説明

電子部品内蔵基板、電子回路モジュール、および電子部品内蔵基板の製造方法

【課題】 歩留まりが良く、生産性の良い電子部品内蔵基板を提供する。
【解決手段】 本発明の電子部品内蔵基板100は、両主面間を貫通して形成された収納部1aを有するコア基板1と、収納部1aに収納された電子部品3と、収納部1aを含んで、コア基板1の一方の主面に形成された樹脂層5と、樹脂層5の表面と電子部品3の端子電極とを接続する導電ビア6aと、コア基板1の樹脂層5が形成されていない側の主面に接合された接続層8と、接続層8の両主面間を接続する導電ビア8aと、接続層8のコア基板1に接合されていない側の主面に接合された配線基板9と、を備えた構造とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コア基板の内部に電子部品を内蔵した電子部品内蔵基板に関し、さらに詳しくは、従来よりも生産性の良い電子部品内蔵基板に関する。また、本発明は、本発明の電子部品内蔵基板の主面に、さらに電子部品を実装してなる電子回路モジュールに関する。さらに、本発明は、電子部品内蔵基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近時、電子機器の小型化が進み、電子機器の内部において、基板に電子部品を高密度に実装することが求められている。そして、高密度実装に応える技術として、たとえば特許文献1(特開2009−164287号公報)に開示されるような、内部に電子部品を内蔵した電子部品内蔵基板が実用化されている。
【0003】
図9(A)、(B)に、特許文献1に開示された電子部品内蔵基板600を示す。なお、図9(A)は電子部品内蔵基板600を示す断面図、図9(B)は電子部品内蔵基板600を製造する際に実施される1つの工程を示す断面図である。
【0004】
図9(A)に示すように、電子部品内蔵基板600は、複数のプリント配線板101a〜101dを、接着剤層102を介して一体化し、内部に電子部品103(たとえば半導体チップ)を内蔵させた構造からなる。電子部品内蔵基板600は、さらに、内部に導電ビア104、内部配線電極105が形成され、表面に接続電極106が形成されている。
【0005】
部品内蔵基板600は、たとえば、次の方法により製造される。
【0006】
まず、図9(B)に示すように、プリント配線板101a〜101dを準備する。
【0007】
プリント配線板101aは、上側の主面に接続電極106が形成され、下側の主面にたとえば熱硬化性樹脂などからなる接着剤層102aが形成され、両主面間を貫通して形成されたビア孔の内部に導電性ペースト104aが充填され、さらに下側の主面に電子部品103が仮留めされている。
【0008】
プリント配線板101bは、上側の主面に内部配線電極105が形成され、下側の主面に接着剤層102bが形成され、両主面間を貫通して形成されたビア孔の内部に導電性ペースト104bが充填され、さらに中央に電子部品103を収容するための開口が形成されている。
【0009】
プリント配線板101cは、上側の主面に接着剤層102cが形成され、下側の主面に内部配線電極105が形成され、両主面間を貫通して形成されたビア孔の内部に導電性ペースト104cが充填され、さらに中央に電子部品103を収容するための開口が形成されている。
【0010】
プリント配線板101dは、上側の主面に接着剤層102dが形成され、下側の主面に接続電極106が形成され、両主面間を貫通して形成されたビア孔の内部に導電性ペースト104dが充填されている。
【0011】
次に、これらのプリント配線板101a〜101dを順に積層する。
【0012】
次に、積層されたプリント配線板101a〜101dを、加熱しながら加圧する。この結果、接着剤層102a〜102dが一体化して接着剤層102が形成され、また導電性ペースト104a〜104dの所定のものどうしが一体化して導電ビア104が形成され、内部に電子部品103が内蔵された電子部品内蔵基板600が完成する。
【0013】
この電子部品内蔵基板600は、さらに主面に別の電子部品を実装することにより、電子部品が高密度に実装された、所定の電子回路を有する電子回路モジュールとして使用することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2009−164287号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら、上述した従来の電子部品内蔵基板は、歩留まりが悪く、生産性が悪いという問題があった。
【0016】
すなわち、上述した従来の電子部品内蔵基板は、導電ビア104を形成するための導電性ペースト104a〜104dの接続個所が多く、しかも、接着剤層102a〜102dの形成された複数のプリント基板101a〜101dを積層し、加熱しながら加圧して一体化して製造するものであるため、製造工程において、プリント基板がずれてしまうことがあった。そして、プリント基板がずれると、多くある導電性ペースト104a〜104dの接続個所のいずれかで接続が適正におこなわれず、導電ビア104に断線などの不具合が発生しやすかった。
【0017】
このように、導電ビア104に1個所でも断線などの不具合が発生すると、原則として、電子部品内蔵基板600は不良品となる。そして、この断線などの不具合は修正が難しく、しかも、内蔵された電子部品103の周囲には一体化した接着剤層102が形成されており、電子部品103を取り出して再利用することができないため、電子部品内蔵基板600を、内蔵された電子部品103ごと廃棄せざるを得なかった。この電子部品内蔵基板600の廃棄は、内蔵された電子部品103が半導体などの高価な電子部品である場合に、特に損失が大きかった。
【0018】
そして、このような不具合を発生させないため、プリント基板101a〜101dの積層、加熱、加圧は、慎重にゆっくりおこなわなければならず、製造に要する時間の短縮化の妨げとなっていた。
【0019】
このように、上述した従来の電子部品内蔵基板は、歩留まりが悪く、生産性が悪いという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明は、上述した従来の電子部品内蔵基板の有する問題を解決するためになされたものである。
【0021】
その手段として、本発明の電子部品内蔵基板は、両主面間を貫通して形成された収納部を有するコア基板と、収納部に収納された、少なくとも1対の端子電極を有する電子部品と、電子部品を収納した収納部を含んで、コア基板の一方の主面に形成された樹脂層と、樹脂層に形成された、樹脂層の表面と電子部品の端子電極とを接続する導電ビアと、コア基板の樹脂層が形成されていない側の主面に接合された接続層と、接続層の両主面間を貫通して形成された、接続層の両主面間を接続する導電ビアと、接続層のコア基板に接合されていない側の主面に接合された配線基板と、を備えた構造とした。
【0022】
また、本発明の電子回路モジュールは、上述した本発明の電子部品内蔵基板の少なくとも一方の主面に、さらに別の電子部品を実装した構造とした。
【0023】
さらに、本発明の電子部品内蔵基板の製造方法は、上述した本発明の電子部品内蔵基板の製造に適した工程からなる。
【発明の効果】
【0024】
本発明の電子部品内蔵基板は、上述した構造からなるため、電子部品内蔵基板内の電気的接続が確実であり、不良品が発生する確率が低い。すなわち、接続層は両主面間を接続する導電ビアを有するが、接続層はコア基板と配線基板とを接合するために設けるものであり、単層で、薄い層とすることができるため、ここで断線などの不都合が発生することはほとんどない。また、配線基板も内部に導電ビアを有するが、配線基板としては、市場に広く流通している配線基板を用い、しかも不良品でないことを確認したうえで使用することができるため、配線基板の不具合により本発明の電子部品内蔵基板が不良品になる可能性は極めて低い。
【0025】
しかも、本発明の電子部品内蔵基板においては、製造において、格段に時間をかけて慎重におこなわなければならない工程がないため、製造に要する時間の短縮が可能である。
【0026】
このように、本発明によれば、歩留まりが良く、生産性の良い電子部品内蔵基板を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】図1(A)〜(C)は、本発明の第1実施形態にかかる電子部品内蔵基板100の製造方法において実施される各工程を示す断面図である。
【図2】図2(D)〜(F)は、図1の続きであり、本発明の第1実施形態にかかる電子部品内蔵基板100の製造方法において実施される各工程を示す断面図である。
【図3】図3(G)〜(I)は、図2の続きであり、本発明の第1実施形態にかかる電子部品内蔵基板100の製造方法において実施される各工程を示す断面図である。
【図4】図4(J)、(K)は、図3の続きであり、本発明の第1実施形態にかかる電子部品内蔵基板100の製造方法において実施される各工程を示す断面図である。なお、図4(K)は、完成した電子部品内蔵基板100を示す。
【図5】図5(A)〜(C)は、本発明の第2実施形態にかかる電子部品内蔵基板200の製造方法において実施される各工程を示す断面図である。
【図6】本発明の第3実施形態にかかる電子部品内蔵基板300を示す断面図である。
【図7】本発明の第4実施形態にかかる電子部品内蔵基板400を示す断面図である。
【図8】本発明の第5実施形態にかかる電子回路モジュール500を示す断面図である。
【図9】従来の電子部品内蔵基板600を示し、図9(A)は断面図、図9(B)は製造する際に実施される1つの工程を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面とともに、本発明を実施するための形態について説明する。
[第1実施形態]
図1(A)〜図4(K)に、本発明の第1実施形態にかかる電子部品内蔵基板100を示す。ただし、図1(A)〜図4(K)は、電子部品内蔵基板100の製造方法において実施される各工程を示す断面図である。なお、図4(K)は、完成した電子部品内蔵基板100を示している。
【0029】
まず、図4(K)を参照して、第1実施形態にかかる電子部品内蔵基板100の構造について説明する。
【0030】
電子部品内蔵基板100は、コア基板1を備える。コア基板1は、たとえば、Cu、Cu合金などの金属の薄板からなり、両主面を貫通して形成された、収納部1aと配線孔1bとを有している。そして、コア基板1の収納部1aには、両端に1対の端子電極を有する電子部品3が収納されている。また、コア基板1の配線孔1bには、コア基板1と同じ材質からなり、コア基板1の両主面間を接続する、柱状金属体4が配置されている。なお、図においては、電子部品3として、両端に1対の端子電極を有するコンデンサを示しているが、電子部品3はコンデンサには限られず、抵抗、コイル、半導体など、種々の種類の電子部品を用いることができる。また、電子部品3の有する端子電極の個数は1対には限られず、それよりも多くても良い。
【0031】
電子部品内蔵基板100のコア基板1の一方の主面には、収納部1aと配線孔1bとを含んで、樹脂層5が形成されている。樹脂層5は、たとえば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂などからなる。
【0032】
樹脂層5には、樹脂層5の表面から電子部品3の端子電極に至る導電ビア6aと、樹脂層5の表面から柱状金属体4に至る導電ビア6bとが形成されている。そして、樹脂層5の表面には、所定のパターンからなる接続電極7が形成され、導電ビア6a、6bと接続電極7とが接続されている。導電ビア6a、6bおよび接続電極7の材質は任意であるが、たとえば、Cu、Ag、Niなどを用いることができる。
【0033】
電子部品内蔵基板100は、コア基板1の、樹脂層5が形成されていない側の主面に、接続層8が接合されている。接続層8は、たとえば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂などからなり、その両主面間を貫通して、両主面間を接続する導電ビア8aが形成されている。導電ビア8aの材質は任意であり、たとえば、Cu、Ag、Niなどを用いることができる。導電ビア8aは、コア基板1と接続層8との接合面において、電子部品3の端子電極や、柱状金属体4と接続されている。
【0034】
電子部品内蔵基板100は、接続層8の、コア基板1が接合されていない側の主面に、配線基板9が接合されている。配線基板9は、たとえば、複数のガラスエポキシ基板を積層したものからなり、両主面に接続電極9aが形成され、層間に内部配線電極9bが形成され、内部に導電ビア9cが形成されている。接続電極9a、内部配線電極9b、導電ビア9cの材質は任意であり、たとえば、Cu、Ag、Niなどを用いることができる。そして、配線基板9の、接続層8と接合された側の主面に形成された接続電極9aは、接続層8と配線基板9との接合面において、接続層8に形成された導電ビア8aと接続されている。
【0035】
かかる構造からなるからなる電子部品内蔵基板100は、たとえば、次の方法により製造される。
【0036】
まず、図1(A)に示すように、コア基板1を準備する。コア基板1は、上述のとおり、たとえば、Cu、Cu合金などの金属の薄板からなる。コア基板1は、電子部品3を収納するのに十分な厚みがあれば良い。
【0037】
次に、図1(B)に示すように、コア基板1の一方の主面に、フィルム2を貼る。フィルム2は、次に説明する、コア基板1をエッチングする際の薬液に浸食されない材質からなる。本実施形態においては、フィルム2には、古河電気工業株式会社製、UCシリーズ(ウエハダイシング用UVテープ)、UC‐353EP‐110を用いた。なお、これに代えて、日東電工株式会社製、リバアルファ(商品名)を用いることもできる。なお、フィルム2の、コア基板1への貼着面は、ある程度、強力な粘着性を有していることが好ましい。後述するとおり、電子部品3や柱状金属体4をフィルム2に固定するのに、フィルム2の有する粘着性を用いることができるからである。
【0038】
次に、図1(C)に示すように、コア基板1のフィルム2が貼られていない側の主面から、コア基板1を所望のパターンにエッチングして、収納部1a、配線孔1b、さらに配線孔1b内に柱状金属体4を、それぞれ形成する。なお、エッチングにより形成された柱状金属体4は、フィルム2の有する粘着性により、フィルム2上に固定されている。エッチングは、コア基板1のフィルム2が貼られていない側の主面に、所望のパターンを有するエッチングレジスト膜を形成したうえで、コア基板1を浸食する薬液をコア基板1に塗布することによりおこなう。本実施形態においては、薬液として塩化第二鉄を用いた。なお、上述したとおり、フィルム2は、この薬液には浸食されない。
【0039】
次に、図2(D)に示すように、コア基板1の収納部1aの底に露出したフィルム2に電子部品3を固定する。電子部品3のフィルム2への固定は、フィルム2の有する粘着性によりおこなうことができる。ただし、別途、接着剤を用いて、電子部品3をフィルム2へ固定するようにしても良い。
【0040】
次に、図2(E)に示すように、電子部品3が収納された収納部1a、および柱状金属体4が形成された配線孔1bを含んで、コア基板1のフィルム2が貼られていない側の主面に樹脂層5を形成する。樹脂層5の材質には、たとえば、熱硬化性または光硬化性の、エポキシ樹脂やフェノール樹脂を用いることができる。樹脂層5は、加熱されて半溶融状態になった樹脂シートをコア基板1上に配置し、コア基板1上を流動させて平坦化させるか、あるいは液状樹脂をコア基板1上に塗布し、コア基板1上を流動させて平坦化させた後に、加熱、または光照射して、樹脂を硬化させて形成する。
【0041】
次に、図2(F)に示すように、樹脂層5に、樹脂層5の表面から電子部品3の端子電極に至る導電ビア用のビア孔6a’と、樹脂層5の表面から柱状金属体4に至る導電ビア用のビア孔6b’とを形成する。ビア孔6a’、6b’は、たとえば、CO2レーザ装置により、レーザ光を照射して形成することができる。
【0042】
次に、図3(G)に示すように、ビア孔6a’、6b’に導電性物質を充填して、導電ビア6a、6bを形成するとともに、樹脂層5の表面全面に、導電層7’を形成する。導電ビア6a、6bおよび導電層7’は、たとえば、ビア孔6a’、6b’を含む樹脂層5の表面全面に、まず、無電解Cuめっきを施し、続いて電解Cuめっきを施すことにより形成することができる。
【0043】
次に、図3(H)に示すように、樹脂層5の表面全面に形成された導電層7’を、所望のパターンにエッチングして、複数の接続電極7を形成する。なお、導電ビア6a、6bは、所定の接続電極7と接続された状態となる。
【0044】
次に、図3(I)に示すように、コア基板1から、フィルム2を剥がす。
【0045】
次に、図4(J)に示すように、コア基板1の下側の主面に、半硬化状態の樹脂シート8’を介して、配線基板9を積層する。樹脂シート8’は、熱硬化性のエポキシ樹脂、フェノール樹脂などからなり、両主面間を貫通して形成されたビア孔に、導電性ペースト8a’が充填されている。配線基板9は、上述したとおり、予め、両主面に接続電極9aが形成され、層間に内部配線電極9bが形成され、内部に導電ビア9cが形成されている。
【0046】
最後に、図4(K)に示すように、全体を加圧した状態で加熱し、樹脂シート8’を硬化させて接続層8を形成し、導電性ペースト8a’を硬化させて導電ビア8aを形成し、本発明の第1実施形態にかかる電子部品内蔵基板100を完成させる。なお、導電ビア8aは、接続層8のコア基板1側において、電子部品3の端子電極や柱状金属体4と接続され、接続層8の配線基板9側において、配線基板9に形成された接続電極9aと接続される。
【0047】
以上、本発明の第1実施形態にかかる電子部品内蔵基板100の構造、およびその製造方法の一例について説明した。しかしながら、本発明が上述の内容に限定されることはなく、発明の主旨に沿って種々の変形をなすことができる。たとえば、電子部品内蔵基板100では、配線基板9として、複数のガラスエポキシ基板が積層されたものを用いたが、ガラスエポキシ基板ではなくセラミック基板を用いても良く、また、複数の基板を積層したものではなく単層の基板からなるものであっても良い。また、層間に内部配線電極9bは必ずしも必要ではなく、両主面に形成された接続電極9a間を、導電ビア9cで直接に接続するようにしても良い。
[第2実施形態]
図5に、本発明の第2実施形態にかかる電子部品内蔵基板200を示す。ただし、図5(A)〜(C)は、電子部品内蔵基板200の製造方法において実施される各工程を示す断面図である。
【0048】
第2実施形態では、図1(A)〜図4(K)に示した、第1実施形態にかかる電子部品内蔵基板100の製造方法の工程の一部に変更を加えた。
【0049】
第2実施形態は、第1実施形態において図2(F)に示した、樹脂層5に、樹脂層5の表面から電子部品3の端子電極に至る導電ビア用のビア孔6a’と、樹脂層5の表面から柱状金属体4に至る導電ビア用のビア孔6b’とを形成するところまでは、第1実施形態と同じ工程を用いる。
【0050】
第2実施形態においては、続いて、図5(A)に示すように、ビア孔6a’、6b’に、それぞれ、導電ペースト16a’、16b’を充填する。
【0051】
次に、図5(B)に示すように、樹脂層5の表面全面に、金属箔17’を貼着する。金属箔17’の貼着は、全体を加熱しながら、金属箔17’を樹脂層5の表面に圧接することによりおこなうことができる。なお、このときの加熱により、導電ペースト16a’、16b’を硬化させ、導電ビア16a、16bを形成することができる。
【0052】
次に、図5(C)に示すように、樹脂層5に貼着された金属箔17’を所望のパターンにエッチングして、複数の接続電極7を形成する。
【0053】
第2実施形態においては、それ以降の工程は、第1実施形態と同じ工程を用い、電子部品内蔵基板200を完成させる。
【0054】
第2実施形態によれば、無電解めっきや電解めっきをおこなうことなく、電子部品内蔵基板200を製造することができる。
[第3実施形態]
図6に、本発明の第3実施形態にかかる電子部品内蔵基板300を示す。ただし、図6は、電子部品内蔵基板300の断面図である。
【0055】
第3実施形態にかかる電子部品内蔵基板300は、コア基板1の下側の主面に、接続層8を介して、低温焼成セラミック(LTCC)からなり、両主面に接続電極19aが形成され、内部に内部配線電極19bと導電ビア19cとが形成された、配線基板19が接合されている。電子部品内蔵基板300の他の構成は、図4(K)に示した、第1実施形態にかかる電子部品内蔵基板100と同様である。
【0056】
低温焼成セラミックからなる配線基板19は、従来のセラミックよりも低温で焼成することが可能であり、導体抵抗の低い金属、たとえばCuとの同時焼成が可能である。したがって、電子部品内蔵基板300は、接続電極19a、内部配線電極19b、導電ビア19cの材料に導体抵抗の低い金属を用いることが可能であり、電気的特性の向上をはかることが可能になっている。
[第4実施形態]
図7に、本発明の第4実施形態にかかる電子部品内蔵基板400を示す。ただし、図7は、電子部品内蔵基板400の断面図である。
【0057】
電子部品内蔵基板400は、樹脂層5の表面に形成された接続電極7と、接続層8に形成された導電ビア8aとの接続を、樹脂層5を貫通して形成された導電ビア26bによっておこなっている。電子部品内蔵基板400の他の構成は、図4(K)に示した、第1実施形態にかかる電子部品内蔵基板100と同様である。
【0058】
導電ビア26bは、樹脂層5の表面から電子部品3の端子電極に至る導電ビア6aを形成する際に、同時に、樹脂層5の表面から、フィルム(図示せず)の貼着された樹脂層5の裏面に至るビア孔を形成し、そのビア孔に導電性物質を充填することにより形成することができる。
【0059】
第1実施形態にかかる電子部品内蔵基板100では、図4(K)に示すように、この部分の接続を、導電ビア6bと柱状金属体4とでおこなっているが、コア基板1の厚みが大きい場合などは、柱状金属体4の形成は必ずしも容易ではない。柱状金属体4の形成が容易でない場合は、第4実施形態にかかる電子部品内蔵基板400のように、この部分の接続を、導電ビア26bによりおこなうことができる
[第5実施形態]
図8に、本発明の第5実施形態にかかる電子回路モジュール500を示す。ただし、図8は、電子回路モジュール500の断面図である。
【0060】
電子回路モジュール500は、第1実施形態にかかる電子部品内蔵基板100(図4(K)参照)の主面に、さらに別の電子部品13が実装されて構成されている。具体的には、電子部品内蔵基板100の所定の接続電極7に、電子部品13がはんだにより固定されている。
【0061】
このように、本発明にかかる電子部品内蔵基板に、さらに別の電子部品を実装して電子回路モジュールを構成することにより、より電子部品を高密度に実装し、かつ所望の電子回路を得ることができる。なお、電子回路モジュール500のように、一方の主面のみに電子部品13を実装するのではなく、両方の主面に電子部品を実装すれば、より実装の高密度化をはかることができる。
【符号の説明】
【0062】
1:コア基板
2:フィルム
3、13:電子部品
4:柱状金属体
5:樹脂層
6a、6b、16a、16b、26b:導電ビア(樹脂層5内に形成されたもの)
7:接続電極
8:接続層
8a:導電ビア(接続層8内に形成されたもの)
9、19:配線基板
9a、19a:接続電極
9b、19b:内部配線電極
9c、19c:導電ビア(配線基板9、19内に形成されたもの)
100、200、300、400:電子部品内蔵基板
500:電子回路モジュール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
両主面間を貫通して形成された収納部を有するコア基板と、
前記収納部に収納された、少なくとも1対の端子電極を有する電子部品と、
前記電子部品を収納した前記収納部を含んで、前記コア基板の一方の主面に形成された樹脂層と、
前記樹脂層に形成された、前記樹脂層の表面と前記電子部品の前記端子電極とを接続する導電ビアと、
前記コア基板の前記樹脂層が形成されていない側の主面に接合された接続層と、
前記接続層の両主面間を貫通して形成された、前記接続層の両主面間を接続する導電ビアと、
前記接続層の前記コア基板に接合されていない側の主面に接合された配線基板と、を備えたことを特徴とする電子部品内蔵基板。
【請求項2】
前記コア基板が、金属からなることを特徴とする、請求項1に記載された電子部品内蔵基板。
【請求項3】
前記金属が、Cu、またはCu合金であることを特徴とする、請求項2に記載された電子部品内蔵基板。
【請求項4】
前記コア基板が両主面を貫通して形成された配線孔をさらに有し、当該配線孔内には前記コア基板と同じ材質からなる柱状金属体が配置され、かつ当該柱状金属体の周囲には前記樹脂層が形成され、当該柱状金属体が前記コア基板の両主面間を接続する配線として機能することを特徴とする、請求項2または3に記載された電子部品内蔵基板。
【請求項5】
前記配線基板が、両主面に接続電極が形成された、プリント基板、または、セラミック基板であることを特徴とする、請求項1ないし4のいずれか1項に記載された電子部品内蔵基板。
【請求項6】
前記セラミック基板が、低温焼成セラミックからなることを特徴とする、請求項5に記載された電子部品内蔵基板。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか1項に記載された電子部品内蔵基板と、当該電子部品の少なくとも一方の主面に実装された電子部品とを備えてなることを特徴とする電子回路モジュール。
【請求項8】
コア基板を準備する工程と、
前記コア基板の一方の主面にフィルムを貼る工程と、
前記コア基板の前記フィルムが貼られていない側の主面から、前記コア基板は浸食するが、前記フィルムは浸食しない薬液を用いてエッチングをおこない、前記コア基板を貫通した収納部を形成する工程と、
前記コア基板の前記収納部の底に露出した前記フィルムに、少なくとも1対の端子電極を有する電子部品を固定し、前記電子部品を前記収納部に収納する工程と、
前記電子部品が収納された前記収納部を含んで、前記コア基板の前記フィルムが貼られていない側の主面に樹脂層を形成する工程と、
前記樹脂層に、前記樹脂層の表面と前記電子部品の前記端子電極とを接続するビア導体を形成する工程と、
前記フィルムを前記コア基板の主面から剥がす工程と、
前記フィルムを剥がした前記コア基板の主面に、両主面間を接続する導電ビアを有する接続層を接合する工程と、
前記接続層の前記コア基板に接合されていない側の主面に、配線基板を接合する工程と、を備えたことを特徴とする電子部品内蔵基板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−216635(P2011−216635A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−82717(P2010−82717)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(000006231)株式会社村田製作所 (3,635)
【Fターム(参考)】