説明

電子装置

【課題】 電力増幅モジュールの性能を向上させる。
【解決手段】 配線基板3上に半導体チップ、受動部品および空芯コイル6を実装し、封止樹脂で封止して、RFパワーモジュール1が形成されている。RFパワーモジュール1は、2系統の電力増幅回路を有し、各電力増幅回路は、複数の周波数帯の信号を増幅可能に構成されている。空芯コイル6は、出力整合回路に用いられている。面実装型の空芯コイル6は、導体線31を複数回巻いたコイル部6aと、コイル部6aの両端にそれぞれ接続された導体線31からなる2つの端子部6bで構成されている。コイル部6aを構成する導体線31は絶縁被膜で被覆され、各端子部6bを構成する導体線31は、絶縁被膜が除去され、コイル部6aから離れる方向に向かう方向に延在し、コイル部6aから離れた位置の基板側端子12aと半田32を介して電気的に接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子装置に関し、特に、移動体通信装置に搭載される高周波電力増幅モジュールに適用して有効な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、GSM(Global System for Mobile Communications)方式、PCS(Personal Communication Systems)方式、PDC(Personal Digital Cellular)方式、CDMA(Code Division Multiple Access)方式といった通信方式に代表される移動体通信装置(いわゆる携帯電話)が世界的に普及している。
【0003】
一般に、この種の移動体通信装置は、電波の放射と受信をするアンテナ、電力変調された高周波信号を増幅してアンテナへ供給する高周波電力増幅器(電力増幅モジュール)、アンテナで受信した高周波信号を信号処理する受信部、これらの制御を行う制御部、そしてこれらに電源電圧を供給する電池(バッテリー)で構成される。
【0004】
特開平10−64731号公報(特許文献1)には、絶縁保護被膜を設けた銅線を所定寸法に切断し、この銅線の両端部で形成する端子部の絶縁保護被膜を剥離した後、この銅線の中央部を所定回数巻回してコイル部を形成し、前記端子部を表面実装に適した形状に曲げ加工を施し、前記コイル部に樹脂を適宜塗布した汎用表面実装タイプ高周波用空芯コイルに関する技術が記載されている。
【0005】
特開平6−236816号公報(特許文献2)には、複数の巻線によって形成されるコイル本体の両端のリード端部を、該コイル本体の外径より長くなるように下方に垂下し、それぞれの端部を互いに内側方向に折曲して半田付け端部を形成する技術が記載されている。
【0006】
特開平6−53042号公報(特許文献3)には、芯線を巻き回して形成されるコイル部と該コイル部の両終端の取付端部で構成され、コイル部の下端にはプリント基板に載置するための略かまぼこ型の平坦面部が形成され、上記取付端部はそれぞれコイル部の芯線の巻き線方向と逆方向に折り曲げられて、上記コイル部の平坦面部と面一状態を構成している空芯コイルに関する技術が記載されている。
【0007】
国際公開第02/052589号パンフレット(特許文献4)には、2つの増幅系を有し、増幅系は、複数の増幅段を従属接続した構成になり、各増幅系の最終増幅段と電源電圧端子との間に、空芯コイルが直列に接続された高周波電力増幅装置に関する技術が記載されている。
【特許文献1】特開平10−64731号公報
【特許文献2】特開平6−236816号公報
【特許文献3】特開平6−53042号公報
【特許文献4】国際公開第02/052589号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明者の検討によれば、次のことが分かった。
【0009】
従来、米国内では携帯電話の通信方式にGSM方式を採用していなかったため、携帯電話に搭載して使用する電力増幅モジュールのような電子装置は、GSM帯としては、主に欧州で使用されているEUGSM帯(880〜915MHz)に対応すればよかった。
【0010】
しかしながら、近年、米国内でもGSM方式を採用し始めたため、電力増幅モジュールは、GSM帯として、主に北米で使用されるUSGSM帯(824〜849MHz)と主に欧州で使用されるEUGSM帯(880〜915MHz)の両方に対応することが求められ、電力増幅モジュールの広帯域化が要求されるようになった。
【0011】
そこで、電力増幅モジュールの広帯域化について、本発明者が検討したところ、電力増幅モジュールの電力増幅回路の出力整合回路の構成を調整し、一方の端子がグランド(GND)に接続されたインダクタ素子(後述するインダクタ素子113aに対応)を追加することにより、電力増幅モジュールの周波数特性の広帯域化が可能になることが分かった。
【0012】
広帯域化に加えて、更に、携帯電話の高性能化を図るために、電力増幅モジュールの電力付加効率をより高めて、電力増幅モジュールの性能を向上させることが求められている。しかしながら、出力整合回路に単にインダクタ素子を追加しただけでは、周波数特性を広帯域化することはできても、電力付加効率のような電力増幅モジュールの性能を十分に向上させることはできず、広帯域化のために出力整合回路に追加したインダクタンス素子のQ値をより高めることが必要であることが、本発明者の検討により分かった。
【0013】
本発明の目的は、電子装置の性能を向上させることができる技術を提供することにある。
【0014】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0016】
本発明は、異なる複数の周波数帯の信号を出力可能な電力増幅回路を有する電子装置であって、複数の電極を有する配線基板と、前記配線基板の主面上に搭載された前記電力増幅回路を含む半導体チップと、前記配線基板の前記主面上に搭載された面実装型の空芯コイルとを有し、前記空芯コイルは導体線を複数回巻いたコイル部と前記コイル部の両端にそれぞれ接続された前記導体線からなる2つの端子部で構成され、前記コイル部の前記導体線は絶縁膜で被覆され、前記空芯コイルの前記各端子部は、前記コイル部から離れる方向に向かう方向に延在し、前記配線基板の前記電極と電気的に接続されているものである。
【0017】
また、本発明は、第1の電力増幅回路を含む複数の電力増幅回路を有する電子装置であって、複数の電極を有する配線基板と、前記配線基板の主面上に搭載された前記複数の電力増幅回路を含む半導体チップと、前記配線基板の前記主面上に搭載された面実装型の空芯コイルとを有し、前記第1の電力増幅回路は異なる複数の周波数帯の信号を増幅可能であり、前記空芯コイルは前記第1の電力増幅回路の出力整合回路に使用され、前記空芯コイルは導体線を複数回巻いたコイル部と前記コイル部の両端にそれぞれ接続された前記導体線からなる2つの端子部で構成され、前記コイル部の前記導体線は絶縁膜で被覆され、前記空芯コイルの前記各端子部は、前記コイル部から離れる方向に向かう方向に延在し、前記配線基板の前記電極と電気的に接続されているものである。
【0018】
また、本発明は、電力増幅回路を有する電子装置であって、複数の電極を有する配線基板と、前記配線基板の主面上に搭載された前記電力増幅回路を含む半導体チップと、前記配線基板の前記主面上に搭載された面実装型の空芯コイルとを有し、前記空芯コイルは導体線を複数回巻くことにより形成されており、前記空芯コイルのうち、両端部近傍領が前記配線基板の前記主面に接触し、前記両端部近傍領域に比べて中央部が前記配線基板の前記主面から遠ざけられて前記配線基板と接触していないものである。
【発明の効果】
【0019】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下のとおりである。
【0020】
電子装置の性能を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でも良い。さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
【0022】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、以下の実施の形態では、特に必要なとき以外は同一または同様な部分の説明を原則として繰り返さない。
【0023】
また、実施の形態で用いる図面においては、断面図であっても図面を見易くするためにハッチングを省略する場合もある。また、平面図や斜視図であっても図面を見易くするためにハッチングを付す場合もある。
【0024】
(実施の形態1)
本実施の形態は、例えばGSM方式などのネットワークを利用して情報を伝送するデジタル携帯電話(移動体通信装置)に使用(搭載)されるRF(Radio Frequency)パワーモジュールなどの電力増幅モジュール(電子装置)である。
【0025】
ここで、GSM(Global System for Mobile Communication)は、デジタル携帯電話に使用されている無線通信方式の1つまたは規格をいう。
【0026】
GSM方式携帯電話に使用されるRFパワーモジュール(高周波電力増幅器)は、USGSM帯(824〜849MHz)、EUGSM帯(880〜915MHz)、DCS(Digital Cellular System)帯(1710〜1785MHz)およびPCS(Personal Communication Services)帯(1850〜1910MHz)の4つの周波数帯のRF信号(信号、高周波信号)を送信できるRFパワーモジュールが主流となっている。なお、USGSM帯は主に北米で使用され、EUGSM帯は主に欧州で使用されている。
【0027】
本実施の形態のRFパワーモジュール(電子装置)1は、例えばこれらの周波数帯(高周波帯)で使用されるRFパワーモジュールである。
【0028】
図1は、本実施の形態のRFパワーモジュール(高周波電力増幅器、高周波電力増幅装置、高周波電力増幅モジュール、電力増幅モジュール、電力増幅器モジュール、RFモジュール、半導体装置、電子装置、HPA(High Power Amplifier))1を構成する増幅回路の回路ブロック図を示している。
【0029】
図1に示されるように、RFパワーモジュール1の回路構成は、3つの増幅段102A1,102A2,102A3からなるUSGSM帯およびEUGSM帯用の電力増幅回路102Aと、3つの増幅段102B1,102B2,102B3からなるDCS帯およびPCS帯用の電力増幅回路102Bと、それら電力増幅回路102A,102Bの増幅動作の制御や補佐などを行う周辺回路103とを有している。RFパワーモジュール1の回路構成は、更に、USGSM帯およびEUGSM帯用の入力端子104aと電力増幅回路102A(1段目の増幅段102A1)との間の整合回路(入力整合回路)105Aと、DCS帯およびPCS帯用の入力端子104bと電力増幅回路102B(1段目の増幅段102B1)との間の整合回路(入力整合回路)105Bとを有している。RFパワーモジュール1の回路構成は、更に、USGSM帯およびEUGSM帯用の出力端子106aと電力増幅回路102A(3段目の増幅段102A3)との間の整合回路(出力整合回路)107Aと、DCS帯およびPCS帯用の出力端子106bと電力増幅回路102B(3段目の増幅段102B3)との間の整合回路(出力整合回路)107Bとを有している。従って、電力増幅回路102Aの出力が整合回路107Aを経て出力端子106aから出力され、電力増幅回路102Bの出力が整合回路107Bを経て出力端子106bから出力されるようになっている。
【0030】
USGSM帯およびEUGSM帯用の電力増幅回路102Aの増幅段102A1と増幅段102A2の間には段間用の整合回路(段間整合回路)102AM1が設けられ、増幅段102A2と増幅段102A3の間には段間用の整合回路(段間整合回路)102AM2が設けられている。また、DCS帯およびPCS帯用の電力増幅回路102Bの増幅段102B1と増幅段102B2の間には段間用の整合回路(段間整合回路)102BM1が設けられ、増幅段102B2と増幅段102B3の間には段間用の整合回路(段間整合回路)102BM2が設けられている。
【0031】
このうち、USGSM帯およびEUGSM帯用の電力増幅回路102A(増幅段102A1〜102A3)と、DCS帯およびPCS帯用の電力増幅回路102B(102B1〜102B3)と、周辺回路103とは、1つの半導体チップ(半導体増幅素子チップ、高周波用電力増幅素子チップ)2内に形成されている。他の形態として、電力増幅回路102A,102Bおよび周辺回路103を、複数の半導体チップにより形成することもでき、例えば、増幅段102A1,102B1が形成された半導体チップと、増幅段102A2,102B2が形成された半導体チップと、増幅段102A3,102B3が形成された半導体チップとを個別に形成することもできる。
【0032】
周辺回路103は、制御回路103Aと、上記増幅段102A1〜102A3,102B1〜102B3にバイアス電圧を印加するバイアス回路103Bなどを有している。制御回路103Aは、上記電力増幅回路102A,102Bに印加する所望の電圧を発生する回路であり、電源制御回路103A1およびバイアス電圧生成回路103A2を有している。電源制御回路103A1は、上記増幅段102A1〜102A3,102B1〜102B3の各々の出力用の増幅素子(例えばMISFET)のドレイン端子に印加される第1電源電圧を生成する回路である。また、上記バイアス電圧生成回路103A2は、上記バイアス回路103Bを制御するための第1制御電圧を生成する回路である。ここでは、電源制御回路103A1が外部のベースバンド回路から供給される出力レベル指定信号に基づいて上記第1電源電圧を生成すると、バイアス電圧生成回路103A2が電源制御回路103A1で生成された上記第1電源電圧に基づいて、上記第1制御電圧を生成するようになっている。上記ベースバンド回路は、上記出力レベル指定信号を生成する回路である。この出力レベル指定信号は、電力増幅回路102A、102Bの出力レベルを指定する信号で、携帯電話と基地局との間の距離、すなわち、電波の強弱に応じた出力レベルに基づいて生成されているようになっている。
【0033】
RFパワーモジュール1のUSGSM帯およびEUGSM帯用の入力端子104aに入力されたRF入力信号は、整合回路105Aを経て半導体チップ2に入力され、半導体チップ2内の電力増幅回路102A、すなわち3つの増幅段102A1〜102A3で増幅されて半導体チップ2から出力され、整合回路107Aを経てUSGSM帯およびEUGSM帯用の出力端子106aからRF出力信号として出力される。また、RFパワーモジュール1のDCS帯およびPCS帯用の入力端子104bに入力されたRF入力信号は、整合回路105Bを経て半導体チップ2に入力され、半導体チップ2内の電力増幅回路102B、すなわち3つの増幅段102B1〜102B3で増幅されて半導体チップ2から出力され、整合回路107Bを経てDCS帯およびPCS帯用の出力端子106bからRF出力信号として出力される。各整合回路102AM1,102AM2,105A,107A,102BM1,102BM2,105B,107Bは、インピーダンスの整合を行う回路である。
【0034】
本実施の形態のRFパワーモジュール1は、USGSM帯(824〜849MHz)、EUGSM帯(880〜915MHz)、DCS帯(1710〜1785MHz)およびPCS帯(1850〜1910MHz)の4つの周波数帯のRF信号(高周波信号)を送信できるように構成されている。そして、これら4つの周波数帯のうち、周波数が近いUSGSM帯とEUGSM帯とを同じ電力増幅回路102Aにより増幅し、周波数が近いDCS帯とPCS帯とを同じ電力増幅回路102Bにより増幅する回路構成をとっている。このように、RFパワーモジュール1は、異なる複数の周波数帯の信号を出力可能な、電力増幅回路を有する電子装置である。
【0035】
本実施の形態のRFパワーモジュール1は、複数系統の電力増幅回路、ここでは2系統の電力増幅回路102A,102Bを有し、各電力増幅回路102A,102Bに整合回路が接続されている。そして、電力増幅回路102Aは、異なる複数の周波数帯、ここではUSGSM帯とEUGSM帯の信号を増幅可能に構成され、電力増幅回路102Bは、異なる複数の周波数帯、ここではDCS帯とPCS帯の信号を増幅可能に構成されている。従って、電力増幅回路102Aの送信周波数帯は、USGSM帯とEUGSM帯を含む周波数帯である824〜915MHz帯となり、電力増幅回路102Aは、824〜915MHzの信号を増幅可能に構成され、また、電力増幅回路102Bの送信周波数帯は、DCS帯とPCS帯を含む周波数帯である1710〜1910MHz帯となり、電力増幅回路102Bは、1710〜1910MHzの信号を増幅可能に構成される。
【0036】
図2は、整合回路(出力整合回路)107A,107Bの回路構成例を示す回路図(等価回路図)である。
【0037】
図2に示されるように、伝送線路111、容量素子112(ここでは容量素子112a,112b,112c,112d)およびインダクタ素子113(ここではインダクタ素子113a,113b)によって、各整合回路107A,107Bが構成されている。
【0038】
整合回路107A,107Bの入力端子114は、電力増幅回路102A,102Bの出力に接続(電気的に接続)されており、整合回路107A,107Bの出力端子115は、RFパワーモジュール1の出力端子106a,106bに接続(電気的に接続)されている。また、図2の端子116は、他の回路に接続される。従って、電力増幅回路102A,102Bで増幅されたRF信号(高周波信号)は、整合回路107A,107Bの入力端子114に入力されて整合回路107A,107Bでインピーダンスの整合が行われ、整合回路107A,107Bの出力端子115から出力されて、RFパワーモジュール1の出力端子106a,106bから出力される。なお、整合回路107Aと整合回路107Bとは同様の回路構成を有しているが、容量素子112a〜112dの容量値と伝送線路111およびインダクタ素子113a,113bのインダクタンス値は、整合回路107Aと整合回路107Bとでは異なっており、各整合回路107A,107Bの周波数帯などを考慮して、独立に設計することができる。本実施の形態では、詳細は後述するが、整合回路107A,107Bのインダクタ素子113aを、空芯コイル(後述する空芯コイル6に対応)により構成している。整合回路107A,107Bの各容量素子112は、例えばチップコンデンサ(後述する受動部品4に対応する)により構成している。また、インダクタ素子113bは、チップインダクタにより構成することもできるが、インダクタ素子113aと同様に空芯コイル(後述する空芯コイル6に対応)により構成すれば、より好ましい。
【0039】
本実施の形態のRFパワーモジュール1では、1系統の電力増幅回路102Aにより、USGSM帯(824〜849MHz)とEUGSM帯(880〜915MHz)の高周波信号を増幅し、他の1系統の電力増幅回路102Bにより、DCS帯(1710〜1785MHz)とPCS帯(1850〜1910MHz)の高周波信号を増幅しているので、各電力増幅回路102A,102Bで増幅すべき周波数帯が広くなっている。このため、RFパワーモジュール1の電力付加効率の周波数特性を広帯域化する必要があり、各電力増幅回路102A,102Bで行う高周波信号の増幅の電力付加効率を、広い周波数帯で高める必要がある。すなわち、RFパワーモジュール1の電力増幅回路102Aで行う高周波信号の増幅の電力付加効率は、USGSM帯およびEUGSM帯を含む周波数帯、すなわち824〜915MHzで高くする必要があり、RFパワーモジュール1の電力増幅回路102Bで行う高周波信号の増幅の電力付加効率は、DCS帯およびPCS帯を含む周波数帯、すなわち1710〜1910MHzで高くする必要がある。
【0040】
本発明者の検討によれば、出力整合回路である整合回路107A,107Bにおいて、図2に示されるように、一方の端子がグランド(GND)に接続されたインダクタ素子113aを導入(追加)することで、インダクタ素子113aがない場合に比べて、電力付加効率の周波数特性を広帯域化でき、各電力増幅回路102A,102Bにより行う増幅の電力付加効率を、より広い周波数帯で高めることができることが分かった。このため、本実施の形態では、出力整合回路である整合回路107Aにインダクタ素子113aを導入することで、RFパワーモジュール1の電力増幅回路102Aで行う高周波信号の増幅の電力付加効率を、USGSM帯およびEUGSM帯を含む周波数帯(824〜915MHz)全体で高くすることが可能になる。また、出力整合回路である整合回路107Bにインダクタ素子113aを導入することで、RFパワーモジュール1の電力増幅回路102Bで行う高周波信号の増幅の電力付加効率を、DCS帯およびPCS帯を含む周波数帯(1710〜1910MHz)全体で高くすることが可能になる。
【0041】
次に、図3は、本実施の形態のRFパワーモジュール1を用いたデジタル携帯電話機システムDPSの一例を示している。図3の符号ANTは信号電波の送受信用のアンテナ、符号151はフロントエンド・モジュール、符号152は音声信号をベースバンド信号に変換したり、受信信号を音声信号に変換したり、変調方式切換信号やバンド切換信号を生成したりするベースバンド回路である。図3の符号153は受信信号をダウンコンバートして復調し、ベースバンド信号を生成したり送信信号を変調したりする変復調用回路、符号FLT1,FLT2は受信信号からノイズや妨害波を除去するフィルタである。フィルタFLT1はUSGSMおよびEUGSM用、フィルタFLT2はDCSおよびPCS用である。ベースバンド回路152は、DSP(Digital Signal Processor)やマイクロプロセッサ、半導体メモリ等の複数の半導体集積回路で構成されている。フロントエンド・モジュール151は、スイッチ回路154a,154b、コンデンサC5,C6および分波器156を有している。スイッチ回路154a,154bは送受信切り換え用のスイッチ回路、コンデンサC5,C6は受信信号から直流成分をカットする素子、分波器156は、USGSM帯およびEUGSM帯の信号と、DCS帯およびPCS帯の信号とを分波する回路であり、これら回路および素子は1つの配線基板上に搭載されてモジュールとされている。なお、スイッチ回路154a,154bの切換信号CNT1,CNT2は上記ベースバンド回路152から供給される。
【0042】
図4は、本実施の形態のRFパワーモジュール1の構造を示す概念的な上面図(平面図)であり、図5は本実施の形態のRFパワーモジュール1の概念的な断面図であり、図6は本実施の形態のRFパワーモジュール1の概念的な斜視図である。図4および図6は、封止樹脂7を透視した状態が示されている。また、図5は断面図(側面断面図)に対応するが、RFパワーモジュール1の概念的な構造が示されており、図4や図6の構造を所定の位置で切断した断面とは完全には一致していない。また、図4および図6はRFパワーモジュール1の概念的な構造が示されたものであり、図4の上面図と図6の斜視図とでは、配線基板3の上面3aでの各部品の配置位置は完全には一致していない。
【0043】
図4〜図6に示される本実施の形態のRFパワーモジュール1は、配線基板3と、配線基板3上に搭載(実装)された半導体チップ(半導体素子、能動素子)2と、配線基板3上に搭載(実装)された受動部品(受動素子、チップ部品)4と、配線基板3上に搭載(実装)された空芯コイル6と、半導体チップ2、受動部品4および空芯コイル6を含む配線基板3の上面3aを覆う封止樹脂(封止樹脂部、封止部、封止体)7とを有している。半導体チップ2、受動部品4および空芯コイル6は、配線基板3の導体層(電極、端子、配線)に電気的に接続されている。また、RFパワーモジュール1は、例えば図示しない外部回路基板またはマザーボードなどに実装することもできる。
【0044】
配線基板(多層基板、多層配線基板、モジュール基板)3は、例えば、複数の絶縁体層(誘電体層)11と、複数の導体層または配線層(図示せず)とを積層して一体化した多層基板(多層配線基板)である。図5では、4つの絶縁体層11が積層されて配線基板3が形成されているが、積層される絶縁体層11の数はこれに限定されるものではなく種々変更可能である。配線基板3の絶縁体層11を形成する材料としては、例えばアルミナ(酸化アルミニウム、Al)などのようなセラミック材料を用いることができる。この場合、配線基板3はセラミック多層基板である。配線基板3の絶縁体層11の材料は、セラミック材料に限定されるものではなく種々変更可能であり、例えばガラスエポキシ樹脂などを用いても良い。
【0045】
配線基板3の上面(表面、主面)3a上と下面(裏面、主面)3b上と絶縁体層11間とには、配線形成用の導体層(配線層、配線パターン、導体パターン)が形成されている。配線基板3の最上層の導体層によって、配線基板3の上面3aに導電体からなる基板側端子(電極、端子、配線パターン)12aが複数形成され、配線基板3の最下層の導体層によって、配線基板3の下面3bに導電体からなる外部接続端子(端子、電極、モジュール電極)12bが複数形成されている。外部接続端子12bは、例えば、図1における入力端子104a,104b、出力端子106a,106bなどに対応するものである。配線基板3の内部、すなわち絶縁体層11の間にも導体層(配線層、配線パターン、導体パターン)が形成されているが、図5では簡略化のために図示を省略している。また、配線基板3の導体層により形成される配線パターンのうち、基準電位供給用の配線パターン(例えば配線基板3の下面3bの基準電位供給用端子12cなど)は、絶縁体層11の配線形成面の大半の領域を覆うような矩形パターンで形成し、伝送線路用の配線パターンは帯状のパターンで形成することができる。
【0046】
配線基板3を構成する各導体層(配線層)は、必要に応じて絶縁体層11に形成されたビアホール(スルーホール)13内の導体または導体膜を通じて電気的に接続されている。従って、配線基板3の上面3aの基板側端子12aは、必要に応じて配線基板3の上面3aおよび/または内部の配線層やビアホール13内の導体膜などを介して結線され、配線基板3の下面3bの外部接続端子12bまたは基準電位供給用端子12cに電気的に接続されている。なお、ビアホール13のうち、半導体チップ2の下方に設けられたビアホール13aは、半導体チップ2で生じた熱を配線基板3の下面3b側に伝導させるためのサーマルビアとして機能することもできる。
【0047】
半導体チップ2は、図1の回路ブロック図において半導体チップ2を示す点線で囲まれた回路構成に対応する半導体集積回路が形成された半導体チップ2である。従って、半導体チップ2は増幅回路(電力増幅回路)を含んでおり、半導体チップ2内(または表層部分)には、電力増幅回路102A,102B(の増幅段102A1〜102A3,102B1〜102B3)を構成する半導体増幅素子、周辺回路103を構成する半導体素子および整合回路(段間整合回路)102AM1,102AM2,102BM1,102BM1を構成する受動素子などが形成されている。上記電力増幅回路102A,102B(の増幅段102A1〜102A3,102B1〜102B3)を構成する半導体増幅素子は、例えば、MISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)、ヘテロ接合バイポーラトランジスタまたはHEMT(High Electron Mobility Transistor)などにより構成することができる。このように、RFパワーモジュール1は電力増幅回路(102A,102B)を有し、半導体チップ2はその電力増幅回路(102A,102B)を含む(構成する)能動素子である。半導体チップ2は、例えば、単結晶シリコンなどからなる半導体基板(半導体ウエハ)に半導体集積回路を形成した後、必要に応じて半導体基板の裏面研削を行ってから、ダイシングなどにより半導体基板を各半導体チップ2に分離したものである。
【0048】
図7は、一例として、上記電力増幅回路102A,102B(の増幅段102A1〜102A3,102B1〜102B3)を構成する半導体増幅素子をLDMOSFET(Laterally Diffused Metal-Oxide-Semiconductor Field Effect Transistor、横方向拡散MOSFET)により形成した場合の半導体チップ2の要部断面図である。
【0049】
図7に示されるように、p型単結晶シリコンからなる半導体基板201の主面には、p型単結晶シリコンからなるエピタキシャル層202が形成され、エピタキシャル層202の主面の一部には、LDMOSFETのドレインからソースへの空乏層の延びを抑えるパンチスルーストッパとして機能するp型ウエル206が形成されている。p型ウエル206の表面には、酸化シリコンなどからなるゲート絶縁膜207を介してLDMOSFETのゲート電極208が形成されている。ゲート電極208は、例えばn型の多結晶シリコン膜あるいはn型の多結晶シリコン膜と金属シリサイド膜の積層膜などからなり、ゲート電極208の側壁には、酸化シリコンなどからなるサイドウォールスペーサ211が形成されている。
【0050】
エピタキシャル層202の内部のチャネル形成領域を挟んで互いに離間する領域には、LDMOSFETのソース、ドレインが形成されている。ドレインは、チャネル形成領域に接するn型オフセットドレイン領域209と、n型オフセットドレイン領域209に接し、チャネル形成領域から離間して形成されたn型オフセットドレイン領域212と、n型オフセットドレイン領域212に接し、チャネル形成領域からさらに離間して形成されたn型ドレイン領域213とからなる。これらn型オフセットドレイン領域209、n型オフセットドレイン領域212およびn型ドレイン領域213のうち、ゲート電極208に最も近いn型オフセットドレイン領域209は不純物濃度が最も低く、ゲート電極208から最も離間したn型ドレイン領域213は不純物濃度が最も高い。
【0051】
LDMOSFETのソースは、チャネル形成領域に接するn型ソース領域210と、n型ソース領域210に接し、チャネル形成領域から離間して形成され、n型ソース領域210よりも不純物濃度が高いn型ソース領域214とからなる。n型ソース領域210の下部には、p型ハロー領域(図示せず)を形成することもできる。
【0052】
型ソース領域214の端部(n型ソース領域210と接する側と反対側の端部)には、n型ソース領域214と接するp型打抜き層204が形成されている。p型打抜き層204の表面近傍には、p型半導体領域215が形成されている。p型打抜き層204は、LDMOSFETのソースと半導体基板201とを電気的に接続するための導電層であり、例えばエピタキシャル層202に形成した溝203の内部に埋め込んだp型多結晶シリコン膜によって形成される。
【0053】
LDMOSFETのp型打抜き層204(p型半導体領域215)、ソース(n型ソース領域214)およびドレイン(n型ドレイン領域213)のそれぞれの上部には、絶縁膜(層間絶縁膜)221に形成されたコンタクトホール222内のプラグ223が接続されている。p型打抜き層204(p型半導体領域215)およびソース(n型ソース領域214)には、プラグ223を介してソース電極224a(配線224)が接続され、ドレイン(n型ドレイン領域213)には、プラグ223を介してドレイン電極224b(配線224)が接続されている。
【0054】
ソース電極224aおよびドレイン電極224bのそれぞれには、ソース電極224aおよびドレイン電極224bを覆う絶縁膜(層間絶縁膜)225に形成されたスルーホール226内のプラグ227を介して配線228が接続されている。配線228の上部には、酸化シリコン膜と窒化シリコン膜の積層膜からなる表面保護膜(絶縁膜)229が形成されている。また、半導体基板201の裏面には裏面電極(ソース裏面電極)230が形成されている。
【0055】
図8は、他の一例として、上記電力増幅回路102A,102B(の増幅段102A1〜102A3,102B1〜102B3)を構成する半導体増幅素子をヘテロ接合型バイポーラトランジスタ(HBT:Heterojunction Bipolar Transistor)により形成した場合の半導体チップ2の要部断面図である。
【0056】
図8に示されるように、半絶縁性のGaAs基板(半導体基板)251上にn型GaAs層よりなるサブコレクタ層252が形成され、サブコレクタ層252上にHBT253が形成されている。
【0057】
各HBT253は、サブコレクタ層252上に形成された金などからなるコレクタ電極254と、このコレクタ電極254とは所定間隔だけ離間して形成されたコレクタメサ255を有している。コレクタメサ255は、例えばn型GaAs層より形成され、コレクタメサ255とコレクタ電極254はサブコレクタ層252を介して電気的に接続されている。
【0058】
コレクタメサ255上には、例えばp型GaAs層よりなるベースメサ256が形成されている。ベースメサ256上の周辺領域には金等よりなるベース電極257が形成されている。ベースメサ256の略中央部上にエミッタ層258が形成され、エミッタ層258上にエミッタ電極259が形成されている。エミッタ層258は、例えばn型InGaP層、GaAs層およびInGaAs層を積層した層より形成され、エミッタ電極259は、例えばタングステンシリサイドから形成されている。このように、ベースメサ(p型GaAs層)256とエミッタ層(n型InGaP層)258との間には異種半導体接合(ヘテロ接合)が形成されている。
【0059】
コレクタ電極254には、絶縁膜261に形成されたコンタクトホール262を介してコレクタ配線263が接続されている。エミッタ電極259には、絶縁膜264,261に形成されたスルーホール265を介してエミッタ配線266が接続されている。エミッタ配線266よりも上層の構造については、ここでは図示およびその説明を省略する。
【0060】
図4〜図6に示されるように、半導体チップ2は配線基板3の上面3aの導体層14に、例えば半田15などの接合材によりフェイスアップでダイボンディングされている。半導体チップ2のダイボンディングには、半田15の代わりに銀ペーストなどを用いることもできる。半導体チップ2の表面(上面)に形成された複数の電極(ボンディングパッド)2aは、それぞれ、ボンディングワイヤ(導電性ワイヤ)8を介して配線基板3の上面3aの基板側端子12aに電気的に接続されている。また、半導体チップ2の裏面には裏面電極2bが形成されており、この半導体チップ2の裏面電極2bは、配線基板3の上面3aの導体層14に半田15などの接合材により接続(接合)され、更にビアホール13内の導体膜などを介して、配線基板3の下面3bの基準電位供給用端子12cに電気的に接続されている。また、他の形態として、配線基板3の上面3aにキャビティ(窪み)を設け、配線基板3のキャビティ内に半導体チップ2を搭載することもでき、これにより、RFパワーモジュールの薄型化に有利となる。
【0061】
受動部品4は、抵抗素子(例えばチップ抵抗)、容量素子(例えばチップコンデンサ)またはインダクタ素子(例えばチップインダクタ)などの受動素子からなり、例えばチップ部品からなる。受動部品4は、例えば整合回路(入力整合回路)105A,105Bや整合回路(出力整合回路)107A,107Bなどを構成する受動部品(受動素子)である。また、整合回路(段間整合回路)102AM1,102AM2,102BM1,102BM2を構成する受動素子は、半導体チップ2内に形成しても、あるいは半導体チップ2内に形成せずに、受動部品4により形成してもよい。受動部品4は、配線基板3の上面3aの基板側端子12aに半田17などの導電性の良い接合材により実装されている。
【0062】
空芯コイル6は、整合回路(出力整合回路)107A,107Bに使用されるインダクタ素子、すなわち、整合回路(出力整合回路)107A,107Bの一部を構成するインダクタ素子であり、上記インダクタ素子113aに対応するインダクタ素子である。空芯コイル6は、絶縁被膜で覆われた導体線(例えば銅線、後述する導体線31に対応)を螺旋状に複数回巻くことにより形成されており、その導体線の両端部は絶縁被膜が除去されて、半田などの導電性の良い接合材(後述する半田32に対応)により配線基板3の上面3aの基板側端子12aに接合され、電気的に接続されている。
【0063】
本実施の形態では、配線基板3上に実装(搭載)された受動部品4(容量素子112a〜112dやインダクタンス素子113bを構成する受動部品4)および空芯コイル6(インダクタ素子113aを構成する空芯コイル6)と配線基板3の導体パターンにより形成された伝送線路(伝送線路111)により、上記各整合回路(出力整合回路)107A,107Bが形成されている。
【0064】
半導体チップ2、受動部品4または空芯コイル6が電気的に接続された配線基板3の上面3aの基板側端子12a間は、必要に応じて配線基板3の上面または内部の配線層やビアホール13内の導体膜などを介して結線され、配線基板3の下面3bの外部接続端子12bまたは基準電位供給用端子12cに電気的に接続されている。
【0065】
封止樹脂7は、半導体チップ2、受動部品4、空芯コイル6およびボンディングワイヤ8を覆うように配線基板3の上面3a上に形成されている。封止樹脂7は、例えばエポキシ樹脂またはシリコーン樹脂などの樹脂材料からなり、フィラーなどを含有することもできる。
【0066】
次に、本実施の形態のRFパワーモジュール1における空芯コイル6について、より詳細に説明する。
【0067】
図9および図10は、本実施の形態のRFパワーモジュール1の要部斜視図、図11および図12はRFパワーモジュール1の要部上面図(要部平面図)、図13はRFパワーモジュール1の要部側面図であり、いずれも、封止樹脂7を透視し、配線基板3上に実装された空芯コイル6が示されている。図11の矢印30の方向から見たものが、図13にほぼ対応する。また、図10は、図9において半田32の図示を省略したものに対応し、図12は、図11において半田32の図示を省略したものに対応する。また、図10および図12は、それぞれ斜視図および平面図であるが、理解を簡単にするために、空芯コイル6を構成する導体線31のうち、絶縁被膜が除去されている部分(すなわち導体部が露出している部分)にハッチングを付してある(但し、図面を見易くするために、図10と図12とでハッチングの種類が異なっている)。また、図9には、空芯コイル6で生じる磁束(磁界)33を点線で模式的に示してある。
【0068】
本実施の形態の空芯コイル6は、面実装型の空芯コイルであり、配線基板3の上面3aに実装(面実装、搭載)されている。
【0069】
図9〜図13に示されるように、空芯コイル6は、絶縁被膜(絶縁皮膜、絶縁膜)で覆われた導体線(例えば銅線)31を螺旋状に複数回巻く(巻回する、巻き回す)ことにより形成されたコイル部(コイル本体)6aと、コイル部6aの両端にそれぞれ接続された導体線31からなる2つの端子部6bとにより構成されている。空芯コイル6は1本の導体線31により形成されており、同じ導体線31により空芯コイル6のコイル部6aと2つの端子部6bとが一体的に形成されている。この空芯コイル6を構成する導体線31のうち、コイル部6aの導体線31(すなわちコイル部6aを構成する導体線31)は、表面が絶縁被膜で被覆され(覆われ)ているが、端子部6bの導体線31(すなわち端子部6bを構成する導体線31)は、絶縁被膜が除去されており、導体部(導体の芯部)が露出された状態となっている。
【0070】
空芯コイル6の各端子部6b(を構成する導体線31)は、空芯コイル6のコイル部6aから離れる方向に向かう方向に延在し、半田32のような導電性の接合材を介して、配線基板3の上面3aの基板側端子12a(電極)に接合され、電気的に接続されている。半田32は、鉛(Pb)を含有しない鉛(Pb)フリー半田であれば、より好ましい。空芯コイル6のコイル部6a(の下部)は、配線基板3の上面(主面)3aに接触しており、空芯コイル6は配線基板3の上面3aに面実装されている。
【0071】
空芯コイル6の端子部6b(を構成する導体線31)の延在方向は、空芯コイル6のコイル部6aから離れる方向であるが、空芯コイル6のコイル部6aのターン円の接線方向に、空芯コイル6の端子部6b(を構成する導体線31)を延在させることが、より好ましい。従って、空芯コイル6の端子部6b(を構成する導体線31)の延在方向は、配線基板3の上面3a(主面)に略平行な方向であればより好ましく、また、コイル部6aを構成する導体線31の螺旋の進行方向と略垂直な方向であれば、より好ましい。また、空芯コイル6の端子部6bに半田32を介して電気的に接続された基板側端子12aは、空芯コイル6のコイル部6aから離れた位置にあり、コイル部6aの下には、その基板側端子12aが延在していないことが好ましい。
【0072】
本実施の形態とは異なり、出力整合回路(107A,107B)のインダクタ素子113aとして、空芯コイル6の代わりにチップインダクタを用いることも考えられるが、この場合、チップインダクタはQ値が低いことから、出力整合回路(107A,107B)での損失が大きくなり、RFパワーモジュールの電力付加効率が低下する可能性がある。出力整合回路には電力増幅回路102A,102Bで増幅されたRF信号が入力されるので、出力整合回路のインダクタ素子、特に上記インダクタ素子113aのQ値が低いと、そのインダクタ素子113aでの損失は大きく、RFパワーモジュールの電力付加効率を低下するように作用してしまう。このため、本実施の形態のように、出力整合回路(107A,107B)のインダクタ素子、特に上記インダクタ素子113aとして、チップインダクタよりもQ値を高くすることが容易な空芯コイルを用いることで、RFパワーモジュール1の電力付加効率などを向上することが可能になる。
【0073】
しかしながら、本発明者の検討によれば、出力整合回路(107A,107B)のインダクタ素子、特に上記インダクタ素子113aを単純に空芯コイルに置き換えただけでは、空芯コイルの実装信頼性の向上と実効的なQ値の向上の両立は実現できないことが分かった。
【0074】
図14および図15は第1の比較例のRFパワーモジュール301の要部斜視図、図16は第1の比較例のRFパワーモジュール301の要部側面図であり、それぞれ本実施の形態の図9,図10,図13に対応するものであり、いずれも、封止樹脂7を透視し、配線基板3上に実装された空芯コイル306が示されている。図15は、図14において半田332の図示を省略したものに対応し、理解を簡単にするために、空芯コイル306を構成する導体線331のうち、絶縁被膜が除去されている部分(すなわち導体部が露出している部分)にハッチングを付してある。また、図14には、空芯コイル306で生じる磁束(磁界)333を点線で模式的に示してある。
【0075】
第1の比較例のRFパワーモジュール301は、空芯コイル306(本実施の形態の空芯コイル6に対応するもの)およびそれを接続する基板側端子312a(本実施の形態の基板側端子12aに対応するもの)以外は、本実施の形態のRFパワーモジュール1とほぼ同様の構成を有しているので、ここではその説明は省略する。
【0076】
図14〜図16に示される第1の比較例のRFパワーモジュール301では、空芯コイル306は、絶縁被膜で覆われた導体線331(本実施の形態の導体線31に対応するもの)を螺旋状に複数回巻くことにより形成されており、空芯コイル306の両端部で導体線331の絶縁被膜が剥がされて端子部306bとされている。そして、空芯コイル306の両端の下にそれぞれ延在する基板側端子312aに、空芯コイル306の端子部306bを半田332で接合している。
【0077】
第1の比較例のRFパワーモジュール301では、巻き線(導体線331)の両外側2ターン(2巻き)分だけ絶縁被膜を剥がして端子部306bとし、その絶縁被膜が除去された2巻きの導体線331からなる端子部306bを端子部306bの下に延在する基板側端子312aに半田332で接合している。第1の比較例のRFパワーモジュール301において、導体線331の絶縁被膜を剥がした部分を空芯コイル306の巻き線の両外側2ターン(2巻き)よりも少なくした場合、基板側端子312aと空芯コイル306の端子部306bとの接合面積が少なくなり、空芯コイル306の実装信頼性が低下する可能性がある。それに対して、第1の比較例のRFパワーモジュール301では、巻き線の両外側2ターン(2巻き)分だけ絶縁被膜を剥がして端子部306bとしているので、基板側端子312aと空芯コイル306の端子部306bとの接合面積を大きくすることができ、空芯コイル306の実装信頼性を向上することができる。
【0078】
しかしながら、第1の比較例のRFパワーモジュール301では、配線基板への実装信頼性を向上するために両外側2ターン分だけ導体線331の絶縁被膜を剥がしているので、配線基板3に空芯コイル306を半田332で実装した際に、絶縁被膜を剥がした部分の導体線331に半田332が吸い上がり、図14および図16にも示されるように、空芯コイル306の外側面(外側壁)に半田332が吸い上がって付着してしまう。
【0079】
本発明者の検討によれば、空芯コイル306の外側面に半田332が吸い上がって付着すると、空芯コイル306により発生する磁束(磁界)333の一部が空芯コイル306の外側面に付着した半田332の影響で遮蔽されて磁束密度が低下し、空芯コイル306の実効的なQ値が低下し、空芯コイル306における渦電流損失が大きくなる可能性があることが分かった。これは、出力整合回路(107A,107B)での損失を大きくし、RFパワーモジュールの電力付加効率などを低下させるように作用する。このように、第1の比較例のRFパワーモジュール301では、空芯コイルの実装信頼性の向上と実効的なQ値の向上を両立することは困難である。
【0080】
図17は、第2の比較例のRFパワーモジュール401の要部側面図であり、本実施の形態の図13に対応するものであり、封止樹脂7を透視し、配線基板3上に実装された空芯コイル406が示されている。
【0081】
図17に示されるように、第2の比較例のRFパワーモジュール401では、空芯コイル406(本実施の形態の空芯コイル6に対応するもの)は、導体線431(本実施の形態の導体線31に対応するもの)を螺旋状に複数回巻くことにより形成されるコイル本体406aの両端で、導体線431をコイル本体406aの外径より長くなるように下方に垂下し、両端部を互いに内側方向に折曲して半田付け端部(端子部)406bを形成している。コイル本体406aでは、導体線431の表面は絶縁被膜で覆われているが、半田付け端部406bでは、導体線431の絶縁被膜は剥がされている。そして、この半田付け端部406bを配線基板3の基板側端子412a(本実施の形態の基板側端子12aに対応するもの)に半田432で接合している。
【0082】
第2の比較例のRFパワーモジュール401では、空芯コイル406の半田実装の信頼性を向上できるが、空芯コイル406のコイル本体406aが配線基板3の上面3aから高く浮いた状態になるので、空芯コイル406の最上部の高さ位置が高くなり、RFパワーモジュール401の厚みが厚くなってしまう。これは、近年のRFパワーモジュールの小型化・薄型化の要求とは逆行してしまう。
【0083】
図18は、第3の比較例のRFパワーモジュール501の要部断面図(側面断面図)であり、封止樹脂7の図示を省略し、配線基板503上に実装された空芯コイル506が示されている。
【0084】
図18に示されるように、第3の比較例のRFパワーモジュール501では、空芯コイル506(本実施の形態の空芯コイル6に対応するもの)は、絶縁被膜で覆われた導体線531(本実施の形態の導体線31に対応するもの)を螺旋状に複数回巻くことにより形成されている。そして、空芯コイル506の両端の絶縁被膜を剥いだ導体線531からなる端子部506bを、配線基板503(本実施の形態の配線基板3に対応するもの)の上面503aに設けられた孔部534に挿入して孔部534の内壁に形成された導体膜からなる基板側端子512aに半田532で接合している。
【0085】
第3の比較例のRFパワーモジュール501では、空芯コイル506の端子部506bを配線基板503の孔部534に挿入して半田実装しているので、空芯コイル506の半田実装の信頼性を向上できる。しかしながら、第3の比較例のRFパワーモジュール501では、配線基板503に孔部534および孔部534の側壁の基板側端子512aを形成する必要があるので、配線基板503の加工が難しく、配線基板503の製造工程が複雑化し、配線基板503およびそれを用いたRFパワーモジュール501の製造コストが増大してしまう。また、配線基板503への空芯コイル506の実装工程も複雑化してしまう。
【0086】
それに対して、本実施の形態では、図9〜図13にも示されるように、空芯コイル6の端子部6bは、空芯コイル6のコイル部6aから離れる方向に向かう方向に延在し、コイル部6aから離れた位置にある基板側端子12aに、半田32により接合されて電気的に接続されている。空芯コイル6の端子部6bを空芯コイル6のコイル部6aから離れる方向に向かう方向に延在させているので、絶縁被膜を剥がした(除去した)状態の導体線31からなる端子部6bの長さを長くすることができ、基板側端子12a上に位置する端子部6bの長さを長くすることができる。このため、基板側端子12aと空芯コイル6の端子部6bとの接合面積を大きくすることができ、配線基板3への空芯コイル6の実装(半田実装)の信頼性を向上することができる。
【0087】
また、本実施の形態では、空芯コイル6の端子部6bを空芯コイル6のコイル部6aから離れる方向に向かう方向に延在させているので、空芯コイル6のコイル部6aを基板側端子12aから離れた位置に配置することができる。このため、空芯コイル6の端子部6bでは、導体線31の絶縁被膜が除去された(剥がされた)状態であるが、空芯コイル6のコイル部6aでは、導体線31が絶縁被膜で覆われた状態とすることができる。半田実装時には、空芯コイル6を構成する導体線31の絶縁被膜を除去した(剥いだ)部分でだけ半田が吸い上がることができ、導体線31の絶縁被膜で覆われた部分では半田は吸い上がらない。従って、配線基板3に空芯コイル6を半田32で実装した際に(すなわち空芯コイル6の端子部6bを基板側端子12aに半田32で接合した際に)、空芯コイル6を構成する導体線31のうち、端子部6b以外の部分(すなわちコイル部6a)に半田32が吸い上がるのを防止することができ、空芯コイル6の外側面に半田32が吸い上がって付着するのを防止できる。また、空芯コイル6の端子部6bを接続した基板側端子12aが、空芯コイル6のコイル部6aの下に延在していないことも、空芯コイル6の外側面への半田32の吸い上がり防止に有利に作用する。
【0088】
このため、本実施の形態では、上記第1の比較例のRFパワーモジュール301を参照して説明した空芯コイルにより発生する磁束(磁界)の一部が空芯コイルの外側面に付着した半田の影響で遮蔽される現象を防止でき、空芯コイル6における磁束密度の低下を防止できるので、空芯コイル6の実効的なQ値を向上でき、空芯コイル6における渦電流損失を低減することができる。従って、出力整合回路(107A,107B)での損失を小さくでき、RFパワーモジュール1の電力付加効率などを向上させることができる。このように、本実施の形態では、空芯コイル6の実装信頼性の向上と実効的なQ値の向上を両立することができ、RFパワーモジュール1の信頼性と性能(電力付加効率など)を向上して、両立することができる。
【0089】
また、本実施の形態では、配線基板3の上面3aに形成した基板側端子12aに空芯コイル6の端子部6bを半田32を介して接合するので、配線基板3の加工が容易で、配線基板3およびそれを用いたRFパワーモジュール1の製造コストを低減でき、また、配線基板3への空芯コイル6の実装も容易になる。
【0090】
また、本実施の形態では、空芯コイル6を配線基板3の上面3aに面実装しており、空芯コイル6のコイル部6aが配線基板3の上面3aに接触(近接)しているので、上記第2の比較例のRFパワーモジュール401などに比べて、空芯コイル6の最上部の高さ位置を低くすることができ、RFパワーモジュール1の厚みを薄くすることができる。これにより、RFパワーモジュールの小型化・薄型化が可能になる。
【0091】
図19は、空芯コイルのL値(インダクタンス値)の一例を示すグラフであり、図20は、空芯コイルのQ値の一例を示すグラフである。図19および図20のグラフの横軸は、周波数(RFパワーモジュールの送信周波数)に対応する。また、図19のグラフの縦軸は、空芯コイルのL値(インダクタンス値)に対応する。また、図20のグラフの縦軸は、空芯コイルのQ値に対応する。図19および図20のグラフには、本実施の形態のRFパワーモジュール1の空芯コイル6(図19および図20では実線で示されている)と、第1の比較例のRFパワーモジュール301の空芯コイル306(図19および図20では、点線で示されている)について、インダクタンス値およびQ値の周波数依存性を調べて、その一例をグラフ化してある。
【0092】
RFパワーモジュールの送信周波数帯近傍(例えば1GHz近傍)で比較すると、図19および図20に示されるように、インダクタンス値(L値)はそれほど変わらなくとも(例えば図19の場合はインダクタンス値の差は十数%程度である)、本実施の形態のRFパワーモジュール1の空芯コイル6のQ値は、第1の比較例のRFパワーモジュール301の空芯コイル306のQ値の約2倍とすることができる。このように、本実施の形態では、RFパワーモジュール1の空芯コイル6の実効的なQ値を高めることができ、空芯コイル6の低損失化が実現できる。
【0093】
図21は、RFパワーモジュールの電力付加効率を示すグラフである。図21のグラフの横軸は周波数(RFパワーモジュールの送信周波数)に対応し、図21のグラフの縦軸はRFパワーモジュールの電力付加効率に対応する。図21のグラフには、本実施の形態のRFパワーモジュール1(図21のグラフでは実線で示されている)と、第1の比較例のRFパワーモジュール301(図21のグラフでは点線で示されている)と、出力整合回路においてインダクタ素子113a(空芯コイル6)を省略した第4の比較例のRFパワーモジュール(図21のグラフでは一点鎖線で示されている)とについて、電力付加効率の周波数依存性を調べてグラフ化してある。すなわち、図21において、「本実施の形態」は、出力整合回路の上記インダクタ素子113aを上記空芯コイル6により構成したRFパワーモジュール1に対応し、「第1の比較例」は、出力整合回路の上記インダクタ素子113aを上記空芯コイル306により構成したRFパワーモジュール301に対応し、「第4の比較例」は、上記インダクタ素子113aをなくして出力整合回路を構成したRFパワーモジュールに対応する。
【0094】
図21に示されるように、出力整合回路にインダクタ素子113aを導入した本実施の形態および第1の比較例のRFパワーモジュールは、出力整合回路にインダクタ素子113aを導入していない第4の比較例のRFパワーモジュールに比べて、電力付加効率の周波数特性を広帯域化できる、すなわち、より広い周波数帯に渡って電力付加効率を高めることができる。このため、出力整合回路にインダクタ素子113aを導入することにより、USGSM帯(824〜849MHz)とEUGSM帯(880〜915MHz)との両方で、電力付加効率を高めることができる。従って、1つの電力増幅回路102Aで複数(ここでは2つ)の周波数帯、すなわちUSGSM帯およびEUGSM帯の高周波信号を的確かつ効率よく増幅することができる。
【0095】
更に、図21に示されるように、GSM帯の送信周波数(824〜915MHz)、すなわちUSGSM帯とEUGSM帯との両方の送信周波数帯において、本実施の形態のRFパワーモジュール1は、上記のように空芯コイル6の実効的なQ値を高めることができたことから、第1の比較例のRFパワーモジュール301よりも、数%程度、電力付加効率を向上することができる。
【0096】
なお、図21には、RFパワーモジュールにおいて、電力増幅回路102Aにより高周波信号を増幅した場合について電力付加効率をグラフ化しているが、DCS帯(1710〜1785MHz)およびPCS帯(1850〜1910MHz)の高周波信号について電力増幅回路102Bにより高周波信号を増幅した場合についても、ほぼ同様の結果が得られるので、ここではその説明は省略する。
【0097】
このように、本実施の形態では、RFパワーモジュール1の出力整合回路(の特にインダクタ素子113a)に面実装型の低損失の空芯コイル6を使用することで、電力付加効率などの性能(モジュール特性)を向上することができる。
【0098】
次に、本実施の形態のRFパワーモジュール1の製造工程の一例を図面を参照して説明する。
【0099】
図22〜図24は、本実施の形態のRFパワーモジュール1の製造工程中の断面図である。本実施の形態のRFパワーモジュール1は、例えば次のようにして製造することができる。
【0100】
まず、図22に示されるように、配線基板3を準備する。配線基板3は、例えば印刷法、シート積層法またはビルドアップ法などを用いて製造することができる。
【0101】
次に、図23に示されるように、配線基板3の半導体チップ2、受動部品4および空芯コイル6などを搭載予定の基板側端子12aに半田などの接合材を必要に応じて印刷または塗布する。そして、配線基板3の上面3a上に半導体チップ2、受動部品4および空芯コイル6を搭載する。この際、半導体チップ2は、裏面側(裏面電極2b側)が下方(配線基板3側)を向き、表面側が上方を向くように(フェイスアップボンディング)、配線基板3の上面3aの導体層14上に搭載される。
【0102】
それから、半田リフロー処理などを行って、半導体チップ2、受動部品4および空芯コイル6を配線基板3に半田などの接合材を介して固着(接続)する。
【0103】
次に、ワイヤボンディング工程を行って、半導体チップ3の表面の電極(ボンディングパッド)2aと配線基板3の上面3aの基板側端子12aとをボンディングワイヤ8を介して電気的に接続する。
【0104】
次に、図24に示されるように、配線基板3の上面3a上に、半導体チップ2、受動部品4、空芯コイル6およびボンディングワイヤ8を覆うように、封止樹脂7を形成する。封止樹脂7は、例えば印刷法またはモールド用金型(例えばトランスファモールド)などを用いて形成することができる。このようにして、RFパワーモジュール1が製造される。1枚の配線基板3から複数のRFパワーモジュール1を製造する場合は、封止樹脂7の形成後、配線基板3および封止樹脂7を所定の位置で分割(切断)し、各個片としてのRFパワーモジュール1を得ることができる。
【0105】
次に、本実施の形態のRFパワーモジュール1の製造工程のうち、空芯コイル6の製造工程および配線基板3上への空芯コイル6の実装(搭載)工程の一例について説明する。
【0106】
図25〜図29は、本実施の形態のRFパワーモジュール1に用いられる空芯コイル6の製造工程および実装工程の説明図である。本実施の形態で用いられる空芯コイル6は、例えば次のようにして製造し、配線基板3に実装することができる。
【0107】
まず、図25に示されるように、製造装置(空芯コイルの自動巻き装置、空芯コイルの製造装置)のスリーブ281から突出する巻芯(巻き付け芯)282に銅線(絶縁被膜付きの銅線)などからなる導体線31を所定の回数巻きつけてから、導体線31を所定の位置で切断する。これにより、導体線31からなる空芯コイル6が巻芯282に巻きつけられた状態が得られる。この際、空芯コイル6のコイル本体(コイル部6a)の導体線31は絶縁被膜で覆われているが、空芯コイル6の両端の導体線31(すなわち端子部6b)は、絶縁被膜が除去されて、巻芯282から離れる方向に(巻芯282の外周円の接線方向に)所定の長さだけ延在した状態とされている。
【0108】
次に、図26に示されるように、下方からバックアップステージ284が上昇し、上方から実装用ノズル285が下降し、巻芯282に巻きつけられた空芯コイル6を実装用ノズル285とバックアップステージ284とで挟む。なお、図27は図26の矢印286の方向から実装用ノズル285と空芯コイル6を見た図であり、図27に示されるように、実装用ノズル285は吸着用の開口部(孔)を有した半円形状の先端部を備えており、その先端部に空芯コイル6を吸着可能に構成されている。
【0109】
次に、図28に示されるように、スリーブ281に対して巻芯282を引っ込め、導体線31からなる空芯コイル6から巻芯282を引き抜く(抜き取る)。これにより、螺旋状に巻かれた導体線31からなる空芯コイル6が得られるが、この空芯コイル6は、空芯コイル6から巻芯282が抜き取られても、実装用ノズル285に吸着(ピックアップ)されている。
【0110】
それから、図29に示されるように、実装用ノズル285を上昇させ、バックアップステージ284を下降させ、実装用ノズル285に吸着(ピックアップ)された空芯コイル6を実装用ノズル285とともに移動させ、この空芯コイル6を配線基板3(図29では図示省略)上に実装する。すなわち、実装用ノズル285に吸着された空芯コイル6を実装用ノズル285とともに配線基板3上に移動させ、配線基板3の上面3aの空芯コイル6の搭載予定位置上に空芯コイル6を配置する。この際、配線基板3の基板側端子12a(空芯コイル6を接続すべき基板側端子12a)上に、空芯コイル6の端子部6bが位置するようにする。このように、実装用ノズル285に吸着された空芯コイル6を、部品フィーダなどに備蓄することなく、速やかに配線基板3の上面3aに実装する。
【0111】
それから、図25〜図29の工程を繰り返す。
【0112】
本実施の形態とは異なり、部品フィーダ(バルクフィーダ)の収納ケースなどに大量の空芯コイルを備蓄しておき、備蓄された大量の空芯コイルから1個の空芯コイル6を取り出して配線基板3上に実装する場合、空芯コイル同士が絡み合い、空芯コイルのピックアップ不良が発生する可能性がある。
【0113】
それに対して、本実施の形態では、上記のように、空芯コイルの自動巻き装置の巻芯282に導体線31を巻きつけてから導体線31を切断し、巻芯282を引き抜くことで1個の空芯コイル6を形成し、この空芯コイル6を部品フィーダなどに備蓄することなく、自動ピックアップ機構(実装用ノズル285)により配線基板3上に実装(マウント)する。すなわち、本実施の形態では、1個の空芯コイル6を形成した後、この空芯コイル6を配線基板3に実装するが、1個の空芯コイル6を形成した後で、この空芯コイル6を配線基板3に実装する前に、個片化した複数の空芯コイルが絡み合う状態で空芯コイル6を備蓄しない。このため、空芯コイルのピックアップ不良が発生するのを防止でき、配線基板3上に的確に空芯コイル6を実装することができる。したがって、空芯コイル6を実装したRFパワーモジュールの製造歩留りを向上することができる。
【0114】
(実施の形態2)
図30は、上記第1の比較例のRFパワーモジュール301の要部側面図であり、封止樹脂7を透視し、配線基板3上に実装された空芯コイル306が示されている。図30は、上記図15の矢印330の方向から見たものに、ほぼ対応する。また、図30には、空芯コイル306で生じる磁束(磁界)333を矢印で模式的に示してある。また、図30は側面図であるが、理解を簡単にするために、半田332の図示を省略し、更に、空芯コイル306を構成する導体線331のうち、絶縁被膜が除去されている部分(すなわち導体部が露出している部分)にハッチングを付してある。
【0115】
図30に示されるように、空芯コイル306を配線基板3の上面3aに面実装した場合、空芯コイル306の下部全体が配線基板3の上面3aに近接しており、空芯コイル306で発生した磁束(磁界)333が配線基板3の表面または内部の配線に影響を与える可能性がある。これは、RFパワーモジュール301の周波数特性のずれや、電力付加効率の低下を招く可能性がある。
【0116】
図31は、本実施の形態のRFパワーモジュール1aの要部側面図であり、封止樹脂7を透視し、配線基板3上に実装された空芯コイル6cが示されている。図32および図33は、本実施の形態のRFパワーモジュール1aの要部断面図であり、封止樹脂7の図示を省略し、配線基板3上に実装された空芯コイル6cが示されている。図31は、上記図30と同様の向きで配線基板3上の空芯コイル6cを見たものに対応する。また、図31には、空芯コイル6cで生じる磁束(磁界)33aを矢印で模式的に示してある。また、図31は側面図であるが、理解を簡単にするために、半田32の図示を省略し、更に、空芯コイル6cを構成する導体線31のうち、絶縁被膜が除去されている部分(すなわち導体部が露出している部分)にハッチングを付してある。また、図32は、図31のA−A線の断面にほぼ対応し、図33は、図31のB−B線の断面にほぼ対応する。
【0117】
本実施の形態のRFパワーモジュール1aは、空芯コイル6の代わりに空芯コイル6cを用いたこと以外は、上記実施の形態1のRFパワーモジュール1とほぼ同様の構成を有しているので、ここではその説明は省略する。
【0118】
図31〜図33に示されるように、本実施の形態のRFパワーモジュール1aでは、絶縁被膜で覆われた導体線31を螺旋状に複数回巻く(巻回する、巻き回す)ことにより形成された面実装型の空芯コイル6cが配線基板3上に実装されており、この空芯コイル6cのうち、両方の端部近傍領域6eは配線基板3の上面(主面)3aに接触しているが、両端部近傍領域6eに比べて中央部6dが、配線基板3の上面(主面)3aから遠ざけられて配線基板3の上面3aと接触しないようにされている。
【0119】
空芯コイル6cは、配線基板3に対向する側において中央部6dが端部近傍領域6eよりも窪むように導体線31を巻く(巻き回す)ことで、形成されている。すなわち、中央部6dにおけるコイル径(コイルの直径、導体線31を巻き回す直径)が、端部近傍領域6eにおけるコイル径(コイルの直径、導体線31を巻き回す直径)よりも小さくなるように、導体線31が巻かれて空芯コイル6cが形成されている。
【0120】
空芯コイル6cの中央部6dでは、導体線31の表面が絶縁被膜で覆われているが、中央部6dよりもコイル径が大きな両端部近傍領域6eでは、導体線31の絶縁被膜が除去されている。空芯コイル6cの端部近傍領域6eは、それぞれ、半田32のような導電性の接合材により、端部近傍領域6eの下に配置された基板側端子12a(電極)に接合され、電気的に接続されている。
【0121】
中央部6dよりもコイル径が大きな両端部近傍領域6eは、それぞれ、導体線31が1巻き(1ターン)以上、より好ましくは2巻き(2ターン)巻かれて(巻き回されて)形成されている。これにより、配線基板3上に空芯コイル6cを容易かつ安定して実装することができる。
【0122】
本実施の形態では、RFパワーモジュール1aの配線基板3の上面3aに面実装した空芯コイル6cにおいて、空芯コイル6cの両方の端部近傍領域6eの下部は配線基板3の上面3aに接触しているが、中央部6dは配線基板3の上面3aから浮いた状態にされており、中央部6dは配線基板3の上面3aから所定の距離だけ間隔を空けて離れている。このため、空芯コイル6cで発生した磁束(磁界)33aが配線基板3の表面または内部の配線に与える影響を減少させることができ、RFパワーモジュール1aの周波数特性のずれや、電力付加効率の低下を防止することができ、RFパワーモジュール1aの性能を向上させることができる。また、空芯コイル6cの高さが高くなるのを防止できるので、RFパワーモジュール1aの厚みが厚くなるのを防止できる。
【0123】
また、本実施の形態は、空芯コイル6cで発生した磁束(磁界)33aが配線基板3の配線に与える影響を減少できることから、空芯コイル6cの直下の位置の配線基板3に配線が存在している場合に適用すれば、より効果が大きい。
【0124】
次に、本実施の形態のRFパワーモジュール1aの製造工程のうち、空芯コイル6cの製造工程および配線基板3上への空芯コイル6cの実装(搭載)工程の一例について説明する。
【0125】
図34〜図37は、本実施の形態のRFパワーモジュール1aに用いられる空芯コイル6cの製造工程および実装工程の説明図である。このうち、図34は要部斜視図、図35〜図37は要部側面図に対応する。
【0126】
本実施の形態で用いられる空芯コイル6cは、例えば次のようにして製造し、配線基板3に実装することができる。
【0127】
空芯コイル6cの製造装置(空芯コイルの自動巻き装置)は、図34および図35に示されるように、それぞれスリーブ(図示せず)などから突出する一対の巻芯(巻き付け芯、巻き線用棒)282a,282bを有している。各巻芯282a,282bは、断面が略円形のベース部282dと、ベース部282dに一体的に連結され、断面が略半円形の先端部282cとを有している。巻芯282aと巻芯282bとは、鏡面対称の関係にあり、互いに対向する先端部282cの先端面同士が合わされることによって、一体的化されている。また、各巻芯282a,282bのベース部282dの下部に平坦面(平端部)を設けて、空芯コイル6cの実装時の安定性を高めることもできる。
【0128】
このような製造装置の一体化された一対の巻芯282a,282bに、図36に示されるように、銅線(絶縁被膜付きの銅線)などからなる導体線31を所定の回数巻きつけてから、導体線31を所定の位置で切断する。これにより、導体線31からなる空芯コイル6cが巻芯282a,282bに巻きつけられた状態が得られる。この際、巻芯282a,282bの先端部282cに巻きつけられた導体線31により空芯コイル6cの中央部6dが形成され、巻芯282a,282bのベース部282dに巻きつけられた導体線31により空芯コイル6cの端部近傍領域6eが形成される。巻芯282a,282bの先端部282cに巻きつけられて中央部6dとなる部分の導体線31は絶縁被膜で覆われているが、巻芯282a,282bのベース部282dに巻きつけられて端部近傍領域6eとなる部分の導体線31は、絶縁被膜が除去されている。
【0129】
次に、図37に示されるように、下方からバックアップステージ(図示せず)が上昇し、上方から実装用ノズル285が下降し、巻芯282a,282bに巻きつけられた空芯コイル6cを実装用ノズル285とバックアップステージとで挟む。それから、巻芯282a,282bを互いに逆方向に移動し、導体線31からなる空芯コイル6から巻芯282a,282bを引き抜く(抜き取る)。これにより、空芯コイル6cが得られるが、この空芯コイル6cは、空芯コイル6cから巻芯282a,282bが抜き取られても、実装用ノズル285に吸着(ピックアップ)されている。
【0130】
その後、実装用ノズル285を上昇させ、実装用ノズル285に吸着(ピックアップ)された空芯コイル6cを実装用ノズル285とともに移動させ、この空芯コイル6cを配線基板3(図示省略)上に実装する。すなわち、実装用ノズル285に吸着された空芯コイル6cを実装用ノズル285とともに配線基板3上に移動させ、配線基板3の上面3aの空芯コイル6cの搭載予定位置上に空芯コイル6cを配置する。この際、配線基板3の基板側端子12a(空芯コイル6を接続すべき基板側端子12a)上に、空芯コイル6cの端部近傍領域6eが位置するようにする。このように、実装用ノズル285に吸着された空芯コイル6cを、部品フィーダなどに備蓄することなく、速やかに配線基板3の上面3aに実装する。
【0131】
それから、図34〜図37の工程を繰り返す。
【0132】
このように、径が小さな先端部282cと、それよりも径が大きなベース部282dとを有する巻芯282a,282bを一対用意し、それらを合わせて一体化した巻芯に導体線31を巻きつけることで、端部近傍領域6eよりも中央部6dの方がコイル径が小さな空芯コイル6cを形成することができる。そして、各巻芯282a,282bを互いに逆方向に引き抜くことにより、空芯コイル6cを巻芯282a,282bから分離することができる。
【0133】
(実施の形態3)
図38および図39は、本実施の形態のRFパワーモジュール1bの要部側面図であり、封止樹脂7を透視し、配線基板3上に実装された空芯コイル6fが示されている。図38は、上記実施の形態2の図31に対応するものであり、図39は、上記実施の形態1の図13に対応するものである。
【0134】
本実施の形態のRFパワーモジュール1bは、空芯コイル6,6cの代わりに空芯コイル6fを用いたこと以外は、上記実施の形態1,2のRFパワーモジュール1,1aとほぼ同様の構成を有しているので、ここではその説明は省略する。
【0135】
本実施の形態は、上記実施の形態1と上記実施の形態2とを組み合わせたものである。すなわち、図38および図39に示されるように、本実施の形態のRFパワーモジュール1bでは、面実装型の空芯コイル6fが配線基板3の上面3a上に実装されている。この空芯コイル6fは、上記実施の形態1の空芯コイル6と同様に、絶縁被膜で覆われた導体線31を螺旋状に複数回巻くことにより形成されたコイル部(コイル本体)6aと、コイル部6aの両端に接続されてコイル部6aから離れる方向に向かう方向に延在する導体線31からなる端子部6bとにより構成されている。空芯コイル6fを構成する導体線31のうち、コイル部6aの導体線31は、表面が絶縁被膜で覆われているが、端子部6bの導体線31は、絶縁被膜が除去されて導体部が露出された状態となっている。空芯コイル6fのコイル部6aから離れた位置にあり、コイル部6aの両端の下には延在していない基板側端子12aに、半田32のような導電性の接合材を介して、空芯コイル6fの端子部6bが接合され、電気的に接続されている。
【0136】
そして、上記実施の形態2の空芯コイル6cと同様に、配線基板3に対向する側において、空芯コイル6fのコイル部6aの中央部6dがコイル部6aの端部近傍領域6eよりも窪むように導体線31を巻くことで空芯コイル6fが形成されている。すなわち、空芯コイル6fのコイル部6aの中央部6dにおけるコイル径が、空芯コイル6fのコイル部6aの端部近傍領域6eにおけるコイル径よりも小さくなるように導体線31を巻くことで、空芯コイル6fが形成されている。これにより、空芯コイル6fのコイル部6aのうち、両方の端部近傍領域6eは配線基板3の上面3aに接触しているが、両端部近傍領域6eに比べて中央部6dは、配線基板3の上面(主面)3aから遠ざけられて配線基板3の上面3aと接触しないようにされている。
【0137】
また、空芯コイル6fのコイル部6aの中央部6dおよび両端部近傍領域6eでは、導体線31の表面が絶縁被膜で覆われており、端子部6bでは、導体線31の絶縁被膜が除去されている。
【0138】
空芯コイル6fのコイル部6aでは、中央部6dよりもコイル径が大きな両端部近傍領域6eは、それぞれ、導体線31が1巻き(1ターン)以上、より好ましくは2巻き(2ターン)巻かれて形成されており、これにより、配線基板3上に空芯コイル6fを容易かつ安定して実装することができる。
【0139】
本実施では、上記実施の形態1と上記実施の形態2の両方の効果を得ることができる。すなわち、上記実施の形態1と同様に、空芯コイルにより発生する磁束(磁界)の一部が空芯コイルの外側面に付着した半田の影響で遮蔽される現象を防止でき、また、上記実施の形態2と同様に、空芯コイルで発生した磁束(磁界)が配線基板3の表面または内部の配線に与える影響を減少させることができ、これにより、RFパワーモジュールの性能や信頼性をより向上させることができる。
【0140】
以上、本発明者によってなされた発明をその実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0141】
本発明は、例えば、移動体通信装置に搭載される高周波電力増幅モジュールのような電子装置に適用して好適なものである。
【図面の簡単な説明】
【0142】
【図1】本発明の一実施の形態であるRFパワーモジュールを構成する増幅回路の回路ブロック図である。
【図2】出力整合回路の回路構成例を示す回路図である。
【図3】本発明の一実施の形態であるRFパワーモジュールを用いたデジタル携帯電話機システムの一例の説明図である。
【図4】本発明の一実施の形態であるRFパワーモジュールの構造を示す上面図である。
【図5】本発明の一実施の形態であるRFパワーモジュールの断面図である。
【図6】本発明の一実施の形態であるRFパワーモジュールの概念的な斜視図である。
【図7】半導体増幅素子をLDMOSFETにより形成した場合の半導体チップの要部断面図である。
【図8】半導体増幅素子をヘテロ接合型バイポーラトランジスタにより形成した場合の半導体チップの要部断面図である。
【図9】本発明の一実施の形態であるRFパワーモジュールの要部斜視図である。
【図10】本発明の一実施の形態であるRFパワーモジュールの要部斜視図である。
【図11】本発明の一実施の形態であるRFパワーモジュールの要部上面図である。
【図12】本発明の一実施の形態であるRFパワーモジュールの要部上面図である。
【図13】本発明の一実施の形態であるRFパワーモジュールの要部側面図である。
【図14】第1の比較例のRFパワーモジュールの要部斜視図である。
【図15】第1の比較例のRFパワーモジュールの要部斜視図である。
【図16】第1の比較例のRFパワーモジュールの要部側面図である。
【図17】第2の比較例のRFパワーモジュールの要部側面図である。
【図18】第3の比較例のRFパワーモジュールの要部断面図である。
【図19】空芯コイルのL値を示すグラフである。
【図20】空芯コイルのQ値を示すグラフである。
【図21】RFパワーモジュールの電力付加効率を示すグラフである。
【図22】本発明の一実施の形態であるRFパワーモジュールの製造工程中の断面図である。
【図23】図22に続くRFパワーモジュールの製造工程中における断面図である。
【図24】図23に続くRFパワーモジュールの製造工程中における断面図である。
【図25】空芯コイルの製造工程および実装工程の説明図である。
【図26】空芯コイルの製造工程および実装工程の説明図である。
【図27】空芯コイルの製造工程および実装工程の説明図である。
【図28】空芯コイルの製造工程および実装工程の説明図である。
【図29】空芯コイルの製造工程および実装工程の説明図である。
【図30】第1の比較例のRFパワーモジュールの要部側面図である。
【図31】本発明の他の実施の形態のRFパワーモジュールの要部側面図である。
【図32】図31のRFパワーモジュールの要部断面図である。
【図33】図31のRFパワーモジュールの要部断面図である。
【図34】空芯コイルの製造工程および実装工程の説明図である。
【図35】空芯コイルの製造工程および実装工程の説明図である。
【図36】空芯コイルの製造工程および実装工程の説明図である。
【図37】空芯コイルの製造工程および実装工程の説明図である。
【図38】本発明の更に他の実施の形態のRFパワーモジュールの要部側面図である。
【図39】図38のRFパワーモジュールの他の要部側面図である。
【符号の説明】
【0143】
1,1a,1b RFパワーモジュール
2 半導体チップ
2a 電極
2b 裏面電極
3 配線基板
3a 上面
3b 下面
4 受動部品
6 空芯コイル
6a コイル部
6b 端子部
6c 空芯コイル
6d 中央部
6e 端部近傍領域
6f 空芯コイル
7 封止樹脂
8 ボンディングワイヤ
11 絶縁体層
12a 基板側端子
12b 外部接続端子
12c 基準電位供給用端子
13 ビアホール
14 導体層
15 半田
17 半田
30 矢印
31 導体線
32,32a 半田
33,33a 磁束
102A,102B 電力増幅回路
102A1,102A2,102A3,102B1,102B2,102B3 増幅段
102AM1,102AM2,102BM1,102BM2 整合回路
103 周辺回路
103A 制御回路
103A1 電源制御回路
103A2 バイアス電圧生成回路
103B バイアス回路
104a,104b 入力端子
105A,105B 整合回路
106a,106b 出力端子
107A,107B 整合回路
111 伝送線路
112,112a,112b,112c,112d 容量素子
113,113a,113b インダクタ素子
114 入力端子
115 出力端子
151 フロントエンド・モジュール
152 ベースバンド回路
153 変復調用回路
FLT1,FLT2 フィルタ
154a,154b スイッチ回路
156 分波器
C5,C6 コンデンサ
CNT1,CNT2 切換信号
201 半導体基板
202 エピタキシャル層
203 溝
204 p型打抜き層
205 素子分離領域
206 p型ウエル
207 ゲート絶縁膜
208 ゲート電極
209 n型オフセットドレイン領域
210 n型ソース領域
211 サイドウォールスペーサ
212 n型オフセットドレイン領域
213 n型ドレイン領域
214 n型ソース領域
215 p型半導体領域
221 絶縁膜
222 コンタクトホール
223 プラグ
224 配線
224a ソース電極
224b ドレイン電極
225 絶縁膜
226 スルーホール
227 プラグ
228 配線
229 表面保護膜
230 裏面電極
251 GaAs基板
252 サブコレクタ層
253 HBT
254 コレクタ電極
255 コレクタメサ
256 ベースメサ
257 ベース電極
258 エミッタ層
259 エミッタ電極
261 絶縁膜
262 コンタクトホール
263 コレクタ配線
264 絶縁膜
265 スルーホール
266 エミッタ配線
281 スリーブ
282 巻芯
282a,282b 巻芯
282c 先端部
282d ベース部
284 バックアップステージ
285 実装用ノズル
286 矢印
301 RFパワーモジュール
306 空芯コイル
306b 端子部
312a 基板側端子
330 矢印
331 導体線
332 半田
333 磁束
401 RFパワーモジュール
406 空芯コイル
406a コイル部
406b 半田付け端部
412a 基板側端子
431 導体線
432 半田
501 RFパワーモジュール
503 配線基板
503a 上面
506 空芯コイル
506b 端子部
512a 基板側端子
531 導体線
532 半田
534 孔部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
異なる複数の周波数帯の信号を出力可能な、電力増幅回路を有する電子装置であって、
複数の電極を有する配線基板と、
前記配線基板の主面上に搭載された、前記電力増幅回路を含む半導体チップと、
前記配線基板の前記主面上に搭載された、面実装型の空芯コイルと、
を有し、
前記空芯コイルは、導体線を複数回巻いたコイル部と、前記コイル部の両端にそれぞれ接続された前記導体線からなる2つの端子部で構成され、
前記コイル部の前記導体線は絶縁膜で被覆され、
前記空芯コイルの前記各端子部は、前記コイル部から離れる方向に向かう方向に延在し、前記配線基板の前記電極と電気的に接続されていることを特徴とする電子装置。
【請求項2】
請求項1記載の電子装置において、
前記空芯コイルが前記電力増幅回路の出力整合回路に使用されていることを特徴とする電子装置。
【請求項3】
請求項1記載の電子装置において、
前記電子装置は、前記電力増幅回路を複数有し、
前記複数の電力増幅回路のうちの第1の電力増幅回路は、異なる複数の周波数帯の信号を増幅可能であることを特徴とする電子装置。
【請求項4】
請求項3記載の電子装置において、
前記空芯コイルが前記第1の電力増幅回路の出力整合回路に使用されていることを特徴とする電子装置。
【請求項5】
請求項4記載の電子装置において、
前記第1の電力増幅回路は、USGSM帯とEUGSM帯の信号を増幅可能であることを特徴とする電子装置。
【請求項6】
請求項4記載の電子装置において、
前記第1の電力増幅回路は、DCS帯とPCS帯の信号を増幅可能であることを特徴とする電子装置。
【請求項7】
請求項1記載の電子装置において、
前記空芯コイルの前記各端子部は、半田を介して前記配線基板の前記電極と接合されていることを特徴とする電子装置。
【請求項8】
請求項7記載の電子装置において、
前記半田は鉛フリー半田であることを特徴とする電子装置。
【請求項9】
請求項1記載の電子装置において、
前記電力増幅回路は、824〜915MHzの信号を増幅可能であることを特徴とする電子装置。
【請求項10】
請求項9記載の電子装置において、
前記電力増幅回路は、USGSM帯とEUGSM帯の信号を増幅可能であることを特徴とする電子装置。
【請求項11】
請求項1記載の電子装置において、
前記電力増幅回路は、1710〜1910MHzの信号を増幅可能であることを特徴とする電子装置。
【請求項12】
請求項11記載の電子装置において、
前記電力増幅回路は、DCS帯とPCS帯の信号を増幅可能であることを特徴とする電子装置。
【請求項13】
請求項1記載の電子装置において、
前記空芯コイルの前記コイル部が、前記配線基板の前記主面に接触していることを特徴とする電子装置。
【請求項14】
請求項1記載の電子装置において、
前記空芯コイルの前記端子部に電気的に接続された前記配線基板の前記電極が、前記空芯コイルの前記コイル部の下に延在していないことを特徴とする電子装置。
【請求項15】
第1の電力増幅回路を含む複数の電力増幅回路を有する電子装置であって、
複数の電極を有する配線基板と、
前記配線基板の主面上に搭載された、前記複数の電力増幅回路を含む半導体チップと、
前記配線基板の前記主面上に搭載された、面実装型の空芯コイルと、
を有し、
前記第1の電力増幅回路は、異なる複数の周波数帯の信号を増幅可能であり、
前記空芯コイルは、前記第1の電力増幅回路の出力整合回路に使用され、
前記空芯コイルは、導体線を複数回巻いたコイル部と、前記コイル部の両端にそれぞれ接続された前記導体線からなる2つの端子部で構成され、
前記コイル部の前記導体線は絶縁膜で被覆され、
前記空芯コイルの前記各端子部は、前記コイル部から離れる方向に向かう方向に延在し、前記配線基板の前記電極と電気的に接続されていることを特徴とする電子装置。
【請求項16】
請求項15記載の電子装置において、
前記空芯コイルの前記各端子部は、半田を介して前記配線基板の前記電極と接合されていることを特徴とする電子装置。
【請求項17】
請求項15記載の電子装置において、
前記第1の電力増幅回路は、824〜915MHzの信号を増幅可能であることを特徴とする電子装置。
【請求項18】
請求項17記載の電子装置において、
前記第1の電力増幅回路は、USGSM帯とEUGSM帯の信号を増幅可能であることを特徴とする電子装置。
【請求項19】
請求項15記載の電子装置において、
前記空芯コイルの前記端子部に電気的に接続された前記配線基板の前記電極が、前記空芯コイルの前記コイル部の下に延在していないことを特徴とする電子装置。
【請求項20】
電力増幅回路を有する電子装置であって、
複数の電極を有する配線基板と、
前記配線基板の主面上に搭載された、前記電力増幅回路を含む半導体チップと、
前記配線基板の前記主面上に搭載された、面実装型の空芯コイルと、
を有し、
前記空芯コイルは導体線を複数回巻くことにより形成されており、
前記空芯コイルのうち、両端部近傍領域が前記配線基板の前記主面に接触し、前記両端部近傍領域に比べて中央部が前記配線基板の前記主面から遠ざけられて前記配線基板と接触していないことを特徴とする電子装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【公開番号】特開2007−88363(P2007−88363A)
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−277960(P2005−277960)
【出願日】平成17年9月26日(2005.9.26)
【出願人】(503121103)株式会社ルネサステクノロジ (4,790)
【Fターム(参考)】