説明

電子機器

【課題】 投映レンズのカバーを手動で開閉する場合にも投映開始時の眩しさを抑制することができる電子機器を提供する。
【解決手段】 光源34から射出された光により投映レンズを介して投映画像を投映する投映部30と、閉状態において前記投映レンズを保護し、開状態において前記投映レンズから光を射出可能とするカバーと、前記カバーの開閉状態を検出する検出部32と、前記検出部により前記カバーが前記開状態となったことを検出すると、前記光源を微発光の光量で点灯させ、前記光源から射出される光量を全発光の光量まで漸次増加させる光源制御部36とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
リモコンのボタン操作によって投映レンズのカバーの開閉制御が可能なプロジェクタが知られている(例えば、特許文献1参照)。このプロジェクタにおいては、リモコンを用いた投映開始指示が行われた場合であっても、光源からの投映光の射出を規制するセーフモードが設定された状態においてはカバーが閉じられた状態を維持している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−211199号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、このプロジェクタにおいては、手動でカバーの開閉を行うことは考慮されていなかった。
【0005】
本発明の目的は、投映レンズのカバーを手動で開閉する場合にも投映開始時の眩しさを抑制することができる電子機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る電子機器は、光源から射出された光により投映レンズを介して投映画像を投映する投映部と、閉状態において前記投映レンズを保護し、開状態において前記投映レンズから光を射出可能とするカバーと、前記カバーの開閉状態を検出する検出部と、前記検出部により前記カバーが前記開状態となったことを検出すると、前記光源を微発光の光量で点灯させ、前記光源から射出される光量を全発光の光量まで漸次増加させる光源制御部とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る電子機器によれば、投映レンズのカバーを手動で開閉する場合にも眩しさを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施の形態に係るカメラの前面を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態に係るカメラのカバーの開状態及び閉状態を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態に係るカメラのシステム構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の実施の形態に係るカメラの投映開始時における処理を示すフローチャートである。
【図5】本発明の実施の形態に係るカメラのLEDから射出される光量制御を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態に係る電子機器についてプロジェクタを備えたカメラを例に説明する。図1は、実施の形態に係るカメラの前面を示す斜視図である。カメラ2はプロジェクタを備えるデジタルカメラであって、筐体4の前面には、被写体光を入射させる撮影レンズ6、投映画像を投映する投映レンズ8、投映レンズ8を保護するレンズカバー10が設けられている。また、筐体4の上面には、電源スイッチ12、レリーズ指示を行うレリーズボタン14が設けられている。
【0010】
レンズカバー10は、図2(a)の矢印で示すようにスライド可能に設けられている。即ち、図2(a)に示す上向きの矢印方向にレンズカバー10をユーザの手動操作によりスライドさせると閉状態となり、図2(a)に示す下向きの矢印方向にユーザの手動操作によりレンズカバー10をスライドさせると開状態となる。なお、レンズカバー10は、閉状態においては投映レンズ8の破損を防止する位置となり、開状態においては投映レンズ8から投映画像を投映可能な位置となる。
【0011】
図3は、実施の形態に係るカメラのシステム構成を示すブロック図である。カメラ2は、CPU16を備え、CPU16には、電源スイッチ12、レリーズボタン14、筐体4の背面に設けられ撮影された画像、撮影条件等を表示するLCD表示部18、LCD表示部18に表示された撮影条件等を選択するマルチセレクタ20、撮影レンズ6を介した被写体を撮像して撮像信号(蓄積電荷としてのアナログ信号)を生成するCCD或いはCMOS等により構成される撮像素子22、撮像素子22から出力される撮像信号を図示しないA/D変換部においてA/D変換することにより生成された画像データに、ホワイトバランス調整、輪郭補償、ガンマ補正等の画像処理を行う画像処理部24、画像処理部24により生成された画像データを記憶するバッファメモリ26、撮像画像データや投映画像データ、種々のデータを記憶するメモリカード28、バッファメモリ26やメモリカード28に記憶された画像データや種々のデータに基づく投映画像を投映する投映ユニット30、レンズカバー10が開状態であるか閉状態であるかを検出するカバー検出部32が接続されている。
【0012】
ここで、投映ユニット30は、光源であるLED34の点灯・消灯制御及びLED34の駆動電流を制御することによりLED34から射出される光量の制御、即ちLED34の輝度の制御を行う光源制御部36、投映する画像を表示するLCOS38の表示制御を行う投映制御部40を備えている。
【0013】
次に、図4に示すフローチャートを参照して実施の形態に係るカメラの投映開始時における処理について説明する。レンズカバー10が閉状態であり、撮影レンズ6を介した被写体光を撮像素子22により撮像する撮影モードが設定されている場合には、CPU16はカバー検出部32によりレンズカバー10が開状態となったか否かを判断する(ステップS1)。
【0014】
ユーザの手動操作によりレンズカバー10がスライドされ開状態となった場合には、CPU16は、カバー検出部32の出力に基づいてレンズカバー10が開状態となったと判断し、投映ユニット30により投映画像の投映を行う投映モードを設定する(ステップS2)。一方、レンズカバー10が閉状態のままである場合には、CPU16はステップS1に示す処理を繰り返す。
【0015】
次に、CPU16は光源制御部36を制御して、LED34を点灯させ(ステップS3)、LED34から射出される光量の制御を行う(ステップS4)。
【0016】
このとき、まず、CPU16は光源制御部36を制御して、一定期間LED34から射出される光量を略一定の光量(微発光の光量)に抑制して、LED34を点灯させる。即ち、LED34を一定期間(微発光期間)、略一定の輝度で発光させる。その後、CPU16は光源制御部36を制御して、パルス幅変調制御(PWM)により段階的にLED34から射出される光量を微発光の光量から増加させる。
【0017】
例えば、図5に示すようにCPU16は光源制御部36を制御して、微発光期間である点灯後3秒間、LED34から射出される光量を全発光の光量の30%に制御する。ここで、全発光の光量は、LED34により射出可能な最大の光量であり、図5においては全発光の光量を光量100%として示している。
【0018】
次に、CPU16は光源制御部34を制御して、各ステップを1秒とし、全発光の光量となるまで光量を10ステップに分けて増加させる。即ち、各ステップにおいて7%ずつ光量を増加させ、微発光期間が終了してから9秒後に全発光の光量となる。
【0019】
なお、図5に示す光量制御は一例であり、微発光期間は1〜5秒であることが好ましい。この範囲より短いと投映を開始することをユーザに対して十分に示唆することができず、この範囲より長いと投映開始までの準備時間が長くなる。また、微発光の光量としては、眩しさを抑える観点から全発光の光量の50%以下であることが好ましい。
【0020】
また、微発光期間の経過後、LED34から射出される光量を増加させる期間は、3〜20秒であることが好ましく、この期間を5秒、10秒、15秒とするなど5〜15秒とすることがさらに好ましい。この範囲より短いと投映を開始することをユーザに対して十分に示唆することができず、この範囲より長いと全発光の光量による投映を行うまでの準備時間が長くなる。また、光量を増加させる期間における光量を増加させるステップ数は5〜200ステップであることが好ましく、10〜100ステップであることがさらに好ましい。
【0021】
また、ステップS3及びS4に示す処理において、CPU16は投映制御部40を制御してLCOS38に表示する投映画像を黒または黒に近い色の投映画像等、明度の低い投映画像を表示させる。これにより、さらに投映開始時の眩しさを抑えることができる。
【0022】
LED34から射出される光量が全発光の光量となると、CPU16は図4のフローチャートに示す処理を終了し、投映モードによる投映画像の投映を行う。
【0023】
また、投映モードにおいてユーザの手動操作によりレンズカバー10がスライドされ閉状態となると、CPU16はカバー検出部32の出力に基づいて投映モードを終了し、撮影モードを設定する。
【0024】
上述の実施の形態に係るカメラによれば、投映レンズのカバーを手動で開閉する場合にも投映開始時の眩しさを抑制することができる。また、部材の追加をすることなく、投映を開始する旨をユーザに対して示唆することができる。
【0025】
また、上述の実施の形態において、PWM制御によりLED34から射出される光量を段階的に増加させる構成としたが、連続的に増加させてもよい。また、段階的に増加させる場合において、点滅させながら点灯時にLED34から射出される光量を段階的に全発光の光量まで増加させてもよい。また、光源としてLEDを用いる構成としたが、LEDに限らず光源として用いられるものであればLEDに限定されない。
【0026】
また、上述の実施の形態において、LED34から射出される光量を全発光の光量まで増加させる構成としたが、投映環境や消費電力を考慮した光量、即ちLED34により射出可能な最大の光量よりも抑制した光量まで増加させる設定としてもよい。この場合には、図4のステップS4に示す処理において、CPU16は光源制御部36を制御して、LED34から射出される光量を微発光の光量から設定された光量まで増加させる。
【0027】
また、上述の実施の形態において、図4のステップS4に示す制御中にレリーズボタン14やマルチセレクタ24を用いた操作が行われた場合には、図5に示す光量の制御を中止し、LED34から射出される光量を全発光の光量まで増加させてもよい。
【0028】
また、上述の実施の形態において、レンズカバー10はスライド可能に設けられているが、レンズカバー10を筐体4に対して着脱可能な構成としてもよい。
【符号の説明】
【0029】
2…カメラ、10…レンズカバー、30…投映ユニット、32…カバー検出部、34…LED、36…光源制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源から射出された光により投映レンズを介して投映画像を投映する投映部と、
閉状態において前記投映レンズを保護し、開状態において前記投映レンズから光を射出可能とするカバーと、
前記カバーの開閉状態を検出する検出部と、
前記検出部により前記カバーが前記開状態となったことを検出すると、前記光源を微発光の光量で点灯させ、前記光源から射出される光量を全発光の光量まで漸次増加させる光源制御部と
を備えることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記光源制御部は、前記光源の点灯から一定期間、前記光源から射出される光量を抑制した微発光の光量とすることを特徴とする請求項1記載の電子機器。
【請求項3】
前記一定期間は、1秒以上5秒以下であることを特徴とする請求項2記載の電子機器。
【請求項4】
前記光源制御部は、前記光源から射出される光量を3秒以上20秒以下の期間で微発光の光量から全発光の光量まで増加させることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の電子機器。
【請求項5】
前記光源制御部は、前記光源から射出される光量を段階的に増加させることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の電子機器。
【請求項6】
前記光源制御部は、前記光源から射出される光量を連続的に増加させることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の電子機器。
【請求項7】
前記光源から射出された光により読み出される前記投映画像を表示する表示部と、
前記光源の点灯から前記光源から射出される光量の増加が終了するまでの間に明度が低い前記投映画像を前記表示部に表示する表示制御部と
を備えることを特徴とする請求項1〜6の何れか一項に記載の電子機器。
【請求項8】
前記検出部により前記カバーが開状態となったことを検出した場合には、前記投映部により前記投映画像の投映を行う投映モードに設定するモード設定部を備えることを特徴とする請求項1〜7の何れか一項に記載の電子機器。
【請求項9】
被写体を撮像する撮像部を備えることを特徴とする請求項1〜8の何れか一項に記載の電子機器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2013−25009(P2013−25009A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−158619(P2011−158619)
【出願日】平成23年7月20日(2011.7.20)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】