説明

電子機器

【課題】省エネモードに設定された場合に、消費電力を低減させる電子機器を提供する。
【解決手段】電子機器は、直流電圧を出力する低圧電源110と、低圧電源110から出力された直流電圧を異なる電圧値に変換して出力するDC/DCコンバーター111と、DC/DCコンバーター111から出力された直流電圧によって動作する複数のデバイス112と、省エネモードに設定された場合に、省エネモード時に動作する1又は複数のデバイス112の最低動作電圧のうち最大の電圧値と同じ電圧値の直流電圧を出力するようDC/DCコンバーター111を制御すると共に、DC/DCコンバーター111から出力される最低動作電圧のうち最大の電圧値と同じ電圧値の直流電圧を得る際に、DC/DCコンバーター111でのエネルギー損失が相対的に低い電圧値の直流電圧を出力するよう低圧電源110を制御する省エネCPU91と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消費電力を低減させる省エネモードに設定することが可能な電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
複合機及びプリンター(画像形成装置)等の電子機器には、交流電圧を直流電圧に変換した後、DC/DCコンバーターによって入力された直流電圧を電圧値の異なる直流電圧に変換して、各部(各機能)に対して出力するものがある。そして、画像形成装置には、用紙に画像を形成する等の通常の動作を行う通常モードから消費電力を低減させる省エネモードに移行された場合に、DC/DCコンバーターの出力を省エネモードでも動作する各部(各機能)の動作電圧(電源仕様)の下限値に設定するものがある(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−34520号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された電子機器では、DC/DCコンバーターの出力を各部(機能)の動作電圧の下限値に設定した場合に、DC/DCコンバーターの入力電圧と出力電圧との電圧差が大きくなり、DC/DCコンバーターの効率が悪くなるおそれがある。そして、DC/DCコンバーターの効率が悪くなった場合には、消費電力は却って増加してしまう。
【0005】
本発明は、省エネモードに設定された場合に、消費電力を低減させる電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、直流電圧を出力する電源と、前記電源から出力された直流電圧を異なる電圧値に変換して出力するコンバーターと、前記コンバーターから出力された直流電圧によって動作する複数のデバイスと、消費電力を削減するための省エネモードに設定された場合に、省エネモード時に動作する1又は複数のデバイスの最低動作電圧のうち最大の電圧値と同じ電圧値の直流電圧を出力するよう前記コンバーターを制御すると共に、前記コンバーターから出力される前記最低動作電圧のうち前記最大の電圧値と同じ電圧値の直流電圧を得る際に、前記コンバーターでのエネルギー損失が相対的に低い電圧値の直流電圧を出力するよう前記電源を制御する制御部と、を備える電子機器に関する。
【0007】
また、前記省エネモードは、複数の設定があり、前記制御部は、複数の省エネモードのうちいずれかに設定された場合に、設定された省エネモードの場合に動作する1又は複数のデバイスの最低動作電圧のうち最大の電圧値の同じ電圧値の直流電圧を出力するよう前記コンバーターを制御することが好ましい。
【0008】
また、電子機器は、各省エネモードと、省エネモードに設定された場合に動作する1又は複数のデバイスの最低動作電圧のうち最大の電圧値とをそれぞれ関係付けた最低動作電圧データ、及び、各省エネモードと、省エネモードに設定された場合に前記電源から出力され、前記コンバーターでのエネルギー損失が低い直流電圧の電圧値とをそれぞれ関係付けた出力電圧データを記憶する記憶部をさらに備え、前記制御部は、複数の省エネモードのいずれかに設定された場合に、前記記憶部に記憶された前記最低動作電圧データに基づいて、設定された省エネモードに対応する最低動作電圧のうちの最大の電圧値を特定し、特定した最大の電圧値と同じ電圧値の直流電圧を出力するよう前記コンバーターを制御すると共に、前記記憶部に記憶された前記出力電圧データに基づいて、設定された省エネモードに対応する直流電圧の電圧値を特定し、特定した直流電圧の電圧値を出力するよう前記電源を制御することが好ましい。
【0009】
また、電子機器は、前記複数のデバイスそれぞれの前段に配置された電力遮断部をさらに備え、前記記憶部は、前記複数の省エネモードと、各省エネモードが設定される場合に電力の供給が停止されるデバイスとをそれぞれ関係付けた停止デバイスデータをさらに記憶し、前記制御部は、複数の省エネモードのいずれかに設定された場合に、前記記憶部に記憶された前記停止デバイスデータに基づいて電力の供給が停止されるデバイスを特定し、特定したデバイスに対して電力の供給を遮断するよう特定したデバイスの前段に配置される前記電力遮断部を制御することが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、省エネモードに設定された場合に、消費電力を低減させる電子機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の電子機器の一実施形態に係る複合機の全体構成を説明するための図である。
【図2】複合機の機能構成を示すブロック図である。
【図3】複合機の特徴部分について説明するためのブロック図である。
【図4】各デバイスの動作電圧範囲の一例を示す図である。
【図5】省エネモード1〜3の場合に、動作するデバイス及び非動作となるデバイスの一例を示す図である。
【図6】複合機の動作について説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明の電子機器の一実施形態について説明する。電子機器には、例えば、複合機、コピー機及びプリンター等の画像形成装置が挙げられる。このため、以下の実施形態では、本発明の電子機器が複合機に適用された例について説明する。まず、複合機1の全体構成について説明する。図1は、本発明の電子機器の一実施形態に係る複合機1の全体構成を説明するための図である。
【0013】
図1に示すように、本実施形態の複合機1は、原稿搬送部10と、原稿読取部20と、用紙搬送部30と、画像形成部40と、転写部50と、定着部60とを備える。
原稿搬送部10は、ADF(Automatic Document Feeder)であり、原稿載置部11と、第1送りローラー12と、ガイド13と、タイミングローラー対14と、原稿排出部15とを備える。第1送りローラー12は、原稿載置部11に載置された原稿Gを1枚ずつ順にタイミングローラー対14に供給する。タイミングローラー対14は、原稿読取部20が原稿Gの画像を読み取るタイミングと、原稿Gの画像が原稿読取部20によって読み取られる位置(ガイド13が配置されている位置)に原稿Gを供給するタイミングとを合わせるために、原稿Gの搬送又は原稿Gの搬送停止を行う。ガイド13は、搬送された原稿Gを後述する第1読取面21aに導く。原稿排出部15は、原稿読取部20によって画像が読み取られた(ガイド13を通過した)原稿Gを複合機本体2の外部に排出する。
原稿排出部15における複合機本体2の外側には、原稿集積部16が形成される。原稿集積部16には、原稿排出部15から排出された原稿Gが積層して集積される。
【0014】
原稿読取部20は、第1読取面21aと、第2読取面22aとを備える。第1読取面21aは、ガイド13に対向して配置された第1コンタクトガラス21の上面に沿って形成され、原稿Gの画像を読み取る面となる。第2読取面22aは、第1読取面21aに隣接して(図1に示す場合では、第1読取面21aの右側の大部分に亘って)配置される。第2読取面22aは、原稿搬送部10を用いずに原稿Gの画像を読み取る場合に用いられる。第2読取面22aは、原稿Gが載置される第2コンタクトガラス22の上面に沿って形成され、原稿Gの画像を読み取る面となる。
【0015】
また、原稿読取部20は、照明部23と、第1ミラー24と、第2ミラー25と、第3ミラー26と、結像レンズ27と、撮像部28とを複合機本体2の内部に備える。照明部23と第1ミラー24とは、それぞれ副走査方向Xに移動する。第2ミラー25と第3ミラー26とは、図1において照明部23及び第1ミラー24の左側に配置される。さらに、第2ミラー25及び第3ミラー26は、第1ミラー24と、第2ミラー25と、第3ミラー26と、結像レンズ27とを介した第1読取面21a又は第2読取面22aから撮像部28までの距離(光路長)を一定に保ちつつ、それぞれ副走査方向Xに移動する。
【0016】
照明部23は、原稿Gに光を照射する光源である。第1ミラー24、第2ミラー25及び第3ミラー26は、光路長を一定に保ちつつ、原稿Gによって反射された光を結像レンズ27に導くためのミラーである。結像レンズ27は、第3ミラー26から入射した光を撮像部28に結像させる。撮像部28は、入射された光を電気信号に変換することにより、結像された光像に基づいて画像データを得るための撮像素子であり、例えば、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等のイメージセンサーである。
【0017】
用紙搬送部30は、第2送りローラー31と、第3送りローラー32と、レジストローラー対33と、用紙排出部34とを備える。第2送りローラー31は、給紙カセット36に収容される用紙T(被画像形成媒体)を転写部50に供給する。第3送りローラー32は、手差しトレイ37に載置される用紙T(被画像形成媒体)を転写部50に供給する。レジストローラー対33は、転写部50にトナー画像が到達するタイミングと、転写部50に用紙Tを供給するタイミングとを合わせるために、用紙Tの搬送又は用紙Tの搬送停止を行う。また、レジストローラー対33は、用紙Tのスキュー(斜め給紙)補正を行う。用紙排出部34は、トナー画像が定着された用紙Tを複合機本体2の外部に排出する。
用紙排出部34における複合機本体2の外側には、排紙集積部35が形成される。排紙集積部35には、用紙排出部34から排出された用紙Tが積層して集積される。
【0018】
画像形成部40は、トナー画像を形成するためのものであり、感光体ドラム41と、帯電部42と、レーザースキャナーユニット43と、現像器44と、クリーニング部45と、トナーカートリッジ46と、1次転写ローラー47と、中間転写ベルト48と、対向ローラー49とを備える。
感光体ドラム41(41a,41b,41c,41d)は、ブラック、シアン、マゼンタ及びイエローそれぞれのトナー画像を形成するために、感光体又は像担持体として機能する。各感光体ドラム41a,41b,41c,41dの周囲には、感光体ドラム41の回転方向に沿って上流側から下流側へ順に、帯電部42と、レーザースキャナーユニット43と、現像器44と、クリーニング部45とが配置される。帯電部42は、感光体ドラム41の表面を帯電させる。レーザースキャナーユニット43は、感光体ドラム41の表面から離れて配置され、原稿読取部20によって読み取られた原稿Gに関する画像データに基づいて感光体ドラム41の表面を走査露光する。これにより、感光体ドラム41の表面には、露光された部分の電荷が除去されて静電潜像が形成される。現像器44は、感光体ドラム41の表面に形成された静電潜像にトナーを付着させてトナー画像を形成する。クリーニング部45は、除電器(図示せず)によって感光体ドラム41の表面が除電された後のその表面に残るトナー等を除去する。
トナーカートリッジ46は、現像器44に供給される各色のトナーを収容する。トナーカートリッジ46と現像器44とは、トナー供給路(図示せず)により接続されている。
【0019】
1次転写ローラー47(47a,47b,47c,47d)は、中間転写ベルト48における各感光体ドラム41a,41b,41c,41dとは反対側にそれぞれ配置される。中間転写ベルト48は、画像形成部40及び転写部50を通過するベルトである。中間転写ベルト48の一部分は、各感光体ドラム41a,41b,41c,41dと各1次転写ローラー47a,47b,47c,47dとの間に挟み込まれ、各感光体ドラム41a,41b,41c,41dの表面に形成されたトナー画像が1次転写される。対向ローラー49は、環状形状の中間転写ベルト48の内側に配置され、中間転写ベルト48を図1に示す矢印A方向に進行させるための駆動ローラーである。
【0020】
転写部50は、2次転写ローラー51を備える。2次転写ローラー51は、中間転写ベルト48に関して対向ローラー49とは反対側に配置され、中間転写ベルト48の一部分を対向ローラー49との間に挟みこむ。さらに、2次転写ローラー51は、中間転写ベルト48に1次転写されたトナー画像を用紙Tに2次転写させる。
【0021】
定着部60は、加熱回転体61と、加圧回転体62とを備える。加熱回転体61と加圧回転体62とは、トナー画像が2次転写された用紙Tを挟み込んで、トナーを溶融及び加圧し、そのトナーを用紙Tに定着させる。
【0022】
次に、複合機1の機能構成について説明する。図2は、複合機1の機能構成を示すブロック図である。
複合機1は、上述した構成要素(原稿搬送部10、原稿読取部20、用紙搬送部30、画像形成部40、転写部50及び定着部60)を備える。用紙搬送部30、画像形成部40、転写部50及び定着部60によりエンジン部3が構成される。なお、図1を用いて説明した構成要素については、その説明を省略する。
さらに、複合機1は、上述した機能構成に加えて、操作部70と、記憶部80と、通信部100と、制御部90とを備える。
【0023】
操作部70は、テンキー(図示せず)、タッチパネル(図示せず)及びスタートキー(図示せず)等を備える。テンキーは、印刷部数等の数字を入力するために操作される。タッチパネルは、種々の機能(一例として、印刷倍率の設定機能や、複数のページを1枚の用紙Tに割り付ける機能(2in1等))が割り当てられた複数のキー等を表示する。タッチパネルに表示されたキーは、種々の機能のうちのいずれかを複合機1に実行させるために操作される。スタートキーは、印刷を実行させるために操作される。操作部70は、いずれかのキーが操作されることにより、このキーが操作されたことを表す信号を制御部90に供給する。
【0024】
記憶部80は、ハードディスクや半導体メモリー等から構成される。記憶部80は、原稿読取部20によって読み取られた原稿Gに基づく画像データを記憶する。また、記憶部80は、複合機1において利用される制御プログラム、及びこの制御プログラムによって利用されるデータ等を記憶する。
【0025】
通信部100は、通信回線(図示せず)等に接続され、ファクシミリ等の通信を行う。
制御部90は、原稿搬送部10、原稿読取部20、エンジン部3、操作部70等を制御する。
【0026】
以下、図面を参照して、本実施形態に係る複合機1の特徴部分の構成について説明する。図3は、複合機1の特徴部分について説明するためのブロック図である。図4は、各デバイス112(各デバイス112に配置されるASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の回路)の動作電圧範囲の一例を示す図である。
複合機1は、低圧電源110(本発明の「電源」に対応する)と、DC/DCコンバーター111(本発明の「コンバーター」に対応する)と、複数のデバイス112と、電力遮断部113と、省エネCPU91(Central Processing Unit)(本発明の「制御部」に対応する)と、記憶部80とを備える。
【0027】
低圧電源110は、直流電圧を出力する。低圧電源110は、後述する省エネCPU91の制御に基づいて、出力する直流電圧の電圧値を変化させることが可能である。
【0028】
DC/DCコンバーター111は、低圧電源110から出力された直流電圧を異なる電圧値に変換して出力する。すなわち、DC/DCコンバーター111は、入力された直流電圧の電圧値とは異なる電圧値の直流電圧を出力する。DC/DCコンバーター111は、後述する省エネCPU91の制御に基づいて、出力する直流電圧の電圧値を変化させることが可能である。なお、DC/DCコンバーター111は、入力された直流電圧の電圧値とは異なる電圧値に変換する際に、エネルギー(電力)の損失を生じる。DC/DCコンバーター111は、エネルギーの損失がより少ない方が、より効率が良くなる。
【0029】
デバイス112は、DC/DCコンバーター111から出力された直流電圧によって動作する。デバイス112は、例えば、原稿読取部20、エンジン部3、通信部100及び操作部70等である。
電力遮断部113は、複数のデバイス112それぞれの前段に配置される。電力遮断部113は、後述する省エネCPU91の制御に基づいて、DC/DCコンバーター111からデバイス112に供給される電力を遮断することが可能である。電力遮断部113は、例えば、スイッチ、バイポーラトランジスター及びユニポーラトランジスター等である。
【0030】
省エネCPU91は、上述した制御部90の一部を構成する。省エネCPU91は、消費電力を削減するための省エネモードに複合機本体2が設定された場合に、省エネモード時に動作する1又は複数のデバイス112の最低動作電圧のうち最大の電圧値と同じ電圧値の直流電圧を出力するようDC/DCコンバーター111を制御する。例えば、図4に示すように、省エネモード時に動作する4つのデバイス112(例えば、デバイス1、デバイス2、デバイス3及びデバイス4)が存在し、それらのデバイス112の最低動作電圧(動作電圧範囲のうちの最低の電圧)が1.5V(デバイス1)、1.6V(デバイス2)、1.7V(デバイス3)及び1.5V(デバイス4)の場合には、省エネCPU91は、DC/DCコンバーター111から1.7Vの直流電圧が出力されるようそのDC/DCコンバーター111を制御する。ここで、省エネCPU91は、DC/DCコンバーター111から上述した電圧値の直流電圧を出力させる場合、その電圧値が省エネモード時に動作する1又は複数のデバイス112の動作電圧範囲内になるようDC/DCコンバーター111を制御する。
【0031】
さらに、省エネCPU91は、複合機本体2が省エネモードに設定された場合に、DC/DCコンバーター111から出力される最低動作電圧のうち最大の電圧値と同じ電圧値の直流電圧を得る際に、DC/DCコンバーター111でのエネルギー損失が相対的に低い電圧値の直流電圧を出力するよう低圧電源110を制御する。すなわち、省エネCPU91は、DC/DCコンバーター111でのエネルギー損失がより低くなるような直流電圧の電圧値を出力するよう低圧電源110を制御する。さらに換言すると、省エネCPU91は、省エネモードに設定された場合には、通常モードに設定された場合に低圧電源110から出力される直流電圧よりも低い電圧値の直流電圧を出力させて、DC/DCコンバーター111でのエネルギー損失がより低くなるように、低圧電源110を制御する。
【0032】
例えば、DC/DCコンバーター111から1.7Vの直流電圧が出力される場合には、省エネCPU91は、DC/DCコンバーター111においてエネルギー損失がより低くなる電圧値の直流電圧を出力するよう低圧電源110を制御する。なお、DC/DCコンバーター111から1.7Vの直流電圧が出力される場合、DC/DCコンバーター111の性能にもよるが、一例として、低圧電源110から5Vの直流電圧が出力される。低圧電源110から出力され、DC/DCコンバーター111でのエネルギー損失が低い直流電圧の電圧値は、予め実験等が行われることにより、DC/DCコンバーター111から出力される直流電圧の電圧値に対応して求められる。
【0033】
また、省エネモードは、複数の設定があることが好ましい。図5は、省エネモード1〜3の場合に、動作するデバイス112及び非動作となるデバイス112の一例を示す図である。図5に示すように、例えば、省エネモードは、3つあることが好ましい。省エネモード1が設定された場合には、電力遮断部113が制御されることにより、デバイス1(112)に電力が供給され(ON)、デバイス2〜4(112)に電力が供給されない(OFF)。また、省エネモード2が設定された場合には、電力遮断部113が制御されることにより、デバイス1,2(112)に電力が供給され(ON)、デバイス3,4(112)に電力が供給されない(OFF)。また、省エネモード3が設定された場合には、電力遮断部113が制御されることにより、デバイス1〜3(112)に電力が供給され(ON)、デバイス4(112)に電力が供給されない(OFF)。ここで、デバイス1(112)は、例えば、通信部100である。デバイス2(112)は、例えば、エンジン部3である。デバイス3(112)は、例えば、操作部70である。デバイス4(112)は、例えば、原稿読取部20である。なお、省エネモードの数は、3つに限定されることはない。
【0034】
複数の省エネモードのうちいずれかに設定された場合、省エネCPU91は、設定された省エネモードの場合に動作する1又は複数のデバイス112の最低動作電圧のうち最大の電圧値の同じ電圧値の直流電圧を出力するようDC/DCコンバーター111を制御する。図4に示すように、デバイス1(112)(デバイス1(112)に配置される回路)の動作電圧範囲は、例えば、1.5V〜2.1Vである。デバイス2(112)(デバイス2(112)に配置される回路)の動作電圧範囲は、例えば、1.6V〜2.0Vである。デバイス3(112)(デバイス3(112)に配置される回路)の動作電圧範囲は、例えば、1.7V〜1.9Vである。デバイス4(112)(デバイス4(112)に配置される回路)の動作電圧範囲は、例えば、1.5V〜1.9Vである。
【0035】
したがって、省エネモード1〜3のうち省エネモード1が設定された場合には、デバイス1(112)のみが動作するため、省エネCPU91は、デバイス1(112)の最低動作電圧(1.5V)と同じ電圧値の直流電圧を出力するようDC/DCコンバーター111を制御する。また、省エネモード2が設定された場合には、デバイス1,2(112)が動作するため、省エネCPU91は、デバイス1,2(112)それぞれの最低動作電圧のうち最大の電圧値(1.6V)と同じ電圧値の直流電圧を出力するようDC/DCコンバーター111を制御する。また、省エネモード3が設定された場合には、デバイス1〜3(112)が動作するため、省エネCPU91は、デバイス1〜3(112)の最低動作電圧のうち最大の電圧値(1.7V)と同じ電圧値の直流電圧を出力するようDC/DCコンバーター111を制御する。
【0036】
さらに、省エネCPU91は、複合機本体2が複数の省エネモードのいずれかに設定された場合に、設定された省エネモードに対応する電圧値の直流電圧であって、DC/DCコンバーター111でのエネルギー損失が相対的に低い電圧値の直流電圧を出力するよう低圧電源110を制御する。
【0037】
また、記憶部80には、最低動作電圧データと、出力電圧データとが記憶されることが好ましい。最低動作電圧データは、各省エネモードと、省エネモードに設定された場合に動作する1又は複数のデバイス112の最低動作電圧のうち最大の電圧値とをそれぞれ関係付けたデータである。例えば、最低動作電圧データは、省エネモード1とデバイス1(112)の最低動作電圧1.5Vとの関係付けたもの、省エネモード2とデバイス2(112)の最低動作電圧1.6Vとの関係付けたもの、省エネモード3とデバイス3(112)の最低動作電圧1.7Vとの関係付けたものである。
【0038】
出力電圧データは、各省エネモードと、省エネモードに設定された場合に低圧電源110から出力され、DC/DCコンバーター111でのエネルギー損失が低い直流電圧の電圧値とをそれぞれ関係付けたデータである。一例として、出力電圧データは、省エネモード1と、その省エネモード1に複合機本体2が設定された場合に、DC/DCコンバーター111においてエネルギーの損失がより低くなる、低圧電源110から出力される直流電圧の電圧値とを関係付けたものである。
【0039】
そして、記憶部80に最低動作電圧データと出力電圧データとが記憶される場合において、複数の省エネモードのいずれかに複合機本体2が設定されると、省エネCPU91は、記憶部80に記憶された最低動作電圧データに基づいて、設定された省エネモードに対応する最低動作電圧のうちの最大の電圧値を特定し、特定した最大の電圧値と同じ電圧値の直流電圧を出力するようDC/DCコンバーター111を制御する。一例として、省エネモード1が設定された場合には、省エネCPU91は、最低動作電圧データに基づいて最低動作電圧のうちの最大の電圧値として1.5Vを特定するため、1.5Vを出力するようDC/DCコンバーター111を制御する。
【0040】
さらに、記憶部80に最低動作電圧データと出力電圧データとが記憶される場合において、複数の省エネモードのいずれかに複合機本体2が設定されると、省エネCPU91は、記憶部80に記憶された出力電圧データに基づいて、設定された省エネモードに対応する直流電圧の電圧値を特定し、特定した直流電圧の電圧値を出力するよう低圧電源110を制御する。
【0041】
また、記憶部80は、複数の省エネモードと、各省エネモードが設定される場合に電力の供給が停止されるデバイス112とをそれぞれ関係付けた停止デバイスデータをさらに記憶することが好ましい。一例として、停止デバイスデータは、省エネモード1と、その省エネモード1が設定された場合に、電力の供給が停止されるデバイス2〜4(112)とを対応付けたものである。
【0042】
そして、記憶部80に停止デバイスデータが記憶される場合に、複数の省エネモードのいずれかに複合機本体2が設定されると、省エネCPU91は、記憶部80に記憶された停止デバイスデータに基づいて電力の供給が停止されるデバイス112を特定し、特定したデバイス112に対して電力の供給を遮断するよう特定したデバイス112の前段に配置される電力遮断部113を制御する。一例として、省エネモード1が設定された場合には、省エネCPU91は、停止デバイスデータに基づいて電力の供給が停止されるデバイス2〜4(112)を特定し、デバイス2〜4(112)それぞれの前段に電気的に接続される電力遮断部113を制御することにより、デバイス2〜4(112)への電力供給を停止させる。
【0043】
次に、本実施形態における複合機1の動作について説明する。図6は、複合機1の動作について説明するためのフローチャートである。
【0044】
ステップST1において、複合機本体2は、省エネモードに設定される。上述したように、省エネモードが複数ある場合には、複合機本体2は、複数の省エネモードのうちのいずれかに設定される。
【0045】
ステップST2において、省エネCPU91は、省エネモードに対応する、最低動作電圧のうち最大の電圧値を特定する。すなわち、省エネCPU91は、記憶部80に記憶された最低動作電圧データに基づいて、ステップST1にて設定された省エネモード時に動作する1又は複数のデバイス112の最低動作電圧値のうち最大の電圧値を特定する。
【0046】
ステップST3において、省エネCPU91は、省エネモードに対応する、低圧電源110から出力される直流電圧の電圧値を特定する。すなわち、省エネCPU91は、ステップST2にて特定された最大の電圧値と同じ電圧値の直流電圧がDC/DCコンバーター111から出力される場合に、記憶部80に記憶された出力電圧データに基づいて、DC/DCコンバーター111でのエネルギー損失がより低くなるような、低圧電源110から出力される直流電圧の電圧値を特定する。
【0047】
ステップST4において、省エネCPU91は、ステップST3にて特定された直流電圧の電圧値を出力するよう低圧電源110を制御する。
【0048】
ステップST5において、省エネCPU91は、ステップST2にて特定された最大の電圧値と同じ電圧値を出力するようDC/DCコンバーター111を制御する。
【0049】
以上説明したように、本実施形態の複合機1によれば、以下の効果が奏される。
すなわち、本実施形態の複合機1は、省エネモードに設定された場合に、省エネモード時に動作する1又は複数のデバイス112の最低動作電圧のうち最大の電圧値と同じ電圧値の直流電圧をDC/DCコンバーター111から出力させる。さらに、複合機1は、DC/DCコンバーター111から出力される直流電圧を得る際に、DC/DCコンバーター111でのエネルギー損失が相対的に低くなるような電圧値の直流電圧を低圧電源110から出力させる。これにより、DC/DCコンバーター111の効率が良くなるため、複合機1は、消費電力を低減させることができる。
【0050】
また、複合機1は、複数の省エネモードが存在する場合に、その複数の省エネモードのうちいずれかが設定されると、設定された省エネモード時に動作する1又は複数のデバイス112の最低動作電圧のうち最大の電圧値の同じ電圧値の直流電圧をDC/DCコンバーター111から出力させる。この場合においても、複合機1は、DC/DCコンバーター111でのエネルギー損失がより低くなるような電圧値の直流電圧をDC/DCコンバーター111に入力させる。これにより、複数の省エネモードのうちのいずれかに設定された場合でも、DC/DCコンバーター111の効率は、設定された省エネモードに応じたものになる。よって、複合機1は、設定された省エネモードに応じて消費電力を低減させることができる。
【0051】
また、複合機1は、複数の省エネモードのいずれかに設定された場合に、記憶部80に記憶された最低動作電圧データに基づいて、設定された省エネモードに対応する最低動作電圧のうちの最大の電圧値を特定し、特定した最大の電圧値と同じ電圧値の直流電圧をDC/DCコンバーター111から出力させる。さらに、複合機1は、複数の省エネモードのいずれかに設定された場合に、記憶部80に記憶された出力電圧データに基づいて、設定された省エネモードに対応する直流電圧の電圧値を特定し、特定した直流電圧の電圧値を低圧電源110から出力させる。これにより、複合機1は、省エネモードに設定される度にDC/DCコンバーター111から出力される直流電圧の電圧値と低圧電源110から出力される直流電圧の電圧値を求める必要がなくなる。
【0052】
また、複合機1は、複数の省エネモードのいずれかに設定された場合に、記憶部80に記憶された停止デバイスデータに基づいて電力の供給が停止されるデバイス112を特定し、特定したデバイス112に対して電力の供給を遮断する。これにより、複合機1は、省エネモードに移行することができる。
【0053】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されることはなく、種々の形態で実施することができる。
本実施形態の複合機1は、カラー複合機であるが、この形態に限定されることはなく、モノクロ複合機であってもよい。
また、本実施形態の複合機1は、中間転写ベルト48を介して用紙Tにトナー画像を転写している(間接転写方式)が、この形態に限定されることはなく、感光体ドラムに形成されたトナー画像を直接に用紙Tに転写してもよい(直接転写方式)。
また、本実施形態の複合機1は、用紙Tの片面を印刷する構成であるが、これに限定されることはなく、用紙の両面を印刷する構成であってもよい。
【0054】
また、本発明の画像形成装置は、上述した複合機1に限定されることはない。すなわち、本発明の画像形成装置は、コピー機又はプリンターであってもよい。
また、本発明の画像形成装置によってトナー画像が定着される被画像形成媒体は用紙Tに限定されることはなく、例えば、OHP(オーバーヘッドプロジェクター)シート等のフィルムシートであってもよい。
【符号の説明】
【0055】
1…複合機(画像形成装置)、80…記憶部、91…省エネCPU(制御部)、110…低圧電源(電源)、111…DC/DCコンバーター(コンバーター)、112…デバイス、113…電力遮断部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電圧を出力する電源と、
前記電源から出力された直流電圧を異なる電圧値に変換して出力するコンバーターと、
前記コンバーターから出力された直流電圧によって動作する複数のデバイスと、
消費電力を削減するための省エネモードに設定された場合に、省エネモード時に動作する1又は複数のデバイスの最低動作電圧のうち最大の電圧値と同じ電圧値の直流電圧を出力するよう前記コンバーターを制御すると共に、前記コンバーターから出力される前記最低動作電圧のうち前記最大の電圧値と同じ電圧値の直流電圧を得る際に、前記コンバーターでのエネルギー損失が相対的に低い電圧値の直流電圧を出力するよう前記電源を制御する制御部と、
を備える電子機器。
【請求項2】
前記省エネモードは、複数の設定があり、
前記制御部は、複数の省エネモードのうちいずれかに設定された場合に、設定された省エネモードの場合に動作する1又は複数のデバイスの最低動作電圧のうち最大の電圧値の同じ電圧値の直流電圧を出力するよう前記コンバーターを制御する
請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
各省エネモードと、省エネモードに設定された場合に動作する1又は複数のデバイスの最低動作電圧のうち最大の電圧値とをそれぞれ関係付けた最低動作電圧データ、及び、各省エネモードと、省エネモードに設定された場合に前記電源から出力され、前記コンバーターでのエネルギー損失が低い直流電圧の電圧値とをそれぞれ関係付けた出力電圧データを記憶する記憶部をさらに備え、
前記制御部は、複数の省エネモードのいずれかに設定された場合に、前記記憶部に記憶された前記最低動作電圧データに基づいて、設定された省エネモードに対応する最低動作電圧のうちの最大の電圧値を特定し、特定した最大の電圧値と同じ電圧値の直流電圧を出力するよう前記コンバーターを制御すると共に、前記記憶部に記憶された前記出力電圧データに基づいて、設定された省エネモードに対応する直流電圧の電圧値を特定し、特定した直流電圧の電圧値を出力するよう前記電源を制御する
請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記複数のデバイスそれぞれの前段に配置された電力遮断部をさらに備え、
前記記憶部は、前記複数の省エネモードと、各省エネモードが設定される場合に電力の供給が停止されるデバイスとをそれぞれ関係付けた停止デバイスデータをさらに記憶し、
前記制御部は、複数の省エネモードのいずれかに設定された場合に、前記記憶部に記憶された前記停止デバイスデータに基づいて電力の供給が停止されるデバイスを特定し、特定したデバイスに対して電力の供給を遮断するよう特定したデバイスの前段に配置される前記電力遮断部を制御する
請求項3に記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−78187(P2013−78187A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−215993(P2011−215993)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】