電子部品及び反射波キャンセル方法
【課題】電子部品において、抑止すべき反射波を抑止すること。
【解決手段】電子部品1は、ドライバ2、記憶部3、反射波検出部4及び制御部5を有する。ドライバ2は、受信装置に対して、信号を出力する。記憶部3は、ドライバ2が出力した信号が対象とする図示しない受信装置で反射されてドライバ2に戻る反射波に関する反射情報を記憶する。反射波検出部4は、反射情報を基に反射波を測定する測定時間を決定し、測定時間に基づいて反射波の到達時間と反射波の振幅ピーク値を測定する。制御部5は、到達時間と振幅ピーク値から、受信装置における反射波の影響を抑止する反射波キャンセル情報を抽出し、ドライバ2に反射波キャンセル情報を設定する。
【解決手段】電子部品1は、ドライバ2、記憶部3、反射波検出部4及び制御部5を有する。ドライバ2は、受信装置に対して、信号を出力する。記憶部3は、ドライバ2が出力した信号が対象とする図示しない受信装置で反射されてドライバ2に戻る反射波に関する反射情報を記憶する。反射波検出部4は、反射情報を基に反射波を測定する測定時間を決定し、測定時間に基づいて反射波の到達時間と反射波の振幅ピーク値を測定する。制御部5は、到達時間と振幅ピーク値から、受信装置における反射波の影響を抑止する反射波キャンセル情報を抽出し、ドライバ2に反射波キャンセル情報を設定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電子部品及び反射波キャンセル方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子部品の一つに、反射を抑制するための反射抑制成分を生成する反射抑制成分生成回路と、その反射抑制成分と、現時点で受信側に送信すべきデータとを増幅して伝送線路に出力するデータ出力回路とを備えたデータ送信回路がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、定常電流を供給する第1のトランジスタと、第1のトランジスタと同様に動作する第2のトランジスタと、入力信号の遷移時に一定時間だけ導通する接点付きエッジ検出回路と、第1及び第2のトランジスタから供給される電流を伝送線路に出力する出力バッファ回路とを備えたプリエンファシス回路がある(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
また、差動入力信号を差動電流出力に変換する第1のアンプと、ハイパスフィルタ回路と、ハイパスフィルタ回路を介した差動入力信号を差動電流出力に変換する第2のアンプと、2つの差動電流出力をそれぞれ加算して電圧変換する抵抗とを備えたプリエンファシス回路がある(例えば、特許文献3参照)。
【0005】
また、第1の電圧電流変換回路の出力端子と第2の電圧電流変換回路の出力端子とを共通に接続し、出力信号における入力信号の合成比を、第1及び第2の電圧電流変換回路の相互コンダクタンスの比によって変えることができるようにした信号合成器がある(例えば、特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2008/026289号
【特許文献2】特開2002−368600号公報
【特許文献3】特開2009−147512号公報
【特許文献4】特開2005−33492号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の電子部品では、抑止すべき反射波とそれ以外の反射波や外来ノイズとを判別することができないため、抑止すべき反射波を抑止することができる信号を生成することができない。そのため、抑止すべき反射波を抑止することができないという問題点があった。
【0008】
抑止すべき反射波を抑止することができる電子部品及び反射波キャンセル方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この電子部品は、ドライバ、記憶部、反射波検出部及び制御部を有する。ドライバは、受信装置に対して、信号を出力する。記憶部は、ドライバが出力した信号が受信装置で反射されてドライバに戻る反射波に関する反射情報を記憶する。反射波検出部は、反射情報を基に反射波を測定する時間を決定し、時間に基づいて反射波の到達時間と反射波の振幅ピーク値を測定する。制御部は、到達時間と振幅ピーク値から、受信装置における反射波の影響を抑止する反射波キャンセル情報を抽出し、ドライバに反射波キャンセル情報を設定する。
【発明の効果】
【0010】
この電子部品及び反射波キャンセル方法によれば、抑止すべき反射波を抑止することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、実施例1にかかる電子部品を示すブロック図である。
【図2】図2は、実施例1にかかる電子部品における信号の流れを示すブロック図である。
【図3】図3は、実施例1にかかる反射波キャンセル方法を示すフローチャートである。
【図4】図4は、実施例1にかかる電子部品を適用したシステムの一例を示すブロック図である。
【図5】図5は、図4に示すシステムにおいて受信装置Aで反射波を抑止しない場合の波形を説明する波形図である。
【図6】図6は、図4に示すシステムにおいて受信装置Aで反射波を抑止した場合の波形を説明する波形図である。
【図7】図7は、実施例2にかかる電子部品を示すブロック図である。
【図8】図8は、実施例2にかかる電子部品における信号の流れを示すブロック図である。
【図9】図9は、実施例2にかかる反射波キャンセル情報の一例を示す図表である。
【図10】図10は、実施例2にかかる振幅ピーク値検出部の一例を示すブロック図である。
【図11】図11は、実施例2にかかる振幅ピーク値検出部の一例の動作を説明する図である。
【図12】図12は、実施例2にかかる反射波到達時間検出部の一例を示すブロック図である。
【図13】図13は、実施例2にかかる反射波到達時間検出部の一例の動作を説明する図である。
【図14】図14は、実施例2にかかるディレイ素子の一例を示すブロック図である。
【図15】図15は、実施例2にかかるパルス生成部の一例を示すブロック図である。
【図16】図16は、実施例2にかかるパルス生成部の一例の動作を説明する図である。
【図17】図17は、実施例2にかかる加算部の一例を示すブロック図である。
【図18】図18は、実施例2にかかる電子部品の全体の動作を説明するフローチャートである。
【図19】図19は、実施例2にかかる電子部品における反射波キャンセル情報の抽出及び設定の動作を説明するフローチャートである。
【図20】図20は、マザーボードの一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に添付図面を参照して、この電子部品及び反射波キャンセル方法の好適な実施の形態を詳細に説明する。以下の各実施例の説明においては、同様の構成要素には同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
【0013】
(実施例1)
・電子部品の説明
図1は、実施例1にかかる電子部品を示すブロック図である。図2は、実施例1にかかる電子部品における信号の流れを示すブロック図である。図1及び図2に示すように、電子部品1は、ドライバ2、記憶部3、反射波検出部4及び制御部5を有する。
【0014】
ドライバ2の入力端は、電子部品1の入力端子6に接続されている。入力端子6には、例えば電子部品1に対して信号を出力するプロセッサやプロセッサのコアなどが接続される。ドライバ2の出力端は、電子部品1の出力端子7に接続されている。出力端子7には、例えば電子部品1の出力信号を受信する受信装置が接続される。ドライバ2は、例えば入力信号に基づいて受信装置に対して信号を出力する。
【0015】
記憶部3は、ドライバ2が出力した信号が、対象とする図示しない受信装置で反射されてドライバ2に戻る反射波に関する反射情報を記憶している。反射波検出部4は、出力端子7に接続されている。反射波検出部4は、対象とする受信装置に関する反射情報を基に、対象とする図示しない受信装置からの反射波を測定する測定時間を決定する。反射波検出部4は、決定した測定時間に基づいて、対象とする図示しない受信装置からの反射波の到達時間と反射波の振幅ピーク値を測定する。
【0016】
制御部5は、ドライバ2、記憶部3及び反射波検出部4に接続されている。制御部5は、反射波検出部4が測定した反射波の到達時間と振幅ピーク値から、対象とする図示しない受信装置における反射波の影響を抑止する反射波キャンセル情報を抽出する。制御部5は、ドライバ2に、抽出した反射波キャンセル情報を設定する。
【0017】
・反射波キャンセル方法の説明
図3は、実施例1にかかる反射波キャンセル方法を示すフローチャートである。図3に示すように、電子部品1において反射波キャンセル方法が開始されると、まず、反射波検出部4は、反射情報に基づいて、反射波を測定する測定時間を決定する(ステップS1)。反射情報には、対象とする受信装置で反射されて、対象とする受信装置に対して信号を出力するドライバに戻る反射波に関する情報が含まれていてもよい。
【0018】
次いで、反射波検出部4は、ステップS1で決定された測定時間の間、対象とする受信装置で反射された反射波を測定する(ステップS2)。ステップS2では、例えば反射波の到達時間と反射波の振幅ピーク値が測定されてもよい。
【0019】
次いで、制御部5は、記憶部3から反射波キャンセル情報を抽出する。反射波キャンセル情報は、ステップS2で測定された反射波の到達時間と振幅ピーク値に基づいて抽出される。反射波キャンセル情報には、対象とする受信装置における反射波の影響を抑止する情報が含まれていてもよい。そして、制御部5は、ドライバ2に、抽出した反射波キャンセル情報を設定する(ステップS3)。
【0020】
・電子部品を適用したシステムの一例の説明
図4は、実施例1にかかる電子部品を適用したシステムの一例を示すブロック図である。図4に示すように、電子部品1の出力端子7には複数の受信装置、例えば電子部品1に近い側から順に受信装置A11、受信装置B12、受信装置C13及び受信装置D14が接続されている。ドライバ2に接続されている受信装置の数は、2個、3個または5個以上でもよい。A〜Dの各受信装置11〜14とドライバ2とは、信号を伝搬するバス配線15により相互に接続されていてもよい。バス配線15の終端には、終端抵抗16が接続されている。なお、図4においては、電子部品1の記憶部3及び制御部5が省略されている。
【0021】
図5は、図4に示すシステムにおいて受信装置Aで反射波を抑止しない場合の波形を説明する波形図である。図5において、上段はドライバ2での波形であり、下段は反射波を抑止しない場合の受信装置A11での波形である。
【0022】
図5に示すように、ドライバ2から信号21が出力されると、ドライバ2に最も近い受信装置A11で反射された反射波22がドライバ2で観測される。ここで、信号21の出力後、反射波22がドライバ2に到達するまでの時間(反射波到達時間)をTsと表し、反射波22の振幅ピーク値をVsと表すことにする。
【0023】
なお、受信装置A11よりもドライバ2から離れたB〜Dの各受信装置12〜14で反射された反射波もドライバ2に到達する可能性がある。しかし、バス配線15の配線長が長くなる分、反射波の振幅が減衰しているので、B〜Dの各受信装置12〜14で反射された反射波は、ドライバ2での波形に影響を及ぼさないとみなしてもよい。
【0024】
一方、受信装置A11では、終端抵抗16側で受信装置A11に最も近い受信装置B12で反射された反射波24が観測される。ここで、受信装置A11に信号23が到達した後、反射波24が受信装置A11に到達するまでの時間(反射波到達時間)をDaと表し、反射波24の振幅ピーク値をVaと表すことにする。
【0025】
なお、受信装置B12よりもドライバ2から離れたC及びDの各受信装置13,14で反射された反射波も受信装置A11に到達する可能性がある。しかし、上述したドライバ2での波形と同様に、配線長に応じて反射波の振幅が減衰するので、C及びDの各受信装置13,14で反射された反射波は、受信装置A11での波形に影響を及ぼさないとみなしてもよい。
【0026】
図6は、図4に示すシステムにおいて受信装置Aで反射波を抑止した場合の波形を説明する波形図である。図6において、上段はドライバ2での波形であり、下段は反射波を抑止した場合の受信装置A11での波形である。
【0027】
図6に示すように、ドライバ2は、信号21を出力した後、上述した受信装置A11に反射波24が到達するまでの反射波到達時間Da(図5参照)と同じか略同じである反射波到達時間Daが経過した時点で、信号25を出力する。信号25の極性は、受信装置B12からの反射波24の極性(図5参照)と逆である。
【0028】
信号25の振幅ピーク値Vaは、受信装置B12からの反射波24の振幅ピーク値Va(図5参照)と同じか略同じである。信号25のパルス幅Waは、受信装置B12からの反射波24のパルス幅(図5参照)と同じか略同じであってもよい。
【0029】
信号25の出力タイミング、すなわちドライバ2における信号21の出力後の反射波到達時間Daは、ドライバ2で観測される受信装置A11での反射波22に関する反射波到達時間Ts及び振幅ピーク値Vsに基づいて決定されてもよい。信号25の振幅ピーク値Vaについても同様に決定されてもよい。また、信号25のパルス幅Waについても同様に決定されてもよい。
【0030】
なお、受信装置B12において、受信装置C13で反射された反射波を抑止する場合も同様である。すなわち、受信装置A11で反射された反射波をドライバ2で測定し、反射波がドライバ2に到達するまでの反射波到達時間Ts及び反射波の振幅ピーク値Vsに基づいて、ドライバ2が、受信装置C13で反射されて受信装置B12に到達する反射波を抑止することができる信号を出力すればよい。受信装置C13において、受信装置D14で反射された反射波を抑止する場合も同様である。
【0031】
実施例1によれば、反射波検出部4は、反射波を測定する測定時間の間、ドライバ2から出力され、対象とする受信装置で反射されてドライバ2に戻る反射波を測定するので、対象とする受信装置以外の受信装置で反射された反射波や外来ノイズを測定してしまうのを防ぐことができる。つまり、対象とする受信装置以外の受信装置で反射された反射波や外来ノイズを抑止する信号を生成してしまうのを防いで、抑止すべき反射波を抑止することができる信号を生成することができる。従って、抑止すべき反射波を抑止することができる。
【0032】
(実施例2)
実施例2は、実施例1にかかる電子部品及び反射波キャンセル方法を、例えばコンピュータなどの電子機器においてデータの書き込みや読み出しの際にメモリに駆動電圧を印加するドライバ回路に適用したものである。メモリに対するドライバ回路は、例えばメモリに接続されたメモリコントローラなどのIC(Integrated Circuit、集積回路)チップに設けられていてもよいし、メモリボードが装着されるマザーボードなどの基板に設けられていてもよい。
【0033】
例えば図4に示すシステムにおいて、A〜Dの受信装置11〜14は、メモリであってもよい。バス配線15は、N個(図示例では、4個)のメモリなどの受信装置にコマンド信号やアドレス信号などの信号を伝搬する1:N分岐の配線であってもよい。メモリの一例として、例えばDDR3 SDRAM(Double Data Rate 3 Synchronous Dynamic Random Access Memory)が挙げられる。
【0034】
・電子部品の説明
図7は、実施例2にかかる電子部品を示すブロック図である。図8は、実施例2にかかる電子部品における信号の流れを示すブロック図である。図7及び図8に示すように、電子部品1は、ドライバ2、記憶部3、反射波検出部4及び制御部5の他に、タイマー8を備えている。タイマー8は、制御部5に接続されており、一定時間毎に制御部5へタイミング信号を出力する。
【0035】
反射波検出部4は、制御部5に接続されている。反射波検出部4には、制御部5からイネーブル信号が入力する。反射波検出部4は、振幅ピーク値検出部31及び反射波到達時間検出部32を備えている。振幅ピーク値検出部31及び反射波到達時間検出部32は、電子部品1の出力端子7に接続されている。振幅ピーク値検出部31及び反射波到達時間検出部32には、図示しない受信装置A11で反射されて戻ってきた反射波が出力端子7から入力する。
【0036】
振幅ピーク値検出部31は、イネーブル信号がアサートされている間、反射波の振幅のピーク値(振幅ピーク値)を検出する。振幅ピーク値検出部31は、検出値を振幅ピーク値Vsとして制御部5のレジスタ36に格納する。振幅ピーク値検出部31は、検出結果に基づいて反射波到達時間検出部32へセレクト信号を出力する。振幅ピーク値検出部31の詳細な構成については後述する。
【0037】
反射波到達時間検出部32は、振幅ピーク値検出部31及び電子部品1のクロック信号の入力端子9に接続されている。反射波到達時間検出部32には、例えば図示しないクロック生成回路からクロック信号が入力する。反射波到達時間検出部32は、制御部5からイネーブル信号がアサートされている間、クロック信号に基づいて時間を計測し、セレクト信号に基づいて反射波が反射波到達時間検出部32に到達するまでの時間を検出する。反射波到達時間検出部32は、検出値を制御部5へ出力する。反射波到達時間検出部32の詳細な構成については後述する。
【0038】
記憶部3は、制御部5に接続されている。記憶部3には、反射情報33及び反射波キャンセル情報34が記憶されている。反射情報33及び反射波キャンセル情報34は、例えば予め電子部品1の使用者により用意され、記憶部3に書き込まれていてもよい。反射情報33には、受信装置A11で反射された反射波22がドライバ2に到達するまでの時間を予測した情報が含まれている。この反射波22の到達時間の予測値は、基板の物性値及び配線条件に基づいて求められてもよい。
【0039】
例えば、バス配線15の配線導体を囲む空間の比誘電率をεで表し、光速をC(=3×108[m/s])で表すと、バス配線15を伝搬する信号の伝搬遅延Dは、次の(1)式で表される。また、ドライバ2から受信装置A11までの距離をL[m]で表すと、ドライバ2が信号21を出力してからドライバ2に反射波22が戻ってくるまでの時間t、すなわち反射波22の到達時間の予測値は、次の(2)式で表される。
【0040】
D=√ε/C ・・・(1)
t=2DL ・・・(2)
【0041】
反射波キャンセル情報34には、受信装置B12で反射されて受信装置A11で観測される可能性のある反射波24を抑止可能な信号25(図6参照)を生成するのに用いられる情報が含まれている。例えば、反射波キャンセル情報34には、受信装置A11で反射されてドライバ2で観測された反射波22の反射波到達時間Ts及び振幅ピーク値Vsと、反射波24の抑止用に生成される信号25の反射波到達時間Da及び振幅ピーク値Vaとの関係を規定した情報が含まれている(図6参照)。
【0042】
反射波キャンセル情報34には、反射波22の反射波到達時間Ts及び振幅ピーク値Vsと、反射波24の抑止用に生成される信号25のパルス幅Waとの関係を規定した情報が含まれていてもよい(図6参照)。反射波キャンセル情報34には、受信装置C13で反射されて受信装置B12で観測される可能性のある反射波、受信装置D14で反射されて受信装置C13で観測される可能性のある反射波、及び終端抵抗16で反射されて受信装置D14で観測される可能性のある反射波、のそれぞれを抑止可能な信号を生成するのに用いられる情報が含まれていてもよい。反射波キャンセル情報34の一例を図9に示す。
【0043】
図9は、実施例2にかかる反射波キャンセル情報の一例を示す図表である。図9に示すように、A〜Dの各受信装置11〜14について、種々の反射波到達時間Tsx及び振幅ピーク値Vsxの組み合わせのそれぞれに対して、反射波到達時間Dyz、振幅ピーク値Vyz及びパルス幅Wyzが規定されていてもよい。各受信装置ごとに反射波到達時間Ts及び振幅ピーク値Vsが複数ずつ設定されていることによって、電子部品1の動作中に反射波到達時間Tsや振幅ピーク値Vsなどの特性が変化しても、その変化に対応した反射波到達時間Dyz、振幅ピーク値Vyz及びパルス幅Wyzを選択することができる。
【0044】
ここで、インデックス「x」は、反射波到達時間Ts及び振幅ピーク値Vsについて幾つか(特に限定しないが、図示例では3つずつ)ある値を区別するために添えられている。インデックス「y」は、受信装置A〜Dを区別するために添えられている。例えば、図示例のように、受信装置B12で反射されて受信装置A11で観測される可能性のある反射波を抑止可能な信号を生成するのに用いられる反射波キャンセル情報34については、インデックス「y」はaで表される。インデックス「z」は、反射波到達時間Tsx及び振幅ピーク値Vsxの各組み合わせに対する値であることを区別するために添えられている。
【0045】
反射波キャンセル情報について一例を挙げると、例えば受信装置A11用の反射波キャンセル情報において、反射波到達時間Ts1、Ts2及びTs3はそれぞれ39[nsec]、40[nsec]及び41[nsec]であってもよい。39[nsec]は38.5[nsec]以上39.5[nsec]未満、40[nsec]は39.5[nsec]以上40.5[nsec]未満、41[nsec]は40.5[nsec]以上41.5[nsec]未満の範囲を有していてもよい。また、振幅ピーク値Vs1、Vs2及びVs3はそれぞれ0.3[V]、0.4[V]及び0.5[V]であってもよい。0.3[V]は0.25[V]以上0.35[V]未満、0.4[V]は0.35[V]以上0.45[V]未満、0.5[V]は0.45[V]以上0.55[V]未満の範囲を有していてもよい。
【0046】
また、反射波到達時間Da1=Da4=Da7は58.5[nsec]、Da2=Da5=Da8は60[nsec]、Da3=Da6=Da9は61.5[nsec]であってもよい。また、振幅ピーク値Va1=Va2=Va3は0.33[V]、Va4=Va5=Va6は0.44[V]、Va7=Va8=Va9は0.55[V]であってもよい。また、パルス幅Wa1=Wa2=Wa3は0.9[nsec]、Wa4=Wa5=Wa6は1[nsec]、Wa7=Wa8=Wa9は1.1[nsec]であってもよい。これらの数値は、予めシミュレーションにより求められていてもよい。
【0047】
図7及び図8において、制御部5は、演算装置35及びレジスタ36を備えている。制御部5は、反射波検出部4にイネーブル信号を出力する。制御部5は、反射波到達時間検出部32の検出値に対応する、反射波キャンセル情報34の反射波到達時間Tsxを選択し、選択した反射波到達時間Tsxを反射波到達時間Tsとしてレジスタ36に格納する。
【0048】
制御部5は、第1のスイッチ42及びドライバ2に接続されている。第1のスイッチ42は、電子部品1の入力端子6とドライバ2の入力端との間に挿入されている。制御部5は、第1のスイッチ42を介してドライバ2へテスト信号を出力する。制御部5は、第1のスイッチ42の切り替えを制御する切り替え信号を出力する。第1のスイッチ42は、制御部5からの切り替え信号に基づいて、テスト信号及び電子部品1の入力端子6からの入力信号のいずれか一方を選択してドライバ2へ供給する。
【0049】
演算装置35は、レジスタ36に格納されている反射波到達時間Ts及び振幅ピーク値Vsの組み合わせをキーにして、反射波キャンセル情報34から、対応する反射波到達時間Dyz、振幅ピーク値Vyz及びパルス幅Wyzを抽出して読み出す。演算装置35は、読み出した反射波到達時間Dyz、振幅ピーク値Vyz及びパルス幅Wyzに基づいて、反射波24を抑止する信号25(図6参照)の反射波到達時間Dyz、振幅ピーク値Vyz及びパルス幅Wyzをそれぞれ設定する信号を生成する。
【0050】
制御部5は、生成した反射波到達時間Dyzを設定する信号をドライバ2のディレイ素子39へ出力する。制御部5は、生成したパルス幅Wyzを設定する信号をドライバ2のパルス生成部40へ出力する。制御部5は、生成した振幅ピーク値Vyzを設定する信号をドライバ2の加算部41へ出力する。
【0051】
制御部5は、ドライバ2に設けられている第2のスイッチ38の開閉を制御する切り替え信号を出力する。制御部5は、ドライバ2にテスト信号を供給する際には、第1のスイッチ42をテスト信号側に切り替え、かつ第2のスイッチ38を開く。それによって、テスト信号は、ドライバ2に設けられているドライバ本体37に供給されるが、ドライバ2のディレイ素子39側には供給されない。従って、ドライバ本体37にテスト信号が供給されている間は、反射波を抑止する信号が生成されない。
【0052】
制御部5は、ドライバ2に入力端子6からの入力信号(本信号)を供給する際には、第1のスイッチ42を本信号側に切り替え、かつ第2のスイッチ38を閉じる。それによって、入力端子6からの本信号は、ドライバ2のドライバ本体37及びディレイ素子39側の両方に供給される。従って、ドライバ本体37に本信号が供給されている間は、反射波を抑止する信号が生成される。
【0053】
上述した制御部5の各機能及び各動作は、ハードウェアにより実現されてもよいし、上述した制御部5の各機能及び各動作を実現するプログラムを演算装置35が実行することにより実現されてもよい。ここでは、上述した制御部5の各機能及び各動作が、それらを実現するプログラムの実行によって実現されるとし、このプログラムを実行したことにより実現される反射波キャンセル情報の抽出及び設定の動作については後述する。当該プログラムは、例えば記憶部3に記憶されていてもよい。
【0054】
電子部品1は、電源がオンになるたび、またはリセットされるたびに、反射波検出部4で各受信装置からの反射波を検出し、本信号に対する反射波を抑止する信号の反射波到達時間Dyz、振幅ピーク値Vyz及びパルス幅Wyzの設定を行う。また、電子部品1は、タイマー8から制御部5にタイミング信号が入力するたびに、すなわち一定時間ごとに、同様の動作を行って、本信号に対する反射波を抑止する信号の反射波到達時間Dyz、振幅ピーク値Vyz及びパルス幅Wyzを補正してもよい。電子部品1の全体の動作については後述する。
【0055】
ドライバ2は、ドライバ本体37、第2のスイッチ38、ディレイ素子39、パルス生成部40及び加算部41を備えている。第2のスイッチ38は、ドライバ2の入力端に接続されている。第2のスイッチ38は、制御部5からの切り替え信号に基づいて開閉する。
【0056】
ドライバ本体37の入力端は、ドライバ2の入力端に接続されている。ドライバ本体37は、入力端子6からドライバ本体37に入力された本信号に基づいて、A〜Dの各受信装置11〜14に印加する電圧信号、例えばメモリを駆動する電圧信号を出力する。ドライバ本体37は、制御部5からドライバ本体37に入力されたテスト信号に基づいて、反射波検出部4で反射波を測定するためのテストパターンを有する信号を出力する。
【0057】
テストパターンは、立ち上がりエッジまたは立ち下がりエッジのあとに同じ信号値がある程度のビット数、続くステップ形状をした波形であってもよい。ここでは、ステップ形状が立ち上がりエッジであるとして説明する。
【0058】
ディレイ素子39は、第2のスイッチ38及び制御部5に接続されている。ディレイ素子39は、入力端子6からの本信号を、反射波到達時間Dyzに応じた分、遅延させる。ディレイ素子39の一例については後述する。
【0059】
パルス生成部40は、ディレイ素子39及び制御部5に接続されている。パルス生成部40は、ディレイ素子39で遅延した信号から、パルス幅Wyzのパルス信号を生成する。パルス生成部40の一例については後述する。
【0060】
加算部41は、ドライバ本体37の出力端、パルス生成部40及び制御部5に接続されている。加算部41は、パルス生成部40で生成されたパルス信号の振幅を振幅ピーク値Vyzに調整する。加算部41は、振幅を調整したパルス信号とドライバ本体37の出力信号とを加算して電子部品1の出力端子7へ出力する。加算部41の一例については後述する。
【0061】
・振幅ピーク値検出部の一例
図10は、実施例2にかかる振幅ピーク値検出部の一例を示すブロック図である。図10に示すように、振幅ピーク値検出部31は、例えば複数のコンパレータ51a〜51d、複数のSRラッチ回路52a〜52d、複数のアンド回路53a〜53d及びデコーダ54を備えている。
【0062】
コンパレータ51a〜51d、SRラッチ回路52a〜52d及びアンド回路53a〜53dは、振幅ピーク値のしきい値の数分、設けられている。実施例2では、例えば0.9V、0.8V、0.7V、0.6Vの4つのしきい値で振幅ピーク値が判断されるため、コンパレータ51a〜51d、SRラッチ回路52a〜52d及びアンド回路53a〜53dは、4個ずつ設けられている。
【0063】
各コンパレータ51a〜51dの入力端は、振幅ピーク値検出部31の入力端子55に接続されている。各コンパレータ51a〜51dには、入力端子55から、受信装置A11で反射されて戻ってきた反射波が入力する。各コンパレータ51a〜51dは、互いに異なる電圧しきい値を有しており、反射波の電圧値を電圧しきい値と比較する。各コンパレータ51a〜51dは、例えば反射波の電圧値が電圧しきい値以上であると1を出力し、反射波の電圧値が電圧しきい値よりも低いと0を出力してもよい。
【0064】
第1のSRラッチ回路52aは、第1のコンパレータ51aの出力端に接続されている。第2のSRラッチ回路52bは、第2のコンパレータ51bの出力端に接続されている。第3のSRラッチ回路52cは、第3のコンパレータ51cの出力端に接続されている。第4のSRラッチ回路52dは、第4のコンパレータ51dの出力端に接続されている。各SRラッチ回路52a〜52dは、対応するコンパレータ51a〜51dの出力値をラッチする。
【0065】
第1のアンド回路53aは、制御部5からのイネーブル信号の入力端子56及び第1のSRラッチ回路52aに接続されている。第2のアンド回路53bは、イネーブル信号の入力端子56及び第2のSRラッチ回路52bに接続されている。第3のアンド回路53cは、イネーブル信号の入力端子56及び第3のSRラッチ回路52cに接続されている。第4のアンド回路53dは、イネーブル信号の入力端子56及び第2のSRラッチ回路52bに接続されている。
【0066】
第1のアンド回路53aは、イネーブル信号がアサートされている期間だけ、第1のSRラッチ回路52aにラッチされている値を出力する。第2のアンド回路53b、第3のアンド回路53c及び第4のアンド回路53dについても、同様である。従って、イネーブル信号がアサートされている期間が、反射波を測定する期間となる。
【0067】
デコーダ54は、アンド回路53a〜53dの出力端に接続されている。デコーダ54は、振幅ピーク値検出部31の出力端子57に、アンド回路53a〜53dの出力値に応じたデジタル値を出力する。デコーダ54から出力されたデジタル値は、振幅ピーク値検出部31が検出した反射波の振幅ピーク値Vsとして制御部5のレジスタ36に格納される。また、デコーダ54から出力されたデジタル値は、セレクト信号として反射波到達時間検出部32に渡される。
【0068】
ここで、反射波を測定する開始タイミングは、例えばテスト信号に基づいてドライバ2から出力された信号が受信装置A11に到達するタイミング以降であればよい。その理由は、受信装置A11で反射された反射波が振幅ピーク値検出部31に到達するときには既に振幅ピーク値検出部31での反射波の測定が開始されているので、振幅ピーク値検出部31は、受信装置A11で反射された反射波を確実に検出することができるからである。
【0069】
また、反射波を測定する終了タイミングは、例えば受信装置A11の次にドライバ2に近い受信装置B12からの反射波が振幅ピーク値検出部31に到達する直前のタイミングまであればよい。その理由は、振幅ピーク値検出部31が受信装置B12からの反射波を検出してしまうのを防ぐことができるからである。
【0070】
好ましくは、反射波を測定する期間は、例えば上述した反射波22の到達時間の予測値tを挟んでその予測値tの前後数%程度の時間であってもよい。そうすれば、振幅ピーク値検出部31が外来ノイズなどの不要な成分を検出してしまうのを防ぐことができるからである。
【0071】
図11は、実施例2にかかる振幅ピーク値検出部の一例の動作を説明する図である。図11において、左側上段はテスト信号によって発生する受信装置A11からの反射波22の波形であり、左側下段はコンパレータ51a〜51dの動作説明である。図11に示すように、第1のコンパレータ51a、第2のコンパレータ51b、第3のコンパレータ51c及び第4のコンパレータ51dの電圧しきい値は、特に限定しないが、それぞれ、例えば0.9V、0.8V、0.7V及び0.6Vであってもよい。
【0072】
図11に示す例では、反射波22の振幅のピーク電圧値は、0.7Vよりも低くなっているが、0.6Vよりは低くなっていないので、第1のコンパレータ51a、第2のコンパレータ51b及び第3のコンパレータ51cはいずれも0を出力し、第4のコンパレータ51dは1を出力する。従って、第1のアンド回路53a、第2のアンド回路53b及び第3のアンド回路53cの出力値はいずれも0となり、第4のアンド回路53dの出力値は1となる。この場合、例えばデコーダ54は「0001」のデジタル値を出力してもよい。
【0073】
また、反射波22の振幅のピーク電圧値が0.6Vよりも低い場合には、第1のコンパレータ51a、第2のコンパレータ51b、第3のコンパレータ51c及び第4のコンパレータ51dはいずれも0を出力する。従って、第1のアンド回路53a、第2のアンド回路53b、第3のアンド回路53c及び第4のアンド回路53dの出力値は0となる。この場合、例えばデコーダ54は「0000」のデジタル値を出力してもよい。
【0074】
また、反射波22の振幅のピーク電圧値が0.8Vよりも低く、0.7V以上である場合には、第1のコンパレータ51a及び第2のコンパレータ51bはいずれも0を出力し、第3のコンパレータ51c及び第4のコンパレータ51dはいずれも1を出力する。従って、第1のアンド回路53a及び第2のアンド回路53bの出力値はいずれも0となり、第3のアンド回路53c及び第4のアンド回路53dの出力値はいずれも1となる。この場合、例えばデコーダ54は「0011」のデジタル値を出力してもよい。
【0075】
また、反射波22の振幅のピーク電圧値が0.9Vよりも低く、0.8V以上である場合には、第1のコンパレータ51aは0を出力し、第2のコンパレータ51b、第3のコンパレータ51c及び第4のコンパレータ51dはいずれも1を出力する。従って、第1のアンド回路53aの出力値は0となり、第2のアンド回路53b、第3のアンド回路53c及び第4のアンド回路53dの出力値はいずれも1となる。この場合、例えばデコーダ54は「0111」のデジタル値を出力してもよい。
【0076】
また、反射波22の振幅のピーク値が0.9V以上である場合には、第1のコンパレータ51a、第2のコンパレータ51b、第3のコンパレータ51c及び第4のコンパレータ51dはいずれも1を出力する。従って、第1のアンド回路53a、第2のアンド回路53b、第3のアンド回路53c、第4のアンド回路53dの出力値はいずれも1となる。この場合、例えばデコーダ54は「1111」のデジタル値を出力してもよい。
【0077】
・反射波到達時間検出部の一例
図12は、実施例2にかかる反射波到達時間検出部の一例を示すブロック図である。図12に示すように、反射波到達時間検出部32は、例えば複数のコンパレータ61a〜61e、複数のインバータ62a〜62e、複数のSRラッチ回路63a〜63d、複数のアンド回路64a〜64d、複数のカウンタ65a〜65d及びセレクタ66を備えている。
【0078】
そのうち、振幅ピーク値のしきい値の数分、例えば4個ずつの第5〜第8のコンパレータ61a〜61d、第1〜第4のインバータ62a〜62d、第5〜第8のSRラッチ回路63a〜63d及び第5〜第8のアンド回路64a〜64dは、第1〜第4のカウンタ65a〜65dのカウントアップを停止させるストップ信号を生成する。また、第9のコンパレータ61e及び第5のインバータ62eは、第1〜第4のカウンタ65a〜65dのカウントアップを開始させるスタート信号を生成する。
【0079】
各コンパレータ61a〜61eの入力端は、反射波到達時間検出部32の入力端子67に接続されている。各コンパレータ61a〜61eには、入力端子67から、受信装置A11で反射されて戻ってきた反射波が入力する。第5〜第8のコンパレータ61a〜61dは、互いに異なる電圧しきい値を有しており、反射波の電圧値を電圧しきい値と比較する。第5〜第8のコンパレータ61a〜61dは、例えば反射波の電圧値が電圧しきい値以上であると1を出力し、反射波の電圧値が電圧しきい値よりも低いと0を出力してもよい。
【0080】
第9のコンパレータ61eは、例えばテスト信号に基づいてドライバ2から出力された信号の立ち上がりの振幅がピーク値の例えば50%に満たないと1を出力し、振幅がピーク値の例えば50%以上になると当該信号が立ち下がるまで0を出力してもよい。
【0081】
第1のインバータ62aは、第5のコンパレータ61aの出力端に接続されている。第2のインバータ62bは、第6のコンパレータ61bの出力端に接続されている。第3のインバータ62cは、第7のコンパレータ61cの出力端に接続されている。第4のインバータ62dは、第8のコンパレータ61dの出力端に接続されている。第5のインバータ62eは、第9のコンパレータ61eの出力端に接続されている。各インバータ62a〜63eは、対応するコンパレータ61a〜61eの出力値が0である場合には1に反転し、1である場合には0に反転する。
【0082】
第5のSRラッチ回路63aは、第1のインバータ62aの出力端に接続されている。第6のSRラッチ回路63bは、第2のインバータ62bの出力端に接続されている。第7のSRラッチ回路63cは、第3のインバータ62cの出力端に接続されている。第8のSRラッチ回路63dは、第4のインバータ62dの出力端に接続されている。各SRラッチ回路63a〜63dは、対応するインバータ62a〜62dの出力値をラッチする。
【0083】
第5のアンド回路64aは、制御部5からのイネーブル信号の入力端子68及び第5のSRラッチ回路63aに接続されている。第6のアンド回路64bは、イネーブル信号の入力端子68及び第6のSRラッチ回路63bに接続されている。第7のアンド回路64cは、イネーブル信号の入力端子68及び第7のSRラッチ回路63cに接続されている。第8のアンド回路64dは、イネーブル信号の入力端子68及び第8のSRラッチ回路63dに接続されている。
【0084】
第5のアンド回路64aは、イネーブル信号がアサートされている期間、すなわち反射波を測定する期間だけ、第5のSRラッチ回路63aにラッチされている値を出力する。第6のアンド回路64b、第7のアンド回路64c及び第8のアンド回路64dについても、同様である。
【0085】
第1のカウンタ65aは、第5のインバータ62eの出力端、クロック信号の入力端子69及び第5のアンド回路64aの出力端に接続されている。第2のカウンタ65bは、第5のインバータ62eの出力端、クロック信号の入力端子69及び第6のアンド回路64bの出力端に接続されている。第3のカウンタ65cは、第5のインバータ62eの出力端、クロック信号の入力端子69及び第7のアンド回路64cの出力端に接続されている。第4のカウンタ65dは、第5のインバータ62eの出力端、クロック信号の入力端子69及び第8のアンド回路64dの出力端に接続されている。
【0086】
第1のカウンタ65aは、第5のインバータ62eから出力されるスタート信号に応じてクロック数のカウントを開始する。例えばテスト信号に基づいてドライバ2から出力された信号の立ち上がりの振幅が例えば50%に達するタイミングで第9のコンパレータ61eの出力値が1から0に切り替わる。それに伴って、第5のインバータ62eの出力値が0から1に切り替わる。
【0087】
第1のカウンタ65aは、第5のインバータ62eの出力値、すなわちスタート信号の値が0から1に切り替わるタイミングで、クロック数のカウントを開始する。第2のカウンタ65b、第3のカウンタ65c及び第4のカウンタ65dについても、同様である。
【0088】
第1のカウンタ65aは、第5のアンド回路64aから出力されるストップ信号に応じてクロック数のカウントアップを停止する。第5のコンパレータ61aの出力値は、反射波の電圧値が第5のコンパレータ61aの電圧しきい値よりも低くなるタイミングで1から0に切り替わる。それに伴って、第1のインバータ62aの出力値が0から1に切り替わる。従って、第5のアンド回路64aの出力値は、イネーブル信号がアサートされている期間、すなわち反射波を測定する期間において、0から1に切り替わる。
【0089】
第1のカウンタ65aは、第5のアンド回路64aの出力値、すなわちストップ信号の値が0から1に切り替わるタイミングで、クロック数のカウントを停止する。第2のカウンタ65b、第3のカウンタ65c及び第4のカウンタ65dについても、同様である。
【0090】
セレクタ66は、セレクト信号の入力端子70及びカウンタ65a〜65dの出力端に接続されている。セレクト信号の入力端子70には、振幅ピーク値検出部31のデコーダ54からセレクト信号が入力する。セレクタ66は、セレクト信号の値に基づいてカウンタ65a〜65dのうちの一つを選択する。セレクタ66は、反射波到達時間検出部32の出力端子71に、選択したカウンタの値を出力する。セレクタ66から出力された値は、反射波到達時間検出部32が検出した反射波到達時間の検出値として制御部5に渡される。
【0091】
図13は、実施例2にかかる反射波到達時間検出部の一例の動作を説明する図である。図13において、左側上段はテスト信号26及び受信装置A11からの反射波22の波形であり、左側下段はコンパレータ61a〜61d及びインバータ62a〜62dの動作説明である。図13に示すように、第5のコンパレータ61a、第6のコンパレータ61b、第7のコンパレータ61c及び第8のコンパレータ61dの電圧しきい値は、特に限定しないが、それぞれ、例えば0.9V、0.8V、0.7V及び0.6Vであってもよい。
【0092】
図13に示す例では、テスト信号26の立ち上がりの振幅がピーク値の例えば50%に達したタイミングで、各カウンタ65a〜65dがカウントを開始する。その後、イネーブル信号がアサートされている期間、すなわち反射波22を測定する期間において、反射波22の電圧値が0.9Vに達したタイミングで、第5のコンパレータ61aの出力値が1から0に切り替わる。それに伴って、第1のインバータ62aの出力値が0から1に切り替わる。従って、第5のアンド回路64aの出力値が1となり、第1のカウンタ65aのカウントアップが停止する。
【0093】
その後、イネーブル信号がアサートされている期間において、反射波22の電圧値が0.8Vに達したタイミングで、第2のカウンタ65bのカウントアップが停止する。さらに、イネーブル信号がアサートされている期間において、反射波22の電圧値が0.7Vに達したタイミングで、第3のカウンタ65cのカウントアップが停止する。
【0094】
さらに、イネーブル信号がアサートされている期間において、反射波22の電圧値が0.6Vに達すると、0.6Vに達したタイミングで、第4のカウンタ65dのカウントアップが停止する。図13に示す例では、反射波22の振幅のピーク電圧値は、0.7Vよりも低くなっているが、0.6Vよりは低くなっていないので、第4のカウンタ65dは停止しない。
【0095】
例えばデコーダ54からのセレクト信号の値が「0001」である場合、セレクタ66は、反射波到達時間検出部32が検出した反射波到達時間の検出値として、第4のカウンタ65dの出力値を出力してもよい。また、セレクト信号の値が「0011」である場合、セレクタ66は、第3のカウンタ65cの出力値を出力してもよい。また、セレクト信号の値が「0111」である場合、セレクタ66は、第2のカウンタ65bの出力値を出力してもよい。また、セレクト信号の値が「1111」である場合、セレクタ66は、第1のカウンタ65aの出力値を出力してもよい。
【0096】
・ディレイ素子の一例
図14は、実施例2にかかるディレイ素子の一例を示すブロック図である。図14に示すように、ディレイ素子39は、直列に接続された複数段のバッファ81〜84及びセレクタ85を備えている。ディレイ素子39の入力端子86に入力した信号は、バッファ81〜84を通過するたびに遅延していく。セレクタ85には、各バッファ81〜84の出力信号が入力する。セレクタ85は、各バッファ81〜84の出力信号のうち、制御部5から入力端子87に入力する、反射波到達時間Dyzを設定する信号に対応する遅延量の出力信号を選択して、ディレイ素子39の出力端子88へ出力する。
【0097】
・パルス生成部の一例
図15は、実施例2にかかるパルス生成部の一例を示すブロック図である。図16は、実施例2にかかるパルス生成部の一例の動作を説明する図である。図15において、E〜H,J〜Mの×印は、説明の便宜上を設けたノードを表す。図16には、E〜H,J〜Mの各ノードにおける波形が示されている。
【0098】
図15に示すように、パルス生成部40は、ディレイ素子91、エクスクルーシブオア回路(排他的論理和回路)92、2個のアンド回路93,94、2個のインバータ95,96及び加算回路97を備えている。ディレイ素子91は、パルス生成部40の前段のディレイ素子39と同様のものであってもよい。
【0099】
ディレイ素子91の入力端及びエクスクルーシブオア回路92の一方の入力端は、パルス生成部40の入力端子98(ノードE)に接続されている。エクスクルーシブオア回路92のもう一方の入力端(ノードF)は、ディレイ素子91の出力端に接続されている。
【0100】
従って、エクスクルーシブオア回路92の出力端(ノードG)からは、パルス生成部40への入力信号、すなわちパルス生成部40の前段のディレイ素子39の出力信号と、このディレイ素子39の出力信号をパルス生成部40のディレイ素子91で遅延させた信号との排他的論理和が出力される。つまり、図16に示すように、エクスクルーシブオア回路92は、パルス生成部40のディレイ素子91での遅延量によって決まるパルス幅Wyzのパルス信号を出力する。ディレイ素子91での遅延量は、制御部5から当該ディレイ素子91に入力する、パルス幅Wyzを設定する信号によって決まる。
【0101】
第9のアンド回路93の一方の入力端は、エクスクルーシブオア回路92の出力端に接続されている。第9のアンド回路93のもう一方の入力端は、パルス生成部40の入力端子98に接続されている。従って、第9のアンド回路93の出力端(ノードH)からは、エクスクルーシブオア回路92で生成されたパルス信号のうち、パルス生成部40への入力信号が1であるときのパルス信号が出力される。
【0102】
第6のインバータ95の入力端は、パルス生成部40の入力端子98に接続されている。従って、第6のインバータ95の出力端(ノードJ)からは、パルス生成部40への入力信号の反転信号が出力される。
【0103】
第10のアンド回路94の一方の入力端は、エクスクルーシブオア回路92の出力端に接続されている。第10のアンド回路94のもう一方の入力端は、第6のインバータ95の出力端に接続されている。従って、第10のアンド回路94の出力端(ノードK)からは、エクスクルーシブオア回路92で生成されたパルス信号のうち、パルス生成部40への入力信号が0であるときのパルス信号が出力される。
【0104】
第7のインバータ96の入力端は、第10のアンド回路94の出力端に接続されている。従って、第7のインバータ96の出力端(ノードL)からは、第10のアンド回路94から出力されたパルス信号の反転信号が出力される。
【0105】
加算回路97は、第9のアンド回路93の出力信号と第7のインバータ96の出力信号とを合成して正負のパルス信号を生成し、パルス生成部40の出力端子99(ノードM)へ出力する。
【0106】
・加算部の一例
図17は、実施例2にかかる加算部の一例を示すブロック図である。図17に示すように、加算部41は、第1の定電流化回路101、第2の定電流化回路102、第1のカレントミラー回路103及び第2のカレントミラー回路104を備えている。
【0107】
第1の定電流化回路101は、パルス生成部40から出力された電圧信号に基づいて第1のカレントミラー回路103に定電流I1を流す。第1の定電流化回路101は、第1のオペアンプ111及び第1の可変抵抗112を備えている。
【0108】
第1のオペアンプ111の非反転入力端子は、加算部41の第1の入力端子106に接続されている。第1の入力端子106には、パルス生成部40の出力電圧が印加される。第1のオペアンプ111の反転入力端子は、第1の可変抵抗112の一端に接続されている。第1の可変抵抗112の他端は、接地端子107に接続されている。第1のオペアンプ111の出力端子は、第1のカレントミラー回路103に設けられている第1のトランジスタ113のコレクタ及びベースに接続されている。
【0109】
第1のカレントミラー回路103は、第1のトランジスタ113、第2のトランジスタ114及び第2の可変抵抗115を備えている。第1のトランジスタ113のエミッタは、第1のオペアンプ111の反転入力端子に接続されている。
【0110】
第2のトランジスタ114のコレクタは、第2のトランジスタ114のベース、第1のトランジスタ113のベース及び第1の抵抗105の一端に接続されている。第1の抵抗105の他端は、電源端子に接続されている。第2のトランジスタ114のエミッタは、第2の可変抵抗115の一端に接続されている。第2の可変抵抗115の他端は、接地端子107に接続されている。
【0111】
第2の定電流化回路102は、ドライバ本体37から出力された電圧信号に基づいて第2のカレントミラー回路104に定電流I2を流す。第2の定電流化回路102は、第2のオペアンプ121及び第2の抵抗122を備えている。
【0112】
第2のオペアンプ121の非反転入力端子は、加算部41の第2の入力端子108に接続されている。第2の入力端子108には、ドライバ本体37の出力電圧が印加される。第2のオペアンプ121の反転入力端子は、第2の抵抗122の一端に接続されている。第2の抵抗122の他端は、接地端子109に接続されている。第2のオペアンプ121の出力端子は、第2のカレントミラー回路104に設けられている第3のトランジスタ123のコレクタ及びベースに接続されている。
【0113】
第2のカレントミラー回路104は、第3のトランジスタ123、第4のトランジスタ124及び第3の抵抗125を備えている。第3のトランジスタ123のエミッタは、第2のオペアンプ121の反転入力端子に接続されている。
【0114】
第4のトランジスタ124のコレクタは、第4のトランジスタ124のベース、第3のトランジスタ123のベース及び第1の抵抗105の一端(第2のトランジスタ114のコレクタ)に接続されている。第4のトランジスタ124のエミッタは、第3の抵抗125の一端に接続されている。第3の抵抗125の他端は、接地端子109に接続されている。
【0115】
第1の定電流化回路101により第1のカレントミラー回路103の第1のトランジスタ113に電流I1が流れると、第1のカレントミラー回路103の第2のトランジスタ114にも電流I1が流れる。電流I1は、第1の可変抵抗112及び第2の可変抵抗115の抵抗値に応じて決まる。第1の可変抵抗112及び第2の可変抵抗115の抵抗値は、制御部5から加算部41に入力する、振幅ピーク値Vyzを設定する信号によって調整される。
【0116】
第2の定電流化回路102により第2のカレントミラー回路104の第3のトランジスタ123に電流I2が流れると、第2のカレントミラー回路104の第4のトランジスタ124にも電流I2が流れる。従って、第1の抵抗105には、I1とI2とを加算した電流(I1+I2)が流れる。それによって、ドライバ本体37から出力される本信号の電圧と反射波を抑止するパルス信号の電圧とを加算した電圧Voが第1の抵抗105に発生する。
【0117】
・電子部品の全体の動作
図18は、実施例2にかかる電子部品の全体の動作を説明するフローチャートである。図18に示すように、電子部品1の電源がオンになるか、または電子部品1がリセットされると、制御部5は、第1のスイッチ42をテスト信号側に切り替え、かつ第2のスイッチ38を開き、ドライバ2にテスト信号を送信する。それによってドライバ本体37は、ステップ波形のテストパターンを有する信号を受信装置A11へ送信する(ステップS11)。
【0118】
反射波検出部4は、ドライバ本体37から送信されたテストパターンの信号が受信装置A11で反射されて戻ってきた反射波を検出する(ステップS12)。その際、振幅ピーク値検出部31は、反射波の振幅ピーク値Vsを検出する。反射波到達時間検出部32は、反射波が反射波到達時間検出部32に到達するまでの時間を検出する。
【0119】
次いで、制御部5は、反射波到達時間検出部32の検出値に基づいて、反射波の反射波到達時間Tsを求める。演算装置35は、反射波を抑止したい受信装置用の反射波キャンセル情報34から、振幅ピーク値Vsと反射波到達時間Tsとの組み合わせに該当する反射波到達時間Dyz、振幅ピーク値Vyz及びパルス幅Wyzを抽出する。そして、演算装置35は、抽出した各値を反射波抑止用のパルス値に決定する(ステップS13)。
【0120】
次いで、制御部5は、ディレイ素子39、パルス生成部40及び加算部41に反射波抑止用のパルス値を設定する。また、制御部5は、第1のスイッチ42を本信号側に切り替え、かつ第2のスイッチ38を閉じる。それによって、ドライバ2は、入力端子6から入力された本信号に基づいてドライバ本体37が出力した信号と、ディレイ素子39、パルス生成部40及び加算部41で生成された反射波抑止用のパルス信号とを合成した信号(合成波)を受信装置へ送信する(ステップS14)。
【0121】
一定時間が経過してタイマー8から制御部5にタイミング信号が入力すると(ステップS15)、ステップS11と同様にして、電子部品1は、ステップ波形のテストパターンを有する信号を受信装置A11へ送信する(ステップS16)。そして、ステップS12と同様にして、反射波検出部4は、反射波を検出してその検出結果を制御部5へフィードバックする(ステップS17)。
【0122】
次いで、ステップS13と同様にして、制御部5は、フィードバックされた値に基づいて、反射波抑止用のパルス値に決定し、変更の必要があればパルス値の設定を変更する(ステップS18)。そして、ステップS14に戻り、これ以降、電子部品1の電源がオフになるか、電子部品1がリセットされるまで、ステップS14〜ステップS18が繰り返される。
【0123】
・反射波キャンセル情報の抽出及び設定の動作
図19は、実施例2にかかる電子部品における反射波キャンセル情報の抽出及び設定の動作を説明するフローチャートである。図18に示すフローチャートのステップS12〜ステップS13及びステップS17〜ステップS18では、図19に示すフローチャートの動作が行われる。
【0124】
図19に示すように、振幅ピーク値検出部31は、反射波の振幅ピーク値Vsを検出し、反射波到達時間検出部32は、反射波が反射波到達時間検出部32に到達するまでの時間を検出する(ステップS21)。
【0125】
次いで、制御部5は、反射波到達時間検出部32の検出値を、反射波を抑止したい受信装置用の反射波キャンセル情報34に複数、設けられている反射波到達時間Tsのいずれに該当するか分類する(ステップS22)。例えば、反射波到達時間検出部32の検出値が39.2[nsec]である場合には、反射波到達時間Tsは39[nsec]に分類され、39.6[nsec]である場合には40[nsec]に分類されてもよい。
【0126】
次いで、演算装置35は、反射波を抑止したい受信装置用の反射波キャンセル情報34から、振幅ピーク値Vsと反射波到達時間Tsとの組み合わせに該当する反射波到達時間Dyz、振幅ピーク値Vyz及びパルス幅Wyzを抽出する(ステップS23)。
【0127】
次いで、演算装置35は、抽出した反射波到達時間Dyzを、ディレイ素子39のセレクタ85において各バッファ81〜84からの入力信号のうちのいずれかを選択する値(セレクタ値)に変換する(ステップS24)。また、演算装置35は、抽出したパルス幅Wyzを、パルス生成部40のディレイ素子91での遅延量(ディレイ値)に変換する(ステップS25)。また、演算装置35は、抽出した振幅ピーク値Vyzを、加算部41の第1の可変抵抗112及び第2の可変抵抗115の可変抵抗値に変換する(ステップS26)。
【0128】
次いで、制御部5は、変換したセレクタ値をディレイ素子39のセレクタ85に設定し、変換したディレイ値をパルス生成部40のディレイ素子91に設定し、変換した可変抵抗値を加算部41の第1の可変抵抗112及び第2の可変抵抗115に設定する。そして、制御部5は、第1のスイッチ42、第2のスイッチ38、ディレイ素子39、パルス生成部40及び加算部41に実行を指示する(ステップS27)。
【0129】
上述した動作において、ドライバ2からの本信号の出力先が、現在の受信装置(例えば受信装置A11)から別の受信装置(例えば受信装置B12)に切り替わることがある。その場合、演算装置35は、参照する反射波キャンセル情報34を、現在の受信装置用のものから切り替え後の受信装置用のものに切り替えることになる。
【0130】
バス配線15の配線長と信号の伝送速度によっては反射波が伝送波形の1ビット分よりもあとで発生することがあり、それに合わせて反射波を抑止する信号も数ビットあとで発生する場合がある。演算装置35が参照する反射波キャンセル情報34を、出力先の受信装置の切替タイミングと同じタイミングで切り替えた場合、切り替え前の受信装置用の反射波キャンセル情報34に基づいて出力された反射波を抑止する信号が、受信装置の切り替え後の本信号にとって不要な信号になってしまうという不都合が生じることがある。
【0131】
そこで、演算装置35は、参照する反射波キャンセル情報34の切替タイミングを、出力先の受信装置の切替タイミングよりも前にしてもよい。具体的には、参照する反射波キャンセル情報34の切替タイミングは、切り替え前の受信装置での反射波を抑止する信号がドライバ2から出力されないようなタイミングであるのが好ましい。
【0132】
つまり、切り替え前の受信装置での反射波を抑止する信号がドライバ2から出力されるタイミングよりも数ビット程度前のタイミングで、演算装置35は、参照する反射波キャンセル情報34を切り替えるようにしてもよい。そうすれば、受信装置の切り替え後の本信号にとって不要な信号がドライバ2から出力されるのを防ぐことができる。
【0133】
・マザーボードに適用した例
図20は、マザーボードの一例を示すブロック図である。図20に示すように、マザーボード131には、CPU(Central Processing Unit、中央演算処理装置)132及びソケット133が設けられている。CPU132には、メモリコントローラ134が設けられている。ソケット133には、メモリボード135が取り付けられる。上述した電子部品1は、例えばメモリコントローラ134に設けられていてもよい。各受信装置11〜14は、メモリボード135に設けられていてもよい。また、ソケットはマザーボード131上に複数設けられていてもよい。
【0134】
実施例2によれば、実施例1と同様の効果が得られる。
【0135】
なお、反射波キャンセル情報34にパルス幅Wyzが規定されていなくてもよい。この場合には、予めパルス幅を所定の値に設定しておいてもよい。
【0136】
上述した実施例1〜2に関し、さらに以下の付記を開示する。
【0137】
(付記1)受信装置に対して、信号を出力するドライバと、前記信号が前記受信装置で反射されて前記ドライバに戻る反射波に関する反射情報を記憶する記憶部と、前記反射情報を基に反射波を測定する測定時間を決定し、前記測定時間に基づいて反射波の到達時間と反射波の振幅ピーク値を測定する反射波検出部と、前記到達時間と前記振幅ピーク値から、前記受信装置における反射波の影響を抑止する反射波キャンセル情報を抽出し、前記ドライバに反射波キャンセル情報を設定する制御部と、を有することを特徴とする電子部品。
【0138】
(付記2)前記反射波を測定する開始タイミングは、前記ドライバから出力された信号が前記受信装置に到達するタイミングよりも後で、かつ前記反射波を測定する終了タイミングは、前記受信装置とは別の受信装置からの反射波が前記ドライバに到達するタイミングよりも前であることを特徴とする付記1に記載の電子部品。
【0139】
(付記3)前記制御部は、前記反射波検出部が前記測定時間を制御する制御信号を出力し、前記反射波検出部は、前記制御信号に基づいて前記測定時間を決定することを特徴とする付記1または2に記載の電子部品。
【0140】
(付記4)前記反射波キャンセル情報は、前記反射波検出部で測定された前記到達時間と前記振幅ピーク値とに関連付けられた、前記受信装置での反射波の到達時間及び前記受信装置での反射波の振幅ピーク値の情報を含むことを特徴とする付記1〜3のいずれか一つに記載の電子部品。
【0141】
(付記5)前記ドライバは、前記制御部により設定された前記受信装置での反射波の到達時間に基づいてパルスの生成タイミングを遅らせるディレイ素子と、前記パルスを生成するパルス生成部と、前記制御部により設定された前記受信装置での反射波の振幅ピーク値に基づいて前記パルスの振幅ピーク値を調整して本信号に加算する加算部と、を有することを特徴とする付記4に記載の電子部品。
【0142】
(付記6)前記反射波キャンセル情報は、前記反射波検出部で測定された前記到達時間と前記振幅ピーク値とに関連付けられた、前記受信装置での反射波のパルス幅の情報を含み、前記パルス生成部は、前記制御部により設定された前記受信装置での反射波のパルス幅に基づいて前記パルスのパルス幅を調整することを特徴とする付記5に記載の電子部品。
【0143】
(付記7)受信装置で反射されて、前記受信装置に対して信号を出力するドライバに戻る反射波に関する反射情報に基づいて反射波を測定する測定時間を決定し、前記測定時間に基づいて反射波の到達時間と反射波の振幅ピーク値を測定し、前記到達時間と前記振幅ピーク値から、前記受信装置における前記反射波の影響を抑止する反射波キャンセル情報を抽出し、前記ドライバに反射波キャンセル情報を設定することを特徴とする反射波キャンセル方法。
【0144】
(付記8)前記反射波を測定する開始タイミングは、前記ドライバから出力された信号が前記受信装置に到達するタイミングよりも後で、かつ前記反射波を測定する終了タイミングは、前記受信装置とは別の受信装置からの反射波が前記ドライバに到達するタイミングよりも前であることを特徴とする付記7に記載の反射波キャンセル方法。
【0145】
(付記9)前記反射情報を、基板の比誘電率、及び前記ドライバから前記受信装置までの配線長に基づいて導出することを特徴とする付記7または8に記載の反射波キャンセル方法。
【符号の説明】
【0146】
1 電子部品
2 ドライバ
3 記憶部
4 反射波検出部
5 制御部
11〜14 受信装置
33 反射情報
34 反射波キャンセル情報
39 ディレイ素子
40 パルス生成部
41 加算部
【技術分野】
【0001】
この発明は、電子部品及び反射波キャンセル方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子部品の一つに、反射を抑制するための反射抑制成分を生成する反射抑制成分生成回路と、その反射抑制成分と、現時点で受信側に送信すべきデータとを増幅して伝送線路に出力するデータ出力回路とを備えたデータ送信回路がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、定常電流を供給する第1のトランジスタと、第1のトランジスタと同様に動作する第2のトランジスタと、入力信号の遷移時に一定時間だけ導通する接点付きエッジ検出回路と、第1及び第2のトランジスタから供給される電流を伝送線路に出力する出力バッファ回路とを備えたプリエンファシス回路がある(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
また、差動入力信号を差動電流出力に変換する第1のアンプと、ハイパスフィルタ回路と、ハイパスフィルタ回路を介した差動入力信号を差動電流出力に変換する第2のアンプと、2つの差動電流出力をそれぞれ加算して電圧変換する抵抗とを備えたプリエンファシス回路がある(例えば、特許文献3参照)。
【0005】
また、第1の電圧電流変換回路の出力端子と第2の電圧電流変換回路の出力端子とを共通に接続し、出力信号における入力信号の合成比を、第1及び第2の電圧電流変換回路の相互コンダクタンスの比によって変えることができるようにした信号合成器がある(例えば、特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2008/026289号
【特許文献2】特開2002−368600号公報
【特許文献3】特開2009−147512号公報
【特許文献4】特開2005−33492号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の電子部品では、抑止すべき反射波とそれ以外の反射波や外来ノイズとを判別することができないため、抑止すべき反射波を抑止することができる信号を生成することができない。そのため、抑止すべき反射波を抑止することができないという問題点があった。
【0008】
抑止すべき反射波を抑止することができる電子部品及び反射波キャンセル方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この電子部品は、ドライバ、記憶部、反射波検出部及び制御部を有する。ドライバは、受信装置に対して、信号を出力する。記憶部は、ドライバが出力した信号が受信装置で反射されてドライバに戻る反射波に関する反射情報を記憶する。反射波検出部は、反射情報を基に反射波を測定する時間を決定し、時間に基づいて反射波の到達時間と反射波の振幅ピーク値を測定する。制御部は、到達時間と振幅ピーク値から、受信装置における反射波の影響を抑止する反射波キャンセル情報を抽出し、ドライバに反射波キャンセル情報を設定する。
【発明の効果】
【0010】
この電子部品及び反射波キャンセル方法によれば、抑止すべき反射波を抑止することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、実施例1にかかる電子部品を示すブロック図である。
【図2】図2は、実施例1にかかる電子部品における信号の流れを示すブロック図である。
【図3】図3は、実施例1にかかる反射波キャンセル方法を示すフローチャートである。
【図4】図4は、実施例1にかかる電子部品を適用したシステムの一例を示すブロック図である。
【図5】図5は、図4に示すシステムにおいて受信装置Aで反射波を抑止しない場合の波形を説明する波形図である。
【図6】図6は、図4に示すシステムにおいて受信装置Aで反射波を抑止した場合の波形を説明する波形図である。
【図7】図7は、実施例2にかかる電子部品を示すブロック図である。
【図8】図8は、実施例2にかかる電子部品における信号の流れを示すブロック図である。
【図9】図9は、実施例2にかかる反射波キャンセル情報の一例を示す図表である。
【図10】図10は、実施例2にかかる振幅ピーク値検出部の一例を示すブロック図である。
【図11】図11は、実施例2にかかる振幅ピーク値検出部の一例の動作を説明する図である。
【図12】図12は、実施例2にかかる反射波到達時間検出部の一例を示すブロック図である。
【図13】図13は、実施例2にかかる反射波到達時間検出部の一例の動作を説明する図である。
【図14】図14は、実施例2にかかるディレイ素子の一例を示すブロック図である。
【図15】図15は、実施例2にかかるパルス生成部の一例を示すブロック図である。
【図16】図16は、実施例2にかかるパルス生成部の一例の動作を説明する図である。
【図17】図17は、実施例2にかかる加算部の一例を示すブロック図である。
【図18】図18は、実施例2にかかる電子部品の全体の動作を説明するフローチャートである。
【図19】図19は、実施例2にかかる電子部品における反射波キャンセル情報の抽出及び設定の動作を説明するフローチャートである。
【図20】図20は、マザーボードの一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に添付図面を参照して、この電子部品及び反射波キャンセル方法の好適な実施の形態を詳細に説明する。以下の各実施例の説明においては、同様の構成要素には同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
【0013】
(実施例1)
・電子部品の説明
図1は、実施例1にかかる電子部品を示すブロック図である。図2は、実施例1にかかる電子部品における信号の流れを示すブロック図である。図1及び図2に示すように、電子部品1は、ドライバ2、記憶部3、反射波検出部4及び制御部5を有する。
【0014】
ドライバ2の入力端は、電子部品1の入力端子6に接続されている。入力端子6には、例えば電子部品1に対して信号を出力するプロセッサやプロセッサのコアなどが接続される。ドライバ2の出力端は、電子部品1の出力端子7に接続されている。出力端子7には、例えば電子部品1の出力信号を受信する受信装置が接続される。ドライバ2は、例えば入力信号に基づいて受信装置に対して信号を出力する。
【0015】
記憶部3は、ドライバ2が出力した信号が、対象とする図示しない受信装置で反射されてドライバ2に戻る反射波に関する反射情報を記憶している。反射波検出部4は、出力端子7に接続されている。反射波検出部4は、対象とする受信装置に関する反射情報を基に、対象とする図示しない受信装置からの反射波を測定する測定時間を決定する。反射波検出部4は、決定した測定時間に基づいて、対象とする図示しない受信装置からの反射波の到達時間と反射波の振幅ピーク値を測定する。
【0016】
制御部5は、ドライバ2、記憶部3及び反射波検出部4に接続されている。制御部5は、反射波検出部4が測定した反射波の到達時間と振幅ピーク値から、対象とする図示しない受信装置における反射波の影響を抑止する反射波キャンセル情報を抽出する。制御部5は、ドライバ2に、抽出した反射波キャンセル情報を設定する。
【0017】
・反射波キャンセル方法の説明
図3は、実施例1にかかる反射波キャンセル方法を示すフローチャートである。図3に示すように、電子部品1において反射波キャンセル方法が開始されると、まず、反射波検出部4は、反射情報に基づいて、反射波を測定する測定時間を決定する(ステップS1)。反射情報には、対象とする受信装置で反射されて、対象とする受信装置に対して信号を出力するドライバに戻る反射波に関する情報が含まれていてもよい。
【0018】
次いで、反射波検出部4は、ステップS1で決定された測定時間の間、対象とする受信装置で反射された反射波を測定する(ステップS2)。ステップS2では、例えば反射波の到達時間と反射波の振幅ピーク値が測定されてもよい。
【0019】
次いで、制御部5は、記憶部3から反射波キャンセル情報を抽出する。反射波キャンセル情報は、ステップS2で測定された反射波の到達時間と振幅ピーク値に基づいて抽出される。反射波キャンセル情報には、対象とする受信装置における反射波の影響を抑止する情報が含まれていてもよい。そして、制御部5は、ドライバ2に、抽出した反射波キャンセル情報を設定する(ステップS3)。
【0020】
・電子部品を適用したシステムの一例の説明
図4は、実施例1にかかる電子部品を適用したシステムの一例を示すブロック図である。図4に示すように、電子部品1の出力端子7には複数の受信装置、例えば電子部品1に近い側から順に受信装置A11、受信装置B12、受信装置C13及び受信装置D14が接続されている。ドライバ2に接続されている受信装置の数は、2個、3個または5個以上でもよい。A〜Dの各受信装置11〜14とドライバ2とは、信号を伝搬するバス配線15により相互に接続されていてもよい。バス配線15の終端には、終端抵抗16が接続されている。なお、図4においては、電子部品1の記憶部3及び制御部5が省略されている。
【0021】
図5は、図4に示すシステムにおいて受信装置Aで反射波を抑止しない場合の波形を説明する波形図である。図5において、上段はドライバ2での波形であり、下段は反射波を抑止しない場合の受信装置A11での波形である。
【0022】
図5に示すように、ドライバ2から信号21が出力されると、ドライバ2に最も近い受信装置A11で反射された反射波22がドライバ2で観測される。ここで、信号21の出力後、反射波22がドライバ2に到達するまでの時間(反射波到達時間)をTsと表し、反射波22の振幅ピーク値をVsと表すことにする。
【0023】
なお、受信装置A11よりもドライバ2から離れたB〜Dの各受信装置12〜14で反射された反射波もドライバ2に到達する可能性がある。しかし、バス配線15の配線長が長くなる分、反射波の振幅が減衰しているので、B〜Dの各受信装置12〜14で反射された反射波は、ドライバ2での波形に影響を及ぼさないとみなしてもよい。
【0024】
一方、受信装置A11では、終端抵抗16側で受信装置A11に最も近い受信装置B12で反射された反射波24が観測される。ここで、受信装置A11に信号23が到達した後、反射波24が受信装置A11に到達するまでの時間(反射波到達時間)をDaと表し、反射波24の振幅ピーク値をVaと表すことにする。
【0025】
なお、受信装置B12よりもドライバ2から離れたC及びDの各受信装置13,14で反射された反射波も受信装置A11に到達する可能性がある。しかし、上述したドライバ2での波形と同様に、配線長に応じて反射波の振幅が減衰するので、C及びDの各受信装置13,14で反射された反射波は、受信装置A11での波形に影響を及ぼさないとみなしてもよい。
【0026】
図6は、図4に示すシステムにおいて受信装置Aで反射波を抑止した場合の波形を説明する波形図である。図6において、上段はドライバ2での波形であり、下段は反射波を抑止した場合の受信装置A11での波形である。
【0027】
図6に示すように、ドライバ2は、信号21を出力した後、上述した受信装置A11に反射波24が到達するまでの反射波到達時間Da(図5参照)と同じか略同じである反射波到達時間Daが経過した時点で、信号25を出力する。信号25の極性は、受信装置B12からの反射波24の極性(図5参照)と逆である。
【0028】
信号25の振幅ピーク値Vaは、受信装置B12からの反射波24の振幅ピーク値Va(図5参照)と同じか略同じである。信号25のパルス幅Waは、受信装置B12からの反射波24のパルス幅(図5参照)と同じか略同じであってもよい。
【0029】
信号25の出力タイミング、すなわちドライバ2における信号21の出力後の反射波到達時間Daは、ドライバ2で観測される受信装置A11での反射波22に関する反射波到達時間Ts及び振幅ピーク値Vsに基づいて決定されてもよい。信号25の振幅ピーク値Vaについても同様に決定されてもよい。また、信号25のパルス幅Waについても同様に決定されてもよい。
【0030】
なお、受信装置B12において、受信装置C13で反射された反射波を抑止する場合も同様である。すなわち、受信装置A11で反射された反射波をドライバ2で測定し、反射波がドライバ2に到達するまでの反射波到達時間Ts及び反射波の振幅ピーク値Vsに基づいて、ドライバ2が、受信装置C13で反射されて受信装置B12に到達する反射波を抑止することができる信号を出力すればよい。受信装置C13において、受信装置D14で反射された反射波を抑止する場合も同様である。
【0031】
実施例1によれば、反射波検出部4は、反射波を測定する測定時間の間、ドライバ2から出力され、対象とする受信装置で反射されてドライバ2に戻る反射波を測定するので、対象とする受信装置以外の受信装置で反射された反射波や外来ノイズを測定してしまうのを防ぐことができる。つまり、対象とする受信装置以外の受信装置で反射された反射波や外来ノイズを抑止する信号を生成してしまうのを防いで、抑止すべき反射波を抑止することができる信号を生成することができる。従って、抑止すべき反射波を抑止することができる。
【0032】
(実施例2)
実施例2は、実施例1にかかる電子部品及び反射波キャンセル方法を、例えばコンピュータなどの電子機器においてデータの書き込みや読み出しの際にメモリに駆動電圧を印加するドライバ回路に適用したものである。メモリに対するドライバ回路は、例えばメモリに接続されたメモリコントローラなどのIC(Integrated Circuit、集積回路)チップに設けられていてもよいし、メモリボードが装着されるマザーボードなどの基板に設けられていてもよい。
【0033】
例えば図4に示すシステムにおいて、A〜Dの受信装置11〜14は、メモリであってもよい。バス配線15は、N個(図示例では、4個)のメモリなどの受信装置にコマンド信号やアドレス信号などの信号を伝搬する1:N分岐の配線であってもよい。メモリの一例として、例えばDDR3 SDRAM(Double Data Rate 3 Synchronous Dynamic Random Access Memory)が挙げられる。
【0034】
・電子部品の説明
図7は、実施例2にかかる電子部品を示すブロック図である。図8は、実施例2にかかる電子部品における信号の流れを示すブロック図である。図7及び図8に示すように、電子部品1は、ドライバ2、記憶部3、反射波検出部4及び制御部5の他に、タイマー8を備えている。タイマー8は、制御部5に接続されており、一定時間毎に制御部5へタイミング信号を出力する。
【0035】
反射波検出部4は、制御部5に接続されている。反射波検出部4には、制御部5からイネーブル信号が入力する。反射波検出部4は、振幅ピーク値検出部31及び反射波到達時間検出部32を備えている。振幅ピーク値検出部31及び反射波到達時間検出部32は、電子部品1の出力端子7に接続されている。振幅ピーク値検出部31及び反射波到達時間検出部32には、図示しない受信装置A11で反射されて戻ってきた反射波が出力端子7から入力する。
【0036】
振幅ピーク値検出部31は、イネーブル信号がアサートされている間、反射波の振幅のピーク値(振幅ピーク値)を検出する。振幅ピーク値検出部31は、検出値を振幅ピーク値Vsとして制御部5のレジスタ36に格納する。振幅ピーク値検出部31は、検出結果に基づいて反射波到達時間検出部32へセレクト信号を出力する。振幅ピーク値検出部31の詳細な構成については後述する。
【0037】
反射波到達時間検出部32は、振幅ピーク値検出部31及び電子部品1のクロック信号の入力端子9に接続されている。反射波到達時間検出部32には、例えば図示しないクロック生成回路からクロック信号が入力する。反射波到達時間検出部32は、制御部5からイネーブル信号がアサートされている間、クロック信号に基づいて時間を計測し、セレクト信号に基づいて反射波が反射波到達時間検出部32に到達するまでの時間を検出する。反射波到達時間検出部32は、検出値を制御部5へ出力する。反射波到達時間検出部32の詳細な構成については後述する。
【0038】
記憶部3は、制御部5に接続されている。記憶部3には、反射情報33及び反射波キャンセル情報34が記憶されている。反射情報33及び反射波キャンセル情報34は、例えば予め電子部品1の使用者により用意され、記憶部3に書き込まれていてもよい。反射情報33には、受信装置A11で反射された反射波22がドライバ2に到達するまでの時間を予測した情報が含まれている。この反射波22の到達時間の予測値は、基板の物性値及び配線条件に基づいて求められてもよい。
【0039】
例えば、バス配線15の配線導体を囲む空間の比誘電率をεで表し、光速をC(=3×108[m/s])で表すと、バス配線15を伝搬する信号の伝搬遅延Dは、次の(1)式で表される。また、ドライバ2から受信装置A11までの距離をL[m]で表すと、ドライバ2が信号21を出力してからドライバ2に反射波22が戻ってくるまでの時間t、すなわち反射波22の到達時間の予測値は、次の(2)式で表される。
【0040】
D=√ε/C ・・・(1)
t=2DL ・・・(2)
【0041】
反射波キャンセル情報34には、受信装置B12で反射されて受信装置A11で観測される可能性のある反射波24を抑止可能な信号25(図6参照)を生成するのに用いられる情報が含まれている。例えば、反射波キャンセル情報34には、受信装置A11で反射されてドライバ2で観測された反射波22の反射波到達時間Ts及び振幅ピーク値Vsと、反射波24の抑止用に生成される信号25の反射波到達時間Da及び振幅ピーク値Vaとの関係を規定した情報が含まれている(図6参照)。
【0042】
反射波キャンセル情報34には、反射波22の反射波到達時間Ts及び振幅ピーク値Vsと、反射波24の抑止用に生成される信号25のパルス幅Waとの関係を規定した情報が含まれていてもよい(図6参照)。反射波キャンセル情報34には、受信装置C13で反射されて受信装置B12で観測される可能性のある反射波、受信装置D14で反射されて受信装置C13で観測される可能性のある反射波、及び終端抵抗16で反射されて受信装置D14で観測される可能性のある反射波、のそれぞれを抑止可能な信号を生成するのに用いられる情報が含まれていてもよい。反射波キャンセル情報34の一例を図9に示す。
【0043】
図9は、実施例2にかかる反射波キャンセル情報の一例を示す図表である。図9に示すように、A〜Dの各受信装置11〜14について、種々の反射波到達時間Tsx及び振幅ピーク値Vsxの組み合わせのそれぞれに対して、反射波到達時間Dyz、振幅ピーク値Vyz及びパルス幅Wyzが規定されていてもよい。各受信装置ごとに反射波到達時間Ts及び振幅ピーク値Vsが複数ずつ設定されていることによって、電子部品1の動作中に反射波到達時間Tsや振幅ピーク値Vsなどの特性が変化しても、その変化に対応した反射波到達時間Dyz、振幅ピーク値Vyz及びパルス幅Wyzを選択することができる。
【0044】
ここで、インデックス「x」は、反射波到達時間Ts及び振幅ピーク値Vsについて幾つか(特に限定しないが、図示例では3つずつ)ある値を区別するために添えられている。インデックス「y」は、受信装置A〜Dを区別するために添えられている。例えば、図示例のように、受信装置B12で反射されて受信装置A11で観測される可能性のある反射波を抑止可能な信号を生成するのに用いられる反射波キャンセル情報34については、インデックス「y」はaで表される。インデックス「z」は、反射波到達時間Tsx及び振幅ピーク値Vsxの各組み合わせに対する値であることを区別するために添えられている。
【0045】
反射波キャンセル情報について一例を挙げると、例えば受信装置A11用の反射波キャンセル情報において、反射波到達時間Ts1、Ts2及びTs3はそれぞれ39[nsec]、40[nsec]及び41[nsec]であってもよい。39[nsec]は38.5[nsec]以上39.5[nsec]未満、40[nsec]は39.5[nsec]以上40.5[nsec]未満、41[nsec]は40.5[nsec]以上41.5[nsec]未満の範囲を有していてもよい。また、振幅ピーク値Vs1、Vs2及びVs3はそれぞれ0.3[V]、0.4[V]及び0.5[V]であってもよい。0.3[V]は0.25[V]以上0.35[V]未満、0.4[V]は0.35[V]以上0.45[V]未満、0.5[V]は0.45[V]以上0.55[V]未満の範囲を有していてもよい。
【0046】
また、反射波到達時間Da1=Da4=Da7は58.5[nsec]、Da2=Da5=Da8は60[nsec]、Da3=Da6=Da9は61.5[nsec]であってもよい。また、振幅ピーク値Va1=Va2=Va3は0.33[V]、Va4=Va5=Va6は0.44[V]、Va7=Va8=Va9は0.55[V]であってもよい。また、パルス幅Wa1=Wa2=Wa3は0.9[nsec]、Wa4=Wa5=Wa6は1[nsec]、Wa7=Wa8=Wa9は1.1[nsec]であってもよい。これらの数値は、予めシミュレーションにより求められていてもよい。
【0047】
図7及び図8において、制御部5は、演算装置35及びレジスタ36を備えている。制御部5は、反射波検出部4にイネーブル信号を出力する。制御部5は、反射波到達時間検出部32の検出値に対応する、反射波キャンセル情報34の反射波到達時間Tsxを選択し、選択した反射波到達時間Tsxを反射波到達時間Tsとしてレジスタ36に格納する。
【0048】
制御部5は、第1のスイッチ42及びドライバ2に接続されている。第1のスイッチ42は、電子部品1の入力端子6とドライバ2の入力端との間に挿入されている。制御部5は、第1のスイッチ42を介してドライバ2へテスト信号を出力する。制御部5は、第1のスイッチ42の切り替えを制御する切り替え信号を出力する。第1のスイッチ42は、制御部5からの切り替え信号に基づいて、テスト信号及び電子部品1の入力端子6からの入力信号のいずれか一方を選択してドライバ2へ供給する。
【0049】
演算装置35は、レジスタ36に格納されている反射波到達時間Ts及び振幅ピーク値Vsの組み合わせをキーにして、反射波キャンセル情報34から、対応する反射波到達時間Dyz、振幅ピーク値Vyz及びパルス幅Wyzを抽出して読み出す。演算装置35は、読み出した反射波到達時間Dyz、振幅ピーク値Vyz及びパルス幅Wyzに基づいて、反射波24を抑止する信号25(図6参照)の反射波到達時間Dyz、振幅ピーク値Vyz及びパルス幅Wyzをそれぞれ設定する信号を生成する。
【0050】
制御部5は、生成した反射波到達時間Dyzを設定する信号をドライバ2のディレイ素子39へ出力する。制御部5は、生成したパルス幅Wyzを設定する信号をドライバ2のパルス生成部40へ出力する。制御部5は、生成した振幅ピーク値Vyzを設定する信号をドライバ2の加算部41へ出力する。
【0051】
制御部5は、ドライバ2に設けられている第2のスイッチ38の開閉を制御する切り替え信号を出力する。制御部5は、ドライバ2にテスト信号を供給する際には、第1のスイッチ42をテスト信号側に切り替え、かつ第2のスイッチ38を開く。それによって、テスト信号は、ドライバ2に設けられているドライバ本体37に供給されるが、ドライバ2のディレイ素子39側には供給されない。従って、ドライバ本体37にテスト信号が供給されている間は、反射波を抑止する信号が生成されない。
【0052】
制御部5は、ドライバ2に入力端子6からの入力信号(本信号)を供給する際には、第1のスイッチ42を本信号側に切り替え、かつ第2のスイッチ38を閉じる。それによって、入力端子6からの本信号は、ドライバ2のドライバ本体37及びディレイ素子39側の両方に供給される。従って、ドライバ本体37に本信号が供給されている間は、反射波を抑止する信号が生成される。
【0053】
上述した制御部5の各機能及び各動作は、ハードウェアにより実現されてもよいし、上述した制御部5の各機能及び各動作を実現するプログラムを演算装置35が実行することにより実現されてもよい。ここでは、上述した制御部5の各機能及び各動作が、それらを実現するプログラムの実行によって実現されるとし、このプログラムを実行したことにより実現される反射波キャンセル情報の抽出及び設定の動作については後述する。当該プログラムは、例えば記憶部3に記憶されていてもよい。
【0054】
電子部品1は、電源がオンになるたび、またはリセットされるたびに、反射波検出部4で各受信装置からの反射波を検出し、本信号に対する反射波を抑止する信号の反射波到達時間Dyz、振幅ピーク値Vyz及びパルス幅Wyzの設定を行う。また、電子部品1は、タイマー8から制御部5にタイミング信号が入力するたびに、すなわち一定時間ごとに、同様の動作を行って、本信号に対する反射波を抑止する信号の反射波到達時間Dyz、振幅ピーク値Vyz及びパルス幅Wyzを補正してもよい。電子部品1の全体の動作については後述する。
【0055】
ドライバ2は、ドライバ本体37、第2のスイッチ38、ディレイ素子39、パルス生成部40及び加算部41を備えている。第2のスイッチ38は、ドライバ2の入力端に接続されている。第2のスイッチ38は、制御部5からの切り替え信号に基づいて開閉する。
【0056】
ドライバ本体37の入力端は、ドライバ2の入力端に接続されている。ドライバ本体37は、入力端子6からドライバ本体37に入力された本信号に基づいて、A〜Dの各受信装置11〜14に印加する電圧信号、例えばメモリを駆動する電圧信号を出力する。ドライバ本体37は、制御部5からドライバ本体37に入力されたテスト信号に基づいて、反射波検出部4で反射波を測定するためのテストパターンを有する信号を出力する。
【0057】
テストパターンは、立ち上がりエッジまたは立ち下がりエッジのあとに同じ信号値がある程度のビット数、続くステップ形状をした波形であってもよい。ここでは、ステップ形状が立ち上がりエッジであるとして説明する。
【0058】
ディレイ素子39は、第2のスイッチ38及び制御部5に接続されている。ディレイ素子39は、入力端子6からの本信号を、反射波到達時間Dyzに応じた分、遅延させる。ディレイ素子39の一例については後述する。
【0059】
パルス生成部40は、ディレイ素子39及び制御部5に接続されている。パルス生成部40は、ディレイ素子39で遅延した信号から、パルス幅Wyzのパルス信号を生成する。パルス生成部40の一例については後述する。
【0060】
加算部41は、ドライバ本体37の出力端、パルス生成部40及び制御部5に接続されている。加算部41は、パルス生成部40で生成されたパルス信号の振幅を振幅ピーク値Vyzに調整する。加算部41は、振幅を調整したパルス信号とドライバ本体37の出力信号とを加算して電子部品1の出力端子7へ出力する。加算部41の一例については後述する。
【0061】
・振幅ピーク値検出部の一例
図10は、実施例2にかかる振幅ピーク値検出部の一例を示すブロック図である。図10に示すように、振幅ピーク値検出部31は、例えば複数のコンパレータ51a〜51d、複数のSRラッチ回路52a〜52d、複数のアンド回路53a〜53d及びデコーダ54を備えている。
【0062】
コンパレータ51a〜51d、SRラッチ回路52a〜52d及びアンド回路53a〜53dは、振幅ピーク値のしきい値の数分、設けられている。実施例2では、例えば0.9V、0.8V、0.7V、0.6Vの4つのしきい値で振幅ピーク値が判断されるため、コンパレータ51a〜51d、SRラッチ回路52a〜52d及びアンド回路53a〜53dは、4個ずつ設けられている。
【0063】
各コンパレータ51a〜51dの入力端は、振幅ピーク値検出部31の入力端子55に接続されている。各コンパレータ51a〜51dには、入力端子55から、受信装置A11で反射されて戻ってきた反射波が入力する。各コンパレータ51a〜51dは、互いに異なる電圧しきい値を有しており、反射波の電圧値を電圧しきい値と比較する。各コンパレータ51a〜51dは、例えば反射波の電圧値が電圧しきい値以上であると1を出力し、反射波の電圧値が電圧しきい値よりも低いと0を出力してもよい。
【0064】
第1のSRラッチ回路52aは、第1のコンパレータ51aの出力端に接続されている。第2のSRラッチ回路52bは、第2のコンパレータ51bの出力端に接続されている。第3のSRラッチ回路52cは、第3のコンパレータ51cの出力端に接続されている。第4のSRラッチ回路52dは、第4のコンパレータ51dの出力端に接続されている。各SRラッチ回路52a〜52dは、対応するコンパレータ51a〜51dの出力値をラッチする。
【0065】
第1のアンド回路53aは、制御部5からのイネーブル信号の入力端子56及び第1のSRラッチ回路52aに接続されている。第2のアンド回路53bは、イネーブル信号の入力端子56及び第2のSRラッチ回路52bに接続されている。第3のアンド回路53cは、イネーブル信号の入力端子56及び第3のSRラッチ回路52cに接続されている。第4のアンド回路53dは、イネーブル信号の入力端子56及び第2のSRラッチ回路52bに接続されている。
【0066】
第1のアンド回路53aは、イネーブル信号がアサートされている期間だけ、第1のSRラッチ回路52aにラッチされている値を出力する。第2のアンド回路53b、第3のアンド回路53c及び第4のアンド回路53dについても、同様である。従って、イネーブル信号がアサートされている期間が、反射波を測定する期間となる。
【0067】
デコーダ54は、アンド回路53a〜53dの出力端に接続されている。デコーダ54は、振幅ピーク値検出部31の出力端子57に、アンド回路53a〜53dの出力値に応じたデジタル値を出力する。デコーダ54から出力されたデジタル値は、振幅ピーク値検出部31が検出した反射波の振幅ピーク値Vsとして制御部5のレジスタ36に格納される。また、デコーダ54から出力されたデジタル値は、セレクト信号として反射波到達時間検出部32に渡される。
【0068】
ここで、反射波を測定する開始タイミングは、例えばテスト信号に基づいてドライバ2から出力された信号が受信装置A11に到達するタイミング以降であればよい。その理由は、受信装置A11で反射された反射波が振幅ピーク値検出部31に到達するときには既に振幅ピーク値検出部31での反射波の測定が開始されているので、振幅ピーク値検出部31は、受信装置A11で反射された反射波を確実に検出することができるからである。
【0069】
また、反射波を測定する終了タイミングは、例えば受信装置A11の次にドライバ2に近い受信装置B12からの反射波が振幅ピーク値検出部31に到達する直前のタイミングまであればよい。その理由は、振幅ピーク値検出部31が受信装置B12からの反射波を検出してしまうのを防ぐことができるからである。
【0070】
好ましくは、反射波を測定する期間は、例えば上述した反射波22の到達時間の予測値tを挟んでその予測値tの前後数%程度の時間であってもよい。そうすれば、振幅ピーク値検出部31が外来ノイズなどの不要な成分を検出してしまうのを防ぐことができるからである。
【0071】
図11は、実施例2にかかる振幅ピーク値検出部の一例の動作を説明する図である。図11において、左側上段はテスト信号によって発生する受信装置A11からの反射波22の波形であり、左側下段はコンパレータ51a〜51dの動作説明である。図11に示すように、第1のコンパレータ51a、第2のコンパレータ51b、第3のコンパレータ51c及び第4のコンパレータ51dの電圧しきい値は、特に限定しないが、それぞれ、例えば0.9V、0.8V、0.7V及び0.6Vであってもよい。
【0072】
図11に示す例では、反射波22の振幅のピーク電圧値は、0.7Vよりも低くなっているが、0.6Vよりは低くなっていないので、第1のコンパレータ51a、第2のコンパレータ51b及び第3のコンパレータ51cはいずれも0を出力し、第4のコンパレータ51dは1を出力する。従って、第1のアンド回路53a、第2のアンド回路53b及び第3のアンド回路53cの出力値はいずれも0となり、第4のアンド回路53dの出力値は1となる。この場合、例えばデコーダ54は「0001」のデジタル値を出力してもよい。
【0073】
また、反射波22の振幅のピーク電圧値が0.6Vよりも低い場合には、第1のコンパレータ51a、第2のコンパレータ51b、第3のコンパレータ51c及び第4のコンパレータ51dはいずれも0を出力する。従って、第1のアンド回路53a、第2のアンド回路53b、第3のアンド回路53c及び第4のアンド回路53dの出力値は0となる。この場合、例えばデコーダ54は「0000」のデジタル値を出力してもよい。
【0074】
また、反射波22の振幅のピーク電圧値が0.8Vよりも低く、0.7V以上である場合には、第1のコンパレータ51a及び第2のコンパレータ51bはいずれも0を出力し、第3のコンパレータ51c及び第4のコンパレータ51dはいずれも1を出力する。従って、第1のアンド回路53a及び第2のアンド回路53bの出力値はいずれも0となり、第3のアンド回路53c及び第4のアンド回路53dの出力値はいずれも1となる。この場合、例えばデコーダ54は「0011」のデジタル値を出力してもよい。
【0075】
また、反射波22の振幅のピーク電圧値が0.9Vよりも低く、0.8V以上である場合には、第1のコンパレータ51aは0を出力し、第2のコンパレータ51b、第3のコンパレータ51c及び第4のコンパレータ51dはいずれも1を出力する。従って、第1のアンド回路53aの出力値は0となり、第2のアンド回路53b、第3のアンド回路53c及び第4のアンド回路53dの出力値はいずれも1となる。この場合、例えばデコーダ54は「0111」のデジタル値を出力してもよい。
【0076】
また、反射波22の振幅のピーク値が0.9V以上である場合には、第1のコンパレータ51a、第2のコンパレータ51b、第3のコンパレータ51c及び第4のコンパレータ51dはいずれも1を出力する。従って、第1のアンド回路53a、第2のアンド回路53b、第3のアンド回路53c、第4のアンド回路53dの出力値はいずれも1となる。この場合、例えばデコーダ54は「1111」のデジタル値を出力してもよい。
【0077】
・反射波到達時間検出部の一例
図12は、実施例2にかかる反射波到達時間検出部の一例を示すブロック図である。図12に示すように、反射波到達時間検出部32は、例えば複数のコンパレータ61a〜61e、複数のインバータ62a〜62e、複数のSRラッチ回路63a〜63d、複数のアンド回路64a〜64d、複数のカウンタ65a〜65d及びセレクタ66を備えている。
【0078】
そのうち、振幅ピーク値のしきい値の数分、例えば4個ずつの第5〜第8のコンパレータ61a〜61d、第1〜第4のインバータ62a〜62d、第5〜第8のSRラッチ回路63a〜63d及び第5〜第8のアンド回路64a〜64dは、第1〜第4のカウンタ65a〜65dのカウントアップを停止させるストップ信号を生成する。また、第9のコンパレータ61e及び第5のインバータ62eは、第1〜第4のカウンタ65a〜65dのカウントアップを開始させるスタート信号を生成する。
【0079】
各コンパレータ61a〜61eの入力端は、反射波到達時間検出部32の入力端子67に接続されている。各コンパレータ61a〜61eには、入力端子67から、受信装置A11で反射されて戻ってきた反射波が入力する。第5〜第8のコンパレータ61a〜61dは、互いに異なる電圧しきい値を有しており、反射波の電圧値を電圧しきい値と比較する。第5〜第8のコンパレータ61a〜61dは、例えば反射波の電圧値が電圧しきい値以上であると1を出力し、反射波の電圧値が電圧しきい値よりも低いと0を出力してもよい。
【0080】
第9のコンパレータ61eは、例えばテスト信号に基づいてドライバ2から出力された信号の立ち上がりの振幅がピーク値の例えば50%に満たないと1を出力し、振幅がピーク値の例えば50%以上になると当該信号が立ち下がるまで0を出力してもよい。
【0081】
第1のインバータ62aは、第5のコンパレータ61aの出力端に接続されている。第2のインバータ62bは、第6のコンパレータ61bの出力端に接続されている。第3のインバータ62cは、第7のコンパレータ61cの出力端に接続されている。第4のインバータ62dは、第8のコンパレータ61dの出力端に接続されている。第5のインバータ62eは、第9のコンパレータ61eの出力端に接続されている。各インバータ62a〜63eは、対応するコンパレータ61a〜61eの出力値が0である場合には1に反転し、1である場合には0に反転する。
【0082】
第5のSRラッチ回路63aは、第1のインバータ62aの出力端に接続されている。第6のSRラッチ回路63bは、第2のインバータ62bの出力端に接続されている。第7のSRラッチ回路63cは、第3のインバータ62cの出力端に接続されている。第8のSRラッチ回路63dは、第4のインバータ62dの出力端に接続されている。各SRラッチ回路63a〜63dは、対応するインバータ62a〜62dの出力値をラッチする。
【0083】
第5のアンド回路64aは、制御部5からのイネーブル信号の入力端子68及び第5のSRラッチ回路63aに接続されている。第6のアンド回路64bは、イネーブル信号の入力端子68及び第6のSRラッチ回路63bに接続されている。第7のアンド回路64cは、イネーブル信号の入力端子68及び第7のSRラッチ回路63cに接続されている。第8のアンド回路64dは、イネーブル信号の入力端子68及び第8のSRラッチ回路63dに接続されている。
【0084】
第5のアンド回路64aは、イネーブル信号がアサートされている期間、すなわち反射波を測定する期間だけ、第5のSRラッチ回路63aにラッチされている値を出力する。第6のアンド回路64b、第7のアンド回路64c及び第8のアンド回路64dについても、同様である。
【0085】
第1のカウンタ65aは、第5のインバータ62eの出力端、クロック信号の入力端子69及び第5のアンド回路64aの出力端に接続されている。第2のカウンタ65bは、第5のインバータ62eの出力端、クロック信号の入力端子69及び第6のアンド回路64bの出力端に接続されている。第3のカウンタ65cは、第5のインバータ62eの出力端、クロック信号の入力端子69及び第7のアンド回路64cの出力端に接続されている。第4のカウンタ65dは、第5のインバータ62eの出力端、クロック信号の入力端子69及び第8のアンド回路64dの出力端に接続されている。
【0086】
第1のカウンタ65aは、第5のインバータ62eから出力されるスタート信号に応じてクロック数のカウントを開始する。例えばテスト信号に基づいてドライバ2から出力された信号の立ち上がりの振幅が例えば50%に達するタイミングで第9のコンパレータ61eの出力値が1から0に切り替わる。それに伴って、第5のインバータ62eの出力値が0から1に切り替わる。
【0087】
第1のカウンタ65aは、第5のインバータ62eの出力値、すなわちスタート信号の値が0から1に切り替わるタイミングで、クロック数のカウントを開始する。第2のカウンタ65b、第3のカウンタ65c及び第4のカウンタ65dについても、同様である。
【0088】
第1のカウンタ65aは、第5のアンド回路64aから出力されるストップ信号に応じてクロック数のカウントアップを停止する。第5のコンパレータ61aの出力値は、反射波の電圧値が第5のコンパレータ61aの電圧しきい値よりも低くなるタイミングで1から0に切り替わる。それに伴って、第1のインバータ62aの出力値が0から1に切り替わる。従って、第5のアンド回路64aの出力値は、イネーブル信号がアサートされている期間、すなわち反射波を測定する期間において、0から1に切り替わる。
【0089】
第1のカウンタ65aは、第5のアンド回路64aの出力値、すなわちストップ信号の値が0から1に切り替わるタイミングで、クロック数のカウントを停止する。第2のカウンタ65b、第3のカウンタ65c及び第4のカウンタ65dについても、同様である。
【0090】
セレクタ66は、セレクト信号の入力端子70及びカウンタ65a〜65dの出力端に接続されている。セレクト信号の入力端子70には、振幅ピーク値検出部31のデコーダ54からセレクト信号が入力する。セレクタ66は、セレクト信号の値に基づいてカウンタ65a〜65dのうちの一つを選択する。セレクタ66は、反射波到達時間検出部32の出力端子71に、選択したカウンタの値を出力する。セレクタ66から出力された値は、反射波到達時間検出部32が検出した反射波到達時間の検出値として制御部5に渡される。
【0091】
図13は、実施例2にかかる反射波到達時間検出部の一例の動作を説明する図である。図13において、左側上段はテスト信号26及び受信装置A11からの反射波22の波形であり、左側下段はコンパレータ61a〜61d及びインバータ62a〜62dの動作説明である。図13に示すように、第5のコンパレータ61a、第6のコンパレータ61b、第7のコンパレータ61c及び第8のコンパレータ61dの電圧しきい値は、特に限定しないが、それぞれ、例えば0.9V、0.8V、0.7V及び0.6Vであってもよい。
【0092】
図13に示す例では、テスト信号26の立ち上がりの振幅がピーク値の例えば50%に達したタイミングで、各カウンタ65a〜65dがカウントを開始する。その後、イネーブル信号がアサートされている期間、すなわち反射波22を測定する期間において、反射波22の電圧値が0.9Vに達したタイミングで、第5のコンパレータ61aの出力値が1から0に切り替わる。それに伴って、第1のインバータ62aの出力値が0から1に切り替わる。従って、第5のアンド回路64aの出力値が1となり、第1のカウンタ65aのカウントアップが停止する。
【0093】
その後、イネーブル信号がアサートされている期間において、反射波22の電圧値が0.8Vに達したタイミングで、第2のカウンタ65bのカウントアップが停止する。さらに、イネーブル信号がアサートされている期間において、反射波22の電圧値が0.7Vに達したタイミングで、第3のカウンタ65cのカウントアップが停止する。
【0094】
さらに、イネーブル信号がアサートされている期間において、反射波22の電圧値が0.6Vに達すると、0.6Vに達したタイミングで、第4のカウンタ65dのカウントアップが停止する。図13に示す例では、反射波22の振幅のピーク電圧値は、0.7Vよりも低くなっているが、0.6Vよりは低くなっていないので、第4のカウンタ65dは停止しない。
【0095】
例えばデコーダ54からのセレクト信号の値が「0001」である場合、セレクタ66は、反射波到達時間検出部32が検出した反射波到達時間の検出値として、第4のカウンタ65dの出力値を出力してもよい。また、セレクト信号の値が「0011」である場合、セレクタ66は、第3のカウンタ65cの出力値を出力してもよい。また、セレクト信号の値が「0111」である場合、セレクタ66は、第2のカウンタ65bの出力値を出力してもよい。また、セレクト信号の値が「1111」である場合、セレクタ66は、第1のカウンタ65aの出力値を出力してもよい。
【0096】
・ディレイ素子の一例
図14は、実施例2にかかるディレイ素子の一例を示すブロック図である。図14に示すように、ディレイ素子39は、直列に接続された複数段のバッファ81〜84及びセレクタ85を備えている。ディレイ素子39の入力端子86に入力した信号は、バッファ81〜84を通過するたびに遅延していく。セレクタ85には、各バッファ81〜84の出力信号が入力する。セレクタ85は、各バッファ81〜84の出力信号のうち、制御部5から入力端子87に入力する、反射波到達時間Dyzを設定する信号に対応する遅延量の出力信号を選択して、ディレイ素子39の出力端子88へ出力する。
【0097】
・パルス生成部の一例
図15は、実施例2にかかるパルス生成部の一例を示すブロック図である。図16は、実施例2にかかるパルス生成部の一例の動作を説明する図である。図15において、E〜H,J〜Mの×印は、説明の便宜上を設けたノードを表す。図16には、E〜H,J〜Mの各ノードにおける波形が示されている。
【0098】
図15に示すように、パルス生成部40は、ディレイ素子91、エクスクルーシブオア回路(排他的論理和回路)92、2個のアンド回路93,94、2個のインバータ95,96及び加算回路97を備えている。ディレイ素子91は、パルス生成部40の前段のディレイ素子39と同様のものであってもよい。
【0099】
ディレイ素子91の入力端及びエクスクルーシブオア回路92の一方の入力端は、パルス生成部40の入力端子98(ノードE)に接続されている。エクスクルーシブオア回路92のもう一方の入力端(ノードF)は、ディレイ素子91の出力端に接続されている。
【0100】
従って、エクスクルーシブオア回路92の出力端(ノードG)からは、パルス生成部40への入力信号、すなわちパルス生成部40の前段のディレイ素子39の出力信号と、このディレイ素子39の出力信号をパルス生成部40のディレイ素子91で遅延させた信号との排他的論理和が出力される。つまり、図16に示すように、エクスクルーシブオア回路92は、パルス生成部40のディレイ素子91での遅延量によって決まるパルス幅Wyzのパルス信号を出力する。ディレイ素子91での遅延量は、制御部5から当該ディレイ素子91に入力する、パルス幅Wyzを設定する信号によって決まる。
【0101】
第9のアンド回路93の一方の入力端は、エクスクルーシブオア回路92の出力端に接続されている。第9のアンド回路93のもう一方の入力端は、パルス生成部40の入力端子98に接続されている。従って、第9のアンド回路93の出力端(ノードH)からは、エクスクルーシブオア回路92で生成されたパルス信号のうち、パルス生成部40への入力信号が1であるときのパルス信号が出力される。
【0102】
第6のインバータ95の入力端は、パルス生成部40の入力端子98に接続されている。従って、第6のインバータ95の出力端(ノードJ)からは、パルス生成部40への入力信号の反転信号が出力される。
【0103】
第10のアンド回路94の一方の入力端は、エクスクルーシブオア回路92の出力端に接続されている。第10のアンド回路94のもう一方の入力端は、第6のインバータ95の出力端に接続されている。従って、第10のアンド回路94の出力端(ノードK)からは、エクスクルーシブオア回路92で生成されたパルス信号のうち、パルス生成部40への入力信号が0であるときのパルス信号が出力される。
【0104】
第7のインバータ96の入力端は、第10のアンド回路94の出力端に接続されている。従って、第7のインバータ96の出力端(ノードL)からは、第10のアンド回路94から出力されたパルス信号の反転信号が出力される。
【0105】
加算回路97は、第9のアンド回路93の出力信号と第7のインバータ96の出力信号とを合成して正負のパルス信号を生成し、パルス生成部40の出力端子99(ノードM)へ出力する。
【0106】
・加算部の一例
図17は、実施例2にかかる加算部の一例を示すブロック図である。図17に示すように、加算部41は、第1の定電流化回路101、第2の定電流化回路102、第1のカレントミラー回路103及び第2のカレントミラー回路104を備えている。
【0107】
第1の定電流化回路101は、パルス生成部40から出力された電圧信号に基づいて第1のカレントミラー回路103に定電流I1を流す。第1の定電流化回路101は、第1のオペアンプ111及び第1の可変抵抗112を備えている。
【0108】
第1のオペアンプ111の非反転入力端子は、加算部41の第1の入力端子106に接続されている。第1の入力端子106には、パルス生成部40の出力電圧が印加される。第1のオペアンプ111の反転入力端子は、第1の可変抵抗112の一端に接続されている。第1の可変抵抗112の他端は、接地端子107に接続されている。第1のオペアンプ111の出力端子は、第1のカレントミラー回路103に設けられている第1のトランジスタ113のコレクタ及びベースに接続されている。
【0109】
第1のカレントミラー回路103は、第1のトランジスタ113、第2のトランジスタ114及び第2の可変抵抗115を備えている。第1のトランジスタ113のエミッタは、第1のオペアンプ111の反転入力端子に接続されている。
【0110】
第2のトランジスタ114のコレクタは、第2のトランジスタ114のベース、第1のトランジスタ113のベース及び第1の抵抗105の一端に接続されている。第1の抵抗105の他端は、電源端子に接続されている。第2のトランジスタ114のエミッタは、第2の可変抵抗115の一端に接続されている。第2の可変抵抗115の他端は、接地端子107に接続されている。
【0111】
第2の定電流化回路102は、ドライバ本体37から出力された電圧信号に基づいて第2のカレントミラー回路104に定電流I2を流す。第2の定電流化回路102は、第2のオペアンプ121及び第2の抵抗122を備えている。
【0112】
第2のオペアンプ121の非反転入力端子は、加算部41の第2の入力端子108に接続されている。第2の入力端子108には、ドライバ本体37の出力電圧が印加される。第2のオペアンプ121の反転入力端子は、第2の抵抗122の一端に接続されている。第2の抵抗122の他端は、接地端子109に接続されている。第2のオペアンプ121の出力端子は、第2のカレントミラー回路104に設けられている第3のトランジスタ123のコレクタ及びベースに接続されている。
【0113】
第2のカレントミラー回路104は、第3のトランジスタ123、第4のトランジスタ124及び第3の抵抗125を備えている。第3のトランジスタ123のエミッタは、第2のオペアンプ121の反転入力端子に接続されている。
【0114】
第4のトランジスタ124のコレクタは、第4のトランジスタ124のベース、第3のトランジスタ123のベース及び第1の抵抗105の一端(第2のトランジスタ114のコレクタ)に接続されている。第4のトランジスタ124のエミッタは、第3の抵抗125の一端に接続されている。第3の抵抗125の他端は、接地端子109に接続されている。
【0115】
第1の定電流化回路101により第1のカレントミラー回路103の第1のトランジスタ113に電流I1が流れると、第1のカレントミラー回路103の第2のトランジスタ114にも電流I1が流れる。電流I1は、第1の可変抵抗112及び第2の可変抵抗115の抵抗値に応じて決まる。第1の可変抵抗112及び第2の可変抵抗115の抵抗値は、制御部5から加算部41に入力する、振幅ピーク値Vyzを設定する信号によって調整される。
【0116】
第2の定電流化回路102により第2のカレントミラー回路104の第3のトランジスタ123に電流I2が流れると、第2のカレントミラー回路104の第4のトランジスタ124にも電流I2が流れる。従って、第1の抵抗105には、I1とI2とを加算した電流(I1+I2)が流れる。それによって、ドライバ本体37から出力される本信号の電圧と反射波を抑止するパルス信号の電圧とを加算した電圧Voが第1の抵抗105に発生する。
【0117】
・電子部品の全体の動作
図18は、実施例2にかかる電子部品の全体の動作を説明するフローチャートである。図18に示すように、電子部品1の電源がオンになるか、または電子部品1がリセットされると、制御部5は、第1のスイッチ42をテスト信号側に切り替え、かつ第2のスイッチ38を開き、ドライバ2にテスト信号を送信する。それによってドライバ本体37は、ステップ波形のテストパターンを有する信号を受信装置A11へ送信する(ステップS11)。
【0118】
反射波検出部4は、ドライバ本体37から送信されたテストパターンの信号が受信装置A11で反射されて戻ってきた反射波を検出する(ステップS12)。その際、振幅ピーク値検出部31は、反射波の振幅ピーク値Vsを検出する。反射波到達時間検出部32は、反射波が反射波到達時間検出部32に到達するまでの時間を検出する。
【0119】
次いで、制御部5は、反射波到達時間検出部32の検出値に基づいて、反射波の反射波到達時間Tsを求める。演算装置35は、反射波を抑止したい受信装置用の反射波キャンセル情報34から、振幅ピーク値Vsと反射波到達時間Tsとの組み合わせに該当する反射波到達時間Dyz、振幅ピーク値Vyz及びパルス幅Wyzを抽出する。そして、演算装置35は、抽出した各値を反射波抑止用のパルス値に決定する(ステップS13)。
【0120】
次いで、制御部5は、ディレイ素子39、パルス生成部40及び加算部41に反射波抑止用のパルス値を設定する。また、制御部5は、第1のスイッチ42を本信号側に切り替え、かつ第2のスイッチ38を閉じる。それによって、ドライバ2は、入力端子6から入力された本信号に基づいてドライバ本体37が出力した信号と、ディレイ素子39、パルス生成部40及び加算部41で生成された反射波抑止用のパルス信号とを合成した信号(合成波)を受信装置へ送信する(ステップS14)。
【0121】
一定時間が経過してタイマー8から制御部5にタイミング信号が入力すると(ステップS15)、ステップS11と同様にして、電子部品1は、ステップ波形のテストパターンを有する信号を受信装置A11へ送信する(ステップS16)。そして、ステップS12と同様にして、反射波検出部4は、反射波を検出してその検出結果を制御部5へフィードバックする(ステップS17)。
【0122】
次いで、ステップS13と同様にして、制御部5は、フィードバックされた値に基づいて、反射波抑止用のパルス値に決定し、変更の必要があればパルス値の設定を変更する(ステップS18)。そして、ステップS14に戻り、これ以降、電子部品1の電源がオフになるか、電子部品1がリセットされるまで、ステップS14〜ステップS18が繰り返される。
【0123】
・反射波キャンセル情報の抽出及び設定の動作
図19は、実施例2にかかる電子部品における反射波キャンセル情報の抽出及び設定の動作を説明するフローチャートである。図18に示すフローチャートのステップS12〜ステップS13及びステップS17〜ステップS18では、図19に示すフローチャートの動作が行われる。
【0124】
図19に示すように、振幅ピーク値検出部31は、反射波の振幅ピーク値Vsを検出し、反射波到達時間検出部32は、反射波が反射波到達時間検出部32に到達するまでの時間を検出する(ステップS21)。
【0125】
次いで、制御部5は、反射波到達時間検出部32の検出値を、反射波を抑止したい受信装置用の反射波キャンセル情報34に複数、設けられている反射波到達時間Tsのいずれに該当するか分類する(ステップS22)。例えば、反射波到達時間検出部32の検出値が39.2[nsec]である場合には、反射波到達時間Tsは39[nsec]に分類され、39.6[nsec]である場合には40[nsec]に分類されてもよい。
【0126】
次いで、演算装置35は、反射波を抑止したい受信装置用の反射波キャンセル情報34から、振幅ピーク値Vsと反射波到達時間Tsとの組み合わせに該当する反射波到達時間Dyz、振幅ピーク値Vyz及びパルス幅Wyzを抽出する(ステップS23)。
【0127】
次いで、演算装置35は、抽出した反射波到達時間Dyzを、ディレイ素子39のセレクタ85において各バッファ81〜84からの入力信号のうちのいずれかを選択する値(セレクタ値)に変換する(ステップS24)。また、演算装置35は、抽出したパルス幅Wyzを、パルス生成部40のディレイ素子91での遅延量(ディレイ値)に変換する(ステップS25)。また、演算装置35は、抽出した振幅ピーク値Vyzを、加算部41の第1の可変抵抗112及び第2の可変抵抗115の可変抵抗値に変換する(ステップS26)。
【0128】
次いで、制御部5は、変換したセレクタ値をディレイ素子39のセレクタ85に設定し、変換したディレイ値をパルス生成部40のディレイ素子91に設定し、変換した可変抵抗値を加算部41の第1の可変抵抗112及び第2の可変抵抗115に設定する。そして、制御部5は、第1のスイッチ42、第2のスイッチ38、ディレイ素子39、パルス生成部40及び加算部41に実行を指示する(ステップS27)。
【0129】
上述した動作において、ドライバ2からの本信号の出力先が、現在の受信装置(例えば受信装置A11)から別の受信装置(例えば受信装置B12)に切り替わることがある。その場合、演算装置35は、参照する反射波キャンセル情報34を、現在の受信装置用のものから切り替え後の受信装置用のものに切り替えることになる。
【0130】
バス配線15の配線長と信号の伝送速度によっては反射波が伝送波形の1ビット分よりもあとで発生することがあり、それに合わせて反射波を抑止する信号も数ビットあとで発生する場合がある。演算装置35が参照する反射波キャンセル情報34を、出力先の受信装置の切替タイミングと同じタイミングで切り替えた場合、切り替え前の受信装置用の反射波キャンセル情報34に基づいて出力された反射波を抑止する信号が、受信装置の切り替え後の本信号にとって不要な信号になってしまうという不都合が生じることがある。
【0131】
そこで、演算装置35は、参照する反射波キャンセル情報34の切替タイミングを、出力先の受信装置の切替タイミングよりも前にしてもよい。具体的には、参照する反射波キャンセル情報34の切替タイミングは、切り替え前の受信装置での反射波を抑止する信号がドライバ2から出力されないようなタイミングであるのが好ましい。
【0132】
つまり、切り替え前の受信装置での反射波を抑止する信号がドライバ2から出力されるタイミングよりも数ビット程度前のタイミングで、演算装置35は、参照する反射波キャンセル情報34を切り替えるようにしてもよい。そうすれば、受信装置の切り替え後の本信号にとって不要な信号がドライバ2から出力されるのを防ぐことができる。
【0133】
・マザーボードに適用した例
図20は、マザーボードの一例を示すブロック図である。図20に示すように、マザーボード131には、CPU(Central Processing Unit、中央演算処理装置)132及びソケット133が設けられている。CPU132には、メモリコントローラ134が設けられている。ソケット133には、メモリボード135が取り付けられる。上述した電子部品1は、例えばメモリコントローラ134に設けられていてもよい。各受信装置11〜14は、メモリボード135に設けられていてもよい。また、ソケットはマザーボード131上に複数設けられていてもよい。
【0134】
実施例2によれば、実施例1と同様の効果が得られる。
【0135】
なお、反射波キャンセル情報34にパルス幅Wyzが規定されていなくてもよい。この場合には、予めパルス幅を所定の値に設定しておいてもよい。
【0136】
上述した実施例1〜2に関し、さらに以下の付記を開示する。
【0137】
(付記1)受信装置に対して、信号を出力するドライバと、前記信号が前記受信装置で反射されて前記ドライバに戻る反射波に関する反射情報を記憶する記憶部と、前記反射情報を基に反射波を測定する測定時間を決定し、前記測定時間に基づいて反射波の到達時間と反射波の振幅ピーク値を測定する反射波検出部と、前記到達時間と前記振幅ピーク値から、前記受信装置における反射波の影響を抑止する反射波キャンセル情報を抽出し、前記ドライバに反射波キャンセル情報を設定する制御部と、を有することを特徴とする電子部品。
【0138】
(付記2)前記反射波を測定する開始タイミングは、前記ドライバから出力された信号が前記受信装置に到達するタイミングよりも後で、かつ前記反射波を測定する終了タイミングは、前記受信装置とは別の受信装置からの反射波が前記ドライバに到達するタイミングよりも前であることを特徴とする付記1に記載の電子部品。
【0139】
(付記3)前記制御部は、前記反射波検出部が前記測定時間を制御する制御信号を出力し、前記反射波検出部は、前記制御信号に基づいて前記測定時間を決定することを特徴とする付記1または2に記載の電子部品。
【0140】
(付記4)前記反射波キャンセル情報は、前記反射波検出部で測定された前記到達時間と前記振幅ピーク値とに関連付けられた、前記受信装置での反射波の到達時間及び前記受信装置での反射波の振幅ピーク値の情報を含むことを特徴とする付記1〜3のいずれか一つに記載の電子部品。
【0141】
(付記5)前記ドライバは、前記制御部により設定された前記受信装置での反射波の到達時間に基づいてパルスの生成タイミングを遅らせるディレイ素子と、前記パルスを生成するパルス生成部と、前記制御部により設定された前記受信装置での反射波の振幅ピーク値に基づいて前記パルスの振幅ピーク値を調整して本信号に加算する加算部と、を有することを特徴とする付記4に記載の電子部品。
【0142】
(付記6)前記反射波キャンセル情報は、前記反射波検出部で測定された前記到達時間と前記振幅ピーク値とに関連付けられた、前記受信装置での反射波のパルス幅の情報を含み、前記パルス生成部は、前記制御部により設定された前記受信装置での反射波のパルス幅に基づいて前記パルスのパルス幅を調整することを特徴とする付記5に記載の電子部品。
【0143】
(付記7)受信装置で反射されて、前記受信装置に対して信号を出力するドライバに戻る反射波に関する反射情報に基づいて反射波を測定する測定時間を決定し、前記測定時間に基づいて反射波の到達時間と反射波の振幅ピーク値を測定し、前記到達時間と前記振幅ピーク値から、前記受信装置における前記反射波の影響を抑止する反射波キャンセル情報を抽出し、前記ドライバに反射波キャンセル情報を設定することを特徴とする反射波キャンセル方法。
【0144】
(付記8)前記反射波を測定する開始タイミングは、前記ドライバから出力された信号が前記受信装置に到達するタイミングよりも後で、かつ前記反射波を測定する終了タイミングは、前記受信装置とは別の受信装置からの反射波が前記ドライバに到達するタイミングよりも前であることを特徴とする付記7に記載の反射波キャンセル方法。
【0145】
(付記9)前記反射情報を、基板の比誘電率、及び前記ドライバから前記受信装置までの配線長に基づいて導出することを特徴とする付記7または8に記載の反射波キャンセル方法。
【符号の説明】
【0146】
1 電子部品
2 ドライバ
3 記憶部
4 反射波検出部
5 制御部
11〜14 受信装置
33 反射情報
34 反射波キャンセル情報
39 ディレイ素子
40 パルス生成部
41 加算部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
受信装置に対して、信号を出力するドライバと、
前記信号が前記受信装置で反射されて前記ドライバに戻る反射波に関する反射情報を記憶する記憶部と、
前記反射情報を基に反射波を測定する測定時間を決定し、前記測定時間に基づいて反射波の到達時間と反射波の振幅ピーク値を測定する反射波検出部と、
前記到達時間と前記振幅ピーク値から、前記受信装置における反射波の影響を抑止する反射波キャンセル情報を抽出し、前記ドライバに反射波キャンセル情報を設定する制御部と、
を有することを特徴とする電子部品。
【請求項2】
前記反射波を測定する開始タイミングは、前記ドライバから出力された信号が前記受信装置に到達するタイミングよりも後で、かつ前記反射波を測定する終了タイミングは、前記受信装置とは別の受信装置からの反射波が前記ドライバに到達するタイミングよりも前であることを特徴とする請求項1に記載の電子部品。
【請求項3】
前記制御部は、前記反射波検出部が前記測定時間を制御する制御信号を出力し、
前記反射波検出部は、前記制御信号に基づいて前記測定時間を決定することを特徴とする請求項1または2に記載の電子部品。
【請求項4】
前記反射波キャンセル情報は、前記反射波検出部で測定された前記到達時間と前記振幅ピーク値とに関連付けられた、前記受信装置での反射波の到達時間及び前記受信装置での反射波の振幅ピーク値の情報を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の電子部品。
【請求項5】
前記ドライバは、
前記制御部により設定された前記受信装置での反射波の到達時間に基づいてパルスの生成タイミングを遅らせるディレイ素子と、
前記パルスを生成するパルス生成部と、
前記制御部により設定された前記受信装置での反射波の振幅ピーク値に基づいて前記パルスの振幅ピーク値を調整して本信号に加算する加算部と、
を有することを特徴とする請求項4に記載の電子部品。
【請求項6】
受信装置で反射されて、前記受信装置に対して信号を出力するドライバに戻る反射波に関する反射情報に基づいて反射波を測定する測定時間を決定し、
前記測定時間に基づいて反射波の到達時間と反射波の振幅ピーク値を測定し、
前記到達時間と前記振幅ピーク値から、前記受信装置における前記反射波の影響を抑止する反射波キャンセル情報を抽出し、前記ドライバに反射波キャンセル情報を設定することを特徴とする反射波キャンセル方法。
【請求項1】
受信装置に対して、信号を出力するドライバと、
前記信号が前記受信装置で反射されて前記ドライバに戻る反射波に関する反射情報を記憶する記憶部と、
前記反射情報を基に反射波を測定する測定時間を決定し、前記測定時間に基づいて反射波の到達時間と反射波の振幅ピーク値を測定する反射波検出部と、
前記到達時間と前記振幅ピーク値から、前記受信装置における反射波の影響を抑止する反射波キャンセル情報を抽出し、前記ドライバに反射波キャンセル情報を設定する制御部と、
を有することを特徴とする電子部品。
【請求項2】
前記反射波を測定する開始タイミングは、前記ドライバから出力された信号が前記受信装置に到達するタイミングよりも後で、かつ前記反射波を測定する終了タイミングは、前記受信装置とは別の受信装置からの反射波が前記ドライバに到達するタイミングよりも前であることを特徴とする請求項1に記載の電子部品。
【請求項3】
前記制御部は、前記反射波検出部が前記測定時間を制御する制御信号を出力し、
前記反射波検出部は、前記制御信号に基づいて前記測定時間を決定することを特徴とする請求項1または2に記載の電子部品。
【請求項4】
前記反射波キャンセル情報は、前記反射波検出部で測定された前記到達時間と前記振幅ピーク値とに関連付けられた、前記受信装置での反射波の到達時間及び前記受信装置での反射波の振幅ピーク値の情報を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の電子部品。
【請求項5】
前記ドライバは、
前記制御部により設定された前記受信装置での反射波の到達時間に基づいてパルスの生成タイミングを遅らせるディレイ素子と、
前記パルスを生成するパルス生成部と、
前記制御部により設定された前記受信装置での反射波の振幅ピーク値に基づいて前記パルスの振幅ピーク値を調整して本信号に加算する加算部と、
を有することを特徴とする請求項4に記載の電子部品。
【請求項6】
受信装置で反射されて、前記受信装置に対して信号を出力するドライバに戻る反射波に関する反射情報に基づいて反射波を測定する測定時間を決定し、
前記測定時間に基づいて反射波の到達時間と反射波の振幅ピーク値を測定し、
前記到達時間と前記振幅ピーク値から、前記受信装置における前記反射波の影響を抑止する反射波キャンセル情報を抽出し、前記ドライバに反射波キャンセル情報を設定することを特徴とする反射波キャンセル方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2013−51511(P2013−51511A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−187647(P2011−187647)
【出願日】平成23年8月30日(2011.8.30)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月30日(2011.8.30)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]