電子部品の実装構造およびその実装方法
【課題】メイン基板1上に第1の半導体部品11が実装され、第1の半導体部品11を含むメイン基板1上に、下面側において第1の半導体部品11に対応する部分にキャビティ(凹部)22を有するキャビティ基板21が実装されたものにおいて、キャビティ22内にアンダーフィル材26を完全に充填することができるようにする。
【解決手段】キャビティ22の一側部は開口部23となっている。そして、開口部23側からアンダーフィル材26をキャビティ22内に充填する。この場合、キャビティ22内の空気は、すべて、キャビティ基板21に設けられた空気逃げ用貫通孔24を介して外部に逃げてしまう。これにより、キャビティ22内にアンダーフィル材26が完全に充填することができる。
【解決手段】キャビティ22の一側部は開口部23となっている。そして、開口部23側からアンダーフィル材26をキャビティ22内に充填する。この場合、キャビティ22内の空気は、すべて、キャビティ基板21に設けられた空気逃げ用貫通孔24を介して外部に逃げてしまう。これにより、キャビティ22内にアンダーフィル材26が完全に充填することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は電子部品の実装構造およびその実装方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電子部品の実装構造には、高さ方向への高密度実装を図るために、メイン基板上に第1の電子部品を半田バンプを介して実装し、第1の電子部品を含むメイン基板上に、下面側中央部において第1の電子部品に対応する部分に第1の電子部品を収容するためのキャビティ(凹部)を有するキャビティ基板を半田バンプを介して実装し、キャビティ基板上に第2の電子部品を実装したものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ところで、上記のような電子部品の実装構造において、第1の電子部品とメイン基板との間およびキャビティ基板とメイン基板との間にアンダーフィル材(補強用樹脂)を充填することがある。このような場合において、メイン基板上に第1の電子部品を半田バンプを介して実装するとともに、第1の電子部品を含むメイン基板上にキャビティ基板を半田バンプを介して実装し、この後に、キャビティ基板の周囲にアンダーフィル材を供給すると、キャビティ基板とメイン基板との間にアンダーフィル材を充填することができても、それよりも内側にアンダーフィル材を供給することができず、ひいては第1の電子部品とメイン基板との間にアンダーフィル材を充填することができない。
【0004】
一方、メイン基板上に第1の電子部品を半田バンプを介して実装した後に、第1の電子部品の周囲にアンダーフィル材を供給すると、第1の電子部品とメイン基板との間にアンダーフィル材を充填することができる。しかしながら、このようにした場合には、メイン基板上に第1の電子部品を半田バンプを介して実装する工程と、第1の電子部品を含むメイン基板上にキャビティ基板を半田バンプを介して実装する工程とが別々となるため、工程数が多くなってしまう。
【0005】
そこで、キャビティ基板のキャビティの一側部を開口し、メイン基板上に第1の電子部品を半田バンプを介して実装するとともに、第1の電子部品を含むメイン基板上にキャビティ基板を半田バンプを介して実装し、この後に、キャビティ基板のキャビティの開口側にアンダーフィル材を供給し、第1の電子部品とメイン基板との間にアンダーフィル材を充填するようにしたものがある(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−206230号公報
【特許文献2】特開2011−155169号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、特許文献2に記載の電子部品の実装構造において、キャビティ基板のキャビティ内にアンダーフィル材を完全に充填することにより、半田バンプによる接続信頼性を向上させることが考えられる。しかしながら、キャビティ基板のキャビティの開口側から供給されたアンダーフィル材によりキャビティ内の空気がキャビティの開口側とは第1の電子部品を挟んで反対側の奥部に押し込まれ、この押し込まれた空気の行き場がなくなり、ひいてはキャビティ内にアンダーフィル材を完全に充填することができず、半田バンプによる接続信頼性を向上させることができないという問題がある。
【0008】
また、キャビティ基板のキャビティの開口側からアンダーフィル材を供給した後に、キャビティ基板のキャビティの奥部の外側からアンダーフィル材を供給すると、この供給されたアンダーフィル材によりキャビティの奥側に押し込まれた空気がキャビティの開口側に向かって押し出されるが、この押し出された空気が抜けきれずに、キャビティの開口側のアンダーフィル材中に大きな気泡として残存し、この残存する気泡の近傍における第1の電子部品の半田バンプが破損する原因となってしまうという問題がある。
【0009】
そこで、この発明は、キャビティ基板のキャビティ内にアンダーフィル材を完全に充填することができる電子部品の実装構造およびその実装方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明に係る電子部品の実装構造は、メイン基板と、前記メイン基板上に実装された第1の電子部品と、前記第1の電子部品を含む前記メイン基板上に実装され、前記第1の電子部品を収容し、且つ、一部が側方に開口されたキャビティを有するキャビティ基板と、前記キャビティ基板上に実装された第2の電子部品と、前記第1の電子部品と前記メイン基板との間および前記キャビティ基板と前記第1の電子部品を含む前記メイン基板との間に少なくとも設けられたアンダーフィル材とを備え、前記アンダーフィル材が形成されるとき、前記キャビティ内の空気を外部に逃がすための空気逃げ部を有することを特徴とするものである。
この発明に係る電子部品の実装方法は、メイン基板上に第1の電子部品を実装し、前記第1の電子部品を含む前記メイン基板上に、前記第1の電子部品を収容し、且つ、一部が側方に開口されたキャビティを有するキャビティ基板を実装し、前記第1の電子部品と前記メイン基板との間および前記キャビティ基板と前記第1の電子部品を含む前記メイン基板との間に少なくともアンダーフィル材を充填する電子部品の実装方法において、前記アンダーフィル材を充填するとき、前記キャビティ内の空気を空気逃げ部を介して外部に逃がすことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、キャビティ基板のキャビティ内にアンダーフィル材を完全に充填することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】この発明の第1実施形態としての電子部品の実装構造の要部の平面図。
【図2】図1のII−II線に沿う断面図。
【図3】図1および図2に示すキャビティ基板の平面図。
【図4】実装方法の一例においてアンダーフィル材の塗布方法を説明するために示す平面図。
【図5】この発明の第2実施形態としての電子部品の実装構造の図2同様の断面図。
【図6】この発明の第3実施形態としての電子部品の実装構造の図2同様の断面図。
【図7】図6に示すキャビティ基板の平面図。
【図8】この発明の第4実施形態としての電子部品の実装構造の図6同様の断面図。
【図9】図8に示すキャビティ基板の平面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(第1実施形態)
図1はこの発明の第1実施形態としての電子部品の実装構造の要部の平面図を示し、図2は図1のII−II線に沿う断面図を示す。この電子部品の実装構造では、簡単に説明すると、プリント配線板からなるメイン基板1上に第1の半導体部品(第1の電子部品)11が実装され、第1の半導体部品11を含むメイン基板1上にキャビティ基板21が実装され、キャビティ基板21上に第2の半導体部品(第2の電子部品)31および複数のチップ部品(第2の電子部品)41が実装されている。
【0014】
まず、メイン基板1について説明する。メイン基板1はガラス布基材エポキシ系樹脂等からなる平面方形状の絶縁基板2を備えている。絶縁基板2の上面には銅等からなる複数の配線(図示せず)が設けられている。この場合、少なくとも一部の配線の先端部はランドとなっている。
【0015】
次に、第1の半導体部品11について説明する。第1の半導体部品11はBGA(ball grid array)、CSP(chip size package)、WLCSP(wafer level chip size
package)、ベアチップ等からなり、平面正方形状の半導体部品本体12の下面に複数の半田バンプ13がマトリクス状に設けられた構造となっている。そして、第1の半導体部品11は、その半田バンプ13がメイン基板1の所定の配線のランドに接合されていることにより、メイン基板1上に実装されている。
【0016】
次に、キャビティ基板21について説明する。キャビティ基板21は樹脂基板、セラミック基板、シリコン基板等が複数枚積層されることにより形成された平面方形状の多層プリント配線板からなり、その下面側には平面方形状のキャビティ(凹部)22が設けられている。この場合、キャビティ22の図1および図2における左側はすべて開口され、開口部23となっている。キャビティ22の平面サイズは第1の半導体部品11の平面サイズよりも大きくなっている。キャビティ基板21において、キャビティ22の開口部23とは反対側の奥部(図1および図2において右側)の所定の箇所に対応する部分には、空気逃げ用貫通孔24がキャビティ22と連通するように設けられている。
【0017】
キャビティ22を除くキャビティ基板21の下面には銅等からなる複数の下層配線(図示せず)が設けられ、キャビティ22の上面には銅等からなる複数の上層配線(図示せず)が設けられている。この場合、下層配線と上層配線とは、キャビティ基板21の内部に設けられた内部配線(図示せず)を介して接続されている。下層配線のランド下には半田バンプ25が設けられている。ここで、図3はキャビティ基板21の平面図を示す。この図3に示すように、半田バンプ25は、キャビティ22を除くキャビティ基板21の下面にマトリクス状に設けられている。
【0018】
そして、キャビティ基板21は、その半田バンプ25がメイン基板1の所定の配線のランドに接合されていることにより、第1の半導体部品11を含むメイン基板1上に実装されている。この状態では、第1の半導体部品11はキャビティ22内に収容されている。また、空気逃げ用貫通孔24は、キャビティ22内に収容された第1の半導体部品11よりも奥部側(図1および図2において右側)に配置されている。
【0019】
そして、第1の半導体部品11とメイン基板1との間およびキャビティ基板21と第1の半導体部品11を含むメイン基板1との間にはアンダーフィル材26が設けられている。すなわち、キャビティ22内にはアンダーフィル材26が完全に充填されている。また、アンダーフィル材26は、キャビティ基板21の周側面およびその周囲におけるメイン基板1の上面にフィレット状に設けられている。
【0020】
次に、第2の半導体部品31について説明する。第2の半導体部品31は、第1の半導体部品11と同様に、BGA、CSP、WLCSP、ベアチップ等からなり、平面正方形状の半導体部品本体32の下面に複数の半田バンプ33がマトリクス状に設けられた構造となっている。そして、第2の半導体部品31は、その半田バンプ33がキャビティ基板21の所定の上層配線のランドに接合されていることにより、キャビティ基板21上に実装されている。なお、第2の半導体部品31は、QFP(quad flat package)、SOP(small outline package)、TSOP(thin small outline package)等であってもよい。
【0021】
次に、チップ部品41について説明する。チップ部品41はコンデンサ、抵抗、コイル等からなっている。そして、チップ部品41は、その両電極が半田バンプ42を介してキャビティ基板21の所定の上層配線のランドに接合されていることにより、キャビティ基板21上に実装されている。
【0022】
次に、実装方法の一例について、具体的な一例と併せて説明する。第1の半導体部品11はWLCSPからなり、その平面サイズは6×6mmであり、その厚さは0.3mmであり、その半田バンプ13のピッチは0.4mmである。キャビティ基板21の平面サイズは10×10mmであり、その厚さは0.65mmであり、その半田バンプ25のピッチは0.4mmである。キャビティ22の平面サイズは8×7mmであり、その深さは0.4mmである。空気逃げ用貫通孔24はドリル等で形成され、その直径は0.5mmである。
【0023】
さて、まず、メイン基板1の配線のランド上に鉛フリー半田ペーストを印刷により塗布する。次に、メイン基板1上に、半田バンプ13を有する第1の半導体部品11を位置決めしてただ単に載置する。次に、第1の半導体部品11を含むメイン基板1上に、半田バンプ25を有するキャビティ基板21を位置決めしてただ単に載置する。この場合、キャビティ基板21上に第2の半導体部品31およびチップ部品41を予め実装しておいてもよい。
【0024】
次に、リフロー炉を用いてリフローを行うことにより、半田バンプ13、25を溶融させた後凝固させ、メイン基板1上に第1の半導体部品11を半田バンプ13を介して実装し、且つ、第1の半導体部品11を含むメイン基板1上にキャビティ基板21を半田バンプ25を介して実装する。この場合、第1の半導体部品11およびキャビティ基板21を実装するためのリフロー工程は1回であるので、リフロー工程数が増加しないようにすることができる。
【0025】
次に、図4において、矢印Aで示すように、キャビティ22の開口部23に沿ってアンダーフィル材塗布用のディスペンサ(図示せず)を移動させることにより、開口部23の外側におけるメイン基板1上にアンダーフィル材26を塗布する。すると、毛細管現象により、塗布されたアンダーフィル材26が第1の半導体部品11とメイン基板1との間を含むキャビティ22内に浸透する。この場合、アンダーフィル材26の塗布量は、キャビティ22内に十分に充填することができる量とし、例えば10mgとする。
【0026】
ところで、塗布されたアンダーフィル材26が第1の半導体部品11とメイン基板1との間を含むキャビティ22内に浸透するとき、この浸透するアンダーフィル材26によってキャビティ22内の空気がキャビティ22の開口部23とは第1の半導体部品11を挟んで反対側の奥部側に押し込まれるが、この押し込まれた空気は空気逃げ用貫通孔24を介して外部に逃げてしまう。
【0027】
次に、図4において、矢印Bおよび矢印Cでそれぞれ示すように、キャビティ22の開口部23の両側におけるキャビティ基板21の2辺に沿ってディスペンサをそれぞれ移動させることにより、キャビティ基板21の当該2辺の外側におけるメイン基板1上にアンダーフィル材26をそれぞれ例えば6mgずつ塗布する。すると、毛細管現象により、塗布されたアンダーフィル材26がキャビティ基板21の当該2辺とメイン基板1との間にそれぞれ浸透する。
【0028】
かくして、第1の半導体部品11とメイン基板1との間およびキャビティ基板21と第1の半導体部品11を含むメイン基板1との間にアンダーフィル材26が浸透し、且つ、キャビティ基板21の周側面およびその周囲におけるメイン基板1の上面にアンダーフィル材26がフィレット状に形成される。
【0029】
この場合、キャビティ22内の空気はすべて空気逃げ用貫通孔24を介して外部に逃げてしまうため、第1の半導体部品11とメイン基板1との間およびキャビティ基板21と第1の半導体部品11を含むメイン基板1との間にアンダーフィル材26が完全に充填され、且つ、キャビティ基板21の周側面およびその周囲におけるメイン基板1の上面にフィレット状に形成されたアンダーフィル材26中に気泡が残存することはない。したがって、半田バンプ13、25による接続信頼性を大幅に向上させることができる。
【0030】
ここで、キャビティ22の開口部23の外側におけるメイン基板1上にアンダーフィル材26を塗布して、10秒以上、例えば15秒経過した後に、キャビティ基板21の当該2辺の外側におけるメイン基板1上にアンダーフィル材26をそれぞれ塗布するようにする方が望ましい。これは、キャビティ22の開口部23の外側におけるメイン基板1上に塗布されたアンダーフィル材26がキャビティ22内に浸透する時間を稼ぐことにより、キャビティ22内へのアンダーフィル材26の充填性を高めるためである。
【0031】
また、キャビティ22の開口部23とは第1の半導体部品11を挟んで反対側におけるキャビティ基板21の1辺の外側におけるメイン基板1上にはアンダーフィル材26は塗布しない。これは、キャビティ22の奥部に押し込まれた空気が開口部23側に向かって逆流するのを確実に防止するためである。
【0032】
(第2実施形態)
図5はこの発明の第2実施形態としての電子部品の実装構造の図2同様の断面図を示す。この電子部品の実装構造において、図2に示す電子部品の実装構造と異なる点は、キャビティ基板21に空気逃げ用貫通孔24を設けずに、メイン基板1に空気逃げ用貫通孔24を設けた点である。したがって、この場合には、キャビティ22内の奥部に押し込まれた空気はメイン基板1に設けられた空気逃げ用貫通孔24を介して外部に逃げることになる。
【0033】
(第3実施形態)
図6はこの発明の第3実施形態としての電子部品の実装構造の図2同様の断面図を示し、図7は図6に示すキャビティ基板21の平面図を示す。この電子部品の実装構造において、図2に示す電子部品の実装構造と異なる点は、キャビティ基板21に空気逃げ用貫通孔24を設けず、キャビティ基板21下に設けられた半田バンプ25のうち、キャビティ22の開口部23とは第1の半導体部品11を挟んで反対側における所定の1列(または2列以上)の半田バンプを設けずに、この半田バンプを設けない部分によって空気逃げ用通路51を形成した点である。
【0034】
ここで、半田バンプ25の高さが比較的低く、且つ、そのピッチが0.5mm未満である場合には、キャビティ22の奥部に押し込まれた空気が半田バンプ25やフラックス残さに阻害されて外部にほとんど排出されない。これに対し、この実施形態では、ピッチ0.4mmの半田バンプが1列設けられていないので、幅0.6mmの空気逃げ用通路51が形成され、キャビティ22内の奥部に押し込まれた空気はこの空気逃げ用通路51を介して外部に逃げることができる。
【0035】
(第4実施形態)
図8はこの発明の第4実施形態としての電子部品の実装構造の図6同様の断面図を示し、図9は図8に示すキャビティ基板21の平面図を示す。この電子部品の実装構造において、図6および図7に示す電子部品の実装構造と異なる点は、半田バンプが設けられていない部分からなる空気逃げ用通路51に対応する部分におけるキャビティ基板21の下面側に空気逃げ用溝52を設けた点である。
【0036】
このようにした場合には、キャビティ22内の奥部に押し込まれた空気を空気逃げ用通路51のほかに空気逃げ用溝51をも介して外部に逃がすことができるので、上記第3実施形態の場合よりもさらに大きな空気の逃げ道を確保することができ、ひいてはキャビティ22内へのアンダーフィル材26の充填性をより一層高めることができる。なお、空気逃げ用溝51の幅は、一例として、半田バンプ25のピッチと同じで0.4mmである。
【0037】
(その他の実施形態)
例えば、図2では、メイン基板1上に第1の半導体部品11を半田バンプ13を介して実装しているが、これに限定されるものではない。例えば、メイン基板1上に、コンデンサ、抵抗、コイル等からなるチップ部品を半田バンプを介して実装するようにしてもよい。また、例えば、図1では、キャビティ22の左側をすべて開口しているが、これに限らず、例えば、第1の半導体部品11に対応する部分のみを開口するようにしてもよい。
【0038】
以下、この発明の諸態様を付記としてまとめて記載する。
【0039】
(付記1)
付記1の発明は、メイン基板と、前記メイン基板上に実装された第1の電子部品と、前記第1の電子部品を含む前記メイン基板上に実装され、前記第1の電子部品を収容し、且つ、一部が側方に開口されたキャビティを有するキャビティ基板と、前記キャビティ基板上に実装された第2の電子部品と、前記第1の電子部品と前記メイン基板との間および前記キャビティ基板と前記第1の電子部品を含む前記メイン基板との間に少なくとも設けられたアンダーフィル材とを備え、前記アンダーフィル材が形成されるとき、前記キャビティ内の空気を外部に逃がすための空気逃げ部を有することを特徴とする電子部品の実装構造である。
【0040】
(付記2)
付記2の発明は、付記1に記載の発明において、前記空気逃げ部は、前記キャビティの開口とは前記第1の電子部品を挟んで反対側における前記キャビティに対応する部分における前記キャビティ基板に設けられた空気逃げ用貫通孔からなることを特徴とする電子部品の実装構造である。
【0041】
(付記3)
付記3の発明は、付記1に記載の発明において、前記空気逃げ部は、前記キャビティの開口とは前記第1の電子部品を挟んで反対側における前記キャビティに対応する部分における前記メイン基板に設けられた空気逃げ用貫通孔からなることを特徴とする電子部品の実装構造である。
【0042】
(付記4)
付記4の発明は、付記1に記載の発明において、前記空気逃げ部は、前記キャビティの開口とは前記第1の電子部品を挟んで反対側における前記キャビティに対応する部分における前記キャビティ基板下に半田バンプが設けられていない部分からなる空気逃げ用通路からなることを特徴とする電子部品の実装構造である。
【0043】
(付記5)
付記5の発明は、付記4に記載の発明において、前記空気逃げ部は、さらに、前記空気逃げ用通路に対応する部分における前記キャビティ基板の下面側に設けられた空気逃げ用溝を含むことを特徴とする電子部品の実装構造である。
【0044】
(付記6)
付記6の発明は、付記1〜5のいずれかに記載の発明において、前記アンダーフィル材は、前記キャビティ基板の周囲に気泡を含まないでフィレット状に形成されていることを特徴とする電子部品の実装構造である。
【0045】
(付記7)
付記7の発明は、メイン基板上に第1の電子部品を実装し、前記第1の電子部品を含む前記メイン基板上に、前記第1の電子部品を収容し、且つ、一部が側方に開口されたキャビティを有するキャビティ基板を実装し、前記第1の電子部品と前記メイン基板との間および前記キャビティ基板と前記第1の電子部品を含む前記メイン基板との間に少なくともアンダーフィル材を充填する電子部品の実装方法において、前記アンダーフィル材を充填するとき、前記キャビティ内の空気を空気逃げ部を介して外部に逃がすことを特徴とする電子部品の実装方法である。
【0046】
(付記8)
付記8の発明は、付記7に記載の発明において、前記キャビティの開口の外側における前記メイン基板上にアンダーフィル材を塗布し、次いで前記キャビティの開口の両側における前記キャビティ基板の2辺の外側における前記メイン基板上にアンダーフィル材をそれぞれ塗布することを特徴とする電子部品の実装方法である。
【0047】
(付記9)
付記9の発明は、付記8に記載の発明において、前記キャビティの開口の外側における前記メイン基板上にアンダーフィル材を塗布して、10秒以上経過した後に、前記キャビティの開口の両側における前記キャビティ基板の2辺の外側における前記メイン基板上にアンダーフィル材をそれぞれ塗布することを特徴とする電子部品の実装方法である。
【符号の説明】
【0048】
1 メイン基板
11 第1の半導体部品
13 半田バンプ
21 キャビティ基板
22 キャビティ
23 開口部
24 空気逃げ用貫通孔
25 半田バンプ
26 アンダーフィル材
31 第2の半導体部品
33 半田バンプ
41 チップ部品
42 半田バンプ
【技術分野】
【0001】
この発明は電子部品の実装構造およびその実装方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電子部品の実装構造には、高さ方向への高密度実装を図るために、メイン基板上に第1の電子部品を半田バンプを介して実装し、第1の電子部品を含むメイン基板上に、下面側中央部において第1の電子部品に対応する部分に第1の電子部品を収容するためのキャビティ(凹部)を有するキャビティ基板を半田バンプを介して実装し、キャビティ基板上に第2の電子部品を実装したものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ところで、上記のような電子部品の実装構造において、第1の電子部品とメイン基板との間およびキャビティ基板とメイン基板との間にアンダーフィル材(補強用樹脂)を充填することがある。このような場合において、メイン基板上に第1の電子部品を半田バンプを介して実装するとともに、第1の電子部品を含むメイン基板上にキャビティ基板を半田バンプを介して実装し、この後に、キャビティ基板の周囲にアンダーフィル材を供給すると、キャビティ基板とメイン基板との間にアンダーフィル材を充填することができても、それよりも内側にアンダーフィル材を供給することができず、ひいては第1の電子部品とメイン基板との間にアンダーフィル材を充填することができない。
【0004】
一方、メイン基板上に第1の電子部品を半田バンプを介して実装した後に、第1の電子部品の周囲にアンダーフィル材を供給すると、第1の電子部品とメイン基板との間にアンダーフィル材を充填することができる。しかしながら、このようにした場合には、メイン基板上に第1の電子部品を半田バンプを介して実装する工程と、第1の電子部品を含むメイン基板上にキャビティ基板を半田バンプを介して実装する工程とが別々となるため、工程数が多くなってしまう。
【0005】
そこで、キャビティ基板のキャビティの一側部を開口し、メイン基板上に第1の電子部品を半田バンプを介して実装するとともに、第1の電子部品を含むメイン基板上にキャビティ基板を半田バンプを介して実装し、この後に、キャビティ基板のキャビティの開口側にアンダーフィル材を供給し、第1の電子部品とメイン基板との間にアンダーフィル材を充填するようにしたものがある(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−206230号公報
【特許文献2】特開2011−155169号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、特許文献2に記載の電子部品の実装構造において、キャビティ基板のキャビティ内にアンダーフィル材を完全に充填することにより、半田バンプによる接続信頼性を向上させることが考えられる。しかしながら、キャビティ基板のキャビティの開口側から供給されたアンダーフィル材によりキャビティ内の空気がキャビティの開口側とは第1の電子部品を挟んで反対側の奥部に押し込まれ、この押し込まれた空気の行き場がなくなり、ひいてはキャビティ内にアンダーフィル材を完全に充填することができず、半田バンプによる接続信頼性を向上させることができないという問題がある。
【0008】
また、キャビティ基板のキャビティの開口側からアンダーフィル材を供給した後に、キャビティ基板のキャビティの奥部の外側からアンダーフィル材を供給すると、この供給されたアンダーフィル材によりキャビティの奥側に押し込まれた空気がキャビティの開口側に向かって押し出されるが、この押し出された空気が抜けきれずに、キャビティの開口側のアンダーフィル材中に大きな気泡として残存し、この残存する気泡の近傍における第1の電子部品の半田バンプが破損する原因となってしまうという問題がある。
【0009】
そこで、この発明は、キャビティ基板のキャビティ内にアンダーフィル材を完全に充填することができる電子部品の実装構造およびその実装方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明に係る電子部品の実装構造は、メイン基板と、前記メイン基板上に実装された第1の電子部品と、前記第1の電子部品を含む前記メイン基板上に実装され、前記第1の電子部品を収容し、且つ、一部が側方に開口されたキャビティを有するキャビティ基板と、前記キャビティ基板上に実装された第2の電子部品と、前記第1の電子部品と前記メイン基板との間および前記キャビティ基板と前記第1の電子部品を含む前記メイン基板との間に少なくとも設けられたアンダーフィル材とを備え、前記アンダーフィル材が形成されるとき、前記キャビティ内の空気を外部に逃がすための空気逃げ部を有することを特徴とするものである。
この発明に係る電子部品の実装方法は、メイン基板上に第1の電子部品を実装し、前記第1の電子部品を含む前記メイン基板上に、前記第1の電子部品を収容し、且つ、一部が側方に開口されたキャビティを有するキャビティ基板を実装し、前記第1の電子部品と前記メイン基板との間および前記キャビティ基板と前記第1の電子部品を含む前記メイン基板との間に少なくともアンダーフィル材を充填する電子部品の実装方法において、前記アンダーフィル材を充填するとき、前記キャビティ内の空気を空気逃げ部を介して外部に逃がすことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、キャビティ基板のキャビティ内にアンダーフィル材を完全に充填することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】この発明の第1実施形態としての電子部品の実装構造の要部の平面図。
【図2】図1のII−II線に沿う断面図。
【図3】図1および図2に示すキャビティ基板の平面図。
【図4】実装方法の一例においてアンダーフィル材の塗布方法を説明するために示す平面図。
【図5】この発明の第2実施形態としての電子部品の実装構造の図2同様の断面図。
【図6】この発明の第3実施形態としての電子部品の実装構造の図2同様の断面図。
【図7】図6に示すキャビティ基板の平面図。
【図8】この発明の第4実施形態としての電子部品の実装構造の図6同様の断面図。
【図9】図8に示すキャビティ基板の平面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(第1実施形態)
図1はこの発明の第1実施形態としての電子部品の実装構造の要部の平面図を示し、図2は図1のII−II線に沿う断面図を示す。この電子部品の実装構造では、簡単に説明すると、プリント配線板からなるメイン基板1上に第1の半導体部品(第1の電子部品)11が実装され、第1の半導体部品11を含むメイン基板1上にキャビティ基板21が実装され、キャビティ基板21上に第2の半導体部品(第2の電子部品)31および複数のチップ部品(第2の電子部品)41が実装されている。
【0014】
まず、メイン基板1について説明する。メイン基板1はガラス布基材エポキシ系樹脂等からなる平面方形状の絶縁基板2を備えている。絶縁基板2の上面には銅等からなる複数の配線(図示せず)が設けられている。この場合、少なくとも一部の配線の先端部はランドとなっている。
【0015】
次に、第1の半導体部品11について説明する。第1の半導体部品11はBGA(ball grid array)、CSP(chip size package)、WLCSP(wafer level chip size
package)、ベアチップ等からなり、平面正方形状の半導体部品本体12の下面に複数の半田バンプ13がマトリクス状に設けられた構造となっている。そして、第1の半導体部品11は、その半田バンプ13がメイン基板1の所定の配線のランドに接合されていることにより、メイン基板1上に実装されている。
【0016】
次に、キャビティ基板21について説明する。キャビティ基板21は樹脂基板、セラミック基板、シリコン基板等が複数枚積層されることにより形成された平面方形状の多層プリント配線板からなり、その下面側には平面方形状のキャビティ(凹部)22が設けられている。この場合、キャビティ22の図1および図2における左側はすべて開口され、開口部23となっている。キャビティ22の平面サイズは第1の半導体部品11の平面サイズよりも大きくなっている。キャビティ基板21において、キャビティ22の開口部23とは反対側の奥部(図1および図2において右側)の所定の箇所に対応する部分には、空気逃げ用貫通孔24がキャビティ22と連通するように設けられている。
【0017】
キャビティ22を除くキャビティ基板21の下面には銅等からなる複数の下層配線(図示せず)が設けられ、キャビティ22の上面には銅等からなる複数の上層配線(図示せず)が設けられている。この場合、下層配線と上層配線とは、キャビティ基板21の内部に設けられた内部配線(図示せず)を介して接続されている。下層配線のランド下には半田バンプ25が設けられている。ここで、図3はキャビティ基板21の平面図を示す。この図3に示すように、半田バンプ25は、キャビティ22を除くキャビティ基板21の下面にマトリクス状に設けられている。
【0018】
そして、キャビティ基板21は、その半田バンプ25がメイン基板1の所定の配線のランドに接合されていることにより、第1の半導体部品11を含むメイン基板1上に実装されている。この状態では、第1の半導体部品11はキャビティ22内に収容されている。また、空気逃げ用貫通孔24は、キャビティ22内に収容された第1の半導体部品11よりも奥部側(図1および図2において右側)に配置されている。
【0019】
そして、第1の半導体部品11とメイン基板1との間およびキャビティ基板21と第1の半導体部品11を含むメイン基板1との間にはアンダーフィル材26が設けられている。すなわち、キャビティ22内にはアンダーフィル材26が完全に充填されている。また、アンダーフィル材26は、キャビティ基板21の周側面およびその周囲におけるメイン基板1の上面にフィレット状に設けられている。
【0020】
次に、第2の半導体部品31について説明する。第2の半導体部品31は、第1の半導体部品11と同様に、BGA、CSP、WLCSP、ベアチップ等からなり、平面正方形状の半導体部品本体32の下面に複数の半田バンプ33がマトリクス状に設けられた構造となっている。そして、第2の半導体部品31は、その半田バンプ33がキャビティ基板21の所定の上層配線のランドに接合されていることにより、キャビティ基板21上に実装されている。なお、第2の半導体部品31は、QFP(quad flat package)、SOP(small outline package)、TSOP(thin small outline package)等であってもよい。
【0021】
次に、チップ部品41について説明する。チップ部品41はコンデンサ、抵抗、コイル等からなっている。そして、チップ部品41は、その両電極が半田バンプ42を介してキャビティ基板21の所定の上層配線のランドに接合されていることにより、キャビティ基板21上に実装されている。
【0022】
次に、実装方法の一例について、具体的な一例と併せて説明する。第1の半導体部品11はWLCSPからなり、その平面サイズは6×6mmであり、その厚さは0.3mmであり、その半田バンプ13のピッチは0.4mmである。キャビティ基板21の平面サイズは10×10mmであり、その厚さは0.65mmであり、その半田バンプ25のピッチは0.4mmである。キャビティ22の平面サイズは8×7mmであり、その深さは0.4mmである。空気逃げ用貫通孔24はドリル等で形成され、その直径は0.5mmである。
【0023】
さて、まず、メイン基板1の配線のランド上に鉛フリー半田ペーストを印刷により塗布する。次に、メイン基板1上に、半田バンプ13を有する第1の半導体部品11を位置決めしてただ単に載置する。次に、第1の半導体部品11を含むメイン基板1上に、半田バンプ25を有するキャビティ基板21を位置決めしてただ単に載置する。この場合、キャビティ基板21上に第2の半導体部品31およびチップ部品41を予め実装しておいてもよい。
【0024】
次に、リフロー炉を用いてリフローを行うことにより、半田バンプ13、25を溶融させた後凝固させ、メイン基板1上に第1の半導体部品11を半田バンプ13を介して実装し、且つ、第1の半導体部品11を含むメイン基板1上にキャビティ基板21を半田バンプ25を介して実装する。この場合、第1の半導体部品11およびキャビティ基板21を実装するためのリフロー工程は1回であるので、リフロー工程数が増加しないようにすることができる。
【0025】
次に、図4において、矢印Aで示すように、キャビティ22の開口部23に沿ってアンダーフィル材塗布用のディスペンサ(図示せず)を移動させることにより、開口部23の外側におけるメイン基板1上にアンダーフィル材26を塗布する。すると、毛細管現象により、塗布されたアンダーフィル材26が第1の半導体部品11とメイン基板1との間を含むキャビティ22内に浸透する。この場合、アンダーフィル材26の塗布量は、キャビティ22内に十分に充填することができる量とし、例えば10mgとする。
【0026】
ところで、塗布されたアンダーフィル材26が第1の半導体部品11とメイン基板1との間を含むキャビティ22内に浸透するとき、この浸透するアンダーフィル材26によってキャビティ22内の空気がキャビティ22の開口部23とは第1の半導体部品11を挟んで反対側の奥部側に押し込まれるが、この押し込まれた空気は空気逃げ用貫通孔24を介して外部に逃げてしまう。
【0027】
次に、図4において、矢印Bおよび矢印Cでそれぞれ示すように、キャビティ22の開口部23の両側におけるキャビティ基板21の2辺に沿ってディスペンサをそれぞれ移動させることにより、キャビティ基板21の当該2辺の外側におけるメイン基板1上にアンダーフィル材26をそれぞれ例えば6mgずつ塗布する。すると、毛細管現象により、塗布されたアンダーフィル材26がキャビティ基板21の当該2辺とメイン基板1との間にそれぞれ浸透する。
【0028】
かくして、第1の半導体部品11とメイン基板1との間およびキャビティ基板21と第1の半導体部品11を含むメイン基板1との間にアンダーフィル材26が浸透し、且つ、キャビティ基板21の周側面およびその周囲におけるメイン基板1の上面にアンダーフィル材26がフィレット状に形成される。
【0029】
この場合、キャビティ22内の空気はすべて空気逃げ用貫通孔24を介して外部に逃げてしまうため、第1の半導体部品11とメイン基板1との間およびキャビティ基板21と第1の半導体部品11を含むメイン基板1との間にアンダーフィル材26が完全に充填され、且つ、キャビティ基板21の周側面およびその周囲におけるメイン基板1の上面にフィレット状に形成されたアンダーフィル材26中に気泡が残存することはない。したがって、半田バンプ13、25による接続信頼性を大幅に向上させることができる。
【0030】
ここで、キャビティ22の開口部23の外側におけるメイン基板1上にアンダーフィル材26を塗布して、10秒以上、例えば15秒経過した後に、キャビティ基板21の当該2辺の外側におけるメイン基板1上にアンダーフィル材26をそれぞれ塗布するようにする方が望ましい。これは、キャビティ22の開口部23の外側におけるメイン基板1上に塗布されたアンダーフィル材26がキャビティ22内に浸透する時間を稼ぐことにより、キャビティ22内へのアンダーフィル材26の充填性を高めるためである。
【0031】
また、キャビティ22の開口部23とは第1の半導体部品11を挟んで反対側におけるキャビティ基板21の1辺の外側におけるメイン基板1上にはアンダーフィル材26は塗布しない。これは、キャビティ22の奥部に押し込まれた空気が開口部23側に向かって逆流するのを確実に防止するためである。
【0032】
(第2実施形態)
図5はこの発明の第2実施形態としての電子部品の実装構造の図2同様の断面図を示す。この電子部品の実装構造において、図2に示す電子部品の実装構造と異なる点は、キャビティ基板21に空気逃げ用貫通孔24を設けずに、メイン基板1に空気逃げ用貫通孔24を設けた点である。したがって、この場合には、キャビティ22内の奥部に押し込まれた空気はメイン基板1に設けられた空気逃げ用貫通孔24を介して外部に逃げることになる。
【0033】
(第3実施形態)
図6はこの発明の第3実施形態としての電子部品の実装構造の図2同様の断面図を示し、図7は図6に示すキャビティ基板21の平面図を示す。この電子部品の実装構造において、図2に示す電子部品の実装構造と異なる点は、キャビティ基板21に空気逃げ用貫通孔24を設けず、キャビティ基板21下に設けられた半田バンプ25のうち、キャビティ22の開口部23とは第1の半導体部品11を挟んで反対側における所定の1列(または2列以上)の半田バンプを設けずに、この半田バンプを設けない部分によって空気逃げ用通路51を形成した点である。
【0034】
ここで、半田バンプ25の高さが比較的低く、且つ、そのピッチが0.5mm未満である場合には、キャビティ22の奥部に押し込まれた空気が半田バンプ25やフラックス残さに阻害されて外部にほとんど排出されない。これに対し、この実施形態では、ピッチ0.4mmの半田バンプが1列設けられていないので、幅0.6mmの空気逃げ用通路51が形成され、キャビティ22内の奥部に押し込まれた空気はこの空気逃げ用通路51を介して外部に逃げることができる。
【0035】
(第4実施形態)
図8はこの発明の第4実施形態としての電子部品の実装構造の図6同様の断面図を示し、図9は図8に示すキャビティ基板21の平面図を示す。この電子部品の実装構造において、図6および図7に示す電子部品の実装構造と異なる点は、半田バンプが設けられていない部分からなる空気逃げ用通路51に対応する部分におけるキャビティ基板21の下面側に空気逃げ用溝52を設けた点である。
【0036】
このようにした場合には、キャビティ22内の奥部に押し込まれた空気を空気逃げ用通路51のほかに空気逃げ用溝51をも介して外部に逃がすことができるので、上記第3実施形態の場合よりもさらに大きな空気の逃げ道を確保することができ、ひいてはキャビティ22内へのアンダーフィル材26の充填性をより一層高めることができる。なお、空気逃げ用溝51の幅は、一例として、半田バンプ25のピッチと同じで0.4mmである。
【0037】
(その他の実施形態)
例えば、図2では、メイン基板1上に第1の半導体部品11を半田バンプ13を介して実装しているが、これに限定されるものではない。例えば、メイン基板1上に、コンデンサ、抵抗、コイル等からなるチップ部品を半田バンプを介して実装するようにしてもよい。また、例えば、図1では、キャビティ22の左側をすべて開口しているが、これに限らず、例えば、第1の半導体部品11に対応する部分のみを開口するようにしてもよい。
【0038】
以下、この発明の諸態様を付記としてまとめて記載する。
【0039】
(付記1)
付記1の発明は、メイン基板と、前記メイン基板上に実装された第1の電子部品と、前記第1の電子部品を含む前記メイン基板上に実装され、前記第1の電子部品を収容し、且つ、一部が側方に開口されたキャビティを有するキャビティ基板と、前記キャビティ基板上に実装された第2の電子部品と、前記第1の電子部品と前記メイン基板との間および前記キャビティ基板と前記第1の電子部品を含む前記メイン基板との間に少なくとも設けられたアンダーフィル材とを備え、前記アンダーフィル材が形成されるとき、前記キャビティ内の空気を外部に逃がすための空気逃げ部を有することを特徴とする電子部品の実装構造である。
【0040】
(付記2)
付記2の発明は、付記1に記載の発明において、前記空気逃げ部は、前記キャビティの開口とは前記第1の電子部品を挟んで反対側における前記キャビティに対応する部分における前記キャビティ基板に設けられた空気逃げ用貫通孔からなることを特徴とする電子部品の実装構造である。
【0041】
(付記3)
付記3の発明は、付記1に記載の発明において、前記空気逃げ部は、前記キャビティの開口とは前記第1の電子部品を挟んで反対側における前記キャビティに対応する部分における前記メイン基板に設けられた空気逃げ用貫通孔からなることを特徴とする電子部品の実装構造である。
【0042】
(付記4)
付記4の発明は、付記1に記載の発明において、前記空気逃げ部は、前記キャビティの開口とは前記第1の電子部品を挟んで反対側における前記キャビティに対応する部分における前記キャビティ基板下に半田バンプが設けられていない部分からなる空気逃げ用通路からなることを特徴とする電子部品の実装構造である。
【0043】
(付記5)
付記5の発明は、付記4に記載の発明において、前記空気逃げ部は、さらに、前記空気逃げ用通路に対応する部分における前記キャビティ基板の下面側に設けられた空気逃げ用溝を含むことを特徴とする電子部品の実装構造である。
【0044】
(付記6)
付記6の発明は、付記1〜5のいずれかに記載の発明において、前記アンダーフィル材は、前記キャビティ基板の周囲に気泡を含まないでフィレット状に形成されていることを特徴とする電子部品の実装構造である。
【0045】
(付記7)
付記7の発明は、メイン基板上に第1の電子部品を実装し、前記第1の電子部品を含む前記メイン基板上に、前記第1の電子部品を収容し、且つ、一部が側方に開口されたキャビティを有するキャビティ基板を実装し、前記第1の電子部品と前記メイン基板との間および前記キャビティ基板と前記第1の電子部品を含む前記メイン基板との間に少なくともアンダーフィル材を充填する電子部品の実装方法において、前記アンダーフィル材を充填するとき、前記キャビティ内の空気を空気逃げ部を介して外部に逃がすことを特徴とする電子部品の実装方法である。
【0046】
(付記8)
付記8の発明は、付記7に記載の発明において、前記キャビティの開口の外側における前記メイン基板上にアンダーフィル材を塗布し、次いで前記キャビティの開口の両側における前記キャビティ基板の2辺の外側における前記メイン基板上にアンダーフィル材をそれぞれ塗布することを特徴とする電子部品の実装方法である。
【0047】
(付記9)
付記9の発明は、付記8に記載の発明において、前記キャビティの開口の外側における前記メイン基板上にアンダーフィル材を塗布して、10秒以上経過した後に、前記キャビティの開口の両側における前記キャビティ基板の2辺の外側における前記メイン基板上にアンダーフィル材をそれぞれ塗布することを特徴とする電子部品の実装方法である。
【符号の説明】
【0048】
1 メイン基板
11 第1の半導体部品
13 半田バンプ
21 キャビティ基板
22 キャビティ
23 開口部
24 空気逃げ用貫通孔
25 半田バンプ
26 アンダーフィル材
31 第2の半導体部品
33 半田バンプ
41 チップ部品
42 半田バンプ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メイン基板と、前記メイン基板上に実装された第1の電子部品と、前記第1の電子部品を含む前記メイン基板上に実装され、前記第1の電子部品を収容し、且つ、一部が側方に開口されたキャビティを有するキャビティ基板と、前記キャビティ基板上に実装された第2の電子部品と、前記第1の電子部品と前記メイン基板との間および前記キャビティ基板と前記第1の電子部品を含む前記メイン基板との間に少なくとも設けられたアンダーフィル材とを備え、前記アンダーフィル材が形成されるとき、前記キャビティ内の空気を外部に逃がすための空気逃げ部を有することを特徴とする電子部品の実装構造。
【請求項2】
請求項1に記載の発明において、前記空気逃げ部は、前記キャビティの開口とは前記第1の電子部品を挟んで反対側における前記キャビティに対応する部分における前記キャビティ基板に設けられた空気逃げ用貫通孔からなることを特徴とする電子部品の実装構造。
【請求項3】
請求項1に記載の発明において、前記空気逃げ部は、前記キャビティの開口とは前記第1の電子部品を挟んで反対側における前記キャビティに対応する部分における前記メイン基板に設けられた空気逃げ用貫通孔からなることを特徴とする電子部品の実装構造。
【請求項4】
請求項1に記載の発明において、前記空気逃げ部は、前記キャビティの開口とは前記第1の電子部品を挟んで反対側における前記キャビティに対応する部分における前記キャビティ基板下に半田バンプが設けられていない部分からなる空気逃げ用通路からなることを特徴とする電子部品の実装構造。
【請求項5】
請求項4に記載の発明において、前記空気逃げ部は、さらに、前記空気逃げ用通路に対応する部分における前記キャビティ基板の下面側に設けられた空気逃げ用溝を含むことを特徴とする電子部品の実装構造。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の発明において、前記アンダーフィル材は、前記キャビティ基板の周囲に気泡を含まないでフィレット状に形成されていることを特徴とする電子部品の実装構造。
【請求項7】
メイン基板上に第1の電子部品を実装し、前記第1の電子部品を含む前記メイン基板上に、前記第1の電子部品を収容し、且つ、一部が側方に開口されたキャビティを有するキャビティ基板を実装し、前記第1の電子部品と前記メイン基板との間および前記キャビティ基板と前記第1の電子部品を含む前記メイン基板との間に少なくともアンダーフィル材を充填する電子部品の実装方法において、前記アンダーフィル材を充填するとき、前記キャビティ内の空気を空気逃げ部を介して外部に逃がすことを特徴とする電子部品の実装方法。
【請求項8】
請求項7に記載の発明において、前記キャビティの開口の外側における前記メイン基板上にアンダーフィル材を塗布し、次いで前記キャビティの開口の両側における前記キャビティ基板の2辺の外側における前記メイン基板上にアンダーフィル材をそれぞれ塗布することを特徴とする電子部品の実装方法。
【請求項9】
請求項8に記載の発明において、前記キャビティの開口の外側における前記メイン基板上にアンダーフィル材を塗布して、10秒以上経過した後に、前記キャビティの開口の両側における前記キャビティ基板の2辺の外側における前記メイン基板上にアンダーフィル材をそれぞれ塗布することを特徴とする電子部品の実装方法。
【請求項1】
メイン基板と、前記メイン基板上に実装された第1の電子部品と、前記第1の電子部品を含む前記メイン基板上に実装され、前記第1の電子部品を収容し、且つ、一部が側方に開口されたキャビティを有するキャビティ基板と、前記キャビティ基板上に実装された第2の電子部品と、前記第1の電子部品と前記メイン基板との間および前記キャビティ基板と前記第1の電子部品を含む前記メイン基板との間に少なくとも設けられたアンダーフィル材とを備え、前記アンダーフィル材が形成されるとき、前記キャビティ内の空気を外部に逃がすための空気逃げ部を有することを特徴とする電子部品の実装構造。
【請求項2】
請求項1に記載の発明において、前記空気逃げ部は、前記キャビティの開口とは前記第1の電子部品を挟んで反対側における前記キャビティに対応する部分における前記キャビティ基板に設けられた空気逃げ用貫通孔からなることを特徴とする電子部品の実装構造。
【請求項3】
請求項1に記載の発明において、前記空気逃げ部は、前記キャビティの開口とは前記第1の電子部品を挟んで反対側における前記キャビティに対応する部分における前記メイン基板に設けられた空気逃げ用貫通孔からなることを特徴とする電子部品の実装構造。
【請求項4】
請求項1に記載の発明において、前記空気逃げ部は、前記キャビティの開口とは前記第1の電子部品を挟んで反対側における前記キャビティに対応する部分における前記キャビティ基板下に半田バンプが設けられていない部分からなる空気逃げ用通路からなることを特徴とする電子部品の実装構造。
【請求項5】
請求項4に記載の発明において、前記空気逃げ部は、さらに、前記空気逃げ用通路に対応する部分における前記キャビティ基板の下面側に設けられた空気逃げ用溝を含むことを特徴とする電子部品の実装構造。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の発明において、前記アンダーフィル材は、前記キャビティ基板の周囲に気泡を含まないでフィレット状に形成されていることを特徴とする電子部品の実装構造。
【請求項7】
メイン基板上に第1の電子部品を実装し、前記第1の電子部品を含む前記メイン基板上に、前記第1の電子部品を収容し、且つ、一部が側方に開口されたキャビティを有するキャビティ基板を実装し、前記第1の電子部品と前記メイン基板との間および前記キャビティ基板と前記第1の電子部品を含む前記メイン基板との間に少なくともアンダーフィル材を充填する電子部品の実装方法において、前記アンダーフィル材を充填するとき、前記キャビティ内の空気を空気逃げ部を介して外部に逃がすことを特徴とする電子部品の実装方法。
【請求項8】
請求項7に記載の発明において、前記キャビティの開口の外側における前記メイン基板上にアンダーフィル材を塗布し、次いで前記キャビティの開口の両側における前記キャビティ基板の2辺の外側における前記メイン基板上にアンダーフィル材をそれぞれ塗布することを特徴とする電子部品の実装方法。
【請求項9】
請求項8に記載の発明において、前記キャビティの開口の外側における前記メイン基板上にアンダーフィル材を塗布して、10秒以上経過した後に、前記キャビティの開口の両側における前記キャビティ基板の2辺の外側における前記メイン基板上にアンダーフィル材をそれぞれ塗布することを特徴とする電子部品の実装方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【公開番号】特開2013−62274(P2013−62274A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−197933(P2011−197933)
【出願日】平成23年9月12日(2011.9.12)
【出願人】(310006855)NECカシオモバイルコミュニケーションズ株式会社 (1,081)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月12日(2011.9.12)
【出願人】(310006855)NECカシオモバイルコミュニケーションズ株式会社 (1,081)
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