説明

電子機器

【課題】簡単な操作で確実にロックすることができる蓋体を備えた電子機器を得ることを目的とする。
【解決手段】筐体1と、筐体1の側面1bに形成された開口部の内部に配置した端子13を覆う蓋体11と、蓋体11の端子13の周囲に配された止水部材12とを備える。このような構成の端子部10において、蓋体11は、固着部11gの支持部11hが筐体1に回動可能に固着されているとともに、スライド部11bが蓋部11aをスライドすることで、突起部11cが凹部14に嵌入し、一対の係合部11fと一対の固着突起16とが係合する。このように、固着部11gを除く三方向で蓋体11は筐体1と係合して、止水部材12に対して押圧された状態で保持される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、防水性、防塵性が高められた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ノートパソコンなどの電子機器は、屋外において様々な環境で使用されることを考慮し、防水性、防滴性、防塵性を高めたものが登場してきている。このような電子機器において、ケーブル等を接続するために外部に露出している端子部は、液体や埃等が付着すると電子機器の故障につながる可能性があるため、端子部を蓋体で覆う構成とされることがある。
【0003】
また、バッテリなどの電子機器に対して着脱自在である部材をする収納部に防水蓋を設けることが行われる。例えば、バッテリ収納部の開口を、防水性を保って覆う防水蓋として、収納部の開口からの着脱操作を行うための操作ケースと、操作ケースの内部に設けられる可動空間内で可動できる可動部材とから構成されたものが特許文献1に開示されている。
【0004】
この、特許文献1に記載の防水蓋は、可動部材に出入り爪部が設けられ、可動部材が可動空間内で移動するのに連動して、操作ケースの側壁に設けられた出入り窓から出入り爪部が出たり引っ込んだりし、収納部の内周壁部に設けられた係止溝にはまり込みあるいは外れるようになっている。また、可動部材は、操作ケースに設けられる操作窓を通し操作ボスにより移動させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−347432号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示されている構成は、電子機器のバッテリ収納部の開口に配置した防水蓋を固定するために、防水蓋の面方向に可動部材を移動させることが必要となる。このため、開口を防水蓋で覆いながらこれをロックするためには、防水蓋で開口部を封じる動作と、封じる方向に垂直な方向に可動部材を移動させる動作との、異なる方向に作用させる2段階の動作が必要となる。また、防水性を確保する要請で、防水蓋に固着されているパッキンが有する弾性のため、防水蓋を開口部に押さえつけつつ可動部を可動させなくてはならず、ユーザにとっての使用勝手に十分配慮されたものとは言えなかった。
【0007】
本開示は、簡単な操作で確実にロックすることができる蓋体を備えた電子機器を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の電子機器は、筐体と、筐体に形成された開口部を覆う蓋体と、筐体の開口部の周囲に配された止水部材とを備え、蓋体は、一端部が前記筐体に回動可能に固着されているとともに、一端部を除く三方向で筐体と係合して、止水部材に対して押圧された状態で保持される。
【発明の効果】
【0009】
本開示の電子機器は、筐体の開口部を覆う蓋体の一端が筐体に固着され、前記一端部を除く三方向で筐体と係合する。このため、簡単な操作で確実に蓋体を筐体にロックすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本実施形態にかかるノートパソコンの概略構成例を示す斜視図である。
【図2】本実施形態にかかるノートパソコンの端子部を示す斜視図である。
【図3】本実施形態にかかるノートパソコンの蓋体が開蓋位置にある端子部を示す要部断面図である。
【図4】本実施形態にかかるノートパソコンの蓋体が閉蓋位置にある端子部を示す要部断面図である。
【図5】本実施形態にかかるノートパソコンの蓋体がロックされた状態の端子部を示す要部断面図である。
【図6】本実施形態にかかるノートパソコンの蓋体のロック機構を示す図であり、蓋体が開蓋位置にある場合を示す斜視図である。
【図7】本実施形態にかかるノートパソコンの蓋体のロック機構を示す図であり、蓋体が閉蓋位置にある場合を示す斜視図である。
【図8】本実施形態にかかるノートパソコンの蓋体のロック機構を示す図であり、蓋体がロックされた状態にある場合を示す斜視図である。
【図9】本実施形態にかかるノートパソコンの蓋体の変形例を示す端子部の斜視図である。
【図10】本実施形態にかかるノートパソコンの止水部材の変形例を示す要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、適宜図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
【0012】
なお、発明者らは、当業者が本開示を十分に理解するために添付図面および以下の説明を提供するのであって、これらによって特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図するものではない。
【0013】
(実施の形態)
図1は、電子機器の一例として、本実施の形態にかかるノートパソコンの外観を示す斜視図である。なお、本実施の形態では、電子機器の一例としてノートパソコンを挙げたが、電子機器は、少なくとも端子等が配置された筐体の開口部を覆う蓋体を備えた機器であればよい。
【0014】
図1に示すように、ノートパソコンは、第1の筐体1と第2の筐体2とを備えている。
【0015】
第1の筐体1は、電気回路素子が実装された回路基板やハードディスクドライブなどのノートパソコンが内蔵する既知の各種デバイスを内蔵しているが、図示並びに詳細な説明は省略する。
【0016】
第2の筐体2は、表示素子の一例として液晶ディスプレイ4を備えている。第1の筐体1と第2の筐体2とは、ヒンジ部3によって互いに回動自在に支持されている。ヒンジ部3は、第1の筐体1と第2の筐体2とを矢印AまたはBに示す方向へ回動自在に支持する回動軸を備えている。ノートパソコンにおける第1の筐体1の上面1aには、キーボード5とポインティングデバイス6とが配されている。第1の筐体1の側面1bには、端子部10が配されている。なお、以下本開示においては、ノートパソコンの実使用状態に基づいて、第1の筐体1のキーボード5が配置されている方向を上方とし、各構成要素の説明に適宜用いることとする。
【0017】
図2は、端子部10の斜視図である。端子部10は、蓋体11、止水部材12、筐体1に形成された開口部内に配置された端子13、凹部14、止水部材12に設けられた開口15、開口15から突出して形成された一対の固着突起16を備えている。
【0018】
蓋体11は、第1の筐体1に回動可能に固着され、端子13を覆う閉蓋位置と、端子13が開蓋される開蓋位置との間で変位可能である。蓋体11は、蓋部11a、スライド部11bおよび固着部11gで構成される。蓋部11aは、端子13を覆う面積を有し、その蓋部11aの一端部で、第1の筐体1に固着部11gで固着されている。スライド部11bは、蓋部11aが閉蓋位置にあるとき、蓋部11aにおける端子13とは反対の側に配置され、蓋部11aに対して変位する。
【0019】
閉蓋位置において端子13と対向する蓋部11aの面には、端子13の周囲を囲う矩形形状のリブ11dが形成され、このリブ11dは、止水部材12を押圧できるように突出している。
【0020】
スライド部11bは、固着部11gから遠ざかる方向(図2中の矢印C方向)、および、固着部11gに近づく方向(図2中の矢印D方向)に、蓋部11aの面方向に変位可能に構成されている。スライド部11bにおける固着部11gと反対側の先端部の中央には、突起部11cが形成されている。また、スライド部11bにおける両側面の中央部分には、一対の切り欠き部11eが形成されている。この一対の切り欠き部11eそれぞれの固着部11g側には、蓋部11aの一対の側面それぞれで固着突起16が係合する係合片11fが形成されている。蓋体11が第1の筐体1の端子13を覆う閉蓋位置にあるとき、蓋部11aに対して図中矢印C方向にスライド部11bがスライドすることで、スライド部11bの突起部11cは、第1の筐体1に形成された凹部14に嵌入される。この突起部11cが凹部14に対し嵌入すると同時に、スライド部11bの側面に形成された一対の係合片11fは、固着突起16が係合する。止水部材12の開口15から突出して形成される固着突起16の先端部は、鈎状となっており、一対の係合片11fと係合する。このようにして、蓋体11は、その先端部に備える突起部11cと両方の側面それぞれに備える一対の係合片11fとで、第1の筐体1に対してロックされ、止水部材12をリブ11dで押圧した状態に保持される。
【0021】
止水部材12は、第1の筐体1の側面1bにおいて、少なくとも端子13の周囲を囲む位置に接着されている。止水部材12は、端子13に対する防水性を確保できる復元性を有する弾性材料で形成され、例えばシリコーン発泡体で形成することができる。止水部材12は、第1の筐体1に接着テープなどで接着して構成とすることができる。また、少なくとも止水部材12と第1の筐体1との間から液体が進入するのを防ぐため、防水性がある接着手段により適用することができる。なお、本実施の形態では、止水部材との名称を用いているが、「止水部材」は、その名称の水に限らず、様々な液体あるいは固体の進入を阻止できる機能まで含む部材を意味する。すなわち、止水部材は、防水性(防滴性、防液性)や防塵性を備えている部材であり、止水部材を用いて筐体の開口部を蓋体で覆うことにより、端子等を形成した開口部に液体や異物等が進入して、例えば端子が電気的にショートを起こしてしまうことを防ぐことができる。
【0022】
端子13は、第1の筐体1の側面1bに形成された開口部内に配され、ノートパソコンと外部の他の電子機器等とを接続するため、ケーブルの先端にはコネクタを備え、このコネクタが他の電子機器等に接続される。端子13は、例えば、USB(Universal Serial Bus)ケーブルなど、接続されるケーブルの先端に設けられているコネクタの仕様に基づいてその形状や止水部材12における端子13の配置位置に備える貫通孔の形状が変化する。なお、本開示で説明する端子については、電極接点の配置や樹脂製の仕切り枠などの詳細な構成については説明を省略している。
【0023】
凹部14は、蓋体11が閉蓋状態のとき、第1の筐体1の開口部内において、端子13を挟んで固着部11gに対向する位置に形成されている。凹部14は、蓋体11を閉蓋位置へ変位させた状態でスライド部11bをスライドさせることにより、突起部11cを嵌入または離脱可能である。このため、凹部14は、第1の筐体1の側面1bに端子部10として形成した開口部を構成する第1の筐体1の壁部に備えている。なお、本実施の形態における蓋体11は、図2に示すように固着部11gは開口部の下側で蓋部11aを固着し、スライド部11bが上下方向にスライドするため、凹部14は、開口部の上側の壁部に上方に向かって、突起部11cが嵌入または離脱するように形成されている。なお、この凹部14の形成方向は本実施の形態に限定されることはなく、スライド部材11bのスライド方向と同一であれば、左または右のいずれか側や下側とすることができる。また、凹部14および突起部11cは、本実施の形態ではそれぞれ一つずつとしたが、複数備えてもよい。また、突起部11cは、本実施の形態ではスライド部11bの先端側の辺の中央に配置したが、中央以外の箇所に配置してもよい。この場合には、突起部11cの配置箇所に対応した位置に、凹部14を形成することになる。さらに、凹部14および第1の突起部11cの幅、すなわち、スライド部11bの先端側の辺の延在方向における長さは、図2に示す長さに限らず、例えば突起部11cの幅長さをスライド部11bの先端側の辺の幅長さとほぼ同じとし、それに合わせて凹部14の幅長さを長くしてもよい。
【0024】
以下、蓋体11の開閉動作について説明する。
【0025】
図3は、蓋体11が第1の筐体1の開口部を開蓋した開蓋位置にある状態を示す断面図である。図4は、蓋体11が第1の筐体1の開口部を閉蓋した閉蓋位置にある状態を示す断面図である。図5は、蓋体11が閉蓋位置においてロックした状態の断面図である。
【0026】
まず、図3に示すように蓋体11が開蓋位置にある状態から、蓋体11を閉蓋位置へ変位させる際は、スライド部材11bを矢印Dとして示すように、突起部11cを凹部14から退避した退避位置に変位させる。蓋体11を開蓋位置から閉蓋位置へ変位させる際、スライド部材11bを退避位置へ変位させておかないと、突起部11cが第1の筐体1などに接触し、閉蓋状態へ移行できない可能性がある。
【0027】
ここで、スライド部材11bは、図3に示す退避位置と、図5に示す突起部11cが凹部14の方向に突出した突出位置との間をスライド可能である。スライド部材11bは、蓋部11aに対向する面に規制凸部11iを備えている。また、蓋部11aは、スライド部材11bに対向する面に第1の規制凹部11jと第2の規制凹部11kとを備えている。規制凸部11iは、スライド部材11bの突起部11cが図3に示す退避位置にあるとき、第1の規制凹部11jに嵌合し、スライド部材11bの位置規制を行っている。また、規制凸部11iは、スライド部材11bの突起部11cが突出位置(図5)にあるとき、第2の規制凹部11kに嵌合し、スライド部材11bの位置規制を行っている。
【0028】
次に、蓋体11を矢印Eに示す方向へ変位させて開口部に対し蓋体11を閉蓋した閉蓋位置に配置する。蓋体11は、固着部11gの支持部11hに支持されながら矢印Eに示す方向へ回動変位する。なお、図3に詳細を示すように、固着部11gは、第1の筐体1の底面に例えばネジ止めなどによって固着されている。蓋部11aと固着部11gとを支持する支持部11hは、蓋体11が図3における矢印E方向、および、図4に示した矢印F方向にスムーズに回動動作できるように、本実施の形態では薄肉に形成した。なお、蓋部11aと固着部11gとは、例えば回動軸による支持など他の形態であっても適用できる。
【0029】
図4に示す閉蓋位置では、蓋体11の蓋部11aに形成されたリブ11dが、止水部材12に当接する。なお、リブ11dが止水部材12に当接する位置まで蓋体11を変位させる構成ではあるが、本実施の形態の止水部材12は弾性を有するため、閉蓋位置に置かれた状態では、蓋体11のリブ11dが止水部材12を押圧して変形するように、止水部材12の厚みを設定した。このようにすることで、止水部材12が、閉蓋位置に置かれた蓋体11のリブ11dを包合する構成となり、リブ11dと止水部材12との密着性が高まり、防水の確実性を向上することができる。すなわち、リブ11dと止水部材12とは、当接面が相互に密着する状態となることで防水の効果を発揮できるが、止水部材12におけるリブ11dの当接面に微小な凹凸が存在する場合や、閉蓋位置に置かれた状態でリブ11dもしくは止水部材12の表面に変形が生じた場合には、リブ11dと止水部材12との間に微小な隙間が生じ、その隙間を介して端子13側へ液体が進入する可能性がある。本実施の形態では、止水部材12が復元性を備えた弾性を有する材料で形成され、蓋体11を閉蓋位置に変位させた際にリブ11dが止水部材12を押圧して変形させる構成としたことで、防水の確実性を高めることができる。
【0030】
図4に示した閉蓋位置に置かれた状態で、蓋体11のスライド部11bを図中矢印Cの方向にスライドさせることで、突起部11cが凹部14に嵌入し、図5のロック状態とすることができる。すなわち、図5に示すように、スライド部材11bを矢印C方向へ変位させ、突起部11cを凹部14に嵌入させる。このとき、スライド部材11bは、規制凸部11iが第2の規制凹部11kに嵌合することで、ロック状態で位置決めされ、蓋体11に衝撃が加わって不所望に開蓋位置に変位してしまうことを防止できる。また、止水部材12を押圧変形したリブ11dは止水部材12を押圧変形させているため、スライド部材11bを矢印C方向に変位させる際、蓋部11aとスライド部材11bとがスライドするだけであり、リブ11dと止水部材12との止水性を損なうことはない。
【0031】
図5に示すロック位置から開蓋位置へ変位させる際は、まずスライド部材11bを矢印Dに示す方向へ変位させ、規制凸部11iを、第2の規制凹部11kから離脱させて第1の規制凹部11jに嵌合させ、図4に示した閉蓋位置に蓋体11を戻す。この閉蓋位置から、図4に示す矢印Fの方向へ蓋体11を回動させることで、図3に示す開蓋位置へ変位させることができる。
【0032】
次に、図3から図5を用いて説明した蓋体11の開閉動作時に、スライド部11bの側面に形成された一対の係合片11fと、第1の筐体1に設けられた固着突起16との係合状態について、図6から図8の斜視図を用いて説明する。すなわち、図6は、図3に示した蓋体11が開蓋位置の斜視図、図7は、図4に示した蓋体11が閉蓋位置の斜視図、そして、図8は、図5に示した蓋体11が閉蓋位置でロック状態の斜視図である。
【0033】
図6では、蓋体11が、第1の筐体1の側面1bに対して、垂直な状態以上に開蓋している様子を示している。端子13として例えばUSBコネクタを備えたケーブルを接続する場合に、蓋体11と第1の筐体1の側面1bとの内角は、垂直もしくはそれ以上の角度まで開くことができる構成することで、蓋体11を完全に側面1bから開くことができ、端子13の接続状態が外側から確認することができる。
【0034】
図6に示した状態から、図中矢印Eとして示す方向に蓋体11を回動させることで、蓋体11を閉蓋位置とすることができる。
【0035】
図7に示す閉蓋位置では、蓋体11が第1の筐体1の側面1bに配置された止水部材12に当接している。このとき、スライド部11bの一対の側面それぞれに形成された切り欠き部11eに、止水部材12に設けられた一対の開口15から突出する一対の固着突起16の先端部が入り込む。固着突起16における一方の端部の先端部は鈎状に曲げられて形成され、他方の端部は第1の筐体1の側面1bにおける開口部の底面と一体に成形されている。また、固着突起16の先端部は鈎状に曲がっているため、切り欠き部11eは、固着突起16の鈎状の先端部が入り込むことができるように幅広く形成されている。
【0036】
スライド部11bを図中矢印Cで示す方向にスライドさせることで、蓋体11は、図7に示す状態から図8に示すロック状態となる。このようにロック状態は、スライド部11bがスライドし、スライド部11bの先端部に形成された突起部11cが第1の筐体1に設けられた凹部14に嵌入されると同時に、スライド部11bの一対の側面それぞれに形成された係合片11fと一対の固着突起16の先端部分とが係合する。上述したように、凹部14および一対の固着突起16は、第1の筐体1に対して一体的に形成されている。このため、スライド部11bに備える一対の係合片11fおよび突起部11cに対して係合することにより、蓋体11は第1の筐体1に対してロック状態になる。
【0037】
つまり、ノートパソコンの端子部10における蓋体11は、第1の筐体1に固着されている一端部である固着部11gを除く三方向、すなわち、蓋体11の先端部に備える突起部11cと、左右両方の側面に備える一対の係合片11fとで、スライド部11bが蓋部11aをスライドすることで、それぞれ第1の筐体1と嵌合して保持されるロック状態となる。蓋体11が、固着部11gを除く三方向で先端部分および両側面において筐体と係合することで、蓋体11の全体において、止水部材12に対して押圧力が作用する。このため、蓋体11の蓋部11aに形成され矩形枠状のリブ11dは、その全面でほぼ均等な力で止水部材12に対して密着することになる。したがって、蓋体11は、リブ11dによる圧縮変形に対する止水部材12の復元力に抗して安定するため、ロック状態での防水性、防塵性を高めることができる。
【0038】
以上の実施の形態として説明した端子部10は、一つの端子13を備えた構成としているが、複数の端子を備える構成としてもよい。
【0039】
図9は、端子部の数がことなる他の形態を示す斜視図である。
【0040】
図9に示すように、第1の筐体1の側面1bに備える端子部10’は、第1の端子24、第2の端子25、第3の端子26の3つの端子を備えている。第1の蓋体21は、第1の端子24を覆うように配置されている。第2の蓋体22は、第2の端子25を覆うように配置されている。第3の蓋体23は、第3の端子26を覆うように配されている。第1乃至第3の3つの蓋体21、22、23は、それぞれ第1の筐体1に、それぞれが独立して回動自在に固着されている。なお、第1の蓋体21、第2の蓋体22および第3の蓋体23それぞれの構成は、図2に示した蓋体11と同様であるため詳細の説明は省略する。
【0041】
止水部材27は、第1の筐体1の側面1bにおける第1の端子24、第2の端子25および第3の端子26の周囲を囲むように配されている。そして止水部材27は、第1の端子24、第2の端子25および第3の端子26が形成されている位置に貫通孔が設けられている。このようにすることで、一つの止水部材27で、3つの第1乃至第3それぞれの端子24、25、26に液体が入り込むことを止めることができる。なお、止水部材27の構成や材料は、図2に示す止水部材12と同様であるため詳しい説明は省略する。
【0042】
また、止水部材27は、4つの開口28(28a、28b、28c、28d)が設けられ、それぞれの開口28から4つの固着突起29(29a、29b、29c、29d)が突出して配置されている。そして、これら4つの固着突起29a、29b、29c、29dは、蓋体21、22、23それぞれのスライド部21b、22b、23bの両側面それぞれに一対ずつ配置された6つの係合片21f、21f、22f、22f、23f、23fと係合する。すなわち、蓋体21のスライド部21bの両側面には一対の係合片21fを備え、蓋体22のスライド部22bの両端面には一対の係合片22fを備え、蓋体23のスライド部23bの両端面には一対の係合片23fが係合する。また、蓋体21、22、23それぞれのスライド部21b、22b、23bの先端部に形成された突起部21c、22c、23cが、第1の筐体1の側面1bに形成された凹部31、32、33にそれぞれ嵌入されて、蓋体21、22、23をロックする。
【0043】
この第1の蓋体21の突起部21cが凹部31に嵌入するとき、第1の蓋体21のスライド部21bに備える係合片21f(図9で図示した方)が1番目の固着突起29aと、第1の蓋体21のスライド部21bに備える係合片21f(図9では隠れているため不図示)が2番目の固着突起29bと係合する。また、第2の蓋体22の突起部22cが凹部32に嵌入するとき、第2の蓋体22のスライド部22bに備える係合片22f(図9で図示した方)が2番目の固着突起29bと、第2蓋体22のスライド部22bに備える係合片22f(図9では隠れているため不図示)が3番目の固着突起29cと係合する。また、第3の蓋体23の突起部23cが凹部33に嵌入するとき、第3の蓋体23のスライド部23bに備える係合片23f(図9で図示した方)が3番目の固着突起29cと、第3の蓋体23のスライド部23bに備える係合片23f(図9では隠れているため不図示)が4番目の固着突起29dと係合する。なお、4つの固着突起29(29a、29b、29c、29d)それぞれは、固着突起16と同様に、3つのスライド部材21b、22bおよび23bに備える6つの係合片21f、22fおよび23fと係合する一方の先端部が鈎状に曲げられ、他方の端部が第1の筐体1の側面1bにおける開口部の底面と一体に形成されている。したがって、3つの蓋体21、22および23は、それぞれが備えるスライド部21b、22bおよび23bがスライドすることで、相独立して第1の筐体1にロックされる。
【0044】
また、第1の筐体1の側面1bにおける開口部に配置された4つの固着突起29の内、中間部分に配置された2つの固着突起29bと29cとは、左右両側に配置された2つの蓋体21と蓋体22、蓋体22と蓋体23をそれぞれロックする。この構成で、止水部材27に形成する開口部28と、開口部28から突出して形成される固着突起29の数を減らすことができる。止水部材27の開口部28の個数を減らすことで、外部からの水が侵入する可能性を低減することができる。また、固着突起29の数を減らし、一つの固着突起29(固着突起29bと29c)が両側の蓋体をロックできるようにすることで、端子24、25、26の配置間隔を小さくすることができるため、端子部10’全体の大きさを小さくすることができる。
【0045】
なお、中間部分に配置された固着突起29bと29cとが、両側に配置された蓋体(固着突起29bは蓋体21および蓋体22、固着突起29cは蓋体22および蓋体23)をロックする点を除いて、図9に示す端子部10’における蓋体21、22、23の回動動作、端子24、25、26の止水構造については、図2および図3から図8を参照して説明した端子部10のものと同様であるため、詳しい説明は省略する。
【0046】
図9に示すように、端子の数が21乃至23と複数になったとしても、一つの止水部材27で全ての端子21乃至23の止水を行うことができる。したがって、端子毎に独立して止水部材をそれぞれ備える構成に比べ、端子それぞれの大きさを小さくすることと、複数の端子の配列密度を高めることができるとともに、部品点数を削減し、コストダウンを図ることができる。また、第1の筐体1の組立時に、止水部材27を第1の筐体1に接着する工程では、1つの止水部材27を接着するだけの作業となるため、工数を削減することができる。
【0047】
なお、止水部材27を蓋体21乃至23に備える構成とすることも考えられるが、その場合には、止水部材を弾性変形するリブを第1の筐体1の開口部側へ備えることとなる。この構成では、端子の周囲に形成すべきリブの開口面積を、少なくとも端子に接続された状態のコネクタの外形よりも大きく形成する必要がある。これに対し、本実施の形態では、止水部材27を第1の筐体1における側面1bの開口部に配置し、リブを第1の蓋部21a、第2の蓋部22aおよび第3の蓋部23a側に形成した。この構成により、リブの大きさは端子24乃至26の周囲の止水部材27に当接できる大きさとして十分であり、端子24乃至26に固着されるコネクタの大きさを考慮しなくてもよいため、蓋体21乃至23の面積、および端子24乃至26と配列する端子部全体の小型化を実現することができる。
【0048】
なお、本実施の形態では、止水部材12、27を、シリコーン発泡体で形成したが、少なくとも復元性を備える弾性を有し、液体の進入を防ぐことができる材料であればよい。止水部材12、27は、止水性または防水性を確保するために、一体材料で形成することが好ましい。止水部材12、27は、弾性を持たせるために、シリコーンゴム、ニトリルゴム等を用いてもよい。
【0049】
また、本実施の形態では、電子機器の一例としてノートパソコンを挙げたが、少なくとも筐体に形成された開口部と、この開口部を覆う蓋体を備えた機器であればよい。例えば、携帯電話端末、携帯型ゲーム機、デジタルカメラ、その他ポータブルナビゲーションその他の電子機器に搭載される各種端子に適用可能である。また、開口部に端子が形成された端子部を覆う蓋体に限られず、携帯機器の電源として使用される電池を収納可能な電池収納部の蓋体にも適用可能である。
【0050】
なお上記のように、本実施の形態では、シリコーン発泡体で形成された止水部材を備える構成としたが、シリコーン発泡体は一般的に外部からの衝撃に対する耐性はそれほど高くはない。したがって、例えば端子にコネクタを装着する際、使用者が誤ってコネクタの先端部を端子近傍の止水部材に当接させてしまった場合に、止水部材が損傷を受けてしまう可能性がある。特に、USBケーブルのコネクタなどのように、金属製または鋭い先端部形状を有するコネクタであれば、止水部材が損傷を受ける可能性は高くなる。そこで、図10に端子部10”として示すように、止水部材12の表面(閉蓋時に蓋体11に対向する面)に保護膜34を設ける構成とすることもできる。保護膜34は、外部から衝撃が加わったとしても損傷を受けにくい軟質樹脂で形成することができる。保護膜34の厚さは、保護膜34自体の強度と、第1の筐体1と蓋体11との間隙を考慮して例えば0.5mmとすることができる。
【0051】
また、図9に示す構成では、第1の筐体1における1つの面である側面1bに、複数の端子24、25、26を備える構成としたが、第1の筐体1における複数の面に備わる複数の端子についても、本実施の形態のように1つの止水部材で止水することができる。
【0052】
また、蓋部11aまたはスライド部11bは、可撓性を有する材料で形成することができる。すなわち、スライド部11bが図2に示す矢印CまたはDに示す方向へ変位する際に、規制凸部11iが第1の規制凹部11jと第2の規制凹部11kとの間の隆起部分に乗り上げる。このとき、蓋部11aまたはスライド部11bが可撓性を有する材料で形成されていることにより、第1の規制凹部11jと第2の規制凹部11kとの間の隆起部分、または規制凸部11iが撓むため、スライド部11bを矢印CまたはDに示す方向へスムーズに変位させることができる。蓋部11aまたはスライド部11bは、例えばエラストマー樹脂、ことに弾性変形するエラストマー樹脂(例えば、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ニトリルゴム、シリコーンゴム等)で、弾性を有する材料で形成することができる。また、蓋部11aが可撓性を有する材料で形成されていることにより、蓋部11aと一体化されている固着部11gも可撓性を有することになる。固着部11gが可撓性を有することにより、蓋体11を繰り返し開閉動作させても、固着部11gが疲労により損傷を受けることを軽減することができる。
【0053】
なお、蓋体11を構成する蓋部11aとスライド部11bとの具体的な構成は、図2乃至図8に図示したものに限られない。蓋部11aに対してスライド部11bが変位し、所定の規制位置で位置規制される構成について、例えば蓋部側に規制凸部が配置され、スライド部側に規制凹部が形成されてもよいし、双方に形成された対向する側に斜面を有する一対の規制凸部を設けることもできる。さらに、固着部以外の三方向において筐体と嵌合する蓋体の構成にしても、上記の実施の形態に限定されず同様の効果が得られる。例えば、固着部が配置されている側とは反対側の蓋体の先端部に嵌合凹部が形成され、筐体に凸部が形成されていてもよい。また、側面の嵌合部材の形状や配置位置も、上記説明した例に限られない。
【0054】
以上のように、本開示における技術の例示として、実施の形態を説明した。そのために、添付図面および詳細な説明を提供した。
【0055】
したがって、添付図面および詳細な説明に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須な構成要素だけでなく、上記技術を例示するために、課題解決のためには必須でない構成要素も含まれ得る。そのため、それらの必須ではない構成要素が添付図面や詳細な説明に記載されていることをもって、直ちに、それらの必須ではない構成要素が必須であるとの認定をするべきではない。
【0056】
また、上述の実施の形態は、本開示における技術を例示するためのものであるから、特許請求の範囲またはその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略などを行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明の電子機器は、筐体に形成された開口部を覆う蓋体を備えた各種の機器に有用であり、例えば携帯電話端末、携帯型ゲーム機、デジタルカメラ、その他ポータブルナビゲーションその他の電子機器に搭載される各種端子等に適用することができる。さらに、開口部に端子が形成された端子部を覆う蓋体に限られず、例えば携帯機器の電源として使用される電池を収納可能な電池収納部の蓋体等にも適用することができる。
【符号の説明】
【0058】
1 第1の筐体(筐体)
10 端子部
11 蓋体
11g 固着部(一端部)
12 止水部材
13 端子(開口部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体に形成された開口部を覆う蓋体と、
前記筐体の前記開口部の周囲に配された止水部材とを備え、
前記蓋体は、一端部が前記筐体に回動可能に固着されているとともに、前記一端部を除く三方向で前記筐体と係合して、前記止水部材に対して押圧された状態で保持されることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記蓋体が、一端部が前記筐体に固着されるとともに前記止水部材と当接する蓋部と、前記蓋部に対して前記一端部から遠ざかる方向および前記一端部に近づく方向に変位可能なスライド部とを有し、前記スライド部が前記一端部から遠ざかる方向に変位して、前記三方向で前記筐体と係合する請求項1記載の電子機器。
【請求項3】
前記筐体に複数の前記開口部が形成され、それぞれの前記開口部を覆う複数の蓋体が配置されていて、前記筐体に形成された一つの筐体側係合部と、当該係合部を挟んで配置された2つの前記蓋体の蓋体側係合部が係合される請求項1または2に記載の電子機器。
【請求項4】
複数の前記開口部の周囲に配置された止水部材が一体化されている請求項3に記載の電子機器。
【請求項5】
前記開口部に、コネクタが接続される端子が配置されている請求項1〜4のいずれかに記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−62234(P2013−62234A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−164832(P2012−164832)
【出願日】平成24年7月25日(2012.7.25)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】