説明

電子機器

【課題】操作者が横長のキートップのどの位置を押し操作しても常にスイッチを押下することができると共に、キートップの押し操作時の操作ボタンの傾きを抑制して操作性の向上を図る仕組みを提供する。
【解決手段】電子機器は、機器本体の外装部101dに対して押し操作が可能に保持される操作ボタン107と、操作ボタン107を押し方向と逆方向に付勢する付勢部材202とを備える。操作ボタンは、横長に形成されるキートップ201と、キートップ201の中央部から突設される押し軸201bと、キートップ201の長手方向の両端側からそれぞれ突設される一対の摺動軸201aと、を有する。そして、押し軸201bが、穴101bに挿入されることによってキートップ201の短手方向の位置が規制され、摺動軸201aが、穴101aに挿入されることによってキートップ201の長手方向の位置が規制される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばデジタルカメラ等の電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラ等の電子機器では、小型化や薄型化に伴い、レリーズボタン等の操作ボタンのキートップを操作者から見て左右方向に横長にして操作者が触れる面積を大きくすることで、操作性を向上させたものがある。しかし、操作ボタンのキートップを横長に形成すると、長手方向の端部を押し操作した際に、操作ボタンが傾き、操作ボタンの下に配置されるスイッチが押下され難くなるという問題があった。
【0003】
そこで、横長のキートップが押し操作された際に、キートップの長手方向に沿って平行に延びる支持凸部によりキートップの短手方向の一側を片持ち支持し、支持凸部を支点として操作ボタンが傾斜するように構成したボタン構造が提案されている(特許文献1)。この提案では、操作者がキートップのどの位置を押し操作しても、常に支持凸部を支点として操作ボタンを傾斜させながらスイッチを押下することができるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−130530号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記特許文献1では、支持凸部の直上又はその近傍ではキートップを押し操作することができず、また、押し操作時に常に操作ボタンが短手方向に傾くため、操作性が悪くなる。
【0006】
そこで、本発明は、操作者が横長のキートップのどの位置を押し操作しても常にスイッチを押下することができるとともに、キートップの押し操作時の操作ボタンの傾きを抑制して操作性の向上を図ることができる仕組みを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、機器本体の外装部に対して押し操作が可能に保持される操作ボタンと、前記操作ボタンを押し方向と逆方向に付勢する付勢部材とを備える電子機器であって、前記操作ボタンは、横長に形成されるキートップと、前記キートップの中央部から突設され、前記外装部に形成された押し軸用穴に挿入されて、前記キートップを押し操作した際に、前記機器本体に設けられたスイッチを押下する押し軸と、前記キートップの長手方向の両端側からそれぞれ突設され、前記外装部に形成された一対の摺動軸用穴に挿入される一対の摺動軸と、を有し、前記押し軸が、前記押し軸用穴に挿入されることによって前記キートップの短手方向の位置を規制し、前記一対の摺動軸が、前記一対の摺動軸用穴にそれぞれ挿入されることによって前記キートップの長手方向の位置を規制し、前記付勢部材は、前記一対の摺動軸を前記キートップの押し方向と逆方向に付勢することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、操作者が横長のキートップのどの位置を押し操作しても常にスイッチを押下することができるとともに、キートップの押し操作時の操作ボタンの傾きを抑制して操作性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】(a)は本発明の電子機器の一例であるデジタルカメラを正面側から見た斜視図、(b)は(a)に示すデジタルカメラを背面側から見た斜視図である。
【図2】(a)はレリーズボタンの取り付け構造を説明するための分解斜視図、(b)は(a)の下方から見た分解斜視図である。
【図3】カメラ本体のレリーズボタンの部分を上方から見た平面図である。
【図4】図3のA−A線断面図である。
【図5】図3のB−B線断面図である。
【図6】図4のC−C線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態の一例を図面を参照して説明する。
【0011】
図1(a)は本発明の電子機器の一例であるデジタルカメラを正面側(被写体側)から見た斜視図、図1(b)は図1(a)に示すデジタルカメラを背面側から見た斜視図である。
【0012】
図1に示すように、本実施形態のデジタルカメラは、カメラ本体101の正面側にレンズ鏡筒102及びストロボ発光窓103が設けられ、上面部にレリーズボタン107及び電源ボタン106が設けられている。また、カメラ本体101の背面部には、LCD等の表示装置104や各種設定を行うための設定ボタン群105が設けられている。ここで、カメラ本体101は、本発明の機器本体の一例に相当し、レリーズボタン107は、本発明の操作ボタンの一例に相当する。
【0013】
図2(a)はレリーズボタン107の取り付け構造を説明するための分解斜視図、図2(b)は図2(a)の下方から見た分解斜視図である。図3はカメラ本体101のレリーズボタン107の部分を上方から見た平面図、図4は図3のA−A線断面図、図5は図3のB−B線断面図、図6は図4のC−C線断面図である。
【0014】
図2に示すように、レリーズボタン107は、カメラ本体101の外装部101dに対して押し操作が可能に保持され、カメラ本体101を正面側から見て左右方向に長い横長のキートップ201を有する。キートップ201の裏面側中央部には、押し軸201bが突設され、キートップ201の裏面の長手方向の両端側には、一対の摺動軸201aが押し軸201bを間に挟むように突設されている。また、キートップ201の裏面において、押し軸201bと一対の摺動軸201aの一方の摺動軸201aとの間、及び押し軸201bと他方の摺動軸201aとの間には、それぞれ係止突起201cがキートップ201の短手方向に離間して突設されている。
【0015】
カメラ本体101の外装部101dには、押し軸201b、一対の摺動軸201a、及び一対の係止突起201cに対応して、押し軸用穴101b、一対の摺動軸用穴101a、及び一対の係止突起用穴101cがそれぞれ形成されている。本実施形態では、押し軸用穴101b、摺動軸用穴101a、及び係止突起用穴101cは、それぞれ断面矩形状とされている。
【0016】
そして、係止突起201cが係止突起用穴101cに係止されることで、カメラ本体101に対するレリーズボタン107の抜け止めがなされる。
【0017】
また、押し軸用穴101bに、押し軸201bを挿入することで、押し軸用穴101bのキートップ201の短手方向に互いに対向する各内壁面101b1により、キートップ201の短手方向の位置が規制される。そして、キートップ201の押し操作時に、押し軸用穴101bの各内壁面101b1により押し軸201bが軸方向にガイドされる(図5及び図6参照)。
【0018】
摺動軸用穴101aに、摺動軸201aを挿入することで、摺動軸用穴101aのキートップ201の長手方向に互いに対向する各内壁面のうちの押し軸用穴101bから離間する側の内壁面101a1により、キートップ201の長手方向の位置が規制される。そして、キートップ201の押し操作時に、摺動軸用穴101aの内壁面101a1により摺動軸201aが軸方向にガイドされる(図4及び図6参照)。
【0019】
カメラ本体101の内部には、レリーズスイッチ205が実装されたフレキシブルプリント基板204が取り付けられ、レリーズボタン107のキートップ201を押し操作した際に、押し軸201bによりレリーズスイッチ205が押下される。
【0020】
また、フレキシブルプリント基板204と外装部101dとの間には、板ばね状の付勢部材202が配置され、付勢部材202は、ねじ203等により外装部101dに締結される。付勢部材202は、ねじ203等の締結部202bを起点としてキートップ201の長手方向に略対称形状となるように延設された一対のアーム部202cを備え、一対のアーム部202cの先端部に一対の押圧部202aが設けられている。一対の押圧部202aは、一対の摺動軸201aをそれぞれ押圧する。
【0021】
そして、レリーズボタン107のキートップ201が押し操作されると、一対の摺動軸201aが一対の押圧部202aを押圧して、一対のアーム部202cを弾性変形させる。一対のアーム部202cの復元力によって、レリーズボタン107がキートップ201の押し方向と逆方向に付勢される。
【0022】
このように、キートップ201の長手方向の両端部を押し方向と逆方向に付勢することで、キートップ201を押し操作した後に指を離した場合に、キートップ201が長手方向に傾くことがない。すなわち、キートップ201は押し方向または押し方向と逆方向にて振動する振動モードとなり、振動の減衰が速くなる。
【0023】
一方、例えばキートップ201の中央部でコイルバネ等により付勢すると、キートップ201を押し操作した後に指を離した場合に、キートップ201は長手方向に傾く。このとき、キートップ201には、キートップ201の中央部を支点としたシーソー型の振動モードが発生する。
【0024】
従って、本実施形態のように、キートップ201の長手方向の両端部を押し方向と逆方向に付勢することで、キートップ201を押し操作後に指を離した際に、キートップ201が傾く振動の発生を低減することができる。これによって、良好な操作感を操作者に与えることができる。
【0025】
ここで 本実施形態では、摺動軸201a及び押し軸201bは、略円柱形状とされて、それぞれ摺動軸用穴101aの内壁面101a1及び押し軸用穴101bの内壁面101b1に対して軸方向に線接触するようになっている。これにより、キートップ201を押し操作した際に、摺動軸201a及び押し軸201bは、摺動軸用穴101a及び押し軸用穴101bに対して常に線接触でガイドされるので、摺動抵抗が低減してスムースな操作感を得ることができる。
【0026】
この場合、一対の摺動軸用穴101aの内壁面101a1の間の距離L1は、できるだけ長く設定することで、キートップ201の押し操作時のレリーズボタン107の傾きが低減し、よりスムースな操作感を得ることができる。
【0027】
また、摺動軸用穴101a及び押し軸用穴101bの軸方向長さについても、キートップ201を押し操作した際のレリーズボタン107の傾きを低減させるため、できるたけ長く設定することが望ましい。
【0028】
本実施形態では、付勢部材202により長さが規制される摺動軸用穴101aの軸方向長さH1より押し軸用穴101bの軸方向長さH2を長くして、押し軸201bの先端をレリーズスイッチ205近傍に配置している。
【0029】
以上説明したように、本実施形態では、操作者が横長のキートップ201のどの位置を押し操作しても常にレリーズボタン107を押下することができるとともに、キートップ201の押し操作時のレリーズボタン107の傾きを抑制することができる。これにより、レリーズボタン107の操作性が向上したデジタルカメラを提供することができる。
【0030】
なお、本発明の構成は、上記実施形態に例示したものに限定されるものではなく、材質、形状、寸法、形態、数、配置箇所等は、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0031】
101 カメラ本体
101a 摺動軸用穴
101b 押し軸用穴
101d 外装部
107 レリーズボタン
201 キートップ
201a 摺動軸
201b 押し軸
202 付勢部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器本体の外装部に対して押し操作が可能に保持される操作ボタンと、前記操作ボタンを押し方向と逆方向に付勢する付勢部材とを備える電子機器であって、
前記操作ボタンは、
横長に形成されるキートップと、
前記キートップの中央部から突設され、前記外装部に形成された押し軸用穴に挿入されて、前記キートップを押し操作した際に、前記機器本体に設けられたスイッチを押下する押し軸と、
前記キートップの長手方向の両端側からそれぞれ突設され、前記外装部に形成された一対の摺動軸用穴に挿入される一対の摺動軸と、を有し、
前記押し軸が、前記押し軸用穴に挿入されることによって前記キートップの短手方向の位置を規制し、
前記一対の摺動軸が、前記一対の摺動軸用穴にそれぞれ挿入されることによって前記キートップの長手方向の位置を規制し、
前記付勢部材は、前記一対の摺動軸を前記キートップの押し方向と逆方向に付勢することを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記押し軸、及び前記摺動軸は、それぞれ前記押し軸用穴の内壁面、及び前記摺動軸用穴の内壁面に対して軸方向に線接触することを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記押し軸用穴の軸方向の長さは、前記摺動軸用穴の軸方向の長さより長く設定されることを特徴とする請求項1又は2に記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−101813(P2013−101813A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−244562(P2011−244562)
【出願日】平成23年11月8日(2011.11.8)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】