説明

電子部品

【課題】 特に衝撃等が加わった場合でも、回路部材間のずれを抑制して、接続部材と前記回路部材間の良好な電気的接続を保つことが可能な電子部品を提供することを目的としている。
【解決手段】 マザー基板10上には金属で形成された回路基板用位置決め部品16が半田接合されている。子基板11には、前記位置決め部品16の突起部19と対向する位置に貫通孔17が形成され、前記子基板11の上面11bには前記貫通孔17の周囲に第1の金属膜20が形成されている。前記突起部19が前記貫通孔17に挿入されて、前記突起部19と前記第1の金属膜20間が半田23にて接合されている。これにより前記マザー基板10と子基板11間を強固に接合でき耐衝撃性を向上できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路部材間に接続部材が介在する電子部品において、特に衝撃等が加わった場合でも、前記回路部材間の位置ずれを抑制して、前記接続部材と前記回路部材間の良好な電気的接続を保つことが可能な電子部品に関する。
【背景技術】
【0002】
図12は、従来の電子部品(回路基板モジュール)の断面形状である。図12に示す電子部品では、マザー基板(実装基板)1上に子基板2が配置されている。前記マザー基板1及び子基板2の各対向面1a,2aには図示しない導電膜で形成された配線パターンが形成されている。
【0003】
図12に示すように、前記マザー基板1と子基板2間には接続部材7が介在している。前記接続部材7は、支持板3と、その表面に形成された弾性接点4とを有して構成される。
【0004】
図12に示す従来例では、前記マザー基板1の対向面1a上に前記支持板3が配置されている。前記弾性接点4と前記マザー基板1の対向面1aに形成された前記配線パターンの先端に位置する電極とは、前記支持板3内に形成されたビアホール内を埋める導通部(図示しない)によって電気的に接続されている。
【0005】
前記弾性接点4の先端は、前記子基板2の前記対向面2aに形成された配線パターンの先端に位置する電極5に電気的に接続されており、前記マザー基板1側の電極と、前記子基板2側の電極5とが前記弾性接点4を介して電気的に接続されている。
【0006】
図12に示すように前記子基板2は前記マザー基板1とともに、螺子6により筐体8上に固定されている。なお図示しないが前記マザー基板1は前記螺子6以外の箇所においても螺子等の固定部材によって筐体8上に固定されている。あるいはリペア性は失われるが、前記マザー基板1と筐体8間に接着層を設けて固定することも可能である。
【特許文献1】特開平8−96911号公報
【特許文献2】特開2004−14580号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら上記したように子基板2を前記筐体8上にマザー基板1を介して螺子止めした場合には、衝撃が加わったときに、前記子基板2の前記マザー基板1に対する位置ずれが生じやすく、前記電極5と前記弾性接点4間の電気的接続性が不安定化する等の問題があった。それは、螺子穴と前記螺子6との間に隙間があるからであり、特に横方向(図に示すX,Y方向)に衝撃が加わったときに、前記子基板2は前記マザー基板1に対し位置ずれを生じやすくなっていた。
【0008】
図12に示す電子部品(回路基板モジュール)は携帯機器に内蔵される用途があるため、落下衝撃等に対する耐衝撃性を向上させることが必要であった。
【0009】
そこで本発明は上記従来の課題を解決するものであり、特に衝撃等が加わった場合でも、前記回路部材間のずれを抑制して、前記接続部材と前記回路部材間の良好な電気的接続を保つことが可能な電子部品を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明における電子部品は、互いに対向して配置された第1の回路部材と、第2の回路部材と、前記第1の回路部材と前記第2の回路部材との対向面間に位置して前記対向面間を電気的に接続するための接続部材と、回路部材用位置決め部品と、を有し、
前記回路部材用位置決め部品は、前記第1の回路部材に取り付けられるとともに、前記第1の回路部材側から前記第2の回路部材方向に向かって突出する形状を成し、少なくとも前記回路部材用位置決め部品の半田付け表面は、金属で形成され、
前記第2の回路部材には前記回路部材用位置決め部品と対向する位置に第1の貫通孔あるいは凹部が形成されるとともに、前記第1の貫通孔あるいは凹部の周囲の少なくとも一部に第1の金属領域が形成され、
前記回路部材用位置決め部品が前記第1の貫通孔あるいは凹部に挿入されて前記第2の回路部材が前記第1の回路部材に対し位置決めされた状態で、前記回路部材用位置決め部品と前記第1の金属領域間が半田付けされて、前記第2の回路部材が前記第1の回路部材に前記回路部材用位置決め部材を介して固定されることを特徴とするものである。
【0011】
本発明では、前記第2の回路部材を前記第1の回路部材に対して位置決めした状態で、半田付けにて固定しており、これにより、従来に比べて耐衝撃性を向上させることができる。
【0012】
本発明では、前記第2の回路部材には前記第1の貫通孔が形成され、前記第1の金属領域は、前記第2の回路部材の対向面の反対面にて、前記第1の貫通孔の全周に形成されていることが、強固に半田接合でき、また半田付けを簡単に行うことができて好ましい。
【0013】
また本発明では、前記回路部材用位置決め部品は、基台と、前記基台に設けられた設置面から突出する突起部とを有して構成され、前記基台が前記第1の回路部材に固定されており、前記第1の貫通孔に前記突起部が挿入されて、前記第2の回路部材が前記基台の設置面上に設置され、前記突起部と前記第1の金属領域間が半田付けされることが好ましい。これにより、組み立てが容易になり、また、前記第1の回路部材と前記第2の回路部材の間隔を前記基台の高さ寸法にて規制できる。
【0014】
また本発明では、前記第1の回路部材の対向面には第2の金属領域が形成され、前記回路部材用位置決め部品が前記第2の金属領域に半田付けにて固定されることが好ましい。これにより、前記回路部材用位置決め部品を前記第1の回路部材に適切に固定できるとともに、前記回路部材用位置決め部品を前記第1の回路部材の所定位置に高精度に位置決めでき、ひいては、第1の回路部材と前記第2の回路部材間の位置精度を向上させることが可能である。
【0015】
また本発明では、前記回路部材用位置決め部品には、内部空間を挟んで対向しこの対向方向に所定幅を有する固定基部が設けられ、前記第1の回路部材の対向面には、前記対向方向に距離を空けて形成された所定幅の前記第2の金属領域が形成されて、前記固定基部が前記第2の金属領域に面接触して、前記固定基部と前記第2の金属領域とが半田付けされていることが好ましい。
【0016】
上記のように、回路部材用位置決め部品に互いに対向する固定基部を設け、第1の回路部材には、それぞれの固定基部に面接触する所定幅の第2の金属領域を距離を空けて設けることにより、間隔を空けて形成された前記第2の金属領域と前記固定基部とが半田付けされるときに、溶融状態の半田の表面張力によって、前記回路部材用位置決め部品が、間隔を空けて配置された前記第2の金属領域の対向中心位置に位置決めされやすくなる。すなわち、単一の金属領域の上に、対向する固定基部のそれぞれを面接触させて半田付けする固定手段に比べて、溶融した半田の表面張力による位置決め効果を高く発揮できるようになる。
【0017】
かかる場合、前記第2の金属領域の外縁間の前記対向方向の距離が、前記固定基部の前記外縁間の前記対向方向の距離以上であり、前記第2の金属領域の内縁間の前記対向方向の距離が、前記固定基部の内縁間の前記対向方向の距離以下であることが好ましい。
【0018】
また本発明では、前記回路部材用位置決め部品には、内部空間の周囲に輪状に形成された所定幅を有する固定基部が設けられ、前記第1の回路部材の対向面には、輪状に形成された所定幅の前記第2の金属領域が設けられて、前記固定基部が前記第2の金属領域に面接触して、前記固定基部と前記第2の金属領域とが半田付けされていることが好ましい。
【0019】
かかる場合、前記第2の金属領域の外周縁の直径が、前記固定基部の外周縁の直径以上であり、前記第2の金属領域の内周縁の直径が、前記固定基部の内周縁の直径以下であることが好ましい。
【0020】
本発明では、前記接続部材は、支持体と、前記支持体の前記第1の回路部材との対向面側に設けられた第1の接点と、前記支持体の前記第2の回路部材との対向面側に設けられた第2の接点と、前記第1の接点と前記第2の接点とを接続する導通部と、を有し、前記第1の接点と前記第2の接点のうち少なくとも一方は弾性接点で形成され、前記第1の接点と、前記第1の回路部材に設けられた第1の電極とが接続されるとともに、前記第2の接点と、前記第2の回路部材に設けられた第2の電極とが接続されている形態であることが、前記第1の電極と、前記第2の電極間の電気的接続性を向上させることができて好ましい。
【0021】
本発明では、前記第1の回路部材、あるいは前記第2の回路部材、又は、前記第1の回路部材及び前記第2の回路部材の双方には、前記回路部材用位置決め部品に比べて小型形状の接続部材用位置決め部品が設けられ、前記接点部材には、第2の貫通孔あるいは凹部が形成され、前記接続部材用位置決め部品が前記第2の貫通孔あるいは凹部に挿入されて、前記接続部材が前記回路部材に対し位置決めされることが好ましい。これにより前記第1の回路部材と前記第2の回路部材の微小な間隔内に、前記接続部材を適切且つ容易に位置決めできる。
【発明の効果】
【0022】
本発明では、第2の回路部材を第1の回路部材に対して位置決めした状態で、半田付けにて固定しており、これにより、従来に比べて耐衝撃性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
図1は本実施形態(回路基板モジュール)の電子部品の平面図、図2は図1に示すA−A線から前記電子部品を高さ方向にて切断し矢印方向から見た前記電子部品の拡大断面図、図3は本実施形態における回路基板用位置決め部品及び、第1の金属領域の拡大斜視図である。なお図1は、子基板11に形成された第1の金属膜20と突起部19間の半田付けは図示していない。
【0024】
図1,図2に示すX方向は幅方向、Y方向は長手方向、Z方向は厚み方向(高さ方向)である。以下では長手方向の寸法を縦寸法、幅方向の寸法を幅寸法、厚み方向の寸法を厚み寸法あるいは高さ寸法とする。
【0025】
図1,図2に示すようにマザー基板(第1の回路部材)10上には、Z方向に所定間隔を空けて子基板(第2の回路部材)11が対向配置されている。前記マザー基板10と前記子基板11の間には接続部材13が介在している。
【0026】
図1に示すように、前記子基板11、マザー基板10及び筐体(図示しない)には、回路基板用位置決め部品16の形成領域とは別の領域に、螺子穴(貫通孔)25が形成されており、螺子穴25に螺子を挿入して前記子基板11及びマザー基板10を筐体上にて螺子止めする。また、前記マザー基板10及び筐体には、例えば前記マザー基板10の四隅に、螺子穴28が形成されており、前記螺子穴28に螺子を挿入してマザー基板10を筐体上にて螺子止めする。あるいは前記マザー基板10と筐体間が接着剤等で固定されていてもよい。
【0027】
前記マザー基板10の上面(対向面)10a及び子基板11の下面(対向面)11aには所定の回路パターンが導電膜で形成されている。図1には、前記マザー基板10の上面10aに形成された回路パターン12の一部が見えている。また前記回路パターンは、前記マザー基板10の下面に設けられた接点(図示しない)と前記マザー基板10の内部を貫通するビアホール内に充填された導通部を介して電気的に接続されていてもよい。
【0028】
図1に示す前記回路パターン12、あるいはこの回路パターン12とは異なる回路パターンの先端である第1の電極14が、図2に示すように後で詳述する接続部材13の下側に配置される。
【0029】
前記子基板11の下面11aにも図示しない回路パターンが形成されており、前記回路パターンの先端である第2の電極15が前記接続部材の上側に配置される。
【0030】
図1に示すように、前記接続部材13は、例えば2つ設けられており、各接続部材13は、Y方向にて対向する前記子基板11の側端部下近傍に、X方向に沿って延びる直線形の帯状で形成されている。
【0031】
よって、前記第1の電極14及び前記第2の電極15も、各接続部材13とZ方向にて対向するようにX方向に沿って形成されている。
【0032】
図1,図2に示すように、前記マザー基板10の上面10aには、前記子基板11と対向する4隅に、夫々、回路基板用位置決め部品16が設けられている。前記子基板11には前記回路基板用位置決め部品16とZ方向にて対向する位置に貫通孔(第1の貫通孔)17が形成されている。
【0033】
前記回路基板用位置決め部品16は、図1ないし図3に示すように、基台18と前記基台18の上面(設置面)18a上から前記子基板11方向(上方)に向けて突出する突起部19とで構成される。前記基台18の上面18aは図示X−Y平面と平行な平面で形成される。前記突起部19の軸中心と前記基台18の軸中心は一致している。すなわち前記突起部19は前記基台18の真ん中から突出形成されている。
【0034】
図3に示すように例えば前記基台18は円柱形である。前記突起部19もまた例えば円柱形で形成されるが、前記突起部19の平面面積(図示X−Y平面の面積)は、前記基台18の上面18aの面積に比べて小さい。したがって前記突起部19の周囲に前記基台18の上面18aが広がっている。前記基台18の厚み寸法はH1で形成される。また前記突起部19の高さ寸法はH2で形成される。
【0035】
図2に示すように、前記突起部19の高さ寸法H2は、前記子基板11の厚み寸法H3に比べて大きく形成されている。
【0036】
前記回路基板用位置決め部品16は、少なくとも半田付け表面のみが金属で形成されていればよいが、その全表面が金属で覆われていることが加工容易性の上で好ましい。例えば中身が絶縁材料で加工されたものであり、その全表面にスパッタやメッキ法等によって金属膜を被膜した構造である。あるいは前記回路基板用位置決め部品16全体(内部も含めて)が金属材料で形成された構成であってもよい。前記金属としては、銅等の周知の金属を使用できる。前記回路基板用位置決め部品16は剛体であることが望ましい。例えば後述するように前記回路基板用位置決め部品16の位置決め精度を向上させるべく、前記回路基板用位置決め部品16の内部を空洞にする形態が好適であるが、かかる場合でも前記前記回路基板用位置決め部品16は剛体である。
【0037】
図1,図2に示すように前記子基板11に形成された第1の貫通孔17の平面から見た大きさは、前記突起部19の平面面積と同じかあるいはそれよりもわずかに大きく形成される。図1や図3に示すように前記貫通孔17は、平面形態が円形状で形成されており、前記貫通孔17の直径は、前記突起部19の直径よりもわずかに大きく形成されている。
【0038】
図2に示すように、前記マザー基板10と前記子基板11間に前記接続部材13を介在させた状態で、前記子基板11に形成された第1の貫通孔17に前記突起部19を挿入し、このとき前記子基板11の下面11aが前記基台18の上面(設置面)18aに設置される。よって前記マザー基板10と前記子基板11間に設けられた隙間の高さ寸法H4は、前記基台18の高さ寸法H1で規制される。なお、後述するように前記基台18下には第2の金属膜21が形成されているので、厳密には前記金属膜21の膜厚も含めて前記隙間の高さ寸法H4が規制されるが、実際には前記金属膜21の厚みは非常に薄いため、前記隙間の高さ寸法H4をほぼ基台18の高さ寸法H1として規制することが出来る。
【0039】
前記マザー基板10の上面10aには、前記基台18の設置位置に前記第2の金属膜21が形成されている。前記第2の金属膜21は図3に示すように平面が円形状で形成されている。前記基台18の直径は、T1、前記第2の金属膜21の直径はT2であり、前記第2の金属膜21の直径T2のほうが、前記基台18の直径T1よりも大きく形成されている。
【0040】
図2に示すように、前記基台18と前記第2の金属膜21間は半田22にて固定され(溶融金属による接着力)、よって前記回路基板用位置決め部品16が前記マザー基板10の上面10aに固定される。前記半田22により、表面が金属で形成された前記基台18と前記半田22間、及び前記第2の金属膜21と前記半田22間が金属結合によって強固に固定される。
【0041】
図1,図2に示す形態では、前記回路基板用位置決め部品16の軸中心と、前記第2の金属膜21の中心とが一致した状態で半田付けされ、これにより前記回路基板用位置決め部品16は前記マザー基板10上の所定位置に高精度に位置決めされている。前記突起部19の軸中心は前記基台18の軸中心と一致しているから、前記基台18の軸中心と前記第2の金属膜21の中心とを一致させた状態で半田付けすることで、前記突起部19の軸中心を、前記第2の金属膜21の中心と一致させることが出来る。
【0042】
図1ないし図3に示すように、前記子基板11の上面11bであって、前記貫通孔17の周囲には、例えば輪状の第1の金属膜(第1の金属領域)20が形成されている。前記第1の金属膜20は前記貫通孔17の周囲の一部に形成される形態であってもよいが、本形態のように、前記貫通孔17の周囲の全周に形成される形態であることが好ましい。また前記第1の金属膜20は輪状以外の形状であってもよい。前記第1の金属膜20は、例えば子基板11の表面に均一に形成された銅箔などの金属膜をエッチングして形成する方法、あるいは前記子基板11の表面に金属膜を印刷する方法などで実現できる。前記第2の金属膜21や後述する第3の金属膜45,第4の金属膜46についても同様のプロセスで形成可能である。
【0043】
本形態では前記第1の金属膜20は前記子基板11の上面11bに形成されるが、別の形態において、前記第1の金属膜20が前記子基板11の下面11aに形成される形態を除外しない。ただし前記第1の金属膜20を前記子基板11の上面11bに形成することで、前記突起部19と前記第1の金属膜20間の半田付けを適切且つ容易に行えるという利点がある。さらに図1ないし図3に示す形態では、前記基台18の上面18aに前記子基板11を設置するので、前記子基板11の下面11a側に、前記第1の金属膜20を形成する領域が無く、よって上面11b側に前記第1の金属膜20を形成することが必要である。
【0044】
上記したように、前記突起部19の高さ寸法H2は前記子基板11の厚み寸法H3よりも大きく形成されているから、前記突起部19を前記子基板11に形成された貫通孔17から挿入し、前記子基板11の下面11aを前記基台18の上面18aに設置すると、図2に示すように、前記突起部19の先端が前記子基板11の上面11bから上方に突き出る。そして、図2に示すように、前記突起部19と前記第1の金属膜20間は半田23にて固定される。前記突起部19の高さ寸法H2が前記子基板11の厚み寸法H3以下であることを除外しないが、前記突起部19と前記第1の金属膜20間の半田接合を適切に行うには、前記突起部19が前記子基板11の上面11bから突出するように、前記突起部19の高さ寸法H2を前記子基板11の厚み寸法H3より大きくすることが好ましい。
【0045】
前記半田23により、表面が金属で形成された前記突起部19と前記半田23間、及び前記第1の金属膜20と前記半田22間が金属結合によって強固に固定される。
【0046】
前記子基板11の下面11aに形成された第2の電極15等は、前記貫通孔17の中心との相対位置により高精度に位置決めされている。また前記回路基板用位置決め部品16は、その軸中心が前記マザー基板10に形成された第2の金属膜21の中心と一致しており、前記回路基板用位置決め部品16は、前記マザー基板10に高精度に位置決めされている。よって、図3に示すように、前記突起部19を前記貫通孔17に挿入する際、前記突起部19の軸中心O2と、前記貫通孔17の中心O3を一致させることで、前記子基板11を前記回路基板用位置決め部品16を介して前記マザー基板10に対し正確に位置決めできる。
【0047】
本形態の特徴的部分は以下の通りである。すなわち、少なくとも表面が金属で形成された前記回路基板用位置決め部品16は、マザー基板10側から前記子基板11方向に向けて突出する突起部19を有し、前記子基板11には前記突起部19と対向する位置に貫通孔17が形成されるとともに前記貫通孔17の周囲に第1の金属膜20が形成されている。そして、前記突起部19が前記貫通孔17に挿入されて、前記子基板11が前記マザー基板10に対して位置決めされた状態で、前記突起部19と前記第1の金属膜20間が半田付けされて前記子基板11が前記マザー基板10に前記回路基板用位置決め部品16を介して固定されている。
【0048】
これにより前記子基板11を前記マザー基板10上に高精度に位置決めできるとともに強固に固定でき、よって図1に示す電子部品を搭載した小型電子機器を落とした場合等の衝撃に対して前記マザー基板10と前記子基板11間の位置ずれを適切に防止できる。特に、横方向(X,Y方向)への衝撃に対する耐衝撃性を従来よりも向上できる。
【0049】
半田22,23について説明する。前記半田22,23は鉛フリー半田であることが好適である。特に、前記半田22,23にはすず(Sn)を主成分とする合金が好適に用いられる。この場合、Snは全半田粒子中の50質量%以上、より好ましくは90質量%以上を占める。Snと合金を形成する金属としては、半田の融点の高低、あるいは電気伝導率の高低の目的に応じて、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、ビスマス(Bi)、アンチモン(Sb)、亜鉛(Zn)、インジウム(In)から1種あるいは2種以上を選択することができる。例えば、金、銀、銅は電気伝導率が高いので、Sn−Au、Sn−Ag、Sn−Cu、Sn−Ag−Cu系合金等は、電気伝導率の高い半田を形成するが、融点が200〜250℃程度と高い。また、Sn−Bi系合金からなる半田は融点が60〜200℃と低く、加工性に優れており、マザー基板10及び子基板11に熱損傷を与えにくい。また特にSn−Biは、融点が140℃程度であって低融点半田としては最適である。
【0050】
なお前記回路基板用位置決め部品16は、全体が金属で形成される場合、前記マザー基板10と前記子基板11間の接地電極として機能させることも可能である。
【0051】
本形態では、前記回路基板用位置決め部品16は、基台18と、前記基台18の上面(設置面)18aから突出する突起部19とを有して構成される。これにより、前記突起部19を前記子基板11の貫通孔17に挿入したときに、前記子基板11を前記基台18の上面18aに設置でき、前記子基板11とマザー基板10間の高さ寸法H4をほぼ前記基台18の高さ寸法H1で規制できる。
【0052】
しかも、本形態では、前記突起部19と子基板11の第1の金属膜20間を半田付けするのみならず、前記基台18を前記マザー基板10上に設けられた第2の金属膜21に半田付けするので、前記回路基板用位置決め部品16を介してマザー基板10と子基板11間をより強固に固定でき、より耐衝撃性に優れた電子部品(回路基板モジュール)となる。
【0053】
図1に示すように、前記螺子穴25や前記回路基板用位置決め部品16は、前記マザー基板10に対して、対向する前記子基板11のほぼ四隅に形成されており、前記子基板11の中央領域と対向するマザー基板10上は、各種部品の実装面として利用できる。すなわち図1,図2に示す形態では、前記マザー基板10と子基板11間には接続部材13のみが設けられているが、前記接続部材13以外の部品(ICチップ等)を前記マザー基板10上に実装することが可能である。
【0054】
図4,図5に示すように、前記接続部材13は、支持体32を有している。前記支持体32は幅寸法が縦寸法よりも大きい形状である。前記支持体32は樹脂材料で形成される。例えば前記支持体32は、ポリエチレン樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリイミド樹脂などで形成される。
【0055】
前記支持体32は、基板保持部33を有している。前記基板保持部33は、Z方向の上側に向けられる図示X−Y平面と平行な平面状の上面33aと、Z方向の下側に向けられる図示X−Y平面と平行な平面状の下面33bを有している。
【0056】
基板保持部33は、前記上面33aおよび下面33bの双方と連続する取り付け側面33cを有している。取り付け側面33cは、上面33aと下面33bの双方に対して垂直な平面であり、あるいはY方向へ向けてやや凸状とされた湾曲面であってもよい。
【0057】
支持体32には、前記基板保持部33の長手方向の両端部に、取り付け部34,34が一体に形成されている。前記取り付け部34,34の厚み寸法は、前記基板保持部33の厚み寸法よりも小さい(図5も参照)。図4に示すように、前記取り付け部34,34の前側部34c,34cは、基板保持部33の取り付け側面33cよりも前方へ突出しており、この突出部分には、取り付け側面33cから前方へ突出する位置決め部36,36が形成されている。それぞれの取り付け部34には、位置決め穴(第2の貫通孔)37が形成されている。
【0058】
図4に示すように、前記基板保持部33には、接続シート40が折り曲げられた状態で、高精度に位置決めされて固定される。前記接続シート40は、長方形の可撓性基板41を有しており、前記可撓性基板41の表面には、図4のように折り曲げた状態での可撓性基板41の下面41bに、第1群の複数の弾性接点(第1の接点)43、前記可撓性基板41の上面41aに、第2群の複数の弾性接点(第2の接点)42、および、前記弾性接点42と前記弾性接点43とを、一対一に対応させて接続する配線パターン44が形成されている。
【0059】
前記可撓性基板41は、絶縁性であり、例えば、ポリイミド樹脂などの合成樹脂シートで形成される。前記可撓性基板41の上面41a及び下面41bに形成された弾性接点42,43は、夫々、固定部と、前記固定部と一体に延びる例えばスパイラル状の弾性変形部とを有し、前記固定部が前記上面41a及び下面41bに固定されている。一方、前記弾性変形部は、前記可撓性基板41に固定されておらず、図5に示すように、前記弾性変形部の巻き中心部に向かうにしたがって、前記可撓性基板41の表面から徐々に離れるような立体形状とされている。
【0060】
前記弾性接点42,43は、導電性を有し且つ弾性力を発揮できるものであり、例えばニッケル(Ni)、ニッケルとリンの合金(Ni−P)などの弾性部材と、銅や銀、あるいは金などの比抵抗の小さい導電性金属との複合体で形成される。弾性接点42,43は、前記可撓性基板41の表面に形成された金属薄膜をエッチングして形成でき、あるいは金属板をプレスすることで形成できる。あるいは可撓性基板41の表面においてメッキプロセスで形成することも可能である。
【0061】
前記配線パターン44は、銅箔などの比抵抗の小さい金属材料でパターン形成されている。
【0062】
接続シート40の幅寸法は、前記位置決め部36と位置決め部36との対向間隔と同じか、あるいはわずかに小さく形成されている。
【0063】
図4に示すように、接続シート40は、支持体32の基板保持部33に巻き付けるようにして設置される。このとき、前記第1群の弾性接点43は、基板保持部33の下面33bに位置し、第2群の弾性接点42は、基板保持部33の上面33aに位置し、第1群の弾性接点43と第2群の弾性接点42との間の領域が、基板保持部33の取り付け側面33cに接触するように取り付けられる。そして、接続シート40の可撓性基板41の背面と基板保持部33とが接着剤で固定される。
【0064】
図5に示すように、前記マザー基板10の上面10aには、前記接続部材13の取り付け部34に形成された位置決め穴37と対向する位置に、第3の金属膜45が形成されている。なお前記第3の金属膜45は、前記マザー基板10上に形成される第1の電極14、及び第2の金属膜21と同じプロセスで形成されることが、前記第1の電極14と前記第3の金属膜45との相対位置、及び前記第2の金属膜21と前記第3の金属膜45との相対位置を、前記プロセスの公差範囲内において高精度に決めることができ好ましい。
【0065】
また、図5に示すように、子基板11の下面11aには、前記接続部材13の取り付け部34に形成された位置決め穴37と対向する位置に、第4の金属膜46が形成されている。なお、前記第4の金属膜46は、前記子基板11下に形成される第2の電極15と同じプロセスで形成されることが、前記第2の電極15と前記第4の金属膜46との相対位置を、前記プロセスの公差範囲内において高精度に決めることができ好ましい。また前記第4の金属膜46は前記子基板11に形成される貫通孔17に対しても位置決めされて形成される。
【0066】
接続部材用位置決め部品50のうち、メス型の位置決め部品51が、前記第3の金属膜45上に半田付けによって固定される。前記位置決め部品51は、少なくともその表面が金属で形成される。前記位置決め部品51の上端面には、円形の嵌合穴53が貫通して形成されている。
【0067】
図5に示すように前記子基板11に設けられた前記第4の金属膜46には、オス型の位置決め部品52が半田付けによって固定される。前記位置決め部品52は、少なくともその表面が金属で形成される。前記位置決め部品52には、下向きに嵌合凸部54が一体に形成されている。
【0068】
前記接続部材13に設けられた位置決め穴37に、前記メス型の位置決め部材51を挿入し、さらに、前記オス型の位置決め部材52の前記嵌合凸部54を、メス型の位置決め部品51の嵌合穴53内に強制的に挿入すると、前記接続部材13を所定位置上に正確に位置決めできるとともに凹凸嵌合によって強固に前記マザー基板10と子基板11間に固定できる。
【0069】
本形態により前記第1の電極14と第2の電極15間を前記接続部材13を介して電気的に接続できる。
【0070】
本形態のように弾性接点42,43を用いた場合には、前記弾性接点42,43と前記電極14,15間を半田や導電性接着剤等で接合しなくても、前記弾性接点42,43と前記電極14,15間を適切に電気的に接続させることが可能である。
【0071】
また前記接続部材用位置決め部品50はリン青銅のように弾性変形可能な板ばね材であることが好適である。衝撃を受けたときに前記接続部材13は上下方向に微振動でき、前記弾性接点42,43と前記電極14,15間の電気的接続性を良好に保つことが出来る。
【0072】
本形態の電子部品の製造プロセスについて説明する。
まず、マザー基板10上に、第2の金属膜21,第3の金属膜45及び第1の電極14を夫々、高精度に位置決めして形成した後、前記第2の金属膜21及び前記第3の金属膜45に夫々半田ペーストを塗布する。
【0073】
次に、前記第2の金属膜21上に前記回路基板用位置決め部品16を自動マウント装置によってマウントする。同じように、前記第3の金属膜45上にメス型の位置決め部品51を前記自動マウント装置によってマウントする。このとき、前記自動マウント装置によって前記回路基板用位置決め部品16及び前記メス型の位置決め部品51は高精度に、前記第2の金属膜21上及び前記第3の金属膜45上にて位置決めされる。具体的には、前記回路基板用位置決め部品16及び前記メス型の位置決め部品51の軸中心を、前記第2の金属膜21及び前記第3の金属膜45の中心に合わせる。
【0074】
次に、加熱工程に移行し、前記半田ペーストを溶融し、その後硬化することで、前記回路基板用位置決め部品16及びメス型の位置決め部品51が夫々、第2の金属膜21上及び第3の金属膜45上に半田付けされる。
【0075】
次に、前記接続部材13を前記マザー基板10上に設置する。このとき、接続部材13の一対の位置決め穴37を、マザー基板10に固定されている一対の前記位置決め部品51の外周に挿通することにより、マザー基板10上で接続部材13が位置決めされる。本形態では、個々の弾性接点43が小さく、また弾性接点43の密集密度が高くても、個々の弾性接点43を、個々の第1の電極14に対して一対一で対応させて接触させることができる。
【0076】
次に、子基板11をマザー基板10の上に実装するが、まず、前記子基板11の下面11aに、第2の電極15及び第4の金属膜46を同じプロセス上で高精度に位置合わせして形成する。この工程の前あるいは後で、前記子基板11の前記回路基板用位置決め部品16の突起部19と対向する位置に貫通孔17を形成し、さらに前記子基板11の上面11bに第1の金属膜20を形成する。
【0077】
そして、前記第4の金属膜46上に半田ペーストを塗布した後、前記オス型の位置決め部品52を前記第4の金属膜46上に前記自動マウント装置によってマウントする。このとき、前記自動マウント装置によって前記オス型の位置決め部品52は高精度に、前記第4の金属膜46上にて位置決めされる。具体的には、前記オス型の位置決め部品52の軸中心を、前記第4の金属膜46の中心に合わせる。
【0078】
次に、前記回路基板用位置決め部品16の突起部19を前記子基板11に形成された貫通孔17に挿入するとともに、前記オス型の位置決め部品52のそれぞれの嵌合凸部54を、前記メス型の位置決め部品51の嵌合穴53内に嵌入させる。前記貫通孔17の中心O3と前記突起部19の軸中心O2とを一致させ(図3参照)、前記子基板11が前記回路基板用位置決め部品16に対して高精度に位置決めされ、ひいては、前記マザー基板10に対して高精度に位置決めされる。また、図5に示すように、前記嵌合凸部54は嵌合穴53内に隙間無く嵌入するため、マザー基板10の第3の金属膜45の中心と、子基板11の第4の金属膜46の中心とを同軸上に一致させることができる。そして前記接続部材13に設けられた弾性接点42と前記子基板11に形成された第2の電極15とを電気的に接続させることが出来る。
【0079】
本形態では、個々の弾性接点42が小さく、また弾性接点42の密集密度が高くても、個々の弾性接点42を、個々の第2の電極15に対して一対一で対応させて接触させることができる。
【0080】
図2に示す前記突起部19と前記子基板11に形成された第1の金属膜20とを半田付けする前に、前記接続部材13を介した前記第1の電極14と前記第2の電極15間の電気接続性が良好であるか否か等の試験を行い、前記接続部材13に不具合が見つかった場合には、前記接続部材13を新しいものに交換して再度、試験を行い、試験が合格となった後、前記突起部19と前記子基板11に形成された第1の金属膜20とを半田付けする。また前記接続部材13の良好なリペア性を確保するには、前記接続部材用位置決め部品50に凹凸嵌合により固定する機能を持たせず、単なる位置決め機能だけを持たせる形態であってもよい(例えば図9等)。
【0081】
本形態において、半田付け前に上記した試験を行うことが出来るのは、弾性接点42,43を用いているためである。前記弾性接点42,43は薄膜技術を用いて形成した微細部品であり、いわゆるバネに比べて弾性反発力は小さい。したがって前記接続部材13上に子基板11を搭載し、前記半田付けしない状態でも、全ての対向する前記弾性接点と電極間において良好な電気的接続性を確保できるのである。
【0082】
ところで図5は図2よりもさらに拡大した断面図であり、図2に示すように、前記接続部材用位置決め部品50は前記回路基板用位置決め部品16よりも十分に小さく形成されている。また前記接続部材13に設けられた位置決め穴(第2の貫通孔)17は、前記子基板11に形成された貫通孔(第1の貫通孔)17に比べて十分に小さく形成される。これにより前記マザー基板10と前記子基板11間の限られたスペース内に小型部品である接続部材13を高精度に位置決めし且つ固定することが可能である。
【0083】
次に、前記回路基板用位置決め部品を、前記マザー基板10に対して、さらに高精度に位置決めして半田付けできる好ましい固定構造を説明する。なお以下に説明する回路基板用位置決め部品は内部が空洞となっており、図2に示す回路基板用位置決め部品16と形態が異なるので別符号を付して説明する。
【0084】
図6(A)は回路基板用位置決め部品60の断面図であり、図6(B)は、マザー基板10の表面に設けられた第2の金属膜61の平面図である。図7は、回路基板用位置決め部品60が第2の金属膜61に対して位置ずれしてマウントされたときのセルフアライメント機能を説明する平面図である。図8(A)(B)は同じくセルフアライメント機能を説明するものであり、回路基板用位置決め部品60と第2の金属膜61との半田付け部の拡大断面図である。
【0085】
図6(A)に示す回路基板用位置決め部品60は、固定基部62と、内側に空洞の内部空間63を有する円筒形状の基台64と、前記基台64の上面(設置面)64aから上方に向けて突出する前記基台64と連続する内部空間63を有する突起部65とで形成される。なお前記内部空間63は、前記突起部65及び基台64に設けられていなくてもよい。少なくとも前記内部空間63は前記固定基部62の位置に設けられればよい。上記したように前記回路基板用位置決め部品60は剛体であることが必要であり、内部空間を設けることで剛性が弱まる場合には必要最小限で前記内部空間63を形成する。
【0086】
前記固定基部62は、前記内部空間63の周囲に一定の幅寸法で且つ輪状で形成されている。図6(A)と図8(A)(B)に示すように、前記固定基部62の下面は、平面状の設置面66が形成されている。また、前記固定基部62の外周縁67と前記設置面66との間には、前記固定基部62の全周にわたって面取り部68が形成されている。
【0087】
前記固定基部62の内周部には、基台64の内周面に向けて立ち上がる比較的半径の大きい曲線部60Rが形成されている。この実施の形態では、外周縁67と面取り部68との境界点を通る水平線Laを想定し、この水平線Laと前記曲線部60Rとの交差部を、前記固定基部62の内周縁69としている。
【0088】
マザー基板10の表面に形成される第2の金属膜61の平面形状は、図6(B)に示すように輪状である。
【0089】
第2の金属膜61の外周縁61aと内周縁61bは、中心Oaを曲率中心とする同心円である。外周縁61aの直径Daは、回路基板用位置決め部品60の固定基部62の外周縁67の直径D1と同じか、または前記直径D1よりも大きい。直径Daが直径D1よりも大きい場合、直径Daと直径D1との差は、0.3mm以下であることが好ましく、さらに好ましくは0.05〜0.15mmである。本形態では、前記直径Daを前記直径D1よりも大きくしている。
【0090】
前記第2の金属膜61の内周縁61bの直径Dbは、回路基板用位置決め部品60の固定基部62の内周縁69の直径D2と同じか、または直径D2よりも小さい。直径Dbが直径D2よりも小さい場合、直径Dbと直径D2との差は、0.3mm以下であることが好ましく、さらに好ましくは0.05〜0.15mmである。本形態では、前記直径Dbと前記直径D2とを同じにしている。
【0091】
第2の金属膜61を、中心部に間欠部61cを有する輪状とし、この輪状の所定幅の第2の金属膜61の上に、回路基板用位置決め部品60の輪状である固定基部62の設置面66を面接触させて半田付けすることにより、溶融半田の表面張力により、回路基板用位置決め部品60の中心線O1を、第2の金属膜61の中心Oaに一致させるセルフアライメント機能を効果的に発揮させることができる。そのためには、第2の金属膜61の外周縁61aの直径Daが、回路基板用位置決め部品60の外周縁67の直径D1よりも大きいことと、第2の金属膜61の内周縁61bの直径Dbが、回路基板用位置決め部品60の内周縁69の直径D2よりも小さいことの少なくとも一方が設立することが好ましい。なお、外周縁61aの直径Daが外周縁67の直径D1よりも大きい場合に、内周縁61bの直径Dbが、内周縁69の直径D2よりもわずかに大きくてもよい。
【0092】
上記アライメント機能を詳しく説明する。
回路基板用位置決め部品60をマザー基板10に実装するには、輪状の第2の金属膜61の表面に、リフロー半田用の半田ペーストが塗布された状態で、自動マウント装置のマウント吸引ヘッドによって回路基板用位置決め部品60が吸着されて保持され、このマウント吸引ヘッドによって回路基板用位置決め部品60が前記第2の金属膜61の上に実装される。さらに、加熱工程で半田ペーストが溶融し、さらに冷却されて半田が硬化する。図8(A)(B)では、加熱されて溶融した状態の溶融半田を符号70を付して示している。
【0093】
図7では、第2の金属膜61の中心Oaを通る直交軸をY0とX0で示している。図7では、軸Y0よりも上半分に、回路基板用位置決め部品60が図示左方向へ位置ずれしてマウントされた状態を示し、軸Y0よりも下半分に、回路基板用位置決め部品60の中心線O1が、第2の金属膜61の中心Oaに一致した位置決め完了状態を示している。図8(A)は、回路基板用位置決め部品60が図示左方向へ位置ずれしてマウントされた状態を示し、図8(B)は、回路基板用位置決め部品60の中心線O1が、第2の金属膜61の中心Oaに一致して位置決めされた状態を示している。
【0094】
図7の上半分と図8(A)に示すように、回路基板用位置決め部品60が図示左方向へ位置ずれすると、図示右側では、第2の金属膜61の外周縁61aと回路基板用位置決め部品60の固定基部62の外周縁67との間に最大幅寸法がWaの半田フィレットの溜まり部が形成され、且つ図示左側では、第2の金属膜61の内周縁61bと、固定基部62の内周縁69との間に、最大幅寸法がWbの半田フィレットの溜まり部が形成される。
【0095】
このとき、図8(A)に示すように、右側の半田フィレットの溜まり部に位置する溶融半田70の表面張力により、回路基板用位置決め部品60を右方向へ動かそうとする力Faが作用し、左側の半田フィレットの溜まり部に位置する溶融半田70の表面張力により、回路基板用位置決め部品60を右方向へ動かそうとする力Fbが作用する。上記力Fa,Fbにより、回路基板用位置決め部品60が右方向へ移動させられる。図8(B)に示すように、回路基板用位置決め部品60の中心線O1が、第2の金属膜61の中心Oaに一致し、またはほぼ一致すると、固定基部62の外周縁67に作用する外向きの表面張力F1と、内周縁69に作用する中心方向への表面張力F2とが釣り合う。この釣り合い状態に至ったときに、溶融半田70が冷却されて硬化され、回路基板用位置決め部品60が、第2の金属膜61の中心Oaに位置決めされて固定される。
【0096】
上記の高精度なセルフアライメント機能は、第2の金属膜61に間欠部61cを設けて、この間欠部61cを挟んで対向する所定幅の第2の金属膜61のそれぞれに、回路基板用位置決め部品60の所定幅の固定基部62を面接触させていることにより発揮される。
【0097】
例えば、内部に間欠部を有しない円形の第2の金属膜61を使用すると、図8(A)に示すように、回路基板用位置決め部品60が位置ずれしてマウントされたときに、左右の固定基部62の中間に広い面積の半田フィレットの溜まり部が形成されて、その表面張力が、右側の力Faよりも大きくなり、且つ左側の力Fbを生じさせない結果となる。そのため、円形状の第2の金属膜61を用いた場合よりも、中央部に間欠部61cを有する輪状の第2の金属膜61を用いた方が、高いセルフアライメント機能を発揮することができる。
【0098】
なお前記固定基部62及び第2の金属膜61は夫々輪状で形成された構成に限定するものでない。例えば、位置決め部品が、円筒状ではなくコの字状に形成されて、内部空間を挟んで所定幅の帯状の固定基部が対向して一対設けられたものであり、マザー基板10上に、それぞれの固定基部に対応する帯状の第2の金属膜が間隔を空けて配置されている場合にも、セルフアライメント機能を発揮させることが可能である。
【0099】
かかる場合、前記第2の金属膜61の外縁間の対向方向の距離が、前記固定基部62の外縁間の対向方向の距離以上であり、前記第2の金属膜61の内縁間の対向方向の距離が、前記固定基部62の内縁間の前記対向方向の距離以下であることが好ましい。
【0100】
なお、上記では、回路基板用位置決め部品60について説明したが、これは図5に示した接続部材用位置決め部品50においても同じである。
【0101】
寸法について説明する。
前記マザー基板10の幅寸法(X方向への寸法)は数cm〜数十cm、縦方向(Y方向への寸法)は数cm〜数十cm、厚さ寸法は1mm程度である。子基板11の幅寸法(X方向への寸法)は数cm、縦方向(Y方向への寸法)は、数cm、厚さ寸法は1mm程度である。図2に示すマザー基板10と子基板11間の隙間の高さ寸法H4は1mm〜数cm、前記回路基板用位置決め部品16の高さ寸法(H1+H2)は1mm〜数cm程度である。
【0102】
図9ないし図11は、いずれも図2に示す形態の変形例である。なお以下では図2に対する変形箇所について主に説明する。図2と同じ箇所には図2と同じ符号を付すとともに特に説明をしない。
【0103】
図9に示す形態では、前記接続部材80の下面側にのみ弾性接点81が形成されている。前記弾性接点81を支持する支持板82には、ビアホール83が形成され、このビアホール83内に導通部84が形成され、前記弾性接点81の固定基部と前記導通部84とが電気的に接続されている。前記導通部84は、前記子基板11下に形成された第2の電極15と電気的に接続されている。図9に示す形態では、前記接続部材80を前記マザー基板10上に形成された接続部材用位置決め部品85にて位置決めした後、前記支持板82と前記子基板11間を例えば導電性接着剤等により固定している。
【0104】
また例えば図4,図5に示すように接続シート40を支持体33に巻き付ける構成である場合、第1群の弾性接点43及び第2群の弾性接点42のうち、一方を固定接点にしてもよい。
【0105】
図10は、図2に示す回路基板用位置決め部品16に代えて、前記マザー基板10及び子基板11の双方に高さ方向にて対向する位置に貫通孔(螺子穴)91,92を形成し、前記貫通孔91,92に螺子等の表面が金属で形成された固定部材(位置決め部品を兼ねている)90を挿入して前記マザー基板10と前記子基板11とを位置決め且つ固定する形態である。図10の形態でも前記固定部材90と前記子基板11の上面11bに形成された第1の金属膜20との間が半田23にて固定されている。図10に示す形態では、前記子基板11の上面11bとともに、あるいは前記上面11bには形成しないで、前記子基板11の下面11b側に前記金属膜を設け、前記金属膜と前記固定部材90間を半田付けすることが出来る。
【0106】
さらに、前記マザー基板10の上面10aであって前記貫通孔91の周囲に金属膜を形成し、前記金属膜と前記固定部材90とを半田付けすることが好ましい。
【0107】
なお、前記マザー基板(第1の回路部材)10は、図1に示すのと同様に、筐体に前記固定部材90とは別に固定部材を用いて固定されており、あるいは前記マザー基板10と前記筐体間が接着剤等で固定されている。
【0108】
図11は、図10の変形例であり、前記接続部材100の前記固定部材90と対向する位置に、貫通孔101を形成し、前記接続部材100に形成された前記貫通孔101に前記固定部材90を通して、前記接続部材100を位置決めするものである。一つの前記固定部材90にて前記接続部材100及び子基板11を前記マザー基板10に対し位置決め且つ固定できるという利点がある。
【0109】
なお本実施形態は、上記した形態に限定されるものではない。例えば図10に示す形態において、前記子基板11に貫通孔92が形成されず、前記子基板11の下面側であって前記固定部材90と対向する位置に凹部が形成される形態であってもよい。前記固定部材90を前記凹部に突き当てた状態にて、前記凹部の周囲に形成された金属膜と前記固定部材90とを半田付けする。前記接続部材13と接続部材用位置決め部品についても同様の形態を実施できる。かかる場合、前記接続部材13には、前記子基板11に形成される凹部よりも小さい小凹部が形成され、この小凹部に前記接続部材用位置決め部品が挿入されて、前記接続部材13が位置決めされる。
【0110】
また図1では、前記子基板11、マザー基板10及び筐体に螺子穴(貫通孔)25が形成されており、螺子穴25に螺子を挿入して前記子基板11及びマザー基板10を筐体上にて螺子止めしているが、特に図1ないし図3,図9に示す回路基板用位置決め部品16を用いた形態では、前記マザー基板10と回路基板用位置決め部品16間、及び子基板11と回路基板用位置決め部品16間は半田付けにて強固に固定されているので、前記マザー基板10を筐体上に固定する手段だけ設けることもできる。
【0111】
また、弾性接点はスパイラル状に隆起するものに限られず、弾性力を発揮するアーム状の接点であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0112】
【図1】第1実施形態の電子部品(回路基板モジュール)の平面図、
【図2】図1に示すA−A線から前記電子部品を高さ方向にて切断し矢印方向から見た前記電子部品の拡大断面図、
【図3】本実施形態における回路基板用位置決め部品及び、第1の金属領域の拡大斜視図、
【図4】本実施形態の接続部材の分解斜視図、
【図5】図2に示す断面図をさらに拡大して示す前記電子部品の部分拡大断面図、
【図6】(A)は回路基板用位置決め部品の断面図、(B)は第2の金属膜の平面図、
【図7】回路基板用位置決め部品の、第2の金属膜に対するセルフアライメント機能を説明する平面図、
【図8】(A)は、回路基板用位置決め部品が位置ずれしてマウントされた状態、(B)は回路基板用位置決め部品が位置決めされた状態をそれぞれ示すものであり、回路基板用位置決め部品の固定基部と第2の金属膜との接合部の拡大断面図、
【図9】第2実施形態の電子部品(回路基板モジュール)の構造を示し、図2と同じ矢視の断面図、
【図10】第3実施形態の電子部品(回路基板モジュール)の構造を示し、図2と同じ矢視の断面図、
【図11】第4実施形態の電子部品(回路基板モジュール)の構造を示し、図2と同じ矢視の断面図、
【図12】従来の電子部品(回路基板モジュール)の構造を示し、図2と同じ矢視の断面図、
【符号の説明】
【0113】
10 マザー基板
11 子基板
13、80、100 接続部材
14 第1の電極
15、61 第2の電極
16、60 回路基板用位置決め部品
17 貫通孔(第1の貫通孔)
18、64 基台
19、65 突起部
20 第1の金属膜
21 第2の金属膜
22、23 半田
32 支持体
33 基板保持部
34 取り付け部
37 位置決め穴(第2の貫通孔)
40 接続シート
42、43、81 弾性接点
45 第3の金属膜
46 第4の金属膜
50 接続部材用位置決め部品
62 固定基部
63 内部空間
70 溶融半田
90 固定部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向して配置された第1の回路部材と、第2の回路部材と、前記第1の回路部材と前記第2の回路部材との対向面間に位置して前記対向面間を電気的に接続するための接続部材と、回路部材用位置決め部品と、を有し、
前記回路部材用位置決め部品は、前記第1の回路部材に取り付けられるとともに、前記第1の回路部材側から前記第2の回路部材方向に向かって突出する形状を成し、少なくとも前記回路部材用位置決め部品の半田付け表面は、金属で形成され、
前記第2の回路部材には前記回路部材用位置決め部品と対向する位置に第1の貫通孔あるいは凹部が形成されるとともに、前記第1の貫通孔あるいは凹部の周囲の少なくとも一部に第1の金属領域が形成され、
前記回路部材用位置決め部品が前記第1の貫通孔あるいは凹部に挿入されて前記第2の回路部材が前記第1の回路部材に対し位置決めされた状態で、前記回路部材用位置決め部品と前記第1の金属領域間が半田付けされて、前記第2の回路部材が前記第1の回路部材に前記回路部材用位置決め部材を介して固定されることを特徴とする電子部品。
【請求項2】
前記第2の回路部材には前記第1の貫通孔が形成され、前記第1の金属領域は、前記第2の回路部材の対向面の反対面にて、前記第1の貫通孔の全周に形成されている請求項1記載の電子部品。
【請求項3】
前記回路部材用位置決め部品は、基台と、前記基台に設けられた設置面から突出する突起部とを有して構成され、前記基台が前記第1の回路部材に固定されており、前記第1の貫通孔に前記突起部が挿入されて、前記第2の回路部材が前記基台の設置面上に設置され、前記突起部と前記第1の金属領域間が半田付けされる請求項2記載の電子部品。
【請求項4】
前記第1の回路部材の対向面には第2の金属領域が形成され、前記回路部材用位置決め部品が前記第2の金属領域に半田付けにて固定される請求項1ないし3のいずれかに記載の電子部品。
【請求項5】
前記回路部材用位置決め部品には、内部空間を挟んで対向しこの対向方向に所定幅を有する固定基部が設けられ、前記第1の回路部材の対向面には、前記対向方向に距離を空けて形成された所定幅の前記第2の金属領域が形成されて、前記固定基部が前記第2の金属領域に面接触して、前記固定基部と前記第2の金属領域とが半田付けされている請求項4記載の電子部品。
【請求項6】
前記第2の金属領域の外縁間の前記対向方向の距離が、前記固定基部の前記外縁間の前記対向方向の距離以上であり、前記第2の金属領域の内縁間の前記対向方向の距離が、前記固定基部の内縁間の前記対向方向の距離以下である請求項5記載の電子部品。
【請求項7】
前記回路部材用位置決め部品には、内部空間の周囲に輪状に形成された所定幅を有する固定基部が設けられ、前記第1の回路部材の対向面には、輪状に形成された所定幅の前記第2の金属領域が設けられて、前記固定基部が前記第2の金属領域に面接触して、前記固定基部と前記第2の金属領域とが半田付けされている請求項4記載の電子部品。
【請求項8】
前記第2の金属領域の外周縁の直径が、前記固定基部の外周縁の直径以上であり、前記第2の金属領域の内周縁の直径が、前記固定基部の内周縁の直径以下である請求項7記載の電子部品。
【請求項9】
前記接続部材は、支持体と、前記支持体の前記第1の回路部材との対向面側に設けられた第1の接点と、前記支持体の前記第2の回路部材との対向面側に設けられた第2の接点と、前記第1の接点と前記第2の接点とを接続する導通部と、を有し、前記第1の接点と前記第2の接点のうち少なくとも一方は弾性接点で形成され、前記第1の接点と、前記第1の回路部材に設けられた第1の電極とが接続されるとともに、前記第2の接点と、前記第2の回路部材に設けられた第2の電極とが接続されている請求項1ないし8のいずれかに記載の電子部品。
【請求項10】
前記第1の回路部材、あるいは前記第2の回路部材、又は、前記第1の回路部材及び前記第2の回路部材の双方には、前記回路部材用位置決め部品に比べて小型形状の接続部材用位置決め部品が設けられ、前記接点部材には、第2の貫通孔あるいは凹部が形成され、前記接続部材用位置決め部品が前記第2の貫通孔あるいは凹部に挿入されて、前記接続部材が前記回路部材に対し位置決めされる請求項1ないし9のいずれかに記載の電子部品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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