説明

電子部品装着装置及び電子部品装着方法

【課題】2ラインを有するデュアルライン装置であって、一方のライン運転中に、他方のラインのフィーダカートを脱着し、フィーダカート交換等の段取り作業を可能とする電子部品装着装置及び電子部品装着方法を提供する。
【解決手段】中央部に2つの(デュアル)生産ラインU,Tを備え、生産ラインU,Tの外側にあるフィーダエリア3U,3Tに装着されたフィーダカート50U,50Tに搭載された電子部品を供給する複数のフィーダから前記電子部品を取り出し、2本の装着ヘッドで前記基板に前記電子部品を装着する電子部品装着装置又はその方法において、一方の前記装着ヘッドで前記一方の生産ラインの前記基板に装着し、他方の前記装着ヘッドで前記他方の生産ラインの前記基板に装着する独立生産モードを有し、前記他方の生産ライン側に設けられた他方側のフィーダカートの脱着が可能かを判断し、脱着可能ならば、前記他方側のフィーダカートが脱着する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィーダから電子部品を取り出し、電子部品をプリント基板に装着する電子部品装着装置及び電子部品装着方法に係わり、特に基板を2つの生産ラインに流すデュアルラインを有する電子部品装着装置及び電子部品装着方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子部品装着装置は、例えば、複数の吸着ノズルなどの取出ノズル(以下の説明では吸着ノズルで行なう)を有する装着ヘッドによって、フィーダから電子部品を吸着して取り出し、プリント基板などの基板に装着する装置である。
電子装置(電子機器)は多機能化しており基板に装着されて電子装置に組み込まれる電子部品の数も増加している。したがって、一定時間にどの程度の数および種類の部品をプリント基板に装着出来るかが、電子装置のコストに大きく影響し、また電子部品装着装置の性能の指標となる。
【0003】
そのために、従来から稼働率を向上させる試みがなされている。例えば、一台の電子部品装着装置に基板を2つの生産ラインに流すデュアルライン装置がある。デュアルライン装置では、一方の生産ラインの装着ヘッドが他方の生産ラインが有する電子部品を供給するフィーダエリアから電子部品を吸着するモードや、他方の生産ラインに流れる基板に電子部品を装着する同時乗り入れモードがある。この場合、一方の生産ラインが稼働中は、他方の生産ラインではフィーダカートの取り外し(脱着)をすることができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−10436号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、昨今の電子装置(電子機器)は多機能化に伴い、生産機種の変更が多くなってきており、デュアルライン装置でも2つの生産ラインが独立して機種(基板)生産する独立生産モードにおける稼働率を向上させることが望まれている。
【0006】
従って、本発明の目的は、2つの生産ラインを有するデュアルライン装置である電子部品装着装置において、一方の生産ライン運転中であっても、他方の生産ラインのフィーダエリアのフィーダカートを脱着し、フィーダカート交換等の段取り作業を可能とし、稼働率の高い電子部品装着装置及び電子部品装着方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記の目的を達成するために、少なくとも以下の特徴を有する。
本発明は、中央部にそれぞれの基板を搬送する2つの(デュアル)生産ラインと、前記生産ラインの外側にあるフィーダエリアに装着され、電子部品を供給するフィーダを複数搭載するフィーダカートと、前記フィーダから前記電子部品を取り出し、前記基板に前記電子部品を装着する2本の装着ヘッドと、これを制御する制御装置とを有する電子部品装着装置において、一方の前記装着ヘッドで一方の生産ラインの前記基板に装着し、他方の前記装着ヘッドで他方の生産ラインの前記基板に装着する独立生産モードを有し、前記他方の生産ライン側に設けられた他方側のフィーダカートの前記フィーダエリアからの脱着の指示を入力する入力手段と、前記一方の生産ラインで生産中に、前記他方側のフィーダカートを脱着可能かを判断する脱着可否判断手段と、前記指示があったときに、前記脱着可否判断手段の結果が脱着可能ならば、前記他方側のフィーダカートが脱着できるように前記フィーダカートを制御するフィーダカート制御手段と、を有することを第1の特徴とする。
【0008】
また、本発明は、中央部に2つの(デュアル)生産ラインでそれぞれの基板を搬送し、前記生産ラインの外側にあるフィーダエリアに装着されたフィーダカートに搭載された電子部品を供給する複数のフィーダから前記電子部品を取り出し、2本の装着ヘッドで前記基板に前記電子部品を装着する電子部品装着方法において、一方の前記装着ヘッドで一方の生産ラインの前記基板に装着し、他方の前記装着ヘッドで他方の生産ラインの前記基板に装着する独立生産モードを有し、前記他方の生産ライン側に設けられた他方側のフィーダカートの前記フィーダエリアからの脱着の指示を入力する入力ステップと、前記一方の生産ラインで生産中に、前記他方側のフィーダカートを脱着可能かを判断する脱着可否判断ステップと、前記指示があったときに、前記脱着可否判断ステップの判断が脱着可能ならば、前記他方側のフィーダカートが脱着できるように前記フィーダカートを制御するフィーダカート制御ステップと、を有することを第2の特徴とする。
さらに、本発明は、前記脱着可否判断ステップは、前記フィーダエリアに設けられフィーダエリアと隣接部を分離する開閉可能なフィーダエリアカバーが閉じられているときに、脱着可能と判断することを第3の特徴とする。
【0009】
また、本発明は、前記脱着可否判断ステップは、前記フィーダエリアに設けられフィーダエリアと隣接部を分離する開閉可能なフィーダエリアカバーが閉じられている、前記一方の装着ヘッドが前記他方の生産ラインの前記基板に前記電子部品を装着しない、一方側のフィーダカートに搭載された前記フィーダから前記電子部品を取り出さない、前記他方の生産ラインは生産していない休止中である、という条件の全ての条件を満足したときに脱着可能と判断することを第4の特徴とする。
さらに、本発明は、前記脱着可能かの判断を前記他方の生産ラインが生産しない休止中のときに行い、前記指示する前に行い運転員に前記脱着可能かを知らせることを第5の特徴とする。
【0010】
さらに、本発明は、前記他方の生産ラインも前記電子部品を前記基板に装着中であり、前記指示は前記装着中に行なわれことを第6の特徴とする。
【0011】
また、本発明は、前記他方の生産ラインも前記電子部品を前記基板に装着中であり、前記電子部品を前記基板に装着中に前記フィーダを交換又は前記電子部品を供給する供給テープを補充する電子部品補給ステップを有し、まず、前記電子部品補給ステップを動作させ、前記指示を前記電子部品補充ステップ中に行なうことを第7の特徴とする。
さらに、本発明は、前記指示は、前記電子部品を前記基板に装着中に前記フィーダを交換又は前記電子部品を供給する供給テープの補充の補給指示するフィーダ準備ボタンで行い、前記指示を前記補給指示とは違った操作で前記フィーダ準備ボタンを操作することを第8の特徴とする。
【0012】
また、本発明は、前記補給指示は前記フィーダ準備ボタンを単押しで行い、前記指示は、複数押し或いは長押しで行うことを第9の特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、2つの生産ラインに有するデュアルライン装置である電子部品装着装置において、一方の生産ラインが運転中であっても、他方の生産ラインのフィーダエリアのフィーダカートを脱着し、フィーダカート交換等の段取り作業を可能とし、稼働率の高い電子部品装着装置及び電子部品装着方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態である電子部品装着装置の外観を示す図である。
【図2】本体に2台のフィーダカートが設置された電子部品装着装置の平面図である。
【図3】図2に示した本体のフィーダエリアに挿入され、フィーダを複数有するフィーダカートの実施例を示す図である。
【図4】モニタの実施例を示し、その正面図を示す図である。
【図5】本実施形態のフィーダカート装脱着モードの第1の実施例を示した図である。
【図6】着脱可能かを判断する判断フローを示す図である。
【図7】本実施形態のフィーダカート装脱着モードの第2の実施例を示した図である。
【図8】本実施形態のフィーダカート装脱着モードの第3の実施例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は本発明の実施形態である電子部品装着装置100の外観を示す図である。電子部品装着装置100は電子部品装着装置本体(以下、単に本体という)20と、本体の両側に設けられた電子部品を供給するフィーダを複数有する2台のフィーダカート50と、運転員からの指示を入力し、或いは運転員への情報を表示するタッチパネル付きモニタ21、運転状況を示す表示灯22と、後述する電子部品の吸着や装着や段取り等を監視し制御する制御装置28とを有する。本体20には作業状況を確認できるように透明な開閉カバー23が、またフィーダカート50が挿入されるフィーダエリア3には、フィーダエリア3と隣接部を分離する図示しない開閉可能なフィーダエリアカバーが設けられている。本実施形態における開閉カバー23は、鳥の羽のように本体20の中央を中心にして独立して左右に開閉するようになっている。
【0016】
本体20は、2つの生産ラインを有する、所謂デュアルライン装置である。デュアルライン装置では、2本の装着ヘッドでフィーダカート50から電子部品を取出し、異なった基板に装着する独立生産モード、或いは他方の生産ラインに流れる基板に電子部品を装着する同時乗り入れモードを有する。
【0017】
独立生産モードでも、2本の装着ヘッド6がそれぞれの側に存在するフィーダエリア3のフィーダカート50からのみ電子部品を吸着する完全独立生産モードと、他方側に存在するフィーダエリア3のフィーダカート50からも電子部品を吸着する準独立生産モードを有する。
【0018】
以下、図面を用いて本体20を主体とした電子部品装着装置100の構成及び動作を説明する。
図2は本体20に2台のフィーダカート50が設置された電子部品装着装置100の平面図である。電子部品装着装置100の紙面の上下両側に、フィーダカート50が設置可能なフィーダエリア3がある。上側下側のフィーダエリア3には、図3に電子部品の実装作業に用いるフィーダカート50が設置されている。フィーダカート50がフィーダエリア3に設置されたかは、近接センサ24で検知する。
【0019】
本体20は、一点鎖線で示す中央ラインCLの図面上側ラインと図面下側ラインを有し、搬送装置2の基板コンベア7で搬送されてきた基板PRに電子部品を実装する。
【0020】
電子部品を実装する装着ヘッド6には、電子部品を吸着するための吸着ノズル5が円周上に12本取り付けられている。装着ヘッド6はフィーダエリア3に設置されているフィーダカート50のフィーダ固定部52に複数載置されているフィーダ3Bから電子部品を吸着し、基板PRの所定の位置に移動し装着する。
【0021】
その移動の際に、装着ヘッド6は、具備している基板認識カメラ8で、基板PRの所定の位置にある基板PRの基準点を認識し、この基板PRの基準点を基に電子部品を基板PRに装着する位置を決められる。また、装着ヘッド6は、その移動の途中に、部品認識カメラ10の上部を通り撮像され、電子部品の吸着状態を検査され、吸着異常が発見された場合は、排出箱12に電子部品を排出する。
【0022】
本体20は、装着ヘッド6を上記のように移動させるために、例えば、リニアモータで構成されたX、Y移動機構を有する。X移動機構は、Xビーム4Aまたは4B上に設けられたX固定子(図示せず)と、装着ヘッドが有するX可動子11とで構成され、X方向移動は装着ヘッド6がXビーム4Aまたは4B上を自在に動くことによって実現される。一方、Y移動機構は、両側に設けられYビーム1A、1B上に設けられたY固定子(図示せず)と、Xビーム4Aまたは4B上のそれぞれ両端に設けられた可動子9とで構成され、装着ヘッド6の移動は、Xビーム4A及び4BがYビーム1A、1B上を自在に動くことによって実現される。なお、13は電子部品やバックアップピンなどの吸着ノズルを保存するノズルストッカである。
【0023】
図3は、図2に示した本体20のフィーダエリア3に挿入され、フィーダ3Bの設置位置を複数有するフィーダカート50の実施例を示す図である。
【0024】
フィーダカート50は、ベース部51と、基板に装着すべき種々の電子部品を種類毎に収納した供給テープ60を巻回した複数の供給リール70を格納するリール格納部53と、前記複数の供給リール70に対応し規則正しく配列される複数のフィーダ3Bを載置するフィーダ固定部(フィーダベース)52と、フィーダカート50をフィーダエリア3に装脱着するためのハンドル部54及び本体20との信号の授受を行なう一括信号授受ケーブル57を接続するコネクタ(図示せず)とを有している。また、本体側のフィーダカート50側の裏面側には、紙面手前側に開閉可能なフィーダエリアカバーがあり、本体20には前記一括信号授受ケーブル57を接続するカート用コネクタ55が設けられている。また、フィーダエリアカバー(フィーダカバー)は、フィーダ上部の部品取出し位置を開閉するものであってもよく、フィーダカート50を本体より外すときに閉じるようにすればよい。なお、フィーダ固定部52の1、3、20の数字は、フィーダ30の設置位置を示すフィーダ位置番号である。
【0025】
図4は、モニタ21の実施例を示し、その正面図を示す。モニタ21の入力手段としてのタッチパネルスイッチ21及び操作パネル31が設けられている。
操作パネル31はモニタ21の下部に設けられ、操作パネル31には、左側から右側に間隔を存してフィーダ準備(FEEDER READY)ボタン81、電源(POWER)ボタン82、スタート(START)ボタン83、停止(STOP)ボタン84及び操作パネル指定(PANEL)ボタン85が配置されている。各ボタン81乃至85はそれぞれ着色されたカバー61乃至65と各カバーの内側に設けられた例えば発光素子(LED)等の発光体71乃至75等から構成されている。
【0026】
フィーダ準備ボタン81はフィーダ13を交換する又は供給テープを補充するときに作業者によって押され、フィーダ準備ボタンが点灯中に押すことによってフィーダ3のロック状態が解除され、交換が可能になる。
【0027】
このような電子部品装着装置100において、従来は、安全性の見地から、運転中に装置内に運転員がアクセスしないよう、2台のフィーダカート50が設置され、かつ開閉カバー23が閉じていないと運転を始めることができない。しかしながら、昨今のように、機種切替えが多くデュアルライン装置でも独立生産を行うこと要求されている。
【0028】
そこで、本実施形態では、フィーダカート50を装着するフィーダエリア側には運転員がアクセスできないようにフィーダエリアカバーが閉じられている。そこで、稼働中の生産ラインの生産に支障ない範囲で、運転員のフィーダカート50を取り外す指示に基づいて、他方の生産ラインのフィーダカート50を着脱し、新たなフィーダカート59に切り替える、或いは、フィーダカート50内の段取り含め、可能な限り他の段取り作業を行えるようにする。なお、以下の説明において、2つの生産ラインのうち少なくとも1生産ラインが運転状態において、他方の1生産ラインでフィーダカート50を取替え又は必要なものを交換又は補充し同じフィーダカート50を装脱着する処理をフィーダカート装着脱モードという。
【0029】
図5は本実施形態のフィーダカート装脱着モードの第1の実施例を示した図、即ちフィーダカートを取り替えるフィーダカート装脱着動作フローを示す図である。図面上部側は現在運転中の生産ラインUのフィーダカート50Uが存在するフィーダエリア3Uを示し、図面下部側は現在休止中の対象生産ラインTのフィーダカート50Tが存在するフィーダエリア3Tを示す。前者のフィーダエリア3を使用ブロック3Uといい、後者のフィーダエリア3を対象ブロック3Tという。
【0030】
まず、対象生産ラインTの機種作業が終了したら、制御装置28は、対象ブロック3Tのフィーダカート50Tが着脱できるかを図6に示す判断フローに従い判断する。本実施例では、その判断結果を図4に示すフィーダ準備(FEEDER REDAY)ボタン81の表示内容で示す(Step1)。フィーダ準備ボタン81は、フィーダ3Bが正常に電子部品を供給しているときは点灯し、例えばフィーダ3Bの交換が必要になる場合、生産運転が停止している場合等の所定の条件で消灯する。本例では、判断結果、着脱可能ならば消灯し、不可能ならば点灯する。
【0031】
この結果、運転員は、フィーダカート50Tの着脱可否をフィーダ準備ボタン81の表示状態で知ることができる。フィーダ準備ボタン81が点灯しているときは、フィーダカート50Tを外すためのロックがされている状態であり、即ち、フィーダ固定部52が下降しないようにロックされている状態と認識する。一方、消灯しているときは、フィーダエリアカバーが閉じた状態となっていると認識する。
【0032】
なお、フィーダカート50Tの着脱可否を対象生産ラインTの運転状況を示す表示灯22で行なってもよい。また、フィーダカート50の交換の可否の表示は、単に点灯/消灯だけではなく、状態に応じてフィーダ準備ボタン81や表示灯22の点灯色を変えてもよいし、モニタ21の画面で表示してもよい。
【0033】
次に、運転員は、フィーダカート50Tの交換が必要で、かつフィーダ準備ボタン81の表示が着脱可能を示しているならば、フィーダ準備ボタン81Tを押し、フィーダカート50Tの交換を指示する。フィーダカート50Tが着脱可能ならば、フィーダカート50Tのフィーダ固定部52は下降し、脱着可能状態になる(Step2)。
指示手段としても、フィーダ準備ボタン81で代用するのでなく、専用ボタンを設けてもよい。ボタンではなく他の手段を用いてもよい。
【0034】
次に、運転員は次に生産する機種のために段取りされた新たなフィーダカート50Nと交換するためには、図3に示す一括信号授受ケーブル57をフィーダカート50Tから外し、フィーダカート50Tをフィーダエリア3から取り出す。そして、一括信号授受ケーブル57を新たなフィーダカート50Nに接続し、新たなフィーダカート50Nをフィーダエリア3に取り付ける(Step3)。
【0035】
次に、運転員は、消灯中のフィーダ準備ボタン81Tを押す。制御装置28は、新たなフィーダカート50Nとの一括信号授受ケーブル57の接続を確認し、新たなフィーダカート50Nのフィーダ固定部52を上昇させる(Step4)。なお、その後運転員がフィーダカート50を交換した生産ラインTの運転を開始するために、図4に示すスタート(START)ボタン83を押すと、フィーダ準備ボタン81が点灯する。
【0036】
図6は、着脱可能かを判断する判断フローを示す。図6のフローに示すように。対象生産ラインは休止中であり(Step11)、フィーダエリアカカバーは閉じている(Step12)、同時乗り入れモードではなく独立生産モードであり(Stepp13)、独立生産モードであっても準独立生産モードではなく完全独立生産モードであり(Stepp14)、また、準独立生産モードであっても、対象生産ラインTにはあったが、対象ブロック3Tに生産ラインUで使用するフィーダがなければ(Stepp15)、対象ブロック3Tのフィーダカート50の脱着を可能とする。第1の実施例では、脱着可能であればフィーダ準備ボタン81Tを消灯し(Stepp16)、脱着不可能であれば、フィーダ準備ボタンの点灯を継続する(Stepp17)。例えば、同時乗り入れモードで部品供給が正常な場合に点灯を継続する。
【0037】
電子部品装着装置であっても、同時乗り入れ生産モードがない場合はStep13の条件を、さらに完全独立生産モードしかない場合は、Step14、Step15を省略する。従って、第1の実施例では、少なくとも対象生産ラインが休止中か、フィーダエリアカバーが閉じているかを判断し、フィーダカート50の脱着処理を行なう。
【0038】
以上説明した第1の実施例によれば、2つの生産ラインに備えるデュアルライン装置である電子部品装着装置において、一方の生産ラインが運転中であっても、より安全に他方の生産ラインのフィーダエリアのフィーダカートを取り外し可能とし、稼働率の高い電子部品装着装置及び電子部品装着方法を提供できる。
【0039】
次に、本実施形態のフィーダカート装脱着モードの第2の実施例であるフィーダカートを取り替えるフィーダカート装脱着動作フローを図7を用いて説明する。図7は、上段に示す動作フローは、通常のフィーダ3Bを取り替えるフィーダ交換の動作フローを示し、下段は、本実施形態の第2の実施例におけるフィーダカートの取り替えるフィーダカート装脱着動作フローを示す。図7においては、図5と同様に図面上部側の現在運転中の生産ラインの構成用要素は添え字Uで示し、対象生産ラインの構成用要素は添え字Tで示す。
【0040】
上段に示すフィーダ3Bの差し替えは、運転中であっても休止中であっても、フィーダ準備ボタン81Tを単押し、消灯させ(Step31)、モニタ21に表示された箇所のフィーダ3Bのクランプを解除し、フィーダを抜き差し或いは供給テープの補充をする(Step32)。その後、数秒後当該フィーダ3Bをクランプし、再度フィーダ準備ボタン81Tを点灯する(Step33)。この処理をフィーダ差替モードという。このフィーダ差替モードの動作フローは、第1の実施例や他の実施例でも同様である。
【0041】
一方、下段に示すフィーダカート50の取り替える第2の実施例では、第1の実施例と異なり、休止中であるかどうかに拘らず、特に運転中であっても、運転員が現在の運転状況を考慮してフィーダカート50Tの交換、即ちフィーダカート50Tの脱着を必要と考えるケースも実現できるようにした例である。第2の実施例では、図6に示す着脱可能かを判断する判断フローにおいて、Step1の休止中かの判断をせず、少なくともStep2のフィーダエリアカバーが閉じていることを確認して、下段フローに示す紙面下側のフィーダカート50Tの取り替える。
【0042】
Step30に示すように、2つのフィーダ準備ボタン81U、81Tが点灯していることから、電子部品装着装置100の2つの生産ラインは運転中又は運転可能状態にある。そこでまず、運転員がフィーダ準備ボタン81Tを長押しし、図6に判断フローのうち少なくともフィーダエリアカバーの状態を判断する。フィーダカート50Tの交換が可能ならばフィーダ準備ボタン81Tを消灯させ、フィーダカート50Tのフィーダ固定部52を下降させる(Step34)。長押しするのは単押しによるフィーダ3Bの交換等の要求と区別するためである。
【0043】
次に、第1のステップ3と同様にしてフィーダカート50Tを新たなフィーダカート50Nと交換する(Step35)。その後、運転員は、消灯中のフィーダ準備ボタン81Tを単押し又は長押しすると(Step36)、制御装置28は、新たなフィーダカート50Nとの一括信号授受ケーブル57の接続を確認し、新たなフィーダカート50Nを上昇させ運転できるようにし、その後再度フィーダ準備ボタンを点灯する(Step37)。
【0044】
以上説明した第2の実施例によれば、2つの生産ラインに備えるデュアルライン装置である電子部品装着装置において、2つの生産ラインが共に運転中であっても、一方のフィーダカート50を交換又は段取りが必要な場合に、他方の生産ラインの運転を継続しながら、当該フィーダカート50をフィーダエリア3から取り外し可能とし、稼働率の高い電子部品装着装置及び電子部品装着方法を提供できる。
【0045】
次に、本実施形態のフィーダカート装脱着モードの第3の実施例であるフィーダカートを取り替えるフィーダカート装脱着動作フローを図8を用いて説明する。図8においては、図5と同様に図面上部側の現在運転中の生産ラインの構成用要素は添え字Uで示し、対象生産ラインの構成用要素は添え字Tで示す。
【0046】
第3の実施例は、基本的な考えは第2の実施例と同じである。即ち、休止中であるかどうかに拘らず、特に運転中であっても、運転員が現在の運転状況を考慮してフィーダカート50Tを交換する。即ちフィーダカート50Tの交換を必要と考える場合は、その交換をできるようにした例である。
【0047】
第3の実施例の第2の実施例と異なる点は、第2の実施例で示したフィーダ差替モード
を経由して、フィーダカートの装脱着を行なう。図8において、紙面上側はフィーダ差替モードを示し、Step40からStep42は、第2の実施例で示した図7のStep30からStep32と同じである。また、紙面下側は、フィーダカート装脱着モードを示し、Ste42、Step44からStep46及びStep43は、それぞれ図7に示す第2の実施例のStep32、Step34からSte36及びStep33と基本的は同じである。
【0048】
このような動作フローにおいて、Step42のフィーダ差替モード内、本実施例ではStep42内で、フィーダ準備ボタン81Tを押すことによって、フィーダカート装脱着モードに移行して、第2の実施例と同様に動作する。
【0049】
ただ異なる点は、第2の実施例ではフィーダ差替モードのフィーダ準備ボタン81の単押し操作と区別するために、フィーダカート装脱着モードではフィーダ準備ボタン81の長押し操作を用いているのに対し、第3の実施例ではフィーダ準備ボタン81の2度押し操作を用いている点である。しかしながら、フィーダ準備ボタン81の操作は、第2の実施例でも第3の実施例の方法を用いてもよいし、逆に第2の実施例でも第3の実施例の方法を用いてもよい。要はフィーダ差替モードの操作とフィーダカート装脱着モードとの操作を変えればよい。
【0050】
また、フィーダ差替モードの操作とフィーダカート装脱着モードを異なったボタン或いは異なった方法で行なってもよい。
【0051】
以上説明した第3の実施例によれば、第2の実施例同様に、2つの生産ラインが共に運転中であっても、一方のフィーダカート50を交換又は段取りが必要な場合に、他方の生産ラインが運転中であっても、フィーダカート50を交換又は段取りが必要な場合に、残りを生産ラインの運転を継続しながら、当該フィーダカート50をフィーダエリア3から脱着を可能とし、稼働率の高い電子部品装着装置及び電子部品装着方法を提供できる。
【0052】
以上本発明の実施態様について説明したが、上述の説明に基づいて当業者にとって種々
の代替例、修正又は変形が可能であり、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲で前述の種々
の代替例、修正又は変形を包含するものである。
【符号の説明】
【0053】
2:搬送装置 3:フィーダエリア
3B:フィーダ 5:吸着ノズル
6:装着ヘッド 20:本体
21:タッチパネル付きモニタ 22:表示灯
23:開閉カバー 24:近接スイッチ
28:制御装置 31:操作パネル
50、50T、50U:フィーダカート 52:フィーダ固定部
57:一括信号授受ケーブル 81:フィーダ準備ボタン
100:電子部品装着装置 PR:基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中央部にそれぞれの基板を搬送する2つの(デュアル)生産ラインと、前記生産ラインの外側にあるフィーダエリアに装着され、電子部品を供給するフィーダを複数搭載するフィーダカートと、前記フィーダから前記電子部品を取り出し、前記基板に前記電子部品を装着する2本の装着ヘッドと、これを制御する制御装置とを有する電子部品装着装置において、
一方の前記装着ヘッドで一方の生産ラインの前記基板に装着し、他方の前記装着ヘッドで他方の生産ラインの前記基板に装着する独立生産モードを有し、前記他方の生産ライン側に設けられた他方側のフィーダカートの前記フィーダエリアからの脱着の指示を入力する入力手段と、前記一方の生産ラインで生産中に、前記他方側のフィーダカートを脱着可能かを判断する脱着可否判断手段と、前記指示があったときに、前記脱着可否判断手段の結果が脱着可能ならば、前記他方側のフィーダカートが脱着できるように前記フィーダカートを制御するフィーダカート制御手段と、を有することを特徴とする電子部品装着装置。
【請求項2】
中央部に2つの(デュアル)生産ラインでそれぞれの基板を搬送し、前記生産ラインの外側にあるフィーダエリアに装着されたフィーダカートに搭載された電子部品を供給する複数のフィーダから前記電子部品を取り出し、2本の装着ヘッドで前記基板に前記電子部品を装着する電子部品装着方法において、
一方の前記装着ヘッドで一方の生産ラインの前記基板に装着し、他方の前記装着ヘッドで他方の生産ラインの前記基板に装着する独立生産モードを有し、前記他方の生産ライン側に設けられた他方側のフィーダカートの前記フィーダエリアからの脱着の指示を入力する入力ステップと、前記一方の生産ラインで生産中に、前記他方側のフィーダカートを脱着可能かを判断する脱着可否判断ステップと、前記指示があったときに、前記脱着可否判断ステップの判断が脱着可能ならば、前記他方側のフィーダカートが脱着できるように前記フィーダカートを制御するフィーダカート制御ステップと、を有することを特徴とする電子部品装着方法。
【請求項3】
前記脱着可否判断ステップは、前記フィーダエリアに設けられ前記フィーダエリアと隣接部を分離する開閉可能なフィーダエリアカバーが閉じられているときに、脱着可能と判断することを特徴とする請求項2に記載の電子部品装着方法。
【請求項4】
前記脱着可否判断ステップは、前記フィーダエリアに設けられフィーダエリアと隣接部を分離する開閉可能なフィーダエリアカバーが閉じられている、前記一方の装着ヘッドが前記他方の生産ラインの前記基板に前記電子部品を装着しない、一方側のフィーダカートに搭載された前記フィーダから前記電子部品を取り出さない、前記他方の生産ラインは生産していない休止中である、という条件の全ての条件を満足したときに脱着可能と判断することを特徴とする請求項2に記載の電子部品装着方法。
【請求項5】
前記脱着可能かの判断を前記他方の生産ラインが生産しない休止中のときに行い、前記指示する前に運転員に前記脱着可能かを知らせることを特徴とする請求項3又4に記載の電子部品装着方法。
【請求項6】
前記他方の生産ラインも前記電子部品を前記基板に装着中であり、前記指示は前記装着中に行なわれることを特徴とする請求項2又は3或いは4に記載の電子部品装着方法。
【請求項7】
前記他方の生産ラインも前記電子部品を前記基板に装着中であり、前記電子部品を前記基板に装着中に前記フィーダを交換又は前記電子部品を供給する供給テープを補充する電子部品補給ステップを有し、まず、前記電子部品補給ステップを動作させ、前記指示を前記電子部品補充ステップ中に行なうことを特徴とする請求項2に記載の電子部品装着方法。
【請求項8】
前記指示は、前記電子部品を前記基板に装着中に前記フィーダを交換又は前記電子部品を供給する供給テープの補充の補給指示するフィーダ準備ボタンで行い、前記指示を前記補給指示とは違った操作で前記フィーダ準備ボタンを操作することを特徴と請求項2又は3或いは4に記載の電子部品装着方法。
【請求項9】
前記補給指示は前記フィーダ準備ボタンを単押しで行い、前記指示は、複数押し或いは長押しで行うことを特徴とする請求項8に記載の電子部品装着方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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