説明

電子黒板およびその制御プログラム

【課題】 製造コストや消耗品の消費量の増加を抑えつつも、筆記面に筆記された内容を画像データとして記憶媒体に出力する際に同データが示す画像を容易に確認できる電子黒板を提供すること。
【解決手段】 筆記面の情報を読み取って読取手段が生成した画像データの出力指示の入力を受け付けたとき、着脱部に記憶媒体が装着されていない場合には前記画像データが示す画像を第1サイズで印刷手段に印刷させる。一方、前記指示の入力を受け付けたとき、着脱部に記憶媒体が装着されている場合には前記画像データが示す画像を第1サイズよりも小さい第2サイズで印刷手段に印刷させるとともに、同画像データを記憶媒体に出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、筆記面に筆記された文字や図形等を画像データとして取り込んで印刷する電子黒板およびその制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、筆記面に筆記された文字や図形等を光学的に読み取って画像データを生成し、生成した画像データをプリンタに出力して印刷媒体に印刷させる電子黒板が普及している。
【0003】
近年、パーソナルコンピュータや電子メールの活用が増えたことにより、電子黒板の出力を紙媒体ではなく電子データとして残したいとの要望があった。これに鑑み、持ち運びが容易なUSBメモリ等の外付け記憶媒体を装着するためのインタフェースと、筆記面に筆記された文字や図形を読み取って生成した画像データを前記インタフェースに装着された記憶媒体に出力する機能とを有する電子黒板が開発されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−131499号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように外付け記憶媒体に画像データを出力した場合、そのデータが示す画像は、パーソナルコンピュータのような情報処理装置を用いなければ確認することができない。すなわち、電子黒板から画像データを外付け記憶媒体に出力した直後は、同データの書き込み失敗や、同データが示す画像のかすれの有無等を知ることができない。
【0006】
通常、電子黒板と画像データが示す画像を表示可能な情報処理装置とは別部屋に配置されていることが多いため、画像データが示す画像を確認する前に電子黒板の筆記面に筆記された情報が消去されることが多い。したがって、外付け記憶媒体への画像データの書き込みが失敗している場合などには、電子黒板に筆記された内容が分からなくなってしまう。
【0007】
また、画像のかすれに対処する一つの方法としては、電子黒板に画像データが示す画像を表示するための液晶表示器を設け、画像データを生成した時点でその内容を確認できるようにすることが考えられる。しかし、大画面の液晶表示器を設ければその設置スペースや製造コストが問題となるし、小画面の液晶表示器を設ければ画像の細部を確認することが困難となる。
【0008】
また、画像データを外付け記憶媒体に出力した時点で同データが示す画像を印刷するようにすれば、外付け記憶媒体への書き込み成否に関わらず、筆記面に筆記された内容を紙媒体で残すことができるし、画像のかすれを確認することができる。しかしながら、外付け記憶媒体に画像データを出力する場合にまで通常通り紙媒体に画像を印刷すれば、印刷媒体やインク等の消耗品が無駄に消費されることになる。
【0009】
これらの事情から、製造コストや消耗品の消費量の増加を抑えつつも、筆記面に筆記された内容を画像データとして外付け記憶媒体に出力する際に同データが示す画像を容易に確認できる電子黒板の開発が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0010】
一実施形態における電子黒板は、筆記面と、読取手段と、印刷手段と、着脱部と、指示受付手段と、第1出力制御手段と、第2出力制御手段と、を備えている。
前記読取手段は、前記筆記面の情報を読み取って画像データを生成する。前記印刷手段は、画像を印刷媒体に印刷する。前記着脱部には、記憶媒体が着脱される。前記指示受付手段は、前記読取手段によって生成される画像データの出力指示の入力を受け付ける。前記第1出力制御手段は、前記指示受付手段によって前記出力指示が受け付けられ、かつ前記着脱部に前記記憶媒体が装着されていない場合に、前記読取手段によって生成された画像データが示す画像を第1サイズで前記印刷手段に印刷させる。前記第2出力制御手段は、前記指示受付手段によって前記出力指示が受け付けられ、かつ前記着脱部に前記記憶媒体が装着されている場合に、前記読取手段によって生成された画像データが示す画像を前記第1サイズよりも小さい第2サイズで前記印刷手段に印刷させるとともに、同画像データを前記記憶媒体に出力する。
【0011】
また、一実施形態における制御プログラムは、筆記面と、この筆記面の情報を読み取って画像データを生成する読取部と、画像を印刷媒体に印刷する印刷部と、記憶媒体を着脱可能な着脱部と、前記読取部によって生成される画像データの出力指示の入力を受け付ける指示受付部とを備える電子黒板の制御プログラムであって、前記電子黒板に、第1出力制御機能と、第2出力制御機能と、を実現させる。
前記第1出力制御機能は、前記指示受付部によって前記出力指示が受け付けられ、かつ前記着脱部に前記記憶媒体が装着されていない場合に、前記読取部によって生成された画像データが示す画像を第1サイズで前記印刷部に印刷させる機能である。前記第2出力制御機能は、前記指示受付部によって前記出力指示が受け付けられ、かつ前記着脱部に前記記憶媒体が装着されている場合に、前記読取部によって生成された画像データが示す画像を前記第1サイズよりも小さい第2サイズで前記印刷部に印刷させるとともに、同画像データを前記記憶媒体に出力する機能である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】一実施形態における電子黒板の外観斜視図。
【図2】同電子黒板が備える操作パネルを示す図。
【図3】同電子黒板が備える電源スイッチおよびUSBポートを示す図。
【図4】同電子黒板の内部構造を概略的に示す平面図。
【図5】同電子黒板の内部構造を概略的に示す正面図。
【図6】同電子黒板が備えるサーマルプリンタの概略構成を示す模式図。
【図7】同電子黒板の制御回路を示すブロック図。
【図8】同電子黒板の制御部が実行する処理のフローチャート。
【図9】同処理における第1サイズの印刷結果の一例を示す模式図。
【図10】同処理における第2サイズの印刷結果の一例を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
なお、以下の説明において、同一の構成要素には同一の符号を付し、重複説明は必要な場合にのみ行う。
【0014】
[外観構成]
図1は、本実施形態における電子黒板1の外観斜視図である。
この電子黒板1は、一対のスタンド2a,2bによって長方形枠状のフレーム3を支持して構成されている。フレーム3は、例えばポリエチレン製の環状のシート4を収納している。このシート4におけるフレーム3の前面側の開口部から外部に露出した部分が、マーカーペン等の筆記具によって文字や図形等が筆記される筆記面4aとなる。また、フレーム3のスタンド2b側下方には、CCDラインセンサ15(図4及び図5参照)によって読み取られた画像を印刷媒体に印刷して発行するためのサーマルプリンタ5(印刷手段)が設けられている。
【0015】
フレーム3の下縁部には、手前側に向けて突出する下側棚部6が設けられている。この下側棚部6には、マーカーペン等の筆記具や筆記面4aに筆記された文字等を摺動動作で消去するクリーナ等が置かれる。
【0016】
また、フレーム3のスタンド2b側縁部には、電子黒板1を操作するための各種操作キーを有する操作パネル7(指示受付手段)が設けられている。この操作パネル7は、図2に示したように、LED表示部701、シートフィードボタン702、濃度調整ボタン703、および出力ボタン704を備えている。LED表示部701は、少なくとも3つの色彩が表現可能となるように複数のLEDで構成されている。そしてこれら複数のLEDを選択的に点灯させ、電源オン、待機状態、用紙切れの3つのステータスを報知する。シートフィードボタン702は、シート4を例えば図1におけるスタンド2b側からスタンド2a側へと送るためのボタンである。濃度調整ボタン703は、筆記面4aに筆記された文字等の読み取り濃度を変更するためのボタンである。出力ボタン704は、読み取った画像データの出力を指示するためのボタンである。
【0017】
また、フレーム3のスタンド2b側下角部には、図3に示したように手前側に突出した突出部3aが形成されており、この突出部3aには電子黒板1への電源供給をオン/オフするための電源スイッチ8と、USBメモリ100のUSBコネクタ101を着脱可能なUSBポート9(着脱部)とが設けられている。なお、USBポート9には、USBメモリ100の他にもUSBコネクタを有するフロッピー(登録商標)ディスクドライブ、CD−Rドライブ、DVD−Rドライブ、ハードディスクドライブなど、各種の外付け記憶装置を接続可能である。
【0018】
[内部構成]
図4は電子黒板1の内部構造を概略的に示す平面図であり、図5は電子黒板1の内部構造を概略的に示す正面図である。
フレーム3内の左右両端部には、シート4を回転して搬送させる一対のローラ10a,10bが設けられている。ローラ10a,10bは、フレーム3の左右側縁と略平行な軸心を有するもので、ローラ10a,10b間には環状のシート4が掛け渡されている。また、ローラ10a,10bのうちいずれか一方には、図示しないベルト伝動機構を介してシートフィード(SF)モータ25(図7参照)が連結されている。そして、SFモータ25が駆動されると前記ベルト伝動機構を介してローラ10a,10bが回転し、シート4が左右方向に回転搬送される。
【0019】
また、シート4の筆記面4aのすぐ背後には、筆記面4aに対する筆記性を確保するための筆記ボード11が配設されている。
【0020】
そして、筆記ボード11を挟んだ筆記面4aの反対側には、シート4の搬送方向に略直行する方向に長尺な蛍光灯12およびミラー13と、レンズ14と、CCDラインセンサ15とが設けられている。シート4に筆記された文字等を読み取る際には、蛍光灯12がシート4に可視光を照射し、シート4からの反射光がミラー13を介してレンズ14に送られ、CCDラインセンサ15の受光面に集光される。このときCCDラインセンサ15から、受光面によって受光された可視光に応じてミラー13の長尺方向に沿う1ライン分の電気信号が出力される。
【0021】
なお、蛍光灯12、ミラー13、レンズ14、CCDラインセンサ15、および後述の画像処理部24(図7参照)は、シート4の情報を読み取って画像データを生成する読取手段を構成する。前記シート4の情報には、シート4に筆記された文字等だけでなく、何ら筆記されていない余白面も含まれる。またこのシート4が何も記載されていない白紙の状態であっても、本実施形態に定義する読取る情報に含まれる。
【0022】
[サーマルプリンタ]
次に、サーマルプリンタ5の構成について説明する。
図6は、サーマルプリンタ5の概略構成を示す模式図である。
サーマルプリンタ5は、ライン状に配列された多数の発熱素子を有するサーマルヘッド51と、回転可能に支持されたプラテンローラ52と、プラテンローラ52を回転させる搬送モータ53とを備えている。また、サーマルプリンタ5内の所定位置には、連続紙である印刷媒体54を軸心55に巻回してなる印刷媒体ロール56が、軸心55を中心にして回転可能にセットされている。なお、本実施形態における印刷媒体54は、熱が加えられた部分が発色する感熱紙であり、その幅WはJIS規格およびISO−216に準拠したA4サイズ(210mm×297mm)の短手方向幅(210mm)に統一されている。感熱紙を使用しない場合には、熱転写用のインクリボンを印刷媒体54と共に搬送する機構を設ければよい。
【0023】
サーマルヘッド51は、図示せぬ弾性部材に付勢されて、印刷媒体54を介してプラテンローラ52に押し当てられている。プラテンローラ52と搬送モータ53との間には環状のベルト57が掛け渡されており、搬送モータ53が回転するとベルト57と共にプラテンローラ52が回転し、印刷媒体54が直線矢印で図示する搬送方向に搬送される。この印刷媒体54の搬送に合わせてサーマルヘッド51の各発熱素子を選択的に駆動することで、印刷媒体54に印刷パターンが形成される。印刷媒体54の印刷パターンが形成された部分は、サーマルプリンタ5の筐体面に設けられた排紙口から排紙される。このように排紙された部分を切り離す方法としては、ユーザが手動で切り離す方法を採用してもよいし、電気制御により動作するカッタ機構を設けて該機構が自動で切り離す方法を採用してもよい。
【0024】
[制御回路]
次に、電子黒板1の制御回路について説明する。
図7は、電子黒板1の制御回路を示すブロック図である。
この制御回路は、制御部20、ROM(Read Only Memory)21、RAM(Random Access Memory)22、蛍光灯点灯回路23、画像処理部24、SFモータ25、電源ユニット26、前記サーマルプリンタ5、前記操作パネル7、前記電源スイッチ8、前記USBポート9、前記蛍光灯12、および前記CCDラインセンサ15等で構成されている。
【0025】
ROM21は、電子黒板1の動作プログラムや各種デフォルト設定値等の固定的データを記憶している。RAM22は、電子黒板1の処理場面に応じて各種の作業用記憶領域を形成する。
【0026】
蛍光灯点灯回路23は、シート4に筆記された文字等を読み取る際に蛍光灯12に通電し、蛍光灯12を点灯させる。既述のように、蛍光灯12が点灯するとシート4からの反射光がレンズ14等を介してCCDラインセンサ15に集光され、CCDラインセンサ15が受光した可視光に応じた電気信号を出力する。
【0027】
画像処理部24は、CCDラインセンサ15から出力されるライン毎の電気信号をA/D変換してデジタルデータを生成し、このデジタルデータを複数ライン分組み合わせて1つの画像データを生成する。
【0028】
電源ユニット26は、電源スイッチ8が電源オンの状態に切り替えられたことに応じて商用交流電源等の外部電源30から動作電力を取り込み、当該制御回路を構成する各部に供給する。
【0029】
USBポート9にUSBメモリ100のUSBコネクタ101が接続されると、USBメモリ100にUSBポート9を介して電源ユニット26から動作電力が供給される。USBメモリ100は、この動作電力を受けて内臓メモリへのデータの書き込みおよび読み出しを行う。また、USBポート9は、USBメモリ100への電力供給の有無を監視し、電力が供給されていないときに値を「0」とした接続ステータスを制御部20に通知し、電力が供給されているときに値を「1」とした接続ステータスを制御部20に通知する機能を有している。
【0030】
制御部20は、当該制御回路を構成する各部の基本的な動作を制御する機能の他、本実施形態における特徴的な機能として、第1出力制御機能201と、第2出力制御機能202とを実現する。
第1出力制御機能201は、出力ボタン704が操作され、かつUSBポート9にUSBメモリ100が装着されていない場合に、画像処理部24によって生成された画像データが示す画像を第1サイズ(A4サイズ)でサーマルプリンタ5に印刷させる機能である。
【0031】
第2出力制御機能202は、出力ボタン704が操作され、かつUSBポート9にUSBメモリ100が装着されている場合に、画像処理部24によって生成された画像データが示す画像を前記第1サイズよりも小さい第2サイズ(A5サイズ)でサーマルプリンタ5に印刷させるとともに、同画像データをUSBポート9を介してUSBメモリ100に出力する機能である。
【0032】
[動作]
上記のような構成の電子黒板1の動作について説明する。
電源スイッチ8が電源オンの状態に切り替えられ、電源ユニット26から動作電力の供給が開始されると、制御部20は、ROM21に記憶された動作プログラムを読み込んで実行し、図8に示したフローチャートに沿って動作する。
【0033】
すなわち、先ず制御部20は、各部の起動処理を実行する(ステップS1)。具体的には、サーマルプリンタ5や画像処理部24を始めとする各部の初期化や、異常診断等を行う。
【0034】
各部の初期化および異常診断が完了すると、制御部20は、操作パネル7が操作されたか否かを判定する(ステップS2)。この処理は、操作パネル7が操作されるまで継続される(ステップS2のNo)。やがて操作パネル7が操作されると(ステップS2のYes)、制御部20は、当該操作による指示内容を判定する(ステップS3)。
【0035】
ステップS2の処理における操作が出力ボタン704の操作である場合、制御部20は、当該操作が画像データの出力であると判定する(ステップS3の「画像データ出力」)。このとき、制御部20は、筆記面4aに筆記された文字等を画像データとして取り込む(ステップS4)。具体的には、蛍光灯点灯回路23に蛍光灯12を点灯させ、SFモータ25を回転させてシート4を搬送させるとともに、画像処理部24に画像データの生成を指示する。この指示を受けた画像処理部24は、CCDラインセンサ15から出力されるライン毎の電気信号をデジタルデータに変換していく。SFモータ25は、画像処理部24が出力ボタン704操作時点の筆記面4aの最後端のラインに対応するデジタルデータを取得し終えるまで回転する。そして、画像処理部24は、SFモータ25が停止するまでに取得した全てのデジタルデータをライン順に組み合わせて1つの画像データを生成し、制御部20に出力する。制御部20は、このようにして取り込まれた画像データをRAM22に一時記憶する。
【0036】
上記のようにして画像データの取り込みが完了すると、制御部20は、USBポート9にUSBメモリ100が装着されているか否かを判定する(ステップS5)。この判定は、USBポート9から通知される接続ステータスに基づいてなされる。
【0037】
USBポート9から通知される接続ステータスが「0」である場合、制御部20は、USBポート9にUSBメモリ100が装着されていないと判定し(ステップS5のNo)、第1出力制御機能201による画像データの出力を行う。すなわち、ステップS4の処理において取り込んだ画像データが示す画像を、サーマルプリンタ5にA4サイズで印刷させる(ステップS6)。
【0038】
図9は、このとき印刷媒体54に印刷された画像の一例を示す模式図である。この例は、筆記面4aに「ABC」なる文字列をシート4の搬送方向に横並びで筆記した場合に印刷される画像を示している。図中の一点鎖線で示す印刷範囲Xは、JIS規格およびISO−216に準拠したA4サイズ(210mm×297mm)に対応するもので、その短手方向幅(210mm)は印刷媒体54の幅Wと略一致する。この印刷範囲X内に、印刷媒体54の幅方向(直線矢印で図示した搬送方向と直交する方向)を上下方向として、「ABC」なる文字列が印刷されている。
【0039】
一方、ステップS5の処理において、USBポート9から通知される接続ステータスが「1」である場合、制御部20は、USBポート9にUSBメモリ100が装着されていると判定し(ステップS5のYes)、第2出力制御機能202による画像データの出力を行う。すなわち、ステップS4の処理において取り込んだ画像データが示す画像を、サーマルプリンタ5にA5サイズで印刷させ(ステップS7)、かつ同画像データをUSBメモリ100に出力する(ステップS8)。このとき出力された画像データは、USBメモリ100の内蔵メモリに記憶される。
【0040】
図10は、ステップS7の処理にて印刷媒体54に印刷された画像の一例を示す模式図である。この例は、図9を用いて説明したものと同様に、筆記面4aに「ABC」なる文字列をシート4の搬送方向に横並びで筆記した場合に印刷される画像を示している。図中の一点鎖線で示す印刷範囲Yは、JIS規格およびISO−216に準拠したA5サイズ(148mm×210mm)に対応するもので、その長手方向幅(210mm)は印刷媒体54の幅Wと略一致する。この印刷範囲Y内に、実線矢印で図示した印刷媒体54の搬送方向を上下方向として、「ABC」なる文字列が印刷されている。
【0041】
ステップS6、またはステップS7およびS8の処理において画像データを出力し終えると、制御部20は、ステップS2の処理に戻って操作パネル7に対する次の操作を待つ。
【0042】
なお、ステップS2の処理における操作が出力ボタン704以外の操作である場合(ステップS3の「その他」)、制御部20は、当該指示に応じた処理を実行する(ステップS9)。すなわち、シートフィードボタン702の操作によりシート4のフィードが指示されている場合には、SFモータ25を回転させてシート4を所定距離だけ搬送する。また、濃度調整ボタン703の操作により読み取り濃度の変更が指示された場合には、同ボタン703が操作された回数だけ読み取り濃度を濃くし、その設定をRAM22等に記憶する。このように読み取り濃度が変更された場合、ステップS4の処理において画像処理部24はデフォルト時よりも濃度を高めた画像データを生成する。このように、指示に応じた処理を実行した後、制御部20は、ステップS2の処理に戻って操作パネル7に対する次の操作を待つ。
【0043】
以上説明したように、本実施形態における電子黒板1は、画像データの出力が指示された際に、USBポート9にUSBメモリ100が装着されていない場合には画像データが示す画像を第1サイズでサーマルプリンタ5に印刷させ、USBポート9にUSBメモリ100が装着されている場合には画像データが示す画像を第1サイズよりも小さい第2サイズでサーマルプリンタ5に印刷させるとともに同画像データをUSBメモリ100に出力する。このような構成であれば、USBメモリ100が装着されている場合には筆記面4aへの筆記内容を電子データと紙媒体の双方で得ることができる。したがって、液晶表示器等の高価な構成を追加することなく、USBメモリ100への画像データ出力時に同データが示す画像を確認することができる。しかも、USBメモリ100に画像データを出力する場合には、印刷のみ行う場合よりも小さいサイズで画像データが示す画像が印刷されるので、印刷媒体の節約になる。
【0044】
具体的には印刷に連続紙である印刷媒体54を使用し、印刷媒体54の搬送方向における第2サイズの印刷幅を、同方向における第1サイズの印刷幅よりも短くしている。このように、1つの連続紙を用いて第1,第2サイズ双方の印刷を行うようにしたので、サーマルプリンタ5の機構を簡便なものにすることができる。
【0045】
また、連続紙である印刷媒体54の幅をA4サイズの短手方向幅(210mm)とし、第1サイズはその短手方向を印刷媒体54の幅方向と一致させたA4サイズとし、第2サイズはその長手方向を印刷媒体54の幅方向と一致させたA5サイズとしている。このようにすれば、第1サイズと第2サイズの縦横比が略一致するので、例えば普段は紙媒体への印刷のみを頻繁に利用する者がUSBメモリ100への出力を行った場合であっても、第2サイズの画像が見易いものとなる。
【0046】
また、1つの出力ボタン704を操作することによって自動的に第1出力制御機能201と第2出力制御機能202とが使い分けられるので、電子黒板1の操作が非常に簡単なものとなる。
【0047】
[変形例]
なお、前記実施形態に開示された構成は、実施段階において各構成要素を適宜変形して具体化できる。具体的な変形例としては、例えば次のようなものがある。
【0048】
(1)前記実施形態では、印刷手段としてサーマルプリンタを採用した場合を例示した。しかしながら、インクジェットプリンタやレーザプリンタ等、他種のプリンタを採用してもよい。その場合であっても、USBメモリ100への画像データの出力時に同データが示す画像を確認できるし、印刷媒体も節約できる。
【0049】
(2)前記実施形態では、第1出力制御機能201および第2出力制御機能202による印刷の双方において、共通の印刷媒体54を使用する場合を例示した。しかしながら、サーマルプリンタ5に代えて幅が異なる2通りの印刷媒体を同時にセットでき、それらの使い分けが可能なプリンタを採用し、第1サイズでの印刷時に使用する印刷媒体と第2サイズでの印刷時に使用する印刷媒体とを適宜切り替えるようにしてもよい。このようにした場合であっても、第2サイズ用の印刷媒体を第1サイズ用の印刷媒体よりも小サイズにしておけば印刷媒体を節約できる。
【0050】
(3)前記実施形態では、第1サイズとしてJIS規格およびISO−216に準拠したA4サイズ、第2サイズとしてJIS規格およびISO−216に準拠したA5サイズを採用した場合を例示した。しかしながら、第1サイズおよび第2サイズとしては他のサイズを用いてもよい。例えば、印刷媒体54としてその幅がJIS規格に準拠したB4サイズ(257mm×364mm)の短手方向幅(257mm)と一致する連続紙を使用し、第1サイズでの印刷時にはその短手方向を印刷媒体54の幅方向と一致させたJIS規格に準拠するB4サイズで印刷し、第2サイズでの印刷時にはその長手方向を印刷媒体54の幅方向と一致させたJIS規格に準拠するB5サイズ(182mm×257mm)で印刷してもよい。その他、第1サイズの縦横比をユーザが任意に設定した比率で縮小したものを第2サイズとして採用してもよい。
【0051】
(4)また、ステップS8の処理においてUSBメモリ100に出力される画像データが示す画像の縦横比は、ステップS7の処理において印刷される画像の縦横比と一致するように調整してもよい。このようにすれば、USBメモリ100に出力される画像データが示す画像、第1サイズ、および第2サイズの縦横比が統一され、ユーザにとって画像データが示す画像や印刷された画像が見易いものとなる。
【0052】
この他、前記実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよいし、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0053】
1…電子黒板、4a…筆記面、5…サーマルプリンタ、7…操作パネル、9…USBポート、15…CCDラインセンサ、20…制御部、24…画像処理部、25…SFモータ、100…USBメモリ、201…第1出力制御機能、202…第2出力制御機能、X…印刷範囲、Y…印刷範囲

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筆記面と、
前記筆記面の情報を読み取って画像データを生成する読取手段と、
画像を印刷媒体に印刷する印刷手段と、
記憶媒体を着脱可能な着脱部と、
前記読取手段によって生成される画像データの出力指示の入力を受け付ける指示受付手段と、
前記指示受付手段によって前記出力指示が受け付けられ、かつ前記着脱部に前記記憶媒体が装着されていない場合に、前記読取手段によって生成された画像データが示す画像を第1サイズで前記印刷手段に印刷させる第1出力制御手段と、
前記指示受付手段によって前記出力指示が受け付けられ、かつ前記着脱部に前記記憶媒体が装着されている場合に、前記読取手段によって生成された画像データが示す画像を前記第1サイズよりも小さい第2サイズで前記印刷手段に印刷させるとともに、同画像データを前記記憶媒体に出力する第2出力制御手段と、
を備えていることを特徴とする電子黒板。
【請求項2】
前記印刷手段は、所定幅の連続紙を所定方向に搬送しつつ、前記画像データが示す画像を前記連続紙に熱転写するサーマルプリンタであることを特徴とする請求項1に記載の電子黒板。
【請求項3】
前記連続紙の搬送方向における前記第2サイズの印刷幅は、前記搬送方向における前記第1サイズの印刷幅よりも短いことを特徴とする請求項2に記載の電子黒板。
【請求項4】
前記連続紙の幅は、所定規格に準拠するA4サイズの短手方向幅と一致し、
前記第1サイズは、その短手方向を前記連続紙の幅方向と一致させた前記規格に準拠するA4サイズであり、
前記第2サイズは、その長手方向を前記連続紙の幅方向と一致させた前記規格に準拠するA5サイズであることを特徴とする請求項3に記載の電子黒板。
【請求項5】
前記記憶媒体は、USBコネクタを有するUSBメモリであり、
前記着脱部は、前記USBコネクタを着脱可能なUSBポートであることを特徴とする請求項1乃至4のうちいずれか1に記載の電子黒板。
【請求項6】
筆記面と、この筆記面の情報を読み取って画像データを生成する読取部と、画像を印刷媒体に印刷する印刷部と、記憶媒体を着脱可能な着脱部と、前記読取部によって生成される画像データの出力指示の入力を受け付ける指示受付部とを備える電子黒板の制御プログラムであって、
前記電子黒板に、
前記指示受付部によって前記出力指示が受け付けられ、かつ前記着脱部に前記記憶媒体が装着されていない場合に、前記読取部によって生成された画像データが示す画像を第1サイズで前記印刷部に印刷させる第1出力制御機能と、
前記指示受付部によって前記出力指示が受け付けられ、かつ前記着脱部に前記記憶媒体が装着されている場合に、前記読取部によって生成された画像データが示す画像を前記第1サイズよりも小さい第2サイズで前記印刷部に印刷させるとともに、同画像データを前記記憶媒体に出力する第2出力制御機能と、
を実現させるための制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−6210(P2012−6210A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−143162(P2010−143162)
【出願日】平成22年6月23日(2010.6.23)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】