電子決済システム、電子決済サーバ、有価価値提供装置、移動体通信端末、並びに電子決済方法
【課題】遊技場においても利用可能な、現金決済と同様の電子決済方式を提供する。
【解決手段】電子決済サーバと、移動体通信端末と、有価価値提供装置とを有する電子決済システムとして提案される。この電子決済システムにおいて、移動体通信端末は、有価価値提供装置からその有価価値提供装置を特定する機器IDを取得し、ユーザを特定するユーザIDと、有価価値の対価である振込金額と、機器IDとを含む決済リクエストメッセージを生成し、このメッセージを電子決済サーバに送信し、電子決済サーバは、ユーザの与信状況のチェックの結果に応じて有価価値提供装置に振込金額に応じた有価価値の提供を指示し、且つユーザの口座から所定の口座への振込金額に応じた額の振込を要求し、有価価値提供装置は、電子決済サーバから有価価値の提供の指示を受け取った場合、振込金額に応じた貸し玉、貸しメダルなどをユーザに提供する。
【解決手段】電子決済サーバと、移動体通信端末と、有価価値提供装置とを有する電子決済システムとして提案される。この電子決済システムにおいて、移動体通信端末は、有価価値提供装置からその有価価値提供装置を特定する機器IDを取得し、ユーザを特定するユーザIDと、有価価値の対価である振込金額と、機器IDとを含む決済リクエストメッセージを生成し、このメッセージを電子決済サーバに送信し、電子決済サーバは、ユーザの与信状況のチェックの結果に応じて有価価値提供装置に振込金額に応じた有価価値の提供を指示し、且つユーザの口座から所定の口座への振込金額に応じた額の振込を要求し、有価価値提供装置は、電子決済サーバから有価価値の提供の指示を受け取った場合、振込金額に応じた貸し玉、貸しメダルなどをユーザに提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子決済システム、電子決済サーバ、有価価値提供装置、移動体通信端末、並びに電子決済方法に関し、より詳しくは現金決済に準じた電子決済を実現するための電子決済システム、電子決済サーバ、有価価値提供装置、移動体通信端末、並びに電子決済方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の情報処理技術、通信技術の発展及び通信インフラの普及により、料金・代金の支払方法が多様化し、現金による支払に代わるさまざまな方法が提案され利用されるようになってきている。
【0003】
現金に代わる代金支払方法としては、いわゆる後払い形式のクレジット・カードや先払い形式のプリペイドカードや、即時決済型のデビット・カードが存在している。
【0004】
さて、パチンコホールなどの遊技場における支払においても、現金以外の支払方法が利用できれば、ユーザ(遊技者)の利便が向上するとともに、遊技機の稼働率が高まることによる遊技場の売り上げ向上も期待できる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、遊技者が過大な借り入れをすることを防ぐ趣旨で規制されているため、一般に遊技場におけるクレジット・カードの利用は制限されている。また、仮に、遊技場においてクレジット・カードによる決済方法が可能になったとしても、クレジットによる利用の記録が自宅に郵送されてきたり、利用状況によっては、本人確認の電話がクレジット事業者からかかってきたりと、煩わしい状況であったり、さらには個人情報漏洩のおそれのために、クレジット・カード番号、暗証番号を遊技場側に伝えて決済し、個人情報の記録が遊技場内部に残ってしまうことに遊技者はすくなからぬ抵抗感を有するであろうため、遊技場におけるクレジット・カードによる決済利用普及は難しい。
【0006】
また、現金以外の別の決済方法として、プリペイドカードによる支払方法もあるが、遊技の結果、遊技者が手持ちの現金を全て消費してしまった場合には、プリペイドカードをさらに追加購入することはできない。遊技者が手持ちの現金を遊技において消費し終わった後、もう少し遊技したい、或いは遊技場において何らかの飲食や買い物をしたいという要求を持っていても、現状ではそのような要求に応えることができる決済方法が用意されておらず、遊技場はこのような潜在的な需要をみすみす見逃さざるを得なかった。
【0007】
また、さらに従来は現金以外の決済方法を利用するためには、事前に決済を行う業者である決済事業者とユーザが書面による契約を行うことが必要であって、ユーザが直ちにその現金以外の決済方法を利用することはできないという不便があった。
【0008】
本発明の目的は、遊技場においても利用可能な、現金決済と同様の電子決済方式を提供することにある。
本発明の別の目的は、いわゆるオンライン上で電子決済方式の利用を可能とする契約をおこなうことができる電子決済方式を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための手段として、本発明は以下の特徴を有している。
本発明の第1の態様は、電子決済サーバと、前記電子決済サーバと通信可能な移動体通信端末と、前記電子決済サーバ及び前記移動体通信端末と通信可能な有価価値提供装置とを有する電子決済システムとして提案される。
【0010】
この電子決済システムにおいて、移動体通信端末は、有価価値提供装置からその有価価値提供装置を特定する機器特定情報(例えば、機器ID)を取得し、ユーザを特定するユーザ特定情報(例えば、ユーザID)と、有価価値の提供の対価である振込金額と、前記機器特定情報とを含む決済リクエストメッセージを生成し、この決済リクエストメッセージを電子決済サーバに送信し、電子決済サーバは、前記ユーザ特定情報によって特定されたユーザの与信状況のチェックの結果に応じて、有価価値提供装置に前記振込金額に応じた有価価値の提供を指示する提供指示メッセージを有価価値提供装置に送信し、且つ前記ユーザの口座から所定の口座への前記振込金額に応じた額の振込を要求する振込依頼メッセージを送信し、有価価値提供装置は、前記電子決済サーバから提供指示メッセージを受信した場合、前記振込金額に応じた有価価値(例えば、貸し玉、貸しメダル、プリペイドカード)の提供を行うことを特徴としている。
【0011】
かかる電子決済システムによれば、手持ちの現金を有しないユーザであっても、簡易且つ安全に有価価値の購入をすることができる。
【0012】
本発明の第2の態様は、本発明にかかる電子決済方式を実行するための装置である電子決済サーバとして提案される。この電子決済サーバは、移動体通信端末からユーザを特定するユーザ特定情報(例えば、ユーザID)と、有価価値の提供の対価である振込金額と、ユーザが有価価値の提供を求めた有価価値提供装置を特定する情報である機器特定情報(例えば、機器ID)とを含む決済リクエストメッセージを受信すると、前記ユーザの与信状況のチェックの結果に応じて、前記機器特定情報により特定された有価価値提供装置に前記振込金額に応じた有価価値の提供を指示する提供指示メッセージを送信し、且つユーザの口座から所定の口座への前記振込金額に応じた額の振込を要求する振込依頼メッセージを送信することを特徴とする。
かかる電子決済サーバによれば、手持ちの現金を有しないユーザであっても、簡易且つ安全に有価価値の購入をすることができる。
【0013】
本発明の第3の態様は、本発明にかかる電子決済方式を実行するための装置である有価価値提供装置として提案される。この有価価値提供装置は、移動体通信端末にその有価価値提供装置を特定する情報である機器特定情報(例えば、機器ID)を送信し、ユーザを特定するユーザ特定情報(例えばユーザID)と、有価価値の対価である振込金額と、前記機器特定情報とを含む決済リクエストメッセージに応じて送信された提供指示メッセージを受信した場合、前記振込金額に応じた有価価値の提供を実行することを特徴としている。
かかる有価価値提供装置によれば、手持ちの現金を有しないユーザであっても、簡易且つ安全に有価価値の購入をすることができる。
【0014】
本発明の第4の態様は、本発明にかかる電子決済方式を実行するための装置である移動体通信端末として提案される。この移動体通信端末は、有価価値提供装置からその有価価値提供装置を特定する機器特定情報(例えば、機器ID)を取得するとともに、ユーザを特定するユーザ特定情報(例えば、ユーザID)と、有価価値の提供の対価である振込金額と、前記機器特定情報とを含む決済リクエストメッセージを生成し、この決済リクエストメッセージを電子決済サーバに送信して、前記電子決済サーバが行う前記ユーザの与信状況のチェックの結果に応じて、前記振込金額に応じた有価価値の提供を指示する提供指示メッセージを前記電子決済サーバから前記有価価値提供装置に送信させる、ことを特徴
としている。
かかる移動体通信端末によれば、手持ちの現金を有しないユーザであっても、簡易且つ安全に有価価値の購入をすることができる。
【0015】
本発明の第5の態様は、本発明にかかる電子決済方式を実行するための電子決済方法として提案される。この電子決済方法は、有価価値提供装置を特定する機器特定情報を受信するステップと、ユーザを特定するユーザ特定情報と、有価価値の対価である振込金額と、前記機器特定情報とを含む決済リクエストメッセージを生成し、この決済リクエストメッセージを送信するステップと、前記決済リクエストメッセージに応答して、前記ユーザの与信状況の問い合わせを行い、前記ユーザの与信状況の問い合わせの結果に応じて、前記機器特定情報により特定された有価価値提供装置に前記振込金額に応じた有価価値の提供を指示する提供指示メッセージを送信するステップと、前記ユーザ特定情報により特定されたユーザの口座から所定の口座への前記振込金額に応じた額の振込を要求する振込依頼メッセージを送信するステップと、前記提供指示メッセージに応じて、前記有価価値提供装置に前記振込金額に応じた有価価値の提供を実行するステップとを有していることを特徴としている。
かかる電子決済方法によれば、手持ちの現金を有しないユーザであっても、簡易且つ安全に有価価値の購入をすることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、遊技場においても利用可能な、現金決済に代わる電子決済を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。
[1.電子決済システムの構成例]
図1は本実施の形態にかかる電子決済システムの一例を示すネットワーク図である。
この図に示す例においては、電子決済システム1は、電子決済サーバ10と、移動体通信端末20と、有価価値提供装置30と、認証サーバ90と、タイムスタンプサーバ95を有している。電子決済サーバ10は、与信チェックを行うとともに、電子決済サーバ10からの指示に基づいて、ユーザの口座から指定された振込先口座へ指定された金額の振込処理を実行する金融機関システム40に接続されている。また、電子決済サーバ10は通信網50に接続されており、有価価値提供装置30と通信網50を介して通信可能となっている。移動体通信端末20は、基地局60、移動体通信網70、及び移動体通信網70と通信網50とを接続するゲートウエイ80とを介して電子決済サーバ10と通信可能であるとともに、近距離通信手段(例えば、非接触式ICカード及びそのリーダ/ライタ)により有価価値提供装置30と通信可能である。認証サーバ90は電子決済サーバ10,移動体通信端末20と通信網70を介して接続可能である。タイムスタンプサーバ95は、移動体通信端末20と通信網を介して接続可能である。以下、上記の電子決済システム1の各構成要素について説明する。
【0018】
[1.1.有価価値提供装置]
有価価値提供装置30は、ユーザが移動体通信端末20を用いて電子決済を行った対価として、予め用意されている有価価値(金銭により購入できる有体物、無体物をいうものとする)をユーザに提供する装置であって、例えば遊技場の玉貸し機、メダル貸し出し装置などである。なお、本実施の形態における有価価値提供装置30は、必ずしも有価価値を直接ユーザに提供する装置である必要はなく、例えば、デビット・カードのCAT端末の
ように、電子決済は可能である旨を店舗側に通知して、店舗側に品物などをユーザに引き渡させるなどの間接的にユーザに有価価値を提供する装置も含む。
【0019】
図2は、有価価値提供装置30及び移動体通信端末20の構成例を示す機能ブロック図である。以下、図2を参照しながら有価価値提供装置30の構成について説明する。
有価価値提供装置30は、ネットワーク通信処理部301と、提供制御部302と、提供装置側近距離通信部303と、有価価値供給部304とを有している。ネットワーク通信処理部301は、通信網50を介して電子決済サーバ10と通信を実行する機能を有し、例えば、プロトコルスタックを搭載した通信ボードなどである。
【0020】
提供制御部302は、ネットワーク通信処理部301、提供装置側近距離通信部303、有価価値供給部304の動作を命令・制御する機能を有し、例えば有価価値提供装置30を実現するためのプログラムを搭載したマイクロコンピュータである。
【0021】
提供装置側近距離通信部303は、移動体通信端末20に搭載されている端末側近距離通信部201と通信を行う機能を有し、例えば、非接触式ICカードのリーダ/ライタである。なお、提供装置側近距離通信部303が用いる通信方式は、無線に限られる必要はなく、赤外線通信であっても構わない。また、有価価値提供装置30が表示するバーコードを移動体通信端末20で光学的に読み取ることにより、データの受け渡しを行う方法であっても、本発明は成立する。また、必ずしも非接触式の通信方式でなくともよく、通信ケーブルやUSBソケットにより接続して通信する方式を採用しても本発明は成立する。
【0022】
有価価値供給部304は、提供制御部302の命令に応じて、有価価値をユーザに提供する機能を有し、例えば、玉貸し機の貸し玉出力部、メダル貸出機のメダルホッパー、認証端末(CAT端末)のディスプレイ、或いはプリンタなどである。有価価値は、金銭によ
り購入可能なものであれば、どのようなものでもよく、貸し玉、貸しメダル、プリペイドカード、オンバリューカード(ハウスカード)又は同等品などである。
【0023】
[1.2.移動体通信端末]
次に、図2を参照しながら移動体通信端末20について説明する。移動体通信端末20は、電子決済サーバ10と通信網50を介して通信可能であるとともに、有価価値提供装置30とも通信可能な端末装置であって、例えば、非接触式ICカード(例えば、フェリカ;フェリカはソニー社の登録商標)機能を有する携帯電話機、近距離通信手段及び無線通信手段を搭載したPDA(Personal Data Assistant)、携帯ゲーム機、無線LAN通
信装置を搭載したIP電話機などである。移動体通信端末20は、前述の提供装置側近距離通信部303と通信を行うための端末側近距離通信部201と、支払要求生成部202と、無線通信部203と、入力部204と、出力部205と、電子契約申請部206とを有している。
【0024】
端末側近距離通信部201は、提供装置側近距離通信部303と通信を行う機能を有し、例えばICカード用チップ及びアンテナである。
支払要求処理部202は、電子決済サーバ10に、有価価値提供装置30に提供してもらう有価価値の対価(代金)の支払を要求するための決済リクエストメッセージを生成する機能を有し、例えば、iアプリ(「iアプリ」はNTTドコモ社の登録商標)を搭載したマイクロコンピュータである。支払要求生成部202は、ユーザの支払に使用する情報を記憶する機能を有する。図3は、支払要求生成部202が記憶する情報の一例を示す。この例では、その移動体通信端末20の使用者として登録されたユーザを一意に特定する情報であるユーザID206と、電子決済サーバがユーザの本人認証を行うためのパスワード207と、ユーザが支払代金を引き出す口座を特定する、銀行番号208、支店番号209、口座番号210、及びその口座に設定された暗証番号211が支払要求生成部202に記憶される。これらの情報、とりわけ銀行番号208、支店番号209、口座番号210、暗証番号211は、ユーザが移動体通信端末20に支払要求生成部202として機能させるアプリケーションのインストール時、或いは本電子決済のサービスを受けるた
めのユーザ登録時などに、ユーザに入力部204によって入力することを要求し、入力されたものをこれら情報206〜211として予め記憶しておく。これら情報206〜211は、有価価値の提供の対価(代金)の支払を要求するための決済リクエストメッセージを生成するときに使用され、決済リクエストメッセージの一部として電子決済サーバ10に送信されることになる。
【0025】
図2に戻り、移動体通信端末20の説明を続ける。
無線通信部203は、移動体通信端末20が移動体通信網70に接続し、移動体通信網70を介した通信を実行する機能を有し、例えば変調回路、復調回路を有する無線通信回路である。移動体通信網は、一般的な携帯電話の通信網であっても、WIMAXや無線LAN
の通信網であってもよい。
【0026】
入力部204は、支払要求生成部202にユーザの指示を電気信号に変えて渡す機能を有し、例えば携帯電話機のキー、タッチペンとタッチパネル、ポインティングデバイスである。
【0027】
出力部205は、移動体通信端末20がユーザに情報を伝えるための情報出力機能を有し、例えば、携帯電話機の液晶パネル、CAT端末の液晶パネル、或いは小型プリンタなど
である。
【0028】
電子契約申請部206は、電子決済システム1の利用に先立って、ユーザと電子決済システム1の運用者、管理者など(決済事業者と呼ぶ)との間で決済事業者がユーザ口座から指定された金額を引き落とすことを内容とする契約を電子的に結ぶ処理を行う機能を有する。
【0029】
図4は、電子契約申請部206の構成例を示す機能ブロック図である。図示のように、電子契約申請部206は、制御部701と、暗号化処理部702と、記憶部703と、復号化処理部704と、判定部705と、タイムスタンプ取得部706とを有する。
【0030】
制御部701は、暗号化部702、記憶部703、復号化部704、判定部705、タイムスタンプ取得部706の各部の動作を統括して制御する機能を有し、各部の起動、各部への入力、各部からの出力などを命令する。
【0031】
暗号化処理部702は、所定の暗号化方法により、暗号鍵715を使って電子署名を生成する機能を有する。
記憶部703は、ユーザ側電子証明書711、決済事業者側電子証明書712、電子化契約書713、電子化契約書原本714、暗号鍵715などを記憶する機能を有する。
【0032】
ユーザ側電子証明書711は、電子契約書713の署名者の一方がユーザ本人であることを証明する電子データであって、例えば、ITU-T勧告のX.509に定義されており、本人情報(所属組織、識別名、名前等)、公開鍵、有効期限、シリアルナンバ、シグネチャ等が含まれている電子データである。この例では、ユーザ側電子証明書711は、認証サーバ90によって発行される電子データである。
【0033】
なお、ユーザ側電子証明書711として以下のものを使用することも本実施の形態では可能である。
a)ユーザ口座を有する金融機関のモバイル端末契約時に発行されるパスワード等
b)ユーザが、電子決済サーバ10からアプリをダウンロードする際に、同時に移動体通信端末に書き込まれるシリアル番号(ユーザID)など
c)移動体通信端末20の製造番号
d)SIM(Subscriber Identity Module Card)のシリアル番号
e)移動体通信端末20の電話番号
f)aからfの情報と、日付や金額などの記載されている情報との論理計算や暗号化によって生成されるものなど
【0034】
決済事業者側電子証明書712は、電子契約書713の署名者の他方が決済事業者であることを証明する電子データであって、例えば、ITU-T勧告のX.509に定義されており、本人情報(所属組織、識別名、名前等)、公開鍵、有効期限、シリアルナンバ、シグネチャ等が含まれている電子データである。この例では、決済事業者側電子証明書712は、認証サーバ90によって発行される電子データである。
【0035】
電子化契約書713は、ユーザと電子決済システムの運営者である決済事業者との間の、決済事業者がユーザ口座から指定された金額を引き落とすこと、及び決済事業者が前記ユーザの口座から指定された金額を引き落とす事を前記ユーザの口座が存在する銀行が承諾すること又は決済事業者が前記ユーザの口座から指定された金額を引き落とす事を前記銀行に求めることを内容とする契約内容を記述した電子データである。
電子化契約書原本714は、電子化契約書713にユーザ及び決済事業者の電子署名、並びにタイムスタンプが付された電子データであって、当事者の捺印済みの契約書に相当する。
【0036】
暗号鍵715は、ユーザが電子署名を生成し、或いは電子決済サーバ10から送られた暗号を復号化するために使用する暗号鍵であって、例えば、公開鍵方式における秘密鍵、或いは共通鍵方式における共通暗号鍵である。
【0037】
ユーザ側電子証明書711、暗号鍵715は、認証局(CA)である認証サーバ90より事前に取得して記憶しておくものでもよいし、移動体通信端末20の出荷時に予めメーカ、ベンダなどがインストールしておくものでもよい。
【0038】
電子化契約書713,決済事業者側電子証明書712は、後述するアプリダウンロード時に電子決済サーバ10から取得する。もちろんその他の方法によって取得しても構わない。
【0039】
復号化処理部704は、電子決済サーバ10から送信される決済事業者の電子署名を復号化する機能を有する。
判定部705は、電子決済サーバ10から電子化契約書とともに送信された決済事業者の電子証明書、電子署名を検証する機能を有する。
【0040】
タイムスタンプ取得部706は、電子決済サーバから返信された決済事業者の電子証明書、電子署名から電子化契約書が決済事業者によって電子署名されていると判定部705により判定された場合、タイムスタンプサーバ95に電子署名の付された電子契約書のタイムスタンプを要求し、これを取得し、取得したタイムスタンプとともに電子署名の付された電子化契約書を電子決済サーバに送信させる機能を有する。また、タイムスタンプ及び電子署名の付された電子契約書は、電子化署名契約書原本として記憶部703に記憶される。
以上で、電子契約申請部206及び移動体通信端末20の説明を終了する。
【0041】
[1.3.電子決済サーバ]
次に、図5を参照しながら電子決済サーバについて説明する。図5は、電子決済サーバ10の構成例を示す機能ブロック図である。
電子決済サーバ10は、演算処理装置(CPU)、主メモリ(RAM)、読出し専用メ
モリ(ROM)、入出力装置(I/O)、必要な場合にはハードディスク装置等の外部記憶装置を具備している装置であって、例えばコンピュータ、ワークステーションなどの情報処理装置である。前記ROM、若しくはハードディスク装置などに情報処理装置を電子決済サーバ10として機能させるためのプログラム、又は電子決済方法をコンピュータに実行させるためのプログラムが記憶されており、このプログラムを主メモリ上に載せ、CPUがこれを実行することにより電子決済サーバ10が実現され、若しくは電子決済方法が実行される。また、上記プログラムは必ずしも情報処理装置内の記憶装置に記憶されていなくともよく、外部の装置(例えば、ASP(アプリケーション・サービス・プロバイダのサーバなど))から提供され、これを主メモリに乗せる構成であってもよい。さらに、この決済サーバは、1箇所に全ての機能を集約したセンター構成であっても、また、機
能毎に、分割して、離間した場所に設置された分散処理可能な分散サーバ構成であってもよい。
【0042】
図5に示す電子決済サーバ10は、ネットワーク通信処理部401と、支払要求処理部402と、データベース部403と、振込要求部405と、提供指示部406と、処理結果通知部407と、電子契約処理部408とを有している。
【0043】
ネットワーク通信処理部401は、通信網50を介して移動体通信端末20、有価価値提供装置30と通信を実行する機能を有し、例えばプロトコルスタックを実行するための通信ボードである。ネットワーク通信処理部401は、移動体通信端末20からのリクエストメッセージを受け取ると、これを支払要求処理部402に渡し、提供指示部406から有価価値提供装置30への提供指示メッセージを受け取ると、これを有価価値提供装置30に宛てて送信する。
【0044】
支払要求処理部402は、移動体通信端末20からの決済リクエストメッセージをネットワーク通信処理部401から受け取ると、与信チェック部404に決済リクエストメッセージを渡し、与信チェック部404に当該決済リクエストメッセージを発したユーザの与信状況の問い合わせをさせる。与信チェック部404がユーザの与信状況が問題ないこと、すなわち支払要求を受け付けてよいというチェック結果を金融機関システム40から受け取った場合、支払要求処理部402は、振込要求部405に振込要求メッセージを生成させ、この振込要求メッセージを金融機関システム40に送信させる。さらに、支払要求処理部402は、提供指示部406から有価価値提供装置30への提供指示メッセージを生成させ、この提供指示メッセージを、ネットワーク通信処理部401を介して有価価値提供装置30に宛てて送信させる。
【0045】
データベース部403は、決済リクエストメッセージに基づいて、振込要求メッセージを生成し、また提供指示メッセージを生成するために必要な情報を記憶すると共に、ユーザの本電子決済システムの利用状況を記憶する。図6は、データベース部403に記憶されるユーザテーブルの構成例である。ユーザテーブル500は、ユーザ毎に一のレコード501を有するデータであって、各レコード501は、ユーザID502、パスワード503、メールアドレス504、利用状況情報505を格納している。ユーザID502は、ユーザを一意に特定する情報であり、パスワード503は、第三者がそのユーザになりすまして本電子決済システムを不正利用することを防止する情報であり、メールアドレス503は、処理結果通知部407が、決済の処理結果をユーザに通知する際に電子メールを利用する場合、その宛先アドレスとして使用する情報であり、利用状況情報505は、例えば、そのユーザの本電子決済システムの利用頻度、利用額、利用場所などの諸情報であって、マーケティング分析や、当該ユーザへのおすすめ情報の選択配信などに利用するための情報である。
【0046】
図7は、データベース部403に記憶される有価価値提供装置テーブルの構成例である
。有価価値提供装置テーブル600は、各有価価値提供装置について一つのレコード601を有するデータであって、各レコード601は、機器ID602,機器IPアドレス603、振込先銀行604、支店名605、口座番号606、口座名義607を格納する。
【0047】
機器ID602は、有価価値提供装置30を一意に特定するための情報であり、機器IPアドレスは、対応する機器IDを有する決済リクエストメッセージを受け取った場合、その決済リクエストメッセージに基づく提供指示メッセージの送信先アドレスとして利用する情報であり、振込先銀行604、支店名605、口座番号606、及び口座名義607は、対応する機器IDを有する決済リクエストメッセージを受け取った場合、ユーザの銀行口座から支払金額を振り込む際の振込先を特定するための情報である。
【0048】
図5に戻り、電子決済サーバ10の構成例の説明を続ける。
提供指示部406は、有価価値提供装置30への提供指示メッセージを生成させ、この提供指示メッセージを、ネットワーク通信処理部401を介して有価価値提供装置30へ宛てて送信する。なお、有価価値提供装置30のアドレスは、前述の有価価値提供装置テーブル600を参照して取得する。
【0049】
また処理結果通知部407は、決済リクエストメッセージが処理されたか否かをユーザに通知する役割を有し、処理結果通知部407は移動体通信端末20を宛先とする電子メールを生成、送信し、或いは移動体通信端末20によって閲覧可能なウエブページに処理結果を示す情報を記載して移動体通信端末20からの閲覧を待つ。通知内容は、例えば「決済要求は処理されました。ご利用ありがとうございました。」或いは「残高が不足しています。決済はできませんでした。」などのメッセージとなる。
【0050】
電子契約処理部408は、移動体通信端末20、より詳しくはその電子契約申請部206と協働して、電子決済システム1の利用開始に先立って、ユーザと電子決済システム1の運用者、管理者など(決済事業者と呼ぶ)との間で決済事業者がユーザ口座から指定された金額を引き落とすことを内容とする契約を電子的に結ぶ処理を行う機能を有する。
また、電子契約処理部408は、ユーザと決済事業者との間で結ばれた契約を証する電子化契約書原本のデータを、当該ユーザ口座を有する金融機関に宛てて送信する機能を有する。
【0051】
具体的には、電子契約処理部408は、移動体通信端末20への電子化契約書713をダウンロードさせる機能、移動体通信端末20から送信された電子署名の付された電子化契約書711とユーザ側電子証明書711を受信する機能、受信した電子署名、ユーザ側電子証明書711の検証を行い、これらが正しいものと認証された場合ユーザの電子署名の付された電子化契約書713に決済事業者の電子署名と決済事業者側電子証明書712を移動体通信端末20に送信する機能、及び移動体通信端末20から送信された電子化契約書原本714を受信して、記憶させる機能、前記電子化契約書原本714を金融機関の指定された装置(例えば、金融機関システム40、或いは金融機関により指定されたネットワーク端末装置(例えば、PC)に宛てて送信する機能を有している。
【0052】
図8は、電子契約処理部408の構成例を示した機能ブロック図である。図示のように、電子契約処理部408は、制御部801と、暗号化処理部802と、記憶部803と、復号化処理部804と、判定部805とを有する。
【0053】
制御部801は、暗号化部802、記憶部803、復号化部804、判定部805の各部の動作を統括して制御する機能を有し、各部の起動、各部への入力、各部からの出力などを命令する。
【0054】
暗号化処理部802は、所定の暗号化方法により、暗号鍵811を用いて決済事業者の電子署名を生成する機能を有する。
記憶部803は、ユーザ側電子証明書711、決済事業者側電子証明書712、電子化契約書713、電子化契約書原本714、暗号鍵811などを記憶する機能を有する。
【0055】
上記のユーザ側電子証明書711、決済事業者側電子証明書712、電子化契約書713、電子化契約書原本714は、電子契約申請部20の記憶部703に記憶されているものと同一であるので、これらの説明は省略する。
【0056】
暗号鍵811は、電子決済事業者が電子署名を生成し、或いは移動体通信端末20から送られた暗号を復号化するために使用する暗号鍵であって、例えば、公開鍵方式における秘密鍵、或いは共通鍵方式における共通暗号鍵である。
決済事業者側電子証明書712、暗号鍵811は、認証局(CA)である認証サーバ90より事前に取得して記憶しておくものでよい。
【0057】
復号化処理部804は、移動体通信端末20から送信されるユーザの電子署名を復号化する機能を有する。
判定部805は、移動体通信端末20から電子化契約書とともに送信されたユーザの電子証明書、電子署名を検証する機能を有する。
制御部801は、タイムスタンプ、電子署名の付された電子化契約書である電子化契約書保管原本714を受信すると、記憶部803に記憶させ、また前記ユーザの口座が存在する銀行に宛てた前記電子化契約書保管原本を送信する。。
【0058】
[1.4.通信網]
図1に戻り、本実施の形態にかかる電子決済システム1の構成要素の説明を再開する。
通信網50は、有線・無線、専用回線・交換回線を問わず、これに接続されている装置がそれぞれ目的とする装置に対しセッションを確立したときにその装置間での情報の送受を可能とするように作用する。通信網50は、インターネットのように、ゲートウエイを介して複数のネットワークが組み合わされて実現しても構わない。また、その接続についてもいわゆるバックボーンといわれる基幹線に直接接続せずとも、PPP接続などによって一時的に接続してあっても、セッションを確立したときにその間で情報の送受ができるようになっていれば構わない。なお、上記「通信網」は専用回線を固定的に張りめぐらせたような、交換機、スイッチ、ルータなど経路切り替え手段を用いない通信網も含むものとする。
【0059】
[1.5.移動体通信網、ゲートウエイ、基地局]
図1に示す例は、移動体通信端末20として携帯電話を用いた場合を想定している。そのため、移動体通信端末20である携帯電話はまず基地局60に無線回線で接続し、この基地局から移動体通信網70、及びゲートウエイ80を介して、電子決済サーバ10が接続している通信網50に接続するものとして図示したが、移動体通信端末20が直接通信網50に接続できるのであれば、移動体通信端末20は移動体通信網70、及びゲートウエイ80を介さずとも電子決済サーバ10に接続してよい。例えば、移動体通信端末20が無線LAN接続機能を有する場合には、移動体通信網70、及びゲートウエイ80を介して通信を行う必要はなくなる。
【0060】
[1.6.金融機関システム]
金融機関システム40は、電子決済サーバ10からのユーザの与信状況の問い合わせに応答して与信状況を回答すると共に、電子決済サーバ10からの振込要求若しくは振替要求に応じて振込処理(一の口座から他の口座への金銭の移動)を実行若しくは依頼できる
システムである。なお、金融機関システム40には、マルチペイメントネットワーク(http://www.jammo.org/参照)のような、直接金融機関が運営するものではない収納システ
ムをも含む。なお、与信状況の回答をするシステムと、振込処理を実行するシステムは必ずしも同一のシステムでなくとも構わない。また、図1に示す例では、電子決済サーバ10と金融機関システム40は専用回線により接続されるものとして図示したが、通信網50を介して電子決済サーバ10と金融機関システム40とが接続される構成としても、本実施の形態は成立する。例えば、金融機関システム40がいわゆるインターネットバンクが用意するシステムである場合には、通信網50を介して電子決済サーバ10と金融機関システム40とが接続される構成となるであろう。
また、金融機関システム40は、電子決済サーバ10がユーザの口座を有する金融機関に宛てて送信する電子化契約書原本714を受信し、記憶する機能を有していてもよい。金融機関は、この電子化契約書原本714に基づいて、決済事業者がユーザの口座から指定された金額を引き落とす事をユーザ及び決済事業者の双方が同意していることを確認できる。この電子化契約書原本714の受信の後、決済事業者がユーザの口座から指定された金額を引き落とすことを内容とする要求メッセージを受信した場合、金融機関システム40が、ユーザからの特別の指示を受けなくとも、要求メッセージに応じてユーザの口座から指定された金額の振り替えを行うことの法的根拠となる。
【0061】
[1.7.認証サーバ]
認証サーバ90は、演算処理装置(CPU)、主メモリ(RAM)、読出し専用メモリ(ROM)、入出力装置(I/O)、必要な場合にはハードディスク装置等の外部記憶装置を具備している装置であって、例えばコンピュータ、ワークステーションなどの情報処理装置である。
【0062】
認証サーバ90は、ユーザ側電子証明書711及び/又は決済事業者側電子証明書712を発行し、またこれら電子証明書711及び/又は決済時業者側電子証明書712の有効性のリストであるCRL(Certificate Revocation Lists)を管理し、問い合わせに応じる機能をさらに有していてもよい。
【0063】
[1.8.タイムスタンプサーバ]
タイムスタンプサーバ95は、演算処理装置(CPU)、主メモリ(RAM)、読出し専用メモリ(ROM)、入出力装置(I/O)、必要な場合にはハードディスク装置等の外部記憶装置を具備している装置であって、例えばコンピュータ、ワークステーションなどの情報処理装置である。
【0064】
タイムスタンプサーバ95は、移動体通信端末90からのタイムスタンプ発行要求に応じて、タイムスタンプ・トークンを生成しこれを移動体通信端末に送信する機能を有するタイムスタンプサーバ95はRFC3161に記述されるタイムスタンプ局 (TSA,Time Stamping Authority)として動作する装置である。
【0065】
[2.電子決済システムの動作例]
次に、上記電子決済システム1の動作について図9,10,11,12を参照しながら説明する。図9、10は、上記電子決済システム1のユーザ登録時の動作例を示したシーケンス図であり、図11は、ユーザ登録後のユーザが本電子決済システム1による有価価値の取得を行った場合の動作例であり、図12は図11に続くシーケンス図である。
【0066】
まず、上記電子決済システム1のユーザ登録までの動作について図9、10以下を参照しながら説明する。図9及び10は、上記電子決済システム1の動作例であって、ユーザが移動体通信端末20を用いて電子決済システム1にユーザ登録を行う場合の、電子決済システム1の動作例を示したシーケンス図である。
【0067】
まず、ユーザは移動体通信端末20で電子決済サーバ10に接続し、電子決済システム1によるサービスを受けるための移動体通信端末20用ソフトウエア(以下、「アプリ」と呼ぶ)を電子決済サーバ10に要求する(S101)。電子決済サーバ10は、要求に応じてアプリのデータ及び電子化契約書713を移動体通信端末20にダウンロードさせる(S102)。アプリ、電子化契約書713を受信した移動体通信端末20は、アプリのデータなどをメモリなどの記憶装置、及び電子化契約書713を記憶部703に記憶させる(S103)。このアプリは、移動体通信端末20のCPUなどによって実行されることにより、前述した支払要求生成部202、振替要求生成部207、電子契約申請部206などとして機能する。
【0068】
なお、上記の実施の形態では、アプリダウンロード用のサーバ、電子化契約書713ダウンロード用のサーバとしても電子決済サーバ10を用いることとして説明したが、アプリダウンロード用のサーバ、及び/又は電子化契約書713ダウンロード用のサーバは電子決済サーバ10とは別個の装置若しくはシステムであってももちろん構わない。
【0069】
ダウンロードされたアプリは、ユーザが移動体通信端末20で所定の操作を行うことなどにより起動する(S104)。アプリである電子契約申請部206はダウンロード後最初に起動したときに、電子化契約書713を出力部205に表示させ(S104)、ユーザに電子化契約書の内容の確認を促す。
【0070】
次に、移動体通信端末20、より詳しくは電子契約申請部206はユーザに電子契約を結ぶか否かの決定の入力を受け付ける(S105)。例えば、出力部205である液晶ディスプレイに、「この内容で契約をしますか? YES/NO」のようなメッセージを表示させてユーザの入力を促す。ユーザが電子化契約書713の内容に従って契約を結ぶことを選択した場合は、電子契約申請部206、より詳しくは暗号化処理部702は、暗号鍵715を用いて電子署名を生成する(S106)。なお、この実施の形態では、電子署名は
電子化契約書713にユーザの住所氏名などを記入したもののハッシュ値を暗号鍵715によりRSA暗号方式により暗号化したものとするが、このようなものに限られず、例えば、ユーザを一意に特定可能な情報であって、第三者が容易に知り得ないものを暗号化したデータを使用しても構わない。但し、この場合には電子証明書711は利用しないこととなる。
【0071】
次に、移動体通信端末20、より詳しくは電子契約申請部206は、電子化契約書713(但し、ユーザの住所氏名の入力が書き加えられている)、S106において生成した電子署名、及びユーザ側電子証明書711を電子決済サーバ10に送信する(S107)。
【0072】
上記S107による電子化契約書713などを受信した電子決済サーバ10は、ユーザ側電子証明書711の発行機関である認証サーバ90に、ユーザ側電子証明書711の有効性を問い合わせる(S108)。認証サーバ90は、CRL(Certified Revocation List)を参照して、ユーザ側電子証明書711の有効性を判定し、判定結果を電子決済サ
ーバ10に送信する(S109)。
【0073】
判定結果がユーザ側電子証明書711が有効であるとする場合、電子決済サーバ10は、ユーザ側電子証明書711の検証処理を実行する(S110)。すなわち、電子決済サーバ10は、ユーザ側電子証明書711の電子署名が認証局(CA)によりなされたものかを認証局の公開鍵により電子署名を復号化して確認し、且つユーザ側電子証明書711が改ざんされていないかを確認する。S109からS111の検証が全て成功した場合、
ユーザ側電子証明書711が信用できること、すなわちユーザ側電子証明書711に記述された暗号鍵(例えば、公開暗号鍵方式における公開鍵)がユーザのものであると信用できることが判明した。
【0074】
上記ユーザ側電子証明書711の検証が成功した場合、電子決済サーバ10は、電子化契約書713に付された電子署名の検証を実行する(S111)。すなわち、電子決済サーバ10は、ユーザ側電子証明書711に記載された暗号鍵を用いて、電子化契約書713に付された電子署名を復号化し、電子署名の検証及び電子化契約書713の正当性(改ざんされていないこと)を検証する。
【0075】
S111における電子署名の検証に成功した場合、電子決済サーバ10は電子化契約書711はユーザにより正当に署名されたものと判定する。電子決済サーバ10は、移動体通信端末20から受信した電子化契約書713(ユーザの電子署名が付されている)に決済事業者の電子署名をさらに付すと共に、決済事業者側電子証明書712を付し、これら電子化契約書713、決済事業者の電子署名、及び決済時業者側電子証明書712を移動体通信端末20に送信する(S112)。
【0076】
ステップS112において送信された電子化契約書713などを受信した移動体通信端末20は、決済事業者側電子証明書712の発行機関である認証サーバ90に、決済事業者側電子証明書712の有効性を問い合わせる(S113)。認証サーバ90は、CRL(Certified Revocation List)を参照して、決済事業者側電子証明書712の有効性を
判定し、判定結果を電子決済サーバ10に送信する(S114)。
【0077】
判定結果が決済事業者電子証明書712が有効であるとする場合、電子決済サーバ10は、決済事業者側電子証明書712の検証処理を実行する(S115)。すなわち、電子決済サーバ10は、決済事業者側電子証明書712の電子署名が認証局(CA)によりなされたものかを認証局の公開鍵により電子署名を復号化して確認し、且つ決済事業者側電子証明書712が改ざんされていないかを確認する。S113からS115の検証が全て成功した場合、決済事業者側電子証明書712が信用できること、すなわち決済事業者側電子証明書712に記述された暗号鍵(例えば、公開暗号鍵方式における公開鍵)が決済事業者のものであると信用できることが判明した。
【0078】
上記決済事業者側電子証明書712の検証が成功した場合、移動体通信端末20は、電子化契約書713に付された決済事業者の電子署名の検証を実行する(S116)。すなわち、移動体通信端末20は、決済事業者側電子証明書712に記載された暗号鍵を用いて、電子化契約書713に付された決済事業者の電子署名を復号化し、決済事業者の電子署名の検証及び電子化契約書713の正当性(改ざんされていないこと)を検証する。
【0079】
S116における決済事業者の電子署名の検証に成功した場合、移動体通信端末20は電子化契約書713は決済事業者により正当に署名されたものと判定する。
【0080】
次に、移動体通信端末20は、ユーザ及び決済事業者の電子署名が付された電子化契約書713(或いはそのハッシュ値)をタイムスタンプサーバ95に送信し、タイムスタンプサーバ92にタイムスタンプの発行を要求する(S117)。このタイムスタンプ要求を受信したタイムスタンプサーバ95は、ユーザ及び決済事業者の電子署名が付された電子化契約書713のハッシュ値に日時を付与し、デジタル署名としたタイムスタンプ・トークンを生成し、これを移動体通信端末20に送信する(S118)。
【0081】
移動体通信端末20は、このタイムスタンプ・トークンを取得する(S119)と、ユーザ及び決済事業者の電子署名が付された電子化契約書713にこのタイムスタンプ・ト
ークンを付与して電子化契約書保管原本714として記憶部703に記憶させると共に、電子決済サーバ10に送信する(S120)。
【0082】
電子化契約書保管原本714を受信した電子決済サーバ10は、これを記憶部803に記憶させる(S121)。
【0083】
これにより、ユーザ及び決済事業者の間の引き落とし代行の契約が締結されたこととなる。この電子化契約書保管原本714が電子決済サーバ10に記憶されることを条件に、電子化決済サーバ10は、ユーザ登録を受け付ける。すなわち、電子化契約書保管原本714が電子決済サーバ10に記憶されなければ、ユーザ登録は行われず、従ってユーザが電子決済システム1の利用を開始することはできない。言い換えれば、電子化契約書保管原本714が電子決済サーバ10に記憶されることが、ユーザ登録の必須条件となっている。
【0084】
次に、図11を参照しながら、ステップS121の後の電子決済システム1の動作について説明する。なお、図11以降のシーケンス図においては、認証サーバ90,タイムスタンプサーバ95の図示は省略した。
【0085】
ステップS121の完了をトリガとして、電子決済サーバ10は移動体通信端末20にユーザ登録開始メッセージを送信する(S122)。
【0086】
ユーザ登録開始メッセージを受信した移動体通信端末20は、アプリを起動させる(S123)。アプリはダウンロード後最初に起動したときに、ユーザに初期情報を入力させるための初期入力画面を出力部205に表示させ、ユーザに初期情報入力を促す(S124)。ここで、初期情報として要求されるのは、ユーザID602、パスワード603、メールアドレス604、銀行番号605、支店番号606,口座種別607,口座番号608、口座名義609,並びに暗証番号610などである。なお、ユーザID602、パスワード603は予め電子決済サーバ10により設定されるようにして、ユーザの入力によらないものとしてもよい。
【0087】
ユーザが移動体通信端末20の入力部204を用いて初期情報の入力を完了させると、移動体通信端末20は、電子決済サーバ10に通信網50を介して接続し、入力された初期情報などを電子決済サーバ10に送信する(S125)。
【0088】
初期情報を受信した電子決済サーバ20は、この初期情報が正しい情報であるか、入力されたユーザ口座が有効であるかを、金融機関システム40に問い合わせるメッセージである口座確認要求メッセージを金融機関システム40に送信する(S126)。口座確認要求メッセージを受信した金融機関システム40は、口座のデータベースなどを検索して、口座確認要求メッセージにおいて確認対象とされたユーザ口座の有無、有効性を判定し、判定の結果を口座確認結果メッセージとして電子決済サーバ10に送信する(S127)。口座確認結果メッセージが、入力された口座情報が間違っている、又は口座が有効でないことを示している場合、口座確認結果メッセージを受信した電子決済サーバ10は、再度初期情報の入力を促すメッセージを移動体通信端末20に送信する(図11において図図示省略)。一方、口座確認結果メッセージが、入力された口座情報が正しく、入力された口座が有効であるということを示している場合、口座確認結果メッセージを受信した電子決済サーバ10は、入力された初期情報に基づいてユーザ登録を行う(S128)。すなわち、電子決済サーバ20は、データベース部403のユーザテーブル600及びユーザ保有金額データ700にそれぞれ新たなレコード601,701を追加して、これらレコード601、701にユーザID602、パスワード603、メールアドレス604、銀行番号605、支店番号606,口座種別607,口座番号608、口座名義609
,並びに暗証番号610などを書き込んでおく。
【0089】
上記のユーザ登録(S128)が完了すると、電子決済サーバ10は、電子化契約書原本714を金融機関システム40に送信する(129)。電子化契約書原本714を受信した金融機関システム40は、これを記憶する(S130)。なお、この例では、電子化契約書原本714の受信先を金融機関システム40としたが、電子化契約書原本714の受信先は、ユーザ口座を有する金融機関が、電子化契約書原本714に基づいて契約成立を確認可能な装置であればどのようなものでも構わない。
また、この例においては、電子化契約書原本714を金融機関システム40に送信するタイミングをユーザ登録(S128)の後として説明したが、電子化契約書原本714が生成された後(S119以後)であれば、どのようなタイミングで電子化契約書原本714を金融機関システム40に送信するようにしても本発明は成立する。
さて、ユーザ登録(S128)完了後、そのユーザは電子決済システム1の利用が可能
となる。以下、図12を参照しながら、ユーザ登録後の電子決済システム1の動作例を説明する。
【0090】
まず、ユーザが本電子決済システムを利用して、有価価値提供装置30による有価価値の提供を受けようとしようとしたものとする。
【0091】
この場合、ユーザは移動体通信端末20が有価価値提供装置30の機器IDを取得するよう、移動体通信端末20と有価価値提供装置30との間で近距離通信による通信を行わせる。例えば、端末側近距離通信部201が非接触式ICカード用ICチップであり、提供装置側近距離通信部303がリーダ/ライタである場合には、非接触式ICカード用チップの近接をリーダ/ライタが検知すると、提供装置側近距離通信部303であるリーダ/ライタは機器ID及び支払要求生成部202に対応するアプリ番号を端末側近距離通信部201である非接触式ICカード用チップに送信する(S701)。
【0092】
機器ID及びアプリ番号を受信した端末側近距離通信部201は、このアプリ番号に対応するアプリケーション、すなわち支払要求生成部202を起動させる(S702)。このとき、機器IDは支払要求生成部202に渡される。
【0093】
起動した支払要求生成部202は、ユーザからの入力を受け付けるため入力画面を出力部205である液晶ディスプレイに表示させる(S703)。図14は、出力部205である液晶ディスプレイに表示される入力画面の一例を示す図である。この入力画面例では、金額入力ボックス901と、OKボタン902が設けられている。ユーザは、有価価値提供装置30から提供を受けたい有価価値の価格をこの金額入力ボックス901に入力する。なお、前回金額入力ボックス901に入力された金額がある場合には、支払要求生成部202はこれを記憶し、自動的に金額入力ボックス901に表示し、ユーザが変更入力を行わない限り、当該金額にて決済リクエストメッセージを生成するようにしてもよい。金額入力ボックス901に入れた金額が確定した後に、OKボタン902がユーザの入力部204の操作により活性化されユーザ入力が完了する(S704)と、支払要求生成部202は決済リクエストメッセージを生成し、これを電子決済サーバ10に宛てて送信する(S705)。
【0094】
ここで、OKボタン902は、移動体通信端末20が有価価値の対価として指定する振込金額を決定する処理と、前記振込金額に応じた有価価値の提供を求める決済の要求を実行する処理とを、一つの操作により実行するための操作手段として機能している。
【0095】
図15に、支払要求生成部202が生成する決済リクエストメッセージのデータ構成例を示す。図15に示す決済リクエストメッセージ1000は、ヘッダ1001、ユーザI
D1002,パスワード1003,銀行番号1004、支店番号1005、口座番号1006、暗証番号1007,機器ID1008,振込金額1009により構成されるデータである。ヘッダ1001は、このデータが決済リクエストメッセージであることを示すデータである。ユーザID1002,パスワード1003,銀行番号1004、支店番号1005、口座番号1006、暗証番号1007には、先に述べた支払要求生成部202が予め記憶していた情報である、ユーザID206と、電子決済サーバがユーザの本人認証を行うためのパスワード207と、ユーザが支払代金を引き出す口座を特定する、銀行番号208、支店番号209、口座番号210、及びその口座に設定された暗証番号211(図3参照)が格納される。また、機器ID1008は、S701において有価価値提供装置30より送信された機器IDであり、振込金額1009は、入力画面の金額入力ボックス901に入力された情報である。
【0096】
図12に戻り、電子決済システム1の動作の説明を続ける。
決済リクエストメッセージ1000を受け取った電子決済サーバ10,より詳しくは支払要求処理部402は、与信チェック部404を起動し、与信チェック部404に与信チェック要求を金融機関システム40に送信させる(S706)。与信チェック要求は、決済リクエストメッセージ1000に含まれるユーザIDに対応するユーザの支払能力を金融機関システム40に問い合わせるものである。
【0097】
金融機関システム40は、当該ユーザの与信情報を調べ、そのユーザが要求する金額の支払が可能かどうかを、口座残高などを調べることにより判定し、判定結果を電子決済サーバ10にチェック結果通知として送信する(S707)。
【0098】
金融機関システム40からチェック結果通知を受け取った電子決済サーバ10,より詳しくは支払要求処理部402は、結果通知部407を起動させ、金融機関システム40から受け取ったチェック結果通知に基づいた処理結果通知を生成し、これを移動体通信端末20に送信する(S708)。
【0099】
処理結果通知を受け取った移動体通信端末20は、その出力部205に処理結果通知の内容を表示する(S709)。例えば、「決済要求は処理されました。ご利用ありがとうございました。」或いは「残高が不足しています。決済はできませんでした。」などの内容が表示される。
【0100】
次に、図13に移り、電子決済システム1の動作例の説明を続ける。図13は、図12に続く、電子決済システム1の動作例を示すシーケンス図である。
金融機関システム40の与信状況の判定結果が支払い可能を示す内容であれば、電子決済サーバ10、より詳しくは提供指示部406は、有価価値提供装置30に支払手続き終了メッセージを送信する(S710)。支払手続終了メッセージは、ユーザの指定した金額に応じた支払手続きが終了したことを示す電文に相当する。
【0101】
なお、支払手続終了メッセージの宛先とすべき、有価価値提供装置30の宛先情報(例えば、IPアドレス)は、データベース部403に記憶された有価価値提供装置テーブル600より取得すればよい。支払手続終了メッセージには、振込金額1009に対応した金額情報が含まれている。但し、振込手数料などの金額が元の額から差し引かれた額としても構わない。
支払手続終了メッセージを受信した有価価値提供装置30は、支払手続終了メッセージに含まれる金額情報に応じた数量の有価価値をユーザに提供する(S711)。
【0102】
一方、電子決済サーバ10は、金融機関システム40にユーザの口座から、有価価値提供装置30の売り上げを取得する権利を有する者である、有価価値提供装置30の管理者
、運営者など(以下、単に「管理者」という)の口座にユーザにより指定された金額を振り込むよう、振込要求メッセージを送信する(S712)。図16は、振込要求メッセージのデータ構成の例を示す図である。振込要求メッセージ1100は、ユーザの引き落とし口座を特定する情報である、銀行番号1101、支店番号1102、口座番号1103と、ユーザの引き落とし承認を示す暗証番号1104を含み、さらに振込金額1105と、振込先口座である管理者の口座を特定する情報である(振込先)銀行番号1106、(振込先)支店番号1107、(振込先)口座番号1108を含んでいる。
【0103】
銀行番号1101、支店番号1102、口座番号1103、暗証番号1104は、決済リクエストメッセージ1000に含まれる銀行番号1004、支店番号1005、口座番号1006、暗証番号1007、振込金額1009に基づいて生成される。(振込先)銀行番号1106、(振込先)支店番号1107、(振込先)口座番号1108は、機器ID1008に基づいて有価価値提供装置テーブル600から取得されたデータに基づいて生成される。
【0104】
上記の振込要求メッセージを受信した金融機関システム40は、ユーザの口座から管理者の口座へ指定された振込金額を振り替える振替処理を実行する(S713)。これで、ユーザが有価価値提供装置30から受け取った有価価値の対価の支払が完了したこととなる。
【0105】
なお、電子決済サーバ10の運営者、管理者など電子決済サーバ10の運営により利益を取得する権能を有する者(決済事業者と呼ぶ)は、ユーザ或いは管理者から手数料を受け取るようにしてもよい。この場合には、電子決済サーバ10は、金融機関システム40にユーザ又は管理者の口座から、決済事業者の口座に手数料に相当する金額を振り込むよう、振込要求メッセージを送信し(S714)、上記の振込要求メッセージを受信した金融機関システム40は、ユーザ又は管理者の口座から決済事業者の口座へ指定された振込金額を振り替える振替処理を実行する(S715)。これで、決済事業者は本電子決済システムの運営から利益を得ることができるようになる。
【0106】
[3.本電子決済システムの利点]
(1)ユーザにとっての利点
遊技場において使用可能な、現金以外の決済方法となるため、遊技場において手持ちの現金がなくなった後でも、簡易な決済行為(移動体通信端末20で、OKボタン902を活性化させる程度の簡単な入力操作を行う処理)で貸し玉、貸しメダルの購入、商品の購入などが可能となる。紛失時の対応、及び意識しない使い過ぎの確認のために、予め設定できる1ヶ月間の使用累計金額、及び又は1日当たりの最大利用金額に達すると、暗証番号の入力を要求されるなどの機能により、利用に対する安心感を得ることができる。
【0107】
また、この決済行為において、決済行為に使う端末は、利用者が所有する移動体通信端末である安心感に加え、カード番号や暗証番号の入力行為をする必要がないため、通常のクレジット・カード、デビット・カードのように、店舗側にカード番号や暗証番号の記録が残ったり、或いは悪意ある者に不正取得されたりするおそれがなくなり、安心して決済をすることが可能となる。
また、電子決済サーバ10が取得する利用状況情報に基づいた、情報配信を受けることも可能であり、より多彩なサービスを受けることが期待できる。
【0108】
(2)店舗側(管理者)にとっての利益
遊技した結果手持ち現金がなくなったユーザであっても、本電子決済システムによりさらに貸し玉、貸しメダルの購入ができるので遊技機の稼働率が高まり、またそのようなユーザが店舗内で買い物等をしてくれる可能性も高まるので、遊技場の売り上げ向上が期待
できる。同時に、利用者が、どの遊技機でどの程度遊技したかの情報も得られることから、この情報を基に、遊技機の稼動状況の詳細を知ることができ、利用者の好みも知ることが可能であり、マーケティング情報として活用も可能である。
本電子決済システムを利用した場合には、店舗内で取り扱う現金は増加しないため、入金管理が容易になると共に現金の保安管理も向上する。
【0109】
(3)電子決済事業者にとっての利点
電子決済事業者は、本電子決済システムを運営することにより、ユーザである遊技者の遊技状況を把握することが可能となり、遊技機の開発、販売、営業などで参照するデータを蓄積できる。
【0110】
[4.変形例、その他]
(1)有価価値提供装置30に設けた液晶ディスプレイなどにQRコードなどを表示しておき、移動体通信端末20にCCDカメラを利用したバーコードリーダを設けてバーコードの読み取りを行わせることにより、提供装置側近距離通信部303及び端末側近距離通信部201の代わりとしてもよい。この場合はバーコードが示す情報がそのまま機器IDとなればよい。
【0111】
(2)上記実施の形態においては、ユーザの与信チェックは電子決済サーバ10が金融機関システム40に問い合わせることによって行っていたが、電子決済サーバ10が与信額テーブルをデータベース部403に有する構成として、電子決済サーバ10が自ら与信チェックを行う構成としても本発明は成立する。与信額テーブルには与信枠と、与信の残高をユーザ毎に記憶しておき、与信残高が振込要求額以上であれば、支払を認めるようにする。
【0112】
(3)上記実施の形態においては、振込金額はユーザの口座から直接店舗(管理者)の口座に振り込まれる構成としたが、ユーザの口座から振込金額を一旦電子決済事業者の口座に振込ませておき、手数料を差し引いた金額を電子決済事業者の口座から店舗(管理者)の口座に振込む構成としても本発明は成立する。
【0113】
(4)認証局(CA)である認証サーバ90は、一般的に使われる他社のサーバであっても、また、自社で構築したサーバであったとしても、本発明は成立する。
【図面の簡単な説明】
【0114】
【図1】電子決済システムの一例を示すネットワーク図
【図2】有価価値提供装置及び移動体通信端末の構成例を示す機能ブロック図
【図3】支払要求生成部が記憶する情報の一例を示す図
【図4】電子契約申請部の項政令を示す機能ブロック図
【図5】電子決済サーバの構成例を示す機能ブロック図
【図6】データベース部に記憶されるユーザテーブルの構成例を示す図
【図7】データベース部に記憶される有価価値提供装置テーブルの構成例
【図8】電子契約処理部の構成例を示した機能ブロック図
【図9】電子決済システムの動作例を示すシーケンス図
【図10】図9に続く、電子決済システムの動作例を示すシーケンス図
【図11】図10に続く、電子決済システムの動作例を示すシーケンス図
【図12】図11に続く、電子決済システムの動作例を示すシーケンス図
【図13】図12に続く、電子決済システムの動作例を示すシーケンス図
【図14】出力部に表示される入力画面の一例を示す図
【図15】支払要求生成部が生成する決済リクエストメッセージのデータ構成例を示す図
【図16】振込要求メッセージのデータ構成の例を示す図
【符号の説明】
【0115】
1 … 電子決済システム
10 … 電子決済サーバ
20 … 移動体通信端末
30 … 有価価値提供装置
40 … 金融機関システム
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子決済システム、電子決済サーバ、有価価値提供装置、移動体通信端末、並びに電子決済方法に関し、より詳しくは現金決済に準じた電子決済を実現するための電子決済システム、電子決済サーバ、有価価値提供装置、移動体通信端末、並びに電子決済方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の情報処理技術、通信技術の発展及び通信インフラの普及により、料金・代金の支払方法が多様化し、現金による支払に代わるさまざまな方法が提案され利用されるようになってきている。
【0003】
現金に代わる代金支払方法としては、いわゆる後払い形式のクレジット・カードや先払い形式のプリペイドカードや、即時決済型のデビット・カードが存在している。
【0004】
さて、パチンコホールなどの遊技場における支払においても、現金以外の支払方法が利用できれば、ユーザ(遊技者)の利便が向上するとともに、遊技機の稼働率が高まることによる遊技場の売り上げ向上も期待できる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、遊技者が過大な借り入れをすることを防ぐ趣旨で規制されているため、一般に遊技場におけるクレジット・カードの利用は制限されている。また、仮に、遊技場においてクレジット・カードによる決済方法が可能になったとしても、クレジットによる利用の記録が自宅に郵送されてきたり、利用状況によっては、本人確認の電話がクレジット事業者からかかってきたりと、煩わしい状況であったり、さらには個人情報漏洩のおそれのために、クレジット・カード番号、暗証番号を遊技場側に伝えて決済し、個人情報の記録が遊技場内部に残ってしまうことに遊技者はすくなからぬ抵抗感を有するであろうため、遊技場におけるクレジット・カードによる決済利用普及は難しい。
【0006】
また、現金以外の別の決済方法として、プリペイドカードによる支払方法もあるが、遊技の結果、遊技者が手持ちの現金を全て消費してしまった場合には、プリペイドカードをさらに追加購入することはできない。遊技者が手持ちの現金を遊技において消費し終わった後、もう少し遊技したい、或いは遊技場において何らかの飲食や買い物をしたいという要求を持っていても、現状ではそのような要求に応えることができる決済方法が用意されておらず、遊技場はこのような潜在的な需要をみすみす見逃さざるを得なかった。
【0007】
また、さらに従来は現金以外の決済方法を利用するためには、事前に決済を行う業者である決済事業者とユーザが書面による契約を行うことが必要であって、ユーザが直ちにその現金以外の決済方法を利用することはできないという不便があった。
【0008】
本発明の目的は、遊技場においても利用可能な、現金決済と同様の電子決済方式を提供することにある。
本発明の別の目的は、いわゆるオンライン上で電子決済方式の利用を可能とする契約をおこなうことができる電子決済方式を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための手段として、本発明は以下の特徴を有している。
本発明の第1の態様は、電子決済サーバと、前記電子決済サーバと通信可能な移動体通信端末と、前記電子決済サーバ及び前記移動体通信端末と通信可能な有価価値提供装置とを有する電子決済システムとして提案される。
【0010】
この電子決済システムにおいて、移動体通信端末は、有価価値提供装置からその有価価値提供装置を特定する機器特定情報(例えば、機器ID)を取得し、ユーザを特定するユーザ特定情報(例えば、ユーザID)と、有価価値の提供の対価である振込金額と、前記機器特定情報とを含む決済リクエストメッセージを生成し、この決済リクエストメッセージを電子決済サーバに送信し、電子決済サーバは、前記ユーザ特定情報によって特定されたユーザの与信状況のチェックの結果に応じて、有価価値提供装置に前記振込金額に応じた有価価値の提供を指示する提供指示メッセージを有価価値提供装置に送信し、且つ前記ユーザの口座から所定の口座への前記振込金額に応じた額の振込を要求する振込依頼メッセージを送信し、有価価値提供装置は、前記電子決済サーバから提供指示メッセージを受信した場合、前記振込金額に応じた有価価値(例えば、貸し玉、貸しメダル、プリペイドカード)の提供を行うことを特徴としている。
【0011】
かかる電子決済システムによれば、手持ちの現金を有しないユーザであっても、簡易且つ安全に有価価値の購入をすることができる。
【0012】
本発明の第2の態様は、本発明にかかる電子決済方式を実行するための装置である電子決済サーバとして提案される。この電子決済サーバは、移動体通信端末からユーザを特定するユーザ特定情報(例えば、ユーザID)と、有価価値の提供の対価である振込金額と、ユーザが有価価値の提供を求めた有価価値提供装置を特定する情報である機器特定情報(例えば、機器ID)とを含む決済リクエストメッセージを受信すると、前記ユーザの与信状況のチェックの結果に応じて、前記機器特定情報により特定された有価価値提供装置に前記振込金額に応じた有価価値の提供を指示する提供指示メッセージを送信し、且つユーザの口座から所定の口座への前記振込金額に応じた額の振込を要求する振込依頼メッセージを送信することを特徴とする。
かかる電子決済サーバによれば、手持ちの現金を有しないユーザであっても、簡易且つ安全に有価価値の購入をすることができる。
【0013】
本発明の第3の態様は、本発明にかかる電子決済方式を実行するための装置である有価価値提供装置として提案される。この有価価値提供装置は、移動体通信端末にその有価価値提供装置を特定する情報である機器特定情報(例えば、機器ID)を送信し、ユーザを特定するユーザ特定情報(例えばユーザID)と、有価価値の対価である振込金額と、前記機器特定情報とを含む決済リクエストメッセージに応じて送信された提供指示メッセージを受信した場合、前記振込金額に応じた有価価値の提供を実行することを特徴としている。
かかる有価価値提供装置によれば、手持ちの現金を有しないユーザであっても、簡易且つ安全に有価価値の購入をすることができる。
【0014】
本発明の第4の態様は、本発明にかかる電子決済方式を実行するための装置である移動体通信端末として提案される。この移動体通信端末は、有価価値提供装置からその有価価値提供装置を特定する機器特定情報(例えば、機器ID)を取得するとともに、ユーザを特定するユーザ特定情報(例えば、ユーザID)と、有価価値の提供の対価である振込金額と、前記機器特定情報とを含む決済リクエストメッセージを生成し、この決済リクエストメッセージを電子決済サーバに送信して、前記電子決済サーバが行う前記ユーザの与信状況のチェックの結果に応じて、前記振込金額に応じた有価価値の提供を指示する提供指示メッセージを前記電子決済サーバから前記有価価値提供装置に送信させる、ことを特徴
としている。
かかる移動体通信端末によれば、手持ちの現金を有しないユーザであっても、簡易且つ安全に有価価値の購入をすることができる。
【0015】
本発明の第5の態様は、本発明にかかる電子決済方式を実行するための電子決済方法として提案される。この電子決済方法は、有価価値提供装置を特定する機器特定情報を受信するステップと、ユーザを特定するユーザ特定情報と、有価価値の対価である振込金額と、前記機器特定情報とを含む決済リクエストメッセージを生成し、この決済リクエストメッセージを送信するステップと、前記決済リクエストメッセージに応答して、前記ユーザの与信状況の問い合わせを行い、前記ユーザの与信状況の問い合わせの結果に応じて、前記機器特定情報により特定された有価価値提供装置に前記振込金額に応じた有価価値の提供を指示する提供指示メッセージを送信するステップと、前記ユーザ特定情報により特定されたユーザの口座から所定の口座への前記振込金額に応じた額の振込を要求する振込依頼メッセージを送信するステップと、前記提供指示メッセージに応じて、前記有価価値提供装置に前記振込金額に応じた有価価値の提供を実行するステップとを有していることを特徴としている。
かかる電子決済方法によれば、手持ちの現金を有しないユーザであっても、簡易且つ安全に有価価値の購入をすることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、遊技場においても利用可能な、現金決済に代わる電子決済を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。
[1.電子決済システムの構成例]
図1は本実施の形態にかかる電子決済システムの一例を示すネットワーク図である。
この図に示す例においては、電子決済システム1は、電子決済サーバ10と、移動体通信端末20と、有価価値提供装置30と、認証サーバ90と、タイムスタンプサーバ95を有している。電子決済サーバ10は、与信チェックを行うとともに、電子決済サーバ10からの指示に基づいて、ユーザの口座から指定された振込先口座へ指定された金額の振込処理を実行する金融機関システム40に接続されている。また、電子決済サーバ10は通信網50に接続されており、有価価値提供装置30と通信網50を介して通信可能となっている。移動体通信端末20は、基地局60、移動体通信網70、及び移動体通信網70と通信網50とを接続するゲートウエイ80とを介して電子決済サーバ10と通信可能であるとともに、近距離通信手段(例えば、非接触式ICカード及びそのリーダ/ライタ)により有価価値提供装置30と通信可能である。認証サーバ90は電子決済サーバ10,移動体通信端末20と通信網70を介して接続可能である。タイムスタンプサーバ95は、移動体通信端末20と通信網を介して接続可能である。以下、上記の電子決済システム1の各構成要素について説明する。
【0018】
[1.1.有価価値提供装置]
有価価値提供装置30は、ユーザが移動体通信端末20を用いて電子決済を行った対価として、予め用意されている有価価値(金銭により購入できる有体物、無体物をいうものとする)をユーザに提供する装置であって、例えば遊技場の玉貸し機、メダル貸し出し装置などである。なお、本実施の形態における有価価値提供装置30は、必ずしも有価価値を直接ユーザに提供する装置である必要はなく、例えば、デビット・カードのCAT端末の
ように、電子決済は可能である旨を店舗側に通知して、店舗側に品物などをユーザに引き渡させるなどの間接的にユーザに有価価値を提供する装置も含む。
【0019】
図2は、有価価値提供装置30及び移動体通信端末20の構成例を示す機能ブロック図である。以下、図2を参照しながら有価価値提供装置30の構成について説明する。
有価価値提供装置30は、ネットワーク通信処理部301と、提供制御部302と、提供装置側近距離通信部303と、有価価値供給部304とを有している。ネットワーク通信処理部301は、通信網50を介して電子決済サーバ10と通信を実行する機能を有し、例えば、プロトコルスタックを搭載した通信ボードなどである。
【0020】
提供制御部302は、ネットワーク通信処理部301、提供装置側近距離通信部303、有価価値供給部304の動作を命令・制御する機能を有し、例えば有価価値提供装置30を実現するためのプログラムを搭載したマイクロコンピュータである。
【0021】
提供装置側近距離通信部303は、移動体通信端末20に搭載されている端末側近距離通信部201と通信を行う機能を有し、例えば、非接触式ICカードのリーダ/ライタである。なお、提供装置側近距離通信部303が用いる通信方式は、無線に限られる必要はなく、赤外線通信であっても構わない。また、有価価値提供装置30が表示するバーコードを移動体通信端末20で光学的に読み取ることにより、データの受け渡しを行う方法であっても、本発明は成立する。また、必ずしも非接触式の通信方式でなくともよく、通信ケーブルやUSBソケットにより接続して通信する方式を採用しても本発明は成立する。
【0022】
有価価値供給部304は、提供制御部302の命令に応じて、有価価値をユーザに提供する機能を有し、例えば、玉貸し機の貸し玉出力部、メダル貸出機のメダルホッパー、認証端末(CAT端末)のディスプレイ、或いはプリンタなどである。有価価値は、金銭によ
り購入可能なものであれば、どのようなものでもよく、貸し玉、貸しメダル、プリペイドカード、オンバリューカード(ハウスカード)又は同等品などである。
【0023】
[1.2.移動体通信端末]
次に、図2を参照しながら移動体通信端末20について説明する。移動体通信端末20は、電子決済サーバ10と通信網50を介して通信可能であるとともに、有価価値提供装置30とも通信可能な端末装置であって、例えば、非接触式ICカード(例えば、フェリカ;フェリカはソニー社の登録商標)機能を有する携帯電話機、近距離通信手段及び無線通信手段を搭載したPDA(Personal Data Assistant)、携帯ゲーム機、無線LAN通
信装置を搭載したIP電話機などである。移動体通信端末20は、前述の提供装置側近距離通信部303と通信を行うための端末側近距離通信部201と、支払要求生成部202と、無線通信部203と、入力部204と、出力部205と、電子契約申請部206とを有している。
【0024】
端末側近距離通信部201は、提供装置側近距離通信部303と通信を行う機能を有し、例えばICカード用チップ及びアンテナである。
支払要求処理部202は、電子決済サーバ10に、有価価値提供装置30に提供してもらう有価価値の対価(代金)の支払を要求するための決済リクエストメッセージを生成する機能を有し、例えば、iアプリ(「iアプリ」はNTTドコモ社の登録商標)を搭載したマイクロコンピュータである。支払要求生成部202は、ユーザの支払に使用する情報を記憶する機能を有する。図3は、支払要求生成部202が記憶する情報の一例を示す。この例では、その移動体通信端末20の使用者として登録されたユーザを一意に特定する情報であるユーザID206と、電子決済サーバがユーザの本人認証を行うためのパスワード207と、ユーザが支払代金を引き出す口座を特定する、銀行番号208、支店番号209、口座番号210、及びその口座に設定された暗証番号211が支払要求生成部202に記憶される。これらの情報、とりわけ銀行番号208、支店番号209、口座番号210、暗証番号211は、ユーザが移動体通信端末20に支払要求生成部202として機能させるアプリケーションのインストール時、或いは本電子決済のサービスを受けるた
めのユーザ登録時などに、ユーザに入力部204によって入力することを要求し、入力されたものをこれら情報206〜211として予め記憶しておく。これら情報206〜211は、有価価値の提供の対価(代金)の支払を要求するための決済リクエストメッセージを生成するときに使用され、決済リクエストメッセージの一部として電子決済サーバ10に送信されることになる。
【0025】
図2に戻り、移動体通信端末20の説明を続ける。
無線通信部203は、移動体通信端末20が移動体通信網70に接続し、移動体通信網70を介した通信を実行する機能を有し、例えば変調回路、復調回路を有する無線通信回路である。移動体通信網は、一般的な携帯電話の通信網であっても、WIMAXや無線LAN
の通信網であってもよい。
【0026】
入力部204は、支払要求生成部202にユーザの指示を電気信号に変えて渡す機能を有し、例えば携帯電話機のキー、タッチペンとタッチパネル、ポインティングデバイスである。
【0027】
出力部205は、移動体通信端末20がユーザに情報を伝えるための情報出力機能を有し、例えば、携帯電話機の液晶パネル、CAT端末の液晶パネル、或いは小型プリンタなど
である。
【0028】
電子契約申請部206は、電子決済システム1の利用に先立って、ユーザと電子決済システム1の運用者、管理者など(決済事業者と呼ぶ)との間で決済事業者がユーザ口座から指定された金額を引き落とすことを内容とする契約を電子的に結ぶ処理を行う機能を有する。
【0029】
図4は、電子契約申請部206の構成例を示す機能ブロック図である。図示のように、電子契約申請部206は、制御部701と、暗号化処理部702と、記憶部703と、復号化処理部704と、判定部705と、タイムスタンプ取得部706とを有する。
【0030】
制御部701は、暗号化部702、記憶部703、復号化部704、判定部705、タイムスタンプ取得部706の各部の動作を統括して制御する機能を有し、各部の起動、各部への入力、各部からの出力などを命令する。
【0031】
暗号化処理部702は、所定の暗号化方法により、暗号鍵715を使って電子署名を生成する機能を有する。
記憶部703は、ユーザ側電子証明書711、決済事業者側電子証明書712、電子化契約書713、電子化契約書原本714、暗号鍵715などを記憶する機能を有する。
【0032】
ユーザ側電子証明書711は、電子契約書713の署名者の一方がユーザ本人であることを証明する電子データであって、例えば、ITU-T勧告のX.509に定義されており、本人情報(所属組織、識別名、名前等)、公開鍵、有効期限、シリアルナンバ、シグネチャ等が含まれている電子データである。この例では、ユーザ側電子証明書711は、認証サーバ90によって発行される電子データである。
【0033】
なお、ユーザ側電子証明書711として以下のものを使用することも本実施の形態では可能である。
a)ユーザ口座を有する金融機関のモバイル端末契約時に発行されるパスワード等
b)ユーザが、電子決済サーバ10からアプリをダウンロードする際に、同時に移動体通信端末に書き込まれるシリアル番号(ユーザID)など
c)移動体通信端末20の製造番号
d)SIM(Subscriber Identity Module Card)のシリアル番号
e)移動体通信端末20の電話番号
f)aからfの情報と、日付や金額などの記載されている情報との論理計算や暗号化によって生成されるものなど
【0034】
決済事業者側電子証明書712は、電子契約書713の署名者の他方が決済事業者であることを証明する電子データであって、例えば、ITU-T勧告のX.509に定義されており、本人情報(所属組織、識別名、名前等)、公開鍵、有効期限、シリアルナンバ、シグネチャ等が含まれている電子データである。この例では、決済事業者側電子証明書712は、認証サーバ90によって発行される電子データである。
【0035】
電子化契約書713は、ユーザと電子決済システムの運営者である決済事業者との間の、決済事業者がユーザ口座から指定された金額を引き落とすこと、及び決済事業者が前記ユーザの口座から指定された金額を引き落とす事を前記ユーザの口座が存在する銀行が承諾すること又は決済事業者が前記ユーザの口座から指定された金額を引き落とす事を前記銀行に求めることを内容とする契約内容を記述した電子データである。
電子化契約書原本714は、電子化契約書713にユーザ及び決済事業者の電子署名、並びにタイムスタンプが付された電子データであって、当事者の捺印済みの契約書に相当する。
【0036】
暗号鍵715は、ユーザが電子署名を生成し、或いは電子決済サーバ10から送られた暗号を復号化するために使用する暗号鍵であって、例えば、公開鍵方式における秘密鍵、或いは共通鍵方式における共通暗号鍵である。
【0037】
ユーザ側電子証明書711、暗号鍵715は、認証局(CA)である認証サーバ90より事前に取得して記憶しておくものでもよいし、移動体通信端末20の出荷時に予めメーカ、ベンダなどがインストールしておくものでもよい。
【0038】
電子化契約書713,決済事業者側電子証明書712は、後述するアプリダウンロード時に電子決済サーバ10から取得する。もちろんその他の方法によって取得しても構わない。
【0039】
復号化処理部704は、電子決済サーバ10から送信される決済事業者の電子署名を復号化する機能を有する。
判定部705は、電子決済サーバ10から電子化契約書とともに送信された決済事業者の電子証明書、電子署名を検証する機能を有する。
【0040】
タイムスタンプ取得部706は、電子決済サーバから返信された決済事業者の電子証明書、電子署名から電子化契約書が決済事業者によって電子署名されていると判定部705により判定された場合、タイムスタンプサーバ95に電子署名の付された電子契約書のタイムスタンプを要求し、これを取得し、取得したタイムスタンプとともに電子署名の付された電子化契約書を電子決済サーバに送信させる機能を有する。また、タイムスタンプ及び電子署名の付された電子契約書は、電子化署名契約書原本として記憶部703に記憶される。
以上で、電子契約申請部206及び移動体通信端末20の説明を終了する。
【0041】
[1.3.電子決済サーバ]
次に、図5を参照しながら電子決済サーバについて説明する。図5は、電子決済サーバ10の構成例を示す機能ブロック図である。
電子決済サーバ10は、演算処理装置(CPU)、主メモリ(RAM)、読出し専用メ
モリ(ROM)、入出力装置(I/O)、必要な場合にはハードディスク装置等の外部記憶装置を具備している装置であって、例えばコンピュータ、ワークステーションなどの情報処理装置である。前記ROM、若しくはハードディスク装置などに情報処理装置を電子決済サーバ10として機能させるためのプログラム、又は電子決済方法をコンピュータに実行させるためのプログラムが記憶されており、このプログラムを主メモリ上に載せ、CPUがこれを実行することにより電子決済サーバ10が実現され、若しくは電子決済方法が実行される。また、上記プログラムは必ずしも情報処理装置内の記憶装置に記憶されていなくともよく、外部の装置(例えば、ASP(アプリケーション・サービス・プロバイダのサーバなど))から提供され、これを主メモリに乗せる構成であってもよい。さらに、この決済サーバは、1箇所に全ての機能を集約したセンター構成であっても、また、機
能毎に、分割して、離間した場所に設置された分散処理可能な分散サーバ構成であってもよい。
【0042】
図5に示す電子決済サーバ10は、ネットワーク通信処理部401と、支払要求処理部402と、データベース部403と、振込要求部405と、提供指示部406と、処理結果通知部407と、電子契約処理部408とを有している。
【0043】
ネットワーク通信処理部401は、通信網50を介して移動体通信端末20、有価価値提供装置30と通信を実行する機能を有し、例えばプロトコルスタックを実行するための通信ボードである。ネットワーク通信処理部401は、移動体通信端末20からのリクエストメッセージを受け取ると、これを支払要求処理部402に渡し、提供指示部406から有価価値提供装置30への提供指示メッセージを受け取ると、これを有価価値提供装置30に宛てて送信する。
【0044】
支払要求処理部402は、移動体通信端末20からの決済リクエストメッセージをネットワーク通信処理部401から受け取ると、与信チェック部404に決済リクエストメッセージを渡し、与信チェック部404に当該決済リクエストメッセージを発したユーザの与信状況の問い合わせをさせる。与信チェック部404がユーザの与信状況が問題ないこと、すなわち支払要求を受け付けてよいというチェック結果を金融機関システム40から受け取った場合、支払要求処理部402は、振込要求部405に振込要求メッセージを生成させ、この振込要求メッセージを金融機関システム40に送信させる。さらに、支払要求処理部402は、提供指示部406から有価価値提供装置30への提供指示メッセージを生成させ、この提供指示メッセージを、ネットワーク通信処理部401を介して有価価値提供装置30に宛てて送信させる。
【0045】
データベース部403は、決済リクエストメッセージに基づいて、振込要求メッセージを生成し、また提供指示メッセージを生成するために必要な情報を記憶すると共に、ユーザの本電子決済システムの利用状況を記憶する。図6は、データベース部403に記憶されるユーザテーブルの構成例である。ユーザテーブル500は、ユーザ毎に一のレコード501を有するデータであって、各レコード501は、ユーザID502、パスワード503、メールアドレス504、利用状況情報505を格納している。ユーザID502は、ユーザを一意に特定する情報であり、パスワード503は、第三者がそのユーザになりすまして本電子決済システムを不正利用することを防止する情報であり、メールアドレス503は、処理結果通知部407が、決済の処理結果をユーザに通知する際に電子メールを利用する場合、その宛先アドレスとして使用する情報であり、利用状況情報505は、例えば、そのユーザの本電子決済システムの利用頻度、利用額、利用場所などの諸情報であって、マーケティング分析や、当該ユーザへのおすすめ情報の選択配信などに利用するための情報である。
【0046】
図7は、データベース部403に記憶される有価価値提供装置テーブルの構成例である
。有価価値提供装置テーブル600は、各有価価値提供装置について一つのレコード601を有するデータであって、各レコード601は、機器ID602,機器IPアドレス603、振込先銀行604、支店名605、口座番号606、口座名義607を格納する。
【0047】
機器ID602は、有価価値提供装置30を一意に特定するための情報であり、機器IPアドレスは、対応する機器IDを有する決済リクエストメッセージを受け取った場合、その決済リクエストメッセージに基づく提供指示メッセージの送信先アドレスとして利用する情報であり、振込先銀行604、支店名605、口座番号606、及び口座名義607は、対応する機器IDを有する決済リクエストメッセージを受け取った場合、ユーザの銀行口座から支払金額を振り込む際の振込先を特定するための情報である。
【0048】
図5に戻り、電子決済サーバ10の構成例の説明を続ける。
提供指示部406は、有価価値提供装置30への提供指示メッセージを生成させ、この提供指示メッセージを、ネットワーク通信処理部401を介して有価価値提供装置30へ宛てて送信する。なお、有価価値提供装置30のアドレスは、前述の有価価値提供装置テーブル600を参照して取得する。
【0049】
また処理結果通知部407は、決済リクエストメッセージが処理されたか否かをユーザに通知する役割を有し、処理結果通知部407は移動体通信端末20を宛先とする電子メールを生成、送信し、或いは移動体通信端末20によって閲覧可能なウエブページに処理結果を示す情報を記載して移動体通信端末20からの閲覧を待つ。通知内容は、例えば「決済要求は処理されました。ご利用ありがとうございました。」或いは「残高が不足しています。決済はできませんでした。」などのメッセージとなる。
【0050】
電子契約処理部408は、移動体通信端末20、より詳しくはその電子契約申請部206と協働して、電子決済システム1の利用開始に先立って、ユーザと電子決済システム1の運用者、管理者など(決済事業者と呼ぶ)との間で決済事業者がユーザ口座から指定された金額を引き落とすことを内容とする契約を電子的に結ぶ処理を行う機能を有する。
また、電子契約処理部408は、ユーザと決済事業者との間で結ばれた契約を証する電子化契約書原本のデータを、当該ユーザ口座を有する金融機関に宛てて送信する機能を有する。
【0051】
具体的には、電子契約処理部408は、移動体通信端末20への電子化契約書713をダウンロードさせる機能、移動体通信端末20から送信された電子署名の付された電子化契約書711とユーザ側電子証明書711を受信する機能、受信した電子署名、ユーザ側電子証明書711の検証を行い、これらが正しいものと認証された場合ユーザの電子署名の付された電子化契約書713に決済事業者の電子署名と決済事業者側電子証明書712を移動体通信端末20に送信する機能、及び移動体通信端末20から送信された電子化契約書原本714を受信して、記憶させる機能、前記電子化契約書原本714を金融機関の指定された装置(例えば、金融機関システム40、或いは金融機関により指定されたネットワーク端末装置(例えば、PC)に宛てて送信する機能を有している。
【0052】
図8は、電子契約処理部408の構成例を示した機能ブロック図である。図示のように、電子契約処理部408は、制御部801と、暗号化処理部802と、記憶部803と、復号化処理部804と、判定部805とを有する。
【0053】
制御部801は、暗号化部802、記憶部803、復号化部804、判定部805の各部の動作を統括して制御する機能を有し、各部の起動、各部への入力、各部からの出力などを命令する。
【0054】
暗号化処理部802は、所定の暗号化方法により、暗号鍵811を用いて決済事業者の電子署名を生成する機能を有する。
記憶部803は、ユーザ側電子証明書711、決済事業者側電子証明書712、電子化契約書713、電子化契約書原本714、暗号鍵811などを記憶する機能を有する。
【0055】
上記のユーザ側電子証明書711、決済事業者側電子証明書712、電子化契約書713、電子化契約書原本714は、電子契約申請部20の記憶部703に記憶されているものと同一であるので、これらの説明は省略する。
【0056】
暗号鍵811は、電子決済事業者が電子署名を生成し、或いは移動体通信端末20から送られた暗号を復号化するために使用する暗号鍵であって、例えば、公開鍵方式における秘密鍵、或いは共通鍵方式における共通暗号鍵である。
決済事業者側電子証明書712、暗号鍵811は、認証局(CA)である認証サーバ90より事前に取得して記憶しておくものでよい。
【0057】
復号化処理部804は、移動体通信端末20から送信されるユーザの電子署名を復号化する機能を有する。
判定部805は、移動体通信端末20から電子化契約書とともに送信されたユーザの電子証明書、電子署名を検証する機能を有する。
制御部801は、タイムスタンプ、電子署名の付された電子化契約書である電子化契約書保管原本714を受信すると、記憶部803に記憶させ、また前記ユーザの口座が存在する銀行に宛てた前記電子化契約書保管原本を送信する。。
【0058】
[1.4.通信網]
図1に戻り、本実施の形態にかかる電子決済システム1の構成要素の説明を再開する。
通信網50は、有線・無線、専用回線・交換回線を問わず、これに接続されている装置がそれぞれ目的とする装置に対しセッションを確立したときにその装置間での情報の送受を可能とするように作用する。通信網50は、インターネットのように、ゲートウエイを介して複数のネットワークが組み合わされて実現しても構わない。また、その接続についてもいわゆるバックボーンといわれる基幹線に直接接続せずとも、PPP接続などによって一時的に接続してあっても、セッションを確立したときにその間で情報の送受ができるようになっていれば構わない。なお、上記「通信網」は専用回線を固定的に張りめぐらせたような、交換機、スイッチ、ルータなど経路切り替え手段を用いない通信網も含むものとする。
【0059】
[1.5.移動体通信網、ゲートウエイ、基地局]
図1に示す例は、移動体通信端末20として携帯電話を用いた場合を想定している。そのため、移動体通信端末20である携帯電話はまず基地局60に無線回線で接続し、この基地局から移動体通信網70、及びゲートウエイ80を介して、電子決済サーバ10が接続している通信網50に接続するものとして図示したが、移動体通信端末20が直接通信網50に接続できるのであれば、移動体通信端末20は移動体通信網70、及びゲートウエイ80を介さずとも電子決済サーバ10に接続してよい。例えば、移動体通信端末20が無線LAN接続機能を有する場合には、移動体通信網70、及びゲートウエイ80を介して通信を行う必要はなくなる。
【0060】
[1.6.金融機関システム]
金融機関システム40は、電子決済サーバ10からのユーザの与信状況の問い合わせに応答して与信状況を回答すると共に、電子決済サーバ10からの振込要求若しくは振替要求に応じて振込処理(一の口座から他の口座への金銭の移動)を実行若しくは依頼できる
システムである。なお、金融機関システム40には、マルチペイメントネットワーク(http://www.jammo.org/参照)のような、直接金融機関が運営するものではない収納システ
ムをも含む。なお、与信状況の回答をするシステムと、振込処理を実行するシステムは必ずしも同一のシステムでなくとも構わない。また、図1に示す例では、電子決済サーバ10と金融機関システム40は専用回線により接続されるものとして図示したが、通信網50を介して電子決済サーバ10と金融機関システム40とが接続される構成としても、本実施の形態は成立する。例えば、金融機関システム40がいわゆるインターネットバンクが用意するシステムである場合には、通信網50を介して電子決済サーバ10と金融機関システム40とが接続される構成となるであろう。
また、金融機関システム40は、電子決済サーバ10がユーザの口座を有する金融機関に宛てて送信する電子化契約書原本714を受信し、記憶する機能を有していてもよい。金融機関は、この電子化契約書原本714に基づいて、決済事業者がユーザの口座から指定された金額を引き落とす事をユーザ及び決済事業者の双方が同意していることを確認できる。この電子化契約書原本714の受信の後、決済事業者がユーザの口座から指定された金額を引き落とすことを内容とする要求メッセージを受信した場合、金融機関システム40が、ユーザからの特別の指示を受けなくとも、要求メッセージに応じてユーザの口座から指定された金額の振り替えを行うことの法的根拠となる。
【0061】
[1.7.認証サーバ]
認証サーバ90は、演算処理装置(CPU)、主メモリ(RAM)、読出し専用メモリ(ROM)、入出力装置(I/O)、必要な場合にはハードディスク装置等の外部記憶装置を具備している装置であって、例えばコンピュータ、ワークステーションなどの情報処理装置である。
【0062】
認証サーバ90は、ユーザ側電子証明書711及び/又は決済事業者側電子証明書712を発行し、またこれら電子証明書711及び/又は決済時業者側電子証明書712の有効性のリストであるCRL(Certificate Revocation Lists)を管理し、問い合わせに応じる機能をさらに有していてもよい。
【0063】
[1.8.タイムスタンプサーバ]
タイムスタンプサーバ95は、演算処理装置(CPU)、主メモリ(RAM)、読出し専用メモリ(ROM)、入出力装置(I/O)、必要な場合にはハードディスク装置等の外部記憶装置を具備している装置であって、例えばコンピュータ、ワークステーションなどの情報処理装置である。
【0064】
タイムスタンプサーバ95は、移動体通信端末90からのタイムスタンプ発行要求に応じて、タイムスタンプ・トークンを生成しこれを移動体通信端末に送信する機能を有するタイムスタンプサーバ95はRFC3161に記述されるタイムスタンプ局 (TSA,Time Stamping Authority)として動作する装置である。
【0065】
[2.電子決済システムの動作例]
次に、上記電子決済システム1の動作について図9,10,11,12を参照しながら説明する。図9、10は、上記電子決済システム1のユーザ登録時の動作例を示したシーケンス図であり、図11は、ユーザ登録後のユーザが本電子決済システム1による有価価値の取得を行った場合の動作例であり、図12は図11に続くシーケンス図である。
【0066】
まず、上記電子決済システム1のユーザ登録までの動作について図9、10以下を参照しながら説明する。図9及び10は、上記電子決済システム1の動作例であって、ユーザが移動体通信端末20を用いて電子決済システム1にユーザ登録を行う場合の、電子決済システム1の動作例を示したシーケンス図である。
【0067】
まず、ユーザは移動体通信端末20で電子決済サーバ10に接続し、電子決済システム1によるサービスを受けるための移動体通信端末20用ソフトウエア(以下、「アプリ」と呼ぶ)を電子決済サーバ10に要求する(S101)。電子決済サーバ10は、要求に応じてアプリのデータ及び電子化契約書713を移動体通信端末20にダウンロードさせる(S102)。アプリ、電子化契約書713を受信した移動体通信端末20は、アプリのデータなどをメモリなどの記憶装置、及び電子化契約書713を記憶部703に記憶させる(S103)。このアプリは、移動体通信端末20のCPUなどによって実行されることにより、前述した支払要求生成部202、振替要求生成部207、電子契約申請部206などとして機能する。
【0068】
なお、上記の実施の形態では、アプリダウンロード用のサーバ、電子化契約書713ダウンロード用のサーバとしても電子決済サーバ10を用いることとして説明したが、アプリダウンロード用のサーバ、及び/又は電子化契約書713ダウンロード用のサーバは電子決済サーバ10とは別個の装置若しくはシステムであってももちろん構わない。
【0069】
ダウンロードされたアプリは、ユーザが移動体通信端末20で所定の操作を行うことなどにより起動する(S104)。アプリである電子契約申請部206はダウンロード後最初に起動したときに、電子化契約書713を出力部205に表示させ(S104)、ユーザに電子化契約書の内容の確認を促す。
【0070】
次に、移動体通信端末20、より詳しくは電子契約申請部206はユーザに電子契約を結ぶか否かの決定の入力を受け付ける(S105)。例えば、出力部205である液晶ディスプレイに、「この内容で契約をしますか? YES/NO」のようなメッセージを表示させてユーザの入力を促す。ユーザが電子化契約書713の内容に従って契約を結ぶことを選択した場合は、電子契約申請部206、より詳しくは暗号化処理部702は、暗号鍵715を用いて電子署名を生成する(S106)。なお、この実施の形態では、電子署名は
電子化契約書713にユーザの住所氏名などを記入したもののハッシュ値を暗号鍵715によりRSA暗号方式により暗号化したものとするが、このようなものに限られず、例えば、ユーザを一意に特定可能な情報であって、第三者が容易に知り得ないものを暗号化したデータを使用しても構わない。但し、この場合には電子証明書711は利用しないこととなる。
【0071】
次に、移動体通信端末20、より詳しくは電子契約申請部206は、電子化契約書713(但し、ユーザの住所氏名の入力が書き加えられている)、S106において生成した電子署名、及びユーザ側電子証明書711を電子決済サーバ10に送信する(S107)。
【0072】
上記S107による電子化契約書713などを受信した電子決済サーバ10は、ユーザ側電子証明書711の発行機関である認証サーバ90に、ユーザ側電子証明書711の有効性を問い合わせる(S108)。認証サーバ90は、CRL(Certified Revocation List)を参照して、ユーザ側電子証明書711の有効性を判定し、判定結果を電子決済サ
ーバ10に送信する(S109)。
【0073】
判定結果がユーザ側電子証明書711が有効であるとする場合、電子決済サーバ10は、ユーザ側電子証明書711の検証処理を実行する(S110)。すなわち、電子決済サーバ10は、ユーザ側電子証明書711の電子署名が認証局(CA)によりなされたものかを認証局の公開鍵により電子署名を復号化して確認し、且つユーザ側電子証明書711が改ざんされていないかを確認する。S109からS111の検証が全て成功した場合、
ユーザ側電子証明書711が信用できること、すなわちユーザ側電子証明書711に記述された暗号鍵(例えば、公開暗号鍵方式における公開鍵)がユーザのものであると信用できることが判明した。
【0074】
上記ユーザ側電子証明書711の検証が成功した場合、電子決済サーバ10は、電子化契約書713に付された電子署名の検証を実行する(S111)。すなわち、電子決済サーバ10は、ユーザ側電子証明書711に記載された暗号鍵を用いて、電子化契約書713に付された電子署名を復号化し、電子署名の検証及び電子化契約書713の正当性(改ざんされていないこと)を検証する。
【0075】
S111における電子署名の検証に成功した場合、電子決済サーバ10は電子化契約書711はユーザにより正当に署名されたものと判定する。電子決済サーバ10は、移動体通信端末20から受信した電子化契約書713(ユーザの電子署名が付されている)に決済事業者の電子署名をさらに付すと共に、決済事業者側電子証明書712を付し、これら電子化契約書713、決済事業者の電子署名、及び決済時業者側電子証明書712を移動体通信端末20に送信する(S112)。
【0076】
ステップS112において送信された電子化契約書713などを受信した移動体通信端末20は、決済事業者側電子証明書712の発行機関である認証サーバ90に、決済事業者側電子証明書712の有効性を問い合わせる(S113)。認証サーバ90は、CRL(Certified Revocation List)を参照して、決済事業者側電子証明書712の有効性を
判定し、判定結果を電子決済サーバ10に送信する(S114)。
【0077】
判定結果が決済事業者電子証明書712が有効であるとする場合、電子決済サーバ10は、決済事業者側電子証明書712の検証処理を実行する(S115)。すなわち、電子決済サーバ10は、決済事業者側電子証明書712の電子署名が認証局(CA)によりなされたものかを認証局の公開鍵により電子署名を復号化して確認し、且つ決済事業者側電子証明書712が改ざんされていないかを確認する。S113からS115の検証が全て成功した場合、決済事業者側電子証明書712が信用できること、すなわち決済事業者側電子証明書712に記述された暗号鍵(例えば、公開暗号鍵方式における公開鍵)が決済事業者のものであると信用できることが判明した。
【0078】
上記決済事業者側電子証明書712の検証が成功した場合、移動体通信端末20は、電子化契約書713に付された決済事業者の電子署名の検証を実行する(S116)。すなわち、移動体通信端末20は、決済事業者側電子証明書712に記載された暗号鍵を用いて、電子化契約書713に付された決済事業者の電子署名を復号化し、決済事業者の電子署名の検証及び電子化契約書713の正当性(改ざんされていないこと)を検証する。
【0079】
S116における決済事業者の電子署名の検証に成功した場合、移動体通信端末20は電子化契約書713は決済事業者により正当に署名されたものと判定する。
【0080】
次に、移動体通信端末20は、ユーザ及び決済事業者の電子署名が付された電子化契約書713(或いはそのハッシュ値)をタイムスタンプサーバ95に送信し、タイムスタンプサーバ92にタイムスタンプの発行を要求する(S117)。このタイムスタンプ要求を受信したタイムスタンプサーバ95は、ユーザ及び決済事業者の電子署名が付された電子化契約書713のハッシュ値に日時を付与し、デジタル署名としたタイムスタンプ・トークンを生成し、これを移動体通信端末20に送信する(S118)。
【0081】
移動体通信端末20は、このタイムスタンプ・トークンを取得する(S119)と、ユーザ及び決済事業者の電子署名が付された電子化契約書713にこのタイムスタンプ・ト
ークンを付与して電子化契約書保管原本714として記憶部703に記憶させると共に、電子決済サーバ10に送信する(S120)。
【0082】
電子化契約書保管原本714を受信した電子決済サーバ10は、これを記憶部803に記憶させる(S121)。
【0083】
これにより、ユーザ及び決済事業者の間の引き落とし代行の契約が締結されたこととなる。この電子化契約書保管原本714が電子決済サーバ10に記憶されることを条件に、電子化決済サーバ10は、ユーザ登録を受け付ける。すなわち、電子化契約書保管原本714が電子決済サーバ10に記憶されなければ、ユーザ登録は行われず、従ってユーザが電子決済システム1の利用を開始することはできない。言い換えれば、電子化契約書保管原本714が電子決済サーバ10に記憶されることが、ユーザ登録の必須条件となっている。
【0084】
次に、図11を参照しながら、ステップS121の後の電子決済システム1の動作について説明する。なお、図11以降のシーケンス図においては、認証サーバ90,タイムスタンプサーバ95の図示は省略した。
【0085】
ステップS121の完了をトリガとして、電子決済サーバ10は移動体通信端末20にユーザ登録開始メッセージを送信する(S122)。
【0086】
ユーザ登録開始メッセージを受信した移動体通信端末20は、アプリを起動させる(S123)。アプリはダウンロード後最初に起動したときに、ユーザに初期情報を入力させるための初期入力画面を出力部205に表示させ、ユーザに初期情報入力を促す(S124)。ここで、初期情報として要求されるのは、ユーザID602、パスワード603、メールアドレス604、銀行番号605、支店番号606,口座種別607,口座番号608、口座名義609,並びに暗証番号610などである。なお、ユーザID602、パスワード603は予め電子決済サーバ10により設定されるようにして、ユーザの入力によらないものとしてもよい。
【0087】
ユーザが移動体通信端末20の入力部204を用いて初期情報の入力を完了させると、移動体通信端末20は、電子決済サーバ10に通信網50を介して接続し、入力された初期情報などを電子決済サーバ10に送信する(S125)。
【0088】
初期情報を受信した電子決済サーバ20は、この初期情報が正しい情報であるか、入力されたユーザ口座が有効であるかを、金融機関システム40に問い合わせるメッセージである口座確認要求メッセージを金融機関システム40に送信する(S126)。口座確認要求メッセージを受信した金融機関システム40は、口座のデータベースなどを検索して、口座確認要求メッセージにおいて確認対象とされたユーザ口座の有無、有効性を判定し、判定の結果を口座確認結果メッセージとして電子決済サーバ10に送信する(S127)。口座確認結果メッセージが、入力された口座情報が間違っている、又は口座が有効でないことを示している場合、口座確認結果メッセージを受信した電子決済サーバ10は、再度初期情報の入力を促すメッセージを移動体通信端末20に送信する(図11において図図示省略)。一方、口座確認結果メッセージが、入力された口座情報が正しく、入力された口座が有効であるということを示している場合、口座確認結果メッセージを受信した電子決済サーバ10は、入力された初期情報に基づいてユーザ登録を行う(S128)。すなわち、電子決済サーバ20は、データベース部403のユーザテーブル600及びユーザ保有金額データ700にそれぞれ新たなレコード601,701を追加して、これらレコード601、701にユーザID602、パスワード603、メールアドレス604、銀行番号605、支店番号606,口座種別607,口座番号608、口座名義609
,並びに暗証番号610などを書き込んでおく。
【0089】
上記のユーザ登録(S128)が完了すると、電子決済サーバ10は、電子化契約書原本714を金融機関システム40に送信する(129)。電子化契約書原本714を受信した金融機関システム40は、これを記憶する(S130)。なお、この例では、電子化契約書原本714の受信先を金融機関システム40としたが、電子化契約書原本714の受信先は、ユーザ口座を有する金融機関が、電子化契約書原本714に基づいて契約成立を確認可能な装置であればどのようなものでも構わない。
また、この例においては、電子化契約書原本714を金融機関システム40に送信するタイミングをユーザ登録(S128)の後として説明したが、電子化契約書原本714が生成された後(S119以後)であれば、どのようなタイミングで電子化契約書原本714を金融機関システム40に送信するようにしても本発明は成立する。
さて、ユーザ登録(S128)完了後、そのユーザは電子決済システム1の利用が可能
となる。以下、図12を参照しながら、ユーザ登録後の電子決済システム1の動作例を説明する。
【0090】
まず、ユーザが本電子決済システムを利用して、有価価値提供装置30による有価価値の提供を受けようとしようとしたものとする。
【0091】
この場合、ユーザは移動体通信端末20が有価価値提供装置30の機器IDを取得するよう、移動体通信端末20と有価価値提供装置30との間で近距離通信による通信を行わせる。例えば、端末側近距離通信部201が非接触式ICカード用ICチップであり、提供装置側近距離通信部303がリーダ/ライタである場合には、非接触式ICカード用チップの近接をリーダ/ライタが検知すると、提供装置側近距離通信部303であるリーダ/ライタは機器ID及び支払要求生成部202に対応するアプリ番号を端末側近距離通信部201である非接触式ICカード用チップに送信する(S701)。
【0092】
機器ID及びアプリ番号を受信した端末側近距離通信部201は、このアプリ番号に対応するアプリケーション、すなわち支払要求生成部202を起動させる(S702)。このとき、機器IDは支払要求生成部202に渡される。
【0093】
起動した支払要求生成部202は、ユーザからの入力を受け付けるため入力画面を出力部205である液晶ディスプレイに表示させる(S703)。図14は、出力部205である液晶ディスプレイに表示される入力画面の一例を示す図である。この入力画面例では、金額入力ボックス901と、OKボタン902が設けられている。ユーザは、有価価値提供装置30から提供を受けたい有価価値の価格をこの金額入力ボックス901に入力する。なお、前回金額入力ボックス901に入力された金額がある場合には、支払要求生成部202はこれを記憶し、自動的に金額入力ボックス901に表示し、ユーザが変更入力を行わない限り、当該金額にて決済リクエストメッセージを生成するようにしてもよい。金額入力ボックス901に入れた金額が確定した後に、OKボタン902がユーザの入力部204の操作により活性化されユーザ入力が完了する(S704)と、支払要求生成部202は決済リクエストメッセージを生成し、これを電子決済サーバ10に宛てて送信する(S705)。
【0094】
ここで、OKボタン902は、移動体通信端末20が有価価値の対価として指定する振込金額を決定する処理と、前記振込金額に応じた有価価値の提供を求める決済の要求を実行する処理とを、一つの操作により実行するための操作手段として機能している。
【0095】
図15に、支払要求生成部202が生成する決済リクエストメッセージのデータ構成例を示す。図15に示す決済リクエストメッセージ1000は、ヘッダ1001、ユーザI
D1002,パスワード1003,銀行番号1004、支店番号1005、口座番号1006、暗証番号1007,機器ID1008,振込金額1009により構成されるデータである。ヘッダ1001は、このデータが決済リクエストメッセージであることを示すデータである。ユーザID1002,パスワード1003,銀行番号1004、支店番号1005、口座番号1006、暗証番号1007には、先に述べた支払要求生成部202が予め記憶していた情報である、ユーザID206と、電子決済サーバがユーザの本人認証を行うためのパスワード207と、ユーザが支払代金を引き出す口座を特定する、銀行番号208、支店番号209、口座番号210、及びその口座に設定された暗証番号211(図3参照)が格納される。また、機器ID1008は、S701において有価価値提供装置30より送信された機器IDであり、振込金額1009は、入力画面の金額入力ボックス901に入力された情報である。
【0096】
図12に戻り、電子決済システム1の動作の説明を続ける。
決済リクエストメッセージ1000を受け取った電子決済サーバ10,より詳しくは支払要求処理部402は、与信チェック部404を起動し、与信チェック部404に与信チェック要求を金融機関システム40に送信させる(S706)。与信チェック要求は、決済リクエストメッセージ1000に含まれるユーザIDに対応するユーザの支払能力を金融機関システム40に問い合わせるものである。
【0097】
金融機関システム40は、当該ユーザの与信情報を調べ、そのユーザが要求する金額の支払が可能かどうかを、口座残高などを調べることにより判定し、判定結果を電子決済サーバ10にチェック結果通知として送信する(S707)。
【0098】
金融機関システム40からチェック結果通知を受け取った電子決済サーバ10,より詳しくは支払要求処理部402は、結果通知部407を起動させ、金融機関システム40から受け取ったチェック結果通知に基づいた処理結果通知を生成し、これを移動体通信端末20に送信する(S708)。
【0099】
処理結果通知を受け取った移動体通信端末20は、その出力部205に処理結果通知の内容を表示する(S709)。例えば、「決済要求は処理されました。ご利用ありがとうございました。」或いは「残高が不足しています。決済はできませんでした。」などの内容が表示される。
【0100】
次に、図13に移り、電子決済システム1の動作例の説明を続ける。図13は、図12に続く、電子決済システム1の動作例を示すシーケンス図である。
金融機関システム40の与信状況の判定結果が支払い可能を示す内容であれば、電子決済サーバ10、より詳しくは提供指示部406は、有価価値提供装置30に支払手続き終了メッセージを送信する(S710)。支払手続終了メッセージは、ユーザの指定した金額に応じた支払手続きが終了したことを示す電文に相当する。
【0101】
なお、支払手続終了メッセージの宛先とすべき、有価価値提供装置30の宛先情報(例えば、IPアドレス)は、データベース部403に記憶された有価価値提供装置テーブル600より取得すればよい。支払手続終了メッセージには、振込金額1009に対応した金額情報が含まれている。但し、振込手数料などの金額が元の額から差し引かれた額としても構わない。
支払手続終了メッセージを受信した有価価値提供装置30は、支払手続終了メッセージに含まれる金額情報に応じた数量の有価価値をユーザに提供する(S711)。
【0102】
一方、電子決済サーバ10は、金融機関システム40にユーザの口座から、有価価値提供装置30の売り上げを取得する権利を有する者である、有価価値提供装置30の管理者
、運営者など(以下、単に「管理者」という)の口座にユーザにより指定された金額を振り込むよう、振込要求メッセージを送信する(S712)。図16は、振込要求メッセージのデータ構成の例を示す図である。振込要求メッセージ1100は、ユーザの引き落とし口座を特定する情報である、銀行番号1101、支店番号1102、口座番号1103と、ユーザの引き落とし承認を示す暗証番号1104を含み、さらに振込金額1105と、振込先口座である管理者の口座を特定する情報である(振込先)銀行番号1106、(振込先)支店番号1107、(振込先)口座番号1108を含んでいる。
【0103】
銀行番号1101、支店番号1102、口座番号1103、暗証番号1104は、決済リクエストメッセージ1000に含まれる銀行番号1004、支店番号1005、口座番号1006、暗証番号1007、振込金額1009に基づいて生成される。(振込先)銀行番号1106、(振込先)支店番号1107、(振込先)口座番号1108は、機器ID1008に基づいて有価価値提供装置テーブル600から取得されたデータに基づいて生成される。
【0104】
上記の振込要求メッセージを受信した金融機関システム40は、ユーザの口座から管理者の口座へ指定された振込金額を振り替える振替処理を実行する(S713)。これで、ユーザが有価価値提供装置30から受け取った有価価値の対価の支払が完了したこととなる。
【0105】
なお、電子決済サーバ10の運営者、管理者など電子決済サーバ10の運営により利益を取得する権能を有する者(決済事業者と呼ぶ)は、ユーザ或いは管理者から手数料を受け取るようにしてもよい。この場合には、電子決済サーバ10は、金融機関システム40にユーザ又は管理者の口座から、決済事業者の口座に手数料に相当する金額を振り込むよう、振込要求メッセージを送信し(S714)、上記の振込要求メッセージを受信した金融機関システム40は、ユーザ又は管理者の口座から決済事業者の口座へ指定された振込金額を振り替える振替処理を実行する(S715)。これで、決済事業者は本電子決済システムの運営から利益を得ることができるようになる。
【0106】
[3.本電子決済システムの利点]
(1)ユーザにとっての利点
遊技場において使用可能な、現金以外の決済方法となるため、遊技場において手持ちの現金がなくなった後でも、簡易な決済行為(移動体通信端末20で、OKボタン902を活性化させる程度の簡単な入力操作を行う処理)で貸し玉、貸しメダルの購入、商品の購入などが可能となる。紛失時の対応、及び意識しない使い過ぎの確認のために、予め設定できる1ヶ月間の使用累計金額、及び又は1日当たりの最大利用金額に達すると、暗証番号の入力を要求されるなどの機能により、利用に対する安心感を得ることができる。
【0107】
また、この決済行為において、決済行為に使う端末は、利用者が所有する移動体通信端末である安心感に加え、カード番号や暗証番号の入力行為をする必要がないため、通常のクレジット・カード、デビット・カードのように、店舗側にカード番号や暗証番号の記録が残ったり、或いは悪意ある者に不正取得されたりするおそれがなくなり、安心して決済をすることが可能となる。
また、電子決済サーバ10が取得する利用状況情報に基づいた、情報配信を受けることも可能であり、より多彩なサービスを受けることが期待できる。
【0108】
(2)店舗側(管理者)にとっての利益
遊技した結果手持ち現金がなくなったユーザであっても、本電子決済システムによりさらに貸し玉、貸しメダルの購入ができるので遊技機の稼働率が高まり、またそのようなユーザが店舗内で買い物等をしてくれる可能性も高まるので、遊技場の売り上げ向上が期待
できる。同時に、利用者が、どの遊技機でどの程度遊技したかの情報も得られることから、この情報を基に、遊技機の稼動状況の詳細を知ることができ、利用者の好みも知ることが可能であり、マーケティング情報として活用も可能である。
本電子決済システムを利用した場合には、店舗内で取り扱う現金は増加しないため、入金管理が容易になると共に現金の保安管理も向上する。
【0109】
(3)電子決済事業者にとっての利点
電子決済事業者は、本電子決済システムを運営することにより、ユーザである遊技者の遊技状況を把握することが可能となり、遊技機の開発、販売、営業などで参照するデータを蓄積できる。
【0110】
[4.変形例、その他]
(1)有価価値提供装置30に設けた液晶ディスプレイなどにQRコードなどを表示しておき、移動体通信端末20にCCDカメラを利用したバーコードリーダを設けてバーコードの読み取りを行わせることにより、提供装置側近距離通信部303及び端末側近距離通信部201の代わりとしてもよい。この場合はバーコードが示す情報がそのまま機器IDとなればよい。
【0111】
(2)上記実施の形態においては、ユーザの与信チェックは電子決済サーバ10が金融機関システム40に問い合わせることによって行っていたが、電子決済サーバ10が与信額テーブルをデータベース部403に有する構成として、電子決済サーバ10が自ら与信チェックを行う構成としても本発明は成立する。与信額テーブルには与信枠と、与信の残高をユーザ毎に記憶しておき、与信残高が振込要求額以上であれば、支払を認めるようにする。
【0112】
(3)上記実施の形態においては、振込金額はユーザの口座から直接店舗(管理者)の口座に振り込まれる構成としたが、ユーザの口座から振込金額を一旦電子決済事業者の口座に振込ませておき、手数料を差し引いた金額を電子決済事業者の口座から店舗(管理者)の口座に振込む構成としても本発明は成立する。
【0113】
(4)認証局(CA)である認証サーバ90は、一般的に使われる他社のサーバであっても、また、自社で構築したサーバであったとしても、本発明は成立する。
【図面の簡単な説明】
【0114】
【図1】電子決済システムの一例を示すネットワーク図
【図2】有価価値提供装置及び移動体通信端末の構成例を示す機能ブロック図
【図3】支払要求生成部が記憶する情報の一例を示す図
【図4】電子契約申請部の項政令を示す機能ブロック図
【図5】電子決済サーバの構成例を示す機能ブロック図
【図6】データベース部に記憶されるユーザテーブルの構成例を示す図
【図7】データベース部に記憶される有価価値提供装置テーブルの構成例
【図8】電子契約処理部の構成例を示した機能ブロック図
【図9】電子決済システムの動作例を示すシーケンス図
【図10】図9に続く、電子決済システムの動作例を示すシーケンス図
【図11】図10に続く、電子決済システムの動作例を示すシーケンス図
【図12】図11に続く、電子決済システムの動作例を示すシーケンス図
【図13】図12に続く、電子決済システムの動作例を示すシーケンス図
【図14】出力部に表示される入力画面の一例を示す図
【図15】支払要求生成部が生成する決済リクエストメッセージのデータ構成例を示す図
【図16】振込要求メッセージのデータ構成の例を示す図
【符号の説明】
【0115】
1 … 電子決済システム
10 … 電子決済サーバ
20 … 移動体通信端末
30 … 有価価値提供装置
40 … 金融機関システム
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子決済サーバと、前記電子決済サーバと通信可能な移動体通信端末と、前記電子決済サーバ及び前記移動体通信端末と通信可能な有価価値提供装置とを有する電子決済システムであって、
移動体通信端末は、有価価値提供装置からその有価価値提供装置を特定する機器特定情報を取得し、ユーザを特定するユーザ特定情報と、有価価値の提供の対価である振込金額と、前記機器特定情報とを含む決済リクエストメッセージを生成し、この決済リクエストメッセージを電子決済サーバに送信し、
電子決済サーバは、前記ユーザ特定情報によって特定されたユーザの与信状況のチェックの結果に応じて、有価価値提供装置に前記振込金額に応じた有価価値の提供を指示する提供指示メッセージを有価価値提供装置に送信し、且つ前記ユーザの口座から所定の口座への前記振込金額に応じた額の振込を要求する振込依頼メッセージを送信し、
有価価値提供装置は、前記電子決済サーバから提供指示メッセージを受信した場合、前記振込金額に応じた有価価値の提供を行う
ことを特徴とする、電子決済システム。
【請求項2】
前記所定の口座は有価価値提供装置の管理者の口座であることを特徴とする、請求項1に記載の電子決済システム。
【請求項3】
前記所定の口座は電子決済システム運営者の口座であることを特徴とする、請求項1に記載の電子決済システム。
【請求項4】
前記電子決済サーバは、前記提供指示メッセージ、及び振替依頼メッセージの送信に先立って、ユーザと電子決済システムの運営者である決済事業者との間の、決済事業者がユーザ口座から指定された金額を引き落とすことを内容とする契約の電子化契約書と、これに付された検証されたユーザの電子署名及び決済事業者の電子署名を有する電子化契約書保管原本を記憶することを特徴とする、請求項1から3のいずれかに記載の電子決済システム。
【請求項5】
前記電子決済サーバは、当該取引するユーザ口座の存在する銀行のための前記電子化契約書保管原本を送信することを特徴とする、請求項4に記載の電子決済システム。
【請求項6】
移動体通信端末からユーザを特定するユーザ特定情報と、有価価値の提供の対価である振込金額と、ユーザが有価価値の提供を求めた有価価値提供装置を特定する情報である機器特定情報とを含む決済リクエストメッセージを受信すると、前記ユーザの与信状況のチェックの結果に応じて、前記機器特定情報により特定された有価価値提供装置に前記振込金額に応じた有価価値の提供を指示する提供指示メッセージを送信し、且つユーザの口座から所定の口座への前記振込金額に応じた額の振込を要求する振込依頼メッセージを送信することを特徴とする電子決済サーバ。
【請求項7】
前記所定の口座は有価価値提供装置の管理者の口座であることを特徴とする、請求項6に記載の電子決済サーバ。
【請求項8】
前記所定の口座は電子決済システム運営者の口座であることを特徴とする、請求項6に記載の電子決済システム。
【請求項9】
前記電子決済サーバは、前記提供指示メッセージ、及び振替依頼メッセージの送信に先立って、ユーザと電子決済システムの運営者である決済事業者との間の、決済事業者がユーザ口座から指定された金額を引き落とすことを内容とする契約の電子化契約書と、これ
に付された検証されたユーザの電子署名及び決済事業者の電子署名を有する電子化契約書保管原本を記憶することを特徴とする、請求項6から8のいずれかに記載の電子決済サーバ。
【請求項10】
前記電子決済サーバは、前記ユーザの口座が存在する銀行に宛てた前記電子化契約書保管原本を送信することを特徴とする、請求項4に記載の電子決済システム。
【請求項11】
移動体通信端末にその有価価値提供装置を特定する情報である機器特定情報を送信し、ユーザを特定するユーザ特定情報と、有価価値の対価である振込金額と、前記機器特定情報とを含む決済リクエストメッセージに応じて送信された提供指示メッセージを受信した場合、前記振込金額に応じた有価価値の提供を実行することを特徴とする有価価値提供装置。
【請求項12】
有価価値提供装置からその有価価値提供装置を特定する機器特定情報を取得するとともに、ユーザを特定するユーザ特定情報と、有価価値の提供の対価である振込金額と、前記機器特定情報とを含む決済リクエストメッセージを生成し、この決済リクエストメッセージを電子決済サーバに送信して、前記電子決済サーバが行う前記ユーザの与信状況のチェックの結果に応じて、前記振込金額に応じた有価価値の提供を指示する提供指示メッセージを前記電子決済サーバから前記有価価値提供装置に送信させる、ことを特徴とする移動体通信端末。
【請求項13】
有価価値提供装置を特定する機器特定情報を受信するステップと、
ユーザを特定するユーザ特定情報と、有価価値の対価である振込金額と、前記機器特定情報とを含む決済リクエストメッセージを生成し、この決済リクエストメッセージを送信するステップと、
前記決済リクエストメッセージに応答して、前記ユーザの与信状況の問い合わせを行い、前記ユーザの与信状況の問い合わせの結果に応じて、前記機器特定情報により特定された有価価値提供装置に前記振込金額に応じた有価価値の提供を指示する提供指示メッセージを送信するステップと、
前記ユーザ特定情報により特定されたユーザの口座から所定の口座への前記振込金額に応じた額の振込を要求する振込依頼メッセージを送信するステップと、
前記提供指示メッセージに応じて、前記有価価値提供装置に前記振込金額に応じた有価価値の提供を実行するステップと
を有することを特徴とする電子決済方法。
【請求項14】
ユーザと電子決済システムの運営者である決済事業者との間の、決済事業者がユーザ口座から指定された金額を引き落とすことを内容とする契約の電子化契約書と、これに付されたユーザの電子署名及び電子証明書を受信するステップと、
前記ユーザの電子署名及び電子証明書の検証し、検証の結果に応じて前記電子化契約書と決済事業者の電子署名及び電子証明書を送信するステップと、
前記電子化契約書とそれに付されたユーザの電子署名、決済事業者の電子署名、及びタイムスタンプを含む電子化契約書保管原本受信し、記憶するステップと
をさらに有することを特徴とする。請求項13に記載の電子決済方法。
【請求項15】
前記移動体通信端末は、有価価値の対価として指定する振込金額を決定する処理と、前記振込金額に応じた有価価値の提供を求める決済の要求を実行する処理とを、一つの操作に応答して実行することを特徴とする、請求項12に記載の移動体通信端末。
【請求項1】
電子決済サーバと、前記電子決済サーバと通信可能な移動体通信端末と、前記電子決済サーバ及び前記移動体通信端末と通信可能な有価価値提供装置とを有する電子決済システムであって、
移動体通信端末は、有価価値提供装置からその有価価値提供装置を特定する機器特定情報を取得し、ユーザを特定するユーザ特定情報と、有価価値の提供の対価である振込金額と、前記機器特定情報とを含む決済リクエストメッセージを生成し、この決済リクエストメッセージを電子決済サーバに送信し、
電子決済サーバは、前記ユーザ特定情報によって特定されたユーザの与信状況のチェックの結果に応じて、有価価値提供装置に前記振込金額に応じた有価価値の提供を指示する提供指示メッセージを有価価値提供装置に送信し、且つ前記ユーザの口座から所定の口座への前記振込金額に応じた額の振込を要求する振込依頼メッセージを送信し、
有価価値提供装置は、前記電子決済サーバから提供指示メッセージを受信した場合、前記振込金額に応じた有価価値の提供を行う
ことを特徴とする、電子決済システム。
【請求項2】
前記所定の口座は有価価値提供装置の管理者の口座であることを特徴とする、請求項1に記載の電子決済システム。
【請求項3】
前記所定の口座は電子決済システム運営者の口座であることを特徴とする、請求項1に記載の電子決済システム。
【請求項4】
前記電子決済サーバは、前記提供指示メッセージ、及び振替依頼メッセージの送信に先立って、ユーザと電子決済システムの運営者である決済事業者との間の、決済事業者がユーザ口座から指定された金額を引き落とすことを内容とする契約の電子化契約書と、これに付された検証されたユーザの電子署名及び決済事業者の電子署名を有する電子化契約書保管原本を記憶することを特徴とする、請求項1から3のいずれかに記載の電子決済システム。
【請求項5】
前記電子決済サーバは、当該取引するユーザ口座の存在する銀行のための前記電子化契約書保管原本を送信することを特徴とする、請求項4に記載の電子決済システム。
【請求項6】
移動体通信端末からユーザを特定するユーザ特定情報と、有価価値の提供の対価である振込金額と、ユーザが有価価値の提供を求めた有価価値提供装置を特定する情報である機器特定情報とを含む決済リクエストメッセージを受信すると、前記ユーザの与信状況のチェックの結果に応じて、前記機器特定情報により特定された有価価値提供装置に前記振込金額に応じた有価価値の提供を指示する提供指示メッセージを送信し、且つユーザの口座から所定の口座への前記振込金額に応じた額の振込を要求する振込依頼メッセージを送信することを特徴とする電子決済サーバ。
【請求項7】
前記所定の口座は有価価値提供装置の管理者の口座であることを特徴とする、請求項6に記載の電子決済サーバ。
【請求項8】
前記所定の口座は電子決済システム運営者の口座であることを特徴とする、請求項6に記載の電子決済システム。
【請求項9】
前記電子決済サーバは、前記提供指示メッセージ、及び振替依頼メッセージの送信に先立って、ユーザと電子決済システムの運営者である決済事業者との間の、決済事業者がユーザ口座から指定された金額を引き落とすことを内容とする契約の電子化契約書と、これ
に付された検証されたユーザの電子署名及び決済事業者の電子署名を有する電子化契約書保管原本を記憶することを特徴とする、請求項6から8のいずれかに記載の電子決済サーバ。
【請求項10】
前記電子決済サーバは、前記ユーザの口座が存在する銀行に宛てた前記電子化契約書保管原本を送信することを特徴とする、請求項4に記載の電子決済システム。
【請求項11】
移動体通信端末にその有価価値提供装置を特定する情報である機器特定情報を送信し、ユーザを特定するユーザ特定情報と、有価価値の対価である振込金額と、前記機器特定情報とを含む決済リクエストメッセージに応じて送信された提供指示メッセージを受信した場合、前記振込金額に応じた有価価値の提供を実行することを特徴とする有価価値提供装置。
【請求項12】
有価価値提供装置からその有価価値提供装置を特定する機器特定情報を取得するとともに、ユーザを特定するユーザ特定情報と、有価価値の提供の対価である振込金額と、前記機器特定情報とを含む決済リクエストメッセージを生成し、この決済リクエストメッセージを電子決済サーバに送信して、前記電子決済サーバが行う前記ユーザの与信状況のチェックの結果に応じて、前記振込金額に応じた有価価値の提供を指示する提供指示メッセージを前記電子決済サーバから前記有価価値提供装置に送信させる、ことを特徴とする移動体通信端末。
【請求項13】
有価価値提供装置を特定する機器特定情報を受信するステップと、
ユーザを特定するユーザ特定情報と、有価価値の対価である振込金額と、前記機器特定情報とを含む決済リクエストメッセージを生成し、この決済リクエストメッセージを送信するステップと、
前記決済リクエストメッセージに応答して、前記ユーザの与信状況の問い合わせを行い、前記ユーザの与信状況の問い合わせの結果に応じて、前記機器特定情報により特定された有価価値提供装置に前記振込金額に応じた有価価値の提供を指示する提供指示メッセージを送信するステップと、
前記ユーザ特定情報により特定されたユーザの口座から所定の口座への前記振込金額に応じた額の振込を要求する振込依頼メッセージを送信するステップと、
前記提供指示メッセージに応じて、前記有価価値提供装置に前記振込金額に応じた有価価値の提供を実行するステップと
を有することを特徴とする電子決済方法。
【請求項14】
ユーザと電子決済システムの運営者である決済事業者との間の、決済事業者がユーザ口座から指定された金額を引き落とすことを内容とする契約の電子化契約書と、これに付されたユーザの電子署名及び電子証明書を受信するステップと、
前記ユーザの電子署名及び電子証明書の検証し、検証の結果に応じて前記電子化契約書と決済事業者の電子署名及び電子証明書を送信するステップと、
前記電子化契約書とそれに付されたユーザの電子署名、決済事業者の電子署名、及びタイムスタンプを含む電子化契約書保管原本受信し、記憶するステップと
をさらに有することを特徴とする。請求項13に記載の電子決済方法。
【請求項15】
前記移動体通信端末は、有価価値の対価として指定する振込金額を決定する処理と、前記振込金額に応じた有価価値の提供を求める決済の要求を実行する処理とを、一つの操作に応答して実行することを特徴とする、請求項12に記載の移動体通信端末。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2008−27425(P2008−27425A)
【公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−110213(P2007−110213)
【出願日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【出願人】(506314416)株式会社モビテクノ (10)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【出願人】(506314416)株式会社モビテクノ (10)
【Fターム(参考)】
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