説明

電子部品固定具

【課題】ケーブルを保持するブラケットを容易かつ確実にシャーシに固定する。
【解決手段】本発明に係る電子部品固定具は、電子部品から延在するケーブルを保持可能とするケーブル保持部と、シャーシ側の回動被係止部と回動可能に係止可能な回動係止部と、ブラケットをシャーシに装着するとき、回動係止部と回動被係止部が回動可能に係止された状態で、固定端がシャーシ側の勘合壁を乗り越え、シャーシ側の勘合孔に勘合するように可撓可能に形成される第1可撓部と、ブラケットをシャーシから取り外すとき、固定部に作用する力によって、固定端が離脱孔を通過するように可撓可能に形成された第2可撓部と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置などの電子機器内部において、ハードディスクなどケーブルが延在する各種電子部品を固定するための電子部品固定具に関するものであり、特に、電子部品固定のためのシャーシと、電子部品から延在するケーブル保護のために設けられたブラケットの組み合わせからなる電子部品固定具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、コンピュータなどの電子機器では、内蔵するハードディスクや、各種基板などの電子部品を安定的に固定するために金属製のシャーシが設けられている。このような電子部品から延在するケーブルは、電子機器内部の各種部品との干渉を避けるとともに、ケーブル自身を断線から保護するため、また、電子機器内におけるメンテナンス性の向上を図ることを目的として、ケーブル同士を結束する、あるいは、電子機器内部に固定することが行われている。
【0003】
特許文献1には、自動車のエンジンルーム内に配設されるホース、ワイヤーハーネス等を車体の所定箇所に固定するために、車体の該当箇所に予め取り付けられたブラケットにクリップを差し込み固定して、このクリップにホース、ワイヤーハーネスなどを保持させる際、ブラケットとクリップの装着を容易かつ迅速に行うことを可能とする線状体固定具が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−90868公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように電子機器内におけるケーブル、あるいは、自動車内におけるホース、ワイヤーハーネスのような紐状体は、その自由な形状のため、所定箇所に保持することが断線あるいはメンテナンス性の向上を図る上で好ましい。
【0006】
現状、電子機器内に内蔵される各種電子部品から延在するケーブルを固定具を介して結束、あるいは、所定位置に固定する工程、また、メンテナンスのために固定具を取り外す工程は人手によって行われることが多く、その係止ミス、固定ミスが生じることが考えられる。また、固定具を容易に装着できたとしても、その取り外しのために大きな人力が必要となれば、人手によるメンテナンスのための取り外しが容易でなくなる。一方、固定具の装着と取り外しの両方を容易にすると、固定具が所定位置に固定されたときに、ケーブルに加わる力などによって、電子部品固定具が使用中に不用意に取り外されたりすれば、ケーブルの固定自体が安定しない可能性が高くなる。
【0007】
本発明では、電子機器内においてシャーシ上に設置される電子部品から延在するケーブルを、所定位置に容易に係止、固定することを可能とする電子部品固定具を提供することを目的としている。また、電子部品固定具を構成するシャーシとブラケットの着脱を容易に、かつ、シャーシへブラケットの固定をも確実に行うことのできる電子部品固定具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そのため本発明に係る電子部品固定具は、
電子部品を固定するためのシャーシと、ブラケットが所定位置関係となるように固定される電子部品固定具において、
前記シャーシは、回動被係止部と、勘合孔と、前記勘合孔の周囲に形成された勘合壁と、前記勘合孔に連通する離脱孔を備え、
前記ブラケットは、ケーブル保持部と、回動係止部と、位置決め部と、固定部と、を備え、
前記ケーブル保持部は、前記電子部品から延在するケーブルを保持可能であり、
前記回動係止部は、前記シャーシ側の前記回動被係止部と回動可能に係止可能であり、
前記位置決め部は、前記回動係止部と前記回動被係止部が回動可能に係止されるとき、所定位置において前記シャーシと前記ブラケットの位置決めをし、
前記固定部は、前記回動係止部と前記回動被係止部が回動可能に係止されるとき、所定位置においてシャーシとブラケットを固定する固定端と、第1可撓部と、第2可撓部とを備え、
前記第1可撓部は、前記ブラケットを前記シャーシに装着するとき、前記回動係止部と前記回動被係止部が回動可能に係止された状態で、前記固定端がシャーシ側の勘合壁を乗り越え、前記シャーシ側の前記勘合孔に勘合するように可撓可能に形成され、
前記第2可撓部は、前記ブラケットを前記シャーシから取り外すとき、前記固定部に作用する力によって、前記固定端が離脱孔を通過するように可撓可能に形成されることを特徴とする。
【0009】
さらに本発明に係る電子部品固定具において、
前記位置決め部は、複数設けられていることを特徴とする。
【0010】
さらに本発明に係る電子部品固定具は、
前記固定部と、前記回動係止部は、前記ブラケットを前記シャーシから取り外すとき前記固定部に作用させる力の分力が、前記シャーシに対して前記ブラケット回動させる回転力となる位置関係に配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の電子部品固定具によれば、電子部品が固定されるシャーシに対して固定されるブラケットにケーブル保持部を設けたことで、電子部品から延在するケーブルを所定位置に容易に係止、固定することが可能となる。そして、電子部品固定具を構成するシャーシとブラケットは、ブラケット側に設けられた回動係止部、位置決め部、固定部によって、互いの脱着を容易に、かつ、確実に行うことが可能となる。
【0012】
さらに、位置決め部を複数設けることで、シャーシとブラケットをより強固に固定することが可能となる。
【0013】
さらに、固定部と、回動係止部は、ブラケットを前記シャーシから取り外すとき固定部に作用させる力の分力が、シャーシに対してブラケット回動させる回転力となる位置関係に配置したことで、シャーシとブラケットの取り外しの容易化を図り、工場などでの作業の効率化向上を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態に係るブラケットとシャーシ(取り外し時)を示す斜視図
【図2】本発明の実施形態に係るブラケットを示す斜視図
【図3】本発明の実施形態に係るブラケットをシャーシに装着する様子を示す側面図
【図4】本発明の実施形態に係るブラケットとシャーシ(装着時)を示す斜視図
【図5】本発明の実施形態に係る固定部を示す上面図と側面図
【図6】本発明の実施形態に係る被固定部を示す斜視図
【図7】本発明の実施形態に係るブラケット装着時における固定部と被固定部の様子を示す模式図
【図8】本発明の実施形態に係るブラケット取り外し時における固定部と被固定部の様子を示す模式図
【図9】本発明の実施形態に係るブラケット取り外し時における固定部に作用する力を説明するための図
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、本発明の実施形態に係る電子部品固定具を示す斜視図であり、電子部品固定具を構成するブラケット10とシャーシ20が取り外された状態で示されている。本実施形態の電子部品固定具は、シャーシ20に対してブラケット10を装着することで構成される。シャーシ20にブラケット10を装着した後、電子部品固定具には、基板やハードディスクなど各種電子部品がネジなどによって固定される。その際、電子部品から延在するケーブルは、ブラケット10に設けられたケーブル保持部14によって所定位置に保持され、取り付け作業のし易さ、並びに完成後のメンテナンスのし易さを確保している。このように電子部品が固定された電子部品固定具は、電子機器の筐体内に固定されることとなる。
【0016】
では、電子部品固定具を構成するシャーシ20とブラケット10の構成について図を用いて詳細に説明を行う。シャーシ20は電子部品を安定して固定するため、鉄、アルミなどの金属板にて構成されている。シャーシ20の形状は装着する電子部品の大きさ、数などによって様々な形態をとることができるが、本実施形態では、底板21とその左右に設けられた立壁24a、24bを主な構成要素としている。図1には、説明のためシャーシ20の底板21がZX平面と平行となるように、また、立壁24aがXY平面と平行となるように座標軸をとっている。
【0017】
底板21、立壁24bには電子部品をシャーシ20に固定すること、並びに、シャーシ20を電子機器内に固定することを目的としたねじ穴が適宜箇所に設けられている。シャーシ20を電子機器内に固定するため、立壁24a、24bの上部からはシャーシ固定部25a〜cが延在している。また、ブラケット10の装着面となる立壁24aには、ブラケット10を装着、固定するための構成として、回動被係止部22、3箇所の被位置決め部23a〜23c、被固定部40が設けられている。
【0018】
一方、ブラケット10は、立壁24aに対し、そのベース部11を対向させて装着される。本実施形態のブラケット10は、プラスチックなど可撓性を有する樹脂で一体成形されているが、複数のパーツを組み合わせて1つのブラケット10を構成することとしてもよい。板状に形成されたベース部10には、電子部品から延在するケーブルを保持するためのケーブル保持部14a〜14gが設けられている。一体成形されることからも分かるようにケーブル保持部14a〜14gは樹脂で構成されているため、保持するケーブルの損傷を防ぐことが可能とされており、さらにその可撓性を理由としてケーブルを保持させる、あるいは、取り外す際の作業を容易なものとしている。
【0019】
また、ケーブル保持部14a〜14cは、各種電子部品から延在するケーブルを電子機器内の必要な箇所に導くため、適宜箇所に複数設けられている。そして、その形状は、ケーブル取り付け作業の効率化を図るためコの字形あるいはLの字形といった開口を有する形状に形成されている。このような構成では1つのケーブル保持部14では開口からケーブルが外れることが考えられるが、開口方向の異なる複数のケーブル保持部14(例えば、14a〜14e)にケーブル(図示せず)を通過させることで、ケーブルを安定して保持させることが可能となる。
【0020】
さらに、このブラケット10をシャーシ20に装着、固定するための構成として、ベース部11上には、回動係止部12、3箇所の位置決め部13a〜13c、固定部30が設けられている。ブラケット10をシャーシ20に装着するにあたって、まず、ブラケット10に設けられている回動係止部12を、シャーシ20側の回動被係止部22に対して、所定の位置角度で勘合させ回動可能に係止させる。次に、回動可能に係止されたブラケット10をシャーシ20に対して回動させ、ブラケット10に設けられた3箇所の位置決め部13a〜13cが、シャーシ20側の被位置決め部23cと勘合する、もしくは突き当たることで、シャーシ20に対してブラケット10が所定位置となるように装着される。装着時には、ブラケット10側に設けられた固定部30とシャーシ20側に設けられた被固定部40がロック機構として働き、装着時の方向とは反対に回動することを防止する。
【0021】
ではブラケット10とシャーシ20を固定するためのブラケット10側の構成を詳細に説明する。図2は、本発明の実施形態に係るブラケットを示す斜視図であって、図1のブラケット10を反対方向、すなわち、Z軸の負の方向から眺めた斜視図となっている。
【0022】
ブラケット10をシャーシ20に対して回動可能に係止する回動係止部12は、円筒端部の所定方向に突起が形成された形状とされている。回動係止部12は、シャーシ20側に設けられた孔状の回動被係止部22と所定角度で勘合することで、図1のXY平面内で回動可能に係止される。図3にはブラケット10がシャーシ20に対して回動可能に係止される様子が示されている。図3はどちらもZ軸の正方向から装着の様子を眺めた図であって、図3(A)に示される位置関係(角度)では、回動係止部12の突起が回動被係止部22に嵌るような位置関係とされている。この角度で回動被係止部22に回動係止部12を嵌め、さらに図3(A)に示される矢印の方向にブラケット10を回動させることで、回動係止部12の突起は、回動被係止部22から脱落することなく回動可能となる。
【0023】
また、ブラケット10とシャーシ20の位置決めを行う位置決め部13a〜13c、被位置決め部23a〜23cは、それぞれブラケット10、シャーシ20に設けられている。図2に示されるように位置決め部13a、13bは、ベース部11から延在するL字形形状とされており、シャーシ20側に設けられた被位置決め部23a、23bを挟み込むことで位置決めを行う。なお、位置決め部13a〜13cは、図3(A)に示されるようなブラケット10の回動方向を、所定位置に達するまで阻害しないように設けられる。
【0024】
一方、ベース部11の上部に破線で囲まれた位置決め部13cはベース部11の上辺の窪みとして形成されており、図1に示されるシャーシ固定部25aの根本付近と突き当たって勘合することで位置決めを行っている。本実施形態では、ブラケット10の3箇所に位置決め部13a〜13cを設けることでブラケット10全体を安定的にシャーシ20に固定することとしているが、位置決め部13、被位置決め部23は適宜数を設けることが可能である。
【0025】
ブラケット10をシャーシ20に装着、固定する際には、図3(A)に示されるように所定角度でシャーシ20側の立壁24aと、ブラケット10側のベース部11を対向させ、回動被係止部22を形成する孔に、回動係止部12がはめ込まれる。次に、位置決め部13a〜13cがそれぞれ対応する被位置決め部23a〜23cによって位置決めされるまで、ブラケット10を矢印で示される方向に回動させる。図3(B)は位置決めされた状態、すなわち、シャーシ20に対してブラケット20が装着された状態が示されている。この状態では、ブラケット10側の固定部30がシャーシ20側の被固定部40に固定された状態となっており、ブラケット10が容易に脱落することを防止している。
【0026】
図4はシャーシ20に対してブラケット10が装着された際の斜視図、すなわち、完成時の電子部品固定具の斜視図が示されている。図に示されるように回動係止部12と回動
被係止部22(背面で見えないため点線丸印の位置で記載)によって係止されるとともに、そして、ブラケット10側の位置決め部13a〜13cが、シャーシ20側の被位置決め部23a〜23cと位置決め、並びに、係止されていることがみてとれる。図面中、ブラケット10によって隠されたシャーシ20側の構成は破線にて記載している。
【0027】
では、このようにブラケット10をシャーシ20に対して装着する際、互いを固定するための固定部30、被固定部40の詳細な構成並びにその機能を説明する。図5は、本発明の実施形態に係る固定部を示す上面図と側面図である。図5(A)は固定部30の上面図であって、図1の斜視図においてZ軸の正の方向から眺めた図となっている。一方、図5(B)の側面図は、図5(A)に記載するA−A’間を右側から眺めた図となっている。
【0028】
本実施形態の固定部30は、ブラケット10全体が樹脂で一体成形されることから分かるように、各部位が可撓性を有している。固定部30は第1可撓部31と、第2可撓部32と、固定端33、操作片34を有している。ベース部11から、第1可撓部31、第2可撓部32、操作片34の順で延在し、更に、第1可撓部31と第2可撓部12の間は、樹脂をXY平面に対しYZ平面へ略直角にねじった(ひねった)形状に構成されている。操作片34は、主にブラケット10をシャーシ20から取り外すときに力を加えやすいように、第1可撓部のベース部11側の位置(第1可撓部の根元)から最も離れた位置に設けられた突起である。また、固定端33は被固定部40の勘合孔41と勘合することで、ブラケット10とシャーシ20を固定する機能を有する。この固定端33の形状は、装着しやすいようなだらかな斜辺を有する傾斜壁33aと、勘合孔41との勘合時に容易に脱落を防ぐよう直立した斜辺を有する直立壁33bを有して形成されている。
【0029】
第1可撓部31は、ブラケット10のベース部11から延在して形成されており、XY平面に広い面積を有する板面とされている。装着時には固定端33に対してZ方向に力が作用することとなるが、その場合には第2可撓部32の、Z方向における樹脂の厚み(以下、樹脂厚み)より、Z方向における樹脂厚みが薄いことを原因として第1可撓部31が主に弾性変形することとなる(XYZ方向は図1、変形は、図7(A)から図7(B)への変形を参照)。一方、第2可撓部32は、第1可撓部31からさらに延在して形成されており、YZ平面に広い面積を有する板面とされている。ブラケット10をシャーシ20から取り外す際には、端部に設けられた操作片34に対して力が加えられることとなるが(図8(B)、「押圧」参照)、その場合、第1可撓部31のX方向における樹脂厚みより、X方向における樹脂厚みが薄い第2可撓片32が主に弾性変形することとなる(図8の「押圧」方向はX方向であり、X方向の樹脂厚みは第1可撓部31より第2可撓部32の方が薄いのでこちらの方が弾性変形し易い)。
【0030】
図6は、本発明の実施形態に係る被固定部を示す斜視図であり、ちょうど図1に示されるシャーシ20において被固定部40部分を拡大した図となっている。本実施形態の被固定部40は、立壁24aに設けられた孔(勘合孔41と離脱孔43)で構成されている。勘合孔41は周囲の勘合壁42によって形成されている。ブラケット10の装着時、固定部30の固定端33は、この勘合壁42を乗り越えた後、勘合孔41に勘合することでブラケット10を固定する。一方、離脱孔43は、操作片34に力を加えられることで勘合孔41から外れた固定端33が、ブラケット10の回動を阻害しない位置に設けられる。また離脱孔43の勘合壁42側の斜辺は、ブラケット10の回動を促すように設けられている。
【0031】
では、このような固定部30と被固定部40によるブラケット10の装着時、そして、取り外し時の動作について説明する。
【0032】
図7は、本発明の実施形態に係るブラケット装着時における固定部と被固定部の様子を示す模式図であって、固定部30付近のYZ平面での断面の様子が順を追って示されている。図7(A)は、回動係止部12と回動被係止部22bを勘合させた後の状態(図3(A)に近い状態)が示されている。図中の矢印は、ブラケット10の回動に伴う固定部30の移動を示した様子である。図7(A)の状態からさらに回動させると、図7(B)に示されるように固定端33が勘合壁42によって押圧された状態となり、固定部31は第1可撓部31の弾性変形によって勘合壁42を乗り越える。このとき、なめらかな斜辺を有する傾斜片33aが勘合壁42に突き当たることで、固定端33は勘合壁42を比較的スムースに乗り越えることが可能とされている。
【0033】
図7(B)の状態からさらにブラケット10を回動させると、勘合壁42を乗り越えた固定端33は、シャーシ20側の勘合孔41に嵌った状態となり、ブラケット10をシャーシ20に対して固定する。このとき、固定端33に形成さえた直立壁33bが、勘合壁42と突き当たることで、装着時の回動方向とは反対方向への回動を効果的に防止し、ブラケット10がシャーシ20から離脱することを防いでいる。
【0034】
図8は、本発明の実施形態に係るブラケット取り外し時における固定部と被固定部の様子を示す模式図であって、固定部30付近をZ軸の正の方向から眺めた様子が順を追って示されている。図8(A)は、ブラケット10に対してシャーシ20が装着された状態、すなわち、固定部30と被固定部40が固定された状態を示した図である。上面図では隠れて見えない固定端33の動きを分かりやすく説明するため、固定端33の位置を黒色で塗りつぶした箇所で示している。
【0035】
ブラケット10を取り外しは、操作片34を押圧操作することで開始される。図8(B)は、操作片34を押圧操作した状態が示されている。この図に示されるように操作片34を操作することで、第2可撓部32が弾性変形する。固定端33が勘合孔41から外れるとともに離脱孔43に位置するまで第2可撓部32を変形させる。
【0036】
図9は、本発明の実施形態に係るブラケット10を取り外す時、固定部30に作用する力を説明するための図である。操作片34に対する押圧力Fは、図に示すようにXの負の方向に対して作用することとなる。なお、実際には第2可撓部32が変形するため、押圧力Fの作用方向は多少異なったものとなる。この押圧力Fをブラケット10の回動中心方向に向かう分力F1と、ブラケット10の10の回動方向に向かう分力F2に分けた場合、回動中心となる回動係止部12と操作片34の位置関係により、分力F2はブラケット10を取り外す回動方向Rに作用することとなる。したがって、図8(B)に示されるように押圧部30に対する押圧力は、ブラケット10を取り外す回動方向に作用することとなり、ブラケット10の取り外しを容易なものとしている。
【0037】
図8(C)には、固定端33が勘合孔41を外れ、離脱孔43側に位置した状態が示されている。このような状態では、押圧力を加えなくても固定端33は勘合壁42の側面で支持された状態となり、ブラケット10を回動させるだけで取り外しが可能となる。図8(D)は図8(C)の状態からさらにブラケット10を回動させた状態が示されており、固定端33は、離脱孔43からも外れた状態となっている。ブラケット10とシャーシ20を図3(A)に示される位置関係とすることで、回動係止部12と回動被係止部22の係止関係を解除し、シャーシ20からブラケット10を取り外すことが可能となる。
【0038】
以上、本実施形態の電子部品固定具によれば、電子部品が固定されるシャーシ20に対して固定されるブラケット10にケーブル保持部14を設けたことで、電子部品から延在するケーブルを所定位置に容易に係止、固定することが可能となる。そして、電子部品固定具を構成するシャーシ20とブラケット10は、ブラケット10側に設けられた回動係
止部12、位置決め部13、固定部30、シャーシ20側に設けられた回動被係止部12、被位置決め部23、被固定部40によって、互いの脱着を容易に、かつ、確実に行うことが可能となる。
【0039】
なお、本発明はこれらの実施形態のみに限られるものではなく、それぞれの実施形態の構成を適宜組み合わせて構成した実施形態も本発明の範疇となるものである。
【符号の説明】
【0040】
10…ブラケット、11…ベース部、12…回動係止部、13a〜13c位置決め部、14a〜14g…ケーブル保持部、20…シャーシ、21…底板、22…回動被係止部、23a〜23c…被位置決め部、24a、24b…立壁、25a、25b…シャーシ固定部、30…固定部、31…第1可撓部、32…第2可撓部、33…固定端、33a…傾斜壁、33b…直立壁、34…操作片、40…被固定部、41…勘合孔、42…勘合壁、43…離脱孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品を固定するためのシャーシと、ブラケットが所定位置関係となるように固定される電子部品固定具において、
前記シャーシは、回動被係止部と、勘合孔と、前記勘合孔の周囲に形成された勘合壁と、前記勘合孔に連通する離脱孔を備え、
前記ブラケットは、ケーブル保持部と、回動係止部と、位置決め部と、固定部と、を備え、
前記ケーブル保持部は、前記電子部品から延在するケーブルを保持可能であり、
前記回動係止部は、前記シャーシ側の前記回動被係止部と回動可能に係止可能であり、
前記位置決め部は、前記回動係止部と前記回動被係止部が回動可能に係止されるとき、所定位置において前記シャーシと前記ブラケットの位置決めをし、
前記固定部は、前記回動係止部と前記回動被係止部が回動可能に係止されるとき、所定位置においてシャーシとブラケットを固定する固定端と、第1可撓部と、第2可撓部とを備え、
前記第1可撓部は、前記ブラケットを前記シャーシに装着するとき、前記回動係止部と前記回動被係止部が回動可能に係止された状態で、前記固定端がシャーシ側の勘合壁を乗り越え、前記シャーシ側の前記勘合孔に勘合するように可撓可能に形成され、
前記第2可撓部は、前記ブラケットを前記シャーシから取り外すとき、前記固定部に作用する力によって、前記固定端が離脱孔を通過するように可撓可能に形成されることを特徴とする
電子部品固定具。
【請求項2】
前記位置決め部は、複数設けられていることを特徴とする
請求項1に記載の電子部品固定具。
【請求項3】
前記固定部と、前記回動係止部は、前記ブラケットを前記シャーシから取り外すとき前記固定部に作用させる力の分力が、前記シャーシに対して前記ブラケット回動させる回転力となる位置関係に配置されていることを特徴とする
請求項1または請求項2に記載の電子部品固定具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−77686(P2013−77686A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−216423(P2011−216423)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】