説明

電子電池に応用されるコア−シェルナノ粒子

本発明は、従来の電気化学キャパシタ構造を有する改良されたスーパーキャパシタ様電子電池を提供する。第1ナノ複合電極、第2電極及び電解質は、従来の電気化学キャパシタ構造内に配置される。電解質は、ナノ複合電極及び第2電極を分離する。第1ナノ複合電極は、第1電解質マトリクス中に、第1導電性コア−シェルナノ粒子を有する。第1集電体はナノ複合電極と接続し、第2集電体は第2電極と接続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体エネルギー貯蔵装置に関する。より具体的には、そのような装置の電極と誘電体膜に関する。
【背景技術】
【0002】
減少する化石燃料の供給と地球温暖化並びに大気中及び海中COレベルの上昇への懸念は、エネルギー変換及び貯蔵の分野における研究活動を活性化させてきた。近年、現状の電池技術を改良することに多くの関心が払われてきた。これは特に再充電可能なリチウムイオン電池に対して、開発された当初の目的であるモバイルエレクトロニクスへの応用に加えて、他の用途が見出されたことによる。リチウムイオン電池は、比エネルギーと電力密度の良好なコンビネーションを提供するが、一方でいくつかの製品においてはより早い充電時間、より長いサイクル寿命、及びさらなる電力密度が要求される。
【0003】
ハイゼンベルグの不確定性理論によると、3A×3A×3Aの箱中の電子の理論的なエネルギー密度は2kWh/lよりも大きいと算出可能である。そのような装置が実現可能であれば、電気エネルギー貯蔵技術に革命をもたらすだろう。
【0004】
電気化学的キャパシタは、電解質と不可逆電極との接触面において生じる非常に大きな電気容量を利用する。これにより、静電キャパシタの10倍以上のエネルギーを貯蔵することが可能となる。しかし、電気化学的キャパシタの単一のセルは、セル電解質の電気分解が生じる電位差である数ボルト以上に耐えることができない。同様に、電解質中の分極プロセスは、拡散を含み、固体誘電体で生じる典型的な分極プロセスより大分遅いため、電気化学的キャパシタは静電キャパシタを利用する現在の多くの交流製品には適していない。主にこれらは、充電式電池と比較してより速い充電レート、高いサイクル寿命及び/又は高い電力密度が要求される電気エネルギー貯蔵製品に、充電式電池としばしば結合されて用いられる。電気化学的キャパシタの電解質中の可動イオンは、電極/電解質接触面を通過せず、電極と化学的に反応しない。また、ホストマトリックスの中にイオンを固体拡散すること(いわゆるインターカレーション)もなく、そのためセルキネティクス(cell kinetics)は早い。さらに、充電中及び/又は放電中に電極が物理的または化学的に変化しないということは、長いサイクル寿命のもととなる。
【0005】
充電式電池は、電極における電子移動により化学的に比較的大量のエネルギーを貯蔵することを可能にするファラデー反応を含むが、キャパシタ(電気化学的キャパシタを含む)は、電界中の電荷分離によりエネルギーを貯蔵する。現時点で、後者の機構により、前者と同程度のエネルギーを貯蔵することは不可能ではない。いわゆる疑似キャパシタ(pseudocapacitor)と言われる幾つかのキャパシタは、例えば、電解水溶液中のRuO電極のように、装置の充電又は放電中に電極/電解質接触面の1又は両方にわたって電子移動が生じるファラデー機構を利用する。しかし、化学反応は表面に制限され、移動イオンは電極の大部分の内部に拡散しない。
【0006】
多くの産業上の運用において、電池及びキャパシタを製造するためにはエネルギーが必要である。さらに、それらの装置自体は、エネルギーを生じないが、エネルギーのより効率的な使用を可能にする。従って、所定の応用製品中の特定の電池又はキャパシタの総エネルギーバランスを考慮することが重要である。エネルギー貯蔵装置がその寿命において、その製造において使用されたよりも多くのエネルギーを節約すれば、それは価値ある省エネルギーとなり、全CO排出の減少にも繋がるだろう。しかし、もしその反対であれば、問題の技術が"グリーン"なエネルギー保護的な技術であるという印象は錯覚である。充電式電池の製造は、比較的電力集約型の作業である。高電力密度リチウムイオン電池は特に高純度材料を必要し、それらの一部は高温で製造される必要がある。初期のリチウムイオン電池の一部は、せいぜい数百サイクルの限られたサイクル寿命を有し、それらの総エネルギーバランスは、多くの標準的なポータブル電気製品においてマイナスであった。それらは所与の大きさ及び重量において良好な性能を有し、それゆえに装置の全体的な大きさ及び重量を低減した。深刻な地球温暖化及びエネルギー貯蔵量の縮小が十分に考慮される以前においては、これらは主要な検討事項であった。乗り物の駆動及び発電所に適用するためには、電池の総エネルギーバランスがプラスであり、それらの寿命が使用を正当化するのに十分であることが重要である。元来、電気化学的電池の電極においては、充電及び放電中に化学的変化が進行する。それは、相変化、構造変化、及び/又は体積変化の形式であり得、それらの全ては時間とともに電極の完全性を深刻に劣化させ、電池容量を減少させ得る。最新世代のリチウムイオン電池の充電及び放電プロセスは、正に注意深く管理されなければならない。過充電又は過放電は、電池の性能を制限し、早期の故障を引き起こし得る。
【0007】
それに対して、キャパシタは、電極上にエネルギーを電荷として貯蔵する。化学的変化は生じず、殆どのキャパシタは、100%の放電深度まで100万回以上のサイクル寿命を有する。同様に、キャパシタは、電気化学的電池よりも桁違いに速く充電及び放電され得る。これは、落下するエレベータ及び自動車の回生ブレーキへの応用のように、急速に放出されるエネルギーを収集するために特に有用である。従来の静電及び電解キャパシタは、電気回路製品において広く用いられている。しかし、単位重量又は単位体積に対して、比較的少量のエネルギーしか貯蔵することができない。電気化学二重層(EDL)キャパシタの登場は、エネルギー密度よりも電力密度及びサイクル寿命が重要であった従来の電気化学的バッテリに対して有用な代替品を提供する。実際に、最新世代のEDLスーパーキャパシタは、鉛酸電気化学セルと同程度である、〜25Wh/kgの比エネルギーを有する。
【0008】
[従来技術]
電解質および不可逆電極との接触面に非常に大容量のキャパシタが存在することが知られていた。R. Kotz及びM. Carlenによる「電気化学キャパシタの原理及び応用(Principles and Applications of Electrochemical Capacitors, Electrochimica Acta 45, 2483-2498 (2000))」を参照されたい。この現象は、今日商業的に入手可能な電気化学二重層(EDL)スーパーキャパシタ(ウルトラキャパシタとも言われる)として利用される。米国エネルギー省による2007年4月の基本的エネルギーサイエンスワークショップのレポート「電気的エネルギー貯蔵の基本研究の必要性(Basic Research Needs for Electrical Energy Storage)」を参照されたい。この既知のメカニズムは、フォン・ヘルムホルツが電子化学二重層を発見した1853年に遡る。H.フォン・ヘルムホルツのAnn. Phys. (Leipzig) 89 (1853)211を参照されたい。2つの電極が電極液に浸漬されると、正極の近傍で電解質から負イオンの単一層が生成され、当該負イオンの近傍で正イオンが優勢な電解質の第2の層が生じ、いわゆる「ヘルムホルツ二重層」が生じる。類似のプロセスが反対の負極でも生じるが、この場合は、正イオンは電極の最も近傍で層を形成する。この様子を図1に概略的に示す。
【0009】
ヘルムホルツ二重層は電極と電解質との接触面のみに生じるので、接触領域を最大化する構造を形成する必要がある。従来、EDLスーパーキャパシタは、高表面積カーボンパウダーおよび電解水溶液から生成されていた。B.E.コンウェーの「電気化学的スーパーキャパシタ(Electrochemical Supercapacitors - Scientific Fundamentals and Technological Applications, Kluwer, New York, 1999)」を参照されたい。しかしながら、EDLスーパーキャパシタの容量は、表面積と常に対応するものではない。BET法により測定された最大表面積を有する最も多孔質のカーボンパウダーは、他の低い表面積を有する材料よりもしばしば低い容量を有する。これは、通常、いくつかの空孔のサイズは二重層構造を形成するには適していないという事実により説明される。
【0010】
ある著者は、電極材料の実効容量を向上させるために疑似容量を用いたキャパシタを探究してきた。疑似キャパシタは、ヘルムホルツ二重層内の電荷分離により貯蔵されたエネルギーに加えて、電極材料で貯蔵された電荷を安定化する。これは、通常複数の酸化状態を取りうる遷移金属である成分の一つの酸化状態を変化させることによりなされる。これに関して、疑似キャパシタは電気化学電池と類似するが、重要な相違点がある。多くの電気化学電池(例えばリチウムイオンセル)において、酸化状態可変金属の酸化状態の変化は、電解質から電極活物質の体積中への可動イオンの固体拡散を伴う(リチウムイオンセルにおいては、リチウムイオンは電極活物質の体積中へ拡散する)。このプロセスは、電極活物質における構造的な変化を引き起こし、充電式電気化学電池のサイクル寿命を限定する主要な原因であると考えられている。これに対して、本来の疑似キャパシタンスは表面においてのみ生じる。すなわち、電解質からの可動イオンは、電極活物質の体積中へと拡散しない。酸化ルテニウム(RuO)及び酸化マンガン(MnO)は、疑似キャパシタの活物質として提案されている。現在までに発行された米国特許において、Leeらは、600F/gを超える高い比容量を示す炭素/アモルファス酸化マンガン電極を含む疑似キャパシタを記述している。
【0011】
電解水溶液に基づくキャパシタ及び疑似キャパシタは、通常、1Vをわずかに超える最大稼働セル電圧に限定され、高電圧は電極の予期せぬ電解を引き起こす。より最近のEDLスーパーキャパシタは、有機溶媒ベースの電解質(K.Yuyama、G.Masuda、H.Yoshida及びT.Satoの「テトラフルオロホウ酸塩アニオンを含有するイオン溶液が、電気二重層キャパシタの応用において最大の性能および安定性を有する(Ionic liquids containing the tetrafluoroborate anion have the best performance and stability for electric double layer capacitor applications)」、Journal of Power Sources 162, 1401 (2006)を参照)、又は、電解質の電解を開始することなく電極間の最大電圧を向上させる高分子電解質(「エネルギー密度においてLiイオン電池に匹敵するポリマーキャパシタ」、日経エレクトロニクスアジアマガジン(2009))を有する。これは、キャパシタ内に貯蔵され得る最大エネルギーを向上させ得る。近年、イーメックス・コーポレーションは、高分子電解質からの可動リチウムイオンを可逆的に取り込み可能な電極を有するハイブリッドEDLスーパキャパシタにおいて、600Wh/lのエネルギー密度を達成したと発表した。「エネルギー密度においてLiイオン電池に匹敵するポリマーキャパシタ(Polymer Capacitor Catching Up with Li-ion Battery in Energy Density)」、日経エレクトロニクスアジアマガジン(2009)を参照されたい。
【0012】
2006年に発行された米国特許7,033,406号において、発明者らは、300Wh/kgを超える貯蔵が可能であり、電気自動車用に好適な電気エネルギー貯蔵ユニット(EESU)を記載している。この装置は、本質的に金属電極と、酸化アルミニウム骨格に囲まれ、高誘電強度ガラスのマトリックスに埋め込まれた、リラクサ強誘電体(改質チタン酸バリウム)の粒子からなる複合誘電体とを備える多層セラミックキャパシタであった。それらの前置きにおいて、発明者らは改質されたチタン酸バリウム粒子の体積が〜1μmであり、アルミニウム骨格は略100A厚であり、カルシウムマグネシウムアルミナケイ酸ガラスの追加コーティングが同様に〜100A厚であるとしていた。複合誘電体の12μmにわたって3500Vが印加され、非常に高い比エネルギーは、両電極において生じた電荷分離からのエネルギー、及び、これらの例外的に高い電界強度の影響下における強誘電体粒子の内部で生じた分極の和により達成されたと考えられた。後の特許(米国特許7,466,536号)において、該発明者らは、リラクサ強誘電体粒子が再度酸化アルミニウムで被覆され、ポリママトリクスに埋め込まれている類似の装置を記述している。この方法は、アルミニウム電極を使用した低温プロセスを可能とし、これによりユニットコスト及び重量を低減させ、その比エネルギーを400Wh/kg超に向上させた。このような装置が商業的に製造可能であれば、電気エネルギー貯蔵産業に革命をもたらすであろう。しかし、同様の構造に関する他の研究によると、該発明者らのデータの再現可能性が疑問視されている。
【0013】
特に先端リチウムイオン電池用、及び、界面接触面積の最大化と固体拡散経路長の最少化が比電力出力の増加に寄与するスーパーキャパシタ用に、ナノ粒子を含有するエネルギー貯蔵装置を開発するのに多くの関心が払われてきた。幾つかの研究によると、10−50nm以下の分離限界粒子径の強誘電体材料において、チタン酸バリウムを含む特定の誘電材料および強誘電材料の比誘電率は、粒子径が減少するにつれて指数関数的に増加する。この効果は、粒子寸法が励起子ボーア半径未満に減縮した際に出現する、量子不安定性が原因と考えられてきた。
【0014】
[先行技術の問題点]
現行のEDLスーパーキャパシタは、電気化学電池と比較して、単位ユニット質量及び体積当たり比較的少量の電気エネルギーを貯蔵するが、それらは漏電しやすく自身の電荷を長時間貯蔵することはできない。それらは、電気化学電池よりも非常に優れているが、静電キャパシタと比較して短いサイクル寿命及びピーク電力出力しか有さない。
【0015】
前述した、ポリマ電解質からの可動リチウムイオンを可逆的に組み込み可能な1つの電極を用いるハイブリッドEDLスーパーキャパシタは、電気化学電池に関連する欠点の1つを有する。それは、放電及び充電サイクルの間に化学変化が生じることである(ここで言及される先行技術において、正電極のリチウムイオンは、装置放電時に酸化還元反応を起こしリチウム合金を形成する)。そのような化学反応は、当該ハイブリッドキャパシタの全体サイクル寿命を悪化させ得る。
【0016】
先行技術(米国特許第6,339,528号、6,496,357号、6,510,042号、及び6,616,875号を参照)には、カーボン、アモルファス酸化マンガン及び導電性ポリマを備える電極を製造する方法が記載されるが、装置は幾つかの理由で好適ではない。
【0017】
第1に、当該カーボン及び酸化マンガンを結合する方法は、電極構造中に組み込まれたアモルファス酸化マンガンの量及び厚さを制御しない。このことは非常に重要である。それは、酸化マンガンはルクランシェ電池、アルカリマンガン電池及び初期のリチウム電池のカソード活物質として広く用いられ、それらの中で水素及びリチウムイオンは酸化マンガン中にインターカレートすることが知られ、構造変化をもたらすためである。これらの電池はいずれも充電式でない点に留意すべきである。先行技術に記載されたキャパシタ中の電極が放電状態で長時間放置されると、酸化マンガンの電解質と親和性でない領域、すなわち表面に、水素またはリチウムイオンの固体拡散が生じる可能性がある。繰り返されるサイクルは、酸化マンガンの体積中の構造変化を生じ、キャパシタのサイクル寿命及び/又は容量を悪化させ得る。
【0018】
第2に、活物質(酸化マンガン)と電極に導電性を付与するカーボン粒子との間の良好な電気的接触を確保するバインダとしての、導電性バインダの使用により、電解質と活物質との親和性が減殺され、有効表面積が減少する。この効果は、上記した第1の問題をも悪化されるものとして働く。
【0019】
第3に、先行技術は、複合電極内の空孔の大きさ及び分散を制御する手段を提供しない。従って、空孔のいくつかは電解質が貫通するには小さすぎるだろうし、該空孔中の活物質はセル全体の容量に貢献しないだろう。一方で、他の空孔は適切なものよりも大きく、従って、全体の平均容量密度を低下させるだろう。
【0020】
先行技術に記載された装置のいくつかは、複合誘電体中に、強誘電体リラクサ材料を含有する。そのような材料は、高電界が印加されると、誘電飽和を生じることが知られている。先行技術が装置に対して提案する3MV/cmの最大稼動電界において、他の著者はチタン酸バリウム及び関連材料中に誘電飽和が生じることを観測した。米国特許7,466,536号により与えられるデータはこの問題を直接示しているにも関わらず、該特許にリストされる方法を再現しようする他のグループはこれらの結果を再現できなかった。クレームされたエネルギー密度が他者により実証されるまで、米国特許7,466,536号にクレームされた装置性能は疑わしいものとならざるを得ない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
この先行技術の限界により、長時間自身の電荷を貯蔵できる改良された電気化学二重層スーパーキャパシタへのニーズが存在する。
【0022】
先行技術は、本発明が奏する効果を何ら提供していない。従って、本発明の1つの目的は、先行技術の欠点を克服する改良を提供することである。
【0023】
本発明の別の目的は、従来の電気化学キャパシタ構造、該従来の電気化学キャパシタ構造内に配置され、第1電解質マトリクス中で第1導電性コア−シェルナノ粒子を有する第1ナノ複合(nanocomposite)電極、該従来の電気化学キャパシタ構造内に配置される第2電極、該ナノ複合電極と第2電極とを分離する、該従来の電気化学キャパシタ構造内の電解質、該ナノ複合電極と接続する第1集電体、及び、該第2電極と接続する第2集電体を備えるスーパーキャパシタ様電子電池を提供することである。
【0024】
さらに本発明の別の目的は、第1電極、第2電極、前記第1電極を前記第2電極から分離する高誘電強度絶縁マトリクス、及び、複数のコア−シェルナノ粒子を備え、該コア−シェルナノ粒子は、各々導電性コアと絶縁シェルとを有し、該高誘電強度絶縁マトリクス中に分散される、静電キャパシタ様電子電池を提供することである。
【0025】
本発明のさらなる目的は、第1集電体として機能する第1導電表面を提供する段階、第1ナノ複合電極を該第1導電表面と接触するように配置する段階、電解質含有層を該第1ナノ複合電極に付与する段階、第2電極を形成する段階、該電解質の該第1ナノ複合電極と反対面に該第2電極を導入する段階、第2集電体として機能する第2導電表面を該第2電極と接触するように配置する段階、及び、該第1導電表面、該第1ナノ複合電極、該電解質、該第2電極及び該第2導電表面を密閉封止する段階を備え、該ナノ複合電極の形成は、(a)第1導電性コア又は第1半導体コアを有する第1ナノ粒子を提供する段階と、(b)該第1ナノ粒子を処理して該第1ナノ粒子の該第1導電性コアの周囲に第1薄いシェルを形成する段階と、(c)該処理された第1ナノ粒子に第1リガンドを付加する段階と、(d)該付加された第1リガンドで処理された該第1ナノ粒子を、第1電解質マトリクス中に該第1電解質マトリクスのパーコレーション限界を超える第1濃度となるように分散する段階とを有する、スーパーキャパシタ様電子電池の単一セルの製造方法を提供することである。
【0026】
本発明のさらなる目的は、第1表面を有する第1金属電極を提供する段階と、第2表面を有する第2金属電極を提供する段階と、導電性コア又は半導体コアを有するナノ粒子を提供する段階と、該ナノ粒子を処理して、該ナノ粒子のコア周囲に薄いシェルを形成する段階と、該処理されたナノ粒子にリガンドを付加する段階と、該付加されたリガンドで処理された該ナノ粒子を高誘電強度マトリクス中に分散させ、複合誘電体を形成する段階と、該誘電複合体を該第1金属電極の該第1表面及び該第2電極の該第2表面に付与する段階と、該第1金属電極、該複合誘電体、及び該第2電極を密閉封止する段階とを備える静電キャパシタ様電子電池の製造方法を提供することである。
【0027】
前述された事項は、本発明に関連する目的の一部の概要を述べたものである。これらの目的は、意図される発明の応用及びより主要な特徴の一部を単に記述するに過ぎないものと理解されたい。異なる態様で開示された発明を適用し、又は、本開示の範囲内で本発明を修正することにより、多くの他の有用な結果が得られるであろう。従って、本発明の他の目的及びより完全な理解は、特許請求の範囲により定義される発明の範囲に加え、付随する図面と共に本発明の概要及び好適な実施形態の詳細な説明を参照することにより得られるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0028】
[本発明の概要]
本発明の目的は、コア−シェルナノ粒子の特性を利用したキャパシタを製造することである。これらは、電気化学キャパシタ中の1または両方の電極、又は、静電キャパシタの誘電体中において利用される。電極中で用いられた場合、コア−シェルナノ粒子は、電解質マトリクス中で導電性集合体(アンサンブル)を形成する。それらは、自身の励起子ボーア半径よりも僅かに大きな半径を有し、隣接する粒子は、粒子同士の間で電子トンネルを生じさせるに十分なほど近接している。
【0029】
誘電体中で用いられる場合、コア−シェルナノ粒子は、コアを互いに分離し、高誘電強度マトリクスから分離する絶縁シェルに被覆された金属又は半導体を有するものである。コアが金属性である場合、電子導電性及びトンネル効果を抑制するように、粒子は十分に小さく互いに分離するものである。コアが半導体である場合、好適な実施形態において、励起子ボーア半径よりも小さい半径の粒子が使用される。
【0030】
そのようなキャパシタは、電気化学電池の一部と同等に大量のエネルギーを貯蔵可能であり、エネルギーの大部分を電荷分離により貯蔵するので、そのような装置を記述するのに「電子電池」という用語を用いる。
【0031】
本発明の1つの特徴は、従来の電気化学キャパシタ構造を有する、改良されたスーパーキャパシタ様電子電池を提供することである。第1ナノ複合電極、第2電極、及び電解質は従来の電気化学キャパシタ構造内に配置される。第2電極は、さらに、可逆電極、不可逆電極、及び表面反応性電極またはナノ複合電極を有する。電解質は、ナノ複合電極及び第2電極を分離する。第1ナノ複合電極は、第1電解質マトリクス中において第1導電性コア−シェルナノ粒子を有する。第2電極がナノ複合電極であれば、第2電極は第2電解質マトリクス中において第2導電性コア−シェルナノ粒子をさらに有し得る。導電性コア−シェルナノ粒子は、さらに可変酸化状態を示す元素を有するシェルを含み得る。導電性コア−シェルナノ粒子は、さらに可逆シェルおよび不可逆コアを備えてよい。導電性コア−シェルナノ粒子は、さらに、コアと同一元素からなる単純な二元化合物を含むシェルに被覆された、単一元素のコアを有してよい。導電性コア−シェルナノ粒子は、さらに金属コア又は半導体コアを有してよい。半導体コアは、さらに、適切な励起子ボーア半径よりも大きな平均半径を有するナノスケール半導体粒子を有してよい。第1集電体はナノ複合電極と接続し、第2集電体は第2電極と接続する。
【0032】
好適な実施形態において、第1導電性コア−シェルナノ粒子は、100nm未満の第1直径を有する第1導電性コア又は第1半導体コアを備えてよく、第2導電性コア−シェルナノ粒子は、100nm未満の第2直径を有する第2導電性コア又は第2半導体コアを備えてよい。
【0033】
別の好適な実施形態によると、第1シェルは、第1電解質マトリクスに含まれる可動イオンに対して化学反応性を有する第1表面を有してよく、第1電解質マトリクス中において化学反応は第1表面に制限される。第2シェルは、第2電解質マトリクスに含まれる可動イオンに対して化学反応性を有する第2表面を有してよく、第2電解質マトリクス中において化学反応は第2表面に制限される。
【0034】
別の好適な実施形態によると、第1シェルは、第1電解質マトリクスに含まれる可動イオンに対して化学反応性を有する第1表面近傍領域を有してよく、第1電解質マトリクス中において化学反応は第1表面近傍領域に制限される。第2シェルは、第2電解質マトリクスに含まれる可動イオンに対して化学反応性を有する第2表面近傍領域を有してよく、第2電解質マトリクス中において化学反応は第2表面近傍領域に制限される。
【0035】
別の好適な実施形態によると、第1ナノ複合電極は、第1ナノ複合電極中の第1ナノスケール導電性コア−シェル粒子のパーコレーション閾値を超過するような、第1濃度及び第1サイズを有する第1ナノスケール導電性コア−シェル粒子を備えてよい。また、第2ナノ複合電極は、第2ナノ複合電極中の第2ナノスケール導電性コア−シェル粒子のパーコレーション閾値を超過するような、第2濃度及び第2サイズを有する第2ナノスケール導電性コア−シェル粒子を備えてよい。
【0036】
別の好適な実施形態によると、第1ナノスケール導電性粒子は、隣接するナノスケール導電性粒子間で電子トンネリングが可能となる第1サイズ及び第1ナノスケール導電性粒子間の第1距離を有してよい。これにより、第1ナノ複合電極の電気導電性が確保される。また、第2ナノスケール導電性粒子は、隣接するナノスケール導電性粒子間で電子トンネリングが可能となる第2サイズ及び第2ナノスケール導電性粒子間の第2距離を有してよい。これにより、第2ナノ複合電極の電気導電性が確保される。
【0037】
本発明のもう一つの特徴は、高誘電強度絶縁マトリクスにより分離された第1電極及び第2電極を備える、静電キャパシタ様電子電池を提供することである。導電性コア及び絶縁シェルを有する複数のコア−シェルナノ粒子は、高誘電強度絶縁マトリクス内に分散される。導電性コアは、金属又は半導体を有し得る。半導体コアは、適正な励起子ボーア半径以下の平均半径のナノスケール半導体粒子を有してよい。コア−シェルナノ粒子は、コアと同一元素の単純な二元化合物を有するシェルに被覆された、単一元素のコアを有してよい。絶縁シェルは、高誘電強度材料を有してよい。
【0038】
本発明のさらなる別の特徴は、スーパーキャパシタ様電子電池の単一セルを製造する方法を提供することである。当該方法は、下記の段階を含む。第1ナノ複合電極は、第1集電体として機能する第1導電性表面上に形成される。第1ナノ複合電極の形成は、(a)第1導電性コア又は第1半導体コアを有する第1ナノ粒子を提供する段階と、(b)第1ナノ粒子を処理して、第1ナノ粒子の第1導電性コアの周囲に第1薄いシェルを形成する段階と、(c)処理された第1ナノ粒子に第1リガンドを付加する段階と、(d)第1リガンドが付加されて処理された第1ナノ粒子を第1電解質マトリクス中に分散する段階とを含み、分散された第1ナノ粒子は、第1電解質マトリクスのパーコレーション限界を超える第1濃度を有する。電解質含有層が、第1ナノ複合電極に付与される。第2電極が形成され、電解質の第1ナノ複合電極と反対面上に導入される。第2導電性表面は、第2電極と接触するように配置され、第2導電性表面は第2集電体として機能する。第1導電性表面、第1ナノ複合電極、電解質、第2電極、及び第2導電性表面は、密閉封止される。
【0039】
他の好適な実施形態において、第2電極は、可逆電極、不可逆電極、表面反応性電極、又はナノ複合電極を有してよい。第2ナノ複合電極の形成は、(e)第2導電性コア又は第2半導体コアを有する第2ナノ粒子を提供する段階と、(f)第2ナノ粒子を処理して、第2ナノ粒子の第2導電性コアの周囲に第2薄いシェルを形成する段階と、(g)処理された第2ナノ粒子に第2リガンドを付加する段階と、(h)付加された第2リガンドを有する処理された第2ナノ粒子を第2電解質マトリクス中に分散する段階とを含み、分散された第2ナノ粒子は、第2電解質マトリクスのパーコレーション限界を超える第2濃度を有する。
【0040】
好適な実施形態において、第1導電性コア−シェルナノ粒子は、100nm未満の第1直径を有する第1導電性コア又は第1半導体コアを備えてよく、第2導電性コア−シェルナノ粒子は、100nm未満の第2直径を有する第2導電性コア又は第2半導体コアを備えてよい。
【0041】
好適な実施形態において、第1ナノ粒子の第1半導体コアは、励起子ボーア半径を超える第1半径を有し、第2ナノ粒子の第2半導体コアは、励起子ボーア半径を超える第2半径を有してよい。
【0042】
さらに、本発明の別の特徴は、静電キャパシタ様電子電池の製造方法を提供することである。当該方法は、下記のステップを有する。
第1表面を有する第1金属電極が提供される。
第2表面を有する第2金属電極が提供される。
導電性コア又は半導体コアを有するナノ粒子が提供される。
ナノ粒子のコアは、100nm以下の直径を有してよい。
ナノ粒子の半導体コアは、励起子ボーア半径以下の半径を有してよい。
ナノ粒子は処理されて、ナノ粒子のコアの周囲に薄いシェルを形成する。
処理されたナノ粒子の周囲にリガンドが付加される。
付加されるリガンドにより処理されたナノ粒子は、高誘電強度マトリクス中に分散され、複合誘電体を形成する。
複合誘電体は、第1金属電極の第1表面、及び、第2電極の第2表面に付与される。
第1金属電極、複合誘電体、及び、第2電極は密閉封止される。
【0043】
先行技術に対する本発明の貢献がより完全に評価され、後述する本発明の詳細な説明をより十分に理解させることを目的として、上記の説明は、本発明の関連する重要な特徴をかなり広く記述した。本発明の追加の特徴は、ここに説明されて、本発明の特許請求の範囲の主題を形成する。本発明と同一の目的を達成するために、改良又は他の構造をデザインする際の出発点として、開示された概念及び特定の実施形態を利用し得ることを当業者は理解するだろう。当業者は、そのような均等構造が、添付される特許請求の範囲で説明される発明の精神及び範囲から解離しないことを理解するだろう。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の一実施形態に係る電気化学二重層の概略図を示す。
【図2】本発明の一実施形態に係る電子電池の単一セルの概略断面図を示す。
【図3】本発明の一実施形態に係るコア−シェルナノ複合誘電体を有する静電キャパシタの単一セルの概略断面図を示す。
【図4】本発明の一実施形態に係る多層電子電池の概略断面図を示す。
【0045】
図面中において類似するパーツは、類似する参照文字により参照される。
【発明を実施するための形態】
【0046】
本発明の電子電池のセル構造の概略を図2に示す。セルは、従来の電気化学キャパシタ構造(図示せず)を有する。2つの電極20、30は、電解質40のみを含有する領域により分離されており、対向する集電体50、60が設けられている。電解質40は、好適には、リチウム、ナトリウム、カリウム、水素(H及びH)、銅及び/又は銀を含む物質を有し、イオン性化合物(又は化合物群)が溶解された水溶液、イオン性化合物(又は化合物群)が溶解された非水性溶液、ポリマ電解質、ゲル電解質、固体電解質、又は溶融塩電解質の形態であってよい。電解質40が液体またはゲルである場合、2つの導電性電極20、30が共にショートすることを防ぐために、電解質40は多孔性非導電性固体を含んでよい。これは、2つの電極20、30間の空隙が非常に小さく保たれるので、等価直列抵抗(ESR)を最小化し、キャパシタ10の電力及びエネルギー密度を最大化することによる。
【0047】
電解質40が熔融塩である場合、S. V. Pan'kova、V. V. Poborchii及びV. G. Solov'ev,による「硝酸ナトリウムナノ粒子を含有するオパールの高い誘電率(The giant dielectric constant of opal containing sodium nitrate nanoparticles)、J. Phys.; Condensed Matter 8, L203-L206 (1996)」に記載される、熔融塩電解質が合成オパール骨格に化学的に浸透される構造を採用することは特に効果的であり得る。多孔性マトリクスは合成オパール(SiO)構造に限定される必要はなく、当業者に知られるアルミナ、アルミノ珪酸塩等の絶縁性マトリクスも同様に熔融塩電解質に浸透され得ることが認識され得る。熔融塩電解質の好適な候補の例は、リチウム及びカリウムの硝酸塩の低融点混合物と、その融点を低減し、イオン導電性を増加させることが知られる好適な添加物を含むAlCl(例えば、NaAlCl)とに基づいたものである。
【0048】
電極20、30自体は、ナノ複合体である。それらは、好適には、電解質マトリクス26、36中に分散された、非類似の材料のシェル24、34に被覆された直径が100nm未満のナノスケール導電性粒子22、32からなる。電解質マトリクス26、36は、イオン性化合物(又は化合物群)が分散された水溶液、イオン性化合物(又は化合物群)が分散された非水性溶液、ポリマ電解質、ゲル電解質、または熔融塩電解質の形態を採り得る。導電性コア22、32の濃度及びサイズは、材料のパーコレーション閾値を越えることが望ましく、これにより電極20、30の電気的導電性を確保する。粒子が球形である場合、最密球充填により達成され得る最大体積率は〜74%であるが、立方体形状(cubic)又は立方体様形状(cuboidal)の粒子はこの限界を超え得る。好適な実施形態において、ナノ粒子及びそれらの間の距離はとても小さく、粒子間の電子トンネリングが可能となる。これにより、電極構造の導電性が確保される。半導体コア22及び22が用いられる好適な実施形態においては、電気導電性を維持するために、粒子の平均サイズは好適な励起子ボーア半径よりも大きいことが望ましい。より小さな粒子は絶縁体として振る舞い、等価直列抵抗(ESR)を不必要に増加させ、装置の電力密度を低下させるだろう。
【0049】
コア−シェルナノ粒子がスーパーキャパシタの電極中に用いられるとき、シェルは2つの主要な目的に寄与する。これは、(i)電極構造の容量を最大化すること、そして(ii)適切な機能的リガンド(図示せず)が付加する表面を提供することである。適切なリガンドでナノ粒子を機能化することにより、凝集を防ぎ、電解質媒体中での分散を可能にする。シェルは、電極を貫通する電子輸送を乱すことがないように設計されることが望ましい。シェルは、導電体、半導体、又は絶縁体であり得る。後者の例では、隣接するナノ粒子の導電性コア間で電子トンネリングが生じるように、絶縁性シェルは非常に薄いことが望ましい。
【0050】
シェルと電解質イオンの相互作用は、純粋に容量性(ナノ粒子及び電解質間の接触面におけるイオンは、電気化学二重層構造を形成する)、または、擬似容量性であってよい。ここで、二重層構造の形成に加えて、シェルを構成する元素の1つの酸化状態を変化させることにより、電子交換が生じ、エネルギーがファラデー的に貯蔵される。好適な実施形態において、シェルは、電解質の可動イオン(またはイオン)のその構造中へのインターカレーションを防ぎ、または、少なくともその侵入深度を表面または表面近傍領域に制限することが望ましい。適切な薄さのシェルが用いられるとき、導電性コアが問題のイオンに対して不可逆的であれば、このことが保証される。例えば、鉄、ニッケル、モリブデン、及びタングステンのような金属は、室温中においてリチウムイオンに対して不可逆的である。
【0051】
好適には、ナノ粒子を機能化するように選択されたリガンドは、隣接ナノ粒子間の凝集を防止し、界面容量をも向上させる(または少なくとも妨害しない)。実際には、100%のコア−シェルナノ粒子がリガンドに被覆されることは困難であり、このことは、凝集を防ぎ電解質が粒子を湿潤させるために必須ではない。
【0052】
好適な実施形態において、半導体コア−シェルナノ粒子の半径は、僅かに励起子ボーア半径を超える。これにより、複合電極の電気導電性が確保され、ナノ粒子及び電解質の間の有効界面面積が最大化され、結果的に高い容量が得られる。典型的な励起子ボーア半径は、Geにおける〜25nmからほとんどの半導体及び絶縁体における〜5nmの範囲となる。
【0053】
ここまで説明されたスーパーキャパシタ様デバイスの両電極はコア−シェル粒子を有するナノ複合体であったが、ナノ複合体電極の1つを従来のスーパーキャパシタタイプの電極と置き換えることは簡単な作業であるだろう。このような例は、不可逆導電体及び電解質を含有する電極構造(電気化学二重層キャパシタタイプ)、表面反応性導電体及び電解質を含有する電極構造(擬似キャパシタタイプ)、又は、電池型ハイブリッドキャパシタに一般的に組み込まれるような可逆導電体及び電解質を含有する電極構造を含む。
【0054】
導電体及び半導体の実効比誘電率は非常に高く、リラクサ強誘電体と同じ誘電飽和の影響を受けない。臨界粒子サイズ未満では、導電性又は半導体性ナノ粒子の集合体は絶縁性である。これらの導電性ナノ粒子を絶縁性シェルで被覆することにより、ナノ粒子の導電性は抑制され、高電界強度においてさえ、絶縁破壊するポイントに至るまで電子トンネリングは生じないだろう。そのようなコアーシェルナノ粒子は、ナノ複合体が良好な絶縁体であることが重要となる、静電キャパシタの誘電体として有効に用いられ得る。図3に示されるように、この応用例では、コア−シェルナノ粒子45は、適切なリガンド(図示せず)により機能化され、高誘電強度絶縁マトリクス40内において第1電極20及び第2電極30中に分散される。高誘電強度マトリクス材料の例は、特定のポリマ又はガラスを含み、これは、PVDF、PET、PTFE、FEP、FPA、PVC、ポリウレタン、ポリエステル、シリコーン、幾つかのエポキシ、ポリプロピレン、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリフェニレンオキサイド、ポリスルホン、カルシウムマグネシウムアルミノ珪酸ガラス、Eガラス、アルミノ−ホウケイ酸ガラス、Dガラス、ホウケイ酸ガラス、二酸化ケイ素、石英、熔融石英、シリコン窒化物、シリコンオキシ窒化物等を含むが、これらに限定されない。好適な実施形態において、粒子寸法が励起子ボーア半径未満に縮小するときに出現する量子不安定性に起因するエネルギー貯蔵容量、及び、誘電率の向上を利用できるように、コア−シェルナノ粒子の半径は、選択された物質の励起子ボーア半径と同程度又はこれより小さいことが望ましい。
【0055】
コア−シェルナノ粒子は、当業者に知られる方法で製造され得る。最も単純なコア−シェル構造は、コアと同一元素の単純な二元化合物のシェルに被覆された、単一元素のコアを用いたものである。導電性コアは、金属及び半導体を含む様々な導電性物質から選択され得る。好適な実施形態において、軽い物質が望ましい。軽い粒子は、高い比エネルギーに帰するためである。単位体積当りのエネルギー(エネルギー密度)が単位重量当りのエネルギー(比エネルギー)よりも重要である場合、よりコスト効率が高ければ重い導電性ナノ粒子コア物質が考慮され得る。
【0056】
下記の物質のコア/シェルが例示される。Al/AlOx、Ge/GeOx、Si/SiOx、Sc/ScOx、Ti/TiOx、V/VOx、Cr/CrOx、Mn/MnOx、Fe/FeOx、Co/CoOx、Ni/NiOx、Cu/CuOx、Zn/ZnOx、Y/YOx、Zr/ZrOx、Nb/NbOx、Mo/MoOx、Ru/RuOx、Ag/AgOx、Cd/CdOx、Ln/LnOx、Hf/HfOx、Ta/TaOx、W/WOx、Re/ReOx、Os/OsOx、In/InOx、Sn/SnOx、Tl/TlOx、Pb/PbOx、Bi/BiOx、Al/AlSx、Ge/GeSx、Si/SiSx、Sc/ScSx、Ti/TiSx、V/VSx、Cr/CrSx、Mn/MnSx、Fe/FeSx、Co/CoSx、Ni/NiSx、Cu/CuSx、Zn/ZnSx、Y/YSx、Zr/ZrSx、Nb/NbSx、Mo/MoSx、Ru/RuSx、Ag/AgSx、Cd/CdSx、Ln/LnSx、Hf/HfSx、Ta/TaSx、W/WSx、Re/ReSx、Os/OsSx、In/InSx、Sn/SnSx、Tl/TlSx、Pb/PbSx、Bi/BiSx、Al/AlFx、Ge/GeFx、Sc/ScFx、Ti/TiFx、V/VFx、Cr/CrFx、Mn/MnFx、Fe/FeFx、Co/CoFx、Ni/NiFx、Cu/CuFx、Zn/ZnFx、Y/YFx、Zr/ZrFx、Nb/NbFx、Mo/MoFx、Ru/RuFx、Ag/AgFx、Cd/CdFx、Ln/LnFx、Hf/HfFx、Ta/TaFx、W/WFx、Re/ReFx、Os/OsFx、In/InFx、Sn/SnFx、Tl/TlFx、Pb/PbFx、Bi/BiFx、Al/AlNx、Ge/GeNx、Si/SiNx、Sc/ScNx、Ti/TiNx、V/VNx、Cr/CrNx、Mn/MnNx、Fe/FeNx、Co/CoNx、Ni/NiNx、Cu/CuNx、Zn/ZnNx、Y/YNx、Zr/ZrNx、Nb/NbNx、Mo/MoNx、Ru/RuNx、Ag/AgNx、Cd/CdNx、Ln/LnNx、Hf/HfNx、Ta/TaNx、W/WNx、Re/ReNx、Os/OsNx、In/InNx、Sn/SnNx、Tl/TlNx、Bi/BiNx、金属/金属炭化物、金属/金属ホウ化物等。ここで、xは化合物に応じた変数であり、Lnはランタニド族元素の一部であることを示す。
【0057】
これらのファラデー擬似キャパシタ電極用途が意図されるコア−シェルナノ粒子の場合、シェルが可変酸化状態を採り得る元素、例えば、遷移金属、ランタニド元素の一部、Sn、Tl及びPbを含有することが特に効果的である。これに対して、コア−シェルナノ粒子が静電キャパシタの誘電体中に組み込まれることが意図される場合、シェルがAl、AlF、SiO、SiNx又はGeOのような高誘電強度材料を有することが効果的である。
【0058】
コア及びシェルが特定の用途に調整された、より複雑なコア−シェル構造を想定することもできる。例えば、リチウム電解質を使用するスーパーキャパシタにおいて、リチウムイオンに対し不可逆である(これにより、リチウムイオンのコア中への拡散を防ぐ)、鉄のような安価なコアメタルを、対応する酸化鉄またはフッ化鉄より大きなエネルギーをファラデー的に貯蔵できる遷移金属酸化物又はフッ化物に組み合わせることが効果的である。この例は、バナジウム、クロム、マンガン、及びコバルトを含む。スーパーキャパシタが非対称ハイブリッド又は電池型ハイブリッド形態を有する場合、中に含まれる可変酸化状態を有する元素が正極(カソード)において高い酸化状態となり、負極(アノード)において低い酸化状態となるように、ナノ粒子セルを設計することが好ましい。これらのより複雑な構造中においては、コア−シェル粒子は2ステッププロセスにより最良に製造される。図示されるように、例えば、鉄のコアを用いるならば、第1鉄ナノ粒子がコアとして機能するように製造され、後続するステップにおいて、リガンドを付加するのに用いられる典型的な方法に類似する方法及び当業者に知られる方法により、所望のシェルに被覆される。
【0059】
コア−シェルナノ粒子が凝集するのを防ぐために、これらは適切なリガンドで被覆されていることが望ましい。リガンドをナノ粒子のシェルに強固に付加させる1以上の官能基を含み、かつ、マトリクス(スーパーキャパシタの場合における電解質、及び、静電キャパシタの場合における高誘電強度絶縁体)により湿潤されるように、リガンドは選択されるべきである。好適な実施形態において、リガンドはナノ粒子のコア上でシェルを形成するために利用される1以上のプロセスとコンパチブルであるべきである。例えば、コア−シェルナノ粒子がコア元素の酸化物に被覆された単純な元素コアであるとき、そのような構造は、制御された単純な酸化プロセスにより製造可能となる。この場合、リガンドが酸化条件に耐えることが望ましく、これによりシェルが形成され、リガンドが同一のリアクタに付加される。
【0060】
適切なリガンドの例は、トリオクトホスフィン酸化物(TOPO)、ホスホン酸、スルホン酸、トリアルコキシシラン、カルボン酸、アルキル及びアリールハロゲン化物等を含む化合物を含むがこれに限定されない。コア−シェルナノ粒子がポリマに分散される場合、先行技術によると、フッ素化アリール基はフッ素化ポリマ及び多くの一般的な有機溶剤に効果的である一方、アルコキシ基含有リガンドは極性親水性樹脂及び溶剤によりナノ粒子を湿潤するのに有効である。S.C. Jones、P. J. Hotchkiss、J. N. Haddock、B. Kippelen、S. R. Marder及びJ. W. Perryによる「高誘電率及び誘電強度を有するホスホン酸修飾チタン酸バリウムポリマナノ複合体(Phosphonic Acid-Modified Barium Titanate Polymer Nanocomposites with High Permittivity and Dielectric Strength)、Adv. Mater. 19, 1001-1005 (2007)」を参照されたい。好適なリガンドは、しばしば、長い脂肪族又は芳香族炭素骨格(脂肪族鎖の場合はオクチル−より長い)を含有する。
【0061】
電気化学スーパーキャパシタの場合、電極間の最大電圧は、電解質の電気化学的安定性の範囲により制限される。固体電解質の一部は非常に高い動力学的安定性を持つが、熱力学安定性に関して、これは〜7Vに制限される。図4に示されるような、バイポーラ配置で共に積層された複数の個別セルにより、実務上の注意点にのみ制限される、より高い稼動電圧範囲(数百ボルト、kV、またはMV)を有する電子電池を製造することが可能となる。複数層電子電池の概略は、第1集電体50、交流第1電極20、電解質セパレータ40、交流第2電極30、導電性バリア55、及び第2集電体60として、図4に示される。
【0062】
このような積層体は、個々のセル間における充電及び放電時のインピーダンスの相違を勘案した制御回路を必要とするだろう。しかし、この技術は既にリチウムイオン電池用に開発されており(R. S. Tichy及びM. Borneの「リチウムイオンセルを有するバッテリアレイの製造(Building Battery Arrays with Lithium-Ion Cells)、Micro Power Webinar, March 2009」を参照されたい)、高電圧の直列接続された電子電池積層体に機能するように容易に改良され得る。ここに記述される電子電池構造の正極及び負極の組成は、異なるように決められてもよい。
【0063】
静電キャパシタの場合、電極間の最大電圧はキャパシタ誘電体の誘電強度により制限される。〜5MV/cmの誘電強度および〜2μmの厚さの物質の場合、1kVまでで動作するキャパシタを製造することが理論上可能である。より厚みのある誘電体の場合、稼働電圧は高くなり得る。
【0064】
[本発明によるスーパーキャパシタ様電子電池の製造]
ここで、本発明によるスーパーキャパシタ様電子電池の単一セルの製造手順を説明する。第1に、導電性又は半導体ナノ粒子を、先行技術により製造する。好適な実施形態において、これらのナノ粒子は100nm以下の直径を有し、狭いサイズ分布、最適には公称寸法の±10%を有する。理想的には、半導体コアの場合、粒子は励起子ボーア半径を少し超える半径を有することが望ましい。
【0065】
第2ステップで、周囲に薄いシェルを形成するように、これらのナノ粒子は処理される。好適な実施形態では、このシェルは電解質マトリクスと相互作用して大きな疑似容量を生成することが好ましい。可変酸化状態をとる元素がシェル中に組み込まれるときに、これは効果的に達成され得る。
【0066】
第3に、それらが選択された電解質媒体により湿潤され得るように、最適なリガンドがコア−シェルナノ粒子に付加される。好適なリガンドの求められる機能及び入手性に応じて、第2及び第3ステップは、単一の化学反応の中に組み合わせられてもよい。
【0067】
第4ステップにおいて、リガンドに被覆されたコア−シェルナノ粒子は、ナノ複合体が電気導電性となるパーコレーション限界を超えて、電解質マトリクス中に分散される。好適な実施形態において、電解質マトリクス中に分散されたナノ粒子の量は、体積で50%を超えることが望ましい。好適には、電解質マトリクスは液体状態であり、ナノ粒子はそこに分散される。電解質がポリマ電解質である場合、ナノ粒子は最終重合の前に分散されることが望ましい。電解質が溶融塩である場合、ナノ粒子は溶融状態である間に追加されることが望ましい。このステップは、後続の製造ステップのためにナノ複合電極を適所に保持するべく、適切な大きさ及び形状の容器の中で行われることが望ましい。好適な実施形態において、最終組み立てにおける集電体として機能するように、当該容器の1表面は導電性であることが望ましい。
【0068】
第5ステップにおいて、ナノ複合体電極に、電解質(必要ならば、及び多孔性セパレータ)が付与される。電解質は、イオン性化合物(又は化合物群)が溶解された水溶液、イオン性化合物(又は化合物群)が溶解された非水性溶液、ポリマ電解質、ゲル電解質、固体電解質、又は溶融塩電解質の形態であってよい。ここに記述されるデバイスに用いるのに好適で、当業者に周知の電池及び電気化学キャパシタにおいて用いられる無数の電解質材料が存在する。
【0069】
第6ステップで、ステップ1−4で説明された方法に類似する方法で準備された第2ナノ複合電極が、電解質の第1ナノ複合電極と反対側の面に導入される。集電体として機能するように、導電性表面が第2ナノ複合電極と接触するように(しかし、第1ナノ複合電極とは電気的に分離されるように)配置され、デバイスは封止される。代わりに、電解質/セパレータに対向するナノ複合電極の側面/正面に導電性物質を付与する薄膜又は厚膜コーティング法により、両方の集電体が製造され得る。
【0070】
第7及び最終ステップにおいて、コア−シェルナノ粒子又は他の部材が酸素及び/又は水により経時劣化することを防ぐために、デバイスは不活性環境下で密封封止される。
【0071】
電解質マトリクス中に分散されたコア−シェルナノ粒子を有するナノ複合体構造を、電極の1つのみが有する装置を製造することも可能であると理解されたい。他の電極は、より古典的なスーパーキャパシタ様構造を有する。例えば、電池型ハイブリッドキャパシタに一般的に組み込まれる、可逆導電体と電解質、不可逆導電体と電解質(電気化学二重層キャパシタ型)、又は、表面反応性導電体と電解質(疑似キャパシタ型)が挙げられる。
【0072】
ここに記載される方法に従って、2以上のセルの多層デバイスを製造することは単純な作業である。ここに記載される製造方法を修正して、らせん状にねじられた構造を製造することも可能である。そのような方法は、当業者に実施され、十分に理解されるだろう。
【0073】
[本発明により静電キャパシタ型電子電池の製造方法]
本発明にかかる静電キャパシタ型電子電池を製造するために類似の方法が用いられ得る。第1に、導電性又は半導体ナノ粒子を、先行技術により製造する。好適な実施形態において、これらのナノ粒子は100nm未満の直径を有し、狭いサイズ分布、最適には公称寸法の±10%を有する。理想的には、半導体コアの場合、粒子は、典型的には5−25nmである励起子ボーア半径よりも小さい半径を有することが望ましい。
【0074】
第2ステップで、周囲に薄い絶縁シェルを形成するように、これらのナノ粒子は処理される。好適な実施形態では、このシェルは高誘電強度を有する物質から形成される。
【0075】
第3ステップで、適切なリガンドがコア−シェルナノ粒子に付加され、その結果、第4ステップで、当該ナノ粒子が、好適な高誘電強度マトリクスにより湿潤され、高誘電強度マトリクスに分散される。好適なリガンドの求められる機能及び入手性に応じて、第2及び第3ステップは、単一の化学反応の中に組み合わせられてもよい。
【0076】
第4ステップにおいて、リガンドに被覆されたコア−シェルナノ粒子は、高誘電強度マトリクス中に分散される。好適な実施形態において、電子トンネリングを生じるには隣接するコア−シェルナノ粒子間の平均距離が大きすぎ、これにより高印加電圧下の複合誘電体の電気的絶縁性が確保される程度に、マトリクス中に分散される濃度が十分に希薄であることが望ましい。好適には、電解質マトリクスは液体状態であり、ナノ粒子はそこに分散される。電解質がポリマ電解質である場合、ナノ粒子は最終重合の前に分散されることが望ましい。
【0077】
第5ステップにおいて、高誘電強度媒体中に分散されるコア−シェルナノ粒子を含有する複合誘電体は、金属電極の1つに付加される。これは、前もって金属化(Metalize)された基板支持体又は金属ホイルであってよい。
【0078】
第6ステップにおいて、もう一つの金属電極が、複合誘電体の第1電極に対向する面に付加される。
【0079】
最後に第7ステップにおいて、コア−シェルナノ粒子又はキャパシタの他の部材が酸素及び/又は水により経時劣化することを防ぐために、デバイスは不活性環境下で密封封止される。
【0080】
ここに記述される原理を実施し得る多くの方法が存在し、言及された特定の物質及び方法は本発明の範囲を限定するために用いられないことが、当業者に認識されるだろう。
【0081】
本開示は、添付される特許請求の範囲に含まれるものだけでなく、先行する詳細な説明をも含むものである。本発明は、一定程度の詳細とともに最適形態として記載されるが、最適形態における開示は例としてのみ作成され、構築の詳細における多くの変化及び一部分の組み合わせ及びアレンジは、本発明の精神及び範囲から離れることなく為されることを理解されたい。ここに本発明は記述される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
従来の電気化学キャパシタ構造、
前記従来の電気化学キャパシタ構造内に配置され、第1電解質マトリクス中で第1導電性コア−シェルナノ粒子を有する第1ナノ複合電極、
前記従来の電気化学キャパシタ構造内に配置される第2電極、
前記ナノ複合電極と前記第2電極とを分離する、前記従来の電気化学キャパシタ構造内の電解質、
前記ナノ複合電極と接続する第1集電体、及び、
前記第2電極と接続する第2集電体を備えるスーパーキャパシタ様電子電池。
【請求項2】
前記第2電極はさらに可逆電極を有する、
請求項1に記載のスーパーキャパシタ様電子電池。
【請求項3】
前記第2電極は、さらに不可逆電極を有する、
請求項1に記載のスーパーキャパシタ様電子電池。
【請求項4】
前記第2電極は、さらに表面反応性電極を有する、
請求項1に記載のスーパーキャパシタ様電子電池。
【請求項5】
前記第2電極は、さらに第2ナノ複合電極を有し、前記第2ナノ複合電極は第2電解質マトリクス中において第2導電性コア−シェルナノ粒子を含む、
請求項1に記載のスーパーキャパシタ様電子電池。
【請求項6】
前記第1導電性コア−シェルナノ粒子は、100nm未満の第1直径を有する第1導電性コア又は第1半導体コアを含み、
前記第2導電性コア−シェルナノ粒子は、100nm未満の第2直径を有する第2導電性コア又は第2半導体コアを含む、
請求項5に記載のスーパーキャパシタ様電子電池。
【請求項7】
前記第1シェルは、前記第1電解質マトリクスに含まれる可動イオンに対して化学反応性を有する第1表面を含み、前記化学反応は前記第1表面に制限され、
前記第2シェルは、前記第2電解質マトリクスに含まれる可動イオンに対して化学反応性を有する第2表面を含み、前記化学反応は前記第2表面に制限される、
請求項6に記載のスーパーキャパシタ様電子電池。
【請求項8】
前記第1シェルは、前記第1電解質マトリクスに含まれる可動イオンに対して化学反応性を有する第1表面近傍領域を含み、前記化学反応は前記第1表面近傍領域に制限され、
前記第2シェルは、前記第2電解質マトリクスに含まれる可動イオンに対して化学反応性を有する第2表面近傍領域を含み、前記化学反応は前記第2表面近傍領域に制限される、
請求項6に記載のスーパーキャパシタ様電子電池。
【請求項9】
前記第1ナノ複合電極は、第1ナノスケール導電性コア−シェル粒子を有し、前記第1ナノスケール導電性コア−シェル粒子は、第1ナノ複合電極中の前記第1ナノスケール導電性コア−シェル粒子のパーコレーション閾値を超過する第1濃度及び第1サイズを有し、
前記第2ナノ複合電極は、第2ナノスケール導電性コア−シェル粒子を有し、前記第2ナノスケール導電性コア−シェル粒子は第2ナノ複合電極中の前記第2ナノスケール導電性コア−シェル粒子のパーコレーション閾値を超過するような、第2濃度及び第2サイズを有する、
請求項6に記載のスーパーキャパシタ様電子電池。
【請求項10】
前記第1ナノスケール導電性粒子は、隣接するナノスケール導電性粒子間で電子トンネリングが可能となる第1サイズ及び第1ナノスケール導電性粒子間の第1距離を有し、これにより前記第1ナノ複合電極の電気導電性が確保され、
前記第2ナノスケール導電性粒子は、隣接するナノスケール導電性粒子間で電子トンネリングが可能となる第2サイズ及び第2ナノスケール導電性粒子間の第2距離を有し、これにより前記第2ナノ複合電極の電気導電性が確保される、
請求項6に記載のスーパーキャパシタ様電子電池。
【請求項11】
前記導電性コア−シェルナノ粒子の各々は、金属コア又は半導体コアを含む、
請求項1に記載のスーパーキャパシタ様電子電池。
【請求項12】
前記半導体コアの各々はナノスケール半導体粒子を含み、
前記半導体粒子は適切な励起子ボーア半径よりも大きい平均半径を有する、
請求項11に記載のスーパーキャパシタ様電子電池。
【請求項13】
前記導電性コア−シェルナノ粒子は、さらに可変酸化状態を示す元素を含むシェルを有する、
請求項1に記載のスーパーキャパシタ様電子電池。
【請求項14】
前記導電性コア−シェルナノ粒子は、さらに可逆シェル及び不可逆コアを含む、
請求項1に記載のスーパーキャパシタ様電子電池。
【請求項15】
前記導電性コア−シェルナノ粒子は、コアと同一元素からなる単純な二元化合物を含むシェルに被覆された、単一元素のコアを有する、
請求項1に記載のスーパーキャパシタ様電子電池。
【請求項16】
第1電極、
第2電極、
前記第1電極を前記第2電極から分離する高誘電強度絶縁マトリクス、及び、
複数のコア−シェルナノ粒子を備え、
前記コア−シェルナノ粒子は、導電性コアと絶縁シェルとを各々有し、前記高誘電強度絶縁マトリクス中に分散される、
静電キャパシタ様電子電池。
【請求項17】
前記導電性コアは、さらに金属又は半導体を含む、
請求項16に記載の静電キャパシタ様電子電池。
【請求項18】
前記半導体コアの各々は、さらに適切な励起子ボーア半径以下の平均半径のナノスケール半導体粒子を含む、
請求項17に記載の静電キャパシタ様電子電池。
【請求項19】
前記コア−シェルナノ粒子は、さらに、コアと同一元素からなる単純な二元化合物を含むシェルに被覆された、単一元素のコアを有する、
請求項16に記載の静電キャパシタ様電子電池。
【請求項20】
前記絶縁シェルは、さらに、高誘電強度物質を含む、
請求項16に記載の静電キャパシタ様電子電池。
【請求項21】
第1集電体として機能する第1導電表面を提供する段階、
第1ナノ複合電極を前記第1導電表面と接触するように配置する段階、
電解質含有層を前記第1ナノ複合電極に付与する段階、
第2電極を形成する段階、
前記電解質の前記第1ナノ複合電極と反対面に前記第2電極を導入する段階、
第2集電体として機能する第2導電表面を前記第2電極と接触するように配置する段階、及び、
前記第1導電表面、前記第1ナノ複合電極、前記電解質、前記第2電極及び前記第2導電表面を密閉封止する段階を備え、
前記ナノ複合電極の形成は、
(a)第1導電性コア又は第1半導体コアを有する、第1ナノ粒子を提供する段階と、
(b)前記第1ナノ粒子を処理して前記第1ナノ粒子の前記第1導電性コアの周囲に第1薄いシェルを形成する段階と、
(c)処理された前記第1ナノ粒子に第1リガンドを付加する段階と、
(d)前記付加された第1リガンドを有する処理された前記第1ナノ粒子を、第1電解質マトリクス中に、前記第1電解質マトリクスのパーコレーション限界を超える第1濃度となるように分散する段階とを有する、
スーパーキャパシタ様電子電池の単一セルの製造方法。
【請求項22】
前記第2電極はさらに可逆電極を有する、
請求項21に記載の製造方法。
【請求項23】
前記第2電極は、さらに不可逆電極を有する、
請求項21に記載の製造方法。
【請求項24】
前記第2電極は、さらに表面反応性電極を有する、
請求項21に記載の製造方法。
【請求項25】
前記第2電極は、第2ナノ複合電極の形成を含み、前記第2ナノ複合電極の形成は、
(e)第2導電性コア又は第2半導体コアを有する第2ナノ粒子を提供する段階と、
(f)前記第2ナノ粒子を処理して、前記第2ナノ粒子の前記第2導電性コアの周囲に第2薄いシェルを形成する段階と、
(g)処理された前記第2ナノ粒子に第2リガンドを付加する段階と、
(h)付加された前記第2リガンドを有する処理された前記第2ナノ粒子を第2電解質マトリクス中に分散する段階とを含み、
分散された前記第2ナノ粒子は、前記第2電解質マトリクスのパーコレーション限界を超える第2濃度を有する
請求項21に記載の製造方法。
【請求項26】
前記第1ナノ粒子の前記第1導電性コアはさらに100nm以下の第1直径を有し、
前記第2ナノ粒子の前記第2導電性コアはさらに100nm以下の第2直径を有する、
請求項25に記載の製造方法。
【請求項27】
前記第1ナノ粒子の前記第1半導体コアは、さらに励起子ボーア半径を超える第1半径を有し、
前記第2ナノ粒子の前記第2半導体コアは、励起子ボーア半径を超える第2半径を有する、
請求項25に記載の製造方法。
【請求項28】
第1表面を有する、第1金属電極を提供する段階、
第2表面を有する、第2金属電極を提供する段階、
導電性コア又は半導体コアを有する、ナノ粒子を提供する段階、
前記ナノ粒子を処理して、前記ナノ粒子のコアの周囲に薄いシェルを形成する段階、
処理された前記ナノ粒子にリガンドを付加する段階、
付加された前記リガンドを有する処理された前記ナノ粒子を、高誘電強度マトリクス中に分散して、複合誘電体を生成する段階、
前記複合誘電体を前記第1金属電極の前記第1表面、及び、前記第2金属電極の前記第2表面に付加する段階、及び、
前記第1金属電極、前記複合誘電体、及び前記第2金属電極を密閉封止する段階
を備える静電キャパシタ様電子電池の製造方法。
【請求項29】
前記ナノ粒子の前記コアは、さらに100nm以下の直径を有する、
請求項28に記載の製造方法。
【請求項30】
前記ナノ粒子の前記半導体コアは、さらに励起子ボーア半径以下の半径を有する、
請求項28に記載の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2013−512554(P2013−512554A)
【公表日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−540246(P2012−540246)
【出願日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際出願番号】PCT/CH2010/000299
【国際公開番号】WO2011/063541
【国際公開日】平成23年6月3日(2011.6.3)
【出願人】(512031611)オーツェー エリコン バルザーズ アーゲー (5)
【出願人】(512031622)
【Fターム(参考)】