も最新版に更新されているが、機器固有情報部は一時的に初期値が入力されている。
【0064】
このようにステップS4またはS5のいずれかの方法でファームウェアを更新した後、ファームウェア更新前に保存した機器固有情報を、フィールド機器10に書き込む(ステップS6)。
【0065】
銘板情報更新後、機器は更新された情報を元に、QRコードを作成する(ステップS7)。なお、この処理には多少の時間がかかるため、機器の他の処理の空き時間(バックグラウンド作業)として行ったり、機器起動時や作業者が指示した時などに行うようにしてもよい。
【0066】
QRコードを作成した後、ホスト機器20より、QRコードおよび銘板情報を出力することができる。出力されたものを、機器に貼付することにより、現在の機器と銘板情報の不一致を防ぐことができる(ステップS8)。
【0067】
銘板情報を変更する際は、通常ファームウェアなどの変更を有することが多いが、QR情報の誤記などの場合は、ファームウェアの変更は行われない。ステップS1において、ファームウェア更新が行われない場合は、次に、QR情報を変更するか否かを確認する(ステップS9)。
【0068】
QR情報の更新を行う場合は、隠れパラメータを利用して銘板情報を書き換える(ステップS10)。隠れパラメータは、通常書き込むことができないようにパスワードなどでロックされていて、サービスマンなどある特定の人だけが書き込むことができるように設計されている。もちろん、本パラメータは、一般ユーザーに対しては完全非公開にしてもよい。
【0069】
図4のファームウェア更新処理の流れによれば、フィールド機器10の機能アップや不具合修正を行うためのアンプの交換やソフトウェアダウンロードなどの方法によりファームウェアの更新を行う場合に、機器の銘板情報を同時に更新して最新の銘板情報を基に作成したQRコードと最新の銘板情報を出力して機器に貼付することで、ファームウェア変更時の機器と銘板情報の不一致を容易に防止できる。
【0070】
なお、図4では、フィールド機器のファームウェアを更新するとともに、その銘板情報をQRコードに変換する例を説明したが、PDAや携帯電話端末などにも応用できるものであり、コード体系はQRコードに限るものではなくその他のバーコードやRFIDタグなどであってもよい。
【0071】
また、QRコードなどに変換する情報に、ファームウェアの更新日、更新理由、バージョン情報、更新前のファームウェア本体などを付加してもよい。これにより、ファームウェア更新理由などの確認が容易になり、以前のバージョンに戻したい場合にはファームウェア本体を別途用意する必要がなくなる。
【0072】
以上の説明は、以下のようにまとめることができる。
(1)フィールド機器とホスト機器で構成されるシステムであって、前記フィールド機器は電子データを保持できるコードを表示し、ホスト機器は前記コードを読み込むリーダーを備え、読み込んだ情報を電子データに変換するデコーダを備えることを特徴とする。
(2)前記電子データは、フィールド機器の検出部固有のパラメータ、フィールド機器やホスト機器の使用方法を記載したマニュアル、音声情報、ソフトウェア、設定ファイルのうち、少なくとも一つであることを特徴とする(1)記載のシステムである。
【0073】
(3)前記電子データは暗号化されており、ホスト機器は複合化する機能を有することを特徴とする(1)または(2)記載のシステムである。
(4)前記コードをフィールド機器の銘板に記載することを特徴とする(1)から(3)のいずれかに記載のシステムである。
【0074】
(5)前記フィールド機器は、フィールド機器の情報保持部で保持している情報、情報受信部で受信した情報、測定値算出部で測定した情報、入力部に入力された情報の少なくともいずれかを電子データを保持できるコードに変換して前記コードをフィールド機器の表示部で表示することを特徴とする(1)記載のシステムである。
【0075】
(6)前記電子データは、フィールド機器の検出部固有のパラメータを識別するための情報が付加されていることを特徴とする(1)から(5)のいずれかに記載のシステムである。
【0076】
(7)前記コードは1次元コードまたは2次元コードであることを特徴とする(1)から(6)のいずれかに記載のシステムである。
【0077】
そして、フィールド機器としての特徴は、以下のようにまとめることもできる。
(1)データ保持にあたり、検出部固有のパラメータ、フィールド機器や周辺機器の使用方法を記載したマニュアル、音声情報、ソフトウェア、設定ファイルのうち少なくとも一つの電子データを保持できるコードを表示することを特徴とするフィールド機器である。
(2)前記電子データは、暗号化されていることを特徴とする(1)に記載のフィールド機器である。
【0078】
(3)フィールド機器の情報保持部で保持している情報、情報受信部で受信した情報、測定値算出部で測定した情報、入力部に入力された情報の少なくともいずれかを電子データを保持できるコードに変換し、前記コードをフィールド機器の表示部で表示することを特徴とする(1)または(2)記載のフィールド機器である。
(4)前記電子データを保持できるコードを銘板で表示することを特徴とする(1)に記載のフィールド機器である。
【0079】
(5)前記電子データは、フィールド機器の検出部固有のパラメータを識別するための情報が付加されていることを特徴とする(1)から(4)のいずれかに記載のフィールド機器である。
(6)前記コードは1次元コードまたは2次元コードであることを特徴とする(1)から(5)のいずれかに記載のフィールド機器である。
【0080】
以上説明したように、本発明によれば、目視による機器固有パラメータの誤入力を防止できるとともに、複数の電子機器のデータ更新が効率よく行える電子機器を提供することができ、たとえばフィールド機器などに好適である。
【符号の説明】
【0081】
10 フィールド機器
11 変換部
11j QRコード生成部
12 検出部
12a パイプ
13 銘板
13a 銘板情報
14 情報媒体
20 ホスト機器
20g デコーダ
20h コードリーダー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部構成が変更可能な電子機器において、
前記電子機器の外部から識別可能に設けられた少なくとも1枚の情報媒体を備え、この情報媒体には前記内部構成に関連した情報がコード化されて可視化されていることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記内部構成に関連した情報は、前記電子機器のファームウェアの更新情報を含むことを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記情報媒体には、前記電子機器の管理情報もコード化されていることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項4】
前記電子機器の管理情報は、前記電子機器の銘板記載情報、前記電子機器の使用方法を記載したテキスト情報、音声ガイドや動作音を含む音声情報、前記電子機器の動作を評価するためのソフトウェア、前記電子機器の動作条件を設定するための設定ファイルのうちの少なくとも一つであることを特徴とする請求項3に記載の電子機器。
【請求項5】
前記情報媒体にコード化された情報は、暗号化されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の電子機器。
【請求項6】
前記電子機器は、プラントを制御するフィールド機器であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−37696(P2012−37696A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−177059(P2010−177059)
【出願日】平成22年8月6日(2010.8.6)
【出願人】(000006507)横河電機株式会社 (4,443)
【Fターム(参考)】