説明

電子部品搬送用トレイおよびテープ

【課題】多数積み重ねて或いはロール状に巻いて使用しても、容易に静電気を除去することができる電子部品搬送用トレイまたはスペーサーテープを提供すること。
【解決手段】本発明は、その表面と裏面に導電層を設けた合成樹脂シートを成型加工してなる電子部品搬送用トレイまたはスペーサーテープであって、表面と裏面の導電層をつなぐ導電部材を設けるか、或いはトレイ若しくはテープの端部に折り返し片を設け、該折り返し片を隣接するトレイ又はテープの導電層に接触させることを特徴とする電子部品搬送用トレイまたはスペーサーテープである。導電部材としては、導電性の高分子材料からなるリベット状のもの又はクリップ状のものが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体チップ、液晶モジュール、ハードデイスク部品のような半導体素子より構成される電子部品を、電子機器製品に実装するために、これらの電子部品を搬送し、保管する際に使用する電子部品搬送用トレイ及びスペーサーテープに関する。
【背景技術】
【0002】
パーソナルコンピューターをはじめ、携帯電話、デジタルカメラ、ビデオカメラ、デジタル録画機などのさまざまな電子機器製品には、多くのIC(集積回路)やLSI(大規模集積回路)などの半導体チップ、液晶モジュール、ハードデイスク部品のような半導体素子から構成される電子部品を組み込まれて、ますます高性能で小型化してきている。
近年では、特にこれらの電子機器製品では、その小型化、軽量化、高機能化が要望されている。このような電子機器製品を製造するにあたっては、そこで使用する半導体チップ、液晶モジュール、ハードデイスク部品のような電子部品を組み立てラインまで搬送して、電子機器製品に組み込むことが必要となる。そして、電子機器製品の製造におけるこれらの電子部品の搬送と実装のために、最近では電子部品の搬送用トレイや実装用キャリアーテープが広く利用されている。特に、パーソナルコンピューターや携帯電話などのように、高精細化、小型化、薄型化が要望されている液晶表示素子を使用する電子産業においてはこの方式が重要である、
【0003】
電子部品搬送用トレイは、半導体チップ、液晶モジュール、ハードデイスク部品などの半導体素子から構成される電子部品を収納する多数の収納部(ポケット)を、その形状に合わせて真空成形加工等により形成した合成樹脂製のトレイであり、このポケットの中に電子部品を挿入した状態で、このトレイを多数積み重ねて搬送や保管に供する。
【0004】
電子部品実装用キャリアーテープは、電子部品の搬送や保管等に際しては、合成樹脂製のテープであってその両側縁部にエンボス加工などによって凹凸部分を設けたスペーサーテープを用いて、このスペーサーテープの中央部に電子部品実装用キャリアーテープを載置して、リール等に巻き取っておき、電子部品の実装を行う際にこれを順次繰り出して、スペーサーテープの中から電子部品をピックアップして実装に使用する。
【0005】
このような半導体から構成される電子部品を搬送する電子部品搬送用トレイまたはキャリアーテープ、スペーサーテープでは、搬送や保管その他の取扱いの際にトレイまたはスペーサーテープと電子部品との摩擦、トレイまたはスペーサーテープどうしの摩擦などによって静電気が発生することがある。そして、この静電気によって、電子部品の静電気破壊や電子部品のピックアップ等のハンドリングの際などにさまざまな障害を引き起こすという問題があるため、電子部品搬送用トレイやスペーサーテープに導電性を付与して静電気の発生を防止することが必要であった。
【0006】
このような静電気の発生を防止するために、従来から電子部品搬送用トレイやスペーサーテープを構成する材料である合成樹脂シートにカーボンラックや導電性フィラーなどの導電性材料を練りこんで、シートそのものを導電性とすることが一般的に行われていた(例えば、特許文献1を参照)。
【0007】
しかし、このような合成樹脂シート全体に導電性材料を練りこむことはコストアップになるため、近年ではベースとなる合成樹脂シートには導電性材料を加えず、この合成樹脂シートの表面にカーボンブラックを含む塗料や、ポリピロール、ポリアニリン等の導電性材料をコーテイングする方法(例えば、特許文献2および3を参照)や、あるいは導電性ポリマーを練りこんだ薄いフィルムを合成樹脂シートの表面に貼り合わせる方法(例えば、特許文献4を参照)などが行われている。
【0008】
電子部品搬送用トレイは、ベースとなる合成樹脂シートの両面に、上記のような導電性材料を含む塗料の塗布や貼り合わせなどによって導電性の薄い層を設け、その後使用する電子部品の形状に合わせて多数のポケット部を成型加工によって設けたものであり、ポケット部の中に電子部品を装入した、例えば10枚以上にもなる多数のトレイを積み重ねて搬送や保管に使用する。
使用に際しては一般的にこの積み重ねたトレイの1箇所(一般的には最下段のトレイ)からアースを取って静電気を除去する。しかし、これらのトレイはベースとなる合成樹脂シートの表面と裏面に導電層を有しているが断面部分は導電層が存在せず、この表面と裏面の導電層は互いに電気的に絶縁された状態となっている。このような電子部品搬送用トレイを多数積み重ねて使用すると、全体がちょうどコンデンサーのような状態となり、使用中に発生した静電気が内部にたまってしまい、簡単に放電することができないという問題があった。
電子部品実装用キャリアーテープの場合も、電子部品を装入したスペーサーテープとキャリアーテープをロール状に巻いて使用するため、同様の問題が生じていた。
【0009】
【特許文献1】特開平10−242238号公報
【特許文献2】特開2002−103532号公報
【特許文献3】特開2004−185928号公報
【特許文献4】特開平10−334729号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、このような従来の電子部品搬送用トレイまたはスペーサーテープの問題点を解決し、容易に静電気を除去することができる電子部品搬送用トレイまたはスペーサーテープを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、上記の状況に鑑み鋭意研究を進めた結果、電子部品搬送用トレイまたはスペーサーテープに、その表面と裏面の導電層をつなぐ導電部材を取り付けることによってこの問題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
即ち、本発明は、以下の内容をその要旨とするものである。
(1)その表面と裏面に導電層を設けた合成樹脂シートを成型加工してなる電子部品搬送用トレイ又はスペーサーテープにおいて、表面と裏面の導電層を電気的に接続する1個又は2個以上の導電部材を設けるか、或いはトレイ若しくはテープの端部に1個又は2個以上の折り返し片を設け、該折り返し片を上部又は下部のトレイ又はスペーサーテープの導電層に接触させることを特徴とする、電子部品搬送用トレイ又はスペーサーテープ。
(2)導電部材が、導電性材料からなるリベット状の部材であることを特徴とする、
前記(1)に記載の電子部品搬送用トレイ又はスペーサーテープ。
(3)導電部材が、導電性材料からなるクリップ状の部材であることを特徴とする、
前記(1)に記載の電子部品搬送用トレイ又はスペーサーテープ。
(4)導電部材の導電性材料が導電性高分子化合物からなる材料であることを特徴とする、前記(1)ないし(3)のいずれかに記載の電子部品搬送用トレイ又はスペーサーテープ。
【発明の効果】
【0013】
本発明の電子部品搬送用トレイ又はスペーサーテープは、電気伝導性の部材によってその表面と裏面の導電層を接続しているため、トレイを多数積み重ねて使用し、或いは長いスペーサーテープをロール状に巻いて使用しても、このようなトレイ又はテープの1箇所からアースを取ることによって、積み重ねたトレイやロール状のテープ全体が電気的に導通した状態となり、内部にたまった静電気を効率よく放出することができる。その結果、電子部品搬送用トレイまたはスペーサーテープに装入された電子部品に対して、静電気破壊などのような静電気によるさまざまな障害の発生を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明は、表面と裏面に導電層を設けた合成樹脂シートを成型加工してポケット部や電子部品の収納部を形成した電子部品搬送用トレイまたはスペーサーテープであって、そのトレイ又はテープの1箇所又は2箇所以上に表面と裏面の導電層をつなぐ導電部材を設けたもの、及びトレイ若しくはテープの端部に1個又は2個以上の折り返し片を設け、該折り返し片を上部又は下部のトレイ又はスペーサーテープの導電層に接触させるようにしたものである。
【0015】
本発明に使用する基材となる合成樹脂シートは、特に制限されるものではなく、成型加工性のある熱可塑性樹脂であれば使用することができ、例えば、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテル樹脂等が使用することができる。
【0016】
この合成樹脂シートの表面と裏面に設ける導電層は、導電性のある薄い表面層を形成するものであれば特に制限されないが、例えば、カーボンブラック等の導電性材料を含む導電性塗料を塗布する方法で形成したもの、ポリピロール、ポリアニリン等の導電性ポリマーを基材となる合成樹脂と一緒に共押出しによって基材の表面に薄い導電層を形成したもの、あるいはこれらの導電性ポリマーを含むポリオレフィン樹脂等の合成樹脂からインフレーション法などによって薄膜を作り、この導電性ポリマーを含む合成樹脂の薄膜を基材の表面と裏面に貼り合わせる方法によって薄い導電層を形成したものなどが挙げられる。
【0017】
電子部品搬送用トレイの場合には、上記のようにして得た表面と裏面に導電層を有する合成樹脂シートに、ここに載置する半導体チップや液晶モジュールの大きさや形状に合わせて、多数のポケット部を形成するように、シートを真空成形加工等によって成形する。このポケット部に半導体チップや液晶モジュールなどの電子部品を装入して、この電子部品搬送用トレイを多数段積み重ねて必要な場所に搬送し、保管し、その後の工程でこのトレイからピックアップして使用する。
【0018】
電子部品搬送用スペーサーテープの場合には、組み合わせて使用するキャリアーテープと電子部品の大きさと形状に合わせて、上記の合成樹脂シートを種々の大きさのテープ状とする。そして、このテープの幅方向の両側端部にエンボス加工などによって凹凸を設けて、このテープを電子部品実装用キャリアーテープと重ねてリールに巻き取る。このように巻き取った時にスペーサーテープの間にテープの両側端部の凹凸によって一定の空間が形成され、ここに電子部品実装用キャリアーテープと電子部品が装入される。
【0019】
本発明では、このような電子部品搬送用トレイまたはスペーサーテープにおいて、そのそれぞれの1箇所又は2箇所以上に表面と裏面の導電層をつなぐ導電部材を設ける。導電部材は、導電性の材料からなりトレイやテープを構成する合成樹脂シートの表面と裏面の導電層を電気的に接続することのできるものであり、この導電性材料としては、種々の導電性フィラーを練りこんだ導電性材料や導電性ポリマーからなるものが好ましい。或いは、トレイ若しくはテープの端部(フランジ部)に1個又は2個以上の折り返し片を設け、この折り返し片を折り返して、積み重ねている上部又は下部のトレイ又はスペーサーテープの導電層に接触させるようにしたものである。
【0020】
導電部材に使用する合成樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、脂肪族又は芳香族ポリアミド樹脂、ポリアクリル系合成樹脂、ポリカーボネート樹脂などの熱可塑性樹脂が挙げられる。
【0021】
導電部材に練りこむ導電性フィラーとしては、例えば、カーボンブラック、炭素繊維、黒鉛、金属粉、金属繊維などが挙げられ、導電性ポリマーとしては、例えば、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリフェニレンビニレン、ポリアニリンなどが挙げられる。
【0022】
導電部材の取り付け方法は、電子部品搬送用トレイまたはスペーサーテープの表面と裏面の導電層を電気的に導通する方法であれば特に制限されないが、例えば、電子部品搬送用トレイまたはスペーサーテープのフランジ部の1箇所又は2箇所以上にその表面から裏面まで貫通する孔をあけ、この貫通孔にリベット状に成型した導電部材をはめ込み、その表面と裏面の導電層を電気的に接続する方法が挙げられる。又は、この貫通孔に導電性の接着剤を充填して表面と裏面の導電層をつなぐ方法でもよい。或いは、上記の導電性材料を用いたばね弾性力を有するクリップ状のものを成型し、これでトレイ又はスペーサーテープの端部を挟んでその表面と裏面の導電層をつなぐ方法が挙げられる。
【0023】
更に、表面と裏面の導電層を電気的に接続するもう一つの態様として、トレイ又はテープの端部(フランジ部)に1個又は2個以上の折り返し片を設け、このようなトレイを多数積み重ね又はテープをロール状に巻き、この折り返し片を折り返して、積み重ね又は巻いている上部又は下部のトレイ又はテープの導電層に接触させる方法が挙げられる。このようにすることによって、例えばあるトレイの表面の導電層は下に折り返した折り返し片によってその下部のトレイの導電層と接触して電気的に接続され、そのトレイの裏面の導電層は下部のトレイの導電層と接触しているので互いに電気的に接続されており、その結果積み重ねたトレイ全体を電気的に接続された状態とすることができる。
【0024】
本発明の電子部品搬送用トレイやスペーサーテープは、電子部品搬送用トレイの場合にはこれを10段以上もの多数のトレイを積み重ねて使用しても、その1箇所、例えば最下段のトレイがアースされるようにしてあれば、積み重ねたトレイ全体のすべての導電層が電気的に導通した状態となり、簡単にそこに蓄積する静電気を除去することができる。スペーサーテープの場合には、スペーサーテープとキャリアーテープの間に電子部品を挿入してこれをロール状にして搬送し、使用するが、この場合も1箇所でアースするだけでロール上のテープ全体から容易に静電気を除去することができる。
【0025】
本発明を、図面によって更に詳しく説明する。
図1はその端部(フランジ部)に導電部材を設けた本発明の電子部品搬送用トレイの斜視図であり、図2はその端部(フランジ部)に折り返し部を設けた本発明の電子部品搬送用トレイの斜視図である。
図1において、1がその表面と裏面に導電層を有する合成樹脂からなる電子部品搬送用トレイであり、そのポケット部2に電子部品を装入する。このトレイ1の端のフランジ部3の1箇所又は2箇所以上にフランジ部3を貫通する孔を設け、この孔に導電部材としてリベット4を取り付けてある。このような電子部品搬送用トレイを例えば5段積み重ね、それをアース線7でアースされているアース板6の上に設置する。
このようにして使用することにより、各トレイの表面の導電層に帯電した静電気はリベット4を通って裏面の導電層に流れ、裏面の導電層はその下のトレイの表面の導電層と接触しているので、下のトレイの表面の導電層に流れる。このようにして、各トレイにたまった静電気は順次下のトレイに移動し、最終的には最下段のトレイの裏面の導電層からアース板6に流れ、アース線7を通って地中に放電される。従って、この本発明の電子部品搬送用トレイを多数段積み重ねて使用しても、各トレイで発生する静電気はすべてアース板から地中に放電され、トレイ中に静電気がたまることがない。
【0026】
図2においては、同様に表面と裏面に導電層を有する合成樹脂からなる電子部品搬送用トレイ1であって、このトレイ1の端のフランジ部3の1箇所又は2箇所以上に折り返し片5を設けている。この折り返し片5は、トレイ本体と同一の構成の表面と裏面に導電層を有する合成樹脂シートからなるもので、トレイの成型加工時に合成樹脂シートから同時に成型する。そして、図1と同様に、このような電子部品搬送用トレイを例えば5段積み重ね、それをアース線7でアースされているアース板6の上に設置する。トレイを積み重ねた後、折り返し片5を上又は下の方向に折り返して、折り返し片5の導電層を上部のトレイの裏面の導電層又は下部のトレイの表面の導電層に接触させる。図2の場合は、折り返し片5を下向きに折り返し、下部のトレイの表面の導電層に接触させている。
このようにして使用することにより、各トレイの表面の導電層に帯電した静電気は折り返し片5を通って裏面の導電層に流れ、裏面の導電層はその下のトレイの表面の導電層と接触しているので、下のトレイの表面の導電層に流れる。このようにして、各トレイにたまった静電気は順次下のトレイに移動し、最終的には最下段のトレイの裏面の導電層からアース板6に流れ、アース線7を通って地中に放電される。従って、この本発明の電子部品搬送用トレイの場合も、これを多数段積み重ねて使用しても各トレイで発生する静電気はすべてアース板から地中に放電され、トレイ中に静電気がたまることがない。
【0027】
次に実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下に示す実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0028】
(イ)電子部品搬送用トレイの作製
基材の合成樹脂シートとして厚さ630μmの高衝撃性ポリスチレン樹脂(HIPS)を使用した。一方、ポリエチレン樹脂(LDPE)に、導電剤として導電性ポリマーであるポリエーテル/ポリオレフィンブロックポリマー(商品名「ペレスタット230」、三洋化成工業(株)製)を30%加えて、150℃にてニーダーによってドライブレンドによってポリエチレン樹脂に均一に練り込んだ。この導電剤を練り込んだポリエチレン樹脂をインフレーション製膜装置にかけて、厚さが約35μmのポリエチレンフィムを作製した。このようにして得られたポリエチレンフィルムを前記合成樹脂シートにラミネート加工し、300mm×400mmの両面に導電層を有する合成樹脂シートを作製した。
次に、このシートを用いて、真空成形加工機による成形加工によって、図1に示すような液晶モジュールの形状に合わせた、大きさが35mm×40mm、深さが15mmの液晶モジュールを装入するためのポケット部2を12個有するトレイ1を作製した。そして、導電部材として上記導電層に用いたものと同一の導電ポリマーを練りこんだポリエステル樹脂製の直径3mmのリベット4aを作製し、この電子部品搬送用トレイ1の両端のフランジ部3の2箇所に、3mmの孔を貫通させて、ここにこのリベット4aを打ち込んで、電子部品搬送用トレイ1の表面と裏面の導電層を電気的に接続して本発明の電子部品搬送用トレイ1を作製した。更に、この電子部品搬送用トレイを同様にして5枚作製した。
【0029】
(ロ)帯電量の測定
(イ)で得た5枚の電子部品搬送用トレイ1に、縦33mm、横38mm、高さ5mmの携帯電話用の液晶モジュールを装入した。この液晶モジュールを装入した5枚の電子部品搬送用トレイ1を積み重ねて、これをアース板6に固定した。アース板6をアース線7に接続した状態で、このトレイ全体に3分間振動を与えた。振動試験終了後の積み重ねた電子部品搬送用トレイ1について、最上段のトレイの帯電量が10ボルト以下となる時間を観察したところ、約0.5秒であった。
比較のために、上記(イ) と同様にして、ただし導電部材のリベットを使用せず、各トレイの表面と裏面の導電層が互いに絶縁された状態の電子部品搬送用トレイを作製し、この電子部品搬送用トレイにも同様に液晶モジュールを装入して5枚を積み重ねてアース板に固定し、アース板をアース線に接続して3分間振動を与えた。このトレイについても同様にして最上段のトレイの帯電量が10ボルト以下となる時間を観察したところ、約5.0秒であった。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明の電子部品搬送用トレイおよびスペーサーテープは、その表面と裏面の導電層を電気的に接続した構造となっているため、これを多数積み重ねて使用し、あるいはロール状に巻いて使用しても、トレイ又はテープの全体が電気的に導通した状態となり、そこに蓄積する静電気を容易に除去することができる。従って、半導体や液晶モジュールなどの電子部品の製造工程において、静電気による種々の障害を起こすことなく有利に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の電子部品搬送用トレイの一つの例を積み重ねた状態を示す斜視図である。
【図2】本発明の電子部品搬送用トレイの他の例を積み重ねた状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0032】
1.本発明の電子部品搬送用トレイ
2.ポケット部
3.フランジ部
4.リベット
5.折り返し片
6.アース板
7.アース線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
その表面と裏面に導電層を設けた合成樹脂シートを成型加工してなる電子部品搬送用トレイ又はスペーサーテープにおいて、表面と裏面の導電層を電気的に接続する1個又は2個以上の導電部材を設けるか、或いはトレイ若しくはテープの端部に1個又は2個以上の折り返し片を設け、該折り返し片を上部又は下部のトレイ又はスペーサーテープの導電層に接触させることを特徴とする、電子部品搬送用トレイ又はスペーサーテープ。
【請求項2】
導電部材が、導電性材料からなるリベット状の部材であることを特徴とする、請求項1に記載の電子部品搬送用トレイ又はスペーサーテープ。
【請求項3】
導電部材が、導電性材料からなるクリップ状の部材であることを特徴とする、請求項1に記載の電子部品搬送用トレイ又はスペーサーテープ。
【請求項4】
導電部材の導電性材料が導電性高分子化合物からなる材料であることを特徴とする、請求項1ないし3のいずれかに記載の電子部品搬送用トレイ又はスペーサーテープ。




【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−253980(P2007−253980A)
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−79127(P2006−79127)
【出願日】平成18年3月22日(2006.3.22)
【出願人】(500576153)株式会社アイ・エム・テクノロジイ (2)
【出願人】(500386552)昭和興産株式会社 (3)
【Fターム(参考)】