説明

電極カテーテル

【課題】
先端電極の位置操作性に優れた電極カテーテルを提供する。
【解決手段】
チューブ110先端に電極116、118を備えた電極カテーテル1であって、チューブ110の根元側に接続固定される操作部120と、チューブ110先端にまで達するルーメン113と、このルーメン113に挿入することによりチューブ110の形状を変形させる程度の強度を有した所定カーブ形状のスタイレット150と、を備え、スタイレット150をルーメン113に挿入した状態で、スタイレット150の根元部をチューブ110に対して軸回転方向に固定する根元部固定機構と、スタイレット150の先端とチューブ110の先端を軸回転方向に固定する先端部固定機構を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カテーテルの技術分野に関し、特に先端に電極を備え、不整脈の検査に利用される検査用電極カテーテル並びに不整脈の治療に利用されるアブレーション電極カテーテル等の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
不整脈などの検査に利用される検査用電極カテーテルまたは不整脈の治療(例えば焼灼による治療)に利用される治療用電極カテーテルは、電位を測定しようとする部位や治療しようとする部位に電極を正確に位置させる必要がある。その目的を達成するために様々な種類の電極カテーテルが発明されている。
【0003】
例えば特許文献1においては、先端に電極を備えたチューブの中に形状記憶可能な超弾性線材を曲り規制体で覆った状態で挿入し、この曲り規制体を進退動させることによってチューブ先端を曲げたり伸ばしたりすることが可能な電極カテーテルが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−191571号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
確かに特許文献1の電極カテーテルの場合、曲り規制体を進退動させることによって、チューブ先端の形状を特定の方向・形状に屈曲させることが可能である。しかしながら、この種の電極カテーテルは、先端を屈曲させるのみならず、先端を屈曲させた状態でカテーテル全体を回転させることによって、チューブ先端(即ち電極部分)を360°周方向に回動させるような操作を行いたい場合がある。まさにその時、特許文献1の電極カテーテルにおいては以下のような問題がある。
【0006】
即ち、電極を備えたチューブの中に曲り規制体が挿入されているに過ぎないので、カテーテル全体を(例えばチューブ根元が固定される操作部を持って)回転させたとしても、その回転トルクがチューブ側のみに伝わって所謂「空回り」現象が発生し、チューブ先端の方向を正確に位置決めできないという問題がある。特に心臓カテーテルの場合、チューブが細く(例えば直径2mm)、且つ、電極が備わる先端から操作部までの距離が長い(例えば1100mm)ため、回転トルクがチューブに吸収されてしまいチューブ先端の周方向の位置決め操作が困難であった。
【0007】
本発明は、上記問題点を解消することをその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するべく、本願発明は、チューブ先端に電極を備えた電極カテーテルであって、前記チューブの根元側に接続固定される操作部と、前記チューブ先端にまで達するルーメンと、当該ルーメンに挿入することにより前記チューブの形状を変形させる程度の強度を有した所定カーブ形状のスタイレットと、を備え、当該スタイレットを前記ルーメンに挿入した状態で、当該スタイレットの根元部を前記チューブに対して軸回転方向に固定する根元部固定機構が備わることを特徴とする。
【0009】
このような構成を採用したことによって、例えば操作部を把持してカテーテル全体を回転させた場合でも、チューブとスタイレットの根元部が軸回転方向に固定されているので、所謂「空回り現象」を防止することができる。特にスタイレットは、チューブの形状を変形させる程の強度を有した、例えば金属製の部材であるため、根元部を軸回転方向に固定しておくことによってスタイレットを介して回転トルクがチューブ先端側に効率よく伝達されることとなる。即ち、カテーテル全体を回転させた場合、それに連動して所定カーブに屈曲したチューブ先端を、意図する周方向に正確に位置決めすることが可能となる。
【0010】
また、更に、前記スタイレットの先端若しくはその近傍と前記チューブの先端若しくはその近傍を軸回転方向に固定する先端部固定機構を備えるように構成してもよい。
【0011】
そのように構成すれば、根元部での固定に加えて先端部(若しくはその近傍)でもスタイレットとチューブとが軸回転方向に固定されているので、より正確なチューブ先端の周方向の位置決め操作が可能となる。即ち、根元部だけ固定している場合、根元部と距離的に最も離れる先端付近においてはスタイレットとチューブの回転が必ずしも一致せず、程度の低い「空回り現象」が発生する可能性がある。そうなってしまうとチューブ先端の周方向位置が意図した通りの位置とならなくなってしまう。しかし根元部に加えて先端部(若しくはその近傍)においても軸回転方向に固定されていれば、スタイレットを介して先端側に伝達された回転トルクがそのままチューブ側にも伝達されるので、根元側の操作量(回転量)によりリニアに反応し、意図した通りのチューブ先端の位置決めが容易となる。
【0012】
また、前記チューブは、先端に配置される先端電極に加えて当該先端電極近傍に配置される非先端電極を備え、前記先端部固定機構は、前記スタイレットの先端と前記先端電極が嵌合することにより実現されるように構成することが望ましい。
【0013】
このような構成を採用することによって、簡易な構造で確実にスタイレット先端とチューブ先端を軸回転方向に固定することができる。更に、可能な限り先端に近い位置でスタイレットとチューブとを軸回転方向に固定することができるので、根元側の操作量(回転量)に対してチューブ先端の周方向位置を最も正確に位置決めすることが可能となる。具体的な構造としては種々のものが考えられるが、例えば先端電極の裏面に六角形状の凹部を形成しておき、一方スタイレットの先端をこの凹部に嵌合する六角形状に成形しておけば、この雄雌嵌合によってスタイレットと電極を(電極はチューブに固定されているので結果的にスタイレットとチューブを)軸回転方向に固定することが可能となる。もちろん六角形状に限らず、その他多角形状、楕円形、Dカットなど雄雌嵌合により回転トルクを伝達できる限りどのような形状で嵌合していてもよい。
【0014】
また、前記チューブは、先端に配置される先端電極に加えて当該先端電極近傍に配置される非先端電極を備え、前記先端部固定機構は、前記スタイレットの先端と前記非先端電極が嵌合することにより実現されるように構成してもよい。
【0015】
このように構成すれば、嵌合する非先端電極の位置において、精度の良い周方向の位置決めが可能となる。
【0016】
また、前記ルーメンが、根元から先端に至るまで前記チューブの中心を通る構成とすることが望ましい。
【0017】
このように構成すれば、チューブの軸心とスタイレットの軸心が一致するので、回転操作を最も安定的且つ正確に行うことができる。即ち、両者の軸心が一致していないと、一方が他方に対して偏心揺動することとなるので、先端位置を意図した通りの位置に操作できない場合がある。しかし軸心を一致させることによってそのような不都合を排除することができる。
【0018】
また、前記スタイレットは、形状記憶合金で構成することが望ましい。
【0019】
このようにすれば、根元の回転トルクを十分に伝達できる強度を材料的に確保できることに加え、スタイレットを繰り返し使用してカーブ形状が変形してしまった場合でも当初のカーブ形状に容易に戻すことが可能となる。
【0020】
また、前記スタイレットを、全長が統一され且つ異なるカーブ形状に成形された複数のスタイレットセットとして構成することが望ましい。
【0021】
このように構成すれば、検査や治療を行いたい部位に応じて最適なカーブ形状のスタイレットを使用することで、単一の電極カテーテルを恰も複数本の電極カテーテルとして利用することができる。即ち、単一のカテーテルを体内に留置したままスタイレットの出し入れによってカーブ形状を変更することができるので、カテーテル全体を異なるカーブ形状のものに取り換える場合と比べて操作が極めて容易となり、結果、短時間でカーブ形状を変更することができ、患者の負担を軽減することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明を適用することで、先端電極の位置操作性に優れた電極カテーテルを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に係る電極カテーテルの全体概略構成図である。
【図2】A−A線に沿う断面図であって、(a)がスタイレットを挿入していない状態での断面図、(b)がスタイレットを挿入している状態での断面図である。
【図3】(a)が先端電極の側面図、(b)が先端電極の背面図、(c)が先端電極の同断面図である。
【図4】スタイレット導入口とスタイレットグリップの拡大図である。
【図5】スタイレットのスタイレット先端拡大図である。
【図6】スタイレットを挿入した状態での先端電極周辺一部断面図である。
【図7】スタイレットのバリエーションを示した図である。
【図8】非先端電極の一つの実施例を示した図であって、(a)が正面図、(b)が断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の実施形態の一例である電極カテーテルについて説明を加える。なお、図面理解容易の為、各部の大きさや寸法を誇張して表現している部分があり、実際の製品と必ずしも一致しない部分があることを付記しておく。また各図面は符号の向きに見るものとし、当該向きを基本に上下左右、手前、奥と表現する。
【0025】
〈電極カテーテルの構成〉
図1に示しているように、本発明に係る電極カテーテル1は、カテーテル本体100とスタイレット150を備えた構成とされている。
【0026】
カテーテル本体100は、先端に電極116、118を備えたチューブ110と、当該チューブ100の根元部に固定された操作部120を備える。チューブ110は根元から先端まで貫通するルーメン(内腔)113を有している(図2(a)を参照)。操作部120には、スタイレット150を挿入するためのスタイレット導入口122と、電極116、118からの電気信号を取り出すための電気信号取出部130が備わっている。電気信号取出部130の中には電極コネクタ132が設けられていて、当該電極コネクタ132を介して外部装置(図示していない)と電極116、118との間で電気信号の受け渡しが行われる。
操作部120の内部は、チューブ110に形成されたルーメン113と連通する態様で、スタイレット通路126が設けられている。このスタイレット通路126はスタイレット導入口122を通って外部に開放されている。またスタイレット導入口122の端部にはネジ溝124aが形成された二条ネジ124備わっている。
【0027】
チューブ110は二重構造とされており、外皮111とその内側に内皮112を備える。内皮112の内側は中空とされたルーメン113である。このルーメン113は、チューブ110の中心に設けられている。また内皮112の中には電極116、118と電気的に接続される電極線114が配置されている。なおここでは電極線が等間隔に8本配置されているが、電極116、118の数に応じてその数は増減し得る。また必ずしも等間隔に配置されていなくともよく、纏めて一箇所に配置されていてもよい。このチューブ110の材質は特に限定されないが、医学的に許容される範囲の材質であって、スタイレット150に比べて柔軟性に富む材質で構成されている。
【0028】
チューブ110の先端には先端電極116が装着されると共に、所定の間隔を空けてリング電極(非先端電極)118が4つ装着されている。これら電極116、118はいずれも電極線114を介して電極コネクタ132まで電気的に接続されている。またこれら電極116、118はいずれもその素材としてプラチナ(Pt)が採用されている。
【0029】
また、図3に示しているように、先端電極116は、先端が半球状に形成された露出部116aと当該露出部116aから繋がる結合部116bとを有してなる。結合部116bはチューブ110のルーメン113に嵌入されて接着剤等で接着固定される。また、結合部116bの中程には、全周にわたって返し部116cが形成されていて、差込結合したチューブ110が抜け落ちることを防止している。また、先端電極116には、露出部116aの途中から結合部116b側に向かって開放するように凹部116dが形成されている。この凹部116dは、先端電極116背面側から見ると正六角形状を呈するように構成されている(図3(b)を参照)。またこの凹部116dは、先端電極116をチューブ110に取り付けた状態で、チューブ110のルーメン113と連通している。
【0030】
スタイレット150は、特に先端近傍が所定のカーブ形状に形状記憶された形状記憶合金(例えばニッケル−チタン系合金)で構成された挿入部152と、当該挿入部152の根元に樹脂で略円柱形状に成形されたスタイレットグリップ154が固定されて構成されている。よってこのスタイレットグリップ154を把持して当該グリップ154をクルクル回すと、接続されている挿入部152もその回転に連動して回転する。また、挿入部152は、ルーメン113に挿入することによりチューブ110の形状を変形させる程度の強度を有するように構成されている。また、スタイレットグリップ154の挿入部152接続側には、操作部120に備わる二条ネジ124と螺合することができるネジ山154aが形成されている(図4を参照)。これにより、スタイレット150の挿入部152をスタイレット導入口122を介してルーメン113の奥まで挿入した状態で、操作部120側の二条ネジ124にスタイレットグリップ154のネジ山154aを螺合して締付けると、スタイレット150の根元部とチューブ110とが軸回転方向に固定されることとなる(根元部固定機構)。
【0031】
また、スタイレット150の挿入部152の挿入部先端152aは、図5に示すような構成とされている。即ち、挿入部先端152aのみが断面六角形状の所謂「六角柱」形状に成形されている(その他の部分は断面が円形)。その結果、スタイレット150をルーメン113の奥まで挿入すると、挿入部先端152aが先端電極116の背面側に成形される凹部116dに嵌合する(図6を参照)。両者はいずれも六角形状に成形さえされているので、軸回転方向に固定されることとなる(先端部固定機構)。即ち、スタイレット150側の回転トルクを先端電極116を介してチューブ110側に伝達することが可能な構成とされている。またスタイレット150の挿入部154は、図示していないが少なくともその先端及びその近傍は絶縁性のコーティングが施されており、先端電極116に接触した場合でも電気的に独立した状態を保てるように構成されている。
【0032】
なお、スタイレットは図7に示しているように、検査若しくは治療したい部位に応じたカーブ形状に成形された(形状記憶された)複数種類のスタイレットセット150、250、350、450として備わっている。ここで各スタイレット150、250、350、450はカーブ形状こそ異なるものの、全長は全て同じ長さに構成され、いずれのスタイレット150、250、350、450をルーメン113に挿入しても、丁度その先端が先端電極116の凹部116dに嵌合でき且つスタイレットグリップ154、254、354、454を二条ネジ124に螺合できるよう構成されている。
【0033】
〈電極カテーテルの作用・機能〉
電極カテーテル本体100を体内に挿入する手順自体は周知の方法と特に変わるところがないのでここでの説明は省略する。
【0034】
カテーテル本体100を体内に挿入し終えたら、検査若しくは治療したい部位に合わせて最適カーブ径のスタイレット150(若しくはその他のスタイレット250、350、450)を選択してルーメン113に挿入する。これによりチューブ110の形状がスタイレット150の形状に沿うように変形する。スタイレット150をルーメン113の奥まで挿入すると、挿入部先端154aが先端電極116の凹部116dに嵌合する。そしてスタイレットグリップ154を操作部120側の二条ネジ124に螺合させて固定する。これによりチューブ110とスタイレット154が根元部側と先端側の両方で軸回転方向に固定されることとなる。
【0035】
医師などの施術者は、この状態で操作部120を所望の方向に回転させながら、先端電極116が意図する方向へ向くように操作して検査や治療を行う。なお当然ではあるが、X線等の可視化手段によって、患者の体内での電極116、118を位置を視覚的に捉える手段を併用して操作は行われている。
【0036】
本願発明を適用した電極カテーテル1においては、スタイレット150をルーメン113に挿入した状態で、スタイレット150の根元部を110チューブに対して軸回転方向に固定する根元部固定機構が備わっている。これにより、チューブ110とスタイレット150との所謂「空回り現象」を防止することができる。特にスタイレット150は、チューブ110の形状を変形させる程の強度を有した、形状記憶合金製の部材であるため、根元部を軸回転方向に固定しておくことによってスタイレット150を介して回転トルクがチューブ110先端側に効率よく伝達されることとなる。即ち、カテーテル1全体を回転させた場合、それに連動して所定カーブに屈曲したチューブ110先端を、意図する周方向に正確に位置決めすることが可能となっている。
【0037】
また、スタイレット150の挿入部先端154aと先端電極116の凹部116dが雄雌嵌合することによって両者が軸回転方向に固定される構造を採用している。これにより、根元部側での軸回転方向の固定に加えて先端部でもスタイレット150とチューブ110とが軸回転方向に固定されているので、より正確なチューブ110先端の周方向の位置決め操作が可能となる。即ち、根元部だけ固定している場合、根元部と距離的に最も離れる先端付近においてはスタイレット150とチューブ110の回転が必ずしも一致せず、程度の低い「空回り現象」が発生する可能性がある。そうなってしまうとチューブ110先端の周方向位置が意図した通りの位置とならなくなってしまう。しかし根元部に加えて先端部(若しくはその近傍)においても軸回転方向に固定されていれば、スタイレット150を介して先端側に伝達された回転トルクがそのままチューブ110側にも伝達されるので、根元側の操作量(回転量)によりリニアに反応し、意図した通りのチューブ110先端の位置決めが容易となる。
【0038】
また雄雌嵌合という簡易な構造でありながらも、確実に挿入部先端154aと先端電極116を軸回転方向に固定されている。更に、可能な限り先端に近い位置でスタイレット150と電極116とを軸回転方向に固定しているので、根元側の操作量(回転量)に対してチューブ110先端の周方向位置を最も正確に位置決めすることが可能となっている。なお図面では六角形状の雄雌嵌合により先端部固定機構が実現されているが、これに限らず、その他多角形状、楕円形、Dカットなど雄雌嵌合により回転トルクを伝達できる限りどのような形状で嵌合していてもよい。
【0039】
またルーメン113が、根元から先端に至るまでチューブ110の中心を通る構成とされている。これにより、チューブ110の軸心とスタイレット150の挿入部154の軸心が略一致するので、回転操作を最も安定的且つ正確に行うことができる。即ち、両者の軸心が一致していないと、一方が他方に対して偏心揺動することとなるので、先端位置を意図した通りの位置に操作できない場合がある。しかし軸心を一致させることによってそのような不都合を排除することが可能となっている。
【0040】
スタイレット150の挿入部154は、形状記憶合金で構成されている。これにより根元側の回転トルクを十分に伝達できる強度を材料的に確保できることに加え、スタイレット150を繰り返し使用してカーブ形状が変形してしまった場合でも当初のカーブ形状に容易に戻すことが可能となっている。
【0041】
またスタイレットは、全長が統一され且つ異なるカーブ形状に成形された複数のスタイレットセット150、250、350、450として構成されていた。これにより、検査や治療を行いたい部位に応じて最適なカーブ形状のスタイレットを使用することで、単一の電極カテーテル1を恰も複数本の電極カテーテルとして利用することができる。即ち、検査等部位に応じて最適なカーブ形状を有する別のカテーテルに取り換えたり、カーブ形状の異なる複数本のカテーテルを同時に体内に挿入する必要がないので、患者の負担を軽減することができる。
〈その他の構成例〉
【0042】
なお上記では、スタイレット150と先端電極116が軸回転方向に固定されるという構成を採用していたが、例えば、リング電極の何れかとスタイレット150を軸回転方向に固定することによって同様の効果を発揮させることができる。具体的には、例えば、図8に示しているように、リング電極218aの内周側に中心に六角形の貫通孔218cが形成された絶縁性のスペーサ218bを設けておき、スタイレット150の挿入部先端154aが当該貫通孔218cに嵌合するような構成である。
【0043】
また、先端電極116の凹部116dを先端側まで貫通するような構成を採用することも可能である。このように構成すれば、ルーメン113を介して造影剤などを所望の位置に投入する等の操作を行うことが可能となる。
【0044】
また、本発明は、不整脈の検査に利用される検査用電極カテーテル並びに不整脈の治療に利用されるアブレーション電極カテーテルとして好適に実施できることは勿論であるが、それ以外のカテーテルとしても当然ながら実施することができる。例えば、心臓内を焼灼(アブレーション)する場合、焼灼する場所によっては心臓に隣接する他の組織(例えば食道など)にまで誤って焼灼時の熱が伝搬し、当該組織に損傷を与えてしまう場合がある。このような場合、事前に先端部分で温度検知が可能なカテーテルを当該組織側に挿入しておき、焼灼する部分に対応する部分の温度を監視することによって、誤って他の組織に損傷を与えることを防止することができる。このような場合に利用するカテーテルに本発明を適用することで、温度検知したい位置を正確に特定することが可能となる。
【符号の説明】
【0045】
1・・・電極カテーテル
100・・・カテーテル本体
110・・・チューブ
111・・・外皮
112・・・内皮
113・・・ルーメン(内腔)
114・・・電極線
116・・・先端電極
116a・・・露出部
116b・・・結合部
116c・・・返し部
116d・・・凹部
118・・・非先端電極
120・・・操作部
122・・・スタイレット導入口
124・・・二条ネジ
124a・・・ネジ溝
126・・・スタイレット通路
127・・・電極通路
130・・・電気信号取出部
132・・・電極コネクタ
150、250、350、450・・・スタイレット
152・・・挿入部
152a・・・挿入部先端
154・・・スタイレットグリップ
154a・・・ネジ山

【特許請求の範囲】
【請求項1】
チューブ先端に電極を備えた電極カテーテルであって、
前記チューブの根元側に接続固定される操作部と、
前記チューブ先端にまで達するルーメンと、
当該ルーメンに挿入することにより前記チューブの形状を変形させる程度の強度を有した所定カーブ形状のスタイレットと、を備え、
当該スタイレットを前記ルーメンに挿入した状態で、当該スタイレットの根元部を前記チューブに対して軸回転方向に固定する根元部固定機構が備わる
ことを特徴とする電極カテーテル。
【請求項2】
請求項1において、
更に、前記スタイレットの先端若しくはその近傍と前記チューブの先端若しくはその近傍を軸回転方向に固定する先端部固定機構が備わる
ことを特徴とする電極カテーテル。
【請求項3】
請求項2において、
前記チューブは、先端に配置される先端電極に加えて当該先端電極近傍に配置される非先端電極を備え、
前記先端部固定機構は、前記スタイレットの先端と前記先端電極が嵌合することにより実現される
ことを特徴とする電極カテーテル。
【請求項4】
請求項2において、
前記チューブは、先端に配置される先端電極に加えて当該先端電極近傍に配置される非先端電極を備え、
前記先端部固定機構は、前記スタイレットの先端と前記非先端電極が嵌合することにより実現される
ことを特徴とする電極カテーテル。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかにおいて、
前記ルーメンが、根元から先端に至るまで前記チューブの中心を通る構成とされている
ことを特徴とする電極カテーテル。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかにおいて、
前記スタイレットが、形状記憶合金で構成されている
ことを特徴とする電極カテーテル。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかにおいて、
前記スタイレットは、全長が統一され且つ異なるカーブ形状に成形された複数のスタイレットセットとして構成される
ことを特徴とする電極カテーテル。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−111367(P2013−111367A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−262108(P2011−262108)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【特許番号】特許第5042387号(P5042387)
【特許公報発行日】平成24年10月3日(2012.10.3)
【出願人】(511245558)
【Fターム(参考)】