説明

電子装置

【課題】部品点数が削減された電子装置を提供することを課題とする。
【解決手段】本実施例の電子装置は、操作部と、プリント基板と、前記操作部と前記プリント基板とに挟まれた弾性部材と、前記操作部の少なくとも一部を露出する開口部、内側に形成され前記開口部の周囲に形成され前記操作部を包囲し前記弾性部材が嵌合した周壁部、前記プリント基板を前記弾性部材側に押す押圧部、を有した筐体と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子装置に設けられる操作部には、防水、防塵性を考慮したものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−318498号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
操作部が設けられた筐体内には、以下のような部品が収納される。操作部と、プリント基板と、操作部とプリント基板とに挟まれる防水、防塵用の弾性部材と、プリント基板を弾性部材に固定するためにプリント基板を弾性部材とで挟む固定部材とが収納されている。これらが組み付けられた状態で、筐体内に収納される。このように、電子装置に操作部を設ける場合には、部品点数が増大する傾向にある。
【0005】
本発明は、部品点数が削減された電子装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書に開示の電子装置は、操作部と、プリント基板と、前記操作部と前記プリント基板とに挟まれた弾性部材と、前記操作部の少なくとも一部を露出する開口部、内側に形成され前記開口部の周囲に形成され前記操作部を包囲し前記弾性部材が嵌合した周壁部、前記プリント基板を前記弾性部材側に押す押圧部、を有した筐体と、を備えている。
【発明の効果】
【0007】
部品点数が削減された電子装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1A、1Bは、本実施例の携帯電話の説明図である。
【図2】図2A、2Bは、本実施例の携帯電話の説明図である。
【図3】図3は、筐体の分解斜視図である。
【図4】図4は、筐体の分解斜視図である。
【図5】図5は、図3の部分拡大図である。
【図6】図6は、図4の部分拡大図である。
【図7】図7Aは、図2BのA―A断面図であり、図7Bは、図2BのB−B断面図である。
【図8】図8は、凹部とセンサとの位置関係を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
携帯電話を電子装置の一例として説明する。
図1A〜2Bは、本実施例の携帯電話の説明図である。携帯電話1は、筐体10、20を有している。筐体10、20は、所定の範囲をスライド可能に連結されている。換言すれば、筐体10、20は、重畳され、開閉可能に連結されている。図1A、1Bは、閉じた状態の携帯電話1を示し、図2A、2Bは、開いた状態の携帯電話1を示している。図1A、2Aは、携帯電話1の正面図である。図1Bは、携帯電話1を下方から見た図である。図2Bは、携帯電話1を横から見た図である。
【0010】
筐体10は、正面11、背面12を有している。筐体20は、正面21、背面22を有している。閉じた状態では、筐体10の正面11と筺体20の背面22とが対向する。開いた状態、つまり筐体120が筐体110に対してスライドした状態では、筐体10の正面11が露出する。筐体10の正面11には、携帯電話1を操作するためのキーボード部K、操作部40が設けられている。本実施例の携帯電話1における操作部40は、例えばトラックボールである。操作部40周囲には、操作部40に向かって下り傾斜した傾斜面14が形成されている。操作部40の操作を容易にするためである。筐体20の正面21には、操作に応じて所望の画像を表示するディスプレイDが設けられている。
【0011】
図3、4は、筐体10の分解斜視図である。尚、図3、4においては、一部の部品のみを示している。筐体10は、互いに組み付けられるケース10a、10bを含む。ケース10aには、操作部40の少なくとも一部を露出する開口部12aが形成されている。ケース10aにはキーボードシートKSが配置され、プリント基板Pbはケース10b側に固定される。ケース10bには押圧部19が形成されている。押圧部19はリブ状である。
【0012】
図4に示すように、ケース10aの開口部12a周囲には周壁部13が形成されている。周壁部13は、ケース10aの内側に突出するように形成されている。ケース10a側にはプリント基板Paが設けられている。ケース10a、10bとの間には、弾性部材30、操作部40、弾性部材50、基板60が収納される。具体的には、弾性部材30、操作部40は周壁部13内に収納され、弾性部材50は周壁部13に嵌合し、基板60は押圧部19により弾性部材50側に押し付けられた状態で、ケース10a、10b内にこれらが収納される。即ち、弾性部材30、操作部40は周壁部13に包囲される。
【0013】
図5は、図3の部分拡大図である。図6は、図4の部分拡大図である。図6に示すように、ケース10aの周壁部13は、開口部12aを囲む4つの壁を含む。各壁の縁には凹状の切欠部16が形成されている。周壁部13には周壁部13から内側に突出した突出壁133が形成されている。尚、突出壁133は、突出壁133が設けられている壁に対向する、図6では見えていない壁の内側部分にも設けられている。
【0014】
弾性部材30は、ゴム製であり中心部に操作部40を逃がすための開口部32が形成されている。弾性部材30の縁には2つの切欠部33が形成されている。弾性部材30が周壁部13内に収納した際に、弾性部材30の切欠部33は突出壁133に当接する。これにより、周壁部13内で弾性部材30が位置決めされる。
【0015】
図5に示すように、操作部40は、操作体42、操作体42を回転操作及び押下げ操作に支持する支持部材41、を有している。操作体42は略球状である。操作体42は操作部40の正面側に設けられている。操作部40が周壁部13内に配置された際には操作体42の一部が開口部12aから露出する。これにより、操作体42は外部から操作することができる。支持部材41には、操作体42に連動して回転する4つの磁石44が支持されている。具体的には、支持部材41には、操作体42に連動して回転する4つの軸が設けられており、この軸のそれぞれに磁石44が固定されている。尚、2つの軸の方向は、他の2つの軸の方向と直行している。
【0016】
図6に示すように、支持部材41の底面側には片持ち状に支持された押下部材45が設けられている。操作体42は、支持部材41内でバネ等により正面側に付勢されている。このバネに付勢力に抗して操作体42が押下げられることにより、操作体42が押下部材45を押す。尚、支持部材41の底面側には2つの突部48が形成されている。
【0017】
弾性部材50は、ゴム製である。弾性部材30、操作部40が周壁部13内に収納された状態で周壁部13に嵌合する。これにより、開口部12aを介してケース10a、10b内に水や埃が浸入することが防止される。弾性部材50は、略矩形状であり板状のベース部51、ベース部51の正面側に形成された周壁部53、ベース部51の裏面側に形成された壁部52、を有している。弾性部材50の周壁部53がケース10aの周壁部13よりも内側に位置するようにして、弾性部材50は周壁部13に嵌合する。図6に示すように、壁部52は、ベース部51の裏面側の縁に沿うように部分的に形成されている。ベース部51の裏面側の縁部には爪部57が形成されている。ベース部51には、図5に示すように正面側から見ると窪んでおり、図6に示すように裏面側から見ると突出した2つの位置決め部58が形成されている。
【0018】
ベース部51の隅には、凹部54が形成されている。凹部54は、操作部40の磁石44に位置的に対応している。ベース部51の略中央には、凹部55が形成されている。凹部55は、操作部40の押下部材45に位置的に対応している。凹部54、55は、図5に示すようにベース部51の正面側から見ると突出しているが、図6に示すようにベース部51の裏面側から見ると窪んでいる。また、図5に示すように、周壁部53の外側には位置決め部56が形成されている。位置決め部56は、周壁部53の角辺の略中央にそれぞれ設けられている。
【0019】
基板60は、可撓性を有したフレキシブルプリント基板(以下、FPCと称する)61、FPC61を支持し剛性を有した支持板62、を含む。FPC61は、支持板62に固定されている。FPC61は支持板62の正面側に固定されている。FPC61は可撓性を有しているので、FPC61の湾曲防止のためにFPC61の一部が支持板62に固定されている。従って、支持板62は、FPC61よりも硬ければよい。FPC61の先端は、プリント基板PaのコネクタCに差し込まれる。これにより、FPC61とプリント基板Paとは電気的に接続される。
【0020】
図5に示すように、FPC61の正面側には、4つのセンサ64が実装されている。センサ64は、凹部54、磁石44と位置的に対応している。センサ64は、磁石44の回転を検出する磁気センサである。操作体42に連動して磁石44が回転するので、センサ64は磁石44の回転を検出することにより操作体42への回転操作を検出することができる。
【0021】
FPC61の正面側にはスイッチ65が実装されている。スイッチ65は、凹部55、押下部材45と位置的に対応している。操作体42が押下げされることにより、押下部材45が押下げされる。押下部材45は、凹部55を介してスイッチ65を押す。これにより、スイッチ65のオン、オフの状態が切り替わる。これにより、操作体42の押下げ操作の有無が検出される。センサ64、スイッチ65は、支持板62で支持されたFPC61の部分に実装されている。
【0022】
基板60の互いに対向する2辺の縁部には切欠部67が形成されている。また、基板60には2つの孔部68が形成されている。
【0023】
ケース10a、10bの組付け作業について説明する。最初に、弾性部材50の裏面側に基板60を組み付ける作業について説明する。作業者は、基板60の縁を、弾性部材50の裏面側に形成された壁部52に押し付ける。次に、作業者は、基板60の切欠部67と弾性部材50の爪部57とが対応するようにして、基板60を弾性部材50側に押し付ける。これにより、位置決め部58と孔部68とが嵌合する。このようにして、弾性部材50に対して基板60が位置決めされる。尚、壁部52や爪部57は、基板60を弾性部材50に組み付ける際に基板60の位置を規定する機能を有している。壁部52や爪部57により、弾性部材50への基板60の組付け作業が容易になる。
【0024】
次に、作業者は、周壁部13の内側に弾性部材30、操作部40を順に配置して、基板60を保持した弾性部材50を周壁部13に嵌入させる。この際に、作業者は、弾性部材50の位置決め部56が周壁部13の切欠部16に係合するようにして、弾性部材50を周壁部13に嵌入させる。これにより、周壁部13に対して弾性部材50の位置が規定される。また、この際、作業者は、操作部40の突部48が弾性部材50の位置決め部58に係合するようにして、弾性部材50を周壁部13に嵌入させる。これにより、弾性部材50に対する操作部40の位置が規定される。
【0025】
また、周壁部53が若干変形した状態で周壁部13に嵌合する。このため、周壁部53の弾性復元力により、周壁部53と周壁部13とは密着し、防水性、防塵性が向上する。また、組付け作業時において、一旦周壁部13に嵌入させた弾性部材50が外れてしてしまうことを防止している。
【0026】
次に、作業者は、FPC61の先端をプリント基板Paに実装されたコネクタCに挿入する。次に、作業者は、ケース10bの押圧部19が基板60を押すようにしてケース10a、10bを組み付ける。このようにして、弾性部材30、操作部40、弾性部材50、基板60がケース10a、10b内に収納される。
【0027】
図7Aは、図2BのA―A断面図である。図7Bは、図2BのB−B断面図である。図7A,7Bは、筐体10が完成した状態での断面図である。尚、図7A、7Bにおいては、ケース10bの裏面側に配置されるケース10cも示している。図7A、7Bに示すように、基板60は押圧部19により弾性部材50側に押されている。これにより、基板60、弾性部材50、操作部40、弾性部材30は、ケース10a側に押されてこれらの位置が規定される。この状態においては、弾性部材30は操作部40とケース10aとの間で圧縮された状態となる。弾性部材30によっても、開口部12aからの水や埃の浸入が防止される。
【0028】
ケース10bの押圧部19は、基板60の裏面側、即ち支持板62の裏面に当接している。これにより、弾性部材50から基板60が離脱することが防止される。このように押圧部19は、基板60を固定する機能を有している。このような押圧部19がケース10bに一体に形成されている。このため、基板60を弾性部材50に固定するための部材をケース10bとは別に設けた場合と比較して部品点数が削減されている。
【0029】
また、上述したように、基板60は、FPC61を支持している支持板62を有し、押圧部19は支持板62に当接している。即ち、押圧部19はFPC61には当接しない。このため、押圧部19がFPC61のパターンに当接することによりFPC61の導通性に影響を与えることが防止されている。尚、基板60が一枚の硬質のプリント基板であった場合、このプリント基板のパターンが形成されていない部分を押圧部19が押すようにしてもよい。
【0030】
また、図7A、7Bに示すように、ケース10a、10bの組付け後では、弾性部材50の凹部55がスイッチ65を包囲している。このため、例えケース10a、10b側に水が浸入したとしてもスイッチ65が被水することが防止される。また、スイッチ65への防塵性も確保される。
【0031】
図8は、凹部54とセンサ64との位置関係を示す断面図である。尚、図8は、ケース10a、10b内に弾性部材30、操作部40、弾性部材50、基板60が収納された状態での断面図であり、操作部40については図示を省略してある。弾性部材50の凹部54は、センサ64を包囲している。これによってもセンサ64の被水が防止される。また、これによってセンサ64への防塵性も確保される。
【0032】
また、図5、6に示したように、操作部40の突部48は、弾性部材50の位置決め部58に嵌合し、位置決め部58は基板60の孔部68に嵌合する。このように、弾性部材50は、操作部40、基板60を位置決めしている。これにより、操作部40と基板60との相対位置のずれが抑制される。これにより、磁石44とセンサ64との位置ズレに起因したセンサ64の検出精度の低下や、押下部材45とスイッチ65との位置ズレに起因したスイッチ65の操作性の低下などが防止される。
【0033】
弾性部材50に形成された位置決め部58は、操作部40、基板60の双方を位置決めしている。このため、弾性部材50に設けられる位置決め部58の数が減少され、弾性部材50の大型化が抑制される。
【0034】
尚、弾性部材50の位置決め部58は、表面側に突出し、裏面側が窪んでいてもよい。この場合、位置決め部58に嵌合する突部が基板60側に設けられており、位置決め部58が嵌合する孔部又は凹部が操作部40側に設けられていればよい。
【0035】
以上本発明の好ましい一実施形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0036】
尚、上記実施例においては、スライド式の携帯電話を例に説明したが、ヒンジ機構を有した開閉式の携帯電話であってもよい。また、本発明は、携帯電話以外の携帯装置にも適用できる。例えば、タブレット型コンピュータ、ノート型コンピュータ、電子辞書、PDA、ゲーム機等である。また、本発明は、据置型の電子装置にも採用できる。例えば、デスクトップ型コンピュータに使用されるキーボード装置、ゲーム機、電話機、電化製品等である。また、本発明は、電子装置を操作するためのポインティングデバイス単体にも採用できる。
【0037】
上記実施例において、操作部の一例としてトラックボールを例に説明した。しかし、操作部は、レバー、ジョイスティック、ステッィクポイント、押下げ可能なボタン、回転可能なホイールやノブ等であってもよい。また、操作部は、タッチパネルであってもよい。
【符号の説明】
【0038】
1 携帯電話
10、20 筐体
12a 開口部
13 周壁部
19 押圧部
40 操作体
41 支持部材
42 操作体
44 磁石
45 押下部材
48 突部
50 弾性部材
51 ベース部
53 周壁部
54、55 凹部
58 位置決め部
60 基板
61 フレキシブルプリント基板
62 支持板
64 センサ
65 スイッチ
68 孔部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作部と、
プリント基板と、
前記操作部と前記プリント基板とに挟まれた弾性部材と、
前記操作部の少なくとも一部を露出する開口部、内側に形成され前記開口部の周囲に形成され前記操作部を包囲し前記弾性部材が嵌入された周壁部、前記プリント基板を前記弾性部材側に押す押圧部、を有した筐体と、を備えた電子装置。
【請求項2】
可撓性を有した前記プリント基板が固定され前記押圧部が当接した支持板を備えている、請求項1の電子装置。
【請求項3】
前記弾性部材は、前記操作部及びプリント基板の双方を位置決めする位置決め部を有している、請求項1又は2の電子装置。
【請求項4】
前記プリント基板は、前記操作部への操作を検出するセンサが実装され、
前記弾性部材は、前記センサを包囲する凹部を有している、請求項1乃至3の何れかの電子装置。
【請求項5】
前記プリント基板は、前記操作部への操作に応じて状態が切り替わるスイッチが実装され、
前記弾性部材は、前記スイッチを包囲する凹部を有している、請求項1乃至3の何れかの電子装置。
【請求項6】
前記弾性部材は、弾性変形した状態で前記周壁部の嵌合している、請求項1乃至5の何れかの電子装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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