説明

電子部品接続箱及び電子部品内蔵ユニット

【課題】簡単な構造で接続解除を防止する電子部品接続箱を提供する。
【解決手段】電子部品3を開口から内部に収容する電子部品収容部21と、該電子部品収容部21に収容された前記電子部品3の端子と電気的に接続される電線が収容される電線収容部22と、を有するユニット本体11と、前記電子部品3の接地端子を接地する導電性の接地部材12と、を有する電子部品接続箱2において、前記接地部材12が、前記電子部品の接地端子と電気的に接続される接続部12aと、前記電子部品収容部21の開口を塞ぐカバー部12bと、前記カバー部12bを前記ユニット本体11に係止するように前記ユニット本体の本体側係止部27に係止する係止部12c,dと、前記係止部12c,dに対する係止解除方向への前記本体側係止部27の撓みを防止する撓み防止部12eと、相手部材に固定されて前記接続部12aを接地する接地部12fと、を一体に有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品と電線を収容して接地する電子部品接続箱及び電子部品内蔵ユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、自動車等に装備される各種センサ等は、ホーンやワイパモータのような高周波成分を持った雑音源からの電動ノイズや、ネオンサイン等からの外来ノイズや、誘導ノイズ等が電線を伝わって入力されることがあり、これによって誤動作を引き起こしてしまうという問題が生じていた。
【0003】
そのため、自動車等に搭載されるワイヤハーネス等においては、そのノイズ対策として、当該ワイヤハーネスに含まれるアース用電線をコンデンサを介して適当な接地部分(例えば車両のボディ等)に接続されることが知られている。このようにコンデンサを介して所定の電線を接地するためのコンデンサ内蔵コネクタとしては、特許文献1に記載されているものが知られている。
【0004】
特許文献1に示すコンデンサ内蔵コネクタは、一対のコンデンサ端子がコンデンサ本体から互いに同じ向きに突出する一般的なコンデンサを用いながら、簡単且つコンパクトな構造で、前記コンデンサを介して電線側端子をアースに接続する構造を示している。
【特許文献1】特開2006−100061号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来のコンデンサ内蔵コネクタは、合成樹脂製の筐体内にコンデンサを収容し、該筐体の開口をカバーで塞いで筐体とカバーをロック機構でロックする構造となっており、該ロック機構は外部に剥き出しとなっていたため、ロック機構に外力が加わった場合にロックが解除されてしまう可能性があった。そして、ロックの解除によってコンデンサが外れる等の問題が生じると、接地(接続)が解除されてノイズ対策にならない可能性があった。なお、このような問題は、コンデンサ内蔵コネクタに限定する問題ではなく、電子部品を収容する電子部品接続箱にも同様に生じる問題である。
【0006】
よって本発明は、上述した問題点に鑑み、簡単な構造で接続解除を防止する電子部品接続箱及び電子部品内蔵ユニットを提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため本発明によりなされた請求項1記載の電子部品接続箱は、電子部品を開口から内部に収容する電子部品収容部と、該電子部品収容部に収容された前記電子部品の端子と電気的に接続される電線が収容される電線収容部と、を有するユニット本体と、前記電子部品の接地端子を接地する導電性の接地部材と、を有する電子部品接続箱において、前記接地部材が、前記電子部品の接地端子と電気的に接続される接続部と、前記電子部品収容部の開口を塞ぐカバー部と、前記カバー部を前記ユニット本体に係止するように前記ユニット本体の本体側係止部に係止する係止部と、前記係止部に対する係止解除方向への前記本体側係止部の撓みを防止する撓み防止部と、相手部材に固定されて前記接続部を接地する接地部と、を一体に有することを特徴とする。
【0008】
上記請求項1に記載した本発明の電子部品接続箱によれば、接地部材をユニット本体にカバー部で電子部品収容部の開口を塞ぐように係止部で係止し、且つ、該係止解除方向へ本体側係止部が撓むのを接地部材の撓み防止部で防止しているので、接地部材とユニットの係止箇所に外力が加わっても、係止が解除されるのを防止できる。
【0009】
請求項2記載の発明は、請求項1に記載の電子部品接続箱において、前記接地部材のカバー部に着脱自在に設けられ且つ前記ユニット本体を前記相手部材に係止するための係止部材を有し、前記接地部材のカバー部が、前記電子部品収容部の開口を塞いでいない状態では前記係止部材が着脱自在に装着され且つ前記電子部品収容部の開口を塞いだときに前記電子部品収容部に前記係止部材を当接させて脱落を防止する取付孔を有することを特徴とする。
【0010】
上記請求項2に記載した本発明の電子部品接続箱によれば、接地部材のカバー部に係止部材を着脱自在に取付孔に装着しても、電子部品収容部の開口を塞ぐように接地部材をユニット本体に係止すると、係止部材を電子部品収容部に当接させて脱落を防止することができる。
【0011】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2に記載の電子部品接続箱において、前記ユニット本体が、前記接地部材の係止部を前記本体側係止部に案内する案内部を有し、前記接地部材が、前記係止部と前記本体側係止部とが係止したときに前記案内部と当接する当接部を有することを特徴とする。
【0012】
上記請求項3に記載した本発明の電子部品接続箱によれば、ユニット本体の案内部によって接地部材の係止部を本体側係止部に案内するので、接地部材の係止不良を防止することができる。また、係止部と本体側係止部とが係止したときに前記案内部と当接する当接部を接地部材に形成しているので、接地部材のガタツキを防止することができる。
【0013】
請求項4記載の発明は、請求項1〜3の何れか1項に記載の電子部品接続箱において、前記接地部材の撓み防止部が、前記ユニット本体の本体側係止部と前記係止部を係止する前は前記係止解除方向への前記本体側係止部27の撓みを防止せず、且つ、前記本体側係止部と前記係止部を係止したときに前記係止解除方向への前記本体側係止部の撓みを防止するように形成されていることを特徴とする。
【0014】
上記請求項4に記載した本発明の電子部品接続箱によれば、ユニット本体の本体側係止部に係止部を係止する前は、係止解除方向へ本体側係止部を撓ませることが可能となり、本体側係止部と係止部を係止したときに、係止解除方向への本体側係止部の撓みを撓み防止部によって防止することができる。
【0015】
上記課題を解決するため本発明によりなされた請求項5記載の電子部品内蔵ユニットは、請求項1〜4の何れか1項に記載の電子部品接続箱と、前記電子部品接続箱の電子部品収容部に収容される電子部品と、前記電子部品接続箱の電線収容部に収容され且つ前記電子部品及び前記接地部材を介して接地される電線と、を有することを特徴とする。
【0016】
上記請求項5に記載した本発明の電子部品内蔵ユニットによれば、ユニット本体の電子部品収容部に収容された電子部品と電線収容部に収容された電線及び電子部品と接地部材は電気的に接続し、その接地部材のカバー部で電子部品収容部の開口を塞ぐように係止部で係止し、該係止解除方向へ本体側係止部が撓むのを接地部材の撓み防止部で防止しているので、接地部材とユニットの係止箇所に外力が加わっても、係止が解除されるのを防止できる。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように請求項1に記載した本発明の電子部品接続箱によれば、接地部材をユニット本体にカバー部で電子部品収容部の開口を塞ぐように係止部で係止し、且つ、該係止解除方向へ本体側係止部が撓むのを接地部材の撓み防止部で防止するようにしたことから、接地部材とユニットの係止箇所に外力が加わっても、係止が解除されるのを防止できるため、接地部材が外れることを防止することができる。また、接地部材を導電性金属等の接地部材とすることで、撓み防止部の強度を向上できるため、より一層確実に外力による係止解除を防止することができる。従って、外力による接地部材とユニット本体との係止外れがなくなるため、接地部材と電子部品と電線との電気的な接続解除を防止することができ、接続信頼性の向上に貢献することができる。
【0018】
請求項2に記載した本発明の電子部品接続箱によれば、請求項1に記載の発明の効果に加え、電子部品収容部の開口を塞ぐように接地部材をユニット本体に係止することで、着脱自在の係止部材を電子部品収容部に当接させて脱落を防止することができるため、組み立て作業の効率を向上させることができる。
【0019】
請求項3に記載した本発明の電子部品接続箱によれば、請求項1又は2に記載の発明の効果に加え、ユニット本体の案内部によって接地部材の係止部を本体側係止部に案内するようにしたことから、接地部材の係止不良を防止することができるため、接続信頼性をより一層向上させることができる。また、係止部と本体側係止部とが係止したときに前記案内部と当接する当接部を接地部材に形成するようにしたことから、接地部材のガタツキを防止することができるため、車両搭載等の振動による異音の発生を防止することができる。
【0020】
請求項4に記載した本発明の電子部品接続箱によれば、請求項1〜3の何れか1項に記載の発明の効果に加え、本体側係止部と係止部を係止したときにのみ、係止解除方向への本体側係止部の撓みを撓み防止部によって防止することができるため、組み立て作業の効率をより一層向上させることができる。
【0021】
以上説明したように請求項5に記載した本発明の電子部品内蔵ユニットによれば、電子部品接続箱のユニット本体の電子部品収容部に収容された電子部品と電線収容部に収容された電線及び電子部品と接地部材を電気的に接続し、その接地部材のカバー部で電子部品収容部の開口を塞ぐように係止部で係止し、該係止解除方向へ本体側係止部が撓むのを接地部材の撓み防止部で防止するようにしたことから、接地部材とユニットの係止箇所に外力が加わっても、係止が解除されるのを防止できるため、接地部材が外れることを防止することができる。また、接地部材を導電性金属等の接地部材とすることで、撓み防止部の強度を向上できるため、より一層確実に外力による係止解除を防止することができる。従って、外力による接地部材とユニット本体との係止外れがなくなるため、接地部材と電子部品と電線との電気的な接続解除を防止することができ、電線に伝わる各種ノイズを排除することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明に係る電子部品接続箱及び電子部品内蔵ユニットの一実施形態を、図1〜図9の図面を参照して以下に説明する。
【0023】
図1〜図3において、電子部品内蔵ユニット1は、電子部品接続箱2と、該電子部品接続箱2の電子部品収容部に収容される電子部品としてのコンデンサ3と、電子部品接続箱2の電線収容部に収容される電線4と、を有して構成されている。そして、電子部品内蔵ユニット1は、後述の説明からも分かるようになるが、本実施形態においてノイズフィルタとして機能するように構成されており、車両のボディ等の相手部材に固定されて接地される。
【0024】
コンデンサ3は、公知であるように、図1に示すような略座布団形状の本体31と、一対の端子32,33とを有している。コンデンサ3は、車両の振動等によってガタツキが生じない状態で電子部品接続箱2に収容される。そして、端子32は、図3に示す電線4と電気的に接続され、且つ、端子33は後述する接地部材12と電気的に接続される。即ち、本実施形態では、端子33が請求項中の接地端子に相当している。
【0025】
なお、本実施形態では、電子部品をコンデンサ3とする場合について説明するが、本発明はこれに限定するものではなく、例えばダイオード、抵抗等の各種電子部品とすることもできる。
【0026】
電線4は、公知であるワイヤハーネスを構成する複数の電線のうちの一本、又は単独の電線であって、導体41と、この導体41を被覆する絶縁性の被覆部42とを有して構成されている。このような電線4の中間には、後述する電線端子15が電気的に接続されている。具体的に電線端子15は、電線4の中間における被覆部42を所定範囲で除去することにより剥き出しになった導体41に対して接続されている。
【0027】
電子部品接続箱2は、図1等に示すように、ユニット本体11と、接地部材12と、係止部材13と、バスバー14と、電線端子15と、電線カバー16と、を有して構成されている。
【0028】
ユニット本体11は、絶縁性を有する合成樹脂部材等で略箱状に形成されており、コンデンサ3を開口21aから内部に収容する電子部品収容部21と、該電子部品収容部21に収容されたコンデンサの端子32と電気的に接続される電線4が収容される電線収容部22と、を有している。そして、電子部品収容部21及び電線収容部22は、ユニット本体11の底壁23と、この底壁23の縁部から起立する側壁24と、隔壁25とにより囲まれた凹状の部分として形成されている。電子部品収容部21の開口21a及び電線収容部22の開口22aは、側壁24と隔壁25の縁部で囲まれた部分として形成されている。
【0029】
一対の本体側係止部26、27は、隔壁25が交わり且つ電子部品収容部21の開口21aを形成している側壁24の各々に形成されている。
【0030】
一方の本体側係止部26は、図1〜3に示すように、例えば接地部材12の係止部の肉厚分等だけ周囲の側壁の外面よりも奥まって形成された係止基部26aと、該係止基部26aから外部に向かって突出する突起26bと、係止基部26aの高さ方向(図中上下方向)に延びる縁部である一対の案内部26cと、突起26bの両側に位置するように係止基部26aに設けられた一対のスリット26dと、を有している。このように構成された本体側係止部26は、一対のスリット26dによって係止基部26aにおける突起26bが形成された部分が撓む構造となっている。
【0031】
他方の本体側係止部27は、図4に示すように、係止基部27aと、該係止基部27aから外部に向かって突出する突起27bと、該突起26bの両側に位置するように係止基部26aに設けられた一対のスリット27dと、を有している。このように構成された本体側係止部27は、一対のスリット27dによって係止基部27aにおける突起27bが形成された部分が撓む構造となっている。
【0032】
接地部材12は、導電性を有する金属板等を加工することにより形成されており、コンデンサ3の接地用の端子33と電気的に接続され、且つ、車両のボディ等の相手部材(図示せず)に電気的に接続されることで、端子33を接地する。即ち、接地部材12は、コンデンサ3を介して電線4を接地することで、ノイズフィルターとして機能する。
【0033】
接地部材12は、図1〜図3に示すように、接続部12aと、カバー部12bと、係止部12c,12dと、撓み防止部12eと、接地部12fと、を一体に有して構成されている。
【0034】
接続部12aは、電子部品収容部21に収容されて電線収容部22に延在するコンデンサ3の端子33の上に位置付けられるように、カバー部12bの縁部から略L字状のアームとして形成されている。接続部12aは、ユニット本体11の底壁23に平行な接続タブ121と、この接続タブ121に直交してユニット本体11の隔壁25と平行な連結部122と、を有している。そして、接続部12aの接続タブ211は、コンデンサ3の端子33と溶接、半田付け等によって電気的に接続されている。
【0035】
カバー部12bは、電子部品収容部21の開口21aを塞いで嵌合するように、開口21aと略同一形状の蓋状に形成されている。カバー部12bは、後述する係止部材13を係止するスリット状の取付部12gを有している。そして、取付部12gは、電子部品収容部21の開口21aを塞いでいない状態では前記係止部材13が着脱自在に装着され且つ電子部品収容部21の開口21aを塞いだときに電子部品収容部21の内壁等に前記係止部材13を当接させて脱落を防止するように形成されている。具体的には、取付部12gが、ユニット本体11の隔壁25と平行にスライドできるように、カバー部12bの中央から係止部12dに向かうスリットとして形成されている。
【0036】
係止部12cは、図5(a)に示すように、本体側係止部26の突起26bを係止するために、カバー部12bの縁部からユニット本体11の側壁24に沿って延びる略U字状に切り欠けて形成されている。係止部12cは、本体側係止部26の案内部26cによって移動が規制されて位置決めされる。
【0037】
係止部12cは、図5(b)に示すように、前記本体側係止部26に係止したときに前記案内部26cと当接してガタツキを防止するように、係止部12cから外方向に突出する位置決め圧入突起12hを備えている。なお、本実施例では、圧入突起12hを設けることで、車両振動等によるガタツキが生じない状態で係止部12cを本体側係止部26に係止する場合について説明するが、電子部品内蔵ユニット1が振動が発生しない場所等で用いられる場合は、係止部12cの構成から圧入突起12h等を削除することもできる。
【0038】
係止部12dは、図4乃至図6に示すように、本体側係止部27の突起27bを係止するために、カバー部12bの縁部からユニット本体11の側壁24に沿って延びる略U字状に切り欠けて形成されている。また、係止部12dは、上述した圧入突起12hと同様の圧入突起12d1を有している。
【0039】
撓み防止部12eは、図4乃至図6に示すように、係止部12dに対する係止解除方向Xへ前記本体側係止部27の撓みを防止している。具体的には、接地部材12のカバー部12bが電子部品収容部21に係止されたときに、撓み防止部12eがユニット本体11の側壁24の内面と当接して係止解除方向Xへの前記本体側係止部27の移動を規制している。
【0040】
また、撓み防止部12eは、図7に示すように、ユニット本体11の本体側係止部27と係止部12dを係止する前は係止解除方向及びその逆方向への本体側係止部27の撓みを防止せず、且つ、図8に示すように、本体側係止部27と前記係止部12dを係止したときに係止解除方向への本体側係止部27の撓みを防止するように設計されて形成されている。
【0041】
このように撓み防止部12eを形成することで、組み付け過程ではユニット本体11の本体側係止部27と係止部12d撓み防止部12eによって干渉されず、接地部材12を増し押しして、図8に示す完全組み付け位置まで押し付けることで、撓み防止部12eは本体側係止部27に当接する位置に位置付けられるため、本体側係止部27が撓み防止部12eによって移動範囲が制限されて、抜けを防止できる。
【0042】
接地部12fは、螺子止め用の貫通孔を有しており、カバー部12bからユニット本体11の外部に延びるように形成されている。接地部12fは、車両のボディ等の相手部材に螺子止めされることで、相手部材に固定されて接続部12aをカバー部12bを介して接地する。即ち、接続部12aに電気的に接続された電線4が接地されることになる。
【0043】
また、接地部12fの両側には、図5(a)に示すように、カバー部12bから起立し且つユニット本体11の側壁24の係止受け部29に係止される一対の爪部12j,12jが形成されており、各爪部12jにも上述した圧入突起12hと同様の圧入突起12kが形成されている。
【0044】
係止部材13は、電子部品接続箱2(電子部品内蔵ユニット1)を前記相手部材に対して係止するための部材であり、その形状は一例を示している。係止部材13は、図1に示すように、前記相手部材に係止するための係止凸部13aと、該係止凸部13aとの間に取付部12g(カバー部12b)の縁部をスライド自在に挟持するための隙間を形成するベース部13bと、を有している。そして、本実施例では、カバー部12bの取付部12gに係止部12d側から挿入されて、カバー部12bの中央にスライドされることで、係止部材13を取付部12gに係止して保持する構造となっている。
【0045】
バスバー14は、導電性を有する金属部材等を加工することによって図1に示す形状に形成されている。バスバー14は、電線収容部22に収容されてコンデンサ3の端子32と電気的に接続される基部14aと、該基部14aから突出してユニット本体11にバスバー14を固定する複数(図1中では2つ)の固定部14bと、基部14aからユニット本体11の隔壁25と平行に起立し且つ電線端子15と電気的に接続される起立部14cと、を一体に有している。
【0046】
電線端子15は、導電性を有する金属部材等を加工することによって図1に示す形状に形成されている。電線端子15は、電線4の被覆部42から剥き出しになった導体41に直接接続される電線接続部15aと、該電線接続部15aに連続する連続部15bと、該連続部15bの側部に起立して前記起立部14cと電気的に接続される接触部15cと、を有している。
【0047】
電線カバー16は、絶縁性を有する合成樹脂製の部材であって、電線収容部22に収容された電線端子15を押さえ付けて開口22aを塞いでいる。電線カバー16は、天井壁16aと、該天井壁16aの縁部に形成される一対の側壁16bと、各側壁16bの外側に設けられ且つ電線収容部22への差し込みをガイドするガイド部16cと、電線収容部22の側壁24の嵌合孔24aと嵌合するカバー側突起16dと、一対の側壁16bの間に形成されて電線4を係止する電線係止部16eと、を有している。
【0048】
また、電線係止部16eに対応したケース24には、略U字状に切り欠かれた電線支持部28が一対対向して形成されている。電線支持部28は、組み付けにより差し込まれた電線4を保持できるように形成されている。そして、電線係止部16eが保持している電線4は、上述した電線カバー16の電線係止部16eによって押さえ付けられることで、電子部品接続箱2に固定される。
【0049】
次に、上記構成に基づいて、電子部品内蔵ユニット1における電子部品接続箱2の組み付けの一例を以下に説明する。
【0050】
まず、コンデンサ3が電子部品収容部21の開口21aから挿入され、電線収容部22にコンデンサ3の端子32,33が突出した状態で電子部品収容部21に収容される。そして、電線収容部22にバスバー14が挿入されてユニット本体11に固定されるとともに、接地部材12のカバー部12bに係止部材13が結合される。具体的には、係止部材13が取付部12gに挿入され、カバー部12bの中央までスライドされることで、接地部材12に係止される。
【0051】
この接地部材12が、電線収容部22の開口21aを塞ぐようにケース本体11に近づけられ、図9(a)に示すように、その係止部12cの一対のテーパ部12iが一対の案内部26cに、且つ、係止部12dが本体側係止部27にそれぞれ宛われて、接地部材12が電線収容部22に位置決めされ、接地部材12がケース本体11に向かって押圧されることで、図9(b)に示すように、係止部12cと本体側係止部26及び係止部13cと本体側係止部27がそれぞれ係止される。このとき、係止部12cの一対の当接部12hは、本体側係止部26の案内部26cに双方とも当接した状態となっている。そして、撓み防止部12eは、図8に示すように、本体側係止部27と係止部12dを係止したときに、係止解除方向への本体側係止部27の移動を規制して、本体側係止部27の撓みを防止している。また、コンデンサ3の端子33上には、バスバー15と接地部材12の接続部12aが位置しており、それらが溶接等によって電気的に接続される。
【0052】
電線4は、所望の位置となる電線4の中間において、被覆部42を所定の範囲で除去して導体41を露出され、そこを電線端子15の電線接続部15aが覆うように電線端子15が圧着され、導体41と電線端子15とが電気的に接続される。そして、その電線端子15は電線カバー16に挿入され、該電線カバー16は開口22aを塞ぐように電線収容部22に挿入される。これにより、電線4と前記バスバー14とが電線端子15を介して電気的に接続された状態で、電線4が電線収容部22に収容されて電子部品内蔵ユニット1の組み立てが完了する。
【0053】
このように組み立てられた電子部品内蔵ユニット1は、前記相手部材の取付穴に係止部材13が挿入されて仮固定され、接地部材12の接地部12fの貫通孔と前記相手部材の螺子穴を合わせ、螺子で締められて固定されることで、ノイズフィルタとして機能することになる。
【0054】
以上説明した電子部品内蔵ユニット1によれば、電子部品接続箱2のユニット本体11の電子部品収容部21に収容されたコンデンサ(電子部品)3と電線収容部22に収容された電線4及びコンデンサ3と接地部材12を電気的に接続し、その接地部材12のカバー部12bで電子部品収容部21の開口21aを塞ぐように係止部12c,dで係止し、該係止解除方向Xへ本体側係止部27が撓むのを接地部材12の撓み防止部12eで防止するようにしたことから、接地部材12とユニット本体11の係止箇所に外力が加わっても、係止が解除されるのを防止できるため、接地部材12が外れることを防止することができる。また、接地部材12を導電性金属で形成することで、撓み防止部12eの強度を向上できるため、より一層確実に外力による係止解除を防止することができる。従って、外力による接地部材12とユニット本体11との係止外れがなくなるため、接地部材12とコンデンサ3と電線4との電気的な接続解除を防止することができ、電線4に伝わる各種ノイズを排除することができる。
【0055】
また、電子部品収容部21の開口21aを塞ぐように接地部材12をユニット本体11に係止することで、着脱自在の係止部材13を電子部品収容部21に当接させて脱落を防止することができるため、組み立て作業の効率を向上させることができる。
【0056】
さらに、ユニット本体11の案内部26cによって接地部材12の係止部12cを本体側係止部26に案内するようにしたことから、接地部材12の係止不良を防止することができるため、接続信頼性をより一層向上させることができる。また、係止部12cと本体側係止部26とが係止したときに案内部26cと当接する当接部12hを接地部材12に形成するようにしたことから、接地部材12のガタツキを防止することができるため、車両搭載等の振動による異音の発生を防止することができる。
【0057】
また、係止部12cと本体側係止部26とが接近すると、テーパ部12iによって係止部12cと本体側係止部26とが係止位置に案内されるようにしたことから、何れかの部材に成形誤差等が生じても、その誤差をテーパ部12iで吸収することができるため、係止部12cと本体側係止部26とを係止位置に確実に案内することができる。
【0058】
さらに、本体側係止部27と係止部12dを係止したときにのみ、係止解除方向への本体側係止部27の撓みを撓み防止部12eによって防止することができるため、組み立て作業の効率をより一層向上させることができる。
【0059】
このように上述した実施例は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明に電子部品接続箱及び電子部品内蔵ユニットの一例を示す分解斜視図である。
【図2】図1の電子部品接続箱の外観斜視図である。
【図3】図1の電子部品内蔵ユニットの外観斜視図である。
【図4】図1中のケース本体と接地部材を示す分解斜視図である。
【図5】(a)は図1中の接地部材の反対方向からの外観斜視図であり、(b)は(a)中の部分Aを拡大した正面図である。
【図6】ケース本体11に接地部材を組み付けたときの外観斜視図である。
【図7】図2中の直線A−Aを通る矢印方向の断面とその部分拡大を示して、接地部材の係止始めの状態を説明するための図である。
【図8】図2中の直線A−Aを通る矢印方向の断面とその部分拡大を示して、接地部材の完全係止状態を説明するための図である。
【図9】(a)はケース本体に対する接地部材の組み付け途中を示す図であり、(b)はケース本体に接地部材を組み付けた状態を示す図である。
【符号の説明】
【0061】
1 電子部品内蔵ユニット
2 電子部品接続箱
3 電子部品(コンデンサ)
4 電線
11 ユニット本体
12 接地部材
12a 接続部
12b,c カバー部
12e 撓み防止部
12f 接地部
12g 取付孔
12h 当接部
12i テーパ部
13 係止部材
14 バスバー
15 電線端子
16 電線カバー
21 電子部品収容部
22 電線収容部
27 本体側係止部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品を開口から内部に収容する電子部品収容部と、該電子部品収容部に収容された前記電子部品の端子と電気的に接続される電線が収容される電線収容部と、を有するユニット本体と、前記電子部品の接地端子を接地する導電性の接地部材と、を有する電子部品接続箱において、
前記接地部材が、前記電子部品の接地端子と電気的に接続される接続部と、前記電子部品収容部の開口を塞ぐカバー部と、前記カバー部を前記ユニット本体に係止するように前記ユニット本体の本体側係止部に係止する係止部と、前記係止部に対する係止解除方向への前記本体側係止部の撓みを防止する撓み防止部と、相手部材に固定されて前記接続部を接地する接地部と、を一体に有することを特徴とする電子部品接続箱。
【請求項2】
前記接地部材のカバー部に着脱自在に設けられ且つ前記ユニット本体を前記相手部材に係止するための係止部材を有し、
前記接地部材のカバー部が、前記電子部品収容部の開口を塞いでいない状態では前記係止部材が着脱自在に装着され且つ前記電子部品収容部の開口を塞いだときに前記電子部品収容部に前記係止部材を当接させて脱落を防止する取付孔を有することを特徴とする請求項1に記載の電子部品接続箱。
【請求項3】
前記ユニット本体が、前記接地部材の係止部を前記本体側係止部に案内する案内部を有し、
前記接地部材が、前記係止部と前記本体側係止部とが係止したときに前記案内部と当接する当接部を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の電子部品接続箱。
【請求項4】
前記接地部材の撓み防止部が、前記ユニット本体の本体側係止部と前記係止部を係止する前は前記係止解除方向への前記本体側係止部の撓みを防止せず、且つ、前記本体側係止部と前記係止部を係止したときに前記係止解除方向への前記本体側係止部の撓みを防止するように形成されていることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の電子部品接続箱。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか1項に記載の電子部品接続箱と、
前記電子部品接続箱の電子部品収容部に収容される電子部品と、
前記電子部品接続箱の電線収容部に収容され且つ前記電子部品及び前記接地部材を介して接地される電線と、
を有することを特徴とする電子部品内蔵ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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