電子部品および電子部品の製造方法
【課題】貫通配線を備えた電子部品であって、その電極パッドが配された側の主面または側面に、電極パッドとの段差を解消するための層を介さずに、別な基体を重ねて接合することが可能な、電子部品を提供する。
【解決手段】単一の部材からなり、少なくとも一面に凹部101cを有する基体101と、前記凹部内を埋めるように配された電極パッド102、103と、前記基体に内在し、一端が前記電極パッドと接続された配線部104と、を備えた電子部品100であって、前記凹部の開口部側に露出する前記電極パッドの表面102a、103aが、前記基体の一面101a、101bと面一である。
【解決手段】単一の部材からなり、少なくとも一面に凹部101cを有する基体101と、前記凹部内を埋めるように配された電極パッド102、103と、前記基体に内在し、一端が前記電極パッドと接続された配線部104と、を備えた電子部品100であって、前記凹部の開口部側に露出する前記電極パッドの表面102a、103aが、前記基体の一面101a、101bと面一である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電極パッドと配線部を内在させた、電子部品および電子部品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話器等の電子機器の高機能化に伴い、電子機器を構成する電子デバイスの動作の高速化が求められている。高速化の実現に向けて、電子デバイス自身の回路を高集積化することに加えて、電子デバイスのパッケージ体を高密度に実装するための技術開発が進められている。
【0003】
パッケージ体の高密度化を実現する技術の一例として、貫通配線基板を用いたシステムインパッケージ(SiP)が提案されている。従来の貫通配線基板は、基板内部を貫通する配線部と、基板の主面に設けられた導電層(電極パッド)とを備えている(特許文献1)。配線部は、レーザー光の照射等により基板内部を改質させ、改質した部位をエッチングにより除去し、除去後に形成された空間に、導電性物質を充填することにより形成される。
【0004】
ところで、従来の貫通配線基板は、基板の主面と電極パッドとの間に、段差が生じる構成を備えている。そのため、基板を複数枚重ねて接合する場合には、隣接する基板同士の間において、段差を解消するための層を形成する必要がある。また、従来の貫通配線基板の製造方法によれば、電極パッドと配線部とを別々の工程において形成する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−176926号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は以上のような点を考慮してなされたものであり、貫通配線基板からなる電子部品であって、その電極パッドが配された側の主面または側面に、電極パッドとの段差を解消するための層を介さずに、別な基板を重ねて接合することが可能な、電子部品の提供を第一の目的とする。
【0007】
また、本発明は、貫通配線基板からなる電子部品を構成する、電極パッドと配線部とを同一の工程において形成することを可能とする、電子部品の製造方法の提供を第二の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の請求項1に係る電子部品は、単一の部材からなり、少なくとも一面に凹部を有する基体と、前記凹部内に配された電極パッドと、前記基体に内在し、一端が前記電極パッドと接続された配線部と、を備えた電子部品であって、前記凹部の開口部側に露出する前記電極パッドの表面が、前記凹部を有する前記基体の一面と面一であることを特徴とする。
【0009】
請求項1の構成によれば、電極パッドと基体の一面との間に段差が生じない。したがって、電極パッドと基体の一面との間の段差を解消するための層を介さずに、基体の一面と他の電子部品とを重ねて接合することが可能となる。
【0010】
本発明の請求項2に係る電子部品は、請求項1において、前記電極パッドと前記配線部とが一体形成されていることを特徴とする。
【0011】
請求項2の構成によれば、電極パッドと配線部との間には接合界面が存在しない。したがって、電極パッドと配線部との接合強度が強固となり、電子部品の損傷を抑制することができる。
【0012】
本発明の請求項3に係る電子部品の製造方法は、基体の内部にレーザー光を照射し、該レーザー光が集光した焦点の近傍域に改質部を形成する第一工程と、前記改質部をエッチングにより除去し、前記基体に空間を形成する第二工程と、前記空間に導電性物質を充填し、前記基体の内部に、電極パッドとして機能する第一導電部と、一端が該第一導電部に接続された配線部として機能する第二導電部とを形成する第三工程と、前記第一導電部を前記基板の主面または側面と面一となるように露出させる第四工程と、を備えることを特徴とする。
【0013】
請求項3の構成によれば、貫通配線基板からなる電子部品を構成する、電極パッドと配線部とは、連続体をなし、かつ同一の導電性物質を配されてなる。したがって、貫通配線基板からなる電子部品を構成する、電極パッドと配線部の両方を、一つの工程において形成することが可能となる。
【0014】
本発明の請求項4に係る電子部品の製造方法は、請求項3において、前記第四工程において、前記基板をダイシング法を用いて切断し、前記第一導電部を該基板の側面と面一となるように露出させることを特徴とする。
【0015】
請求項4の構成によれば、第一導電部を、基体の側面に平行な一面において、基体を切断することができる。したがって、基体の切断面と面一をなす第一導電部を形成することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る電子部品の構成によれば、電極パッドと基体の主面または側面との間に段差が生じない。したがって、電極パッドと基体の主面または側面との間の段差を解消するための層を介さずに、基体の主面または側面と他の電子部品を重ねて接合することが可能となる。従来の構成のように、接合する電子部品同士の間に中間層が形成されないため、電子部品を小型化することができる。ひいては、電子デバイスのパッケージ体を高密度に実装することができる。
【0017】
また、本発明に係る電子部品の製造方法では、貫通配線基板からなる電子部品を構成する電極パッドと配線部とが、連続体をなし、かつ同一の導電性物質を配されてなる。したがって、貫通配線基板からなる電子部品を構成する、電極パッドと配線部の両方を、一つの工程において形成することが可能となる。従来の製造方法のように、電極パッドと配線部とが互いに異なる層に属し、電極パッドと配線部とを、二つの工程に分けて形成する場合に比べて、工程処理を簡略化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】(a)第一実施形態に係る電子部品の平面図である。第一実施形態に係る電子部品の断面図である。
【図2】(a)〜(c)第一実施形態に係る電子部品の製造工程図である。
【図3】(a)基板の主面側からみた平面図である。個片化された電子部品の斜視図である。
【図4】(a)、(b)第一実施形態に係る電子部品の製造工程図である。
【図5】(a)電子部品の製造工程のうち、第一工程の変形例1を示す図である。電子部品の製造工程のうち、第一工程の変形例2を示す図である。
【図6】(a)電子部品の製造工程のうち、第一工程の変形例3を示す図である。電子部品の製造工程のうち、第一工程の変形例4を示す図である。
【図7】電子部品に内在する配線部の形状の一例を示す断面図である。
【図8】電子部品に内在する配線部の形状の一例を示す断面図である。
【図9】電子部品に内在する配線部の形状の一例を示す断面図である。
【図10】電子部品に内在する配線部の形状の一例を示す断面図である。
【図11】電子部品に内在する配線部の形状の一例を示す断面図である。
【図12】電極パッドの形状を比較する図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、好適な実施形態に基づき、図面を参照して本発明を説明する。
【0020】
<第一実施形態>
【0021】
図1(a)は、本発明の第一実施形態に係る電子部品100の主面側からみた平面図である。電子部品100は、基体101と、電極パッド102および103と、配線部104とを有する。図1(a)では、基体101の主面側に配された3つの電極パッド102と、基体101の側面側に配された3つの電極パッド103とが、それぞれ配線部104を介して接続されている。図1(b)は、図1(a)のA−A線において、電子部品100を切断した断面を示す図である。
【0022】
基体101は、単一の部材により構成される。基体101を構成する部材としては、例えばガラスなどの非結晶性基板が挙げられる。ガラス基板としては、例えば合成石英ガラス、珪酸塩を主成分とするガラス、ホウ珪酸ガラスからなるガラス基板等を用いることが出来る。合成石英ガラス基板は、加工性が良いため好適である。また、ガラス基板の厚さは特に制限されない。また、シリコン、サファイアなどの結晶性基板も、例として挙げられる。これらの部材は、後述する空間106の加工性に優れるので好ましい。なかでも、結晶方位による加工異方性の影響を受けにくい非結晶性である方が好ましい。
【0023】
基体101は、主面101aおよび側面101bに、それぞれ凹部101c、101dを有する。電極パッド102、103は、それぞれ凹部101c、101d内を埋めるように配される。配線部104は、基体101に内在し、一端が電極パッド102に接続され、他端が電極パッド103に接続されている。
【0024】
電極パッド102、103、配線部104は、例えば、Al、Cu、Cr、Ti、Au、Si等の導電性を有する金属により構成される。機械的、電気的に接続された、電極パッド102、103、配線部104は、一体であることが好ましい。一体である場合、電極パッドと配線部との間には接合面が存在しない。したがって、電極パッドと配線部との接合が強固となり、断線することを防止できる。
【0025】
ここで、電極パッドと配線部とが一体であるとは、電極パッドと配線部とが同一の材料により構成され、機械的、電気的に連続体をなす関係にあることを意味するものとする。なお、凹部101c、101dの開口部側において露出する電極パッドの表面102a、103aの面積は、配線部104の断面積よりも大きく形成することが好ましい。このようにすることで、一つの電極パッドに対して複数の配線部を接合した構造をとることができる。
【0026】
凹部101cの開口部側において露出する、電極パッドの表面102aは、凹部101cの開口部を含む、基体の主面101aと面一である。また、凹部101dの開口部側において露出する、電極パッドの表面103aは、凹部101dの開口部を含む、基体の側面101bと面一である。
【0027】
以上説明したように、第一実施形態に係る電子部品の構成によれば、電極パッドと基体の主面または側面との間に段差が生じない。したがって、電極パッドと基体の主面または側面との間の段差を解消するための層を介さずに、基体の主面または側面と他の電子部品を重ねて接合することが可能となる。従来の構成のように、接合する電子部品同士の間に中間層が形成されないため、電子部品を小型化することができる。ひいては、電子デバイスのパッケージ体を高密度に実装することができる。
【0028】
なお、図1では、基体の主面101aと側面101bの両方に凹部を有する場合を例として示したが、基体の主面101aと側面101bのうち少なくとも一面に凹部を有する場合にも本発明は適用される。その場合、例えば、配線部の一端を電極パッド102と電極パッド103のどちらか一方に接続し、他端を基体101に内蔵されたデバイス部(不図示)に接続することができる。
【0029】
<製造方法>
図2(a)〜(c)および図3(a)、(b)は、第一実施形態に係る電子部品100の製造工程図である。電子部品100の製造方法について、図2(a)〜(c)および図3(a)、(b)を用いて説明する。
【0030】
まず、図2(a)に示す第一工程において、基体101の内部に、レーザー光Lを照射する。そして、レーザー光Lが集光した焦点の近傍域に、エッチング耐性の弱い、構造改質部(改質部)105を形成する。
【0031】
レーザー光Lとしては、パルス時間幅がピコ秒オーダー以下のパルス幅を有するレーザー光を用いることが好ましい。例えばチタンサファイアレーザー、前記パルス幅を有するファイバーレーザーなどを用いることが出来る。ただし、基体101に対して透明な波長を使用することが必要である。より具体的には、基体101に対する透過率が60%以上のレーザー光であることが好ましい。また、レーザー光Lとして、加工用レーザーとして使用される一般的な波長領域(0.1〜10um)の光を適用することが出来る。ただし、被加工部材である基体101に対して透明である必要がある。
【0032】
次に、図2(b)に示す第二工程において、レーザー光を照射して形成された改質部105をエッチングにより除去し、基体101の内部に空間106を形成する。ここで行うエッチングは、ウェットエッチングであることが好ましい。エッチング液については特に限定されず、例えば1%以下のフッ酸を用いるのが最も好ましいが、その他の酸や塩基性を有するものでもよい。
【0033】
次に、図2(c)に示す第三工程において、改質部105を除去して形成された空間106に、導電性物質を充填し、基体101の内部に、導電部107を形成する。導電部107は、配線部として機能する第二導電部104と、第二導電部104の一端側に配された電極パッドとして機能する第一導電部102と、他端側に配された電極パッドとして機能する第一導電部103とで構成される。導電性物質は、めっき、スパッタリング、蒸着、CVD、超臨界流体成膜、印刷等、およびこれらを組み合わせた方法により、成膜される。特に、均一な成膜を行うためには、CVD、超臨界流体成膜の方法を用いることが好ましい。
【0034】
第一〜第三工程の処理を行うことにより、電子部品100を備えた基板110が得られる。基板110は、電子部品100を1つないし複数備えたものである。図3(a)に、基板110を主面側からみた平面図を示す。図3(a)は、基板110に、ダイシングラインDで仕切られた電子部品100が、複数個配列された例を示している。
【0035】
次に、第四工程において第一導電部を、基体の主面または側面と面一となるように露出させる。第一導電部102を、基体の主面と面一となるように露出させる場合には、第一導電部102の一部が基体の主面101aにおいて露出するまで、主面101a全体を均等に研磨し、図4(a)に示すように、基体の研磨面101dと面一をなす電極パッド(第一導電部)102を形成する。研磨により、電極パッド102が基体の研磨面において露出し、露出面102aと基体の研磨面101dとが面一をなす。研磨する方法としては、例えばCMP法等の機械的摩擦を利用した方法がある。
【0036】
第一導電部103を、基体の側面と面一となるように露出させる場合には、第一導電部103を含み、かつ基体の側面101bに平行な面において、基体101を切断し、図4(b)に示すように、基体の切断面101eと面一をなす電極パッド(第一導電部)103を形成する。切断により、電極パッド103が基体の切断面101eにおいて露出し、露出面103aと基体の切断面101eとが面一をなす。切断の方法としては、ダイシングブレードを用いる方法がある。なお、露出させる電極パッド(第一導電部)を、基体の主面101a、側面101bのいずれにも形成する場合には、上述した基体101の研磨および切断の両方を行う。
【0037】
図3(b)は、図3(a)の基板110が備えた複数の電子部品100のうち、領域Bに配された1個の拡大斜視図である。基板110に対し、第四工程の処理を行うことにより、個片化された電子部品100が得られる。
【0038】
第一実施形態に係る電子部品100は、少なくとも、以上説明した第一〜第四工程の処理を順に行うことにより、製造することができる。
【0039】
第一実施形態に係る電子部品の製造方法では、電子部品を構成する電極パッドと配線部とが、連続体をなし、かつ同一の導電性物質を配されてなる。したがって、貫通配線基板からなる電子部品を構成する、電極パッドと配線部の両方を、一つの工程において形成することが可能となる。従来の製造方法のように、電極パッドと配線部とが互いに異なる層に属し、電極パッドと配線部とを、二つの工程に分けて形成する場合に比べて、工程処理を簡略化することができる。
【0040】
以上説明した電子部品100の製造方法では、最終的に個々の電子部品に切り分けることを想定し、第一工程において、導電部として機能する部分の形状に対応した、改質部105を形成する。すなわち、第一工程において、導電部として機能する部分に対応した、隣接する改質部105同士が分断された状態となる。しかしながら、少なくとも第一工程においては、隣接する改質部105同士は連結していてもよい。
【0041】
図5(a)は、第一工程において、隣接する改質部同士を、切断する面を介して連結するように形成した例(変形例1)である。隣接する改質部同士が連結した状態において、第二、第三工程の処理を行うことにより、第四工程において、個々の電子部品100に切り分ける際に、切断面の位置に自由度が生じる。
【0042】
図5(b)は、第一工程において、隣接する改質部105同士を、切断する面を介して連結させ、かつ切断する箇所と基体の主面101aとの間に、仮の改質部105aを形成した例(変形例2)である。隣接する改質部同士を連結させ、かつ仮の改質部105aを形成した状態において、第二、第三工程の処理を行うことにより、第四工程において、個々の電子部品100に切り分ける際に、切断面の位置を正確に制御することができる。
【0043】
図6(a)は、基板110の主面の一部領域を含む平面図である。第一工程において、隣接する改質部同士を、切断面Dを介して連結させるとともに、切断面Dが4つの側面に形成されるように改質部105を形成し、第二〜第四工程までの処理を行うことにより、4つの側面に電極パッドが露出するように形成される。これにより、電子部品100の4方向の側面に、他の電子部品を接続することができる。なお、図6(a)では、切断面Dを4つの側面に設けた例を示したが、連結された改質部は、形状を自由に変えて形成することができるため、切断面Dにおける、改質部の位置を自由に設定することができる。すなわち、切断面Dにおける、電極パッドの位置も自由に設定することができる。したがって、接続する他の電子部品の回路構成に応じた最適な位置に、電極パッドを形成することができる。
【0044】
図6(b)は、基板の110の主面の一部領域を含む平面図である。第一工程において、隣接する改質部同士を、切断面Dを介して連結させるとともに、配線部が切断面Dに含まれるように改質部105を形成する。そして、第二〜第四工程までの処理を行うことにより、切断面Dにおいて電極パッドに加えて、配線部105も露出させた電子部品を形成することができる。
【0045】
なお、図1〜6に示した、電子部品が備えた配線部の形状は、一例である。配線部の形状について他の実施例を、図7〜11を用いて説明する。
【0046】
[実施例1]
本発明に係る電子部品としては、図7に示す電子部品120も挙げられる。電子部品120は、基体121と、基体121に内在した、電極パッド122d、電極パッド122e、配線部124とを備えている。電極パッド122dは、基体121の一方の主面121dと面一をなし、電極パッド122eは、基体121の他方の主面121eと面一をなしている。配線部124は、一端が電極パッド122dに、他端が電極パッド122eに、それぞれ電気的に接続されている。
【0047】
[実施例2]
本発明に係る電子部品としては、図8に示す電子部品130も挙げられる。電子部品130は、基体131と、基体131に内在した、電極パッド132d、電極パッド132e、配線部134とを備えている。電極パッド132d、132eは、いずれも基体131の一方の主面131dと面一をなしている。すなわち、電極パッドが、基体131の片側の主面側においてのみ露出している。配線部134は、一端が電極パッド132dに、他端が電極パッド132eに、それぞれ電気的に接続されている。
【0048】
[実施例3]
本発明に係る電子部品としては、図9に示す電子部品140も挙げられる。電子部品140は、基体141と、基体141に内在した、電極パッド142d、電極パッド142e、電極パッド142f、配線部144とを備えている。電極パッド142dは、基体141の一方の主面141dと面一をなし、電極パッド142eおよび142fは、基体141の他方の主面141eと面一をなしている。配線部144は、3方向に分岐しており、分岐した三つの端部は、それぞれ電極パッド142d、142e、142fに、それぞれ電気的に接続されている。なお、配線部144は、この例に限らず、三つ以上に分岐してもよい。また、分岐した端部はいずれも、一方の主面141d、他方の主面141eのどちらと面一をなしていてもよい。
【0049】
[実施例4]
本発明に係る電子部品としては、図10に示す電子部品150も挙げられる。電子部品150は、基体151と、基体151に内在した、電極パッド152d、電極パッド152e、電極パッド152f、電極パッド152g、配線部154とを備えている。電極パッド152dは、基体151の一方の主面151dと面一をなし、電極パッド152eは、基体151の他方の主面151eと面一をなしている。電極パッド152f、152gは、いずれも基体の側面151bと面一をなしている。配線部154は、4方向に分岐しており、分岐した4つの端部は、それぞれ電極パッド152d、152e、152f、152gに、それぞれ電気的に接続されている。なお、配線部154は、この例に限らず、5方向以上に分岐していてもよい。また、分岐した端部はいずれも、一方の主面151d、他方の主面151e、側面151bのいずれと面一をなしていてもよい。
【0050】
[実施例5]
本発明に係る電子部品としては、図11に示す電子部品160も挙げられる。電子部品160は、基体161と、基体161に内在した、電極パッド(162d、162e、162f、162g、162h)、配線部(164a、164b、164c、164d)とを備えている。電極パッド162dは、基体161の一方の主面161dと面一をなし、電極パッド162e、162f、162g、162hは、それぞれ基体141の他方の主面161eと面一をなしている。配線部164a、配線部164b、配線部164c、配線部164dは、それぞれ電極パッド162dと電極パッド162e、電極パッド162dと電極パッド162f、電極パッド162dと電極パッド162g、電極パッド162dと電極パッド162hを、電気的に接続している。すなわち、基体161の片方の主面側において、複数の配線部に共通の電極パッドが形成されている。
【0051】
電極パッドの形状について、図12を用いて説明する。図12は、形状が異なる三種類の電極パッド192α、192β、192γを比較する図である。電極パッド192α、192β、192γはそれぞれ、基体191に内在し、基体の主面191aと面一をなしている。そして、基体191内において、配線部194α、194β、194γが、それぞれ電極パッド192α、192β、192γに接続されている。
【0052】
図1〜11においては、電極パッド192αのように、平板状のものを一例として示したが、電極パッドは、少なくとも基体の主面または側面と面一となる露出面を有していればよい。そこで、例えば、電極パッド192βのように、露出面を除いた側面191dが、基体の主面191aから所定深さの内部に向けて、内向きに傾斜しているものを用いてもよい。また、電極パッド192γのように、露出面を除いた側面191eが、曲面になっているものを用いてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明は、例えばダイシング工程によって分離される貫通電極を備えた半導体装置に広く適用することができる。また、本発明は、他のデバイスを積層して配線するための基台(インターポーザ)として利用することができる。
【符号の説明】
【0054】
100・・・電子部品、101・・・基体、101a・・・主面、101b・・・側面、
101c、101d・・・凹部、102、103・・・電極パッド(第一導電部)、
102a、103a・・・表面、104・・・配線部(第二導電部)、105・・・改質部、
レーザー光・・・L。
【技術分野】
【0001】
本発明は、電極パッドと配線部を内在させた、電子部品および電子部品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話器等の電子機器の高機能化に伴い、電子機器を構成する電子デバイスの動作の高速化が求められている。高速化の実現に向けて、電子デバイス自身の回路を高集積化することに加えて、電子デバイスのパッケージ体を高密度に実装するための技術開発が進められている。
【0003】
パッケージ体の高密度化を実現する技術の一例として、貫通配線基板を用いたシステムインパッケージ(SiP)が提案されている。従来の貫通配線基板は、基板内部を貫通する配線部と、基板の主面に設けられた導電層(電極パッド)とを備えている(特許文献1)。配線部は、レーザー光の照射等により基板内部を改質させ、改質した部位をエッチングにより除去し、除去後に形成された空間に、導電性物質を充填することにより形成される。
【0004】
ところで、従来の貫通配線基板は、基板の主面と電極パッドとの間に、段差が生じる構成を備えている。そのため、基板を複数枚重ねて接合する場合には、隣接する基板同士の間において、段差を解消するための層を形成する必要がある。また、従来の貫通配線基板の製造方法によれば、電極パッドと配線部とを別々の工程において形成する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−176926号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は以上のような点を考慮してなされたものであり、貫通配線基板からなる電子部品であって、その電極パッドが配された側の主面または側面に、電極パッドとの段差を解消するための層を介さずに、別な基板を重ねて接合することが可能な、電子部品の提供を第一の目的とする。
【0007】
また、本発明は、貫通配線基板からなる電子部品を構成する、電極パッドと配線部とを同一の工程において形成することを可能とする、電子部品の製造方法の提供を第二の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の請求項1に係る電子部品は、単一の部材からなり、少なくとも一面に凹部を有する基体と、前記凹部内に配された電極パッドと、前記基体に内在し、一端が前記電極パッドと接続された配線部と、を備えた電子部品であって、前記凹部の開口部側に露出する前記電極パッドの表面が、前記凹部を有する前記基体の一面と面一であることを特徴とする。
【0009】
請求項1の構成によれば、電極パッドと基体の一面との間に段差が生じない。したがって、電極パッドと基体の一面との間の段差を解消するための層を介さずに、基体の一面と他の電子部品とを重ねて接合することが可能となる。
【0010】
本発明の請求項2に係る電子部品は、請求項1において、前記電極パッドと前記配線部とが一体形成されていることを特徴とする。
【0011】
請求項2の構成によれば、電極パッドと配線部との間には接合界面が存在しない。したがって、電極パッドと配線部との接合強度が強固となり、電子部品の損傷を抑制することができる。
【0012】
本発明の請求項3に係る電子部品の製造方法は、基体の内部にレーザー光を照射し、該レーザー光が集光した焦点の近傍域に改質部を形成する第一工程と、前記改質部をエッチングにより除去し、前記基体に空間を形成する第二工程と、前記空間に導電性物質を充填し、前記基体の内部に、電極パッドとして機能する第一導電部と、一端が該第一導電部に接続された配線部として機能する第二導電部とを形成する第三工程と、前記第一導電部を前記基板の主面または側面と面一となるように露出させる第四工程と、を備えることを特徴とする。
【0013】
請求項3の構成によれば、貫通配線基板からなる電子部品を構成する、電極パッドと配線部とは、連続体をなし、かつ同一の導電性物質を配されてなる。したがって、貫通配線基板からなる電子部品を構成する、電極パッドと配線部の両方を、一つの工程において形成することが可能となる。
【0014】
本発明の請求項4に係る電子部品の製造方法は、請求項3において、前記第四工程において、前記基板をダイシング法を用いて切断し、前記第一導電部を該基板の側面と面一となるように露出させることを特徴とする。
【0015】
請求項4の構成によれば、第一導電部を、基体の側面に平行な一面において、基体を切断することができる。したがって、基体の切断面と面一をなす第一導電部を形成することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る電子部品の構成によれば、電極パッドと基体の主面または側面との間に段差が生じない。したがって、電極パッドと基体の主面または側面との間の段差を解消するための層を介さずに、基体の主面または側面と他の電子部品を重ねて接合することが可能となる。従来の構成のように、接合する電子部品同士の間に中間層が形成されないため、電子部品を小型化することができる。ひいては、電子デバイスのパッケージ体を高密度に実装することができる。
【0017】
また、本発明に係る電子部品の製造方法では、貫通配線基板からなる電子部品を構成する電極パッドと配線部とが、連続体をなし、かつ同一の導電性物質を配されてなる。したがって、貫通配線基板からなる電子部品を構成する、電極パッドと配線部の両方を、一つの工程において形成することが可能となる。従来の製造方法のように、電極パッドと配線部とが互いに異なる層に属し、電極パッドと配線部とを、二つの工程に分けて形成する場合に比べて、工程処理を簡略化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】(a)第一実施形態に係る電子部品の平面図である。第一実施形態に係る電子部品の断面図である。
【図2】(a)〜(c)第一実施形態に係る電子部品の製造工程図である。
【図3】(a)基板の主面側からみた平面図である。個片化された電子部品の斜視図である。
【図4】(a)、(b)第一実施形態に係る電子部品の製造工程図である。
【図5】(a)電子部品の製造工程のうち、第一工程の変形例1を示す図である。電子部品の製造工程のうち、第一工程の変形例2を示す図である。
【図6】(a)電子部品の製造工程のうち、第一工程の変形例3を示す図である。電子部品の製造工程のうち、第一工程の変形例4を示す図である。
【図7】電子部品に内在する配線部の形状の一例を示す断面図である。
【図8】電子部品に内在する配線部の形状の一例を示す断面図である。
【図9】電子部品に内在する配線部の形状の一例を示す断面図である。
【図10】電子部品に内在する配線部の形状の一例を示す断面図である。
【図11】電子部品に内在する配線部の形状の一例を示す断面図である。
【図12】電極パッドの形状を比較する図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、好適な実施形態に基づき、図面を参照して本発明を説明する。
【0020】
<第一実施形態>
【0021】
図1(a)は、本発明の第一実施形態に係る電子部品100の主面側からみた平面図である。電子部品100は、基体101と、電極パッド102および103と、配線部104とを有する。図1(a)では、基体101の主面側に配された3つの電極パッド102と、基体101の側面側に配された3つの電極パッド103とが、それぞれ配線部104を介して接続されている。図1(b)は、図1(a)のA−A線において、電子部品100を切断した断面を示す図である。
【0022】
基体101は、単一の部材により構成される。基体101を構成する部材としては、例えばガラスなどの非結晶性基板が挙げられる。ガラス基板としては、例えば合成石英ガラス、珪酸塩を主成分とするガラス、ホウ珪酸ガラスからなるガラス基板等を用いることが出来る。合成石英ガラス基板は、加工性が良いため好適である。また、ガラス基板の厚さは特に制限されない。また、シリコン、サファイアなどの結晶性基板も、例として挙げられる。これらの部材は、後述する空間106の加工性に優れるので好ましい。なかでも、結晶方位による加工異方性の影響を受けにくい非結晶性である方が好ましい。
【0023】
基体101は、主面101aおよび側面101bに、それぞれ凹部101c、101dを有する。電極パッド102、103は、それぞれ凹部101c、101d内を埋めるように配される。配線部104は、基体101に内在し、一端が電極パッド102に接続され、他端が電極パッド103に接続されている。
【0024】
電極パッド102、103、配線部104は、例えば、Al、Cu、Cr、Ti、Au、Si等の導電性を有する金属により構成される。機械的、電気的に接続された、電極パッド102、103、配線部104は、一体であることが好ましい。一体である場合、電極パッドと配線部との間には接合面が存在しない。したがって、電極パッドと配線部との接合が強固となり、断線することを防止できる。
【0025】
ここで、電極パッドと配線部とが一体であるとは、電極パッドと配線部とが同一の材料により構成され、機械的、電気的に連続体をなす関係にあることを意味するものとする。なお、凹部101c、101dの開口部側において露出する電極パッドの表面102a、103aの面積は、配線部104の断面積よりも大きく形成することが好ましい。このようにすることで、一つの電極パッドに対して複数の配線部を接合した構造をとることができる。
【0026】
凹部101cの開口部側において露出する、電極パッドの表面102aは、凹部101cの開口部を含む、基体の主面101aと面一である。また、凹部101dの開口部側において露出する、電極パッドの表面103aは、凹部101dの開口部を含む、基体の側面101bと面一である。
【0027】
以上説明したように、第一実施形態に係る電子部品の構成によれば、電極パッドと基体の主面または側面との間に段差が生じない。したがって、電極パッドと基体の主面または側面との間の段差を解消するための層を介さずに、基体の主面または側面と他の電子部品を重ねて接合することが可能となる。従来の構成のように、接合する電子部品同士の間に中間層が形成されないため、電子部品を小型化することができる。ひいては、電子デバイスのパッケージ体を高密度に実装することができる。
【0028】
なお、図1では、基体の主面101aと側面101bの両方に凹部を有する場合を例として示したが、基体の主面101aと側面101bのうち少なくとも一面に凹部を有する場合にも本発明は適用される。その場合、例えば、配線部の一端を電極パッド102と電極パッド103のどちらか一方に接続し、他端を基体101に内蔵されたデバイス部(不図示)に接続することができる。
【0029】
<製造方法>
図2(a)〜(c)および図3(a)、(b)は、第一実施形態に係る電子部品100の製造工程図である。電子部品100の製造方法について、図2(a)〜(c)および図3(a)、(b)を用いて説明する。
【0030】
まず、図2(a)に示す第一工程において、基体101の内部に、レーザー光Lを照射する。そして、レーザー光Lが集光した焦点の近傍域に、エッチング耐性の弱い、構造改質部(改質部)105を形成する。
【0031】
レーザー光Lとしては、パルス時間幅がピコ秒オーダー以下のパルス幅を有するレーザー光を用いることが好ましい。例えばチタンサファイアレーザー、前記パルス幅を有するファイバーレーザーなどを用いることが出来る。ただし、基体101に対して透明な波長を使用することが必要である。より具体的には、基体101に対する透過率が60%以上のレーザー光であることが好ましい。また、レーザー光Lとして、加工用レーザーとして使用される一般的な波長領域(0.1〜10um)の光を適用することが出来る。ただし、被加工部材である基体101に対して透明である必要がある。
【0032】
次に、図2(b)に示す第二工程において、レーザー光を照射して形成された改質部105をエッチングにより除去し、基体101の内部に空間106を形成する。ここで行うエッチングは、ウェットエッチングであることが好ましい。エッチング液については特に限定されず、例えば1%以下のフッ酸を用いるのが最も好ましいが、その他の酸や塩基性を有するものでもよい。
【0033】
次に、図2(c)に示す第三工程において、改質部105を除去して形成された空間106に、導電性物質を充填し、基体101の内部に、導電部107を形成する。導電部107は、配線部として機能する第二導電部104と、第二導電部104の一端側に配された電極パッドとして機能する第一導電部102と、他端側に配された電極パッドとして機能する第一導電部103とで構成される。導電性物質は、めっき、スパッタリング、蒸着、CVD、超臨界流体成膜、印刷等、およびこれらを組み合わせた方法により、成膜される。特に、均一な成膜を行うためには、CVD、超臨界流体成膜の方法を用いることが好ましい。
【0034】
第一〜第三工程の処理を行うことにより、電子部品100を備えた基板110が得られる。基板110は、電子部品100を1つないし複数備えたものである。図3(a)に、基板110を主面側からみた平面図を示す。図3(a)は、基板110に、ダイシングラインDで仕切られた電子部品100が、複数個配列された例を示している。
【0035】
次に、第四工程において第一導電部を、基体の主面または側面と面一となるように露出させる。第一導電部102を、基体の主面と面一となるように露出させる場合には、第一導電部102の一部が基体の主面101aにおいて露出するまで、主面101a全体を均等に研磨し、図4(a)に示すように、基体の研磨面101dと面一をなす電極パッド(第一導電部)102を形成する。研磨により、電極パッド102が基体の研磨面において露出し、露出面102aと基体の研磨面101dとが面一をなす。研磨する方法としては、例えばCMP法等の機械的摩擦を利用した方法がある。
【0036】
第一導電部103を、基体の側面と面一となるように露出させる場合には、第一導電部103を含み、かつ基体の側面101bに平行な面において、基体101を切断し、図4(b)に示すように、基体の切断面101eと面一をなす電極パッド(第一導電部)103を形成する。切断により、電極パッド103が基体の切断面101eにおいて露出し、露出面103aと基体の切断面101eとが面一をなす。切断の方法としては、ダイシングブレードを用いる方法がある。なお、露出させる電極パッド(第一導電部)を、基体の主面101a、側面101bのいずれにも形成する場合には、上述した基体101の研磨および切断の両方を行う。
【0037】
図3(b)は、図3(a)の基板110が備えた複数の電子部品100のうち、領域Bに配された1個の拡大斜視図である。基板110に対し、第四工程の処理を行うことにより、個片化された電子部品100が得られる。
【0038】
第一実施形態に係る電子部品100は、少なくとも、以上説明した第一〜第四工程の処理を順に行うことにより、製造することができる。
【0039】
第一実施形態に係る電子部品の製造方法では、電子部品を構成する電極パッドと配線部とが、連続体をなし、かつ同一の導電性物質を配されてなる。したがって、貫通配線基板からなる電子部品を構成する、電極パッドと配線部の両方を、一つの工程において形成することが可能となる。従来の製造方法のように、電極パッドと配線部とが互いに異なる層に属し、電極パッドと配線部とを、二つの工程に分けて形成する場合に比べて、工程処理を簡略化することができる。
【0040】
以上説明した電子部品100の製造方法では、最終的に個々の電子部品に切り分けることを想定し、第一工程において、導電部として機能する部分の形状に対応した、改質部105を形成する。すなわち、第一工程において、導電部として機能する部分に対応した、隣接する改質部105同士が分断された状態となる。しかしながら、少なくとも第一工程においては、隣接する改質部105同士は連結していてもよい。
【0041】
図5(a)は、第一工程において、隣接する改質部同士を、切断する面を介して連結するように形成した例(変形例1)である。隣接する改質部同士が連結した状態において、第二、第三工程の処理を行うことにより、第四工程において、個々の電子部品100に切り分ける際に、切断面の位置に自由度が生じる。
【0042】
図5(b)は、第一工程において、隣接する改質部105同士を、切断する面を介して連結させ、かつ切断する箇所と基体の主面101aとの間に、仮の改質部105aを形成した例(変形例2)である。隣接する改質部同士を連結させ、かつ仮の改質部105aを形成した状態において、第二、第三工程の処理を行うことにより、第四工程において、個々の電子部品100に切り分ける際に、切断面の位置を正確に制御することができる。
【0043】
図6(a)は、基板110の主面の一部領域を含む平面図である。第一工程において、隣接する改質部同士を、切断面Dを介して連結させるとともに、切断面Dが4つの側面に形成されるように改質部105を形成し、第二〜第四工程までの処理を行うことにより、4つの側面に電極パッドが露出するように形成される。これにより、電子部品100の4方向の側面に、他の電子部品を接続することができる。なお、図6(a)では、切断面Dを4つの側面に設けた例を示したが、連結された改質部は、形状を自由に変えて形成することができるため、切断面Dにおける、改質部の位置を自由に設定することができる。すなわち、切断面Dにおける、電極パッドの位置も自由に設定することができる。したがって、接続する他の電子部品の回路構成に応じた最適な位置に、電極パッドを形成することができる。
【0044】
図6(b)は、基板の110の主面の一部領域を含む平面図である。第一工程において、隣接する改質部同士を、切断面Dを介して連結させるとともに、配線部が切断面Dに含まれるように改質部105を形成する。そして、第二〜第四工程までの処理を行うことにより、切断面Dにおいて電極パッドに加えて、配線部105も露出させた電子部品を形成することができる。
【0045】
なお、図1〜6に示した、電子部品が備えた配線部の形状は、一例である。配線部の形状について他の実施例を、図7〜11を用いて説明する。
【0046】
[実施例1]
本発明に係る電子部品としては、図7に示す電子部品120も挙げられる。電子部品120は、基体121と、基体121に内在した、電極パッド122d、電極パッド122e、配線部124とを備えている。電極パッド122dは、基体121の一方の主面121dと面一をなし、電極パッド122eは、基体121の他方の主面121eと面一をなしている。配線部124は、一端が電極パッド122dに、他端が電極パッド122eに、それぞれ電気的に接続されている。
【0047】
[実施例2]
本発明に係る電子部品としては、図8に示す電子部品130も挙げられる。電子部品130は、基体131と、基体131に内在した、電極パッド132d、電極パッド132e、配線部134とを備えている。電極パッド132d、132eは、いずれも基体131の一方の主面131dと面一をなしている。すなわち、電極パッドが、基体131の片側の主面側においてのみ露出している。配線部134は、一端が電極パッド132dに、他端が電極パッド132eに、それぞれ電気的に接続されている。
【0048】
[実施例3]
本発明に係る電子部品としては、図9に示す電子部品140も挙げられる。電子部品140は、基体141と、基体141に内在した、電極パッド142d、電極パッド142e、電極パッド142f、配線部144とを備えている。電極パッド142dは、基体141の一方の主面141dと面一をなし、電極パッド142eおよび142fは、基体141の他方の主面141eと面一をなしている。配線部144は、3方向に分岐しており、分岐した三つの端部は、それぞれ電極パッド142d、142e、142fに、それぞれ電気的に接続されている。なお、配線部144は、この例に限らず、三つ以上に分岐してもよい。また、分岐した端部はいずれも、一方の主面141d、他方の主面141eのどちらと面一をなしていてもよい。
【0049】
[実施例4]
本発明に係る電子部品としては、図10に示す電子部品150も挙げられる。電子部品150は、基体151と、基体151に内在した、電極パッド152d、電極パッド152e、電極パッド152f、電極パッド152g、配線部154とを備えている。電極パッド152dは、基体151の一方の主面151dと面一をなし、電極パッド152eは、基体151の他方の主面151eと面一をなしている。電極パッド152f、152gは、いずれも基体の側面151bと面一をなしている。配線部154は、4方向に分岐しており、分岐した4つの端部は、それぞれ電極パッド152d、152e、152f、152gに、それぞれ電気的に接続されている。なお、配線部154は、この例に限らず、5方向以上に分岐していてもよい。また、分岐した端部はいずれも、一方の主面151d、他方の主面151e、側面151bのいずれと面一をなしていてもよい。
【0050】
[実施例5]
本発明に係る電子部品としては、図11に示す電子部品160も挙げられる。電子部品160は、基体161と、基体161に内在した、電極パッド(162d、162e、162f、162g、162h)、配線部(164a、164b、164c、164d)とを備えている。電極パッド162dは、基体161の一方の主面161dと面一をなし、電極パッド162e、162f、162g、162hは、それぞれ基体141の他方の主面161eと面一をなしている。配線部164a、配線部164b、配線部164c、配線部164dは、それぞれ電極パッド162dと電極パッド162e、電極パッド162dと電極パッド162f、電極パッド162dと電極パッド162g、電極パッド162dと電極パッド162hを、電気的に接続している。すなわち、基体161の片方の主面側において、複数の配線部に共通の電極パッドが形成されている。
【0051】
電極パッドの形状について、図12を用いて説明する。図12は、形状が異なる三種類の電極パッド192α、192β、192γを比較する図である。電極パッド192α、192β、192γはそれぞれ、基体191に内在し、基体の主面191aと面一をなしている。そして、基体191内において、配線部194α、194β、194γが、それぞれ電極パッド192α、192β、192γに接続されている。
【0052】
図1〜11においては、電極パッド192αのように、平板状のものを一例として示したが、電極パッドは、少なくとも基体の主面または側面と面一となる露出面を有していればよい。そこで、例えば、電極パッド192βのように、露出面を除いた側面191dが、基体の主面191aから所定深さの内部に向けて、内向きに傾斜しているものを用いてもよい。また、電極パッド192γのように、露出面を除いた側面191eが、曲面になっているものを用いてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明は、例えばダイシング工程によって分離される貫通電極を備えた半導体装置に広く適用することができる。また、本発明は、他のデバイスを積層して配線するための基台(インターポーザ)として利用することができる。
【符号の説明】
【0054】
100・・・電子部品、101・・・基体、101a・・・主面、101b・・・側面、
101c、101d・・・凹部、102、103・・・電極パッド(第一導電部)、
102a、103a・・・表面、104・・・配線部(第二導電部)、105・・・改質部、
レーザー光・・・L。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
単一の部材からなり、少なくとも一面に凹部を有する基体と、
前記凹部内に配された電極パッドと、
前記基体に内在し、一端が前記電極パッドと接続された配線部と、を備えた電子部品であって、
前記凹部の開口部側に露出する前記電極パッドの表面が、
前記凹部を有する前記基体の一面と面一であることを特徴とする電子部品。
【請求項2】
前記電極パッドと前記配線部とが一体形成されていることを特徴とする請求項1に記載の電子部品。
【請求項3】
基体の内部にレーザー光を照射し、該レーザー光が集光した焦点の近傍域に改質部を形成する第一工程と、
前記改質部をエッチングにより除去し、前記基体に空間を形成する第二工程と、
前記空間に導電性物質を充填し、前記基体の内部に、電極パッドとして機能する第一導電部と、一端が該第一導電部に接続された配線部として機能する第二導電部とを形成する第三工程と、
前記第一導電部を前記基板の主面または側面と面一となるように露出させる第四工程と、
を備えることを特徴とする電子部品の製造方法。
【請求項4】
前記第四工程において、前記基板をダイシング法を用いて切断し、前記第一導電部を該基板の側面と面一となるように露出させることを特徴とする請求項3に記載の電子部品の製造方法。
【請求項1】
単一の部材からなり、少なくとも一面に凹部を有する基体と、
前記凹部内に配された電極パッドと、
前記基体に内在し、一端が前記電極パッドと接続された配線部と、を備えた電子部品であって、
前記凹部の開口部側に露出する前記電極パッドの表面が、
前記凹部を有する前記基体の一面と面一であることを特徴とする電子部品。
【請求項2】
前記電極パッドと前記配線部とが一体形成されていることを特徴とする請求項1に記載の電子部品。
【請求項3】
基体の内部にレーザー光を照射し、該レーザー光が集光した焦点の近傍域に改質部を形成する第一工程と、
前記改質部をエッチングにより除去し、前記基体に空間を形成する第二工程と、
前記空間に導電性物質を充填し、前記基体の内部に、電極パッドとして機能する第一導電部と、一端が該第一導電部に接続された配線部として機能する第二導電部とを形成する第三工程と、
前記第一導電部を前記基板の主面または側面と面一となるように露出させる第四工程と、
を備えることを特徴とする電子部品の製造方法。
【請求項4】
前記第四工程において、前記基板をダイシング法を用いて切断し、前記第一導電部を該基板の側面と面一となるように露出させることを特徴とする請求項3に記載の電子部品の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−12523(P2013−12523A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−142869(P2011−142869)
【出願日】平成23年6月28日(2011.6.28)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月28日(2011.6.28)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【Fターム(参考)】
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