電極、非水電解質電池および電池パック
【課題】入出力特性が改善された電極、非水電解質電池及び電池パックを提供する。
【解決手段】実施形態によれば、集電体と、集電体に形成された活物質含有層とを含む電極が提供される。活物質は、Li吸蔵電位が0.4V(vs.Li/Li+)以上である。水銀圧入法による細孔径分布に、0.01μm以上0.1μm以下のモード径を有する第1のピークと、0.2μmを超え、かつ1μm以下のモード径を有する第2のピークとを有する。水銀圧入法による細孔の体積が電極重量(集電体の重量を除く)1g当り0.1mL以上0.3mL以下である。
【解決手段】実施形態によれば、集電体と、集電体に形成された活物質含有層とを含む電極が提供される。活物質は、Li吸蔵電位が0.4V(vs.Li/Li+)以上である。水銀圧入法による細孔径分布に、0.01μm以上0.1μm以下のモード径を有する第1のピークと、0.2μmを超え、かつ1μm以下のモード径を有する第2のピークとを有する。水銀圧入法による細孔の体積が電極重量(集電体の重量を除く)1g当り0.1mL以上0.3mL以下である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、電極、非水電解質電池および電池パックに関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン二次電池等の非水電解質電池は、高エネルギー密度電池として、電気自動車、電力蓄電、情報機器など様々な分野に広く普及するに至っている。それに伴い、市場からの要求もさらに増し、盛んに研究が進められている。
【0003】
その中でも、電気自動車用電源に用いられる非水電解質電池は、その用途から、エネルギー密度が高いこと、つまり単位重量あるいは単位体積あたりの放電容量が大きいことが要求される。そして、減速時の運動エネルギーを回生するために、瞬時に大きな電流が電池に入力された場合であっても、効率的に充電が可能であることが要求されている。さらに、始動時、急発進時、急加速時等には、逆に、大きな出力、つまり大電流を瞬時に放電可能であることが要求されている。すなわち、電気自動車用電源としての二次電池には、大容量であることに加え、短時間における入出力特性が良好であることが望まれている。
【0004】
この非水電解質電池の負極活物質としては、炭素系材料が多く用いられてきたが、近年、炭素系材料に比してLi吸蔵放出電位が高いスピネル型チタン酸リチウムが注目されている。このスピネル型チタン酸リチウムは充放電反応に伴う体積変化がないため、サイクル特性に優れ、且つ、炭素系材料を用いた場合と比較して、リチウムデンドライドの発生する可能性が低いことなどから高安全性を有し、また、セラミックスであることから熱暴走を起こしにくいという大きなメリットを有している。
【0005】
その一方で、負極活物質にスピネル型チタン酸リチウムを用いた非水電解質電池では、エネルギー密度が低いという問題点があり、高容量が得られる負極材料が必要とされている。そこで重量あたりの理論容量がスピネル型チタン酸リチウムLi4Ti5O12より大きいTiO2などの酸化チタン化合物について研究が行われている。
【0006】
近年、TiO2の結晶構造のひとつである単斜晶系β型構造を有するチタン酸化物が、高容量な電池材料として有望であることが報告されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第4213688号公報
【特許文献2】特許第4364250号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
実施形態は、入出力特性が改善された電極、非水電解質電池及び電池パックを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
実施形態によれば、集電体と、集電体に形成された活物質含有層とを含む電極が提供される。活物質は、Li吸蔵電位が0.4V(vs.Li/Li+)以上である。水銀圧入法による細孔径分布に、0.01μm以上0.1μm以下のモード径を有する第1のピークと、0.2μmを超え、かつ1μm以下のモード径を有する第2のピークとを有する。水銀圧入法による細孔の体積が電極重量(集電体の重量を除く)1g当り0.1mL以上0.3mL以下である。
【0010】
実施形態によれば、正極と、負極として実施形態に係る電極と、非水電解質と
を含む非水電解質電池が提供される。
【0011】
実施形態によれば、実施形態に係る非水電解質電池を含む電池パックが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】第2の実施形態に係る非水電解質電池を示す断面図である。
【図2】図1のA部の拡大断面図である。
【図3】図2における正極、セパレータ及び負極の境界付近を示す模式図である。
【図4】第2の実施形態の非水電解質電池を模式的に示した部分切欠斜視図である。
【図5】図4のB部の拡大断面図である。
【図6】第2の実施形態の非水電解質電池で使用される電極群を示す斜視図である。
【図7】第3の実施形態に係る電池パックの分解斜視図である。
【図8】図7の電池パックの電気回路を示すブロック図である。
【図9】実施例1,2及び比較例1,2の負極の水銀圧入法による細孔径分布図である。
【図10】実施例1,2及び比較例1,2の非水電解質電池の放電レートと容量維持率との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、実施の形態を通して共通の構成には同一の符号を付すものとし、重複する説明は省略する。また、各図は実施形態の説明とその理解を促すための模式図であり、その形状や寸法、比などは実際の装置と異なる個所があるが、これらは以下の説明と公知の技術を参酌して適宜、設計変更することができる。
【0014】
(第1の実施形態)
第1の実施形態によると、集電体と、集電体に形成された活物質含有層とを含む電極が提供される。活物質含有層は、集電体の片面もしくは両面に形成されることが可能である。活物質含有層に含まれる活物質は、Li吸蔵電位が0.4V(vs.Li/Li+)以上である。水銀圧入法による細孔径分布に、0.01μm以上0.1μm以下のモード径を有する第1のピークと、0.2μmを超え、かつ1μm以下のモード径を有する第2のピークとを有する。水銀圧入法による細孔の体積が、電極の重量(集電体の重量を除く)1g当り0.1mL以上0.3mL以下である。
【0015】
活物質のLi吸蔵電位を前述した範囲に規定する理由を説明する。0.4V(vs.Li/Li+)よりも卑な電位でリチウムイオンを吸蔵する活物質(例えば、黒鉛、リチウム金属など)では、大電流での入出力を繰り返すと電極表面上で金属リチウムが析出し、デンドライド状に成長する。このため、大電流での入出力の際に内部短絡を生じる。Li吸蔵電位が0.4V(vs.Li/Li+)以上の活物質を用いることによって、電極表面上における金属リチウムの析出を抑制することができ、大電流での入出力の際の内部短絡を回避することができる。従って、活物質のLi吸蔵電位は、0.4V(vs.Li/Li+)以上であることが好ましく、上限値としては、3V(vs.Li/Li+)が好ましい。さらに好ましい範囲は、0.4V(vs.Li/Li+)以上2V(vs.Li/Li+)以下である。
【0016】
0.4V(vs.Li/Li+)以上の範囲でリチウムイオンを吸蔵することが可能な活物質は、金属酸化物、金属硫化物、金属窒化物、あるいは合金であることが好ましい。
【0017】
このような金属酸化物としては、例えば、チタン含有金属複合酸化物、例えばSnB0.4P0.6O3.1やSnSiO3などのスズ系酸化物、例えばSiOなどのケイ素系酸化物、例えばWO3などのタングステン系酸化物などが挙げられる。中でも、チタン含有金属複合酸化物が好ましい。
【0018】
チタン含有金属複合酸化物としては、例えば、酸化物合成時はリチウムを含まないチタン系酸化物、リチウムチタン酸化物、リチウムチタン酸化物の構成元素の一部を異種元素で置換したリチウムチタン複合酸化物などを挙げることができる。リチウムチタン酸化物としては、例えば、スピネル構造を有するチタン酸リチウム(例えばLi4+xTi5O12(xは充放電により変化する値で、0≦x≦3))、ラムステライド型のチタン酸リチウム(例えばLi2+yTi3O7(yは充放電により変化する値で、0≦y≦3)などを挙げることができる。
【0019】
チタン系酸化物としては、TiO2、TiとV、Sn、Cu、Ni、Co及びFeよりなる群から選択される少なくとも1種類の元素とを含有する金属複合酸化物などが挙げられる。特に、TiO2の結晶構造のひとつである単斜晶系β型構造を有するチタン複合酸化物が、電池材料として有望である。以下、単斜晶系β型構造を有するチタン複合酸化物のうち単斜晶系β型構造を有するチタン酸化物をTiO2(B)と表記する。単斜晶系β型構造を有するチタン複合酸化物には、TiO2(B)と、TiO2(B)の構成元素の一部を異種元素(例えばLi)で置換したものとが含まれる。
【0020】
TiとV、Sn、Cu、Ni、Co及びFeよりなる群から選択される少なくとも1種類の元素とを含有する金属複合酸化物としては、例えば、TiO2−V2O5、TiO2−P2O5−SnO2、TiO2−P2O5−MeO(MeはCu、Ni、Co及びFeよりなる群から選択される少なくとも1種類の元素)などを挙げることができる。この金属複合酸化物は、結晶相とアモルファス相が共存もしくは、アモルファス相単独で存在したミクロ構造であることが好ましい。このようなミクロ構造であることによりサイクル性能を大幅に向上することができる。
【0021】
金属硫化物としては、例えば、例えばTiS2などのチタン系硫化物、例えばMoS2などのモリブデン系硫化物、例えば、FeS、FeS2、LixFeS2(0≦x≦4)などの鉄系硫化物などが挙げられる。
【0022】
金属窒化物としては、例えば、リチウム系窒化物(例えば、(Li,Me)3N{Meは遷移金属元素})などが挙げられる。
【0023】
上記活物質の中でも、単斜晶系β型構造を有するチタン複合酸化物を含むものが好ましい。単斜晶系β型構造を有するチタン複合酸化物は、繊維状の一次粒子が凝集した二次粒子の形態を有する。単斜晶系β型構造を有するチタン複合酸化物を含む活物質を用いた電極の密度を高くすると、二次粒子の凝集形態が崩壊し、一次粒子間の電気的パスが分断されるため、電池の入出力特性が劣る。単斜晶系β型構造を有するチタン複合酸化物を含む活物質を実施形態に係る電極に用いることにより、二次粒子の形態を保ちつつ、高密度にすることが可能となるため、一次粒子間並びに二次粒子間に電気的パスを緻密に形成することができる。また、高密度でありながら、非水電解質の含浸性に優れている。よって、単斜晶系β型構造を有するチタン複合酸化物が有する高エネルギー密度という特徴が生かされた、高エネルギー密度で入出力特性に優れた非水電解質電池を実現することができる。
【0024】
使用する活物質の種類は、1種類または2種類以上にすることができる。
【0025】
活物質は、一次粒子が凝集した二次粒子を含む形態を有する。実施形態の電極は、活物質中の二次粒子の凝集形態を維持しつつ、密度を高くすることができる。その結果、二次粒子内の導通並びに二次粒子間の導通の双方を良好にすることができる。二次粒子を含む限り、一次粒子のまま存在するものがあっても良い。すなわち、活物質は、単独の一次粒子と、一次粒子が凝集したものからなる二次粒子とを含むことができる。二次粒子と単独の一次粒子を含む活物質は、一次粒子径が0.1μm以上10μm以下で、かつ二次粒子径が1μm以上30μm以下であることが望ましい。一次粒子径及び二次粒子径を前述の範囲にすることにより、非水電解質との反応による活物質の劣化を抑制することができる。一次粒子径のより好ましい範囲は、0.5μm以上3μm以下であり、また、二次粒子径のより好ましい範囲は、10μm以上20μm以下である。
【0026】
活物質の一次粒子径及び二次粒子径は、レーザー回折法によって測定することができる。
【0027】
活物質に単斜晶系β型構造を有するチタン複合酸化物を含むものを用いる場合、単斜晶系β型構造を有するチタン複合酸化物のN2吸着によるBET法での比表面積は1m2/g以上30m2/g以下であることが好ましい。比表面積を1m2/g以上にすることによって、電極反応に寄与する有効面積を大きくすることができるため、高い大電流放電特性を得ることができる。また、比表面積を30m2/g以下にすることによって、負極と非水電解質との反応を抑えることができるため、充放電効率の低下や、貯蔵時のガス発生を抑制することができる。比表面積のより好ましい範囲は、10m2/g以上20m2/g以下である。
【0028】
水銀圧入法による細孔径分布は、縦軸がLog微分細孔体積、横軸が細孔直径であるものである。モード径は、当該細孔径分布のピーク位置での細孔直径を意味する。細孔直径が0.01μm以上0.1μm以下の範囲に現れるピークが第1のピークであり、第1のピークを与える細孔直径が第1のモード径である。細孔直径が0.2μmを超え、かつ1μm以下の範囲に現れるピークが第2のピークであり、第2のピークを与える細孔直径が第2のモード径である。第1のピークのピーク高さは、第2のピークのピーク高さよりも高いことが望ましい。第1のピークは一次粒子間の細孔を、第2のピークは二次粒子間の細孔を表していると考えられる。
【0029】
第1のモード径を0.01μm以上0.1μm以下の範囲にするのは以下の理由によるものである。第1のモード径を0.01μm未満にすると、電極への非水電解質の含浸性に劣るため、電池の入出力特性が低下する。一方、第1のモード径が0.1μmを超えるものは、二次粒子の凝集形態が崩壊し、一次粒子の形態で存在する活物質が多いため、活物質間の導電パスが分断されており、電池の入出力特性が低下する。第1のモード径のより好ましい範囲は、0.03μm以上0.05μm以下である。
【0030】
第2のモード径を0.2μmを超え、かつ1μm以下の範囲にするのは以下の理由によるものである。第1のモード径が0.01μm以上0.1μm以下の範囲にあっても、第2のモード径が0.2μm以下のものは、二次粒子の凝集形態が崩壊しており、一次粒子の形態で存在する活物質が多いため、活物質間の導電パスが分断されており、電池の入出力特性が低下する。第2のモード径を0.2μmよりも大きくすることによって、二次粒子の凝集形態を維持することができるため、活物質間の導通が良好になることが期待できる。しかしながら、第2のモード径が1μmを超えると、活物質含有層中に存在する大きな細孔によって活物質間の導電パスが分断されたり、あるいはその部分に非水電解質が偏在することによって、電池の入出力特性が低下する。第2のモード径のより好ましい範囲は、0.2μmを超え、0.5μm以下である。
【0031】
水銀圧入法による細孔の体積を、電極の重量(集電体の重量を除く)1g当り0.1mL以上0.3mL以下にするのは、以下の理由によるものである。電極の重量(集電体の重量を除く)1g当りの細孔体積を0.1mL未満にすると、第1のピーク及び第2のピークを有していても、電池の入出力特性が低下する。これは、電極の非水電解質保持量が不足するためである。また、電極の重量(集電体の重量を除く)1g当りの細孔体積が0.3mLを超えるものは、電極の密度が低いため、電池のエネルギー密度が低くなる。細孔体積のより好ましい範囲は、0.13mL/g以上0.2mL/g以下である。なお、電極の重量から集電体重量を差し引いた重量を使用するのは、集電体に無孔の基板(例えば金属箔)が使用されており、細孔が存在していない集電体の影響を除外するためである。
【0032】
電極の密度は、1.9g/cm3以上、2.1g/cm3未満にすることが望ましい。電極密度を1.9g/cm3以上にすることにより、電池のエネルギー密度を向上することができる。また、電極密度を2.1g/cm3未満にすることにより、第2のピークを持つ電極を容易に得ることが可能となる。電極密度のより好ましい範囲は、1.8g/cm3以上2.1g/cm3未満である。
【0033】
電極は、例えば、活物質に導電剤と結着剤を適当な溶媒に懸濁し、この懸濁物を集電体に塗布、乾燥、プレスして帯状電極にすることにより作製される。
【0034】
導電剤としては、コークスやカーボンラック、ならびに黒鉛などの炭素系材料が用いられる。炭素系材料の平均粒径は、ガス発生を効果的に抑制するためには、0.1μm以上であることが好ましく、良好な導電ネットワークを構築するために、10μm以下であることが好ましい。同様に、炭素系材料の比表面積は、良好な導電ネットワークを構築するために、10m2/g以上であることが好ましく、ガス発生を効果的に抑制するためには、100m2/g以下であることが好ましい。
【0035】
結着剤としては、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、もしくはアクリル系ゴム、アクリル系樹脂を用いることができる。
【0036】
負極活物質、導電剤及び結着剤の配合比は、負極活物質67〜97.5重量%、導電剤2〜28重量%、結着剤0.5〜5重量%の範囲にすることが好ましい。
【0037】
集電体には、例えば、アルミニウム箔またはアルミニウム合金箔のような金属箔を使用することができる。
【0038】
アルミニウム箔およびアルミニウム合金箔の厚さは、20μm以下、より好ましくは15μm以下である。アルミニウム箔の純度は99重量%以上が好ましい。アルミニウム合金としては、マグネシウム、亜鉛、ケイ素などの元素を含む合金が好ましい。一方、鉄、銅、ニッケル、クロムなどの遷移金属の含有量は1重量%以下にすることが好ましい。
【0039】
第1の実施形態に係る電極によれば、Li吸蔵電位が0.4V(vs.Li/Li+)以上の活物質を含み、水銀圧入法による細孔径分布に、0.01μm以上0.1μm以下のモード径を有する第1のピークと、0.2μmを超え、かつ1μm以下のモード径を有する第2のピークとを有し、水銀圧入法による細孔の体積が電極の重量(集電体の重量を除く)1g当り0.1mL以上0.3mL以下であるため、活物質の粒子形態を維持しつつ、電極の密度を高くすることができる。その結果、活物質粒子間の導通を良好にすることができる。さらに、高密度でありながら、非水電解質含浸性にも優れている。従って、第1の実施形態に係る電極を正極または負極として使用することにより、大電流での入出力特性に優れた非水電解質電池を提供することができる。
【0040】
(第2の実施形態)
第2の実施形態によれば、正極と、負極として第1の実施形態に係る電極と、非水電解質とを含む非水電解質電池を提供することができる。
【0041】
第2の実施形態に係る非水電解質電池の一例について、図1ないし図3を参照して詳細に説明する。図1は、第2の実施形態に係る非水電解質電池の一例である扁平型リチウムイオン二次電池を示す断面図、図2は図1のA部を示す拡大断面図、図3は図1の二次電池における正極活物質含有層、多孔質性のセパレータ及び負極活物質含有層の境界付近を示す模式図である。
【0042】
図1に示すように、例えばフィルムからなる外装部材1内には、電極群2が収納されている。電極群2は、正極3と負極4がセパレータ5を介して偏平形状に捲回された構造を有する。図2に示すように、正極3は、正極集電体3aと、正極集電体3aの少なくとも片面に形成された正極活物質含有層3bとを含む。また、負極4は、負極集電体4aと、負極集電体4aの少なくとも片面に形成された負極活物質含有層4bとを含む。セパレータ5は、正極活物質含有層3bと負極活物質含有層4bの間に介在されている。
【0043】
図3に示すように、正極活物質含有層3b、負極活物質含有層4b及びセパレータ5は、いずれも多孔質である。非水電解質は、例えば、正極活物質含有層3b中の正極材料P1間に位置する空隙3cと、負極活物質含有層4b中の負極材料P2間に位置する空隙4cと、セパレータ5の空隙5aとに保持される。空隙5aに非水電解質を保持したセパレータ5は電解質板として機能する。これら空隙3c,4c,5aには、非水電解質と併せて接着性を有する高分子が保持されていても良い。
【0044】
帯状の正極端子6は、電極群2の正極集電体3aに接続されており、先端が外装部材1の外部に引き出されている。また、帯状の負極端子7は、電極群2の負極集電体4aに接続されており、先端が外装部材1の外部に引き出されている。正極端子6と負極端子7は、外装部材1の同じ辺から引き出されており、正極端子6の引き出し方向と負極端子7の引き出し方向が同一になっている。
【0045】
電極群2の最外層に負極集電体4aを位置させ、この最外層の表面の少なくとも一部を接着部で被覆しても良い。これにより、電極群2を外装部材1に接着することができる。
【0046】
以下、正極、セパレータ、非水電解質及び外装部材について説明する。
【0047】
1)正極
この正極は、正極集電体と、前記正極集電体の片面もしくは両面に担持され、活物質及び結着剤を含む正極活物質含有層とを有する。
【0048】
前記正極活物質には、種々の酸化物、硫化物、ポリマー等を使用することができる。例えば、二酸化マンガン(例えばMnO2)、酸化鉄、酸化銅、酸化ニッケル、リチウムマンガン複合酸化物(例えばLixMn2O4またはLixMnO2)、リチウムニッケル複合酸化物(例えばLixNiO2)、リチウムコバルト複合酸化物(例えばLixCoO2)、リチウムニッケルコバルト複合酸化物(例えばLiNi1-yCoyO2)、リチウムマンガンコバルト複合酸化物(例えばLiMnyCo1-yO2)、スピネル型リチウムマンガンニッケル複合酸化物(例えばLixMn2-yNiyO4)、オリビン構造を有するリチウムリン酸化物(例えばLixFePO4、LixFe1-yMnyPO4、LixCoPO4など)、硫酸鉄(例えばFe2(SO4)3)、バナジウム酸化物(例えばV2O5)などが挙げられる。また、ポリアニリンやポリピロールなどの導電性ポリマー材料、ジスルフィド系ポリマー材料、イオウ(S)、フッ化カーボンなどの有機材料および無機材料も挙げられる。
【0049】
より好ましい二次電池用の正極活物質として、高い電池電圧を得られるものを挙げることができる。例えば、リチウムマンガン複合酸化物(例えばLixMn2O4)、リチウムニッケル複合酸化物(例えばLixNiO2)、リチウムコバルト複合酸化物(例えばLixCoO2)、リチウムニッケルコバルト複合酸化物(例えばLiNi1-yCoyO2)、スピネル型リチウムマンガンニッケル複合酸化物(例えばLixMn2-yNiyO4)、リチウムマンガンコバルト複合酸化物(例えばLiMnyCo1-yO2)、リチウムリン酸鉄(例えばLixFePO4)などが挙げられる。なお、x,yは0〜1の範囲であることが好ましい。
【0050】
また、正極活物質には、組成がLiaNibCocMndO2(但し、モル比a,b,c及びdは0≦a≦1.1、0.1≦b≦0.5、0≦c≦0.9、0.1≦d≦0.5)で表されるリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物を用いることが可能である。
【0051】
使用する正極活物質の種類は、1種類または2種類以上にすることができる。
【0052】
常温溶融塩を含む非水電解質を用いる際には、リチウムリン酸鉄、LixVPO4F(0≦x≦1)、リチウムマンガン複合酸化物、リチウムニッケル複合酸化物、リチウムニッケルコバルト複合酸化物を用いることが、サイクル寿命の観点から好ましい。これは、上記正極活物質と常温溶融塩との反応性が少なくなるためである。
【0053】
正極は、例えば、正極活物質、正極導電剤及び結着剤を適当な溶媒に懸濁し、この懸濁し作製したスラリーを、正極集電体に塗布し、乾燥し、正極活物質含有層を作製した後、プレスを施すことにより作製される。その他、正極活物質、正極導電剤及び結着剤をペレット状に形成し、正極活物質含有層として用いても良い。
【0054】
導電剤としては、例えばアセチレンブラック、カーボンブラック、黒鉛等を挙げることができる。
【0055】
結着剤としては、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、フッ素系ゴム、アクリル系ゴム、アクリル系樹脂などが挙げられる。
【0056】
正極活物質と導電剤と結着剤の配合比は、正極活物質80〜95重量%、導電剤3〜18重量%、結着剤2〜17重量%の範囲にすることが好ましい。
【0057】
正極集電体には、例えば、アルミニウム箔若しくはアルミニウム合金箔のような金属箔を用いることができる。
【0058】
アルミニウム箔およびアルミニウム合金箔の厚さは、20μm以下、より好ましくは15μm以下である。アルミニウム箔の純度は99重量%以上が好ましい。アルミニウム合金としては、マグネシウム、亜鉛、ケイ素、などの元素を含む合金が好ましい。一方、鉄、銅、ニッケル、クロムなどの遷移金属の含有量は1重量%以下にすることが好ましい。
【0059】
正極密度は、3g/cm3以上にすることが望ましい。
【0060】
2)セパレータ
セパレータには多孔質セパレータを用いる。多孔質セパレータとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、セルロース、またはポリフッ化ビニリデン(PVdF)を含む多孔質フィルム、合成樹脂製不織布等を挙げることができる。中でも、ポリエチレンか、あるいはポリプロピレン、または両者からなる多孔質フィルムは、二次電池の安全性を向上できるため、好ましい。
【0061】
3)非水電解質
この非水電解質には、液状非水電解質を使用することができる。
【0062】
液状非水電解質は、例えば、電解質を有機溶媒に溶解することにより調製される。
【0063】
電解質としては、例えば、過塩素酸リチウム(LiClO4)、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)、四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF4)、六フッ化砒素リチウム(LiAsF6)、トリフルオロメタスルホン酸リチウム(LiCF3SO3)、ビストリフルオロメチルスルホニルイミドリチウム[LiN(CF3SO2)2]などのリチウム塩が挙げられる。電解質の種類は1種類または2種類以上にすることができる。
【0064】
電解質は、有機溶媒に対して、0.5〜2.5mol/Lの範囲で溶解させることが好ましい。
【0065】
有機溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ビニレンカーボネート(VC)などの環状カーボネート;ジメチルカーボネート(DMC)、メチルエチルカーボネート(MEC)、ジエチルカーボネート(DEC)などの鎖状カーボネート;テトラヒドロフラン(THF)、2メチルテトラヒドロフラン(2MeTHF)などの環状エーテル;ジメトキシエタン(DME)などの鎖状エーテル;γ−ブチロラクトン(BL)、アセトニトリル(AN)、スルホラン(SL)等を挙げることができる。これらの有機溶媒は、単独または2種以上の混合物の形態で用いることができる。
【0066】
また、液状非水電解質として、リチウムイオンを含有した常温溶融塩を用いることができる。
【0067】
常温溶融塩とは、常温において少なくとも一部が液状を呈する塩をいい、常温とは電源が通常作動すると想定される温度範囲をいう。電源が通常作動すると想定される温度範囲とは、上限が120℃程度、場合によっては60℃程度であり、下限は−40℃程度、場合によっては−20℃程度である。
【0068】
リチウム塩としては、非水電解質電池に一般的に利用されているような、広い電位窓を有するリチウム塩が用いられる。たとえば、LiBF4、LiPF6、LiClO4、LiCF3SO3、LiN(CF3SO2)2,LiN(C2F5SO2),LiN(CF3SC(C2F5SO2))3などを挙げられるが、これらの限定されるものではない。これらは、単独で用いても、2種類以上を混合して用いても良い。
【0069】
リチウム塩の含有量は、0.1〜3mol/Lであること、特に、1〜2mol/Lであることが好ましい。リチウム塩の含有量を0.1mol/L以上にすることによって、電解質の抵抗を小さくすることができるため、大電流・低温放電特性を向上することができる。リチウム塩の含有量を3mol/L以下にすることによって、電解質の融点を低く抑えて常温で液状を保つことが可能となる。
【0070】
常温溶融塩は、たとえば、4級アンモニウム有機物カチオンを有するもの、あるいは、イミダゾリウムカチオンを有するものである。
【0071】
4級アンモニウム有機物カチオンとしては、ジアルキルイミダゾリウム、トリアルキルイミダゾリウム、などのイミダゾリウムイオン、テトラアルキルアンモニウムイオン、アルキルピリジニウムイオン、ピラゾリウムイオン、ピロリジニウムイオン、ピペリジニウムイオンなどが挙げられる。特に、イミダゾリウムカチオンが好ましい。
【0072】
なお、テトラアルキルアンモニウムイオンとしては、トリメチルエチルアンモニウムイオン、トリメチルエチルアンモニウムイオン、トリメチルプロピルアンモニウムイオン、トリメチルヘキシルアンモニウムイオン、テトラペンチルアンモニウムイオン、などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0073】
また、アルキルピリジウムイオンとしては、N−メチルピリジウムイオン、N−エチルピリジニウムイオン、N−プロピルピリジニウムイオン、N−ブチルピリジニウムイオン、1−エチルー2メチルピリジニウムイオン、1−ブチル−4−メチルピリジニウムイオン、1−ブチル−2,4ジメチルピリジニウムイオンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0074】
なお、これらのカチオンを有する常温溶融塩は、単独で用いてもよく、または2種以上混合して用いても良い。
【0075】
イミダゾリウムカチオンとしては、ジアルキルイミダゾリウムイオン、トリアルキルイミダゾリウムイオンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0076】
ジアルキルイミダゾリウムイオンとしては、1,3−ジメチルイミダゾリウムイオン、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムイオン、1−メチル−3−エチルイミダゾリウムイオン、1−メチル−3−ブチルイミダゾリウムイオン、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムイオンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0077】
トリアルキルイミダゾリウムイオンとしては、1,2,3−トリメチルイミダゾリウムイオン、1,2−ジメチル−3−エチルイミダゾリウムイオン、1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウムイオン、1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムイオンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0078】
なお、これらのカチオンを有する常温溶融塩は、単独で用いてもよく、または2種以上を混合して用いても良い。
【0079】
4)外装部材
外装部材としては、板厚0.5mm以下の金属製容器や、板厚0.2mm以下のラミネートフィルム製容器を用いることができる。金属製容器には、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄、ステンレスなどからなる金属缶で角形、円筒形の形状のものが使用できる。金属製容器の板厚は0.2mm以下にすることがより望ましい。
【0080】
ラミネートフィルムには、金属箔が樹脂フィルムで被覆された多層フィルムを使用することができる。樹脂として、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート(PET)などの高分子を用いることができる。金属箔には、アルミニウム箔、アルミニウム合金箔等を使用することができる。
【0081】
アルミニウム合金としては、マグネシウム、亜鉛、ケイ素等の元素を含む合金が好ましい。一方、鉄、銅、ニッケル、クロム等の遷移金属の含有量は1重量%以下にすることが好ましい。これにより、高温環境下での長期信頼性、放熱性を飛躍的に向上させることが可能となる。
【0082】
5)負極端子
負極端子は、リチウムイオン金属に対する電位が0.4V以上3V以下の範囲における電気的安定性と導電性とを備える材料から形成することができる。具体的には、Mg、Ti、Zn、Mn、Fe、Cu、Si等の元素を含むアルミニウム合金、アルミニウムが挙げられる。接触抵抗を低減するために、負極集電体と同様の材料が好ましい。
【0083】
6)正極端子
正極端子は、リチウムイオン金属に対する電位が3V以上5V以下の範囲における電気的安定性と導電性とを備える材料から形成することができる。具体的には、Mg、Ti、Zn、Mn、Fe、Cu、Si等の元素を含むアルミニウム合金、アルミニウムが挙げられる。接触抵抗を低減するために、正極集電体と同様の材料が好ましい。
【0084】
第2の実施形態に係る非水電解質電池は、前述した図1、図2に示す構成のものに限らず、例えば、図4及び図5に示す構成にすることができる。図4は第2の実施形態に係る別の扁平型非水電解質二次電池を模式的に示す部分切欠斜視図で、図5は図4のB部の拡大断面図である。
【0085】
図4に示すように、ラミネートフィルム製の外装部材1内には、積層型電極群2が収納されている。積層型電極群2は、図5に示すように、正極3と負極4とをその間にセパレータ5を介在させながら交互に積層した構造を有する。正極3は複数枚存在し、それぞれが正極集電体3aと、正極集電体3aの両面に担持された正極活物質含有層3bとを備える。負極4は複数枚存在し、それぞれが負極集電体4aと、負極集電体4aの両面に担持された負極活物質含有層4bとを備える。それぞれの負極4の負極集電体4aは、一辺が正極3から突出している。正極3から突出した負極集電体4aは、帯状の負極端子7に電気的に接続されている。帯状の負極端子7の先端は、外装部材1から外部に引き出されている。また、ここでは図示しないが、正極3の正極集電体3aは、負極集電体4aの突出辺と反対側に位置する辺が負極4から突出している。負極4から突出した正極集電体3aは、帯状の正極端子6に電気的に接続されている。帯状の正極端子6の先端は、外装部材1の辺から外部に引き出されている。正極端子6が外装部材1から引き出されている方向は、負極端子7が外装部材1から引き出されている方向と反対向きである。
【0086】
電極群の構造として、前述した図1、図2に示すような捲回構造、前述した図4、5に示す積層構造を挙げたが、これらに限定されるものではない。また、正極と負極を含む電極群が積層構造であって、図6に示されるようにセパレータを九十九に折って使用することも可能である。帯状のセパレータ5は、九十九に折り重ねられている。九十九に折り重なったセパレータ5の最上層に短冊状の負極41が積層されている。セパレータ5同士が重なった部分に上から順番に短冊状の正極31、短冊状の負極42、短冊状の正極32、短冊状の負極43が挿入されている。このように九十九に折り重なったセパレータ5の間に正極3と負極4を交互に配置することによって、積層構造の電極群を得る。
【0087】
以上説明した第2の実施形態の非水電解質電池によれば、第1の実施形態の電極を負極として用いるため、負極のエネルギー密度及び入出力特性を改善することができ、結果としてエネルギー密度が高く、入出力特性に優れた非水電解質電池を実現することができる。
【0088】
(第3の実施形態)
第3の実施形態に係る電池パックは、第2の実施形態に係る非水電解質電池を1または複数有する。第2の実施形態に係る非水電解質電池を単電池とし、単電池を電気的に直列もしくは並列に接続し、組電池を構成することが望ましい。
【0089】
第2の実施形態に係る非水電解質電池は組電池化に適しており、第3の実施形態に係る電池パックは、サイクル特性に優れる。このことについて、説明する。
【0090】
非水電解質の保持性が向上すると、負極活物質表面全体を非水電解質と接触させることが可能となり、負極活物質内のリチウムイオン濃度が均等化し易くなる。その結果、過電圧がかかり難くなる、すなわち、局所的な過充電・過放電が起こり難くなるため、負極活物質の利用率を均等にすることができる。このことによって、電池の容量個体差やインピーダンスの個体差を極めて小さくすることが可能となる。その結果、例えば、直列接続の組電池において、電池容量の個体差にともなう満充電時の電池電圧ばらつきを減少できる。このため、第3の実施形態に係る電池パックは、組電池の制御性に優れ、サイクル特性を向上できる。
【0091】
図7の電池パックにおける単電池21は、例えば、図1に示す扁平型非水電解質電池から構成されているが、特に限定されるものではない。図4に示すような扁平型非水電解質電池を使用しても良い。複数の単電池21は、正極端子6と負極端子7が突出している向きを一つに揃えて積層されている。図8に示すように、単電池21は、直列に接続されて組電池22をなしている。組電池22は、図7に示すように、粘着テープ23によって一体化されている。
【0092】
正極端子6および負極端子7が突出する側面に対しては、プリント配線基板24が配置されている。プリント配線基板24には、図8に示すように、サーミスタ25、保護回路26および外部機器への通電用の端子27が搭載されている。
【0093】
図7及び図8に示すように、組電池22の正極側配線28は、プリント配線基板24の保護回路26の正極側コネクタ29に電気的に接続されている。組電池22の負極側配線30は、プリント配線基板24の保護回路26の負極側コネクタ31に電気的に接続されている。
【0094】
サーミスタ25は、単電池21の温度を検知するためのもので、検知信号は保護回路26に送信される。保護回路26は、所定の条件で保護回路と外部機器への通電用端子との間のプラス側配線31a及びマイナス側配線31bを遮断できる。所定の条件とは、例えば、サーミスタの検出温度が所定温度以上になったとき、単電池21の過充電、過放電、過電流等を検知したとき等である。この検知方法は、個々の単電池21もしくは単電池21全体について行われる。個々の単電池21を検知する場合、電池電圧を検知してもよいし、正極電位もしくは負極電位を検知してもよい。後者の場合、個々の単電池21中に参照極として用いるリチウム電極が挿入される。図8の場合、単電池21それぞれに電圧検知のための配線32を接続し、これら配線32を通して検知信号が保護回路26に送信される。
【0095】
組電池22について、正極端子6および負極端子7が突出する側面以外の三側面には、ゴムもしくは樹脂からなる保護シート33が配置される。正極端子6および負極端子7が突出する側面とプリント配線基板24との間には、ゴムもしくは樹脂からなるブロック状の保護ブロック34が配置される。
【0096】
この組電池22は、各保護シート33、保護ブロック34およびプリント配線基板24と共に収納容器35に収納される。すなわち、収納容器35の長辺方向の両方の内側面と短辺方向の内側面それぞれに保護シート33が配置され、短辺方向の反対側の内側面にプリント配線基板24が配置される。組電池22は、保護シート33及びプリント配線基板24で囲まれた空間内に位置する。収納容器35の上面には、蓋36が取り付けられる。
【0097】
なお、組電池22の固定には、粘着テープ23に代えて、熱収縮テープを用いても良い。この場合、組電池の両側面に保護シートを配置し、熱収縮チューブを周回させた後、該熱収縮チューブを熱収縮させて組電池を結束させる。
【0098】
なお、図7、8に示した単電池21は直列に接続されているが、電池容量を増大させるためには並列に接続しても良い。無論、組み上がった電池パックを直列、並列に接続することもできる。
【0099】
また、電池パックの態様は用途により適宜変更される。
【0100】
第3の実施形態の電池パックの用途としては、大電流特性でのサイクル特性が望まれるものが好ましい。具体的には、デジタルカメラの電源用や、二輪乃至四輪のハイブリッド電気自動車、二輪乃至四輪の電気自動車、アシスト自転車等の車載用が挙げられる。特に、車載用が好適である。
【0101】
なお、非水電解質としてプロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)およびγ−ブチロラクトン(GBL)からなる群のうち、少なくとも2種以上を混合した混合溶媒、あるいはγ−ブチロラクトン(GBL)を含んだ場合、高温特性が望まれる用途が好ましい。具体的には、上述の車載用が挙げられる。
【0102】
以上説明した第3の実施形態の電池パックによれば、第2の実施形態の非水電解質電池を備えるため、エネルギー密度が高く、入出力特性に優れた電池パックを実現することができる。
【実施例】
【0103】
以下、実施例を説明する。
【0104】
(実施例1,2及び比較例1,2)
<負極の作製>
負極活物質として、単独の一次粒子と、一次粒子が凝集した二次粒子とを含み、一次粒子径が1.0μmで、二次粒子径が15μmで、平均Li吸蔵電位が1.6V(vs.Li/Li+)で、N2吸着によるBET法での比表面積が20m2/gのTiO2(B)を用意した。負極活物質の粒径は、レーザー回折式粒度分布測定器(日機装マイクロトラックMT3000)により測定した。
【0105】
この負極活物質と、導電材としてアセチレンブラックと、平均分子量4×105のポリフッ化ビニリデン(PVdF)とを重量比95:2.5:2.5になるようにN−メチルピロリドン(NMP)溶液に加えて混合し、スラリーを調製した。得られたスラリーを、厚さが15μmのアルミニウム箔に塗布し、乾燥した。
【0106】
乾燥後の電極は、水銀圧入法による細孔分布測定ならびに3極式セルによるレート特性測定のために、プレス圧を調整することで、電極密度1.9、2.1、2.3、2.4g/cm3である負極を作製した。
【0107】
負極について、水銀圧入法による細孔径分布を測定した。細孔径分布の測定装置は、島津オートポア9520形を用いた。試料は前記負極を50×50mmサイズに切断して、資料重量を合わせた。水銀圧入法による細孔径分布から、第1のピークでの第1のモード径、第2のピークでの第2のモード径、及び細孔体積を求めた。細孔体積は、負極集電体を除いた負極重量1g当りの細孔体積である(mL/g)。
【0108】
なお、水銀圧入法の解析原理はWashbμrnの式(1)に基づく。
【0109】
D=−4γcosθ/P (1)式
ここで、Pは加える圧力、Dは細孔直径、γは水銀の表面張力(480dyne・cm-1)、は水銀と細孔壁面の接触角で140°である。γ、θは定数であるからWashbμrnの式より、加えた圧力Pと細孔径Dの関係が求められ、そのときの水銀浸入容積を測定することにより、細孔径とその容積分布を導くことができる。測定法・原理等の詳細は、神保元二ら「微粒子ハンドブック」朝倉書店、(1991)、早川宗八郎編:「粉体物性測定法」朝倉書店(1978)などを参照されたい。
【0110】
得られた細孔径分布を図9に示す。図9は、縦軸がLog微分細孔体積(log differential intrusion)(mL/g)、横軸が細孔直径(pore size diameter)(μm)の細孔径分布である。Log微分細孔体積(mL/g)は、負極集電体を除いた負極重量1g当りの値である。実施例1,2及び比較例1,2のいずれも、細孔直径が0.01μm以上0.1μm以下の範囲に第1のピークを有する。実施例1,2については、細孔直径が0.2μmを超え、かつ1μm以下の範囲に第2のピークが存在し、第1のピークのピーク高さは、第2のピークのピーク高さよりも高い。一方、比較例1,2については、第2のピークが現れなかった。実施例1,2及び比較例1,2の第1のモード径、第2のモード径及び細孔体積を下記表1に示す。
【0111】
<レート特性の評価>
レート特性は以下に説明する方法で3極式セルを作製し測定した。
【0112】
負極を2×2cmの大きさに切り出し、作用極とした。作用極と2.0×2.0cmのリチウム金属箔からなる対極とをグラスフィルター(セパレータ)を介して対向させ、作用極と対極とに触れぬようにリチウム金属を参照極として挿入した。これら電極を3極式ガラスセルに入れ、作用極、対極、参照極の夫々をガラスセルの端子に接続し、電解液を25mL注ぎ、セパレータと電極に充分に電解液が含浸された状態にし、ガラス容器を密閉した。作製したガラスセルを25℃の恒温槽内に配置し、充電側は1.0C一定、放電側を0.2、1.0、2.0、3.0、4.0、5.0Cの電流密度で実施し、放電レートを1Cとした際の放電容量を100%として他の放電レートでの放電容量を表し、その結果を表2に示す。なお、電解液の組成は、エチレンカーボネートとジエチルカーボネートを1:2の体積比で混合した溶媒に1mol/Lの六フッ化リン酸リチウム(LiPF6を溶解させたものとした。
【0113】
以上、負極の密度、第一ならびに第二のモード径の結果を表1に、同細孔分布測定のグラフを図9に、3極式セルのレート特性結果を表2にまとめた。また、図10に、実施例1,2及び比較例1,2の放電レートと容量維持率との関係を示す。
【表1】
【0114】
【表2】
【0115】
表1から明らかなように、実施例の電池は、電極密度が上がるにつれ、第2のピークが細孔直径が小さくなる方向にシフトしていくのがわかる。
【0116】
図9から明らかなように、プレス後電極密度が2.1g/cm3までは第2のピークが存在するが、2.3、2.4g/cm3となると第2のピークが消失していることがわかる。これは、二次粒子の解砕(破壊)が進んだことによるものと考えられる。
【0117】
表2と図10にこのときのレート特性を示す。これらから、細孔直径が0.01μm以上0.1μm以下の範囲に第1のピークが現れ、かつ細孔体積が0.1mL/g以上0.3mL/g以下の場合、電極密度が上がるにつれ、レート特性が悪化しているのがわかる。さらに、比較例1(密度2.3g/cm3)と比較例2(2.4g/cm3)ではほとんど差が無いこともわかる。これは上記細孔分布特性の第2のピークと相関がとれている。すなわち、細孔直径が0.01μm以上0.1μm以下の範囲に第1のピークが現れ、かつ細孔体積が0.1mL/g以上0.3mL/g以下の場合、第2のピークが細孔直径が0.2μmより大きく、かつ1μm以下の範囲に存在すると、二次粒子の解砕が少なく、その分レート特性も良い。逆に密度を上げることで二次粒子が解砕し、第2のピークが無くなるほどの領域(ここでは0.2μm以下(比較例1,2))ではレート特性が一段と悪化し、二次粒子がほとんど無くなったことによりレート特性の差も無くなっているのがわかる。
【0118】
なお、レート特性を3極式セルにて評価したが、実施例の負極に、例えば、以下の方法で作成した正極を組み合わせても、同様な結果を得られる。
【0119】
まず、正極活物質としてリチウムコバルト酸化物(LiCoO2)粉末90重量%、アセチレンブラック3重量%、グラファイト3重量%及びポリフッ化ビニリデン(PVdF)4重量%をN−メチルピロリドン(NMP)に加えて混合してスラリーとした。このスラリーを、厚さ15μmのアルミニウム箔からなる集電体の両面に塗布した後、乾燥し、プレスすることにより、電極密度が3.0g/cm3の正極を作製した。
【0120】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0121】
1…外装部材、2…電極群、3…正極、3a…正極集電体、3b…正極活物質含有層、
3c…空隙、4…負極、4a…負極集電体、4b…負極活物質含有層、4c…空隙、5…
セパレータ、6…正極端子、7…負極端子、P1…正極材料、P2…負極材料、21…単電池、22…組電池、23…粘着テープ、24…プリント配線基板、25…サーミスタ、26…保護回路、27…通電用端子、28…正極側配線、29…正極側コネクタ、30…負極側配線、31…負極側コネクタ、31a,31b,32…配線、33…保護ブロック、35…収納容器、36…蓋。
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、電極、非水電解質電池および電池パックに関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン二次電池等の非水電解質電池は、高エネルギー密度電池として、電気自動車、電力蓄電、情報機器など様々な分野に広く普及するに至っている。それに伴い、市場からの要求もさらに増し、盛んに研究が進められている。
【0003】
その中でも、電気自動車用電源に用いられる非水電解質電池は、その用途から、エネルギー密度が高いこと、つまり単位重量あるいは単位体積あたりの放電容量が大きいことが要求される。そして、減速時の運動エネルギーを回生するために、瞬時に大きな電流が電池に入力された場合であっても、効率的に充電が可能であることが要求されている。さらに、始動時、急発進時、急加速時等には、逆に、大きな出力、つまり大電流を瞬時に放電可能であることが要求されている。すなわち、電気自動車用電源としての二次電池には、大容量であることに加え、短時間における入出力特性が良好であることが望まれている。
【0004】
この非水電解質電池の負極活物質としては、炭素系材料が多く用いられてきたが、近年、炭素系材料に比してLi吸蔵放出電位が高いスピネル型チタン酸リチウムが注目されている。このスピネル型チタン酸リチウムは充放電反応に伴う体積変化がないため、サイクル特性に優れ、且つ、炭素系材料を用いた場合と比較して、リチウムデンドライドの発生する可能性が低いことなどから高安全性を有し、また、セラミックスであることから熱暴走を起こしにくいという大きなメリットを有している。
【0005】
その一方で、負極活物質にスピネル型チタン酸リチウムを用いた非水電解質電池では、エネルギー密度が低いという問題点があり、高容量が得られる負極材料が必要とされている。そこで重量あたりの理論容量がスピネル型チタン酸リチウムLi4Ti5O12より大きいTiO2などの酸化チタン化合物について研究が行われている。
【0006】
近年、TiO2の結晶構造のひとつである単斜晶系β型構造を有するチタン酸化物が、高容量な電池材料として有望であることが報告されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第4213688号公報
【特許文献2】特許第4364250号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
実施形態は、入出力特性が改善された電極、非水電解質電池及び電池パックを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
実施形態によれば、集電体と、集電体に形成された活物質含有層とを含む電極が提供される。活物質は、Li吸蔵電位が0.4V(vs.Li/Li+)以上である。水銀圧入法による細孔径分布に、0.01μm以上0.1μm以下のモード径を有する第1のピークと、0.2μmを超え、かつ1μm以下のモード径を有する第2のピークとを有する。水銀圧入法による細孔の体積が電極重量(集電体の重量を除く)1g当り0.1mL以上0.3mL以下である。
【0010】
実施形態によれば、正極と、負極として実施形態に係る電極と、非水電解質と
を含む非水電解質電池が提供される。
【0011】
実施形態によれば、実施形態に係る非水電解質電池を含む電池パックが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】第2の実施形態に係る非水電解質電池を示す断面図である。
【図2】図1のA部の拡大断面図である。
【図3】図2における正極、セパレータ及び負極の境界付近を示す模式図である。
【図4】第2の実施形態の非水電解質電池を模式的に示した部分切欠斜視図である。
【図5】図4のB部の拡大断面図である。
【図6】第2の実施形態の非水電解質電池で使用される電極群を示す斜視図である。
【図7】第3の実施形態に係る電池パックの分解斜視図である。
【図8】図7の電池パックの電気回路を示すブロック図である。
【図9】実施例1,2及び比較例1,2の負極の水銀圧入法による細孔径分布図である。
【図10】実施例1,2及び比較例1,2の非水電解質電池の放電レートと容量維持率との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、実施の形態を通して共通の構成には同一の符号を付すものとし、重複する説明は省略する。また、各図は実施形態の説明とその理解を促すための模式図であり、その形状や寸法、比などは実際の装置と異なる個所があるが、これらは以下の説明と公知の技術を参酌して適宜、設計変更することができる。
【0014】
(第1の実施形態)
第1の実施形態によると、集電体と、集電体に形成された活物質含有層とを含む電極が提供される。活物質含有層は、集電体の片面もしくは両面に形成されることが可能である。活物質含有層に含まれる活物質は、Li吸蔵電位が0.4V(vs.Li/Li+)以上である。水銀圧入法による細孔径分布に、0.01μm以上0.1μm以下のモード径を有する第1のピークと、0.2μmを超え、かつ1μm以下のモード径を有する第2のピークとを有する。水銀圧入法による細孔の体積が、電極の重量(集電体の重量を除く)1g当り0.1mL以上0.3mL以下である。
【0015】
活物質のLi吸蔵電位を前述した範囲に規定する理由を説明する。0.4V(vs.Li/Li+)よりも卑な電位でリチウムイオンを吸蔵する活物質(例えば、黒鉛、リチウム金属など)では、大電流での入出力を繰り返すと電極表面上で金属リチウムが析出し、デンドライド状に成長する。このため、大電流での入出力の際に内部短絡を生じる。Li吸蔵電位が0.4V(vs.Li/Li+)以上の活物質を用いることによって、電極表面上における金属リチウムの析出を抑制することができ、大電流での入出力の際の内部短絡を回避することができる。従って、活物質のLi吸蔵電位は、0.4V(vs.Li/Li+)以上であることが好ましく、上限値としては、3V(vs.Li/Li+)が好ましい。さらに好ましい範囲は、0.4V(vs.Li/Li+)以上2V(vs.Li/Li+)以下である。
【0016】
0.4V(vs.Li/Li+)以上の範囲でリチウムイオンを吸蔵することが可能な活物質は、金属酸化物、金属硫化物、金属窒化物、あるいは合金であることが好ましい。
【0017】
このような金属酸化物としては、例えば、チタン含有金属複合酸化物、例えばSnB0.4P0.6O3.1やSnSiO3などのスズ系酸化物、例えばSiOなどのケイ素系酸化物、例えばWO3などのタングステン系酸化物などが挙げられる。中でも、チタン含有金属複合酸化物が好ましい。
【0018】
チタン含有金属複合酸化物としては、例えば、酸化物合成時はリチウムを含まないチタン系酸化物、リチウムチタン酸化物、リチウムチタン酸化物の構成元素の一部を異種元素で置換したリチウムチタン複合酸化物などを挙げることができる。リチウムチタン酸化物としては、例えば、スピネル構造を有するチタン酸リチウム(例えばLi4+xTi5O12(xは充放電により変化する値で、0≦x≦3))、ラムステライド型のチタン酸リチウム(例えばLi2+yTi3O7(yは充放電により変化する値で、0≦y≦3)などを挙げることができる。
【0019】
チタン系酸化物としては、TiO2、TiとV、Sn、Cu、Ni、Co及びFeよりなる群から選択される少なくとも1種類の元素とを含有する金属複合酸化物などが挙げられる。特に、TiO2の結晶構造のひとつである単斜晶系β型構造を有するチタン複合酸化物が、電池材料として有望である。以下、単斜晶系β型構造を有するチタン複合酸化物のうち単斜晶系β型構造を有するチタン酸化物をTiO2(B)と表記する。単斜晶系β型構造を有するチタン複合酸化物には、TiO2(B)と、TiO2(B)の構成元素の一部を異種元素(例えばLi)で置換したものとが含まれる。
【0020】
TiとV、Sn、Cu、Ni、Co及びFeよりなる群から選択される少なくとも1種類の元素とを含有する金属複合酸化物としては、例えば、TiO2−V2O5、TiO2−P2O5−SnO2、TiO2−P2O5−MeO(MeはCu、Ni、Co及びFeよりなる群から選択される少なくとも1種類の元素)などを挙げることができる。この金属複合酸化物は、結晶相とアモルファス相が共存もしくは、アモルファス相単独で存在したミクロ構造であることが好ましい。このようなミクロ構造であることによりサイクル性能を大幅に向上することができる。
【0021】
金属硫化物としては、例えば、例えばTiS2などのチタン系硫化物、例えばMoS2などのモリブデン系硫化物、例えば、FeS、FeS2、LixFeS2(0≦x≦4)などの鉄系硫化物などが挙げられる。
【0022】
金属窒化物としては、例えば、リチウム系窒化物(例えば、(Li,Me)3N{Meは遷移金属元素})などが挙げられる。
【0023】
上記活物質の中でも、単斜晶系β型構造を有するチタン複合酸化物を含むものが好ましい。単斜晶系β型構造を有するチタン複合酸化物は、繊維状の一次粒子が凝集した二次粒子の形態を有する。単斜晶系β型構造を有するチタン複合酸化物を含む活物質を用いた電極の密度を高くすると、二次粒子の凝集形態が崩壊し、一次粒子間の電気的パスが分断されるため、電池の入出力特性が劣る。単斜晶系β型構造を有するチタン複合酸化物を含む活物質を実施形態に係る電極に用いることにより、二次粒子の形態を保ちつつ、高密度にすることが可能となるため、一次粒子間並びに二次粒子間に電気的パスを緻密に形成することができる。また、高密度でありながら、非水電解質の含浸性に優れている。よって、単斜晶系β型構造を有するチタン複合酸化物が有する高エネルギー密度という特徴が生かされた、高エネルギー密度で入出力特性に優れた非水電解質電池を実現することができる。
【0024】
使用する活物質の種類は、1種類または2種類以上にすることができる。
【0025】
活物質は、一次粒子が凝集した二次粒子を含む形態を有する。実施形態の電極は、活物質中の二次粒子の凝集形態を維持しつつ、密度を高くすることができる。その結果、二次粒子内の導通並びに二次粒子間の導通の双方を良好にすることができる。二次粒子を含む限り、一次粒子のまま存在するものがあっても良い。すなわち、活物質は、単独の一次粒子と、一次粒子が凝集したものからなる二次粒子とを含むことができる。二次粒子と単独の一次粒子を含む活物質は、一次粒子径が0.1μm以上10μm以下で、かつ二次粒子径が1μm以上30μm以下であることが望ましい。一次粒子径及び二次粒子径を前述の範囲にすることにより、非水電解質との反応による活物質の劣化を抑制することができる。一次粒子径のより好ましい範囲は、0.5μm以上3μm以下であり、また、二次粒子径のより好ましい範囲は、10μm以上20μm以下である。
【0026】
活物質の一次粒子径及び二次粒子径は、レーザー回折法によって測定することができる。
【0027】
活物質に単斜晶系β型構造を有するチタン複合酸化物を含むものを用いる場合、単斜晶系β型構造を有するチタン複合酸化物のN2吸着によるBET法での比表面積は1m2/g以上30m2/g以下であることが好ましい。比表面積を1m2/g以上にすることによって、電極反応に寄与する有効面積を大きくすることができるため、高い大電流放電特性を得ることができる。また、比表面積を30m2/g以下にすることによって、負極と非水電解質との反応を抑えることができるため、充放電効率の低下や、貯蔵時のガス発生を抑制することができる。比表面積のより好ましい範囲は、10m2/g以上20m2/g以下である。
【0028】
水銀圧入法による細孔径分布は、縦軸がLog微分細孔体積、横軸が細孔直径であるものである。モード径は、当該細孔径分布のピーク位置での細孔直径を意味する。細孔直径が0.01μm以上0.1μm以下の範囲に現れるピークが第1のピークであり、第1のピークを与える細孔直径が第1のモード径である。細孔直径が0.2μmを超え、かつ1μm以下の範囲に現れるピークが第2のピークであり、第2のピークを与える細孔直径が第2のモード径である。第1のピークのピーク高さは、第2のピークのピーク高さよりも高いことが望ましい。第1のピークは一次粒子間の細孔を、第2のピークは二次粒子間の細孔を表していると考えられる。
【0029】
第1のモード径を0.01μm以上0.1μm以下の範囲にするのは以下の理由によるものである。第1のモード径を0.01μm未満にすると、電極への非水電解質の含浸性に劣るため、電池の入出力特性が低下する。一方、第1のモード径が0.1μmを超えるものは、二次粒子の凝集形態が崩壊し、一次粒子の形態で存在する活物質が多いため、活物質間の導電パスが分断されており、電池の入出力特性が低下する。第1のモード径のより好ましい範囲は、0.03μm以上0.05μm以下である。
【0030】
第2のモード径を0.2μmを超え、かつ1μm以下の範囲にするのは以下の理由によるものである。第1のモード径が0.01μm以上0.1μm以下の範囲にあっても、第2のモード径が0.2μm以下のものは、二次粒子の凝集形態が崩壊しており、一次粒子の形態で存在する活物質が多いため、活物質間の導電パスが分断されており、電池の入出力特性が低下する。第2のモード径を0.2μmよりも大きくすることによって、二次粒子の凝集形態を維持することができるため、活物質間の導通が良好になることが期待できる。しかしながら、第2のモード径が1μmを超えると、活物質含有層中に存在する大きな細孔によって活物質間の導電パスが分断されたり、あるいはその部分に非水電解質が偏在することによって、電池の入出力特性が低下する。第2のモード径のより好ましい範囲は、0.2μmを超え、0.5μm以下である。
【0031】
水銀圧入法による細孔の体積を、電極の重量(集電体の重量を除く)1g当り0.1mL以上0.3mL以下にするのは、以下の理由によるものである。電極の重量(集電体の重量を除く)1g当りの細孔体積を0.1mL未満にすると、第1のピーク及び第2のピークを有していても、電池の入出力特性が低下する。これは、電極の非水電解質保持量が不足するためである。また、電極の重量(集電体の重量を除く)1g当りの細孔体積が0.3mLを超えるものは、電極の密度が低いため、電池のエネルギー密度が低くなる。細孔体積のより好ましい範囲は、0.13mL/g以上0.2mL/g以下である。なお、電極の重量から集電体重量を差し引いた重量を使用するのは、集電体に無孔の基板(例えば金属箔)が使用されており、細孔が存在していない集電体の影響を除外するためである。
【0032】
電極の密度は、1.9g/cm3以上、2.1g/cm3未満にすることが望ましい。電極密度を1.9g/cm3以上にすることにより、電池のエネルギー密度を向上することができる。また、電極密度を2.1g/cm3未満にすることにより、第2のピークを持つ電極を容易に得ることが可能となる。電極密度のより好ましい範囲は、1.8g/cm3以上2.1g/cm3未満である。
【0033】
電極は、例えば、活物質に導電剤と結着剤を適当な溶媒に懸濁し、この懸濁物を集電体に塗布、乾燥、プレスして帯状電極にすることにより作製される。
【0034】
導電剤としては、コークスやカーボンラック、ならびに黒鉛などの炭素系材料が用いられる。炭素系材料の平均粒径は、ガス発生を効果的に抑制するためには、0.1μm以上であることが好ましく、良好な導電ネットワークを構築するために、10μm以下であることが好ましい。同様に、炭素系材料の比表面積は、良好な導電ネットワークを構築するために、10m2/g以上であることが好ましく、ガス発生を効果的に抑制するためには、100m2/g以下であることが好ましい。
【0035】
結着剤としては、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、もしくはアクリル系ゴム、アクリル系樹脂を用いることができる。
【0036】
負極活物質、導電剤及び結着剤の配合比は、負極活物質67〜97.5重量%、導電剤2〜28重量%、結着剤0.5〜5重量%の範囲にすることが好ましい。
【0037】
集電体には、例えば、アルミニウム箔またはアルミニウム合金箔のような金属箔を使用することができる。
【0038】
アルミニウム箔およびアルミニウム合金箔の厚さは、20μm以下、より好ましくは15μm以下である。アルミニウム箔の純度は99重量%以上が好ましい。アルミニウム合金としては、マグネシウム、亜鉛、ケイ素などの元素を含む合金が好ましい。一方、鉄、銅、ニッケル、クロムなどの遷移金属の含有量は1重量%以下にすることが好ましい。
【0039】
第1の実施形態に係る電極によれば、Li吸蔵電位が0.4V(vs.Li/Li+)以上の活物質を含み、水銀圧入法による細孔径分布に、0.01μm以上0.1μm以下のモード径を有する第1のピークと、0.2μmを超え、かつ1μm以下のモード径を有する第2のピークとを有し、水銀圧入法による細孔の体積が電極の重量(集電体の重量を除く)1g当り0.1mL以上0.3mL以下であるため、活物質の粒子形態を維持しつつ、電極の密度を高くすることができる。その結果、活物質粒子間の導通を良好にすることができる。さらに、高密度でありながら、非水電解質含浸性にも優れている。従って、第1の実施形態に係る電極を正極または負極として使用することにより、大電流での入出力特性に優れた非水電解質電池を提供することができる。
【0040】
(第2の実施形態)
第2の実施形態によれば、正極と、負極として第1の実施形態に係る電極と、非水電解質とを含む非水電解質電池を提供することができる。
【0041】
第2の実施形態に係る非水電解質電池の一例について、図1ないし図3を参照して詳細に説明する。図1は、第2の実施形態に係る非水電解質電池の一例である扁平型リチウムイオン二次電池を示す断面図、図2は図1のA部を示す拡大断面図、図3は図1の二次電池における正極活物質含有層、多孔質性のセパレータ及び負極活物質含有層の境界付近を示す模式図である。
【0042】
図1に示すように、例えばフィルムからなる外装部材1内には、電極群2が収納されている。電極群2は、正極3と負極4がセパレータ5を介して偏平形状に捲回された構造を有する。図2に示すように、正極3は、正極集電体3aと、正極集電体3aの少なくとも片面に形成された正極活物質含有層3bとを含む。また、負極4は、負極集電体4aと、負極集電体4aの少なくとも片面に形成された負極活物質含有層4bとを含む。セパレータ5は、正極活物質含有層3bと負極活物質含有層4bの間に介在されている。
【0043】
図3に示すように、正極活物質含有層3b、負極活物質含有層4b及びセパレータ5は、いずれも多孔質である。非水電解質は、例えば、正極活物質含有層3b中の正極材料P1間に位置する空隙3cと、負極活物質含有層4b中の負極材料P2間に位置する空隙4cと、セパレータ5の空隙5aとに保持される。空隙5aに非水電解質を保持したセパレータ5は電解質板として機能する。これら空隙3c,4c,5aには、非水電解質と併せて接着性を有する高分子が保持されていても良い。
【0044】
帯状の正極端子6は、電極群2の正極集電体3aに接続されており、先端が外装部材1の外部に引き出されている。また、帯状の負極端子7は、電極群2の負極集電体4aに接続されており、先端が外装部材1の外部に引き出されている。正極端子6と負極端子7は、外装部材1の同じ辺から引き出されており、正極端子6の引き出し方向と負極端子7の引き出し方向が同一になっている。
【0045】
電極群2の最外層に負極集電体4aを位置させ、この最外層の表面の少なくとも一部を接着部で被覆しても良い。これにより、電極群2を外装部材1に接着することができる。
【0046】
以下、正極、セパレータ、非水電解質及び外装部材について説明する。
【0047】
1)正極
この正極は、正極集電体と、前記正極集電体の片面もしくは両面に担持され、活物質及び結着剤を含む正極活物質含有層とを有する。
【0048】
前記正極活物質には、種々の酸化物、硫化物、ポリマー等を使用することができる。例えば、二酸化マンガン(例えばMnO2)、酸化鉄、酸化銅、酸化ニッケル、リチウムマンガン複合酸化物(例えばLixMn2O4またはLixMnO2)、リチウムニッケル複合酸化物(例えばLixNiO2)、リチウムコバルト複合酸化物(例えばLixCoO2)、リチウムニッケルコバルト複合酸化物(例えばLiNi1-yCoyO2)、リチウムマンガンコバルト複合酸化物(例えばLiMnyCo1-yO2)、スピネル型リチウムマンガンニッケル複合酸化物(例えばLixMn2-yNiyO4)、オリビン構造を有するリチウムリン酸化物(例えばLixFePO4、LixFe1-yMnyPO4、LixCoPO4など)、硫酸鉄(例えばFe2(SO4)3)、バナジウム酸化物(例えばV2O5)などが挙げられる。また、ポリアニリンやポリピロールなどの導電性ポリマー材料、ジスルフィド系ポリマー材料、イオウ(S)、フッ化カーボンなどの有機材料および無機材料も挙げられる。
【0049】
より好ましい二次電池用の正極活物質として、高い電池電圧を得られるものを挙げることができる。例えば、リチウムマンガン複合酸化物(例えばLixMn2O4)、リチウムニッケル複合酸化物(例えばLixNiO2)、リチウムコバルト複合酸化物(例えばLixCoO2)、リチウムニッケルコバルト複合酸化物(例えばLiNi1-yCoyO2)、スピネル型リチウムマンガンニッケル複合酸化物(例えばLixMn2-yNiyO4)、リチウムマンガンコバルト複合酸化物(例えばLiMnyCo1-yO2)、リチウムリン酸鉄(例えばLixFePO4)などが挙げられる。なお、x,yは0〜1の範囲であることが好ましい。
【0050】
また、正極活物質には、組成がLiaNibCocMndO2(但し、モル比a,b,c及びdは0≦a≦1.1、0.1≦b≦0.5、0≦c≦0.9、0.1≦d≦0.5)で表されるリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物を用いることが可能である。
【0051】
使用する正極活物質の種類は、1種類または2種類以上にすることができる。
【0052】
常温溶融塩を含む非水電解質を用いる際には、リチウムリン酸鉄、LixVPO4F(0≦x≦1)、リチウムマンガン複合酸化物、リチウムニッケル複合酸化物、リチウムニッケルコバルト複合酸化物を用いることが、サイクル寿命の観点から好ましい。これは、上記正極活物質と常温溶融塩との反応性が少なくなるためである。
【0053】
正極は、例えば、正極活物質、正極導電剤及び結着剤を適当な溶媒に懸濁し、この懸濁し作製したスラリーを、正極集電体に塗布し、乾燥し、正極活物質含有層を作製した後、プレスを施すことにより作製される。その他、正極活物質、正極導電剤及び結着剤をペレット状に形成し、正極活物質含有層として用いても良い。
【0054】
導電剤としては、例えばアセチレンブラック、カーボンブラック、黒鉛等を挙げることができる。
【0055】
結着剤としては、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、フッ素系ゴム、アクリル系ゴム、アクリル系樹脂などが挙げられる。
【0056】
正極活物質と導電剤と結着剤の配合比は、正極活物質80〜95重量%、導電剤3〜18重量%、結着剤2〜17重量%の範囲にすることが好ましい。
【0057】
正極集電体には、例えば、アルミニウム箔若しくはアルミニウム合金箔のような金属箔を用いることができる。
【0058】
アルミニウム箔およびアルミニウム合金箔の厚さは、20μm以下、より好ましくは15μm以下である。アルミニウム箔の純度は99重量%以上が好ましい。アルミニウム合金としては、マグネシウム、亜鉛、ケイ素、などの元素を含む合金が好ましい。一方、鉄、銅、ニッケル、クロムなどの遷移金属の含有量は1重量%以下にすることが好ましい。
【0059】
正極密度は、3g/cm3以上にすることが望ましい。
【0060】
2)セパレータ
セパレータには多孔質セパレータを用いる。多孔質セパレータとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、セルロース、またはポリフッ化ビニリデン(PVdF)を含む多孔質フィルム、合成樹脂製不織布等を挙げることができる。中でも、ポリエチレンか、あるいはポリプロピレン、または両者からなる多孔質フィルムは、二次電池の安全性を向上できるため、好ましい。
【0061】
3)非水電解質
この非水電解質には、液状非水電解質を使用することができる。
【0062】
液状非水電解質は、例えば、電解質を有機溶媒に溶解することにより調製される。
【0063】
電解質としては、例えば、過塩素酸リチウム(LiClO4)、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)、四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF4)、六フッ化砒素リチウム(LiAsF6)、トリフルオロメタスルホン酸リチウム(LiCF3SO3)、ビストリフルオロメチルスルホニルイミドリチウム[LiN(CF3SO2)2]などのリチウム塩が挙げられる。電解質の種類は1種類または2種類以上にすることができる。
【0064】
電解質は、有機溶媒に対して、0.5〜2.5mol/Lの範囲で溶解させることが好ましい。
【0065】
有機溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ビニレンカーボネート(VC)などの環状カーボネート;ジメチルカーボネート(DMC)、メチルエチルカーボネート(MEC)、ジエチルカーボネート(DEC)などの鎖状カーボネート;テトラヒドロフラン(THF)、2メチルテトラヒドロフラン(2MeTHF)などの環状エーテル;ジメトキシエタン(DME)などの鎖状エーテル;γ−ブチロラクトン(BL)、アセトニトリル(AN)、スルホラン(SL)等を挙げることができる。これらの有機溶媒は、単独または2種以上の混合物の形態で用いることができる。
【0066】
また、液状非水電解質として、リチウムイオンを含有した常温溶融塩を用いることができる。
【0067】
常温溶融塩とは、常温において少なくとも一部が液状を呈する塩をいい、常温とは電源が通常作動すると想定される温度範囲をいう。電源が通常作動すると想定される温度範囲とは、上限が120℃程度、場合によっては60℃程度であり、下限は−40℃程度、場合によっては−20℃程度である。
【0068】
リチウム塩としては、非水電解質電池に一般的に利用されているような、広い電位窓を有するリチウム塩が用いられる。たとえば、LiBF4、LiPF6、LiClO4、LiCF3SO3、LiN(CF3SO2)2,LiN(C2F5SO2),LiN(CF3SC(C2F5SO2))3などを挙げられるが、これらの限定されるものではない。これらは、単独で用いても、2種類以上を混合して用いても良い。
【0069】
リチウム塩の含有量は、0.1〜3mol/Lであること、特に、1〜2mol/Lであることが好ましい。リチウム塩の含有量を0.1mol/L以上にすることによって、電解質の抵抗を小さくすることができるため、大電流・低温放電特性を向上することができる。リチウム塩の含有量を3mol/L以下にすることによって、電解質の融点を低く抑えて常温で液状を保つことが可能となる。
【0070】
常温溶融塩は、たとえば、4級アンモニウム有機物カチオンを有するもの、あるいは、イミダゾリウムカチオンを有するものである。
【0071】
4級アンモニウム有機物カチオンとしては、ジアルキルイミダゾリウム、トリアルキルイミダゾリウム、などのイミダゾリウムイオン、テトラアルキルアンモニウムイオン、アルキルピリジニウムイオン、ピラゾリウムイオン、ピロリジニウムイオン、ピペリジニウムイオンなどが挙げられる。特に、イミダゾリウムカチオンが好ましい。
【0072】
なお、テトラアルキルアンモニウムイオンとしては、トリメチルエチルアンモニウムイオン、トリメチルエチルアンモニウムイオン、トリメチルプロピルアンモニウムイオン、トリメチルヘキシルアンモニウムイオン、テトラペンチルアンモニウムイオン、などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0073】
また、アルキルピリジウムイオンとしては、N−メチルピリジウムイオン、N−エチルピリジニウムイオン、N−プロピルピリジニウムイオン、N−ブチルピリジニウムイオン、1−エチルー2メチルピリジニウムイオン、1−ブチル−4−メチルピリジニウムイオン、1−ブチル−2,4ジメチルピリジニウムイオンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0074】
なお、これらのカチオンを有する常温溶融塩は、単独で用いてもよく、または2種以上混合して用いても良い。
【0075】
イミダゾリウムカチオンとしては、ジアルキルイミダゾリウムイオン、トリアルキルイミダゾリウムイオンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0076】
ジアルキルイミダゾリウムイオンとしては、1,3−ジメチルイミダゾリウムイオン、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムイオン、1−メチル−3−エチルイミダゾリウムイオン、1−メチル−3−ブチルイミダゾリウムイオン、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムイオンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0077】
トリアルキルイミダゾリウムイオンとしては、1,2,3−トリメチルイミダゾリウムイオン、1,2−ジメチル−3−エチルイミダゾリウムイオン、1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウムイオン、1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムイオンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0078】
なお、これらのカチオンを有する常温溶融塩は、単独で用いてもよく、または2種以上を混合して用いても良い。
【0079】
4)外装部材
外装部材としては、板厚0.5mm以下の金属製容器や、板厚0.2mm以下のラミネートフィルム製容器を用いることができる。金属製容器には、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄、ステンレスなどからなる金属缶で角形、円筒形の形状のものが使用できる。金属製容器の板厚は0.2mm以下にすることがより望ましい。
【0080】
ラミネートフィルムには、金属箔が樹脂フィルムで被覆された多層フィルムを使用することができる。樹脂として、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート(PET)などの高分子を用いることができる。金属箔には、アルミニウム箔、アルミニウム合金箔等を使用することができる。
【0081】
アルミニウム合金としては、マグネシウム、亜鉛、ケイ素等の元素を含む合金が好ましい。一方、鉄、銅、ニッケル、クロム等の遷移金属の含有量は1重量%以下にすることが好ましい。これにより、高温環境下での長期信頼性、放熱性を飛躍的に向上させることが可能となる。
【0082】
5)負極端子
負極端子は、リチウムイオン金属に対する電位が0.4V以上3V以下の範囲における電気的安定性と導電性とを備える材料から形成することができる。具体的には、Mg、Ti、Zn、Mn、Fe、Cu、Si等の元素を含むアルミニウム合金、アルミニウムが挙げられる。接触抵抗を低減するために、負極集電体と同様の材料が好ましい。
【0083】
6)正極端子
正極端子は、リチウムイオン金属に対する電位が3V以上5V以下の範囲における電気的安定性と導電性とを備える材料から形成することができる。具体的には、Mg、Ti、Zn、Mn、Fe、Cu、Si等の元素を含むアルミニウム合金、アルミニウムが挙げられる。接触抵抗を低減するために、正極集電体と同様の材料が好ましい。
【0084】
第2の実施形態に係る非水電解質電池は、前述した図1、図2に示す構成のものに限らず、例えば、図4及び図5に示す構成にすることができる。図4は第2の実施形態に係る別の扁平型非水電解質二次電池を模式的に示す部分切欠斜視図で、図5は図4のB部の拡大断面図である。
【0085】
図4に示すように、ラミネートフィルム製の外装部材1内には、積層型電極群2が収納されている。積層型電極群2は、図5に示すように、正極3と負極4とをその間にセパレータ5を介在させながら交互に積層した構造を有する。正極3は複数枚存在し、それぞれが正極集電体3aと、正極集電体3aの両面に担持された正極活物質含有層3bとを備える。負極4は複数枚存在し、それぞれが負極集電体4aと、負極集電体4aの両面に担持された負極活物質含有層4bとを備える。それぞれの負極4の負極集電体4aは、一辺が正極3から突出している。正極3から突出した負極集電体4aは、帯状の負極端子7に電気的に接続されている。帯状の負極端子7の先端は、外装部材1から外部に引き出されている。また、ここでは図示しないが、正極3の正極集電体3aは、負極集電体4aの突出辺と反対側に位置する辺が負極4から突出している。負極4から突出した正極集電体3aは、帯状の正極端子6に電気的に接続されている。帯状の正極端子6の先端は、外装部材1の辺から外部に引き出されている。正極端子6が外装部材1から引き出されている方向は、負極端子7が外装部材1から引き出されている方向と反対向きである。
【0086】
電極群の構造として、前述した図1、図2に示すような捲回構造、前述した図4、5に示す積層構造を挙げたが、これらに限定されるものではない。また、正極と負極を含む電極群が積層構造であって、図6に示されるようにセパレータを九十九に折って使用することも可能である。帯状のセパレータ5は、九十九に折り重ねられている。九十九に折り重なったセパレータ5の最上層に短冊状の負極41が積層されている。セパレータ5同士が重なった部分に上から順番に短冊状の正極31、短冊状の負極42、短冊状の正極32、短冊状の負極43が挿入されている。このように九十九に折り重なったセパレータ5の間に正極3と負極4を交互に配置することによって、積層構造の電極群を得る。
【0087】
以上説明した第2の実施形態の非水電解質電池によれば、第1の実施形態の電極を負極として用いるため、負極のエネルギー密度及び入出力特性を改善することができ、結果としてエネルギー密度が高く、入出力特性に優れた非水電解質電池を実現することができる。
【0088】
(第3の実施形態)
第3の実施形態に係る電池パックは、第2の実施形態に係る非水電解質電池を1または複数有する。第2の実施形態に係る非水電解質電池を単電池とし、単電池を電気的に直列もしくは並列に接続し、組電池を構成することが望ましい。
【0089】
第2の実施形態に係る非水電解質電池は組電池化に適しており、第3の実施形態に係る電池パックは、サイクル特性に優れる。このことについて、説明する。
【0090】
非水電解質の保持性が向上すると、負極活物質表面全体を非水電解質と接触させることが可能となり、負極活物質内のリチウムイオン濃度が均等化し易くなる。その結果、過電圧がかかり難くなる、すなわち、局所的な過充電・過放電が起こり難くなるため、負極活物質の利用率を均等にすることができる。このことによって、電池の容量個体差やインピーダンスの個体差を極めて小さくすることが可能となる。その結果、例えば、直列接続の組電池において、電池容量の個体差にともなう満充電時の電池電圧ばらつきを減少できる。このため、第3の実施形態に係る電池パックは、組電池の制御性に優れ、サイクル特性を向上できる。
【0091】
図7の電池パックにおける単電池21は、例えば、図1に示す扁平型非水電解質電池から構成されているが、特に限定されるものではない。図4に示すような扁平型非水電解質電池を使用しても良い。複数の単電池21は、正極端子6と負極端子7が突出している向きを一つに揃えて積層されている。図8に示すように、単電池21は、直列に接続されて組電池22をなしている。組電池22は、図7に示すように、粘着テープ23によって一体化されている。
【0092】
正極端子6および負極端子7が突出する側面に対しては、プリント配線基板24が配置されている。プリント配線基板24には、図8に示すように、サーミスタ25、保護回路26および外部機器への通電用の端子27が搭載されている。
【0093】
図7及び図8に示すように、組電池22の正極側配線28は、プリント配線基板24の保護回路26の正極側コネクタ29に電気的に接続されている。組電池22の負極側配線30は、プリント配線基板24の保護回路26の負極側コネクタ31に電気的に接続されている。
【0094】
サーミスタ25は、単電池21の温度を検知するためのもので、検知信号は保護回路26に送信される。保護回路26は、所定の条件で保護回路と外部機器への通電用端子との間のプラス側配線31a及びマイナス側配線31bを遮断できる。所定の条件とは、例えば、サーミスタの検出温度が所定温度以上になったとき、単電池21の過充電、過放電、過電流等を検知したとき等である。この検知方法は、個々の単電池21もしくは単電池21全体について行われる。個々の単電池21を検知する場合、電池電圧を検知してもよいし、正極電位もしくは負極電位を検知してもよい。後者の場合、個々の単電池21中に参照極として用いるリチウム電極が挿入される。図8の場合、単電池21それぞれに電圧検知のための配線32を接続し、これら配線32を通して検知信号が保護回路26に送信される。
【0095】
組電池22について、正極端子6および負極端子7が突出する側面以外の三側面には、ゴムもしくは樹脂からなる保護シート33が配置される。正極端子6および負極端子7が突出する側面とプリント配線基板24との間には、ゴムもしくは樹脂からなるブロック状の保護ブロック34が配置される。
【0096】
この組電池22は、各保護シート33、保護ブロック34およびプリント配線基板24と共に収納容器35に収納される。すなわち、収納容器35の長辺方向の両方の内側面と短辺方向の内側面それぞれに保護シート33が配置され、短辺方向の反対側の内側面にプリント配線基板24が配置される。組電池22は、保護シート33及びプリント配線基板24で囲まれた空間内に位置する。収納容器35の上面には、蓋36が取り付けられる。
【0097】
なお、組電池22の固定には、粘着テープ23に代えて、熱収縮テープを用いても良い。この場合、組電池の両側面に保護シートを配置し、熱収縮チューブを周回させた後、該熱収縮チューブを熱収縮させて組電池を結束させる。
【0098】
なお、図7、8に示した単電池21は直列に接続されているが、電池容量を増大させるためには並列に接続しても良い。無論、組み上がった電池パックを直列、並列に接続することもできる。
【0099】
また、電池パックの態様は用途により適宜変更される。
【0100】
第3の実施形態の電池パックの用途としては、大電流特性でのサイクル特性が望まれるものが好ましい。具体的には、デジタルカメラの電源用や、二輪乃至四輪のハイブリッド電気自動車、二輪乃至四輪の電気自動車、アシスト自転車等の車載用が挙げられる。特に、車載用が好適である。
【0101】
なお、非水電解質としてプロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)およびγ−ブチロラクトン(GBL)からなる群のうち、少なくとも2種以上を混合した混合溶媒、あるいはγ−ブチロラクトン(GBL)を含んだ場合、高温特性が望まれる用途が好ましい。具体的には、上述の車載用が挙げられる。
【0102】
以上説明した第3の実施形態の電池パックによれば、第2の実施形態の非水電解質電池を備えるため、エネルギー密度が高く、入出力特性に優れた電池パックを実現することができる。
【実施例】
【0103】
以下、実施例を説明する。
【0104】
(実施例1,2及び比較例1,2)
<負極の作製>
負極活物質として、単独の一次粒子と、一次粒子が凝集した二次粒子とを含み、一次粒子径が1.0μmで、二次粒子径が15μmで、平均Li吸蔵電位が1.6V(vs.Li/Li+)で、N2吸着によるBET法での比表面積が20m2/gのTiO2(B)を用意した。負極活物質の粒径は、レーザー回折式粒度分布測定器(日機装マイクロトラックMT3000)により測定した。
【0105】
この負極活物質と、導電材としてアセチレンブラックと、平均分子量4×105のポリフッ化ビニリデン(PVdF)とを重量比95:2.5:2.5になるようにN−メチルピロリドン(NMP)溶液に加えて混合し、スラリーを調製した。得られたスラリーを、厚さが15μmのアルミニウム箔に塗布し、乾燥した。
【0106】
乾燥後の電極は、水銀圧入法による細孔分布測定ならびに3極式セルによるレート特性測定のために、プレス圧を調整することで、電極密度1.9、2.1、2.3、2.4g/cm3である負極を作製した。
【0107】
負極について、水銀圧入法による細孔径分布を測定した。細孔径分布の測定装置は、島津オートポア9520形を用いた。試料は前記負極を50×50mmサイズに切断して、資料重量を合わせた。水銀圧入法による細孔径分布から、第1のピークでの第1のモード径、第2のピークでの第2のモード径、及び細孔体積を求めた。細孔体積は、負極集電体を除いた負極重量1g当りの細孔体積である(mL/g)。
【0108】
なお、水銀圧入法の解析原理はWashbμrnの式(1)に基づく。
【0109】
D=−4γcosθ/P (1)式
ここで、Pは加える圧力、Dは細孔直径、γは水銀の表面張力(480dyne・cm-1)、は水銀と細孔壁面の接触角で140°である。γ、θは定数であるからWashbμrnの式より、加えた圧力Pと細孔径Dの関係が求められ、そのときの水銀浸入容積を測定することにより、細孔径とその容積分布を導くことができる。測定法・原理等の詳細は、神保元二ら「微粒子ハンドブック」朝倉書店、(1991)、早川宗八郎編:「粉体物性測定法」朝倉書店(1978)などを参照されたい。
【0110】
得られた細孔径分布を図9に示す。図9は、縦軸がLog微分細孔体積(log differential intrusion)(mL/g)、横軸が細孔直径(pore size diameter)(μm)の細孔径分布である。Log微分細孔体積(mL/g)は、負極集電体を除いた負極重量1g当りの値である。実施例1,2及び比較例1,2のいずれも、細孔直径が0.01μm以上0.1μm以下の範囲に第1のピークを有する。実施例1,2については、細孔直径が0.2μmを超え、かつ1μm以下の範囲に第2のピークが存在し、第1のピークのピーク高さは、第2のピークのピーク高さよりも高い。一方、比較例1,2については、第2のピークが現れなかった。実施例1,2及び比較例1,2の第1のモード径、第2のモード径及び細孔体積を下記表1に示す。
【0111】
<レート特性の評価>
レート特性は以下に説明する方法で3極式セルを作製し測定した。
【0112】
負極を2×2cmの大きさに切り出し、作用極とした。作用極と2.0×2.0cmのリチウム金属箔からなる対極とをグラスフィルター(セパレータ)を介して対向させ、作用極と対極とに触れぬようにリチウム金属を参照極として挿入した。これら電極を3極式ガラスセルに入れ、作用極、対極、参照極の夫々をガラスセルの端子に接続し、電解液を25mL注ぎ、セパレータと電極に充分に電解液が含浸された状態にし、ガラス容器を密閉した。作製したガラスセルを25℃の恒温槽内に配置し、充電側は1.0C一定、放電側を0.2、1.0、2.0、3.0、4.0、5.0Cの電流密度で実施し、放電レートを1Cとした際の放電容量を100%として他の放電レートでの放電容量を表し、その結果を表2に示す。なお、電解液の組成は、エチレンカーボネートとジエチルカーボネートを1:2の体積比で混合した溶媒に1mol/Lの六フッ化リン酸リチウム(LiPF6を溶解させたものとした。
【0113】
以上、負極の密度、第一ならびに第二のモード径の結果を表1に、同細孔分布測定のグラフを図9に、3極式セルのレート特性結果を表2にまとめた。また、図10に、実施例1,2及び比較例1,2の放電レートと容量維持率との関係を示す。
【表1】
【0114】
【表2】
【0115】
表1から明らかなように、実施例の電池は、電極密度が上がるにつれ、第2のピークが細孔直径が小さくなる方向にシフトしていくのがわかる。
【0116】
図9から明らかなように、プレス後電極密度が2.1g/cm3までは第2のピークが存在するが、2.3、2.4g/cm3となると第2のピークが消失していることがわかる。これは、二次粒子の解砕(破壊)が進んだことによるものと考えられる。
【0117】
表2と図10にこのときのレート特性を示す。これらから、細孔直径が0.01μm以上0.1μm以下の範囲に第1のピークが現れ、かつ細孔体積が0.1mL/g以上0.3mL/g以下の場合、電極密度が上がるにつれ、レート特性が悪化しているのがわかる。さらに、比較例1(密度2.3g/cm3)と比較例2(2.4g/cm3)ではほとんど差が無いこともわかる。これは上記細孔分布特性の第2のピークと相関がとれている。すなわち、細孔直径が0.01μm以上0.1μm以下の範囲に第1のピークが現れ、かつ細孔体積が0.1mL/g以上0.3mL/g以下の場合、第2のピークが細孔直径が0.2μmより大きく、かつ1μm以下の範囲に存在すると、二次粒子の解砕が少なく、その分レート特性も良い。逆に密度を上げることで二次粒子が解砕し、第2のピークが無くなるほどの領域(ここでは0.2μm以下(比較例1,2))ではレート特性が一段と悪化し、二次粒子がほとんど無くなったことによりレート特性の差も無くなっているのがわかる。
【0118】
なお、レート特性を3極式セルにて評価したが、実施例の負極に、例えば、以下の方法で作成した正極を組み合わせても、同様な結果を得られる。
【0119】
まず、正極活物質としてリチウムコバルト酸化物(LiCoO2)粉末90重量%、アセチレンブラック3重量%、グラファイト3重量%及びポリフッ化ビニリデン(PVdF)4重量%をN−メチルピロリドン(NMP)に加えて混合してスラリーとした。このスラリーを、厚さ15μmのアルミニウム箔からなる集電体の両面に塗布した後、乾燥し、プレスすることにより、電極密度が3.0g/cm3の正極を作製した。
【0120】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0121】
1…外装部材、2…電極群、3…正極、3a…正極集電体、3b…正極活物質含有層、
3c…空隙、4…負極、4a…負極集電体、4b…負極活物質含有層、4c…空隙、5…
セパレータ、6…正極端子、7…負極端子、P1…正極材料、P2…負極材料、21…単電池、22…組電池、23…粘着テープ、24…プリント配線基板、25…サーミスタ、26…保護回路、27…通電用端子、28…正極側配線、29…正極側コネクタ、30…負極側配線、31…負極側コネクタ、31a,31b,32…配線、33…保護ブロック、35…収納容器、36…蓋。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
集電体と、前記集電体に形成された活物質含有層とを含む電極であって、
前記活物質含有層の前記活物質は、Li吸蔵電位が0.4V(vs.Li/Li+)以上であり、
水銀圧入法による細孔径分布に、0.01μm以上0.1μm以下のモード径を有する第1のピークと、0.2μmを超え、かつ1μm以下のモード径を有する第2のピークとを有し、
水銀圧入法による細孔の体積が前記電極の重量(前記集電体の重量を除く)1g当り0.1mL以上0.3mL以下であることを特徴とする電極。
【請求項2】
前記活物質は、単斜晶系β型構造を有するチタン複合酸化物を含むことを特徴とする請求項1記載の電極。
【請求項3】
前記単斜晶系β型構造を有するチタン複合酸化物のBET法による比表面積は1m2/g以上30m2/g以下であることを特徴とする請求項2記載の電極。
【請求項4】
前記電極の密度は1.9g/cm3以上2.1g/cm3未満であること特徴とする請求項1〜3いずれか1項記載の電極。
【請求項5】
正極と、
負極として請求項1〜4いずれか1項記載の電極と、
非水電解質と
を含むことを特徴とする非水電解質電池。
【請求項6】
請求項5記載の非水電解質電池を含むことを特徴とする電池パック。
【請求項1】
集電体と、前記集電体に形成された活物質含有層とを含む電極であって、
前記活物質含有層の前記活物質は、Li吸蔵電位が0.4V(vs.Li/Li+)以上であり、
水銀圧入法による細孔径分布に、0.01μm以上0.1μm以下のモード径を有する第1のピークと、0.2μmを超え、かつ1μm以下のモード径を有する第2のピークとを有し、
水銀圧入法による細孔の体積が前記電極の重量(前記集電体の重量を除く)1g当り0.1mL以上0.3mL以下であることを特徴とする電極。
【請求項2】
前記活物質は、単斜晶系β型構造を有するチタン複合酸化物を含むことを特徴とする請求項1記載の電極。
【請求項3】
前記単斜晶系β型構造を有するチタン複合酸化物のBET法による比表面積は1m2/g以上30m2/g以下であることを特徴とする請求項2記載の電極。
【請求項4】
前記電極の密度は1.9g/cm3以上2.1g/cm3未満であること特徴とする請求項1〜3いずれか1項記載の電極。
【請求項5】
正極と、
負極として請求項1〜4いずれか1項記載の電極と、
非水電解質と
を含むことを特徴とする非水電解質電池。
【請求項6】
請求項5記載の非水電解質電池を含むことを特徴とする電池パック。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2013−105704(P2013−105704A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−250549(P2011−250549)
【出願日】平成23年11月16日(2011.11.16)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月16日(2011.11.16)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
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