説明

電子鍵管理システム用管理サーバ及びそれを用いたシステム

【課題】 電子鍵のセキュリティを向上できる電子鍵管理システムを提供する。
【解決手段】 管理サーバ4は、データベース74と、通信網1を経由して入力される会員情報を処理し、データベースに会員情報を登録する会員登録処理部71と、データベース74に登録された会員情報が示す携帯情報端末から入力される物件に関する見学の予約情報を処理し、データベースに予約情報を登録する予約情報処理部72と、登録された予約情報に関する物件の電子錠を解除するための一時鍵を生成し、予約情報が示す携帯情報端末に一時鍵を送信する一時鍵生成部73とを備え、一時鍵生成部73は、携帯情報端末が、登録された予約情報に関する物件に到着したことを確認してから、携帯情報端末に一時鍵を送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、賃貸又は譲渡用の不動産物件に取り付けられた電子鍵を管理する電子鍵管理システム用管理サーバ、及びそれを用いたシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、インターネットを代表とする通信網の発達に伴い、不動産管理会社等により管理され、不動産物件を紹介するサイトが多数存在する。
【0003】
不動産管理会社等から見て客となる、物件の購入あるいは貸借を検討している利用者は、情報端末を使用して、ネットーワークに接続し、上記サイトをアクセスし、自己の希望条件にかなう物件を検索できる。
【0004】
希望条件としては、家賃あるいは販売代金、間取り、築年数、最寄り駅等、種々の項目があり得るが、上記サイトを利用すれば、利用者は、不動産管理会社の物理的な窓口へ出かけなくとも、希望条件に合致する物件のみを抽出できる。
【0005】
最近、物件の室内をカメラで撮影した動画等の詳細情報がサイト上で得られる場合もある。しかしながら、サイト上で得られる情報のみで物件の購入あるいは賃貸が決定されることは、極めてまれである。
【0006】
通常、利用者は、実際に候補となっている物件に出向き、最寄り駅等から物件までに至る道筋、物件の周囲の状況や環境等を目で確かめ、さらに物件そのもの、あるいは近隣の住人等を詳細に検討するため、物件の見学を希望する。
【0007】
見学をする前には、利用者は、不動産管理会社等の担当者と、物件の特定、見学の日時などを話し合い、担当者は利用者の見学に備えて、物件の鍵を用意する必要がある。
【0008】
このような鍵の管理は煩わしいものであるが、不動産管理会社等の立場から言えば、売り主あるいは貸し主が納得できるように、十分なセキュリティを担保しながら、鍵を管理しなければならない。
【0009】
昨今、物理的な鍵ではなく、電子鍵が利用され始めている。より具体的には、携帯電話、PDA等の携帯情報端末に装着でき、かつ携帯情報端末とは異なる装置(典型的には、玄関ドア付近に設けられるリーダ等)により情報読み取り可能な、ICカード等の記録媒体が広く利用されるようになり、このような記録媒体に物件の玄関ドア付近に取り付けられた電子鍵を解除するための電子鍵情報を記録するシステムが提案されている。
【0010】
特許文献1(特開2004−13217号公報)、特許文献2(特開2006−207361号公報)は、このようなシステムを開示する。電子鍵を利用すれば、物理的な鍵とは異なり、配布や鍵の内容の変更が容易であるため、セキュリティ及び管理容易性は一般に向上する。
【0011】
特許文献2では、電子鍵情報を時限データとして、所定の時間のみ電子鍵を解除する点を開示する。ところで、特許文献1、2を含め従来の技術では、利用者の携帯情報端末は、携帯情報端末がどこにあろうが電子鍵情報を受信できるようになっていた。
【0012】
確かにこのようにすれば、利用者にとって極めて便利であり、特に、各地に転々と複数の希望物件が存在するような場合、利用者は、複数の物件に関する電子鍵を一度に入手できる等利点が多い。
【特許文献1】特開2004−13217号公報
【特許文献2】特開2006−207361号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、ICカード等の記録媒体は、携帯情報端末に対して着脱可能であり、ある携帯情報端末から取り出して別の携帯情報端末に装着することもできる。また、電子鍵情報は、電子情報であるから、簡単に複写あるいは移動することができる。
【0014】
これを悪用すれば、利用者でないものが、あたかも利用者であるようになりすまし、入手した電子鍵情報を利用して、物件の電子鍵を解除するというリスクがある。これでは、物件の管理上必要なセキュリティを担保できない。
【0015】
そこで本発明は、電子鍵のセキュリティを向上できる電子鍵管理システム用管理サーバ及びその関連技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
第1の発明に係る電子鍵管理システム用サーバは、データベースと、通信網を経由して入力される会員情報を処理し、データベースに会員情報を登録する会員登録処理部と、データベースに登録された会員情報が示す携帯情報端末から入力される物件に関する見学の予約情報を処理し、データベースに予約情報を登録する予約情報処理部と、登録された予約情報に関する物件の電子錠を解除するための一時鍵を生成し、予約情報が示す携帯情報端末に一時鍵を送信する一時鍵生成部とを備え、一時鍵生成部は、携帯情報端末が、登録された予約情報に関する物件に到着したことを確認してから、携帯情報端末に一時鍵を送信する。
【0017】
この構成において、会員情報を登録された利用者に限り、物件に関する見学の予約情報を入力でき、さらに、見学の予約情報が登録された利用者に限り、一時鍵を受信できる。
【0018】
このように、利用者及びそれに関する不動産管理会社等は、物理的な鍵を受け渡す等の手間をかけずに、対応できるため、利便性が高い。
【0019】
しかも、一時鍵は、携帯情報端末を持つ利用者が、予約された物件に到着してから、送信されるため、一時鍵の送信から電子鍵を解除するまでの時間を従来技術よりも大幅に短縮することができる。
【0020】
この時間が短縮されることにより、記録媒体の差し替えや一時鍵の複写あるいは移動等により、その時間を利用して悪意の第三者が一時鍵の情報を入手し、本人になりすますことは、事実上不可能に近くなる。これにより、従来技術よりも、電子鍵によるセキュリティを大幅に向上できる。
【0021】
利用者が見学する物件が複数ある場合においても、以上と同様になり、高いセキュリティが保持されるし、利用者としても、一時鍵は、見学する物件に到着するまでは、さしたる利用価値がないのであるから、手間が増えるということはない。
【0022】
第2の発明に係る電子鍵管理システム用サーバは、第1の発明に加え、携帯情報端末は、携帯情報端末の現在位置を計測するGPS装置を具備し、一時鍵生成部は、GPS装置により計測された現在位置に基づいて、携帯情報端末が、登録された予約情報に関する物件に到着したことを確認する。
【0023】
この構成により、GPS装置が、携帯情報端末の現在位置を陽に計測し、一時鍵生成部が、計測された現在位置に基づいて、一時鍵を送信することができ、利用者が該当物件に到着したことを確実に確認できる。
【0024】
第3の発明に係る電子鍵管理システム用サーバは、第1の発明に加え、一時鍵生成部は、携帯情報端末が現在通信網に接続するために使用している管轄基地局の情報に基づいて、携帯情報端末が、登録された予約情報に関する物件に到着したことを確認する。
【0025】
この構成により、携帯情報端末がGPS装置を具備していない場合であっても、管轄基地局の情報により、利用者が該当物件に到着したことをほぼ確実に確認できる。
【0026】
第4の発明に係る電子鍵管理システム用サーバは、第1の発明に加え、一時鍵生成部は、登録された予約情報に関する物件のエントランスに配置されるリーダからの情報に基づいて、携帯情報端末が、登録された予約情報に関する物件に到着したことを確認する。
【0027】
この構成により、利用者がその携帯情報端末により、エントランスに配置されるリーダにアクセスすることにより、利用者が該当物件に到着したことを確実に確認できる。
【0028】
第5の発明に係る電子鍵管理システム用サーバは、第1の発明に加え、一時鍵は、携帯情報端末に装着されるICカードに記憶される。
【0029】
この構成により、ICカードの特性を利用して、一時鍵を取り扱うことができる。例えば、外部から見ても一時鍵の中身を分からないように秘匿することができる。
【0030】
第6の発明に係る電子鍵管理システム用サーバは、第1の発明に加え、一時鍵は、携帯情報端末の表示部に表示可能なバーコード画像として記憶される。
【0031】
この構成により、携帯情報端末がICカード等を具備していない場合であっても、利用者は、バーコード画像を表示し、それをカメラ等の読み取り装置へかざすだけで、ICカード等を具備している場合とほぼ同様に対応できる。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、会員情報の登録、物件に関する見学の予約情報の登録により、一時鍵の送受信を制御でき、手間をかけずに安全に対応できる。
【0033】
しかも、一時鍵は、携帯情報端末を持つ利用者が、予約された物件に到着してから、送信されるため、悪意の第三者による、なりすましを防止して、電子鍵によるセキュリティを大幅に向上できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。図1は、本発明の一実施の形態における電子鍵管理システムのブロック図である。
【0035】
通信網1は、インターネット、電話通信網等であり、後述する通信が可能である限り、任意に構成して差し支えない。
【0036】
物件情報サーバ2は、通信網1に接続し、物件の各種情報を通信網1に接続する各種の端末に公開する。クライアント端末3は、各種の不動産物件(賃貸用でも譲渡用でもよい)のオーナーあるいはその管理会社が所有するコンピュータであり、次のように、物件の情報を物件情報サーバ2に提供する。
【0037】
ここで、不動産物件には、マンション・アパート等の集合住宅、戸建て物件、オフィスビル、ホテル等各種のものを含めて良いが、電子鍵を装着できない単なる土地等は、対象にならない。
【0038】
図5は、クライアント端末3と物件情報サーバ2の処理手順を示すフローチャートである。
【0039】
まず、ステップS1にて、クライアント端末3は、登録の許可を物件情報サーバ2に送信し、ステップS2にて、物件情報サーバ2は、それを許可する通知を行い、物件登録用のフォームをクライアント端末3に送信する。
【0040】
ステップS3にて、クライアント端末3は、物件登録用のフォームに必要な情報(これには、賃貸用の物件であれば、家賃、共益費、間取り、その他の情報が含まれる。)を入力し、物件情報サーバ2へ送信する。
【0041】
ステップS4にて、物件情報サーバ2は、入力した情報をデータベースに登録し、その旨クライアント端末3に通知する。
【0042】
ステップS5にて、クライアント端末3は、データベースに登録された物件情報を公開するように要求し、ステップS6にて、物件情報サーバ2は、自身が管理するホームページの該当欄に登録された情報をブラウズできる状態にして処理を終了する。
【0043】
以上の処理を繰り返すことにより、物件情報サーバ2は、さまざまな物件の情報をWEBに登録し、通信網1に接続できる各種の端末は、このホームページをブラウズすることにより、物件の情報を参照できる。
【0044】
なお、物件情報サーバ2は、現存しているポータルサイトを運営管理するサーバであってよいが、条件を入力し、入力された条件を満たす物件のみを検索する検索エンジンを備えているものが望ましい。
【0045】
例えば、携帯情報端末5は、図1に示すように、基地局7を介して通信網1に接続し、物件情報サーバ2が提供する情報を検索することができる。
【0046】
図2は、この携帯情報端末5のブロック図である。この携帯情報端末5は、次の要素を備える。まず、電池などの電源51は、各要素に給電する。
【0047】
CPU52は、各要素を制御し、メモリ53をアクセスし、インターフェイス54を介して、キー群からなる入力部55からの入力を受け付け、また、リーダ/ライタ61を介し、携帯情報端末5に装着されるICカード6に情報(後述する電子鍵を含む。)を読み書きする。
【0048】
LCD56は、表示部に相当し、種々の画像を表示する。通信装置57は、第1アンテナ58に接続され、基地局7と通信を行う。また、GPS装置59は、第2アンテナ60に接続されGPS用衛星と通信を行い、携帯情報端末5の現在位置を計測する。
【0049】
ここで、GPS装置59、第2アンテナ60、リーダ/ライタ61は、携帯情報端末5に装備されるのが望ましいが、場合によっては省略しても良い。
【0050】
図1に示すように、通信網1には、管理サーバ4が接続される。図3は、管理サーバ4のブロック図である。管理サーバ4は、次の要素を備える。
【0051】
制御部70は、CPUとメモリ等からなり、管理サーバ用のソフトウエアを実行し、図3の各要素を制御する。
【0052】
制御部70にアクセスされるハードディスク装置には、データベース74が設けられ、データベース74は、会員情報を保持する会員情報テーブル75と、予約情報を保持する予約情報テーブル76とを含む。
【0053】
会員登録処理部71は、通信網1を経由して入力される会員情報を処理し、データベース74の会員情報テーブル75に会員情報を登録する。
【0054】
予約情報処理部72は、会員情報テーブル75に登録された会員情報が示す携帯情報端末5から入力される物件に関する見学の予約情報を処理し、データベース74の予約情報テーブル76に予約情報を登録する。
【0055】
一時鍵生成部73は、登録された予約情報に関する物件の電子錠を解除するための一時鍵を生成し、予約情報が示す携帯情報端末5に一時鍵を送信する。
【0056】
ここで、一時鍵生成部73は、携帯情報端末5が、登録された予約情報に関する物件に到着したことを確認してから、携帯情報端末5に一時鍵を送信する点がポイントである。
【0057】
(会員登録)
次に図6を参照しながら、会員登録処理部71の流れを説明する。図6は、会員登録のフローチャートである。
【0058】
ここで、会員登録は、利用者に手間をかけるが、利用者が不動産管理会社等の窓口へ出向き、窓口で実行するのが望ましい。これはセキュリティを高めるためである。窓口で、免許書等の身分証明書の提示を求めておくと、一層好適である。
【0059】
会員情報としては、利用者の氏名、住所、勤務先、性別及び年齢、携帯電話番号、自動送信される携帯番号、携帯電話メールアドレス等を含めるのが望ましい。
【0060】
窓口では、図6に示すように、ステップS10において、管理会社の端末4’を使用し、管理サーバ4の会員登録処理部71に会員登録を要求する。すると、ステップS11において、管理サーバ4は、所定の会員情報登録用の入力フォームを端末4’に送信する。
【0061】
端末4’では、入力フォームに所定事項を入力して、管理サーバ4へ送信する。もし入力にエラーがあれば、ステップS12にて、管理サーバ4は再入力を促し(ステップS13)、端末4’は再度送信を行う(ステップS14)。
【0062】
エラーがなくなれば、ステップS15にて、管理サーバ4は、会員情報を会員情報テーブル75に格納し、その旨、端末4’に通知する。
【0063】
端末4’は、登録された会員情報をステップS16で記録する。このとき、携帯情報端末5からICカード6を取り出し、それに会員情報を格納するのが好ましいが、携帯情報端末5の不揮発性メモリ等に保存しても良い。
【0064】
格納される会員情報には、ユニークに付与される会員IDを含めるのが望ましい。
【0065】
なお、会員のパスワードは、管理サーバ4の会員情報テーブル74には保存するが、ICカード6等には保存せず、利用者が記憶するようにすべきである。
【0066】
また、物件情報サーバ2は、会員IDとパスワードの入力を条件に、一般の閲覧用の情報よりも一歩進んだ会員専用ページを表示するようにするのが望ましい。
【0067】
(見学予約)
次に図7を参照しながら、予約情報処理部72の流れを説明する。図7は、予約情報処理部のフローチャートである。
【0068】
会員登録と異なり、利便性を高めるため、予約情報処理は、WEB上で行えるようにするのが望ましい。
【0069】
予約情報としては、会員情報のほか、物件ID、見学予定日時を含めるのが望ましい。
【0070】
図7に示すように、ステップS20において、携帯情報端末5は、基地局7を介し通信網1へ接続し、管理サーバ4の予約情報処理部72に見学予約を要求する。
【0071】
すると、ステップS21において、管理サーバ4は、所定の予約フォームを携帯情報端末5に送信する。
【0072】
携帯情報端末5では、ステップS22にて、予約フォームに所定事項を入力して、管理サーバ4へ送信する。
【0073】
もし会員情報にエラーがあれば、ステップS23にて、管理サーバ4は会員登録要求を携帯情報端末5に送信して、処理を打ち切る(ステップS24)。
【0074】
会員情報にエラーがなければ、該当物件に見学予定日時に重複する予約が入っていないかどうか管理サーバ4の予約処理部72はチェックし(ステップS25)、もし予約不可であれば、その旨、携帯情報端末5に通知し、処理を打ち切る(ステップS26)。
【0075】
会員情報にエラーがなく、かつ、予約可能であれば、ステップS27にて、管理サーバ4の予約情報処理部72は、予約情報を予約情報テーブル76に格納し、その旨を予約完了を携帯情報端末5に通知する。
【0076】
携帯情報端末5は、予約情報を記録し(ステップ28)、一方、管理サーバ4は、物件情報サーバ2に予約した旨通知する。
【0077】
これにより、物件情報サーバ2は、該当物件を予約済みの状態へ変更し、ページの内容を更新する。以上において、予約が完了しても、直ちに該当する建物の該当物件の電子錠を解除可能な一時鍵を送信しない点が、ポイントである。
【0078】
また、管理サーバ4は、該当する建物を管理している、建物サーバ12にも同様の通知を行う。建物サーバ12を含めた建物内のシステムについては、次に説明する。
【0079】
図1に示すように、本例では、該当物件である建物10は、集合住宅であり、一階にエントランス11が設けられ、一階には、エントランス11の他に管理室13と部屋15とがあり、二階には部屋16〜18があり、三階には部屋19〜21がある。
【0080】
各部屋15〜21には、それぞれドアが設けられ、ドアの付近にはドアの電子錠制御装置である、リーダが配置される。同様に、エントランス11のそばにもエントランスリーダ11aが配置される。
【0081】
さらに、これらのリーダは屋内ネットワークケーブルを介して、管理室13に配置されるハブ14に接続され、ハブ14は、建物サーバ12に接続される。即ち、各リーダは、建物サーバ12により一元管理されており、さらに建物サーバ12は、外部の通信網1に接続されている。
【0082】
勿論、建物10の構成は、例示に過ぎないのであって、戸建て住宅の場合は、エントランス11とエントランスリーダ11と建物サーバ12だけがあると考えれば、同様の適用が可能である。
【0083】
次に図4を参照しながら、各リーダの構成を説明する。ここで、各リーダは、エントランスリーダ11も含め、同様の構成になっているので、部屋18のドア18aに隣接して配置されるリーダ18bのみを説明する。
【0084】
図4は、リーダ18bのブロック図である。このリーダ18bは、次の要素を備える。
【0085】
CPU80は、各要素を制御し、メモリ81をアクセスする。メモリ81には、この部屋18が見学予約されている時間に限り、管理サーバ4から建物サーバ12経由で一時鍵情報82が格納される。
【0086】
またCPU80は、インターフェイス86を介して、ドア18aに設けられる電子錠を制御する電子錠制御部85を制御し、リーダ87に近接するICカード6からの入力を受け付け、また、CCDカメラ88が撮像し、LCD56に表示されるバーコード画像をA/D変換器89を経由して取り込む。
【0087】
LCD84は、省略しても差し支えないが、状態や情報をドアの前の人物に表示するために使用される。通信装置83は、ハブ14へのインターフェイスである。
【0088】
ここで、図1に示すように、ICカード6を使用することを前提とするときは、CCDカメラ88及びA/D変換器89は省略して差し支えない。
【0089】
勿論、これらをドア18の前に現れた来訪者を撮影するためにも使用するのであれば、設けてもよい。
【0090】
一方、ICカード6を利用せず、バーコード画像を使用することを前提とするときは、リーダ87は省略して差し支えない。
【0091】
(一時鍵)
次に、管理サーバ4の一時鍵生成部73、建物サーバ12、該当リーダ18b及び携帯情報端末5による、処理の流れを説明する。
【0092】
図8は、一時鍵の取り扱いを示すフローチャートである。一時鍵の取り扱いは、該当物件である建物10の前へ利用者が出向き、そこで実施されるため、携帯情報端末5は、予約を行った際における基地局7とは異なり、建物10のエリアを管轄する管轄基地局20を介して通信網1に接続することになる。また、一時鍵の取り扱いは、WEB上で行えるようにするのが望ましい。
【0093】
予約情報としては、会員情報のほか、物件ID、見学予定日時を含めるのが望ましい。
【0094】
図8に示すように、利用者が建物10の前に到着すると、ステップS30において、携帯情報端末5は、管轄基地局20を介し通信網1へ接続し、管理サーバ4の一時鍵生成部73に見学を要求する。
【0095】
すると、ステップS31において、管理サーバ4は、所定の見学フォームを携帯情報端末5に送信する。
【0096】
携帯情報端末5では、ステップS32にて、先に保存しておいた予約情報を管理サーバ4へ送信する。
【0097】
もし会員情報にエラーがあれば、ステップS33にて、管理サーバ4は会員登録要求を携帯情報端末5に送信して、処理を打ち切る(ステップS34)。
【0098】
会員情報にエラーがなければ、予約情報にエラーがないかどうか管理サーバ4の一時鍵生成部73はチェックし(ステップS35)、もしエラーがあれば、その旨、携帯情報端末5に通知し、処理を打ち切る(ステップS36)。
【0099】
通常は、これらのエラーは起こりえないが、本例では、念のため確認をしている。
【0100】
エラーがなければ、ステップS37にて、管理サーバ4の一時鍵生成部73は、携帯情報端末5の現在位置の入力を要求し、携帯情報端末5は、ステップS38にて現在位置の情報を送信する。
【0101】
ここで、現在位置の情報は、携帯情報端末5がGPS装置を搭載しているときは、GPS装置により計測された現在位置情報でよいし、あるいは、管轄基地局20の情報であってもよい。
【0102】
さらには、ICカードあるいはバーコード画像をエントランスリーダ11に入力し、携帯情報端末5ではなく、建物サーバ2が管理サーバ4へ通知を行うようにしても良い。要するに、利用者本人が、建物の前に到着していることが明らかになるようにすれば十分である。
【0103】
管理サーバ4は、位置の確認に成功すると(ステップS39)、建物サーバ12に見学させる準備ができているかどうか確認する(ステップS40)。ここでエラーがあれば(ステップS41)、携帯情報端末5にその旨通知して処理を打ち切る(ステップS42)。
【0104】
通常、このエラーは発生せず、ステップS43にて、一時鍵生成部73は、時限付きの一時鍵を生成し、まず建物サーバ12へ送信し、建物サーバ12は、該当物件である部屋18のドア18aを管理しているリーダ18bのメモリ81に一時鍵情報82を転送する。
【0105】
以上の処理が済んだら、建物サーバ12は、エントランスリーダ11にエントランス11を開くように指示し、エントランス11が開いて、利用者は、エントランス11から建物10の内部へ入る。
【0106】
ほどなく、利用者は、該当する部屋18の前へ移動し、ICカードあるいはバーコード画像をリーダ18bに入力する(ステップS45)。
【0107】
ステップS46にて、リーダ18bは、入力された一時鍵情報と、メモリ81に保存されている一時鍵情報とを比較し、合致すれば(ステップS46)その結果を建物サーバ12へ通知し、さらに、この結果は管理サーバ4へも通知される(ステップS47)。
【0108】
そして、ステップS48で電子鍵制御部85を作動させ、電子鍵を解除する。これにより、利用者は、部屋18の内部へ入ることができる。
【0109】
ステップS46にて情報が合致しなければ、結果のみが同様に通知され、電子鍵は解除されない。
【0110】
よって、利用者は、エントランス11へ戻り、部屋18に入れずに帰宅するしかない。
【0111】
なお、部屋18の鍵解除に成功したときには、管理サーバ4等から携帯情報端末5へ音声あるいは画像により、歓迎のメッセージを送り、音声案内等を実施することが望ましい。
【0112】
さらに、携帯情報端末5へ契約予約フォームを送信し、契約予約に成功したら、物件情報サーバ2が管理するページの該当物件の項目を契約予約済みに更新することが望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0113】
【図1】本発明の一実施の形態における電子鍵管理システムのブロック図
【図2】本発明の一実施の形態における携帯情報端末のブロック図
【図3】本発明の一実施の形態における管理サーバのブロック図
【図4】本発明の一実施の形態におけるリーダのブロック図
【図5】本発明の一実施の形態における物件登録のフローチャート
【図6】本発明の一実施の形態における会員登録のフローチャート
【図7】本発明の一実施の形態における見学予約のフローチャート
【図8】本発明の一実施の形態における一時鍵取り扱いのフローチャート
【符号の説明】
【0114】
1 通信網
2 物件情報サーバ
3、4’ 端末
4 管理サーバ
5 携帯情報端末
6 ICチップ
7 基地局
10 建物
11 エントランス
11a エントランスリーダ
12 建物サーバ
13 管理室
14 ハブ
15〜21 部屋
18 見学希望物件
18a ドア
18b リーダ
20 管轄基地局
51 電源
52、80 CPU
53、81 メモリ
54、86 インターフェイス
55 入力部
56、84 LCD
57、83 通信装置
58 第1アンテナ
59 GPS装置
60 第2アンテナ
61 リーダ/ライタ
70 制御部
71 会員登録処理部
72 予約情報処理部
73 一時鍵生成部
74 データベース
75 会員情報テーブル
76 予約情報テーブル
82 一時鍵情報
85 電子鍵制御部
87 リーダ
88 CCDカメラ
89 A/D変換器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
データベースと、
通信網を経由して入力される会員情報を処理し、前記データベースに会員情報を登録する会員登録処理部と、
前記データベースに登録された会員情報が示す携帯情報端末から入力される物件に関する見学の予約情報を処理し、前記データベースに予約情報を登録する予約情報処理部と、
前記登録された予約情報に関する物件の電子錠を解除するための一時鍵を生成し、前記予約情報が示す前記携帯情報端末に前記一時鍵を送信する一時鍵生成部とを備え、
前記一時鍵生成部は、前記携帯情報端末が、前記登録された予約情報に関する物件に到着したことを確認してから、前記携帯情報端末に前記一時鍵を送信することを特徴とする電子鍵管理システム用管理サーバ。
【請求項2】
前記携帯情報端末は、前記携帯情報端末の現在位置を計測するGPS装置を具備し、前記一時鍵生成部は、前記GPS装置により計測された現在位置に基づいて、前記携帯情報端末が、前記登録された予約情報に関する物件に到着したことを確認する請求項1記載の電子鍵管理システム用管理サーバ。
【請求項3】
前記一時鍵生成部は、前記携帯情報端末が現在前記通信網に接続するために使用している管轄基地局の情報に基づいて、前記携帯情報端末が、前記登録された予約情報に関する物件に到着したことを確認する請求項1記載の電子鍵管理システム用管理サーバ。
【請求項4】
前記一時鍵生成部は、前記登録された予約情報に関する物件のエントランスに配置されるリーダからの情報に基づいて、前記携帯情報端末が、前記登録された予約情報に関する物件に到着したことを確認する請求項1記載の電子鍵管理システム用管理サーバ。
【請求項5】
前記一時鍵は、前記携帯情報端末に装着されるICカードに記憶される請求項1から4のいずれかに記載の電子鍵管理システム用管理サーバ。
【請求項6】
前記一時鍵は、前記携帯情報端末の表示部に表示可能なバーコード画像として記憶される請求項1から4のいずれかに記載の電子鍵管理システム用管理サーバ。
【請求項7】
通信網と、
前記通信網に接続する携帯情報端末と、
前記通信網に接続する管理サーバとを備える電子鍵管理システムであって、
前記管理サーバは、
データベースと、
前記通信網を経由して入力される会員情報を処理し、前記データベースに会員情報を登録する会員登録処理部と、
前記データベースに登録された会員情報が示す携帯情報端末から入力される物件に関する見学の予約情報を処理し、前記データベースに予約情報を登録する予約情報処理部と、
前記登録された予約情報に関する物件の電子錠を解除するための一時鍵を生成し、前記予約情報が示す前記携帯情報端末に前記一時鍵を送信する一時鍵生成部とを有し、
前記一時鍵生成部は、前記携帯情報端末が、前記登録された予約情報に関する物件に到着したことを確認してから、前記携帯情報端末に前記一時鍵を送信することを特徴とする電子鍵管理システム。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【図1】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−32740(P2011−32740A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−180416(P2009−180416)
【出願日】平成21年8月3日(2009.8.3)
【出願人】(300046795)株式会社早川不動産 (2)
【Fターム(参考)】