説明

電子装置のオプション装着評価装置

【課題】 電子装置にオプション装置を取り付ける際に、その環境(適正な設置スペース確保の有無、傾き)が適正であるかどうかを評価できるようにする。
【解決手段】 取り付け可能なオプション装置2を有するプリンタ装置1等の電子装置において、オプション装置を追加した場合に設置が可能であるかを段階的に判断するために、プリンタドライバ13の設定において各種オプションを仮想で追加し、追加後の運用にあたり支障が生じるかどうかをセンサ3により段階的に判断し、ユーザに通知する。また、シミュレートの結果、運用に支障が出ると判断された場合、あとどれだけのスペースを確保すれば上位の評価に達するかをセンサにより検知し、ユーザに通知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、取り付け可能なオプション装置を有する電子装置において、オプション装置を追加した場合に設置が可能であるかを評価するオプション装着評価装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、設置されているプリンタ等の電子装置の向き、傾きをセンサにより把握し、適正な設置調整を行うようにユーザに知らせることにより、設置状況の劣悪に起因する異常画像の発生を回避する技術が公知である(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−94490号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、このような従来技術では、近年販売されているプリンタは拡張給紙口や排紙口、専用台など豊富なオプションが用意されており、これらを追加、設置した場合に、プリンタの運用に必要となるスペースはプリンタ本体のみの時と比べて大きく異なる。
したがって、何らかのオプションを購入しようとする際には規格を問い合わせた上で、設置場所の再検討を行う手間がかかるという実用面での問題があった。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、プリンタを使用箇所に設置した際、オプションを取り付けた際にその環境(適正な設置スペース確保の有無、傾き)が適正であるかどうかをプリンタ装置自体が、検知、識別、判断し、通知することが可能となる電子装置のオプション装着評価装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような目的に応えるために本発明(請求項1記載の発明)に係る電子装置のオプション装着評価装置は、オリジナルの電子装置本体に対して追加装着可能に構成されるとともに、装着された際に前記電子装置本体の周囲に更なる設置スペースが必要となるオプション装置の装着を評価する装置であって、追加装着したいオプション装置を選択指定する選択手段と、選択指定された前記オプション装置の装着(設置拡大)方向に対する余裕スペースを測定する余裕スペース測定センサと、各オプション装置毎に必要となる余裕スペースの標準値を予め記憶する記憶手段と、選択されたオプション装置の装着に必要となる追加設置スペースを測定する追加設置スペース測定センサと、前記センサによるスペース測定結果と前記記憶手段に記憶された標準値とを比較し選択指定された前記オプション装置の設置が可能か否かを評価し利用者に評価結果を案内する案内手段とを備えることを特徴とする。
【0007】
本発明(請求項2記載の発明)に係る電子装置のオプション装着評価装置は、請求項1において、前記選択手段および案内手段は、前記電子装置に回線を介して接続される上位装置に設けられることを特徴とする。
【0008】
本発明(請求項3記載の発明)に係る電子装置のオプション装着評価装置は、請求項2において、前記電子装置はプリンタであり、前記上位装置は前記プリンタに印刷データを送信するホストコンピュータであり、前記案内手段は、前記ホストコンピュータにインストールされたプリンタドライバであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
以上説明したように本発明に係る電子装置のオプション装着評価装置によれば、取り付け可能なオプション装置を有するプリンタ装置等の電子装置において、オプション装置を追加した場合に、設置が可能であるかを段階的に判断して評価しているから、以下に述べる種々優れた効果を奏する。
【0010】
すなわち、本発明によれば、電子装置の本体の各オプションの取り付け口に物体位置判定センサを取り付けたことにより、オプションの購入前に設置後のスペース確保の状況をプリンタドライバ等を介して段階的に把握することができる。
【0011】
また、電子装置(プリンタ)を設置する人物が、その装置(プリンタ)の構造上の仕様で余分にスペースを必要とする場合(例:トナーを入れ替える際は上部カバーを持ち上げる、紙詰まりを対処する際は側面のカバーを開ける、等)があることを把握していないと、後からそれに気づいた場合に設置スペースの再検討を行う手間がかかる可能性があるが、電源投入時にその後の使用に支障が出ると考えられる箇所を通知することでそれを事前に回避できる。
【0012】
また、現在の設置スペースで電子装置(プリンタ)の各種オプションを追加装着した場合に支障が出るかどうかを判定する機能をドライバに搭載することで、実際にオプションを追加で取り付ける際のスペース確保の参考になる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る電子装置のオプション装着評価装置の一実施形態を示すものであり、プリンタの概略構成を示す概略斜視図である。
【図2】本発明に係る電子装置のオプション装着評価装置において、全体の概略構成を示す構成図である。
【図3】本発明に係る電子装置のオプション装着評価装置において、プリンタドライバの設置可否判断部におけるフローチャートである。
【図4】本発明に係る電子装置のオプション装着評価装置において、ドライバの表示例を示す図である。
【図5】本発明に係る電子装置のオプション装着評価装置において、オプションの追加判定が規格内であった場合の表示例を示す説明図である。
【図6】本発明に係る電子装置のオプション装着評価装置において、オプションの追加判定が規格外であった場合の表示例を示す説明図である。
【図7】設置可能最小スペースと推奨スペースを記載したオプション装置設置情報の一例を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1ないし図7は本発明に係る電子装置のオプション装着評価装置の一実施形態を示すものであり、本実施形態では、電子装置としてプリンタを用いた場合を説明する。
ここで、図1はプリンタの構成を示す概略図、図2はシステム全体の構成図、図3はプリンタドライバの設置可否判断部におけるフローチャートである。
【0015】
また、プリンタドライバの表示例を図4に示し、オプションの追加判定が規格内であった場合の表示例を示す説明図を図5、規格外であった場合の表示例を示す説明図を図6に示す。
さらに、設置可能最小スペースと推奨スペースを記載したオプション装置設置情報の一例を図7に示す。
【0016】
図1において、符号1はプリンタの本体、2はこのプリンタ本体に取り付け可能なオプション装置である拡張給紙装置であり、3は物体位置判定センサである。
【0017】
図2において、プリンタ1はファームウェアとして、IF制御4、印刷制御5、描画制御6等を備える。また、ハードウェアとしては、プリンタの上位装置であるホストPC11とネットワークを介して接続するためのNIC(ネットワーク・インターフェース・カード)7、ビデオ転送8等を備える。
【0018】
ホストPC11としては、前記NICと接続されるNIC12、プリンタドライバ13、データ等を記憶する測定値保持部14、設置可否判定部15等を備える。
さらに、このPC11には、表示装置21、入力装置22等が付設されている。
【0019】
ここで、上述したプリンタドライバ13とは、プリンタ1を制御するデバイスドライバのことである。そして、このプリンタ1の上位装置(ホストPC11)において、LAN回線などを介して接続されているプリンタ1を利用するためには、プリンタドライバ13が必要になる。
【0020】
また、プリンタドライバ13は、PC11が使用しているOSやプリンタ1によって異なる種類のものが必要となるので、それらに合ったプリンタドライバ13がPC11側にインストールされており、ドライバの機能としては、印刷データの生成処理だけでなく、プリンタ1の付加的機能をユーザがPC11側で操作することにより利用出来るように、種々の内容のソフトウエアが含まれている。
【0021】
また、上位装置であるホストPC11に予めインストールされ実行処理されるプリンタドライバ13による設定画面(図4等参照)において、ユーザが表示されているオプション装置群から選択、追加の操作を行うと、プリンタドライバ13はプリンタ1の本体に対して、図3に示すように、該当オプションを追加した場合に新規にスペースが必要となる方向(最大で前、後、右、左、上側の5方向)に取り付けられた複数の反射型物体位置判定センサ3(フォトリフレクタ)により障害物までの距離の測定を指示する。
ここで、オプション装置(たとえば拡張給紙装置2等)の選択は複数同時に可能であるとする。
【0022】
そして、図3から明らかなように、測定された距離をプリンタドライバ13に通知(障害物未検出により距離が計測できなかった場合は、「未検出」を通知)し、同方向に取り付けられた複数のセンサ3により検出された測定値の中で最短の数値をセンサ測定値N1とし、オプション装置の設置情報(設置可否判定部の記憶手段にある)から参照できる設置可能最小スペースの値をN2とすると、N1−N2>0(物理的に取り付け可能)を満たしていない場合は、設置不可判定(”×”)とし、これらの値と推奨スペースの値(N3とする)から算出できる設置可能スペース不足分の距離X1と設置推奨スペース不足分の距離X2を算出、「オプション設置不可、あとX1mm必要です。推奨スペースまではあとX2mm必要です」のメッセージを出力する(図6参照)。
【0023】
ここで、満たしている場合は、更にN1−N3≧0(運用にあたって支障をきたさない)であるかどうかを調べ、満たしている、またはN1が未検出(障害物非検知)であった場合は理想のスペースが確保されている判定(”○”)とし、「オプション設置可能です。」のメッセージを出力する(図5参照)。
【0024】
なお、満たしていない場合は物理的に取り付けは可能であるが、運用にあたってのメーカー推奨値は満たしていない判定(”△”)とし、「推奨設置スペースまではあとX2mm必要です。」のメッセージを出力する。メッセージの出力は対象オプションのオプション装置設置情報の参照値の中で設置可能スペースまたは推奨スペースに満たない値が存在している方向に限る(図6)。各値の保持、演算はプリンタドライバ側で行う。
【0025】
なお、図7は上述した図5や図6における給紙装置について、具体的な設置情報を例示したものである。
【0026】
また、プリンタ下部に取り付けるオプション(拡張給紙口など)など、複数積み重ねることを前提としたオプション装置に関しては、センサ3はプリンタ1上部に取り付けて判断し、設置可能最小スペース、推奨スペースは選択したオプションに応じて適時適正な演算により出力する。
【0027】
すなわち、本発明によれば、プリンタ1におけるオプション装着評価装置において、電源投入時にプリンタ1の各方面に取り付けられた傾き・距離検出センサ3等によりそのプリンタ1の最適な設置スペース(メーカー推奨値)が確保されているかどうかを検知し、操作表示パネル(表示装置21)、プリンタドライバ13による操作案内表示を通じて、使用に支障が出る箇所の情報を通知し、設置スペースだけでなく設置した際の製品の傾きがメーカーの定めた値以下であることも検知することができる。
【0028】
特に、本発明では、プリンタドライバ13の設定において各種オプションを仮想で追加し、追加後の運用にあたり支障が生じるかどうかをセンサ3等により段階的に判断し、ユーザに通知するようになっている。
また、シミュレートの結果、運用に支障が出ると判断された場合、あとどれだけのスペースを確保すれば上位の評価に達するかをセンサにより検知、ユーザに通知するようになっている。
【0029】
なお、本発明は上述した実施の形態で説明した構造には限定されず、電子装置のオプション装着評価装置を構成する各部の形状、構造等を適宜変形、変更し得ることはいうまでもない。
たとえば上述の実施形態では、3段階評価としているが、物理的な取り付けの可否のみで2段階評価としてもよい。また、オプション装置自身が物理的な拡張が可能である場合(ペーパガイドなど)、評価段階を更に細分化してもよい。
【0030】
また、スペースセンサ3の種類は、光反射型に限らず、音波、レーザ光、赤外光センサなど、距離を測定出来るものであれば何でも良い。
【0031】
さらに、上記説明はプリンタ1として説明したが、複写機、複合機(MFP)、ファクシミリ装置など、オプション装置を装備可能とする電子装置であれば、どのような装置であっても本発明の方式を適用することが可能になる。
【0032】
また、上記説明においては、上位装置(ホストコンピュータ11)において、実行処理されるプリンタドライバ13に、オプション装置装備のシミュレーション、評価判断、許可案内をする機能を搭載する方法を例示したが、プリンタ1等の電子装置側にこのようなオプション装置装備のシミュレーション評価機能を搭載することも本発明の変形の範囲内に含まれることはもちろんである。
【0033】
スペースセンサ3は、必ずしもプリンタ装置1等に元々標準装備されている必要はなく、オプション装置2の装備が必要になったスペース測定の際だけ、オプション装置2に対応した方向に設けられたソケットなどにセンサユニットを差し込むことによって測定出来るように構成されるものであって良い。
【0034】
また、センサユニットは、回転可能な取付台に支持され、スペースの測定方向をオプション装置の装着方向に応じて自由に変えられる構造にすることによって、複数のオプションに対する測定を共通のセンサで実施することを可能にしたものであっても良い。
【符号の説明】
【0035】
1 プリンタ
2 拡張給紙装置(オプション装置)
3 物体位置判定センサ
4 IF制御
5 印刷制御
6 描画制御
7 NIC
11 ホストPC
12 NIC
13 プリンタドライバ
14 測定値保持部
15 設置可否判定部
21 表示装置
22 入力装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オリジナルの電子装置本体に対して追加装着可能に構成されるとともに、装着された際に前記電子装置本体の周囲に更なる設置スペースが必要となるオプション装置の装着を評価する装置であって、
追加装着したいオプション装置を選択指定する選択手段と、
選択指定された前記オプション装置の装着(設置拡大)方向に対する余裕スペースを測定する余裕スペース測定センサと、
各オプション装置毎に必要となる余裕スペースの標準値を予め記憶する記憶手段と、
選択されたオプション装置の装着に必要となる追加設置スペースを測定する追加設置スペース測定センサと、
前記センサによるスペース測定結果と前記記憶手段に記憶された標準値とを比較し選択指定された前記オプション装置の設置が可能か否かを評価し利用者に評価結果を案内する案内手段とを備えることを特徴とする電子装置のオプション装着評価装置。
【請求項2】
前記選択手段および案内手段は、前記電子装置に回線を介して接続される上位装置に設けられることを特徴とする請求項1記載の電子装置のオプション装着評価装置。
【請求項3】
前記電子装置はプリンタであり、
前記上位装置は前記プリンタに印刷データを送信するホストコンピュータであり、
前記案内手段は、前記ホストコンピュータにインストールされたプリンタドライバであることを特徴とする請求項2記載の電子装置のオプション装着評価装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−208247(P2010−208247A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−58890(P2009−58890)
【出願日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【出願人】(000104124)カシオ電子工業株式会社 (601)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】