説明

電子部品

【課題】各リード部の位置を正確に検出することができ、電子制御ユニットのコストを低くすることができるようにする。
【解決手段】樹脂製のパッド部、及びパッド部に埋設された複数の端子ユニットを有し、各端子ユニットは、互いに平行に、かつ、端子面を露出させて配設されたリード部47を備え、端子面には、ボンディングワイヤとリード部47とを接合するための接合部が形成されるようになっている。二つの線分から成るコーナ部が形成された端子面を備える少なくとも二つの端子ユニットと、二つの線分から成るコーナ部が形成されない端子面を備える端子ユニットとを有する。コーナ部に基づいてリード部47の位置が認識されてワイヤボンディングが行われる。コーナ部は二つの線分から成るので、リード部47の画像を読み取ったときに、読み取られた画像のコーナ部を正確に認識することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電子制御ユニットにおいては、回路基板を収容するケースとコネクタとが一体に形成され、前記回路基板側の複数の端子と前記コネクタ側の複数の端子ユニットとがワイヤボンディングによってそれぞれ接続される。
【0003】
図2は従来の電子制御ユニットの断面図、図3は従来の電子制御ユニットのパッド部の要部斜視図である。
【0004】
図において、11は樹脂製のケースであり、該ケース11は、上面を開口させて形成された本体部13及びカバー14から成り、回路基板16を収容する。また、12は前記ケース11と一体に形成されたコネクタであり、該コネクタ12に、帯板状のリード部17及びピン18を備えた複数の端子ユニット19が、インサート成形によって、かつ、互いに隣接させて等ピッチで埋め込まれる。この場合、前記各リード部17は、ケース11のパッド部22の上面、すなわち、樹脂面22aに沿って互いに平行に延び、上面、すなわち、端子面17aが露出させられる。また、前記ピン18は、コネクタ12と図示されないケーブルとを接続するためのソケット21内に突出させられる。なお、前記ケース11、コネクタ12及び回路基板16によって電子制御ユニットが構成される。
【0005】
そして、前記回路基板16に形成された図示されない複数の端子と前記端子ユニット19とはワイヤボンディングによって電気的に接続される。そのために、アルミニウム線等から成るボンディングワイヤ23の両端が、ボンディングツールによって前記回路基板16の端子及びリード部17に押し付けられた状態で高周波振動させられる。その結果、ボンディングワイヤ23の両端と回路基板16の端子及びリード部17との間の圧接部の汚れ、酸化皮膜等が除去され、ボンディングワイヤ23の両端と回路基板16の端子及びリード部17とが接合される。
【0006】
ところで、前記回路基板16の端子と前記端子ユニット19とをワイヤボンディングによって接続するに当たり、ボンディングツールによってボンディングワイヤ23の一端をリード部17に押し付ける必要が生じる。その場合、ボンディングツールの位置決めを行うために、各リード部17の画像を読み取り、読み取られた画像のエッジ部、コーナ部等を認識するとともに、認識結果に基づいて各リード部17の位置を検出するようにしている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前記従来の電子制御ユニットにおいては、前記端子面17aの周縁に樹脂が付着しているので、各リード部17の画像を読み取ったときに、読み取られた画像のエッジ部、コーナ部等を正確に認識することができない。したがって、リード部17の位置を正確に検出することができない。
【0008】
また、前述されたように、各リード部17の位置にばらつきが生じるので、すべてのリード部17の位置を読み取る必要がある。したがって、作業が煩わしいだけでなく、電子制御ユニットのコストが高くなってしまう。
【0009】
本発明は、前記従来の電子制御ユニットの製造装置の問題点を解決して、各リード部の位置を正確に検出することができ、電子制御ユニットのコストを低くすることができる電子部品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そのために、本発明の電子部品においては、樹脂製のパッド部、及び該パッド部に埋設された複数の端子ユニットを有し、該各端子ユニットは、互いに平行に、かつ、端子面を露出させて配設されたリード部を備え、前記端子面には、ボンディングワイヤとリード部とを接合するための接合部が形成されるようになっている。
【0011】
そして、二つの線分から成るコーナ部が形成された端子面を備える少なくとも二つの端子ユニットと、二つの線分から成るコーナ部が形成されない端子面を備える端子ユニットとを有する。また、二つの線分から成るコーナ部に基づいて前記リード部の位置が認識されてワイヤボンディングが行われる。
【0012】
本発明の他の電子部品においては、さらに、前記リード部の端子面における所定の部分に突起が形成される。そして、前記コーナ部は、前記突起によって形成された線分、及び端子面における他の部分によって形成された線分が交差することによって形成される。
【0013】
本発明の更に他の電子部品においては、さらに、前記コーナ部において、前記端子面と前記樹脂面とがオフセットさせられる。
【0014】
本発明の更に他の電子部品においては、さらに、前記コーナ部は、前記端子ユニットの複数のリード部のうちの両端に配設されたリード部の端子面に形成される。
【0015】
本発明の更に他の電子部品においては、さらに、前記パッド部における複数のリード間に凹部が形成される。
【0016】
本発明の更に他の電子部品においては、さらに、前記凹部は、前記端子ユニットを樹脂に埋め込む際に、金型に形成された複数の凸部によって形成される。
【0017】
本発明の更に他の電子部品においては、さらに、前記コーナ部の二つの線分のうちの一方の線分は、前記パッド部に形成された凹部に沿って形成される。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、電子部品においては、樹脂製のパッド部、及び該パッド部に埋設された複数の端子ユニットを有し、該各端子ユニットは、互いに平行に、かつ、端子面を露出させて配設されたリード部を備え、前記端子面には、ボンディングワイヤとリード部とを接合するための接合部が形成されるようになっている。
【0019】
そして、二つの線分から成るコーナ部が形成された端子面を備える少なくとも二つの端子ユニットと、二つの線分から成るコーナ部が形成されない端子面を備える端子ユニットとを有する。また、二つの線分から成るコーナ部に基づいて前記リード部の位置が認識されてワイヤボンディングが行われる。
【0020】
この場合、コーナ部は二つの線分から成るので、リード部の画像を読み取ったときに、読み取られた画像のコーナ部を正確に認識することができる。したがって、前記リード部の位置を正確に、かつ、容易に検出することができる。
【0021】
本発明の他の電子部品においては、さらに、前記リード部の端子面における所定の部分に突起が形成される。そして、前記コーナ部は、前記突起によって形成された線分、及び端子面における他の部分によって形成された線分が交差することによって形成される。
【0022】
この場合、コーナ部は、突起によって形成された線分、及び端子面における他の部分によって形成された線分が交差することによって形成されるので、リード部の画像を読み取ったときに、読み取られた画像のコーナ部を正確に認識することができる。したがって、前記リード部の位置を正確に、かつ、容易に検出することができる。
【0023】
本発明の更に他の電子部品においては、さらに、前記コーナ部において、前記端子面と前記樹脂面とがオフセットさせられる。
【0024】
この場合、コーナ部において、端子面と樹脂面とがオフセットさせられるので、オフセットさせられた部分においてキャビティ空間に充填された樹脂がコーナ部に付着して端子面を汚すことがなくなる。したがって、リード部の画像を読み取ったときに、読み取られた画像のコーナ部を正確に認識することができる。その結果、前記リード部の位置を正確に、かつ、容易に検出することができる。
【0025】
本発明の更に他の電子部品においては、さらに、前記コーナ部は、前記端子ユニットの複数のリード部のうちの両端に配設されたリード部の端子面に形成される。
【0026】
この場合、複数のリード部のうちの両端に配設されたリード部についてだけ、コーナ部を認識し、両端のリード部の位置の座標を算出することによって、両端のリード部間に配設されたリード部の位置を算出することができる。したがって、各リード部の位置を正確に、かつ、容易に検出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0028】
図6は本発明の実施の形態における電子制御ユニットの概略図、図7は本発明の実施の形態における電子制御ユニットの断面図、図8は本発明の実施の形態におけるコネクタの平面図、図9は本発明の実施の形態におけるコネクタの断面図、図10は本発明の実施の形態におけるコネクタの要部断面図である。
【0029】
図において、35は樹脂製のケースであり、該ケース35は、上面を開口させて形成された本体部36及びカバー37から成り、回路基板16を収容する。前記本体部36は、ケース35を図示されない車両等の適宜の部位に取り付けるための一対のフランジ36a、36bを備える。
【0030】
前記回路基板16は、セラミック基板等の上に、図示されない回路パターンを導体によって印刷することにより形成される。そして、前記回路基板16上にマイクロコンピュータ、各種の回路素子等を配置することによって電子回路が形成される。前記回路基板16の両縁部には、各種の信号を送受信したり、電流を供給したりするために複数の端子44が形成される。
【0031】
また、38は前記ケース35の両縁に取り付けられた電子部品としてのコネクタであり、該コネクタ38は樹脂製の本体部38aを備え、該本体部38aに、帯板状のリード部47、ピン48及びリード部47とピン48とを接続する連結部41を一体に備えた複数の端子ユニット49が、インサート成形によって、互いに隣接させて等ピッチで埋め込まれる。この場合、前記各リード部47は、前記本体部38aに形成されたパッド部43の上面、すなわち、樹脂面43aに沿って互いに平行に延び、所定部分が露出させられ、上面、すなわち、端子面47aを形成する。また、前記ピン48は、コネクタ38と図示されないケーブルとを接続するためのソケット56内に突出させられる。そして、前記樹脂面43aにおける各リード部47間の中央には、パッド部43の長手方向に延びる不連続な帯状の溝61が形成される。なお、前記各リード部47は、パッド部43の部分において一列に数十本並べられ、ピン48は、ソケット56内において、立体的に並べられる。また、前記ケース35、コネクタ38及び回路基板16によって電子制御ユニットが構成される。
【0032】
そして、前記各端子44と前記端子ユニット49とはワイヤボンディングによって電気的に接続される。そのために、アルミニウム線等から成るボンディングワイヤ53の両端が、図示されないボンディングツールによって前記端子44及びリード部47に押し付けられた状態で高周波振動させられる。その結果、ボンディングワイヤ53の両端と端子44及びリード部47との間の圧接部の汚れ、酸化皮膜等が除去され、ボンディングワイヤ53の両端と端子44及びリード部47とが接合される。
【0033】
この場合、前記パッド部43は、各ボンディングワイヤ53の一端と端子ユニット49とが最短距離で接続されるように、各端子44と隣接させて形成される。
【0034】
ところで、前述されたように、前記リード部47の所定部分に端子面47aが形成されるが、リード部47における前記端子面47aが形成される部分の両側には、パッド部43内において直角に折り曲げられ、鉛直方向に延びる第1の埋設部分47b、47cが形成され、該第1の埋設部分47b、47cの先端がパッド部43内において直角に折り曲げられて、水平方向に延びる第2の埋設部分47d、47eが形成される。
【0035】
したがって、ボンディングツールによってボンディングワイヤ53の両端を高周波振動させたとき、リード部47は、縦方向及び横方向に移動しようとするが、前記第1、第2の埋設部分47b〜47eがパッド部43の樹脂に埋設され、しかも、コネクタ38はケース35に固定されているので、移動するのが阻止される。その結果、各ボンディングワイヤ53の一端の高周波振動が減衰するのを防止することができるので、各ボンディングワイヤ53の一端とリード部47とを良好に接合することができる。
【0036】
また、各端子44と端子ユニット49とがボンディングワイヤ53によって接続された後、ボンディングワイヤ53に外力が加わると、リード部47は図10における上方に引き上げられるような力を受ける。ところが、第2の埋設部分47d、47eがパッド部43の樹脂に埋設されているので、該樹脂が、リード部47を上方に引き上げようとする力に対して抵抗力を発生する。したがって、リード部47が上方に引き上げられることはない。
【0037】
ここで、第1の埋設部分47b、47cは、プレス加工によって折り曲げることにより形成されるので、各リード部47の両端の折り曲げ部分に、アールが形成され、樹脂が付着する。これに対して、後述されるように、各リード部47の中央部分においては、両側に溝61が形成されるので、端子面47aの周縁に樹脂が付着することはない。したがって、リード部47において、両端が樹脂によって保持されるので、中央部分が樹脂によって保持されなくても、リード部47を樹脂に確実に固定することができる。
【0038】
次に、従来の電子制御ユニットの製造装置について説明する。
【0039】
図4は従来の電子制御ユニットの製造装置の断面図、図5は従来の端子ユニットのリード部の端子面の状態を示す図である。
【0040】
図において、30は下金型、31は上金型であり、前記下金型30及び上金型31のうちのどちらか一方は、移動自在に配設され、図示されない型締装置によって前進させられて型閉じを、型締め力が加えられて型締めを、後退させられて型開きを行う。
【0041】
そして、型閉じが終了した時点で前記上金型31と下金型30との間には、図示されない樹脂を充填(てん)するためのキャビティ空間Cが形成され、該キャビティ空間C内において、端子ユニット19(図2)が図示されない保持具によって保持される。
【0042】
次に、図示されないゲートを介して前記キャビティ空間Cに溶融させられた樹脂を充填し、冷却すると、樹脂に端子ユニット19が埋め込まれた状態のコネクタ12を得ることができる。
【0043】
この場合、パッド部22の樹脂面22aにおいて端子面17aを露出させる必要がある。そこで、上金型31の下面31aが平坦(たん)にされるとともに、型締めが行われるときに、下面31aと前記端子面17aとが密着するように端子ユニット19が前記保持具によって保持される。
【0044】
ところが、前記構成の電子制御ユニットの製造装置においては、キャビティ空間Cに充填された樹脂の圧力によってリード部17が押され、各リード部17の位置にばらつきが生じ、各リード部17間の距離p1、p2、…が異なってしまう。
【0045】
また、キャビティ空間Cに充填された樹脂が、リード部17と上金型31との間に進入し、図5に示されるように、端子面17aの周縁に付着して端子面17aを汚してしまう。
【0046】
したがって、前記回路基板16の端子と前記端子ユニット19とをワイヤボンディングによって接続しようとするときに、端子面17aの周縁に付着した樹脂がボンディングワイヤ23とリード部17との間に介在していると、接続不良が発生してしまう。
【0047】
そこで、前記コネクタ38の製造装置について説明する。
【0048】
図1は本発明の実施の形態におけるコネクタの製造装置の断面図、図11は本発明の実施の形態における上金型の斜視図、図12は本発明の実施の形態における端子ユニットのリード部の端子面の状態を示す図である。
【0049】
図において、30は第1の金型としての下金型、71は第2の金型としての上金型であり、前記下金型30及び上金型71のうちのどちらか一方、例えば、上金型71は、移動自在に配設され、図示されない型締装置によって前進させられて型閉じを、型締め力が加えられて型締めを、後退させられて型開きを行う。
【0050】
そして、型閉じが終了した時点で前記上金型71と下金型30との間には、樹脂を充填するためのキャビティ空間Cが形成され、該キャビティ空間C内において、端子ユニット49(図9)が図示されない保持具によって保持される。
【0051】
したがって、図示されないゲートを介して前記キャビティ空間Cに溶融させられた樹脂を充填し、冷却すると、樹脂に端子ユニット49が埋め込まれた状態のコネクタ38を得ることができる。
【0052】
この場合、樹脂面43aにおいて端子面47aを露出させる必要がある。そこで、該端子面47aと樹脂とが接触することがないように、上金型71における下金型30と対向する面、すなわち、下面71aには、各リード部47の中央部分に対応させて帯状の第1の領域AR1が、該第1の領域AR1の両側に第2、第3の領域AR2、AR3がそれぞれ設定され、前記第2、第3の領域AR2、AR3には平坦部K1、K2が形成される。そして、型締めが行われるときに、平坦部K1、K2と前記端子面47aとが密着するように端子ユニット49が前記保持具によって保持される。
【0053】
また、前記第1の領域AR1には、前記平坦部K1、K2から突出させて複数の凸部K3が形成され、該各凸部K3間の距離Lは、前記各リード部47間の距離p3と等しくされる。そして、前記第1の領域AR1においては、各凸部K3間に凹部K4が形成される。
【0054】
したがって、型閉じが終了した時点で、前記保持具によって保持された端子ユニット49の各リード部47間に前記各凸部K3が挿入され、各リード部47と各凸部K3とが係合させられるので、キャビティ空間Cに充填された樹脂の圧力によってリード部47が押されても、各リード部47の位置にばらつきが生じることがなくなり、各リード部47間の距離p3が等しくなる。その結果、各リード部47間が接近しすぎることによって短絡するのを防止することができる。
【0055】
また、前記第2、第3の領域AR2、AR3においては、キャビティ空間Cに充填された樹脂が、リード部47と上金型71との間に進入し、端子面47aの周縁に付着して端子面47aを汚してしまうが、前記第1の領域AR1においては、各リード部47間に凸部K3が配設され、前記端子面47aとキャビティ空間Cとの間が各凸部K3によって遮断されるので、樹脂が、端子面47aの周縁に付着することがなく、端子面47aを汚すことがなくなる。なお、前記パッド部43には、各リード部47間に凹部73が形成され、前記樹脂面43aと端子面47aとの間がオフセットされる。そして、各凹部73によって溝61が形成される。
【0056】
したがって、端子44と前記端子ユニット49とをワイヤボンディングによって接続しようとするときに、端子面47aにおける第1の領域AR1に対応する部分を接合部m1として利用すると、樹脂がボンディングワイヤ53の一端と端子面47aとの間に介在することがなくなるので、接合不良が発生するのを防止することができる。
【0057】
さらに、第1の領域AR1において、型締め状態で上金型71と前記各端子面47aとの間に間隙が形成されるので、端子面47aに傷、汚れ等が付くのを防止することができる。したがって、ワイヤボンディングによる接合力を大きくすることができる。
【0058】
ところで、前記端子44と前記端子ユニット49とをワイヤボンディングによって接続するに当たり、ボンディングツールによってボンディングワイヤ53の一端をリード部47に押し付ける必要が生じる。その場合、ボンディングツールの位置決めを行うために、図示されない位置決め装置が配設される。
【0059】
該位置決め装置は、CCD等の画像読取部、画像認識部及び位置検出部から成り、リード部47の画像を画像読取部によって読み取り、読み取られた画像のエッジ部、コーナ部等を画像認識部によって認識するとともに、認識結果に基づいて各リード部47の位置を位置検出部によって検出するようにしている。この場合、各リード部47の位置にばらつきが生じないので、すべてのリード部47についてエッジ部、コーナ部等を認識する必要はない。そこで、前記画像認識部は、両端のリード部47についてだけエッジ部、コーナ部等を認識するようにしている。そして、位置検出部は、認識結果に基づいて両端のリード部47の位置の座標を算出するとともに、算出された座標、リード部47の数、各リード部47の幅wに基づいて各リード部47の位置の座標を算出する。
【0060】
この場合、前記接合部m1には樹脂が付着しないので、各リード部47の画像を読み取ったときに、読み取られた画像のうち接合部m1のエッジ部等を正確に認識することができる。したがって、前記各リード部47の位置を正確に、かつ、容易に検出することができる。
【0061】
また、本実施の形態においては、両端のリード部47において前記接合部m1と隣接させて三角形の形状を有する突起m2が外側に向けて突出させて形成され、図12に示されるように、突起m2によってコーナ部qが形成される。そして、該コーナ部qにおいて、前記樹脂面43a、端子面47a間がオフセットされる。また、コーナ部qは互いに直角の方向に延びる二つの線分q1、q2から成る。そして、一方の線分q1は突起m2によって形成され、他方の線分q2は、端子面47aにおける突起m2が形成されない他の部分によって形成される。したがって、前記コーナ部qを一層正確に認識することができる。
【0062】
そして、すべてのリード部47についてエッジ部、コーナ部等を認識する必要がないので、作業を簡素化することができるだけでなく、電子制御ユニットのコストを低くすることができる。
【0063】
なお、本実施の形態においては、端子面47aにおける中央部分に接合部m1と隣接させて三角形の形状を有する突起m2を外側に向けて形成し、直角を成すコーナ部qを形成するようになっているが、端子面47aにおける任意の部分に、任意の形状を有する突起を任意の方向に向けて形成し、任意の角度を成すコーナ部を形成することができる。また、本実施の形態においては、両端のリード部47についてだけエッジ部、コーナ部q等を認識するようにしているが、任意の2箇所のリード部47についてエッジ部、コーナ部等を認識することもできる。
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の実施の形態におけるコネクタの製造装置の断面図である。
【図2】従来の電子制御ユニットの断面図である。
【図3】従来の電子制御ユニットのパッド部の要部斜視図である。
【図4】従来の電子制御ユニットの製造装置の断面図である。
【図5】従来の端子ユニットのリード部の端子面の状態を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態における電子制御ユニットの概略図である。
【図7】本発明の実施の形態における電子制御ユニットの断面図である。
【図8】本発明の実施の形態におけるコネクタの平面図である。
【図9】本発明の実施の形態におけるコネクタの断面図である。
【図10】本発明の実施の形態におけるコネクタの要部断面図である。
【図11】本発明の実施の形態における上金型の斜視図である。
【図12】本発明の実施の形態における端子ユニットのリード部の端子面の状態を示す図である。
【符号の説明】
【0065】
30 下金型
38 コネクタ
43 パッド部
43a 樹脂面
47 リード部
47a 端子面
49 端子ユニット
53 ボンディングワイヤ
71 上金型
C キャビティ空間
K3 凸部
m1 接合部
q コーナ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂製のパッド部、及び該パッド部に埋設された複数の端子ユニットを有し、該各端子ユニットは、互いに平行に、かつ、端子面を露出させて配設されたリード部を備え、前記端子面には、ボンディングワイヤとリード部とを接合するための接合部が形成された電子部品において、二つの線分から成るコーナ部が形成された端子面を備える少なくとも二つの端子ユニットと、二つの線分から成るコーナ部が形成されない端子面を備える端子ユニットとを有するとともに、二つの線分から成るコーナ部に基づいて前記リード部の位置が認識されてワイヤボンディングが行われることを特徴とする電子部品。
【請求項2】
前記リード部の端子面における所定の部分に突起が形成され、前記コーナ部は、前記突起によって形成された線分、及び端子面における他の部分によって形成された線分が交差することによって形成される請求項1に記載の電子部品。
【請求項3】
前記コーナ部において、前記端子面と前記樹脂面とがオフセットさせられる請求項1又は2に記載の電子部品。
【請求項4】
前記コーナ部は、前記端子ユニットの複数のリード部のうちの両端に配設されたリード部の端子面に形成される請求項1〜3のいずれか1項に記載の電子部品。
【請求項5】
前記パッド部における複数のリード間に凹部が形成される請求項1〜4のいずれか1項に記載の電子部品。
【請求項6】
前記凹部は、前記端子ユニットを樹脂に埋め込む際に、金型に形成された複数の凸部によって形成される請求項5に記載の電子部品。
【請求項7】
前記コーナ部の二つの線分のうちの一方の線分は、前記パッド部に形成された凹部に沿って形成される請求項5に記載の電子部品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−140535(P2006−140535A)
【公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−28927(P2006−28927)
【出願日】平成18年2月6日(2006.2.6)
【分割の表示】特願平11−368637の分割
【原出願日】平成11年12月27日(1999.12.27)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】